JP6596688B2 - 鎖状ポリマーの製造方法及び鎖状ポリマー - Google Patents
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1.メタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ有する繰り返し単位を含む環状ポリマーと、交換反応剤としてメタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物とを、触媒の存在下、メタセシス交換反応させることを特徴とする鎖状ポリマーの製造方法であって、
前記繰り返し単位が式(1)で表されるものであり、前記交換反応剤が式(2)で表されるアルケン誘導体である鎖状ポリマーの製造方法。
R 3 は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、
R 4 及びR 5 は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、
X 1 及びX 2 は、それぞれ独立にアミド結合、チオエステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレイレン結合、スルフィド結合又はスルホニル結合を表し、
Y 1 及びY 2 は、それぞれ独立にメタセシス交換反応を起こす二重結合を有しない1価の基を表す。)
2.Y 1 及びY 2 が、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数2〜11のアルキルカルボニル基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルアミノ基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルチオ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルチオ基、炭素数2〜11のN−アルキルカルバモイルオキシ基、炭素数7〜20のN−アリールカルバモイルオキシ基、炭素数2〜11のN−アルキルカルバモイルアミノ基、炭素数7〜20のN−アリールカルバモイルアミノ基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基又は炭素数7〜20のアリールスルホニル基である1の鎖状ポリマーの製造方法。
3.X1及びX2がエステル結合である2の鎖状ポリマーの製造方法。
4.R1及びR2が、それぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状アルキレン基である1〜3のいずれかの鎖状ポリマーの製造方法。
5.R3が、炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基又は炭素数6〜20のアリーレン基である1〜4のいずれかの鎖状ポリマーの製造方法。
6.R4及びR5が、それぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基である1〜5のいずれかの鎖状ポリマーの製造方法。
7.Y1及びY2が、それぞれ独立に炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基である1〜6のいずれかの鎖状ポリマーの製造方法。
8.前記環状ポリマーの数平均分子量が1,000〜50,000である1〜7のいずれかの鎖状ポリマーの製造方法。
9.1〜8のいずれかの方法によって得られる鎖状ポリマー。
10.数平均分子量が500〜30,000である9の鎖状ポリマー。
11.分子量分布が1〜1.5である9又は10の鎖状ポリマー。
本発明の鎖状ポリマーの製造方法は、メタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ有する繰り返し単位を含む環状ポリマーと、交換反応剤としてメタセシス交換反応を起こし得る二重結合を1つ有する化合物とを、触媒の存在下、メタセシス交換反応させるものである。
本発明で用いる環状ポリマーは、メタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ有する繰り返し単位を含むものであれば、特に限定されない。このような環状ポリマーとしては、環状ポリエステル、環状ポリアミド、環状ポリチオエステル、環状ポリカーボネート、環状ポリイミド、環状ポリウレタン、環状ポリウレア、環状ポリスルフィド、環状ポリスルホン等であることが好ましい。これらのうち、環状ポリエステル、環状ポリアミド、環状ポリチオエステルであることがより好ましく、環状ポリエステルであることがより一層好ましい。本発明で用いる環状ポリマーは、分子内にメタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ以上含むものである。
メタセシス交換反応は、溶媒中、触媒の存在下で行えばよい。メタセシス交換反応に用いる溶媒は、反応に関与しないものであれば特に限定されない。このような溶媒としては、例えば、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル;酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のカルボン酸エステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素非プロトン性極性溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄非プロトン性極性溶媒;ピリジン、ピコリン等のピリジン化合物;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール;水等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記メタセシス交換反応によって得られる本発明の鎖状ポリマーは、分子量分布が狭く、分子量が揃ったものとなる。本発明の鎖状ポリマーの数平均分子量は、500〜30,000程度が好ましく、1,000〜25,000程度がより好ましい。また、分子量分布は、1〜3程度が好ましく、1〜2程度がより好ましく、1〜2未満であることがより一層好ましく、1〜1.5程度が更に好ましい。
(1)1H−NMR:日本電子(株)製ECA-500
(2)FT−IR:日本分光(株)製FT/IR-410
(3)GPC:昭和電工(株)製GPC-101((カラム:Shodex GPC KF-804L、カラム温度:40℃、検出器:RI、溶離液:THF、カラム流速:1mL/min.))
