JP6597762B2 - マイクロチップ型光学測定装置及び該装置における光学位置調整方法 - Google Patents

マイクロチップ型光学測定装置及び該装置における光学位置調整方法 Download PDF

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Description

本技術は、マイクロチップ型光学測定装置及び該装置における光学位置調整方法に関す
る。より詳しくは、マイクロチップの光学位置を自動で最適化し、高精度な測定を可能と
するマイクロチップ型光学測定装置等に関する。
細胞などの微小粒子の特性を光学的に測定する微小粒子測定装置(例えばフローサイト
メータ)が知られている。
フローサイトメータでは、フローセル又はマイクロチップに形成された流路に細胞を含
むサンプル液を送液し、流路内を通流する細胞にレーザを照射して細胞から発生する蛍光
又は散乱光を検出器で検出することにより、細胞の光学特性を測定している。また、フロ
ーサイトメータでは、光学特性の測定の結果、所定の条件を満たすと判定されたポピュレ
ーション(群)を、細胞中から分別回収することも行われている。
例えば、特許文献1には、マイクロチップ型のフローサイトメータとして、「微小粒子
を含む液体が通流される流路と、この流路を通流する液体をチップ外の空間に排出するオ
リフィスと、が配設されたマイクロチップと、オリフィスにおいて液体を液滴化して吐出
するための振動素子と、吐出される液滴に電荷を付与するための荷電手段と、流路を通流
する微小粒子の光学特性を検出する光学検出手段と、チップ外の空間に吐出された液滴の
移動方向に沿って、移動する液滴を挟んで対向して配設された対電極と、対電極間を通過
した液滴を回収する二以上の容器と、を備える微小粒子分取装置」が開示されている。
特開2010−190680号公報
微小粒子の光学特性を正確に測定するため、微小粒子測定装置では、フローセル又はマ
イクロチップに形成された流路内の微小粒子の通流位置と、レーザの光軸と、を高精度に
位置合わせする必要がある。この位置合わせは、従来、キャリブレーション用の粒子(キ
ャリブレーションビーズ)を用いてユーザが手動で行っており、習熟を要し、信頼性や安
定性に問題があった。特に、マイクロチップ型の微小粒子測定装置では、マイクロチップ
の交換の都度あるいは分析の都度に光学位置調整が必要となり、非常に煩雑であった。
そこで、本技術は、レーザの光軸に対するマイクロチップの位置調整を自動で高精度に
行うことが可能なマイクロチップ型光学測定装置を提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本技術は、
流路内を通流する微小粒子にレーザを照射して発生する光を検出する照射検出部と、
前記照射検出部に対する前記流路の相対位置を変更可能である位置調整部と、
前記光の検出強度に応じて前記位置調整部を制御する制御部と、を備え、
前記照射検出部は、前記位置調整部により変更された光軸に対して垂直一方向又は焦点方向に一列に配列した複数の検出位置にてそれぞれ光を検出し、
前記制御部は、前記複数の検出位置及び前記複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された一次元分布パラメータに基づき前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を特定する微小粒子測定装置を提供する。
前記照射検出部は、前記位置調整部により変更された光軸に対して垂直一方向に一列に配列した複数の検出位置にてそれぞれ光を検出し、
前記制御部は、前記垂直一方向の一列上の複数の検出位置及び当該複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された一次元分布パラメータに基づき、前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を、前記垂直一方向の一列上において特定し、
次に、前記照射検出部は、前記垂直一方向の一列上において特定された前記位置を中心として、前記位置調整部により変更された光軸に対して焦点方向に一列に配列した複数の検出位置にてそれぞれ光を検出し、
前記制御部は、前記焦点方向の一列上の複数の検出位置及び当該複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された一次元分布パラメータに基づき、前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を、前記焦点方向の一列上において特定しうる。
前記制御部は、一次元のN次多項式分布又は正規分布における一次元分布パラメータに基づき、前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を、前記垂直一方向の一列上において特定しうる。
前記制御部は、一次元のN次多項式分布又は正規分布における一次元分布パラメータに基づき、前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を、前記焦点方向の一列上において特定しうる。
前記垂直一方向の一列上において前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を特定するために用いられる前記一次元分布パラメータ、及び/又は、
前記焦点方向の一列上において前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を特定するために用いられる前記一次元分布パラメータが、
前記レーザの照射プロファイルに応じて算出されうる。
前記照射検出部は、光軸に対して垂直一方向及び焦点方向に格子状に配列された複数の検出位置にてそれぞれ光を検出し、
前記制御部は、前記格子状に配列された複数の検出位置及び前記複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された二次元分布パラメータに基づき、前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を特定し、
次に、当該特定された位置を中心として、前記照射検出部が、前記垂直一方向の一列上の複数の検出位置にてそれぞれ光を検出しうる。
前記二次元分布パラメータは、前記レーザの照射プロファイルに応じて算出されうる。
前記制御部は、前記積算値又は前記平均値が最大となる前記位置への移動信号を前記位置調整部に出力しうる。
前記流路は、フローセル又はマイクロチップに形成されうる。


また、本技術は、
流路内を通流する微小粒子へのレーザ照射により発生する光を、光軸に対して垂直一方向又は焦点方向に一列に配列した複数の検出位置で検出する手順と、
前記複数の検出位置及び前記複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された一次元分布パラメータに基づき前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を特定する手順とを含む、
微小粒子測定装置における光学位置調整方法も提供する。
また、本技術は、
流路内を通流する微小粒子へのレーザ照射により発生する光を、光軸に対して垂直一方向に一列に配列した複数の検出位置で検出する手順と、
前記複数の検出位置及び前記複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された一次元分布パラメータに基づき前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を、前記垂直一方向の一列上において特定する手順と、
流路内を通流する微小粒子へのレーザ照射により発生する光を、前記垂直一方向の一列上において特定された前記位置を中心として、光軸に対して焦点方向に一列に配列した複数の検出位置で検出する手順と、
前記複数の検出位置及び前記複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された一次元分布パラメータに基づき前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を、前記焦点方向の一列上において特定する手順とを含む、
微小粒子測定装置における光学位置調整方法も提供する。
前記光学位置調整方法は、流路内を通流する微小粒子へのレーザ照射により発生する光を、光軸に対して垂直一方向及び焦点方向に格子状に配列された複数の検出位置で検出する手順と、
前記格子状に配列された複数の検出位置及び前記複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された二次元分布パラメータに基づき前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を特定する手順とをさらに含み、
当該特定された位置を中心として、前記垂直一方向に一列に配列した複数の検出位置で光を検出する手順が行われてもよい。


本技術において、「微小粒子」には、細胞や微生物、リポソームなどの生体関連微小粒
