以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
(第1実施形態)
(全体構成)
最初に、第1実施形態に係る原子力プラントの運転監視システム1の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る原子力プラントの運転監視システムが配置される中央制御室を表す概略図である。図2及び図3は、本実施形態に係る原子力プラントの運転監視システムの各部の構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る運転監視システム1は、原子力プラントの各部の状態やパラメータを監視しつつ、原子力プラントの動作を制御して原子力プラントを運転するシステムである。図1に示すように、運転監視システム1は、原子力プラントの中央制御室2内に配置されている。中央制御室2は、ほぼ密閉された部屋である。中央制御室2は、原子力プラントを運転監視する作業者と、作業者を監督する監督者とが入室して、運転監視システム1を操作するための部屋である。
運転監視システム1は、大型表示装置4と、常用系制御システム6と、監督制御システム7と、安全系制御監視システム8とを有する。大型表示装置4と、常用系制御システム6と、監督制御システム7と、安全系制御監視システム8とは、中央制御室2の中に配置されている。中央制御室2の最前部には、大型表示装置4が配置されている。この大型表示装置4の前面に対向した箇所には、常用系制御システム6及び安全系制御監視システム8が、この大型表示装置4の画像表示パネルに向って配置されている。常用系制御システム6と安全系制御監視システム8とは、互いに隣接している。そして、大型表示装置4の前面に対向し、且つ、常用系制御システム6及び安全系制御監視システム8の後方に、監督制御システム7が大型表示装置4の画像表示パネルに向って配置されている。なお、本実施形態においては、常用系制御システム6は、2人の作業者がそれぞれを使用可能なように、2つ設けられている。同様に、監督制御システム7は、2人の監督者がそれぞれを使用可能なように、2つ設けられている。ただし、常用系制御システム6及び監督制御システム7の数は、これに限られず、それぞれ1つであってもよいし、それぞれ3つ以上であってもよい。
大型表示装置4は、中央制御室2内の全ての作業者及び監督者に視認可能な位置に配置され、大型の画像表示パネル(例えば、100インチのパネルを4枚並べたもの)に、原子力プラントの各部の主要パラメータを表示するものである。中央制御室2内に作業者や監督者が複数いる場合にも、大型表示装置4の画像は、全ての作業者及び監督者に視認可能となっている。常用系制御システム6は、原子力プラントの常用系(非安全保護系)システム100の監視及び制御を行うものである。常用系システム100は、原子力プラントに設けられた各種装置であり、原子力プラントの通常の運転時に動作する。監督制御システム7は、作業者の常用系制御システム6の操作を監視し、作業者に指令を出すためのシステムである。安全系制御監視システム8は、原子力プラントの安全系システム110の監視及び制御を行うものである。安全系システム110は、原子力プラントに設けられた各種装置であり、原子力プラントの異常時にこの原子力プラントを安全に停止させるものである。
図2及び図3に示すように、大型表示装置4は、大型の画像表示パネルとしての大型表示盤4Aと、大型表示盤制御部4Bとを有している。常用系制御システム6は、常用系制御装置10と、第1電子手順書表示装置12Aとを有している。また、監督制御システム7は、第2電子手順書表示装置12Bと、監督制御装置14と、監督補助表示装置15とを有している。また、安全系制御監視システム8は、安全系制御システム16と、安全系パラメータモニタシステム18とを有している。
図3は、各装置の接続関係を示している。大型表示盤制御部4Bは、常用系システム100から、常用系システム100の各部の状態やパラメータ等のデータを取得し、取得したパラメータ等のうち予め定められた主要パラメータを、大型表示盤4Aに表示させる。大型表示盤4A及び大型表示盤制御部4Bの詳細な説明は後述する。
常用系制御装置10は、作業者が操作するものであり、常用系システム100から、常用系システム100の各種データを取得して画面に表示し、作業者の操作により常用系システム100の動作を制御するものである。また、常用系制御装置10は、安全系システム110にも接続されている。常用系制御装置10は、安全系システム110の各種データを取得して画面に表示し、作業者の操作により図示しない分離装置を介して、安全系システム110の動作を制御する。第1電子手順書表示装置12Aは、作業者が操作するものであり、原子力プラントを制御する際の電子手順書を表示する装置である。常用系制御装置10及び第1電子手順書表示装置12Aの詳細な説明も後述する。
第2電子手順書表示装置12Bは、監督者が操作するものであり、原子力プラントを制御する際の電子手順書を表示する装置である。第2電子手順書表示装置12Bの詳細な説明は後述する。監督制御装置14は、監督者が操作するものであり、監督者により入力された情報を常用系制御装置10に出力することにより、作業者の常用系システム100の制御に指令を出す。監督補助表示装置15は、監督者が監視するモニタであり、常用系制御装置10に表示される画面と同じ画面が表示される。
図3に示すように、安全系制御監視システム8は、常用系制御システム6、監督制御システム7、及び常用系システム100とは接続されていない。一方、常用系制御システム6、監督制御システム7は、安全系制御監視システム8とは接続されていないが、安全系システム110には接続されている。安全系システム110は、常用系制御システム6及び安全系制御監視システム8によって制御及び監視が可能となっている。作業者は、例えば常用系制御システム6に障害が生じて操作が不可能となった場合に、安全系制御監視システム8によって安全系システム110の制御及び監視を行う。
図2及び図3に示すように、安全系制御システム16は、第1安全系制御装置17A、第2安全系制御装置17B、第3安全系制御装置17C、第4安全系制御装置17Dとの、4つの装置(コンピュータ)を有する。詳しくは後述するが、第1安全系制御装置17A、第2安全系制御装置17B、第3安全系制御装置17C、第4安全系制御装置17Dは、トレン毎に設けられており、安全系システム110を、個別に制御及び監視を行う。
