JP6598167B2 - 音響レンズ及びその製造方法、並びに音響波プローブ - Google Patents

音響レンズ及びその製造方法、並びに音響波プローブ Download PDF

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Description

本発明は、音響レンズ及びその製造方法、並びに本発明の音響レンズを備える音響波プローブに関する。
一般に、超音波診断では、対象(生体)の内部に超音波を伝播してそのエコーを受信し、エコー受信信号に基づいて、対象の断層像をはじめとする各種の診断情報を取得する。
このような超音波診断において、超音波の送受信は音響波プローブを通じて行われる。音響波プローブには、電気音響変換を担う圧電素子(振動子)が設けられている。さらに、圧電素子から見て、超音波送受信面側(対象物側)には音響整合層(音響マッチング層)及び音響レンズが順に、背面側(電源側)にはバッキング材が、それぞれ設けられている。
このような音響波プローブにおいて、音響レンズは、生体に放射される超音波を集束して高強度のビームを得るために設けられている。このような音響レンズに要求される特性としては、(i)生体の音響インピーダンス(密度×音速)に近いこと、(ii)音波の伝播速度が生体の伝播速度1500m/sよりも遅いこと、(iii)音波振動の減衰が小さいこと、(iv)適度な強度を有し、耐摩耗性に優れること等が挙げられる。
このような音響レンズの材料には、生体の音響インピーダンス(1.4×10〜1.7×10kg/m/s)に近く、超音波減衰量の小さい、シリコーン樹脂が主に用いられてきた。しかし、シリコーン樹脂のみで構成した音響レンズは、特に強度及び耐磨耗性に劣るため、金属や酸化物等のフィラーを添加することが一般的であった。
一方で、フィラーの添加は、音波振動の減衰の原因となり、音響レンズの音響特性を悪化させる要因でもあった。そのため、最近では、フィラーの粒子径や組成等の検討も行われるようになってきている。例えば、特許文献1では、ナノ粒子サイズのシリカを用いることにより、音波振動の減衰量を低く維持したまま、得られるシリコーン樹脂の硬度や機械強度を向上する技術が提案されている。また、特許文献2では、音響レンズの音響インピーダンスを生体に近づけるために、シリカよりも密度の大きな酸化亜鉛や酸化イッテルビウムを用いることにより、音波振動の減衰を低減する技術が提案されている。
しかしながら、近年の更なる音響特性の向上の要求に対しては、上記のような技術でも十分に対応できていなかった。特に、伝播される音波の周波数が高くなるほど、音波振動の減衰量が大きくなる傾向にあるため、例えば10MHz以上の高周波数の音波を放射して使用する音響レンズにおいては、その音響特性を向上することは非常に困難であった。
また、従来の音響レンズの開発においては、放射される音波の周波数に応じた音響特性について、特段理論構築はなされておらず、実際にモノを作製して評価するというトライ&エラーの手法が繰り返されていた。このような開発手法では、良好な音響特性を有する音響レンズを実現するまでに、多くの時間と手間と費用を要し、それらの無駄も多くなる問題があった。
特開2016−046811号公報 特開2005−125071号公報
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決し、波長λが100μm以下である音波を伝播させるために使用する音響レンズとして、伝播させる音波の波長λに応じた優れた音響特性を発揮し得る音響レンズ及びその製造方法、並びに本発明の音響レンズを備える音響波プローブを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、波長λが100μm以下である音波を伝播させるために使用する音響レンズにおいて、シリコーン樹脂とシリカ粒子とを含有してなり、前記シリカ粒子の平均一次粒子径が15nm以上であり、且つ前記シリカ粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)が前記伝播させる音波の波長λの1/8未満であることにより、伝播させる音波の波長λに応じた優れた音響特性が発揮されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1] 波長λが100μm以下である音波を伝播させるために使用する音響レンズであって、
シリコーン樹脂と、シリカ粒子とを含んでなり、
前記シリカ粒子の平均一次粒子径が15nm以上であり、且つ
前記シリカ粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)が前記伝播させる音波の波長λの1/8未満である、音響レンズ。
[2] JIS K 6253−3:2012に準拠し、タイプAデュロメーターにより測定される硬度が、30以上50以下である、上記[1]に記載の音響レンズ。