子、あるいはラテックス粒子やゲル粒子、工業用粒子などの合成粒子などが広く含まれる
ものとする。
生体関連微小粒子には、各種細胞を構成する染色体、リポソーム、ミトコンドリア、オ
ルガネラ(細胞小器官)などが含まれる。細胞には、動物細胞(血球系細胞など)および植物
細胞が含まれる。微生物には、大腸菌などの細菌類、タバコモザイクウイルスなどのウイ
ルス類、イースト菌などの菌類などが含まれる。さらに、生体関連微小粒子には、核酸や
タンパク質、これらの複合体などの生体関連高分子も包含され得るものとする。また、工
業用粒子は、例えば有機もしくは無機高分子材料、金属などであってもよい。有機高分子
材料には、ポリスチレン、スチレン・ジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレートなど
が含まれる。無機高分子材料には、ガラス、シリカ、磁性体材料などが含まれる。金属に
は、金コロイド、アルミなどが含まれる。これら微小粒子の形状は、一般には球形である
のが普通であるが、非球形であってもよく、また大きさや質量なども特に限定されない。
本技術により、レーザの光軸に対するマイクロチップの位置調整を自動で高精度に行う
ことが可能なマイクロチップ型光学測定装置が提供される。
マイクロチップ型フローサイトメータとして構成された本技術に係るマイクロチップ型光学測定装置1(フローサイトメータ1)の構成を説明するための図である。 フローサイトメータ1に搭載可能なマイクロチップ2の一例の構成を説明するための図である。 マイクロチップ2のオリフィス21の構成を説明するための図である。 フローサイトメータ1における光学位置の最適化のための第1実施形態の制御ステップを説明するためのフローチャートである。 第1実施形態の原点・基準点移動ステップS〜エリア平均値最大位置判定ステップSにおける制御を説明するための図である。 第1実施形態のエリア平均最大位置移動ステップS〜積算値最大位置判定ステップSにおける制御を説明するための図である。 第1実施形態の変動係数判定ステップSにおける制御を説明するための図である。 フローサイトメータ1における光学位置の最適化のための第2実施形態の制御ステップを説明するためのフローチャートである。 第2実施形態の粗調整ステップS21における制御を説明するための図である。 第2実施形態の粗調整ステップS21において仮定した確定分布を説明するための図である。 第2実施形態の第1微調整ステップS22における制御を説明するための図である。 第2実施形態の第2微調整ステップS23における制御を説明するための図である。 第2実施形態の微々調整ステップS24における制御を説明するための図である。
以下、本技術を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお
、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、こ
れにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。説明は以下の順序で行う。

1.マイクロチップ型光学測定装置
(1)照射検出部
(2)位置調整部
(3)振動素子
(4)荷電部
(5)偏向板
(6)回収容器
(7)制御部等
(8)マイクロチップ
2.本技術の第1実施形態のマイクロチップ型光学測定装置における光学位置の最適化制

(1)原点・基準点移動ステップS
(2)信号取得ステップS
(3)エリア平均値最大位置判定ステップS
(4)エリア平均最大位置移動ステップS
(5)信号取得ステップS
(6)積算値最大位置判定ステップS
(7)変動係数判定ステップS
(8)位置最適化ステップS
3.本技術の第2実施形態のマイクロチップ型光学測定装置における光学位置の最適化制

(1)粗調整ステップS21
(1−1)格子状信号取得ステップS211
(1−2)二次元分布パラメータ推定ステップS212
(1−3)最大位置移動ステップS213
(2)第1微調整ステップS22
(2−1)直線状信号取得ステップS221
(2−2)一次元分布パラメータ推定ステップS222
(2−3)最大位置移動ステップS223
(3)第2微調整ステップS23
(3−1)直線状信号取得ステップS231
(3−2)一次元分布パラメータ推定ステップS232
(3−3)最大位置移動ステップS233
(4)微々調整ステップS24
1.マイクロチップ型光学測定装置
図1は、マイクロチップ型フローサイトメータとして構成された本技術に係るマイクロ
チップ型光学測定装置1(以下「フローサイトメータ1」とも称する)の構成を説明する
模式図である。また、図2及び図3は、フローサイトメータ1に搭載可能なマイクロチッ
プ2の一例を示す。図2Aは上面模式図、BはA中P−P断面に対応する断面模式図を示
す。また、図3は、マイクロチップ2のオリフィス21の構成を模式的に説明する図であ
り、Aは上面図、Bは断面図、Cは正面図を示す。図3Bは、図2A中P−P断面に対応
する。
(1)照射検出部
フローサイトメータ1は、マイクロチップ2にレーザLを照射する光源61と、レー
ザLの照射により発生する検出対象光を検出する検出器62とを含んでなる照射検出部
を備える。マイクロチップ2に対するレーザLの照射方向(レーザLの光軸)を図1
中Z軸正方向で示す。光源61は、LD、LEDなどであってよい。
レーザLは、マイクロチップ2のサンプル流路22を通流する細胞に照射される。検
出器62は、細胞によるレーザLの散乱光、及び、細胞又は細胞に標識された蛍光色素
がレーザLにより励起されて生じる蛍光を検出する。図1中、サンプル流路22を通流
する細胞から発生する蛍光を符合Fで示す。
照射検出部は、光源61から出射されたレーザLを細胞に導光して集光するための集
光レンズやダイクロイックミラー、バンドパスフィルター等からなる照射系を含む。また
、照射検出部は、レーザLの照射によって細胞から発生する検出対象光を集光して検出
器62に導光する検出系によって構成される。検出系は、例えば、PMT(photo multip
lier tube)や、CCDやCMOS素子等のエリア撮像素子などによって構成される。
照射検出部の検出系により検出される検出対象光は、レーザLの照射によって細胞か
ら発生する光であって、例えば、前方散乱光や側方散乱光、レイリー散乱やミー散乱等の
散乱光や蛍光などとすることができる。蛍光は、細胞又は細胞に標識された蛍光色素から
発生するものであってよい。これらの検出対象光は電気信号に変換され、細胞の光学特性
判定及び後述する光学位置の自動調整のために利用される。
(2)位置調整部
フローサイトメータ1は、照射検出部に対するマイクロチップ2の相対位置を変更する
位置調整部9を備える。位置調整部9は、マイクロチップ2の位置及び/又は照射検出部
の位置を、レーザLの光軸に対する垂直平面(XY平面)上で移動させる。これにより
、位置調整部9は、レーザLの光軸に対するマイクロチップ2の位置を調整して、レー
ザLがサンプル流路22内の細胞の通流位置に照射されるように最適化する。
位置調整部9は、マイクロチップ2の位置、又は、光源61及び検出器62を含む照射
検出部の位置の少なくとも一方を、X軸方向及びY軸方向に移動可能なものであればよい
。位置調整部9は、例えばステッピングモータなどにより構成される。なお、位置調整部
9は、照射検出部に対するマイクロチップ2の相対位置をZ軸方向(レーザLの焦点方
向)においても移動させるものであってよい。
(3)振動素子
フローサイトメータ1は、マイクロチップ2に形成されたオリフィス21に振動を印加
して、オリフィス21から排出される、細胞を含むサンプル液とシース液との層流を液滴
化して吐出させる振動素子3を備える。振動素子3は、例えばピエゾ素子とできる。吐出
された液滴は、流体ストリームSとなって図中矢印Y軸正方向に射出される。なお、フロ
ーサイトメータ1において、マイクロチップ2は交換可能に搭載されるものである。
フローサイトメータ1において、振動素子3は、マイクロチップ2と一体に構成された
ものであってもよく、搭載されたマイクロチップ2と接触可能なように装置側に配設され
たものであってもよい。
(4)荷電部
オリフィス21から吐出される液滴は、荷電部41によって正又は負の電荷を付与され
る。液滴のチャージは、荷電部41と電気的に接続され、マイクロチップ2に設けられた
サンプルインレット23に挿入されている電極42によって行われる。なお、電極42は
、マイクロチップ2のいずれかの箇所に、流路を送液されるサンプル液又はシース液に電
気的に接触するように挿入されていればよいものとする。
フローサイトメータ1では、振動素子3の駆動電圧の周波数と、荷電部41の電圧(チ
ャージ電圧)の切り換えタイミングと、を同期させることにより、オリフィス21から吐
出される液滴の一部にプラス又はマイナスのいずれかの電荷を付与する。一部の液滴は、
電荷を付与されず、チャージなしとされていてもよい。
(5)偏向板
さらに、フローサイトメータ1は、流体ストリームSを挟んで対向して配置された一対
の偏向板51,52を備える。偏向板51,52は、液滴に付与された電荷との間に作用