(4)HPLC:(株)島津製作所製LC-6AD
(5)MALDI−TOF MS:(株)島津製作所製AXIMA-CFR+
10mLのナス型フラスコに攪拌子を入れ、フラスコ内をアルゴンで置換した。
スナップバイアルに、(Z)−4−オクテン−1,8−ジオール(シグマ アルドリッチ社製)0.1441g(0.9992mmol)、乾燥ジクロロメタン2.0mL、乾燥ピリジン0.17mL(2.1mmol)を入れ、溶液を調製し、この溶液を、窒素気流下でナス型フラスコに入れて、0℃でよく攪拌した。
次いで、スナップバイアルに、セバシン酸ジクロリド(東京化成工業(株)製)0.2461g(1.029mmol)及び乾燥ジクロロメタン2.0mLを入れ、溶液を調製した。この溶液を、窒素気流下で、ナス型フラスコに2分間かけて滴下し、室温(23℃)で48時間攪拌し、攪拌終了後、少量のメタノールを加えて反応を停止させた。
その後、得られた反応混合物を1mol/L塩酸と水で2回ずつ洗浄し、有機層を回収し、更に、洗浄で用いた水層をジクロロメタンで抽出し、このジクロロメタンと先に回収した有機層を合わせ、これを無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
乾燥後、ろ過を行い、ろ液から減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥し、淡黄色粘性液体を得た(収量0.2896g、粗収率93%)。これを、良溶媒にジクロロメタンを、貧溶媒にメタノールを用いた再沈殿により精製し、減圧乾燥し、無色粘性液体のポリマーAを得た(収量0.1981g、収率64%、Mn=18,100、Mw/Mn=1.90)。また、再沈殿による精製で取り除いた上澄み液を濃縮し、減圧乾燥し、淡黄色粘性液体のポリマーBを得た(収量0.0903g、収率29%、Mn=3,700、Mw/Mn=3.14)。1H−NMR及びIRの測定結果を以下に示す。
1H-NMR (600MHz, CDCl3) δ 5.42-5.37(m, 2H), 4.06(t, J=6.7Hz, 4H), 2.29(t, J=7.6Hz, 4H), 2.11-2.08(m, 4H), 1.68(quint, J=7.0Hz, 4H), 1.63-1.59(m, 4H), 1.30(brs, 8H);
IR (neat) 2925, 2853, 1735, 1686, 1655, 1638, 1560, 1544, 1509, 1459, 1169, 1027 cm-1.
10mLのナス型フラスコに攪拌子を入れ、ナス型フラスコ内をアルゴンで置換し、そこへ、第二世代グラブス触媒1.75mg(0.00206mmol)を入れて、再びナス型フラスコ内をアルゴンで置換した。
一方、ナシ型フラスコ内に、ポリマーA62.1mg(繰り返し単位0.200mmol)を入れた。その後、スナップバイアルに、交換反応剤として(Z)−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン(東京化成工業(株)製)68.9mg(0.400mmol)及び乾燥ジクロロメタン11.55mLを入れ、溶液を調製し、この溶液1.155mL((Z)−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン0.0400mmol)をナシ型フラスコ内に入れた。
前記ナシ型フラスコ内を脱気してアルゴン置換し、窒素雰囲気下で、ナシ型フラスコ内の混合物をナス型フラスコに入れ、室温で120時間攪拌し、攪拌終了後、エチルビニルエーテル0.04mL(0.4mmol)を加えて反応を停止させ、更に2時間攪拌した。
その後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥し、緑褐色粘性固体を得た。これを用いて、SECカラムを使用した分取HPLC(溶媒THF)による分離・精製を行なって目的化合物を含むフラクションを分取し、分取したフラクションから減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥し、淡褐色粘性固体を得た(収量0.0326g、収率47%、Mn=3,270、Mw/Mn=1.49)。1H−NMR及びIRの測定結果を以下に示す。なお、得られたポリマーの両末端は、交換反応剤由来のCH3COO−であることをMALDI−TOF MSで確認した。
1H-NMR (500MHz, CDCl3) δ 5.79-5.57(trans) and 5.46-5.37(cis) (m, 2nH), 4.51(dd, J=0.9 and 6.6Hz, 2H), 4.08-4.04(m, 4nH), 2.29(t, J=7.6Hz, 4nH), 2.20-2.04(m, 4nH), 2.06(s, 3H), 1.76-1.65(m, 4nH), 1.65-1.55(m, 4nH), 1.30(brs, 8nH);
IR (neat) 2930, 2855, 2345, 1736, 1655, 1638, 1560, 1543, 1509, 1459, 1363, 1260, 1170, 1094, 1025, 800 cm-1.