[3] 上記[1]又は[2]の音響レンズを備える、音響波プローブ。
[4] 波長λが100μm以下である音波を伝播させるために使用する音響レンズの製造方法であって、
粘度が3.5Pa・s未満である付加反応型液状シリコーン樹脂と、シリカ粒子とを含むシリコーン樹脂組成物を得る工程と、
前記シリコーン樹脂組成物を硬化させる工程と、を有し、
前記シリカ粒子の平均一次粒子径が15nm以上であり、且つ
前記シリカ粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)が前記伝播させる音波の波長λの1/8未満である、音響レンズの製造方法。
[5] 前記シリコーン樹脂組成物を、硬化させる前に、脱泡処理する工程をさらに有する、上記[4]に記載の音響レンズの製造方法。
本発明によれば、波長λが100μm以下である音波を伝播させるために使用する音響レンズとして、伝播させる音波の波長λに応じた優れた音響特性を発揮し得る音響レンズ及びその製造方法、並びに本発明の音響レンズを備える音響波プローブを提供することができる。
図1は、音響波プローブの代表的な構成を示す、概略斜視図である。 図2は、音響レンズの評価方法を説明するための図である。
本発明に従う音響レンズ及びその製造方法の実施形態について、以下で詳細に説明する。
[音響レンズ]
本発明の音響レンズは、波長λが100μm以下である音波を伝播させるために使用するものであり、シリコーン樹脂と、シリカ粒子とを含有してなり、前記シリカ粒子の平均一次粒子径が15nm以上であり、且つ前記シリカ粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(以下、単に「D90」という)が前記伝播させる音波の波長λの1/8未満であることを特徴とする。
本発明の音響レンズは、特に、伝播させる音波の波長λに応じた粒子径を有するシリカ粒子を含有することにより、優れた音響特性が発揮される。このような本発明の音響レンズは、例えば周波数が10MHz以上の音波を放射して使用する音響レンズとして、好適である。
また、従来の音響レンズの開発においては、トライ&エラーの手法が一般的であったが、本発明によれば、良好な音響特性を有する音響レンズを、放射する音波の周波数に応じて狙い通りに作製することができる。そのため、開発に要する時間や、手間、費用等の無駄を最小限に低減できる。
本発明の音響レンズは、シリコーン樹脂と、所定の粒子径を有するシリカ粒子とを含有してなる。また、本発明の効果を妨げない範囲で、その他の成分としてシリコーン樹脂及びシリカ粒子以外の成分を含有していてもよい。以下、構成成分毎に詳しく説明していく。
(シリコーン樹脂)
シリコーン樹脂としては、特に限定されないが、例えばジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、フェニルシリコーン、変性シリコーン等が挙げられる。中でもジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンが好ましい。具体的には、シリコーン樹脂は、後述する付加反応型液状シリコーン樹脂の硬化物であることが好ましい。ここで、付加反応型液状シリコーン樹脂には1液型と2液混合型があるが、付加反応型液状シリコーン樹脂が2液混合型である場合、その硬化物とは、当該2液の混合物が硬化してなる物の全体を指す。
なお、以下の説明において、単に「シリコーン樹脂」と称する場合は、上記のような硬化物としてのシリコーン樹脂を指し、「液状シリコーン樹脂」と称する場合は、上記付加反応型液状シリコーン樹脂のような、原料としての、未硬化のシリコーン樹脂を指すものとする。すなわち、「液状シリコーン樹脂」は、硬化物としてのシリコーン樹脂の前駆体である。
(シリカ粒子)
シリカ粒子は、フィラーとしての役割を担う。フィラーは、音響レンズの強度及び耐摩耗性の向上、また音響レンズとしての密度調整を目的として添加される成分である。しかしながら、フィラーの添加は、音波の乱反射の発生元になる粒子界面を、音響レンズの内部に内包させる要因になる。そのため、強度向上や密度調整の目的でフィラーを添加する必要があっても、内包される粒子界面において伝送する音波が反射し、音波振動が減衰して、音響特性の悪化を招く問題があった。
本発明者らは、上記問題点を解決するため、更に研究を重ねた結果、フィラーの添加により、音響レンズがその内部に粒子界面を内包する場合であっても、フィラーの粒子径が放射される音波の周波数に応じて選定されていれば、粒子界面で音波の反射が生じ難くいことを見出した。
そして上記知見に基づき、波長λが100μm以下である音波を伝播させるために使用する音響レンズにおいて、シリカ粒子の平均一次粒子径を15nm以上とし且つD90を伝播させる音波の波長λの1/8未満とすることにより、粒子径を過度に細くする必要がなく、効率的に粒子界面での音波の反射を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。このような本発明によれば、波長λが100μm以下である音波を伝播させるために使用する音響レンズとして、放射される音波の周波数に応じて良好な音響特性を維持しつつ、強度や耐摩耗性の向上や密度調整等の観点での自由度の高い組成設計が可能となる。