する電気的な力によって流体ストリームS中の各液滴の進行方向を変化させる。偏向板5
1,52は、通常使用される電極であってよい。図1中、偏光板51,52の対向方向を
X軸方向によって示す。
(6)回収容器
偏向板51,52の間を通過した流体ストリームは、回収容器81、回収容器82又は
回収容器83のいずれかに受け入れられる。例えば、偏向板51を正、偏向板52を負に
帯電させる場合、荷電部41により負にチャージされた液滴は回収容器82に、正にチャ
ージされた液滴は回収容器83にそれぞれ回収される。また、荷電部41によりチャージ
されていない液滴は、偏向板51,52からの電気的な作用力を受けずに真っ直ぐ飛行し
、回収容器81に回収される。フローサイトメータ1では、各液滴に含まれる細胞の特性
に応じて該液滴の進行方向を制御することで、所望の特性を有する目的細胞とそれ以外の
非目的細胞とを別々の回収容器に回収できる。
回収容器81,82,83は、実験用として汎用のプラスチック製チューブあるいはガ
ラス製チューブであってよい。これらの回収容器は、交換可能にフローサイトメータ1に
配置されるものであることが好ましい。また、回収容器のうち非目的細胞を受け入れるも
のには、回収した液滴の排液路を接続してもよい。なお、フローサイトメータ1において
、配置される回収容器の数は特に限定されないものとする。回収容器を3つよりも多く配
置する場合には、各液滴が、偏向板51,52との間の電気的な作用力の有無及びその大
小によっていずれか一つの回収容器に誘導され、回収されるようにする。
(7)制御部等
フローサイトメータ1は、上述の構成に加え、通常のフローサイトメータが備える、細
胞の光学特性判定のためのデータ解析部、サンプル液及びシース液を貯留するタンク部及
びこれらの各構成を制御するための制御部10などを備える。
制御部10は、CPU、メモリ及びハードディスクなどを備える汎用のコンピュータに
よって構成でき、ハードディスク内にはOSと次に説明する制御ステップを実行するプロ
グラムなどが格納されている。
制御部10は、予め設定された領域のうち、レーザLの照射によりマイクロチップか
ら発生する光の検出強度の積算値又は平均値がより大きくなる(好ましくは最大値となる
)位置であって、ばらつきが少なくなる位置への移動信号を位置調整部9に出力する。
(8)マイクロチップ
マイクロチップ2は、サンプル流路22が形成された基板層2a、2bが貼り合わされ
てなる。基板層2a、2bへのサンプル流路22の形成は、金型を用いた熱可塑性樹脂の
射出成形により行うことができる。熱可塑性樹脂には、ポリカーボネート、ポリメタクリ
ル酸メチル樹脂(PMMA)、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ
プロピレン及びポリジメチルシロキサン(PDMS)などの従来マイクロチップの材料と
して公知のプラスチックを採用できる。
サンプル液は、サンプルインレット23に導入され、シースインレット24に導入され
るシース液と合流して、サンプル流路22を送液される。シースインレット24から導入
されたシース液は、2方向に分かれて送液された後、サンプルインレット23から導入さ
れたサンプル液との合流部において、サンプル液を2方向から挟み込むようにしてサンプ
ル液に合流する。これにより、合流部において、シース液層流の中央にサンプル液層流が
位置された3次元層流が形成される。
符号25は、サンプル流路22に詰まりや気泡が生じた際に、サンプル流路22内に負
圧を加えて流れを一時的に逆流させて詰まりや気泡を解消するための吸引流路を示す。吸
引流路25の一端には、真空ポンプ等の負圧源に接続される吸引アウトレット251が形
成され、他端は連通口252においてサンプル流路22に接続している。
3次元層流は、送液方向に対する垂直断面の面積が送液方向上流から下流へ次第にある
いは段階的に小さくなるように形成された絞込部261(図2参照),262(図3参照
)において層流幅を絞り込まれる。その後、3次元層流は、流路の一端に設けられたオリ
フィス21から排出される。
サンプル流路22の絞込部261と絞込部262との間では、細胞の特性検出が行われ
る。照射検出部によって、サンプル流路22中を3次元層流の中心に一列に配列して送流
される細胞に対してレーザLが照射され、細胞から発生する蛍光F及び散乱光が検出
される(図2参照)。
サンプル流路22のオリフィス21への接続部は、直線状に形成されたストレート部2
7とされている。ストレート部27は、オリフィス21から流体ストリームSをY軸正方
向に真っ直ぐ射出するために機能する。
オリフィス21から排出される3次元層流は、振動素子31によりオリフィス21に印
加される振動によって液滴化され、流体ストリームSとして射出される(図1参照)。オ
リフィス21は基板層2a、2bの端面方向に開口しており、その開口位置と基板層端面
との間には切欠部211が設けられている。切欠部211は、オリフィス21の開口位置
と基板端面との間の基板層2a、2bを、切欠部221の径Lがオリフィス21の開口径
lよりも大きくなるように切り欠くことによって形成されている(図3C参照)。切欠部
211の径Lは、オリフィス21から吐出される液滴の移動を阻害しないように、オリフ
ィス21の開口径lよりも2倍以上大きく形成することが望ましい。
2.本技術の第1実施形態のマイクロチップ型光学測定装置における光学位置の最適化制

図4は、フローサイトメータ1におけるマイクロチップ2の光学位置の最適化のための
制御ステップを説明するフローチャートである。制御ステップは、「原点・基準点移動ス
テップS」、「信号取得ステップS」、「エリア平均値最大位置判定ステップS
、「エリア平均最大位置移動ステップS」、「信号取得ステップS」、「積算値最大
位置判定ステップS」、「変動係数判定ステップS」及び「位置最適化ステップS
」の手順を含む。以下、各手順について説明する。
(1)原点・基準点移動ステップS
ユーザにより分析の開始信号が入力されると、制御部10は位置調整部9へ移動信号を
出力し、位置調整部9が照射検出部に対するマイクロチップ2の相対位置を予め設定され
た初期位置(図5、原点Oを参照)に移動させる。相対位置が原点Oにあるとき、照射検
出部から出射されたレーザLはマイクロチップ2上の原点Oに照射される。相対位置の
変更は、マイクロチップ2の位置、又は、光源61及び検出器62を含む照射検出部の位
置の少なくとも一方を、X軸方向及びY軸方向に移動することによって行い得るが、以下
ではマイクロチップ2の位置を移動する場合を例に説明する。
次に、制御部10は、サンプル液及びシース液を貯留するタンク部のポンプを駆動して
、マイクロチップ2のサンプルインレット23及びシースインレット24へのサンプル液
及びシース液の送液を開始する。サンプル液には、キャリブレーション用のビーズが含ま
れていることが好ましい。さらに、制御部10は、振動素子3によるオリフィス21への
振動印加を開始する。これにより、オリフィス21から射出されるサンプル液及びシース
液の3次元層流が液滴化して吐出され、流体ストリームSが発生する。
サンプル液及びシース液の送液開始後、制御部10は、位置調整部9へ移動信号を出力
し、位置調整部9がマイクロチップ2の位置を原点Oから基準点Dに移動させる(図5
矢印参照)。照射検出部に対するマイクロチップ2の相対位置が基準点Dにあるとき、
照射検出部から出射されたレーザLはマイクロチップ2上の基準点Dに照射される。
基準点Dは、マイクロチップ2の細胞の特性検出が行われるべき位置(すなわち、以
下に説明するステップにより決定される最適位置)の近傍に予め設定される。より具体的
には、基準点Dは、サンプル流路22の絞込部261と絞込部262との間(図3参照
)の近傍とされる。
(2)信号取得ステップS
本ステップSでは、照射検出部により、基準点Dを含むマイクロチップ2上の複数
の位置から発生する蛍光又は散乱光(以下、単に「蛍光」と称する)の検出が行われる。
本ステップSにおいて、蛍光の検出が行われるマイクロチップ2上の位置を図5中符号
Dにより示す。図では、基準点Dを含めて24箇所の検出位置Dを設定し、X軸方向の
配列数Mを8列、Z軸方向の配列数Nを3列に配列した検出位置Dからの蛍光を検出
する場合を例に示した。
検出位置Dが設定される領域にはサンプル流路22が含まれるようにされ、この限りに
おいて検出位置Dの数及び配列態様は特に限定されず任意に設定される。検出位置Dは、
図に示すようにX軸方向及びZ軸方向に格子状に配列されることが好ましい。この場合、
検出位置DのX軸方向及びZ軸方向の配列間隔W及びHは、サンプル流路22の流路幅(
流路径)とX軸方向及びZ軸方向における検出位置Dの配列数M,Nに応じて適宜設
定され得る。サンプル流路22の流路幅が70〜100μm程度であり、8,Nが3で
ある場合、配列間隔W及びHは、例えばそれぞれ25、75μmに設定される。
蛍光の検出は、一つの検出位置Dについて一定時間行われる。一定時間に検出された蛍
光は積算されて電気信号に変換され制御部10に出力される。蛍光の検出は、レーザL
をX軸方向及びZ軸方向に走査して各検出位置Dに順次照射して、発生する蛍光を検出す