図2及び図3に示すように、安全系パラメータモニタシステム18は、第1安全系パラメータモニタ装置19A及び第2安全系パラメータモニタ装置19Bの、2つの装置(コンピュータ)を有する。詳しくは後述するが、第1安全系パラメータモニタ装置19A及び第2安全系パラメータモニタ装置19Bは、安全系システム110から、安全系システム110の各部の状態やパラメータ等のデータを逐次取得して表示するものである。
(電子手順書表示装置)
第1電子手順書表示装置12Aは、作業者が操作するものであり、第2電子手順書表示装置12Bは、監督者が操作するものであるが、それぞれは同一の機能を有する装置である。以下、第1電子手順書表示装置12Aと第2電子手順書表示装置12Bとを互いに区別しない場合は、電子手順書表示装置12と記載する。以下、電子手順書表示装置12について詳細に説明する。
図4は、電子手順書表示装置の構成を示すブロック図である。図4に示すように、電子手順書表示装置12は、手順書記憶部30と、手順書表示制御部32と、手順書表示部34と、を有する。電子手順書表示装置12は、手順書記憶部30に記憶された電子手順書集M0を手順書表示制御部32により読み出して、手順書表示部34に表示する装置である。
電子手順書集M0は、原子力プラントを運転する際の操作手順が記載された電子データである。電子手順書集M0は、運転の内容(原子炉の稼働、原子炉の停止等)毎に異なる複数の電子手順書Mを有している。各電子手順書M中には、その運転を行うための手順が、手順ステップ毎に区分されて記載されている。電子手順書Mは、原子力プラントの通常時における運転手順、又は異常時における運転手順のデータである。すなわち、電子手順書集M0は、常用系システム100及び安全系システム110の両方の制御内容が記載されている。ただし、電子手順書集M0は、通常時の電子手順書Mのみを有していてもよい。
手順書記憶部30は、以上説明した電子手順書集M0を記憶するものである。手順書表示制御部32は、手順書表示部34による電子手順書Mの表示を制御するものである。手順書表示部34は、画像表示パネルであり、電子手順書Mを表示する。本実施形態においては、手順書表示部34は、作業者又は監督者の入力を検出するタッチパネルである。
電子手順書表示装置12が操作者(作業者又は監督者)によって立ち上げられたら、手順書表示制御部32は、手順書表示部34にログイン画面を表示させる。操作者は、ログイン画面で自身のIDとパスワードを入力することにより、電子手順書表示装置12の操作が可能となる。手順書表示制御部32は、このように操作者にログインさせることにより、その操作者を特定することができる。
図5は、手順書表示部の第1手順ウインドウの画面の例を示す図である。手順書表示制御部32は、ログインを確認したあと、手順書表示部34に第1手順ウインドウを表示させる。図5に示すように、第1手順ウインドウは、フォルダ表示画面であり、メインフォルダとしての手順書画像35と、サブフォルダとしてのステップ画像36と、を表示する。手順書画像35は、手順書記憶部30が記憶する電子手順書集M0中の、各電子手順書Mの通し番号を表示している。すなわち、手順書画像35は、各電子手順書Mを互いに区別するための表示であり、各電子手順書Mの名称を表示するものであってもよい。ステップ画像36は、手順書画像35の下層のフォルダであり、手順書画像35に表示された電子手順書Mの手順ステップの通し番号が表示されている。図5の例では、手順書画像35に、電子手順書Mの通し番号として、第1手順書、第2手順書、第3手順書が表示されている。本実施形態の例では、第1手順書に記載された運転手順は、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS4、ステップS5、ステップS6、ステップS7の計7つの手順ステップからなる。第1手順書に記載された運転を行う際には、作業者が、ステップS1からステップS7までの各手順ステップをこの順で実行することにより、第1手順書の運転操作は終了する。図5の例では、第1手順書の手順書画像35の下層のフォルダであるステップ画像36として、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS4、ステップS5、ステップS6、ステップS7が表示されている。
手順書表示制御部32は、対応するステップ画像36が表示されていない手順書画像35への操作者の選択、すなわちその手順書画像35のタッチを検出すると、その手順書画像35に対応するステップ画像36を表示する。手順書表示制御部32は、対応するステップ画像36が表示されている手順書画像35への操作者のタッチを検出すると、その手順書画像35に対応するステップ画像36を非表示にする。図5の例では、第1手順書の下層のステップ画像36が表示状態となっており、第2手順書、第3手順書のステップ画像36が非表示状態となっている。
図6は、手順書表示部の第2手順ウインドウの画面の例を示す図である。手順書表示制御部32は、操作者によるステップ画像36の選択、すなわちステップ画像36へのタッチを検出すると、第1手順ウインドウから第2手順ウインドウへと表示を変更させる。第2手順ウインドウは、操作者に選択されたステップ画像36の手順ステップが記載された電子手順書Mのページを表示するものである。ただし、第1手順ウインドウから第2手順ウインドウへの表示の変更は、これに限られない。手順書表示制御部32は、操作者に電子手順書集M0の中から所望の電子手順書Mを選択させ、その選択された電子手順書Mを、第2手順ウインドウで手順書表示部34に表示させれば、第2手順ウインドウを表示させる手順は任意である。
図6に示すように、手順書表示部34は、第2手順ウインドウにおいて、電子手順書Mを、左ページMLと右ページMRとの計2ページ表示する。左ページMLと右ページMRとに記載されている内容は、その電子手順書Mのベースとなった紙媒体の手順書の対応するページの記載内容と同じとなっている。また、左ページMLと右ページMRとは、連続するページである。例えば、左ページMLに3ページ目が表示されている場合、右ページMRにはその次の4ページ目が表示される。手順書表示部34は、左ページMLと右ページMRとの全体を、1画面で表示する。従って、作業者は、画面をスクロールすることなく、そのページに記載された手順を全て視認することができる。