10mLのナス型フラスコに攪拌子を入れ、ナス型フラスコ内をアルゴンで置換し、そこへ、第二世代グラブス触媒0.80mg(0.00094mmol)を入れて、再びナス型フラスコ内をアルゴンで置換した。
一方、ナシ型フラスコ内に、ポリマーB31.1mg(繰り返し単位0.100mmol)を入れた。その後、スナップバイアルに、交換反応剤として(Z)−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン68.9mg(0.400mmol)及び乾燥ジクロロメタン11.55mLを入れ、溶液を調製し、この溶液0.57mL((Z)−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン0.020mmol)をナシ型フラスコ内に入れた。
前記ナシ型フラスコ内を脱気してアルゴン置換し、窒素雰囲気下で、ナシ型フラスコ内の混合物をナス型フラスコに入れ、室温で5日間攪拌し、攪拌終了後、エチルエチルビニルエーテル0.02mL(0.2mmol)を加えて反応を停止させ、更に2時間攪拌した。
その後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥し、赤茶色粘性液体を得た。これを用いて、SECカラムを使用した分取HPLC(溶媒THF)による分離・精製を行なって目的化合物を含むフラクションを分取し、分取したフラクションから減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥し、淡褐色粘性液体を得た(収量0.0106g、収率31%、Mn=3,000、Mw/Mn=1.47)。なお、得られたポリマーの両末端は、交換反応剤由来のCH3COO−であることをMALDI−TOF MSで確認した。
Claims (11)
- メタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ有する繰り返し単位を含む環状ポリマーと、交換反応剤としてメタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物とを、触媒の存在下、メタセシス交換反応させることを特徴とする鎖状ポリマーの製造方法であって、
前記繰り返し単位が式(1)で表されるものであり、前記交換反応剤が式(2)で表されるアルケン誘導体である鎖状ポリマーの製造方法。
R 3 は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、
R 4 及びR 5 は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、
X 1 及びX 2 は、それぞれ独立にアミド結合、チオエステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレイレン結合、スルフィド結合又はスルホニル結合を表し、
Y 1 及びY 2 は、それぞれ独立にメタセシス交換反応を起こす二重結合を有しない1価の基を表す。) - Y 1 及びY 2 が、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数2〜11のアルキルカルボニル基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルアミノ基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルチオ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルチオ基、炭素数2〜11のN−アルキルカルバモイルオキシ基、炭素数7〜20のN−アリールカルバモイルオキシ基、炭素数2〜11のN−アルキルカルバモイルアミノ基、炭素数7〜20のN−アリールカルバモイルアミノ基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基又は炭素数7〜20のアリールスルホニル基である請求項1記載の鎖状ポリマーの製造方法。
- X1及びX2がエステル結合である請求項1又は2記載の鎖状ポリマーの製造方法。
- R1及びR2が、それぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状アルキレン基である請求項1〜3のいずれか1項記載の鎖状ポリマーの製造方法。
- R3が、炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基又は炭素数6〜20のアリーレン基である請求項1〜4のいずれか1項記載の鎖状ポリマーの製造方法。
- R4及びR5が、それぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基である請求項1〜5のいずれか1項記載の鎖状ポリマーの製造方法。
- Y1及びY2が、それぞれ独立に炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基である請求項1〜6のいずれか1項記載の鎖状ポリマーの製造方法。
- 前記環状ポリマーの数平均分子量が1,000〜50,000である請求項1〜7のいずれか1項記載の鎖状ポリマーの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載の方法によって得られる鎖状ポリマー。
- 数平均分子量が500〜30,000である請求項9記載の鎖状ポリマー。
- 分子量分布が1〜1.5である請求項9又は10記載の鎖状ポリマー。
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