シリカ粒子の平均一次粒子径は、15nm以上であり、好ましくは25nm以上、より好ましくは30nm以上である。このような粒子径のシリカ粒子は、取扱い性がよく、例えば、製造工程において、液状シリコーン樹脂と混練し易く、また、これにより得られるシリコーン樹脂組成物の粘度調整も比較的容易である。適度な粘度に調整されたシリコーン樹脂組成物は、泡抜けし易いため、このようなシリコーン樹脂組成物を用いることにより、泡(ボイド)のない硬化物(音響レンズ)が得られ、音響特性を良好に維持できる。
平均一次粒子径が15nm未満のシリカ粒子のような、過度に微細なシリカ粒子は、粒子のかさ密度が小さいため、液状シリコーン樹脂に添加された場合、混練作業に手間がかかる。また、このような粒子は、比表面積が大きいため、液状シリコーン樹脂に添加されると、液状シリコーン樹脂の流動性を極端に悪化させ、シリコーン樹脂組成物の粘度の著しい上昇を招く。そのため、過度に微細なシリカ粒子は、そもそも液状シリコーン樹脂との混練が可能な粘度にするため、フィラーとしてのシリカ粒子の配合量を低減する必要がある。
しかし、シリカ粒子の配合量を調整して、液状シリコーン樹脂と混練できる程度の粘度としても、そのようなシリコーン樹脂組成物から得られる硬化物は、泡抜けが不十分(脱泡不良)となり、音響特性の悪化を招く恐れがある。
通常、液状シリコーン樹脂に粉末状のフィラーを配合すると、フィラーと共に空気が混ぜ込まれてしまう場合がある。このような空気は混練工程や、脱泡工程において概ね除去されるが、シリコーン樹脂組成物の粘度が高い場合には、組成物中に空気が残る場合がある。そしてそのまま液状シリコーン樹脂が硬化すると、硬化物(音響レンズ)内に泡(ボイド)が形成される。こうして形成されたボイドは、音響レンズ内で音波の反射の発生元になるため、音波振動を減衰させ、音響特性の悪化を招く要因となる。したがって、音響特性に優れた音響レンズを得る上では、音響レンズ内にボイドが形成されないよう、シリカ粒子の配合量はさらに低減する必要があった。
また、音響レンズ内で音波は、シリコーン樹脂を振動させて伝播されていくが、フィラーが添加されると、フィラー粒子との接触によりシリコーン樹脂の振動が抑制される。このような作用は、粒子とシリコーン樹脂との接触面が多いほど大きくなり、音波振動の減衰を招く。上述のように、微細なシリカ粒子は、比較的粒子径の大きいシリカ粒子に比べて比表面積が大きいため、同じ配合量でも、音波振動の減衰が大きく、音響特性を劣化させる傾向がある。そのため、音響特性に優れた音響レンズを得る上では、シリコーン樹脂の振動を極力妨げないよう、シリカ粒子の配合量を制限する必要があった。
このように、微細なシリカ粒子を用いる場合には、製造上の作業性や音響特性の維持向上等の観点で、シリカ粒子の配合量を低減せざるを得ず、フィラーとしての自由度の高い組成設計は困難であった。
本発明では、シリカ粒子の平均一次粒子径は、15nm以上とすることにより、良好な音響特性を維持しつつ、強度や耐摩耗性の向上や密度調整等の観点での自由度の高い組成設計が可能となる。なお、平均一次粒子径の上限は、D90が所定の範囲に制限されている限り特に限定はされないが、D90との関係で、シリカ粒子の平均一次粒子も伝播させる音波の波長λの1/8未満である。このような平均一次粒子径としては、例えばλが100μmのときは、12.5μm未満である。
次に、シリカ粒子のD90は、伝播させる音波の波長λの1/8未満である。このようなD90としては、例えばλが100μmのときは12.5μm未満であり、好ましくは10μm以下である。上記範囲とすることにより、粒子界面で音波の反射を効率的に抑制でき、音響特性が良好に維持される。
従来の音響レンズの開発では、音響特性と、音響レンズに放射される音波の周波数との関係は十分に検討されておらず、トライ&エラーで良好な音響特性を有する音響レンズを作製するしかなかった。
しかしながら、本発明の上記構成によれば、放射される音波の周波数に応じたシリカ粒子の粒子サイズを選定することで、効率よく、優れた音響特性を有する音響レンズを作製することが可能となる。
音響レンズ内を伝播する音波の波長λは、音響レンズに放射される音波の周波数fと、媒体中(主にシリコーン樹脂)の音速νに基づき、下記式(1)の関係で表すことができる。
λ=ν/f ・・・(1)
上記(1)式に示されるように、放射される音波の周波数fが高周波数になるほど、音響レンズ内を伝播する音波の波長λは短くなる。例えば、シリコーン樹脂の音速νを1000m/sとするとき、音響レンズに周波数が10MHzの音波を放射する場合は、伝播する音波の波長λは100μmとなり、周波数が15MHzの音波を放射する場合は、伝播する音波の波長λは66.7μmとなる。