ることによって行い得る。あるいは、レーザLの照射により各検出位置Dから蛍光をエ
リア撮像素子によって一括検出してもよい。
(3)エリア平均値最大位置判定ステップS
本ステップSでは、制御部10は、各検出位置Dについて検出強度の積算値のエリア
平均を算出し、エリア平均がより大きくなる検出位置D、好ましくは最大値となる検出位
置Dを自動判定する。
「エリア平均」とは、一つの検出位置Dと、それから所定の距離範囲内にある複数の検
出位置Dと、で得られた検出強度の積算値の平均を意味する。図5では、エリア平均を、
一つの検出位置Dと、検出位置DからX軸方向に2W、Z軸方向に2Hの距離範囲内
にある検出位置D〜Dと、で得られた検出強度の積算値の平均とする場合を示した。
一つの検出位置Dからどれくらいの距離範囲内をエリア平均として設定するかは、サン
プル流路22の流路幅(流路径)、配列間隔W及びHに応じて適宜決定され得るものとす
る。
制御部10は、各検出位置Dについて算出されたエリア平均を比較し、エリア平均がよ
り大きくなる検出位置D、好ましくは最大値となる検出位置Dを決定する。ここでは、検
出位置Dにおいてエリア平均が最大値となるものとして説明する。
蛍光はキャリブレーションビーズ又は細胞が通流されるサンプル流路22で強く発生す
るため、エリア平均が最大値となる検出位置D〜Dを結んで形成される領域R内に
は、サンプル流路22が位置するものとみなし得る。
(4)エリア平均最大位置移動ステップS
エリア平均が最大値となる検出位置Dが特定されると、制御部10は、位置調整部9
へ移動信号を出力し、位置調整部9がマイクロチップ2の位置を基準点Dから検出位置
に移動させる(図6矢印参照)。
(5)信号取得ステップS
本ステップSでは、照射検出部により、エリア平均が最大値となる領域R内の複数
の位置から発生する蛍光の検出が行われる。本ステップSにおける蛍光の検出位置Dを
図6の拡大図中に示す。図では、エリア平均が最大値となる検出位置Dを含めてX軸方
向にM列、Z軸方向にN列配列した(M×N)の検出位置Dから蛍光を検出する
場合を例に示した。
検出位置DのX軸方向及びZ軸方向の配列間隔w及びhは、サンプル流路22の流路幅
(流路径)とX軸方向及びZ軸方向における配列数M及びNに応じて適宜設定され得
る。配列数配M,Nは、例えばそれぞれ11、7個とされる。列間隔w及びhは、例
えばそれぞれ5、25μmに設定される。なお、本ステップSにおいても、検出位置D
の数及び配列態様は特に限定されないものとする。
蛍光の検出は、一つの検出位置Dについて一定時間行われる。一定時間に検出された蛍
光は電気信号に変換され制御部10に出力される。蛍光の検出は、レーザLをX軸方向
及びZ軸方向に走査して各検出位置Dに順次走査し、発生する蛍光を検出する。あるいは
、エリア撮像素子によって、レーザLの照射により各検出位置Dから蛍光を一括検出し
てもよい。
(6)積算値最大位置判定ステップS
本ステップSでは、制御部10は、各検出位置Dについて、検出強度の積算値又は平
均値のどちらか一方又は両方と、それらの変動係数(CV値)とを算出する。以下では、
検出強度の積算値とそのCV値とを用いた処理を例に説明する。
制御部10は、各検出位置Dについて算出された検出強度の積算値を比較し、積算値が
より大きくなる検出位置D、好ましくは最大値となる検出位置D(第一の最適位置)を決
定する。ここでは、検出位置D11において積算値が最大値となるものとして説明する(
図6参照)。
(7)変動係数判定ステップS
次に、制御部10は、積算値が最大値となる検出位置D11と隣接する検出位置D12
〜D19との間でCV値を比較し、検出位置D11に比してより小さいCV値を与える検
出位置D(第二の最適位置)の存在の有無を自動判定する(図7参照)。
(8)位置最適化ステップS
ステップSにおいて、積算値が最大値となる検出位置D11に比してより小さいCV
値を与える検出位置Dが、検出位置D11と隣接する検出位置D12〜D19のいずれに
もみつからなった場合、制御部10は、マイクロチップ2の位置を検出位置Dから検出
位置D11に移動させる。このとき、積算値が最大値となる検出位置(第一の最適位置)
とCV値が最小値となる検出位置(第二の最適位置)はいずれも検出位置D11で一致し
ている。
また、ステップSにおいて、検出位置D12〜D19のいずれかに検出位置D11
比してより小さいCV値を与える検出位置Dがみつかった場合、制御部10は、マイクロ
チップ2の位置を検出位置Dから当該検出位置D(例えば検出位置D18)に移動させ
る。このとき、積算値が最大値となる検出位置(第一の最適位置)とCV値が最小値とな
る検出位置(第二の最適位置)は不一致である。
積算値が最大値となる検出位置D11は、蛍光が最も強く発生する位置であり、サンプ
ル流路22のキャリブレーションビーズ又は細胞の通流位置とみなすことができる。すな
わち、照射検出部に対するマイクロチップ2の相対位置が検出位置D11にあるとき、照
射検出部から出射されたレーザLはサンプル流路22のキャリブレーションビーズ等の
通流位置に照射されることとなる。
例外的に、積算値が最大値となる検出位置D11が、サンプル流路22のキャリブレー
ションビーズ等の通流位置ではないにもかからず、蛍光強度の積算値が最大値となる場合
がある。例えば、検出位置D11がマイクロ流路22の流路壁に一致する場合には、蛍光
の反射や散乱などによって異常に高い蛍光強度が散発的に検出されてしまう場合がある。
この場合、当該位置において検出される蛍光強度にばらつきが生じ、蛍光強度の積算値の
CV値が大きくなる。
検出位置D11がマイクロ流路22の流路壁に一致する場合などでは、検出位置D11
と隣接する検出位置のうちより小さなCV値を与える検出位置D18が、サンプル流路2
2のキャリブレーションビーズ等の通流位置とみなすことができる。すなわち、照射検出
部に対するマイクロチップ2の相対位置が検出位置D18にあるとき、照射検出部から出
射されたレーザLはサンプル流路22のキャリブレーションビーズ等の通流位置に照射
されることとなる。
以上のように、フローサイトメータ1では、レーザLの照射によりマイクロチップ2
から発生する蛍光の検出強度の積算値あるいは平均値がより大きくなる位置又はCV値が
より小さくなる位置に、レーザLに対するマイクロチップ2の相対位置を設定する。こ
れにより、フローサイトメータ1では、マイクロチップ2のサンプル流路22の細胞の通
流位置と、レーザLの光軸と、を自動で高精度に位置決めし、簡便に高精度な測定を行
うことが可能とされている。
また、フローサイトメータ1では、蛍光検出強度の積算値のエリア平均がより大きくな
る位置を特定する粗調整(ステップS・S)と、エリア平均がより大きくなる領域内
において積算値あるいは平均値がより大きくなる位置又はCV値がより小さくなる位置を
特定する微調整(ステップS〜S)との2段階の手順によって、マイクロチップ2の
光学位置を最適化している。これにより、マイクロチップ2の光学位置の最適化を小さい
処理負荷で迅速に行うことが可能とされている。
3.本技術の第2実施形態のマイクロチップ型光学測定装置における光学位置の最適化制

図8は、フローサイトメータ1における光学位置の最適化のための第2実施形態の制御
ステップを説明するためのフローチャートである。本実施形態の制御ステップは、「原点
・基準点移動ステップS」、「粗調整ステップS21」、「第1微調整ステップS22
」、「第2微調整ステップS23」及び「微々調整ステップS24」の手順を含む。以下
、各手順について説明する。なお、原点・基準点移動ステップSは、第1実施形態の原
点・基準点移動ステップSと比べ、基準点D(図5再参照)が後述する図9に示す基
準点Pに相当すること以外は、実質的に同様の工程であるため、ここではその説明は省
略する。
(1)粗調整ステップS21
図9は、本実施形態の粗調整ステップS21における制御を説明するための図である。
粗調整ステップS21は、「格子状信号取得ステップS211」、「二次元分布パラメ
ータ推定ステップS212」、「最大位置移動ステップS213」の手順を含む。以下、
各手順について説明する。
(1−1)格子状信号取得ステップS211
本ステップS211では、照射検出部により、予め設定された複数の検出位置D21
らの蛍光の検出が行われる(図9A参照)。本ステップS211において、蛍光の検出が
行われるマイクロチップ2上の位置を図9A中符号D21により示す。図9Aでは、基準
点Pを中心として、X軸方向に6列、Z軸方向に7列に配列した検出位置D21からの
蛍光を検出する場合を例に示した。
検出位置D21が設定される領域にはサンプル流路22が含まれるようにされ、この限
りにおいて検出D21の数及び配列態様は特に限定されず任意に設定される。検出位置D
21は、図9Aに示すようにX軸方向及びZ軸方向に格子状に配列されることが好ましい
。この場合、検出位置D21のX軸方向及びZ軸方向の配列間隔W及びHは、サンプ
ル流路22の流路幅(流路径)とX軸方向及びZ軸方向における検出位置D21の配列数
、Nに応じて適宜設定され得る。配列間隔W及びHは、例えばそれぞれ62.
