JP6596752B2 - 車体下部構造 - Google Patents
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Description
しかし、クロスメンバの上部に凹みを形成すると、クロスメンバの下部が下方に位置する。このため、消音器の最低地上高さを確保することが難しい。
また、消音器がクロスメンバの車体前後方向へずれた場合、クロスメンバを変形させても、消音器をクロスメンバで下方へ押し下げることが難しい。
これにより、フロアフレームに車載部品の上部を干渉させて、車載部品を下方へ落下させることができる。したがって、エネルギ源に影響を与えることなく、サイドシルを車幅方向内側に好適に変形させて、サイドシルに入力した衝撃荷重を吸収することができる。
そこで、(第1距離)−(第2距離)≧(変位量)と設定した。よって、上方変形誘導部を形成させた際に、フロアフレームを確実に上方へ変位させることができる。これにより、フロアフレームに車載部品の上部を干渉させて、車載部品を下方へ確実に落下させることができる。
また、凹部の後部側に後フレーム部を設けた。後フレーム部は一定断面に形成されている。これにより、フロアフレームに入力した前突荷重をフロアフレームで支えることができる。
また、サイドシル、フロアフレームおよびクロスメンバで囲まれる領域に車載部品を配置するようにした。これにより、車載部品を比較的高い位置に配置でき、車両の最低地上高さを確保できる。
なお、実施形態の車体下部構造10は、左側部と右側部とが略左右対称の構成であり、以下、左側部と右側部との各構成部に同じ符号を付し、左側部の各構成部について詳しく説明する。
図1に示すように、車体下部構造10は、フロアパネル12と、フロアパネル12の左側に設けられた左サイドシル13と、フロアパネル12の右側に設けられた右サイドシル14と、左サイドシル13の内側に設けられた左フロアフレーム16と、右サイドシル14の内側に設けられた右フロアフレーム17とを備える。
また、車体下部構造10は、左サイドシル13および右サイドシル14間に架け渡されたクロスメンバ18と、燃料タンク21と、排気ユニット22と、キャニスタ23とを備える。
第1排気管27は、右フロアフレーム17の下方を経て消音器28まで延びている。第2排気管29は、消音器28からクロスメンバ18(具体的には、右クロスメンバ68)の下方を経て車体後方へ延びている。
ここで、右フロアフレーム17側に左上部曲面35a、左下部曲面36aが位置する。すなわち、右フロアフレーム17側に位置する左上部曲面35aの半径が左下部曲面36aの半径より大きく形成されている。
なお、左上部曲面35aの半径を左下部曲面36aの半径より大きく形成した理由については後で詳しく説明する。
一対の取付ブラケット41の外端部41bが、左サイドシル13の下部13aにボルト43、ナット44で取り付けられている。また、一対の取付ブラケット41の内端部41cが、左フロアフレーム16の底部16aにボルト46、ナット47で取り付けられている。
この状態において、膨出部41aの右傾斜部41dが左フロアフレーム16側に位置する。右傾斜部41dは、内端部41cから車幅方向外側へ向けて上り勾配の傾斜状に形成されている。
右サイドシル14は、フロアパネル12の車幅方向右外側に設けられて車体前後方向へ延びている。また、右サイドシル14は、インナ部材53とアウタ部材54とで閉断面に形成されている。
左サイドシル13は、右サイドシル14と略左右対称の部材であり、以下、右サイドシル14について説明して左サイドシル13の詳しい説明を省略する。
底部55、内側壁56、外側壁57、内フランジ58および外フランジ59で右サイドシル14が断面略ハット状に形成されている。内フランジ58および外フランジ59がフロアパネル12に結合されている。右フロアフレーム17およびフロアパネル12で閉断面が形成されている。
左フロアフレーム16は、右フロアフレーム17と略左右対称の部材であり、以下、右フロアフレーム17について説明して左フロアフレーム16の詳しい説明を省略する。
また、中央外側壁62cには複数の外側縦ビード70(図3参照)が形成されている。外側縦ビード70は、内側縦ビード69と略左右対称に形成されている。よって、外側縦ビード70の詳しい説明を省略する。