すなわち、本発明の音響レンズは、波長λが100μm以下である音波を伝播させるために使用する音響レンズとして優れた音響特性を発揮するものであり、これは、周波数としては10MHz以上の音波を音響レンズに放射して使用する際に優れた音響特性を発揮することを意味している。なお、本発明では、伝播させる音波の波長λに応じてシリカ粒子の粒子径を選択することにより、音波振動の減衰量が小さい音響レンズが得られる。そのため、伝播させる音波の波長λの下限は特に限定されないが、プローブでの超音波診断における周波数の高解像度化の観点から、例えば2μm以上としてもよい。
また、シリカ粒子のD90を、伝播する音波の波長λの1/8未満と規定したのは、音響レンズ内を音波が伝播する際に、シリカ粒子により音波が乱反射することなどで生じる音波振動の減衰(伝播減衰)の影響を小さくするためである。すなわち、このようなシリカ粒子を選定することにより、伝播減衰量が小さい音響レンズが得られる。一方、シリカ粒子のD90が、伝播する音波の波長λの1/8以上であると、シリカ粒子による音波の散乱の影響等が増大し、伝播減衰量が大きくなる。
上記のように、放射される音波の周波数に応じてシリカ粒子の粒子径を選定することで、闇雲に微細なシリカ粒子を使用する必要がなく、音響特性に影響を与えない程度の適度な粒子径を有するシリカ粒子を使用することができ、自由度の高い組成設計が可能となる。
なお、D90の下限は、平均一次粒子径が上記所定の範囲に制限されている限り特に限定はされない。そのようなD90としては、例えば16nm以上である。
また、本発明におけるシリカ粒子の平均一次粒子径及びD90は、後述する原料としてのシリカ粒子の平均一次粒子径及びD90と実質的に同一であるとみなされる。
このようなシリカ粒子の形状は、特に限定されないが、例えば、真球状、楕円球状、破砕形状等が挙げられる。なお、粒子界面での反射は、特に音波の進行方向に対し垂直な面で起こるため、異方性のある粒子形状は、音波振動の減衰に不安定さが生じやすい。したがって、できるだけ真球に近い、表面がなめらかな形状のものが好ましい。
シリカ粒子の含有量は、シリコーン樹脂100質量部に対して、15〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜90質量部、更に好ましくは25〜80質量部である。上記範囲とすることにより、音響特性を劣化させずに、フィラーとしての役割を十分に発揮させることができる。一方で15質量部未満であると、音響レンズに必要とされる音響特性(特に、音響インピーダンス)や強度が得られず、100質量部超であると、混練に時間を要するだけでなく、組成物の粘度が上昇して成形に支障を生じる傾向がある。
シリコーン樹脂とシリカ粒子の合計含有量は、音響レンズ中に70質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上であり、また100質量%であってもよい。上記範囲とすることにより、実用上必要な強度を有する音響レンズを得ることができる。
(その他の成分)
また、音響レンズは、必要に応じて、上記以外の成分を更に含有してもよい。上記以外の成分としては、例えば、着色剤、白金触媒、硬化促進剤、硬化遅延剤、溶媒、分散剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等が挙げられる。
中でも着色剤は、識別や清浄状態確認を目的として配合される成分である。このような着色剤としては、例えば、カーボン、酸化チタン等の顔料や染料が挙げられる。これらの成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。着色剤の含有量は、特に限定されないが、シリコーン樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5質量部である。
(硬度)
本発明の音響レンズは、JIS K 6253−3:2012に準拠し、タイプAデュロメーターにより測定される硬度(以下、「A硬度」ともいう)が、好ましくは25以上であり、より好ましくは28以上であり、更に好ましくは30以上である。A硬度が上記範囲であれば、音響レンズとしての形状保持特性が良好となる。特に実用上の変形回避の観点では、A硬度は30以上とすることがより好ましい。また、A硬度は、好ましくは50以下であり、より好ましくは45以下であり、更に好ましくは42以下である。A硬度が上記範囲であれば、音響特性が良好に維持される。
(密度)
音響レンズの密度は、好ましくは1.05〜1.32g/cmであり、より好ましくは1.08〜1.30g/cmであり、更に好ましくは1.10〜1.28g/cmである。密度が、上記範囲であれば、音響レンズに要求される優れた音響特性(音響インピーダンス)となり、良好な音響レンズが得られる。