5、125μmに設定される。蛍光の検出については、第1の実施形態の信号取得ステッ
プSと実質的に同様にして行われる。
(1−2)二次元分布パラメータ推定ステップS212
本ステップS212では、制御部10は、各検出位置D21と蛍光の検出強度の積算値
又は平均値の関係が、二次元の確率分布に従うと仮定する。そして、ステップS211
おいて取得される検出位置及び検出強度と、照射位置及び照射強度の関係を表すレーザの
照射プロファイルとについて、各検出位置における検出強度は、対応する照射位置におけ
る照射強度と相関関係を有する。そのため、仮定される確率分布は、レーザの照射プロフ
ァイルに応じて選択することが好ましい。
例えば、照射プロファイルが、後述する図10Aに示すようなトップハットビーム形状
である場合には、制御部10は確率分布モデルとして一様分布を仮定することができる。
一方、照射プロファイルが、後述する図10Bに示すようなガウシアンビーム形状の場合
には、確率分布モデルとして正規分布を仮定することができる。このように、確率分布を
レーザの照射プロファイルに応じて選択することで、装置のレーザの光学特性に応じて高
速かつ高精度に光学位置を調整することができる。
また、制御部10は、各検出位置D21と蛍光の検出強度の積算値又は平均値の関係が
二次元の確率分布に従うと仮定するとき、確率分布における分布パラメータを確率統計情
報に基づいて、確率統計的手法により推定する。例えば、制御部10は、各積算値又は平
均値について、最尤推定法により分布パラメータ(平均(分布の中心位置)や分散(分布
の広がり)等)を推定することができる。
この最尤推定法では、検出強度と検出位置との関係を二次元正規分布にあると推定する
場合、制御部10に予め記憶された確率分布モデルに基づいて、二次元正規分布の中心位
置(検出強度が最大である位置)がどの位置にあるときに、尤度が最大化するかを推定す
ることができる。この最尤推定法によれば、検出強度のデータが少ない場合であっても、
精度よく検出強度が最大となる位置(レーザLの光軸中心位置)を推定することができ
る。
(1−3)最大位置移動ステップS213
本ステップS213では、制御部10は、確率分布推定ステップS212で推定された
確率分布において、検出強度の積算値又は平均値がより大きな、好ましくは最大値となる
位置Pへの移動信号を位置調整部9に出力する。これにより、図9Cに示すように、位
置調整部9は、マイクロチップ2の位置を基準点Pから位置Pに移動させる。
ここで、図10を参照しながら最大位置の算出方法について説明する。図10は二次元
の確率分布を一方向から見た状態を示す図である。図10Aでは、トップハット分布(一
様分布)を示す。確率分布をトップハット分布と推定する場合、図10A中のエッジE1
とエッジE2の中心位置を検出強度が最大の位置と制御部10は判定する。
一方、図10Bでは、ガウシアン分布を示す。確率分布をガウシアン分布と推定する場
合、図10Bに示すように、検出強度の積算値又は平均値の極大値bを有する位置を傾き
が0の位置(傾きa)とすることができる。フローサイトメータ1では、レーザの光学プ
ロファイルがガウシアン分布であることが好ましく、この場合、複数の検出強度の積算値
又は平均値の分布をガウシアン分布とすることができる。
このように、粗調整ステップS21では、複数の検出位置D21における光の検出強度
の積算値又は平均値を特定の二次元の確率分布と推定し、該確率分布において、より大き
な、好ましくは最大値を有する位置にマイクロチップ2を移動させることができる。
以上のように、本実施形態の光学位置調整方法によれば、各検出位置D21の検出強度
の確率分布を推定することで、検出位置D21の数を増やさずに、マイクロチップ2の位
置調整の精度を向上させることができる。
(2)第1微調整ステップS22
図11は、本実施形態の第1微調整ステップS22における制御を説明するための図で
ある。第1微調整ステップS22は、「直線状信号取得ステップS221」、「一次元分
布パラメータ推定ステップS222」及び「最大位置移動ステップS223」の手順を含
む。以下、各手順について説明する。
(2−1)直線状信号取得ステップS221
本ステップS221では、粗調整ステップS21で設定された位置Pを中心にして、
X軸方向に配列した複数の検出位置d22からの蛍光の検出が行われる(図11A)。検
出される間隔W22及び検出位置d22の配列数は適宜設定され得る。図11Aでは、位
置Pを中心として、X軸方向に検出位置d22が19個配列される場合を例に示した。
蛍光の検出については、第1の実施形態の信号取得ステップSと実質的に同様にして行
われる。
(2−2)一次元分布パラメータ推定ステップS222
本ステップS222では、制御部10は、各検出位置d22と蛍光の検出強度の積算値
又は平均値の関係がメモリ等に記憶された一次元の分布に従うと仮定する。例えば、図1
1Bに示す検出強度のデータが得られた場合には、制御部10は、一次元の分布をN次多
項式モデルとし、最小二乗法に基づいて最大値を算出することができる。一次元の分布を
正規分布とするよりも、N次多項式モデルとすることで、このフローサイトメータ1を構
成する各部品の設計ばらつき等による光学プロファイルの分布のばらつきに精度よく対応
させることができる。
ここで、分布をN次多項式モデルとする場合、次数については、高い程精度が上がる一
方で、高すぎると各検出位置d22の検出強度の誤差による影響を受けやすくなるため、
例えば、4次とすることが好ましい。
(2−3)最大位値移動ステップS223
本ステップS223では、制御部10は、一次元パラメータ推定ステップS222で仮
定された一次元の分布において、検出強度の積算値又は平均値がより大きな、好ましくは
最大値となる位置Pへの移動信号を位置調整部9に出力する。これにより、図11Cに
示すように、位置調整部9は、マイクロチップ2の位置を位置Pから位置Pに移動さ
せる。なお、図11Cに示す位置Pは、検出位置d22上にある場合を例に示したが、
位置Pは、2つの検出位置d22の間にあってもよい。
このように、第1微調整ステップS22では、粗調整ステップS21で調整されたマイ
クロチップ2の位置をより精度よく調整することができる。特に、マイクロチップ2の位
置調整は、一方向に配列した検出位置d22の検出強度に基づいて行われる。そのため、
複数方向に、例えば、格子状に配列した検出位置の強度に基づいて位置調整を行うよりも
、検出するデータ数を少なくすることができる。従って、検出位置d22の間隔を狭くす
ることで、配列数を増やし、データの精度を上げても、二次元でデータを取得する場合と
比較してデータ検出時間の増大を抑制することができる。
(3)第2微調整ステップS23
図12は、本実施形態の第2微調整ステップS23における制御を説明するための図で
ある。第2微調整ステップS23は、「直線状信号取得ステップS231」、「一次元パ
ラメータ推定ステップS232」及び「最大位置移動ステップS233」の手順を含む。
図12A〜Cに示すように、本ステップS23における制御は、図11A〜Cを参照しながら説明した第1微調整ステップS22における制御と比べ、X軸方向に配列した検出位置d22の検出強度に基づいて位置P1からP2にマイクロチップ2をX軸方向に移動させる代わりに、位置P2を中心に軸方向に配列した検出位置d23の検出強度に基づいて位置P2からP3にマイクロチップ2を軸方向に移動させる点以外は、実質的に同様である。そのため、ここでは、その説明は省略する。

ここで、第1微調整ステップS22では、X軸方向(マイクロチップ2の流れ幅方向)
で位置調整をし、第2微調整ステップS23では、Z軸方向(レーザL1の焦点方向)で
位置調整をする。このZ軸方向はX軸方向と比較して光学プロファイルの広がりがより大
きい(広い範囲で蛍光の検出強度が大きい)ため、上述した粗調整ステップS21で行わ
れる処理により、X軸方向よりもZ軸方向の位置調整が精度良く行われている可能性が高
い。そのため、粗調整ステップS21でより精度良く位置調整が行われたZ軸方向をまず
固定してから、X軸方向のマイクロチップ2の位置調整を行うことが好ましい。従って、
第1微調整ステップS21と、第2微調整ステップS22とは、この順で行われることが
好ましい。
第2微調整ステップS23では、第1微調整S22で微調整した方向とは異なる方向に
マイクロチップ2の位置を調整することで、より精度良く位置合わせすることができる。
(4)微々調整ステップS24
図13は、本実施形態の第2微調整ステップS23における制御を説明するための図で
ある。微々調整ステップS24は、「信号取得ステップS241」、「積算値最大位置判
定ステップS」、「変動係数判定ステップS」及び「位置最適化ステップS」の手
順を含む。
図13Aに示すように、まず、信号取得ステップS241では、第2微調整ステップS
23で設定された位置Pを中心に複数の検出位置d24において蛍光の検出が行われる