前フレーム部63は前底部63aを有する。前底部63aは、右フロアフレーム17の底部55のうち前フレーム部63に対応する部位である。
前底部63aは、前傾斜部63bと、前水平部63cとを有する。前傾斜部63bは、車体前後方向の略中央63dから車体後方へ向けて後部63eまで上り勾配に延びている。前水平部63cは、前傾斜部63bの後端から中央底部62aの前端62eまで車体後方へ向けて略水平に延びている。
第1後フレーム部64は第1後底部64aを有する。第1後底部64aは、右フロアフレーム17の底部55のうち第1後フレーム部64に対応する部位である。
第1後フレーム部64は、フロアパネル12から第1後底部64aまでの高さ寸法H2が略一定に形成されている。
また、右サイドシル14、右フロアフレーム17および右クロスメンバ68で囲まれた領域33に消音器28が配置されている。よって、第1排気管27に連通する消音器28が上方に配置される。
このように、消音器28(図5参照)やキャニスタ23が上方に配置されることにより、車両の最低地上高さが確保される。
これにより、例えば、右フロアフレーム17に車体前方側から衝撃荷重F1が入力した際に、入力した衝撃荷重F1右フロアフレーム17で支えることができる。
底部71は、外端部71aが右サイドシル14(具体的には、インナ部材53)の下部53aに結合されている。前壁72および後壁73の外端部は、インナ部材53の内側壁53bに結合されている。また、前フランジ74および後フランジ75の外端部は、インナ部材53の内側壁53bに結合されている。
すなわち、上方変形誘導部77は、右クロスメンバ68の底部55が上方に向けて凹状に形成されている。よって、右サイドシル14に衝撃荷重F2が車幅方向外側から入力した際に、衝撃荷重F2で上方変形誘導部77が上方へ変形する。上方変形誘導部77が上方へ変形することにより、右クロスメンバ68が上方へ山折れ(逆V字状に折曲がり)変形する。
換言すれば、内側壁53bの強度より下部53aの強度が高く設定されている。また、下部53aの強度より上方変形誘導部77の強度が高く設定されている。さらに、上方変形誘導部77の強度より右フロアフレーム17の強度が高く設定されている。
この状態において、L1、L2、L3の関係が、
L1−L2≧L3
に設定されている。
なお、右フロアフレーム17を上方へ変位させる理由については後で詳しく説明する。
図8(a)に示すように、右サイドシル14のアウタ部材54に障害物91が車幅方向側方から衝突する。アウタ部材54に障害物91から衝撃荷重F3が入力する。
ここで、右サイドシル14(インナ部材53)の内側壁53b、インナ部材53の下部53a、上方変形誘導部77、右フロアフレーム17の順に強度が高くなるように設定されている。
よって、右サイドシル14のアウタ部材54が変形した後、右サイドシル14が矢印Aの如く移動する。よって、インナ部材53の内側壁53bが右クロスメンバ68やフロアパネル12で凹状(具体的には、略V字状)に凹む。
ここで、図6に示すように、L1、L2、L3の関係が、L1−L2≧L3に設定されている。
よって、図10(a)に示すように、右クロスメンバ68が逆V字状に上向きに折れ曲がることにより、右フロアフレーム17が矢印Dの如く変位量L3だけ上方へ持ち上げられる。
ここで、右フロアフレーム17が変位量L3だけ上方へ持ち上げられている。
また、消音器28は右サイドシル14に取り付けられている。右サイドシル14は上方へ移動することなく水平方向へ矢印Aの如く移動する。よって、消音器28が上方へ変位することが抑えられる。
ここで、下向き分力F5、上向き分力F7は、次式であらわされる。
F5=F4×sinα1
F6=F4×cosα1
F7=μ1×F6
但し、α1:左上部曲面35aが右フロアフレーム17の下部55bに接触する接線に対して直交する直線(法線)と荷重F4との角度
μ1:左上部曲面35aおよび右フロアフレーム17の下部55bの摩擦係数
したがって、燃料タンク21に影響を与えることなく、右サイドシル14を車幅方向内側に好適に変形させて、右サイドシル14に入力した衝撃荷重F3を良好に吸収できる。