なお、本明細書において、音響レンズの密度は、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
(音響特性)
音響レンズとしての音響特性は、例えば、実施例に記載の方法で算出する音波振動の減衰率によって評価することができる。本発明の音響レンズは、上記減衰率が6未満であることが好ましく、より好ましくは5未満である。このような減衰率であれば、音響レンズ内を伝播する音波振動の減衰量を少さくできるため、音響レンズとして優れた音響特性を発揮する。具体的な減衰率の測定方法は実施例の頁にて説明する。
[音響レンズの製造方法]
以下に、本発明の音響レンズの好ましい製造方法の一例を説明する。なお、本発明の音響レンズは、下記の製造方法により得られる音響レンズに限定されるものではない。
本発明の音響レンズの製造方法は、好ましくは、
波長λが100μm以下である音波を伝播させるために使用する音響レンズの製造方法であって、
粘度が3.5Pa・s未満である付加反応型液状シリコーン樹脂と、シリカ粒子とを含むシリコーン樹脂組成物を得る工程と、
前記シリコーン樹脂組成物を硬化させる工程と、を有し、
前記シリカ粒子の平均一次粒子径が15nm以上であり、且つ
前記シリカ粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)が前記伝播させる音波の波長λの1/8未満である。以下、詳しく説明する。
(シリコーン樹脂組成物を得る工程)
まず、以下の液状シリコーン樹脂と、シリカ粒子と、さらに必要に応じてその他の成分とをそれぞれ準備し、所定の配合比率となるように適量秤量する。なお、秤量は、公知の方法により行うことができ、各成分の配合比率は、上述の音響レンズの含有量に準ずる。
液状シリコーン樹脂は、粘度が3.5Pa・s未満である付加反応型液状シリコーン樹脂であることが好ましい。付加反応型液状シリコーン樹脂とは、付加反応によって硬化する液状シリコーン樹脂のことである。
一般に、液状シリコーン樹脂は、硬化反応の種類によって、付加反応型と、縮合反応型とに分けられる。ここで縮合反応型は、硬化反応時にガス成分(例えば水蒸気(HO)や水素(H)等)を生成する場合ある。このようなガス成分は、液状シリコーン樹脂中で気泡として残留する場合があり、そのまま液状シリコーン樹脂が硬化されてしまうと、音響レンズ内にボイドが形成され、音響特性の悪化を招く恐れがある。そのため、液状シリコーン樹脂としては、硬化反応においてガス成分を生成しないものが望ましく、このような観点で付加反応型液状シリコーン樹脂が好適である。このような付加反応型の液状シリコーン樹脂としては、例えば側鎖として水素やビニル基を有するシリコーン成分を含む樹脂が該当する。
付加反応型液状シリコーン樹脂は、特に限定されないが、公知の材料を広く用いることができ、実験合成品及び市販品のいずれであってもよい。また、付加反応型液状シリコーン樹脂には、一液型と、二液混合型とがあるが、いずれのタイプも用いることができる。
また、付加反応型液状シリコーン樹脂の粘度としては、室温(22℃±5℃)にて、好ましくは3.5Pa・s未満であり、より好ましくは2.5Pa・s以下あり、更に好ましくは2.0Pa・s以下である。上記範囲の粘度を有する液状シリコーン樹脂を用いることにより、泡抜けがよいシリコーン樹脂組成物が得られ、音響レンズ内にボイドが形成され難くなる。
上記のような付加反応型液状シリコーン樹脂の市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製「KE−1031 A/B」、同社製「KE−109EA/B」、同社製「KE−103」、東レ・ダウコーニング株式会社製「EG−3000」、同社製「EG−3100」、同社製「EG−3810」、同社製「527」、同社製「S1896FREG」等が挙げられる。
シリカ粒子は、所定の粒子径、すなわち平均一次粒子径が15nm以上、且つD90が伝播させる音波の波長λの1/8未満を満足する限り、特に限定はされず、実験合成品及び市販品のいずれであってもよい。このようなシリカ粒子としては、具体的には、溶融シリカ、結晶性シリカ、コロイダルシリカ、シリカエアロゲル、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等が挙げられる。中でもヒュームドシリカ、溶融シリカ、コロイダルシリカ等が好ましい。また、シリカ粒子の表面は、鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等によってシラン処理されていてもよい。これらのシリカ粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。シリカ粒子の市販品としては、例えば日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)RX−50」等が挙げられる。