図6に示すように、左ページMLと右ページMRとは、タイトル画像M1と、コメント画像M2と、アクション画像M3と、パラメータ画像M4と、バックアップアクション画像M5と、操作ボタン画像M6と、を表示する。タイトル画像M1は、各ページの最上部に表示される画像であり、その電子手順書Mの情報、例えば電子手順書Mの通し番号と運転の内容(原子炉の稼働、原子炉の停止等)が表示される。
コメント画像M2は、タイトル画像M1の下部に表示される画像であり、そのページに表示されている手順ステップの説明が表示されている。コメント画像M2における説明とは、例えばその手順ステップがすぐに実行しなければならないステップであるかの説明など、手順ステップを実行するにあたっての注意事項である。
アクション画像M3は、コメント画像M2の下部に表示される画像であり、手順ステップの番号と、アクションの内容と、正常レスポンスの内容とが表示される。手順ステップの番号とは、図6に示すように例えばステップS1、ステップS2、ステップS3等である。アクションの内容とは、その手順ステップにおいて作業者が実行する手順の内容である。正常レスポンスの内容とは、その手順が正しく実施された場合に、原子力プラントに起きる正常な反応の内容(例えば、対応箇所の信号が青になる、圧力レベルを下げる手順において、圧力レベルが正常に低下する等)が表示される。アクション画像M3は、手順ステップ毎に表示される。
パラメータ画像M4は、アクション画像M3における手順ステップに関連する原子力プラントのパラメータである関連パラメータの値や状態が表示される画像である。関連パラメータとは、その手順ステップで制御する制御対象の各種データや、その手順ステップを実行することによって変化するパラメータ等である。手順書記憶部30は、手順ステップ毎に関連パラメータの種類を記憶している。手順書表示制御部32は、表示された手順ステップの関連パラメータの種類を手順書記憶部30から読み出し、読み出した関連パラメータの現在値や現在の状態を、常用系システム100又は安全系システム110から取得し、パラメータ画像M4に表示させる。手順書表示制御部32は、経時毎に関連パラメータの現在値を取得し、最新の関連パラメータの値や状態を表示させる。また、手順書表示制御部32は、パラメータ画像M4に、経時毎の関連パラメータの値の変化を表示させてもよい。
パラメータ画像M4は、関連する手順ステップ毎に表示される。パラメータ画像M4は、関連するアクション画像M3の表示領域内に表示される。ただし、パラメータ画像M4は、関連するアクション画像M3に関連付けて表示されていれば、すなわち操作者がどのアクション画像M3に対応するパラメータなのか視認できる表示であれば、表示位置は任意である。
バックアップアクション画像M5は、手順ステップ毎のバックアップアクションの内容が表示される画像である。バックアップアクションとは、その手順ステップが実施されても正常レスポンスが起こらなかった場合において、作業者が実施すべき制御の内容である。バックアップアクション画像M5は、バックアップアクションとして、例えば、対応箇所の確認の指示や、次に実施すべき手順ステップの情報等を表示する。例えば、ステップS1で正常レスポンスが起こった場合は、作業者は、次のステップであるステップS2に移動するが、正常レスポンスが起こらなかった場合、ステップS2に移動せず、バックアップアクションで指示された他の手順ステップに移動してその手順を実行する。
バックアップアクション画像M5は、手順ステップ毎に表示される。バックアップアクション画像M5は、同じ手順ステップのアクション画像M3に隣接して(図6の例では右側に)表示される。ただし、バックアップアクション画像M5は、同じ手順ステップのアクション画像M3に関連付けて表示されていれば、すなわち操作者がどのアクション画像M3に対応するバックアップアクションなのか視認できる表示であれば、表示位置は任意である。
操作ボタン画像M6は、各種操作ボタンが表示される画像である。操作ボタンとしては、ブックマークされたページに移動するブックマークボタン、すでに表示したページに移動する履歴表示ボタン、第1手順ウインドウに戻るフォルダボタン、後述するフォルドアウトページを表示するフォルドアウトボタン、ページを移動する移動ボタン、プリントアウトするプリントアウトボタン、ページにハイライトマークを付与する付箋ボタン、ログアウトを行うログアウトボタン等がある。手順書表示制御部32は、各操作ボタンの選択、すなわち各操作ボタンのタッチを検出すると、その操作ボタンに割り当てられた機能を実行する。
第2手順ウインドウは、以上説明したレイアウトとなっているが、左ページMLと右ページMRとの表示は、図6で説明した同じ電子手順書Mの連続するページを表示する表示モード(連続表示モード)以外の表示モードにすることもできる。例えば、手順書表示制御部32は、操作者が2つの電子手順書Mを立ち上げた場合には、左ページMLと右ページMRとで、別々の電子手順書Mを表示させてもよい(独立表示モード)。
また、手順書表示制御部32は、左ページMLに表示された手順ステップにフォルドアウトページが付与されている場合は、右ページMRに、フォルドアウトページを表示させてもよい(フォルドアウト表示モード)。図7は、手順書表示部のフォルドアウトページの表示の例を示す図である。図7に示すように、フォルドアウトページ(折込ページ)は、右ページMRに表示されるページであり、フォルドアウト画像M7を有する。フォルドアウト画像M7は、左ページMLに表示された手順ステップを実行した場合に、すぐにモニタリング(確認)しなければならないパラメータの種類が表示されている。フォルドアウトページは手順ステップ毎に設けられており、手順ステップによっては、フォルドアウトページがないものもある。
手順書表示制御部32は、左ページMLに表示された手順ステップにフォルドアウトページが付与されている場合は、操作者の操作がなくても、右ページMRにフォルドアウトページを表示させる。ただし、手順書表示制御部32は、操作者の操作がない場合は、連続表示モードにしていてもよい。この場合、手順書表示制御部32は、フォルドアウトページが付与されている手順ステップに関連付けて、フォルドアウトページが付与されている旨が記載された表示を行わせ、操作者による上述のフォルドアウトボタンのタッチを検出した場合に、右ページMRにフォルドアウトページを表示させてもよい。