。図13Aでは、X軸方向の配列数Mを11列、Z軸方向の配列数Nを3列にする場
合を例に示した。蛍光の検出については、第1の実施形態の信号取得ステップSと実質
的に同様にして行われる。
次に、信号取得ステップS241で蛍光の検出がされた後、積算値最大位置判定ステッ
プS、変動係数判定ステップS、位置最適化ステップSは、実質的に第1の実施形
態の制御ステップにおける、積算値最大位置判定ステップS、変動係数判定ステップS
、位置最適化ステップSと同様にして行われる(図13B、図13Cも参照)。
このようにして、マイクロチップ2はより最適な位置に移動される(図13C中、P
からPへの移動)。
なお、本実施形態では、「粗調整ステップS21」、「第1微調整ステップS22」、
「第2微調整ステップS23」及び「微々調整ステップS24」の順に各工程を説明した
が、例えば、「粗調整ステップS21」、「第1微調整ステップS22」及び「第2微調
整ステップS23」を複数回繰り返し行ってもよい。また、「粗調整ステップS21」、
「第1微調整ステップS22」及び「第2微調整ステップS23」のみを1又は複数回行
い、「微々調整ステップS24」を省略してもよい。
以上のように、本実施形態の光学位置調整方法によれば、各検出位置と検出強度の関係
が特定の確率分布モデルに従うと仮定し、その分布パラメータを確率統計的手法に基づき
推定することで、検出位置の数を増やさずに、短時間の処理でマイクロチップ2の位置を
精度良く調整することができる。
本技術に係るマイクロチップ型光学測定装置には、微小粒子測定装置(フローサイトメ
ータ)以外にも、マイクロチップに形成された領域に導入された測定対象物を光学的に測
定する装置が広く含まれるものとする。また、本技術に係る光学位置調整方法は、微小粒
子測定装置(フローサイトメータ)以外にも、マイクロチップに形成された領域に導入さ
れた測定対象物を光学的に測定する装置全般に広く適用できるものとする。
本技術に係るマイクロチップ型光学測定装置は以下のような構成もとることができる。
(1)マイクロチップにレーザを照射して発生する光を検出する照射検出部と、
該照射検出部に対する前記マイクロチップの相対位置を変更する位置調整部と、
予め設定された領域において前記光の検出強度の積算値又は平均値が大きくなる位置へ
の移動信号を前記位置調整部に出力する制御部と、を備えるマイクロチップ型光学測定装
置。
(2)前記制御部は、前記光の検出位置と前記光の検出強度の積算値又は平均値の関係が
、予め記憶された確率分布に従うと仮定し、該確率分布における分布パラメータを予め記
憶された確率統計的手法に基づいて推定することで、該推定により前記光の検出強度の積
算値又は平均値が最大となる位置への移動信号を生成する前記(1)記載のマイクロチッ
プ型光学測定装置。
(3)前記制御部は、前記レーザの照射プロファイルに応じて前記確率分布を仮定する前
記(2)記載のマイクロチップ型光学測定装置。
(4)前記制御部は、予め設定された複数点において前記光の検出強度の積算値又は平均
値の変動係数が最小となる位置への移動信号を前記位置調整部に出力する前記(1)〜(
3)のいずれかひとつに記載のマイクロチップ型光学測定装置。
(5)前記制御部は、予め設定された複数のエリア内で前記検出強度の積算値のエリア平
均が最大となるエリアへの移動信号を前記位置調整部に出力する前記(4)記載のマイク
ロチップ型微小粒子分取装置。
(6)前記制御部は、前記予め設定された複数点において前記検出強度の積算値が最大と
なる位置への移動信号を前記位置調整部に出力する前記(5)記載のマイクロチップ型光
学測定装置。
(7)前記制御部は、前記エリア平均が最大となるエリア内において前記検出強度の積算
値が最大となる第一の最適位置、又は前記エリア平均が最大となるエリア内において前記
変動係数が最小となる第二の最適位置への移動信号を前記位置調整部に出力する前記(6
)記載のマイクロチップ型光学測定装置。
(8)前記制御部は、前記第一の最適位置と前記第二の最適位置が異なる場合に、前記第
二の最適位置への移動信号を前記位置調整部に出力する上記(7)記載のマイクロチップ
型微小粒子分取装置。
(9)マイクロチップ型微小粒子測定装置である上記(1)〜(8)記載のマイクロチッ
プ型光学測定装置。
また、本技術に係るマイクロチップ型光学測定装置における光学位置調整方法以下のよ
うな構成もとることができる。
(1)レーザ照射によりマイクロチップから発生する光をマイクロチップ上の複数の位置
から検出する手順と、
予め設定された複数点が存在する領域のうち前記光の検出強度の積算値又は平均値が最
大となる位置を特定する手順と、を含む光学位置調整方法。
(2)前記位置を特定する手順では、前記光の検出位置と前記光の検出強度の積算値又は
平均値の関係が予め記憶された確率分布に従うと仮定し、該確率分布における分布パラメ
ータを予め記憶された確率統計的手法に基づいて推定することで、該推定により前記光の
検出強度の積算値又は平均値が最大となる位置を特定する前記(1)記載の光学位置調整
方法。
(3)前記位置を特定する手順では、前記確率分布を二次元分布とする前記(2)記載の
光学位置調整方法。
(4)前記確率分布により前記光の検出強度の積算値又は平均値が最大となると推定され
た位置から所定の位置までの前記光の検出強度の積算値又は平均値の関係が一次元の分布
に従うと仮定し、該一次元の分布により前記光の検出強度の積算値又は平均値が最大とな
る位置を特定する手順を含む前記(3)記載の光学位置調整方法。
(5)前記位置を特定する手順では、前記位置を、予め設定された複数点において前記光
の検出強度の積算値又は平均値の変動係数が最小となる位置とする前記(1)〜(4)の
いずれか1つに記載の光学位置調整方法。
(6)予め設定された複数のエリア内で前記光の検出強度の積算値のエリア平均が最大と
なる位置を特定する手順を含む前記(5)記載の光学位置調整方法。
(7)前記エリア平均が最大となるエリア内において前記検出強度の積算値が最大となる
第一の最適位置を特定する手順を含む前記(6)記載の光学位置調整方法。
(8)前記変動係数が最小となる位置を特定する前記手順は、前記エリア平均が最大とな
るエリア内において前記変動係数が最小となる第二の最適位置を特定する手順である前記
(7)記載の光学位置調整方法。
(9)前記レーザに対する前記マイクロチップの相対位置を、前記第一の最適位置又は前
記第二の最適位置に設定する手順を含む前記(8)記載の光学位置調整方法。
(10)前記第一の最適位置と前記第二の最適位置が異なる場合に、前記相対位置を前記
第二の最適位置に設定する前記(9)記載の光学位置調整方法。
(11)レーザ照射によりマイクロチップから発生する光をマイクロチップ上の複数の位
置から検出する手順と、
前記光の検出強度の積算値のエリア平均がより大きくなる位置を特定する手順と、
前記エリア平均がより大きくなるエリア内において前記検出強度の積算値又は平均値が
より大きくなる第一の最適位置を特定する手順と、
前記エリア平均がより大きくなるエリア内において前記検出強度の積算値又は平均値の
変動係数がより小さくなる第二の最適位置を特定する手順と、
前記レーザに対する前記マイクロチップの相対位置を、前記第一の最適位置又は前記第
二の最適位置に設定する手順と、を含むマイクロチップ型光学測定装置における光学位置
調整方法。
また、本技術は、マイクロチップにレーザを照射して発生する光を検出する照射検出部
と、該照射検出部に対する前記マイクロチップの相対位置を変更する位置調整部と、予め
設定された領域において前記光の検出強度の積算値又は平均値が大きくなる位置への移動
信号を前記位置調整部に出力する制御部と、を備えるマイクロチップ型光学測定装置を提
供する。
このマイクロチップ型光学測定装置において、前記制御部は、前記検出位置と前記光の
検出強度の積算値又は平均値の関係が、予め記憶された確率分布に従うと仮定し、該確率
分布における分布パラメータを確率統計的手法に基づいて推定することで、該推定により
前記光の検出強度の積算値又は平均値が最大となる位置への移動信号を生成してもよい。
前記制御部は、前記レーザの照射プロファイルに応じて前記確率分布を選択してもよい。
また、前記制御部は、予め設定された複数点において前記光の検出強度の積算値又は平
均値の変動係数が最小となる位置への移動信号を前記位置調整部に出力してもよい。
また、前記制御部は、予め設定された複数のエリア内で前記検出強度の積算値のエリア
平均が最大となるエリアへの移動信号を前記位置調整部に出力してもよい。 また、前
記制御部は、前記予め設定された複数点において前記検出強度の積算値が最大となる位置
への移動信号を前記位置調整部に出力してもよい。
また、前記制御部は、前記エリア平均が最大となるエリア内において前記検出強度の積
算値が最大となる第一の最適位置、又は前記エリア平均が最大となるエリア内において前