シリカ粒子の平均一次粒子径は、15nm以上であればよく、好ましくは25nm以上、より好ましくは30nm以上である。上記範囲とすることにより、過度に細かな粒子を用いる必要がなく、混練時の作業性が良好となる他、シリコーン樹脂組成物の粘度も適切に調整できる。
また、シリカ粒子のD90は、伝播させる音波の波長λの1/8未満であればよい。このようなD90としては、例えば12.5μm未満であり、好ましくは10μm以下である。上記範囲とすることにより、粒子界面で音波の反射を効率的に抑制でき、音響特性が良好な音響レンズを作製することができる。
シリカ粒子は、上記粒子径の関係を満たすものであればよく、1種類のシリカ粉末であってもよいし、異なる粒度分布を有する2種以上のシリカ粉末を混合してなる混合粉末であってもよい。なお、シリカ粒子が混合粉末である場合、混合粉末の状態で上記粒子径の関係を満たしていればよいが、混合前の状態で各シリカ粉末のそれぞれが、上記粒径の関係を満たしていることがより好ましい。また、2種以上の粉末を混合して用いる場合には、各シリカ粉末を個別に液状シリコーン樹脂に配合してもよいが、予め均一に混合し、混合粉末として液状シリコーン樹脂に配合することがより好ましい。
なお、本明細書において、原料としてのシリカ粒子の平均一次粒子径及びD90は、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
その他の成分としては、例えば、着色剤、白金触媒、硬化促進剤、硬化遅延剤、溶媒、分散剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等が挙げられる。いずれの材料も公知のものを広く用いることができ、実験合成品又は市販品のいずれであってもよい。
次に、上記のようにして準備した各成分を、混合して、シリコーン樹脂組成物を調製する。上記のような所定の粘度の液状シリコーン樹脂と、所定の粒子径のシリカ粒子とを混合することにより作製されるシリコーン樹脂組成物は、過度に粘度が上昇することがなく、作業性及び成形性に優れる。
また、混合方法は、特に限定されず、公知の方法により行うことができる。このような混合方法としては、例えば、ロールミルによる分散混合、回転翼による撹拌混合、遊星式攪拌混合機による混合、ホモジナイザーによる混合及びニーダーによる混合等が挙げられる。
(シリコーン樹脂組成物を硬化させる工程)
上記のようにして得られたシリコーン樹脂組成物を、所定の形状に成形し、硬化させる。このようにして得られた硬化物(音響レンズ)は、泡(ボイド)がほとんどなく、優れた音響特性を発揮する。
成形方法は、特に限定されず、公知の方法により行うことができる。例えば、混合した樹脂組成物を成形型内に流し込み、型締めした後硬化するなどの方法により行うことができる。また、成形形状も特に限定されず、使用形態等に応じて所望の形状とすることができる。
硬化方法は、特に限定されず、材料系により異なるが、例えば以下の条件で行われることが好ましい。
硬化温度は、好ましくは50〜150℃であり、より好ましくは50〜120℃である。上記範囲とすることにより、寸法精度を得やすくなる。
硬化時間は、好ましくは0.5〜5.0時間であり、より好ましくは1.0〜3.0時間である。上記範囲とすることにより、実用上必要な強度を有する音響レンズを得ることができる。
(シリコーン樹脂組成物を脱泡処理する工程)
また、上記製造方法は、シリコーン樹脂組成物を、硬化させる前に、脱泡処理する工程をさらに有していることが好ましい。硬化前に、脱泡処理を施すことにより、硬化前のシリコーン樹脂組成物から十分に泡を抜くことができる。その後硬化させて得られる硬化物(音響レンズ)は、泡(ボイド)がなく、優れた音響特性を発揮する。
脱泡処理は、公知の方法により行うことができるが、例えば、真空脱泡、撹拌脱泡等が挙げられる。
(他の工程)
上記製造方法は、上記工程の他に、必要に応じて他の工程を含んでも良い。音響特性に影響を及ぼさない範囲であれば、耐薬品性、耐水性、耐摩耗性、接着性等を向上させるための各種処理を施すことも可能である。
[音響波プローブ]
本発明の音響レンズは、音響波プローブの構成部材として好適に用いられる。
図1に、音響波プローブの代表的な構成を、概略斜視図(部分透過図)で示す。図1に示される音響波プローブ10は、超音波送受信面側(対象物側)から順に、音響レンズ1、音響整合層(音響マッチング層)2、圧電素子(振動子)3及びバッキング材4を有し、さらにこれらを収める筐体5を備える。
本発明の音響レンズ1を備える音響プローブ10は、高い超音波伝播効率を有し、これにより鮮明な画像による超音波診断が可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、後述する作製例、実施例及び比較例について、各評価は以下の条件にて行った。
[1]平均一次粒子径及びD90