手順書表示部34は、以上説明したように、第2手順ウインドウにおいて電子手順書Mの表示を行う。さらに、手順書表示制御部32は、第2手順ウインドウにおいて、各手順ステップが操作者によって選択された旨を表示させる。手順書表示部34は、第2手順ウインドウにおいて、操作者による手順ステップの選択を検出した場合(操作者によるアクション画像M3のタッチが検出された場合)、その手順ステップが選択された旨の表示を、手順書表示部34に行わせる。具体的には、手順書表示制御部32は、アクション画像M3が表示されている領域である手順ステップ表示領域M3Aへの、操作者からのタッチを検出した場合、その手順ステップ表示領域M3Aの色を変化させる。本実施形態においては、手順書表示制御部32は、手順ステップ表示領域M3Aに、第1色、第2色、第3色、又は第4色のいずれか一色を表示させる。手順書表示制御部32は、タッチを検出する毎に、表示させる色を切り替える。第1色は、その手順ステップが実行されていない状態である未実行状態である旨を示すものである。第2色は、その手順ステップを実行中である実行状態である旨を示すものである。第3色は、その手順ステップが終了した状態である終了状態である旨を示すものである。第4色は、今回の制御ではその手順ステップを適用しない(実行しない)状態である非適用状態である旨を示すものである。手順書表示制御部32は、最初に、全ての手順ステップの手順ステップ表示領域M3Aに、第1色を表示させる。手順書表示制御部32は、タッチ検出毎に、第2色、第3色、第4色、第1色・・・とループさせながら色を変化させる。
このように手順ステップ表示領域M3Aの色を変化させることにより、操作者は、例えば、第3色が表示されている手順ステップについては、実行済みであることを確認し、第2色が表示されている手順ステップについて、実行中であることを確認することができる。
ただし、手順書表示制御部32は、手順ステップの各状態(未実行状態、実行状態、終了状態、非適用状態)を示す通知を、手順ステップ表示領域M3Aに表示するものであれば、色を変化させることに限られない。例えば、手順書表示制御部32は、手順ステップ表示領域M3Aに、各状態名を示す文字や、状態毎に割り当てされた異なるマークを表示させるものであってもよい。また、手順書表示制御部32は、上記4つの状態を通知することに限られず、少なくとも、終了状態である旨を表示するものであればよい。すなわち、手順書表示制御部32は、手順ステップの選択が検出された場合に、手順書表示部34に、その手順ステップに記載された手順が実行された旨の表示を行わせればよい。例えば、手順書表示制御部32は、手順書表示部34に、まだタッチされていない初期の状態(例えば未実行状態)と、タッチされた場合の状態(例えば終了状態)との2種類の状態を表示させるものであればよい。
また、手順書表示制御部32は、タッチを行った操作者のIDに基づき、そのタッチを行った操作者を特定することができる。手順書表示制御部32は、タッチにより選択された手順ステップの内容と、そのタッチを行った操作者のIDと、そのタッチによって変化した後の手順ステップの状態(未実行状態、実行状態、終了状態、非適用状態)とを、互いに関連付けて手順書記憶部30に記憶させる。これにより、どの作業者又は監督者が、どの手順ステップの状態をどのように変化させたかを、確認することが可能となる。
以下に、第1電子手順書表示装置12Aと第2電子手順書表示装置12Bとの関連について説明する。第1電子手順書表示装置12Aと第2電子手順書表示装置12Bとは、同じ電子手順書Mを表示するものである。すなわち、作業者は、第1電子手順書表示装置12Aの電子手順書Mの表示を見ながら、原子力プラントの制御を行う。そして、監督者は、その第1電子手順書表示装置12Aの表示と同じ電子手順書Mの表示を見ながら、作業者による操作を監督する。なお、第1電子手順書表示装置12Aと第2電子手順書表示装置12Bとが表示する電子手順書Mは同じであるが、表示するページは、電子手順書表示装置12毎の操作により異なる場合がある。
第1電子手順書表示装置12Aと第2電子手順書表示装置12Bとは、いずれか一方の手順ステップ表示領域M3Aのタッチが検出された場合、自身の手順ステップ表示領域M3Aの色を変化させるだけでなく、他方の電子手順書表示装置12における同じ手順ステップの手順ステップ表示領域M3Aも、同じ色に変化させる。例えば、作業者がタッチを行って、第1電子手順書表示装置12AのステップS1の手順ステップ表示領域M3Aを第2色に変化させた場合、第1電子手順書表示装置12Aの手順書表示制御部32は、第2電子手順書表示装置12Bの手順書表示制御部32にその旨の情報を出力する。第2電子手順書表示装置12Bの手順書表示制御部32は、その情報に基づき、自身の手順書表示部34におけるステップS1の手順ステップ表示領域M3Aの領域を、第2色に変化させる。
また、第1電子手順書表示装置12Aと第2電子手順書表示装置12Bとが複数ある場合においても、いずれか1つの電子手順書表示装置12の手順ステップ表示領域M3Aのタッチを検出すると、全ての電子手順書表示装置12の手順ステップ表示領域M3Aの領域を、同じ色に変化させる。この手順ステップ表示領域M3Aの色の変化は、全ての電子手順書表示装置12に反映されるため、複数の操作者によって複数回タッチされた場合でも、最後のタッチによる色の変化を、全ての電子手順書表示装置12に反映することができる。
また、手順書表示制御部32は、手順ステップ表示領域M3Aの色を変化させる際に、そのタッチを行った操作者のIDを、例えばポップアップ等で、手順ステップ表示領域M3Aに表示させる。そして、手順書表示制御部32は、この操作者のIDを、他の電子手順書表示装置12における手順ステップ表示領域M3Aにも同様に表示させる。これにより、全ての電子手順書表示装置12の操作者(作業者及び監督者)は、どの作業者又は監督者が、どの手順ステップの状態をどのように変化させたかを、その場で確認することが可能となる。