図11(a)に示すように、左サイドシル13に障害物92が車幅方向側方から衝突する。左サイドシル13に障害物92から衝撃荷重F8が入力する。
左サイドシル13の外側壁13bが変形した後、左サイドシル13が車幅方向内側へ矢印Fの如く移動する。よって、右クロスメンバ68と同様に、左クロスメンバ67(図4参照)が上方へ向けて山折れ状(逆V字状)に変形する。これにより、左フロアフレーム16が変位量L4だけ矢印Gの如く上方へ持ち上げられる。
右傾斜部41dは、内端部41cから車幅方向外側へ向けて上り勾配の傾斜状に形成されている。よって、取付ブラケット41の右傾斜部41dから左フロアフレーム16に荷重F9が入力することにより、荷重F9の下向き分力F10が上向き分力F12より確実に大きくなる。
F10=F9×sinα2
F11=F9×cosα2
F12=μ2×F11
但し、α2:右傾斜部41dが左フロアフレーム16の下部16bに接触する接線に対して直交する直線(法線)と荷重F9との角度
μ2:右傾斜部41dおよび左フロアフレーム16の下部16bの摩擦係数
このように、下向き分力F10を上向き分力F12より大きくすることにより、キャニスタ23(特に、取付ブラケット41の内端部41c側)が下向き分力F10により矢印Hの如く下方へ押し下げられる。
このため、キャニスタ23の落下が抑えられ、キャニスタ23の上部23aが左サイドシル13と左フロアフレーム16との間に介在される虞がある。よって、左サイドシル13の変形がキャニスタ23の上部23aで抑えられる。これにより、左サイドシル13に入力した衝撃荷重F8を良好に吸収することが難しい。
そこで、左クロスメンバ67(図4参照)を上方へ向けて逆V字状に変形させて、左フロアフレーム16を変位量L4だけ上方へ持ち上げるようにした。
よって、キャニスタ23(特に、上部23a)に影響されることなく、左サイドシル13を左フロアフレーム16まで車幅方向内側に変形させることができる。これにより、燃料タンク21に影響を与えることなく、左サイドシル13を車幅方向内側に好適に変形させることができる。したがって、左サイドシル13に入力した衝撃荷重F8を良好に吸収できる。
第2実施形態に係る車体下部構造100について説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一類似部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
図13に示すように、車体下部構造100は、右サイドシル102と右フロアフレーム17との間に車載部品(消音器28)が強く挟まれたような状態を想定する場合である。この場合、右サイドシル102の内側壁103の摩擦係数も考慮する必要がある。
消音器28の左上部曲面35aから右フロアフレーム17の下部55bに荷重F4が入力するとともに、消音器28の右側面28aから右サイドシル102の内側壁103に荷重F4が入力する。
右サイドシル102の内側壁103に荷重F4が入力することにより、荷重F4が下向き分力F13、上向き分力F15に分けられる。
F13=F4×sinα3
F14=F4×cosα3
F15=μ3×F14
但し、α3:消音器28の右側面28aが右サイドシル102の内側壁103に接触する接線に対して直交する直線(法線)と荷重F4との角度
なお、右サイドシル102は、右サイドシル102に衝撃荷重が入力する前に予め内側壁103が傾斜している場合や、衝撃荷重が入力した後に右サイドシル102に変形により内側壁103が傾斜する場合がある。
μ3:消音器28の右側面28aおよび右サイドシル102の内側壁103の摩擦係数
F16=F5×cosα1+F13×cosα3
F17=F7×cosα1+F15×cosα3
よって、押下力F16を摩擦力F17より大きく設定することにより、消音器28を下方へ確実に押し下げることができる。これにより、第1実施形態と同様に、燃料タンク21に影響を与えることなく、右サイドシル102を車幅方向内側に好適に変形させて、右サイドシル102に入力した衝撃荷重を良好に吸収できる。
12……フロアパネル
13,14…左右のサイドシル(サイドシル)
16,17…左右のフロアフレーム(フロアフレーム)
21……燃料タンク(エネルギ源)
23……キャニスタ(車載部品)