記変動係数が最小となる第二の最適位置への移動信号を前記位置調整部に出力してもよい

また、前記制御部は、前記第一の最適位置と前記第二の最適位置が異なる場合に、前記
第二の最適位置への移動信号を前記位置調整部に出力してもよい。
このマイクロチップ型光学測定装置は、マイクロチップ型微小粒子測定装置として構成
できる。
また、本技術は、レーザ照射によりマイクロチップから発生する光をマイクロチップ上
の複数の位置から検出する手順と、予め設定された領域のうち前記光の検出強度の積算値
又は平均値が最大となる位置を特定する手順と、を含む光学位置調整方法を提供する。
前記位置を特定する手順では、前記検出位置と前記光の検出強度の積算値又は平均値の
関係が予め記憶された確率分布に従うと仮定し、該確率分布における分布パラメータを確
率統計的手法に基づいて推定することで、該推定により前記光の検出強度の積算値又は平
均値が最大となる位置を特定してもよい。
また、この光学位置調整方法は、前記確率分布により前記光の検出強度の積算値又は平
均値が最大となると推定された位置から所定の位置までの前記光の検出強度の積算値又は
平均値を一次元の分布であると仮定し、該一次元の分布により前記光の検出強度の積算値
又は平均値が最大となる位置を特定する手順を含んでいてもよい。
また、前記位置を特定する手順では、前記位置を、予め設定された複数点において前記
光の検出強度の積算値又は平均値の変動係数が最小となる位置としてもよい。 また、
この光学位置調整方法は、予め設定された複数のエリア内で前記光の検出強度の積算値の
エリア平均が最大となる位置を特定する手順を含んでいてもよい。
また、この光学位置調整方法は、前記エリア平均が最大となるエリア内において前記検
出強度の積算値が最大となる第一の最適位置を特定する手順を含んでいてもよい。
また、前記変動係数が最小となる位置を特定する前記手順は、前記エリア平均が最大と
なるエリア内において前記変動係数が最小となる第二の最適位置を特定する手順であって
もよい。
また、この光学位置調整方法は、前記レーザに対する前記マイクロチップの相対位置を
、前記第一の最適位置又は前記第二の最適位置に設定する手順を含んでいてもよい。
更に、本技術は、レーザ照射によりマイクロチップから発生する光をマイクロチップ上
の複数の位置から検出する手順と、前記光の検出強度の積算値のエリア平均がより大きく
なる位置を特定する手順と、前記エリア平均がより大きくなるエリア内において前記検出
強度の積算値又は平均値がより大きくなる第一の最適位置を特定する手順と、前記エリア
平均がより大きくなるエリア内において前記検出強度の積算値又は平均値の変動係数がよ
り小さくなる第二の最適位置を特定する手順と、前記レーザに対する前記マイクロチップ
の相対位置を、前記第一の最適位置又は前記第二の最適位置に設定する手順と、を含むマ
イクロチップ型光学測定装置における光学位置調整方法も提供する。
例えば、本技術に係る装置及び方法は、以下のような構成もとることができる。
(1)マイクロチップにレーザを照射して発生する光を検出する照射検出部と、
該照射検出部に対する前記マイクロチップの相対位置を変更する位置調整部と、
前記光の検出強度の積算値又は平均値が大きくなる検出位置への移動信号を前記位置調
整部に出力する制御部と、を備え、
前記位置調整部は、前記マイクロチップの位置及び/又は前記照射検出部の位置を、少
なくとも光軸に対して垂直一方向及び焦点方向に移動可能であり、
前記照射検出部は、前記位置調整部により調整された複数の検出位置にてそれぞれ光を
検出し、
前記複数の検出位置は、光軸に対して垂直一方向及び焦点方向に格子状に配列した検出
位置である
マイクロチップ型光学測定装置。
(2)前記制御部が、複数の検出位置において取得された光の検出強度の積算値又は平均
値に基づき、エリア平均が最大となる領域を決定し、前記領域内の複数の検出位置で行わ
れた光の検出強度の積算値に基づき、最適位置を決定する、前記(1)記載のマイクロチ
ップ型光学測定装置。
(3)前記制御部は、前記光の検出位置と前記光の検出強度の積算値又は平均値の関係が
予め記憶された確率分布に従うと仮定し、該確率分布における分布パラメータを確率統計
的手法に基づいて推定することで、該推定により前記光の検出強度の積算値又は平均値が
最大となる位置への移動信号を生成する前記(1)又は(2)記載のマイクロチップ型光
学測定装置。
(4)前記制御部は、前記レーザの照射プロファイルに応じて前記確率分布を選択する前
記(3)記載のマイクロチップ型光学測定装置。
(5)前記制御部は、予め設定された複数点において前記光の検出強度の積算値又は平均
値の変動係数が最小となる位置への移動信号を前記位置調整部に出力する前記(1)〜(
4)のいずれか1つに記載のマイクロチップ型光学測定装置。
(6)前記制御部は、予め設定された複数のエリア内で前記検出強度の積算値のエリア平
均が最大となるエリアへの移動信号を前記位置調整部に出力する前記(5)記載のマイク
ロチップ型光学測定装置。
(7)前記制御部は、前記予め設定された複数点において前記検出強度の積算値が最大と
なる位置への移動信号を前記位置調整部に出力する前記(6)記載のマイクロチップ型光
学測定装置。
(8)前記制御部は、前記エリア平均が最大となるエリア内において前記検出強度の積算
値が最大となる第一の最適位置、又は前記エリア平均が最大となるエリア内において前記
変動係数が最小となる第二の最適位置への移動信号を前記位置調整部に出力する前記(7
)記載のマイクロチップ型光学測定装置。
(9)前記制御部は、前記第一の最適位置と前記第二の最適位置が異なる場合に、前記第
二の最適位置への移動信号を前記位置調整部に出力する前記(8)記載のマイクロチップ
型光学測定装置。
(10)マイクロチップ型微小粒子測定装置である前記(1)〜(9)のいずれか1つに
記載のマイクロチップ型光学測定装置。
(11)照射検出部にてレーザ照射によるマイクロチップから発生する光を検出する手順
と、
前記光の検出強度の積算値又は平均値が大きくなる検出位置を特定する手順と、
前記検出位置に応じて前記照射検出部に対する前記マイクロチップの相対位置を変更す
る手順と、
を含み、
前記検出する手順では、マイクロチップの位置及び/又は照射検出部の位置を、少なく
とも光軸に対して垂直一方向及び焦点方向に移動させることにより調整された複数の検出
位置にてそれぞれ光を検出し、
前記複数の検出位置は、光軸に対して垂直一方向及び焦点方向に格子状に配列した検出
位置である
マイクロチップ型光学測定装置における光学位置調整方法。
(12)前記検出位置を特定する手順では、前記複数の検出位置において取得された光の
検出強度の積算値又は平均値に基づき、エリア平均が最大となる領域を決定し、前記領域
内の複数の検出位置で行われた光の検出強度の積算値に基づき、最適位置を決定する、前
記(11)記載の光学位置調整方法。
(13)前記検出位置を特定する手順では、前記光の検出位置と前記光の検出強度の積算
値又は平均値の関係が予め記憶された確率分布に従うと仮定し、該確率分布における分布
パラメータを確率統計的手法に基づいて推定することで、該推定により前記光の検出強度
の積算値又は平均値が最大となる位置を特定する前記(11)又は(12)に記載の光学
位置調整方法。
(14)前記検出位置を特定する手順では、前記確率分布を二次元分布とする前記(13
)記載の光学位置調整方法。
(15)前記確率分布により前記光の検出強度の積算値又は平均値が最大となると推定さ
れた位置から所定の位置までの前記光の検出強度の積算値又は平均値の関係が予め記憶さ
れた一次元の確率分布に従うと仮定し、該確率分布における分布パラメータを確率統計的
手法に基づいて推定することで、該推定により前記光の検出強度の積算値又は平均値が最
大となる位置を特定する手順を含む前記(14)記載の光学位置調整方法。
(16)前記検出位置を特定する手順では、前記位置を、予め設定された複数点において
前記光の検出強度の積算値又は平均値の変動係数が最小となる位置とする前記(11)〜
(15)のいずれか1つに記載の光学位置調整方法。
(17)予め設定された複数のエリア内で前記光の検出強度の積算値のエリア平均が最大
となる位置を特定する手順を含む前記(16)記載の光学位置調整方法。
(18)前記エリア平均が最大となるエリア内において前記検出強度の積算値が最大とな
る第一の最適位置を特定する手順を含む前記(17)記載の光学位置調整方法。
(19)前記変動係数が最小となる位置を特定する前記手順は、前記エリア平均が最大と
なるエリア内において前記変動係数が最小となる第二の最適位置を特定する手順である前
記(18)記載の光学位置調整方法。
(20)前記相対位置を変更する手順では、前記レーザに対する前記マイクロチップの相
対位置を、前記第一の最適位置又は前記第二の最適位置に設定する手順を含む前記(19
)記載の光学位置調整方法。
(21)前記第一の最適位置と前記第二の最適位置が異なる場合に、前記相対位置を前記