なお、本実施形態においては、第1電子手順書表示装置12Aと第2電子手順書表示装置12Bとを独立する別々の装置(コンピュータ)として説明したが、これらは1つの装置であって、複数(2つ)の手順書表示部34を有するものであってもよい。すなわち、本実施形態においては、電子手順書表示装置12は、1つの手順書記憶部30、1つの手順書表示制御部32、及び1つの手順書表示部34を有する装置が複数で構成されるものである。ただし、電子手順書表示装置12は、1つの手順書記憶部30、1つの手順書表示制御部32、複数の手順書表示部34を有するものであってもよい。このような場合、手順書表示制御部32が複数の手順書表示部34の表示を制御するが、表示制御の内容は上述の説明と同様である。
以下、手順書表示制御部32による手順書表示部34の表示の制御フローについて、フローチャートに基づき説明する。図8は、手順書表示制御部による手順書表示部の表示の制御フローを説明するフローチャートである。図8に示すように、手順書表示制御部32は、操作者によって電子手順書表示装置12が立ち上げられた場合に、手順書表示部34にログイン画面を表示させ、操作者にログインさせる(ステップS10)。操作者からのログインを検出した後、手順書表示制御部32は、手順書表示部34に、第1手順ウインドウを表示させ(ステップS12)、操作者による電子手順書Mの選択が検出されたかを判断する(ステップS14)。第1手順ウインドウは、操作者に、電子手順書集M0から所望の電子手順書Mを選択させるための画面である。手順書表示制御部32は、操作者による電子手順書Mの選択を検出したら(ステップS14;Yes)、手順書表示部34に第2手順ウインドウを表示させ、選択された電子手順書Mを表示させる(ステップS15)。手順書表示制御部32は、操作者による電子手順書Mの選択が検出されない場合(ステップS14;No)、ステップS14に戻り、操作者による電子手順書M選択の検出を続ける。
第2手順ウインドウで電子手順書Mを表示させた後、手順書表示制御部32は、表示された電子手順書M中の手順ステップに対して、操作者の選択が検出されたかを判断する(ステップS16)。手順書表示制御部32は、手順ステップの内容が記載された領域である手順ステップ表示領域M3Aに対してタッチ操作がなされた場合、その手順ステップが操作者に選択されたと判断する。操作者の選択が検出された場合(ステップS16;Yes)、その選択をした操作者の情報と、選択された手順ステップの内容と、選択内容と、選択がなされた日時とを、手順書記憶部30に記憶させる(ステップS17)。選択をした操作者の情報とは、操作者のIDである。選択内容とは、その手順ステップ表示領域M3Aをどの色に変化させるのか、すなわちその手順ステップをどの状態(未実行状態、実行状態、終了状態、非適用状態)とするのかの情報である。操作者の選択が検出されない場合(ステップS16;No)、ステップS16に戻り、操作者による手順ステップ選択の検出を続ける。
手順書表示制御部32は、操作者の情報と、選択された手順ステップの内容と、選択内容と、日時とを記憶させた後、全ての手順書表示部34の手順ステップ表示領域M3Aの色を変化させる(ステップS18)。すなわち、電子手順書表示装置12が複数ある場合、手順書表示制御部32は、いずれか1つの電子手順書表示装置12の手順ステップ表示領域M3Aへの選択を検出すると、全ての電子手順書表示装置12における同じ手順ステップ表示領域M3Aの領域を、同じ色に変化させる。
全ての手順書表示部34の手順ステップ表示領域M3Aの色を変化させた後、ステップS19に移動して、操作者による電子手順書Mの表示処理が終了された場合(ステップS19;Yes)、表示処理を終了する。操作者による電子手順書Mの表示処理が終了されなかった場合(ステップS19;No)、ステップS16に戻り、表示処理を続ける。
以上説明したように、本実施形態に係る原子力プラントの電子手順書表示装置12は、手順書記憶部30と、手順書表示制御部32と、手順書表示部34とを有する。手順書記憶部30は、電子手順書Mを記憶する。電子手順書Mは、原子力プラントの運転操作手順が、手順ステップ毎に区分されて記載されているデータである。手順書表示部34は、電子手順書Mを表示する。手順書表示制御部32は、電子手順書Mの表示を制御するものであり、手順書表示部34に表示された手順ステップがその電子手順書表示装置12の操作者に選択された場合に、手順書表示部34に、その手順ステップが選択された旨の表示を行わせる。
この電子手順書表示装置12によると、作業者は、電子手順書Mの表示に従って原子力プラントの運転操作を行うことができる。また、この際、電子手順書表示装置12は、作業者が手順書表示部34上の手順ステップを選択した場合に、その手順ステップが選択された旨を表示する。作業者は、例えばある手順ステップの実行が終了した際に、手順書表示部34上のその手順ステップを選択する。手順書表示部34にはその手順ステップが選択された旨が表示されるので、作業者は、その表示を視認することで、選択に応じた手順ステップの進捗状況(例えばその手順ステップが終了した等)を確認することができる。このように、この電子手順書表示装置12によると、作業者は、電子手順書Mの表示に従って原子力プラントの運転操作を行いつつ、手順書表示部34上の表示から、その手順ステップの進捗状況を確認することができる。そのため、この電子手順書表示装置12によると、作業者は、原子力プラントの運転操作での誤操作を抑制することができ、監視負担及び作業負担を軽減することができる。
また、手順書表示制御部32は、手順ステップが選択された旨の表示として、手順ステップの選択が検出された場合に、手順書表示部34に、その手順ステップに記載された手順が実行済み(終了状態)である旨の表示を行わせる。この電子手順書表示装置12によると、手順ステップに記載された手順が実行済みである旨の表示がなされる。そのため、作業者は、その表示を確認することで原子力プラントの運転操作での誤操作を抑制することができ、監視負担及び作業負担を軽減することができる。
また、手順書表示制御部32は、手順ステップに関連する原子力プラントのパラメータを、手順ステップの表示(アクション画像M3)に関連付けて表示する。この電子手順書表示装置12によると、その手順ステップに関連したパラメータとその手順ステップの内容とを、同じ画面で確認しつつ、その手順ステップを実行することができる。従って、作業者は、その表示を確認することで原子力プラントの運転操作での誤操作を抑制することができ、監視負担及び作業負担を軽減することができる。