27……第1排気管(排気管)
28……消音器(車載部品)
33,38…領域
35a…左上部曲面(上部曲面)
36a…左下部曲面(下部曲面)
51……車室
53b…右サイドシルの内側壁
53a…右サイドシルの下部
55a…凹部
62……中央フレーム部
62b…中央内側壁(中央フレーム部の内側壁)
62c…中央外側壁(中央フレーム部の外側壁)
64……第1後フレーム部(後フレーム部)
67,68…左右のクロスメンバ(クロスメンバ)
69,70…内側、外側の縦ビード(縦ビード)
77……上方変形誘導部
77a…第1部位(車載部品側の部位)
77b…第2部位(車載部品側の反対側の部位)
F2,F3,F8…衝撃荷重
F4,F9…荷重
F5,F10,F13…下向き分力
F7,F12,F15…上向き分力
F16…押下力
F17…摩擦力
H1……中央フレーム部の高さ寸法
L1……第1距離
L2……第2距離
L3,L4……変位量
Claims (8)
- 車室の下方に設けられるフロアパネルと、
前記フロアパネルの車幅方向外側に設けられ、車体前後方向へ延びるサイドシルと、
前記サイドシルの車幅方向内側に設けられ、車体前後方向へ延びるフロアフレームと、
前記フロアフレームの車幅方向内側に設けられるエネルギ源と、
前記フロアフレームおよび前記サイドシルに架け渡され、車幅方向へ延びるクロスメンバと、
前記サイドシル、前記フロアフレームおよび前記クロスメンバで囲まれる領域に設けられる車載部品と、を備え、
前記クロスメンバは、前記サイドシルに入力した衝撃荷重で、上方へ変形可能な上方変形誘導部を有し、
前記上方変形誘導部が上方へ変形した状態において、前記車載部品の干渉により前記フロアフレームに荷重が入力した際に、
前記荷重の下向き分力が、上向き分力より大きいことを特徴とする車体下部構造。 - 前記車載部品は消音器であり、
前記消音器は、略楕円形に形成され、前記フロアフレーム側において上部曲面の半径が下部曲面の半径より大きいことを特徴とする請求項1に記載の車体下部構造。 - 前記車載部品はキャニスタであることを特徴とする請求項1に記載の車体下部構造。
- 前記上方変形誘導部から前記サイドシルまでの第1距離と、
前記上方変形誘導部から前記フロアフレームまでの第2距離と、
前記フロアフレームの上方への変位量との関係が、
(第1距離)−(第2距離)≧(変位量)
に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の車体下部構造。 - 前記上方変形誘導部は、
車体前後方向において、前記車載部品側の部位が、反対側の部位より強度が低いことを特徴とする請求項4に記載の車体下部構造。 - 前記車載部品は、前記サイドシルに取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の車体下部構造。
- 前記フロアフレームは、
前記消音器に連結された排気管の上方に形成され、前記排気管を回避する凹部と、
前記凹部の後部側に位置し、一定断面に形成された後フレーム部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の車体下部構造。 - 車室の下方に設けられるフロアパネルと、
前記フロアパネルの車幅方向外側に設けられ、車体前後方向へ延びるサイドシルと、
前記サイドシルの車幅方向内側に設けられ、車体前後方向へ延びるフロアフレームと、
前記フロアフレームの車幅方向内側に設けられるエネルギ源と、
前記フロアフレームおよび前記サイドシルに架け渡され、車幅方向へ延びるクロスメンバと、
前記サイドシル、前記フロアフレームおよび前記クロスメンバで囲まれる領域に設けられる車載部品と、を備え、
前記クロスメンバは、前記サイドシルに入力した衝撃荷重で、上方へ変形可能な上方変形誘導部を有し、
前記上方変形誘導部が上方へ変形した状態において、前記車載部品が前記サイドシルと前記フロアフレームとの間に挟まれ、前記車載部品の干渉により前記サイドシルと前記フロアフレームにそれぞれ荷重が入力した際に、
前記車載部品に加わる押下力が、摩擦力より大きいことを特徴とする車体下部構造。
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