第二の最適位置に設定する前記(20)記載の光学位置調整方法。
(22)レーザ照射によりマイクロチップから発生する光をマイクロチップ上の複数の位
置から検出する手順と、
前記光の検出強度の積算値のエリア平均が最大となる位置を特定する手順と、
前記エリア平均が最大となるエリア内において前記検出強度の積算値又は平均値が最大
となる第一の最適位置を特定する手順と、
前記エリア平均が最大となるエリア内において前記検出強度の積算値又は平均値の変動
係数が最小となる第二の最適位置を特定する手順と、
前記レーザに対する前記マイクロチップの相対位置を、前記第一の最適位置又は前記第
二の最適位置に設定する手順と、を含み、
前記検出する手順では、マイクロチップの位置及び/又は照射検出部の位置を、少なく
とも光軸に対して垂直一方向及び焦点方向に移動させることにより調整された複数の検出
位置それぞれに対応する光を検出し、
前記複数の検出位置は、光軸に対して垂直一方向及び焦点方向に格子状に配列した検出
位置である
マイクロチップ型光学測定装置における光学位置調整方法。
1:マイクロチップ型光学測定装置、2:マイクロチップ、21:オリフィス、22:サ
ンプル流路、23:サンプルインレット、3:振動素子、41:荷電部、42:電極、5
1,52:偏向板、61:光源、62:検出器、81,82,83:回収容器、9:位置
調整部、10:制御部、D:検出位置、F:蛍光、L:レーザ


Claims (12)

  1. 流路内を通流する微小粒子にレーザを照射して発生する光を検出する照射検出部と、
    前記照射検出部に対する前記流路の相対位置を変更可能である位置調整部と、
    前記光の検出強度に応じて前記位置調整部を制御する制御部と、を備え、
    前記照射検出部は、前記位置調整部により変更された光軸に対して垂直一方向及び焦点方向に一列に配列した複数の検出位置にてそれぞれ光を検出し、
    前記制御部は、前記複数の検出位置及び前記複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された一次元分布パラメータに基づき前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を特定する微小粒子測定装置。
  2. 前記照射検出部は、前記位置調整部により変更された光軸に対して垂直一方向に一列に配列した複数の検出位置にてそれぞれ光を検出し、
    前記制御部は、前記垂直一方向の一列上の複数の検出位置及び当該複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された一次元分布パラメータに基づき、前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を、前記垂直一方向の一列上において特定し、
    次に、前記照射検出部は、前記垂直一方向の一列上において特定された前記位置を中心として、前記位置調整部により変更された光軸に対して焦点方向に一列に配列した複数の検出位置にてそれぞれ光を検出し、
    前記制御部は、前記焦点方向の一列上の複数の検出位置及び当該複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された一次元分布パラメータに基づき、前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を、前記焦点方向の一列上において特定する、
    請求項1に記載の微小粒子測定装置。
  3. 前記制御部が、一次元のN次多項式分布又は正規分布における一次元分布パラメータに基づき、前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を、前記垂直一方向の一列上において特定する、請求項1又は2に記載の微小粒子測定装置。
  4. 前記制御部が、一次元のN次多項式分布又は正規分布における一次元分布パラメータに基づき、前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を、前記焦点方向の一列上において特定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の微小粒子測定装置。
  5. 前記垂直一方向の一列上において前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を特定するために用いられる前記一次元分布パラメータ、及び/又は、前記焦点方向の一列上において前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を特定するために用いられる前記一次元分布パラメータが、前記レーザの照射プロファイルに応じて算出される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の微小粒子測定装置。
  6. 前記照射検出部が前記垂直一方向に一列に配列した複数の検出位置にてそれぞれ光を検出する前に、
    前記照射検出部は、光軸に対して垂直一方向及び焦点方向に格子状に配列された複数の検出位置にてそれぞれ光を検出し、
    前記制御部は、前記格子状に配列された複数の検出位置及び前記複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された二次元分布パラメータに基づき、前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を特定し、
    次に、当該特定された位置を中心として、前記照射検出部が、前記垂直一方向に一列に配列した複数の検出位置にてそれぞれ光を検出する、請求項2〜5のいずれか一項に記載の微小粒子測定装置。
  7. 前記二次元分布パラメータが、前記レーザの照射プロファイルに応じて算出される、請求項6に記載の微小粒子測定装置。
  8. 前記制御部は、前記積算値又は前記平均値が最大となる前記位置への移動信号を前記位置調整部に出力する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の微小粒子測定装置。
  9. 前記流路は、フローセル又はマイクロチップに形成されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の微小粒子測定装置。
  10. 流路内を通流する微小粒子へのレーザ照射により発生する光を、光軸に対して垂直一方向及び焦点方向に一列に配列した複数の検出位置で検出する手順と、
    前記複数の検出位置及び前記複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された一次元分布パラメータに基づき前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を特定する手順とを含む、
    微小粒子測定装置における光学位置調整方法。
  11. 流路内を通流する微小粒子へのレーザ照射により発生する光を、光軸に対して垂直一方向に一列に配列した複数の検出位置で検出する手順と、
    前記複数の検出位置及び前記複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された一次元分布パラメータに基づき前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を、前記垂直一方向の一列上において特定する手順と、
    流路内を通流する微小粒子へのレーザ照射により発生する光を、前記垂直一方向の一列上において特定された前記位置を中心として、光軸に対して焦点方向に一列に配列した複数の検出位置で検出する手順と、
    前記複数の検出位置及び前記複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された一次元分布パラメータに基づき前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を、前記焦点方向の一列上において特定する手順とを含む、
    微小粒子測定装置における光学位置調整方法。
  12. 流路内を通流する微小粒子へのレーザ照射により発生する光を、光軸に対して垂直一方向及び焦点方向に格子状に配列された複数の検出位置で検出する手順と、
    前記格子状に配列された複数の検出位置及び前記複数の検出位置で検出された前記光の検出強度の積算値又は平均値を用いて算出された二次元分布パラメータに基づき前記積算値又は前記平均値が最大となる位置を特定する手順とをさらに含み、
    当該特定された位置を中心として、前記垂直一方向に一列に配列した複数の検出位置で光を検出する手順が行われる、請求項11に記載の光学位置調整方法。
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