また、手順書表示制御部32は、手順ステップを選択した操作者を特定して、その手順ステップを選択した操作者の情報を、選択された手順ステップに関連付けて、手順書記憶部30に記憶させる。この電子手順書表示装置12によると、手順書記憶部30の情報を読み出すことで、どの作業者又は監督者が、どの手順ステップの状態を、どのように変化させたかを、確認することが可能となる。従って、この電子手順書表示装置12によると、作業履歴を確認することができるため、原子力プラントの運転操作における監視負担を軽減することができる。
また、手順書表示部34は、手順ステップが表示される手順ステップ表示領域M3Aを有するタッチパネルであり、手順書表示制御部32は、手順ステップ表示領域M3Aが操作者にタッチされた場合に、タッチされた手順ステップ表示領域M3Aの色を変化させることにより、その手順ステップ表示領域M3Aに表示された手順ステップが選択された旨の表示を行わせる。この電子手順書表示装置12によると、手順ステップが記載された手順ステップ表示領域M3Aをタッチすることでその手順ステップを選択することができる。従って、操作者の誤選択を抑制することができる。また、この電子手順書表示装置12によると、手順ステップが記載された手順ステップ表示領域M3Aの色を変化させることで、選択した旨の表示を行うことができる。そのため、この電子手順書表示装置12は、操作者が選択されたか否かの視認を誤ることを抑制することができる。このように、この電子手順書表示装置12によると、原子力プラントの運転操作における監視負担を軽減することができる。
また、本実施形態に係る電子手順書表示装置12は、同じ内容の電子手順書Mを表示する複数の手順書表示部34を有する。そして、手順書表示制御部32は、いずれか1つの手順書表示部34に表示された手順ステップが選択された場合に、他の手順書表示部34にも、その手順ステップが選択された旨の表示を行わせる。この電子手順書表示装置12によると、複数の作業者又は監視者により、それぞれの手順書表示部34に表示された電子手順書Mが読まれていた場合にも、全ての作業者又は監視者が、その手順ステップが選択された旨、すなわちその手順ステップの進捗状況を、その場で確認することができる。従って、この電子手順書表示装置12によると、原子力プラントの運転操作における監視負担を軽減することができる。
なお、本実施形態において設定された手順ステップの状態は、未実行状態、実行状態、終了状態、非適用状態の4種類であり、全ての作業者及び監督者がタッチによりその状態へ変化させる(色を変える)ことが可能である。ただし、手順書表示制御部32は、操作者の情報(ID)に基づき、各状態へ変化させられる人を制限する、すなわち所定の状態への変化は、所定の人による選択のみを受け付けるものであってもよい。例えば、運転手順の実行者は、監督者でなく作業者である。従って、手順書表示制御部32は、作業者から選択(タッチ)された場合にのみ、実行状態への変化(第2色への変化)、又は終了状態への変化(第3色への変化)を受け付け、監督者から選択(タッチ)が行われても、実行状態への変化(第2色への変化)、又は終了状態への変化(第3色への変化)は行わせない。
また、この場合、手順ステップの状態として、監督者のみが選択できる承認状態(例えば第5色)を加えてもよい。例えば、作業者は、ある手順ステップを終了した場合、手順書表示部34の第2手順ウインドウからその手順ステップを選択(タッチ)して、終了状態に変化させる。監督者は、その手順ステップが終了したことを確認してから、終了状態に変化した手順ステップを選択(タッチ)することにより、その手順ステップを承認状態に変化させる。これにより、全ての作業者及び監督者は、その手順ステップの終了が、監督者から確認済み(承認済み)であることを認識することができる。
(安全系制御監視システム)
次に、安全系制御監視システム8について詳細に説明する。図9は、安全系制御監視システムと安全系システムとの接続関係を示すブロック図である。上述のように、安全系システム110は、原子力プラントの異常時に、原子力プラントを安全に停止させるためのシステムである。安全系制御監視システム8は、事故等で常用系制御システム6により安全系システム110の監視及び制御ができない場合に、安全系システム110の監視及び制御を行うものである。安全系システム110は、互いに同じ機能を備える複数の安全系装置111を有する。各安全系装置111は、互いに異なる系統で個別に制御される。図9に示すように、本実施形態の説明においては、安全系システム110は、複数の安全系装置111として、第1安全系装置111Aと、第2安全系装置111Bと、第3安全系装置111Cと、第4安全系装置111Dとを有し、4系統(4トレン)の構成となっている。ただし、系統数は4つに限られず、複数であれば任意である。
図9に示すように、安全系制御システム16が有する第1安全系制御装置17Aは、第1安全系装置111Aから、第1安全系装置111Aの各部の状態やパラメータ等のデータを逐次取得して表示(モニタ)し、第1安全系装置111Aの動作を制御する。また、第2安全系制御装置17Bは、第2安全系装置111Bから、第2安全系装置111Bの各部の状態やパラメータ等のデータを逐次取得して表示(モニタ)し、第2安全系装置111Bの動作を制御する。また、第3安全系制御装置17Cは、第3安全系装置111Cから、第3安全系装置111Cの各部の状態やパラメータ等のデータを逐次取得して表示(モニタ)し、第3安全系装置111Cの動作を制御する。また、第4安全系制御装置17Dは、第4安全系装置111Dから、第4安全系装置111Dの各部の状態やパラメータ等のデータを逐次取得して表示(モニタ)し、第4安全系装置111Dの動作を制御する。以下、第1安全系制御装置17A、第2安全系制御装置17B、第3安全系制御装置17C、及び第4安全系制御装置17Dを区別しない場合は、安全系制御装置17と記載する。このように、安全系制御システム16は、トレン毎、すなわち安全系装置111毎に1つずつ安全系制御装置17を有している。安全系制御装置17の数は安全系装置111の数と同じとなる。各安全系装置111は、このように互いに異なる系統で各安全系制御装置17により個別に制御されているため、いずれかに故障が生じても、他の安全系装置111が別系統で動作することにより、機能喪失を抑制している。安全系制御装置17の詳細な構成については後述する。