シリカ粒子の平均一次粒子径及びD90は、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名:LA−500)を用いて測定した。
具体的には、界面活性剤を加えた水中にシリカ粒子を加え、超音波処理を施してシリカ粒子を十分に分散させた後、このスラリーを測定用サンプルとして、上記装置により粒度分布の測定を行った。得られたシリカ粒子の累積粒度分布において、累積百分率50%の粒子径(D50)を平均一次粒子径とし、累積百分率90%の粒子径をD90とした。
なお、粒子が凝集して上記測定が行えないシリカ粒子については、電子顕微鏡写真を撮影し、画像解析により一次粒子の粒子径の測定を行った。この方法では、電子顕微鏡写真から得られた一次粒子の粒子径に基づき、その平均値を平均一次粒子径とし、粒度分布曲線に基づいた累積百分率90%の粒子径をD90とした。
[2]泡抜け
成形品を目視で観察し、気泡の有無を確認した。目視にて気泡が確認されなかったものを泡抜け良好と評価した。
[3]密度
厚さ2mmの成形品を50mm×50mmの大きさに切り出し、水中浸漬法により求めた。
[4]A硬度
JIS K 6253−3:2012に準拠し、厚さ2mmの成形品のA硬度を測定した。
硬度計は、タイプAデュロメーター(株式会社テクロック製、商品名:GS−719N)を用いた。
[5]音響特性(減衰率)
音響特性は、反射法を用いて、以下の方法で評価した。以下、図2の評価方法の概略図を参照しながら説明する。
厚さ2mmの成形品を測定用サンプル1aとし、図2に示されるように、サンプル1aに対し、探触子20を用いて所定の発信周波数の超音波W0を入射し、観測される反射波の1波目W1と2波目W2の強度をそれぞれ求め、下記式(2)より減衰率を算出した。
減衰率=20log(I1/I2)/2t ・・・(2)
なお、上記式(2)中で、I1は反射波の1波目W1の強度、I2は反射波の2波目W2の強度、tは成形品の厚みである。探触子20としては、発信周波数10MHz用の探触子(オリンパス株式会社製、商品名:V127−RM/U8403050)又は発信周波数15MHz用の探触子(オリンパス株式会社製、商品名:V113−RM/U8403036)を使用した。
本実施例では、音波振動の減衰率が、5.0未満のものを音響特性が良好として「○」、5.0以上6.0未満を音響特性がやや不良として「△」、6.0以上を不良として「×」と評価した。音響特性が良好であれば、音響レンズとして好適に用いることができることを意味する。
(作製例1:試料No.1〜16)
付加型液状シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製、商品名:KE−1031 A/B、粘度:室温(22℃±5℃)にて、A=1.0Pa・s、B=0.7Pa・s)100質量部(A:B=50質量部:50質量部)に対し、シリカ粒子を適量配合し、混練処理することで、シリコーン樹脂組成物を調製した。シリカ粒子の原料及び配合割合は、表1のとおりである。
ここで、表1に示すシリカA〜Fは、以下の原料に対応する。
・シリカA:粉末シリカ(平均一次粒子径:30nm、D90:100nm)
・シリカB:粉末シリカ(平均一次粒子径:2.8μm、D90:5.1μm)
・シリカC:粉末シリカ(平均一次粒子径:6.0μm、D90:11.3μm)
・シリカD:粉末シリカ(平均一次粒子径:9.8μm、D90:15.9μm)
・シリカE:粉末シリカ(平均一次粒子径:13.6μm、D90:22.1μm)
・シリカF:粉末シリカ(平均一次粒子径:10nm、D90:100nm)
なお、シリカA及びシリカFの平均一次粒子径及びD90は、電子顕微鏡写真から得られた一次粒子の粒子径に基づく値であり、シリカB〜Eの平均一次粒子径及びD90はレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した値である。
また、シリカ粒子が2種の原料からなる場合には、予め2つの原料を秤量、混合し、均一な混合粉末として、上記液状シリコーン樹脂に配合した。
上記のようにして得られたシリコーン樹脂組成物を、脱泡処理して、80℃で2時間、加熱硬化させ、厚さ2mmの成形品を作製した(試料No.1〜16)。また、成形品について測定した密度及びA硬度の結果を表1に示す。
(作製例2:試料No.17)
表1に示す量的関係でシリカ粒子を配合した以外は、作製例1と同様にシリコーン樹脂組成物の作製を試みた。しかし、配合したシリカ粒子の粒子径が、平均一次粒子径にて15nm未満であったため、混合物の粘度が高くなりすぎてしまい、混合操作時に発熱を生じたため試料作製を中止した。
(実施例1〜7及び比較例1〜6)
作製例1で作製した成形品を測定用サンプル1aとして用い、発信周波数が10MHzの探触子を使用して、超音波を放射(入力)し、音響レンズとしての音響特性を評価した。用いた成形品の試料No.と、音響特性の結果を表2に示す。なお、周波数10MHzの超音波を放射したとき音響レンズ内に伝播される音波の波長λは、シリコーン樹脂の音速νを1000m/sとするとき、100μmである。