図9に示すように、安全系パラメータモニタシステム18が有する第1安全系パラメータモニタ装置19Aは、第1安全系装置111A、第2安全系装置111B、第3安全系装置111C、及び第4安全系装置111Dから、それぞれの安全系装置111のデータを逐次取得して表示(モニタ)するものである。第1安全系パラメータモニタ装置19Aは、1つの装置で、全ての安全系装置111のデータを取得、表示する。第1安全系パラメータモニタ装置19Aは、データを表示するが、安全系装置111を制御するものではない。第2安全系パラメータモニタ装置19Bは、第1安全系パラメータモニタ装置19Aと同じ機能を有する。第1安全系パラメータモニタ装置19Aと第2安全系パラメータモニタ装置19Bとは、いずれかに故障が生じても、他方が動作することにより、表示機能喪失を抑制している。以下、第1安全系パラメータモニタ装置19Aと第2安全系パラメータモニタ装置19Bとを区別しない場合は、安全系パラメータモニタ装置19と記載する。安全系パラメータモニタ装置19の数は、安全系装置111の数に依存するものではなく、複数であればその数は任意である。安全系パラメータモニタ装置19の詳細な構成は、後述する。
図10Aは、安全系制御装置の構成を示すブロック図である。安全系制御装置17は、VDU(Visual Display Unit)であり、図10Aに示すように、安全系制御部20と、安全系表示部21と、を有する。安全系制御部20は、CPU(Central Processing Unit)であり、安全系モニタ制御部22、安全系操作部24、及びタスク制御部25として動作する。安全系表示部21は、画像表示パネルであり、安全系制御部20の制御に基づき、安全系装置111の各種データを表示したり、安全系装置111の動作を制御するための画面を表示したりするものである。また、安全系表示部21は、タッチパネルであり、操作者(作業者)の操作(タッチ)を検出する。安全系制御部20は、操作者による安全系表示部21の操作に基づき、自身に割り当てられた安全系装置111の動作を制御する。
安全系モニタ制御部22は、自身に割り当てられた安全系装置111から、その安全系装置111の各部の状態やパラメータ等のデータを逐次取得して、安全系表示部21に、安全系モニタウインドウを表示させる。安全系モニタウインドウは、安全系モニタ制御部22が取得した安全系装置111の各部の状態やパラメータ等のデータを表示するウインドウである。具体的には、安全系モニタ制御部22は、操作者によって安全系モニタウインドウの表示が選択された場合に、安全系表示部21に安全系モニタウインドウを表示させる。安全系モニタ制御部22は、安全系装置111のパラメータのうち、操作者に個別に選択されたパラメータを、安全系モニタウインドウに表示させる。このように、安全系モニタ制御部22は、複数の安全系装置111のうち、自身に割り当てられた安全系装置111のパラメータのみを表示させる。
安全系操作部24は、安全系表示部21に、自身に割り当てられた安全系装置111の動作を制御するための安全系操作ウインドウを表示させる。具体的には、安全系操作部24は、操作者によって安全系操作ウインドウの表示が選択された場合に、安全系操作ウインドウを表示させる。操作者は、安全系操作ウインドウから、安全系装置111中のコンポーネントのうち制御したいコンポーネントを選択し、制御内容を入力する。安全系操作部24は、操作者の入力に基づき、選択されたコンポーネントの動作を制御する。このように、安全系操作部24は、複数の安全系装置111のうち、自身に割り当てられた安全系装置111のみを制御する。
タスク制御部25は、安全系表示部21に、自身に割り当てられた安全系装置111の動作を制御するためのタスクウインドウを表示させるものであるが、詳細な説明は後述する。
操作者は、複数の安全系制御装置111から、監視又は制御した安全系装置111を選択して、選択した安全系装置111に割り当てられた安全系制御装置17を操作する。そして、操作者は、その安全系制御装置17に表示される画面(安全系モニタウインドウ、安全系操作ウインドウ、タスクウインドウ)を切り替えて、選択した安全系装置111の監視又は制御を行う。
図10Bは、安全系パラメータモニタ装置の構成を示すブロック図である。安全系パラメータモニタ装置19は、VDU(Visual Display Unit)であり、図10Bに示すように、安全系パラメータ表示制御部26と、安全系パラメータ表示部27と、を有する。安全系パラメータ表示制御部26は、CPU(Central Processing Unit)であり、並列パラメータモニタ制御部28、及びタスクパラメータモニタ制御部29として動作する。安全系パラメータ表示部27は、画像表示パネルであり、安全系パラメータ表示制御部26の制御に基づき、安全系システム110(全ての安全系装置111)の各種データを、逐次表示(モニタ)する。また、安全系パラメータ表示部27は、タッチパネルであり、操作者(作業者)の操作(タッチ)を検出する。
並列パラメータモニタ制御部28は、全ての安全系装置111から、各種パラメータや各部の状態の情報である安全系パラメータPaを逐次取得して、安全系パラメータ表示部27に、並列パラメータウインドウを表示させる。並列パラメータウインドウは、安全系モニタ制御部22が取得した安全系パラメータPaを表示するウインドウである。言い換えれば、並列パラメータモニタ制御部28は、安全系システム110(全ての安全系装置111)の安全系パラメータPaの全てを、安全系パラメータ表示部27の一画面上に一括(Spatially Dedicated Continuous Visible)して表示させるものである。なお、並列パラメータモニタ制御部28は、操作者によって並列パラメータウインドウの表示が選択された場合に、安全系パラメータ表示部27に並列パラメータウインドウを表示させる。
タスクパラメータモニタ制御部29は、全ての安全系装置111から安全系パラメータPaを逐次取得して、安全系パラメータ表示部27にタスクパラメータウインドウを表示させる。タスクパラメータウインドウは、タスクパラメータモニタ制御部29が取得した安全系パラメータPaを表示するウインドウである。タスクパラメータモニタ制御部29は、操作者によってタスクパラメータウインドウの表示が選択された場合に、安全系パラメータ表示部27にタスクパラメータウインドウを表示させる。