表2に示されるように、実施例1〜7で用いた成形品は、シリカ粒子の平均一次粒子径が15nm以上であるため、泡抜けが良好な成形品であった。また、これらの成形品は、シリカ粒子のD90が伝播させる音波の波長λの1/8(12.5μm)未満であるため、優れた音響特性を発揮し、波長λが100μmの音波を伝播させるために(周波数が10MHzの音波を放射して)使用する音響レンズとして好適に用いることができることが確認された。
これに対し、比較例1〜5で用いた成形品では、シリカ粒子の原料として、D90が伝播させる音波の波長λの1/8(12.5μm)以上のシリカ粉末が使用されているため、波長λが100μmの音波を伝播させるために使用する音響レンズとしては、音響特性が劣ることが確認された。
また、比較例6で用いた成形品は、シリカ粒子の平均一次粒子径が15nm未満であったため、シリコーン樹脂組成物の粘度が高くなりすぎてしまい、成形品の脱泡処理が十分に行われず、泡抜けが不良な成形品であった。そのため、波長λが100μmの音波を伝播させるために使用する音響レンズとしては、音響特性が劣ることが確認された。
(実施例8〜14及び比較例7〜12)
作製例1で作製した成形品を測定用サンプル1aとして用い、発信周波数が15MHzの探触子を使用して、超音波を放射(入力)し、音響レンズとしての音響特性を評価した。用いた成形品の試料No.と、音響特性の結果を表3に示す。なお、周波数15MHzの超音波を放射したとき音響レンズ内に伝播される音波の波長λは、シリコーン樹脂の音速νを1000m/sとするとき、66.7μmである。
表3に示されるように、実施例8〜14で用いた成形品は、シリカ粒子の平均一次粒子径が15nm以上であるため、泡抜けが良好な成形品であった。また、これらの成形品は、シリカ粒子のD90が伝播させる音波の波長λの1/8(8.3μm)未満であるため、優れた音響特性を発揮し、波長λが66.7μmの音波を伝播させるために(周波数が15MHzの音波を放射して)使用する音響レンズとして好適に用いることができることが確認された。
これに対し、比較例7〜11で用いた成形品では、シリカ粒子の原料として、D90が伝播させる音波の波長λの1/8(8.3μm)以上のシリカ粉末が使用されているため、波長λが66.7μmの音波を伝播させるために使用する音響レンズとしては、音響特性が劣ることが確認された。
また、比較例12で用いた成形品は、シリカ粒子の平均一次粒子径が15nm未満であったため、シリコーン樹脂組成物の粘度が高くなりすぎてしまい、成形品の脱泡処理が十分に行われず、泡抜けが不良な成形品であった。そのため、波長λが66.7μmの音波を伝播させるために使用する音響レンズとしては、音響特性が劣ることが確認された。
実施例及び比較例の対比からわかるように、本発明によれば、伝播させる音波の波長λに応じてシリカ粒子の粒子径を選択することにより、効率的に、かつ比較的簡便に、音響特性に優れた音響レンズを提供することができる。このような音響レンズは、波長λが100μm以下である音波を伝播させるために使用する音響レンズとして好適である。
1 音響レンズ
1a 測定用サンプル
2 音響整合層
3 圧電素子
4 バッキング材
5 筐体
10 音響波プローブ
20 探触子

Claims (5)

  1. 波長λが100μm以下である音波を伝播させるために使用する音響レンズであって、
    シリコーン樹脂と、シリカ粒子とを含んでなり、
    前記シリカ粒子の平均一次粒子径が15nm以上であり、且つ
    前記シリカ粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)が前記伝播させる音波の波長λの1/8未満である、音響レンズ。
  2. JIS K 6253−3:2012に準拠し、タイプAデュロメーターにより測定される硬度が、30以上50以下である、請求項1に記載の音響レンズ。
  3. 請求項1又は2の音響レンズを備える、音響波プローブ。
  4. 波長λが100μm以下である音波を伝播させるために使用する音響レンズの製造方法であって、
    粘度が3.5Pa・s未満である付加反応型液状シリコーン樹脂と、シリカ粒子とを含むシリコーン樹脂組成物を得る工程と、
    前記シリコーン樹脂組成物を硬化させる工程と、を有し、
    前記シリカ粒子の平均一次粒子径が15nm以上であり、且つ
    前記シリカ粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)が前記伝播させる音波の波長λの1/8未満である、音響レンズの製造方法。
  5. 前記シリコーン樹脂組成物を、硬化させる前に、脱泡処理する工程をさらに有する、請求項4に記載の音響レンズの製造方法。
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