このように、安全系パラメータモニタ装置19は、全ての安全系装置111の安全系パラメータPaを表示するものである。操作者は、その安全系制御装置17に表示される画面(並列パラメータウインドウ、タスクパラメータウインドウ)を切り替えて、全ての安全系装置111の監視を行う。
なお、安全系パラメータPaとは、具体的には、炉心冷却の維持及び保有水の維持など、原子力プラントの安全機能(CSF;Critical Safety Function)の維持に必要なプラント安全機能に影響を及ぼすパラメータである。安全系パラメータPaの種類は、予め定められている。安全機能は、例えば「IAEA Safety Standards Severe Accident Management Programmes for Nuclear Power Plants No.NS−G−2.15」に規定されている。
以下、並列パラメータウインドウ、タスクパラメータウインドウ、及びタスクウインドウについて詳細に説明する。
(並列パラメータウインドウ)
図11は、並列パラメータウインドウの表示の例を説明する説明図である。並列パラメータモニタ制御部28は、安全系パラメータ表示部27に、並列パラメータウインドウを表示させる。図11に示すように、並列パラメータウインドウは、安全系パラメータPaを表示する並列パラメータ画像42Aと、安全機能パラメータ表示画像42Bとを表示する。
並列パラメータ画像42Aは、安全系パラメータ表示部27の画像表示面のほぼ全面に表示される画像である。並列パラメータモニタ制御部28は、並列パラメータ画像42Aとして、安全系パラメータPaの最新の値を、安全系パラメータPaの種類毎に、かつ、安全系装置111毎に並べて表示させる。図11の例では、並列パラメータ画像42Aにおいて、テーブル状に安全系パラメータPaが表示されている。並列パラメータ画像42Aにおいては、安全系パラメータPaの種類の名称(パラメータPa1、Pa2、Pa3、Pa4、Pa5、Pa6)を示す安全パラメータ種類画像42Cが、列状に表示されている。また、各安全パラメータ種類画像42Cに隣接して、各安全系パラメータPaの値を逐次更新しながら表示する安全パラメータ値画像42Dが、安全系装置111毎に行方向に配列して表示されている。例えば、図11の例では、パラメータPa1という安全パラメータ種類画像42Cと同行に、安全パラメータ値画像42Dとして、第1安全系装置111AのパラメータPa1の値と、第2安全系装置111BのパラメータPa1の値と、第3安全系装置111CのパラメータPa1の値と、第4安全系装置111DのパラメータPa1の値と、が表示される。
上述のように、安全系パラメータPaの種類は、予め定められている。並列パラメータ画像42Aは、CSF(安全機能)に関わる全ての安全系パラメータPaを表示するものである。並列パラメータ表示制御部28は、各安全系パラメータPaを、列方向の上から下に向かって、原子力プラントの安全に重要なパラメータから順に表示させる。また、並列パラメータ表示制御部28は、安全系パラメータ表示部27に、安全系パラメータPaの全てを1画面で表示させる。なお、並列パラメータ表示制御部28は、全ての安全系パラメータPaのうち、予め選択された安全系パラメータPaだけを表示してもよい。
また、並列パラメータモニタ制御部28は、並列パラメータ画像42Aとして表示させた安全系パラメータPaのうち、正常な値や状態でない、すなわち異常な値や状態である安全系パラメータPaを、正常な安全系パラメータPaと区別して表示する。本実施形態においては、並列パラメータモニタ制御部28は、異常な値や状態を表示する安全パラメータ値画像42Dを、黄色や赤色など正常なものとは異なる色でハイライトする。
安全機能パラメータ表示画像42Bは、並列パラメータ画像42Aの上部に表示される画像である。並列パラメータモニタ制御部28は、安全機能パラメータ表示画像42Bとして、並列パラメータ画像42Aで表示させた各安全機能(炉心冷却の維持、保有水の維持など)に影響する安全系パラメータPaが、異常状態を示した場合に、その異常状態によって影響される各安全機能の種類(炉心冷却の維持、保有水の維持など)を異常/正常状態で表示するものである。例えば、図11の例では、パラメータPa1、Pa3の状態が異常であって、パラメータPa1に対応する安全機能F1(例えば炉心冷却の維持)の状態がNGであり、パラメータPa3に対応する安全機能F3(例えば保有水の維持)の状態が正常より低い状態であるLowである旨を表示している。
(タスクパラメータウインドウ)
次に、タスクパラメータウインドウについて詳細に説明する。タスクパラメータモニタ制御部29は、タスクパラメータウインドウとして、後述する第1タスクパラメータウインドウと、第2タスクパラメータウインドウとを切り替えて、安全系パラメータ表示部27に表示させる。図12は、第1タスクパラメータウインドウの例を示す図である。タスクパラメータモニタ制御部29は、操作者によってタスクパラメータウインドウが選択されたら、安全系パラメータ表示部27に、第1タスクパラメータウインドウを表示させる。図12に示すように、第1タスクパラメータウインドウは、メニュー画面であり、タイトル画像46Aと、操作ボタン画像46Bと、メニュー画像46Cとを表示する。タイトル画像46Aは、画面の上部に表示される画像であり、この第1表示の名称(例えば、「タスクパラメータメニュー画面」)を表示する。操作ボタン画像46Bは、画面の側部に表示される画像であり、表示を制御する各種操作ボタンが表示される。メニュー画像46Cは、タイトル画像46Aの下部であって画面のほぼ全面に表示される画像であり、複数の手順画像46Dを表示する。手順画像46Dは、緊急手順の通し番号とその緊急手順の名称(内容)とを表示する画像である。手順画像46Dは、通し番号が記載された緊急手順を選択するためのボタン表示である。緊急手順とは、原子力プラントの異常時に、原子力プラントを安全に停止させるための運転手順である。緊急手順は、運転内容に応じて複数準備されている。図12の例では、複数の手順画像46Dは、それぞれ、緊急第1手順、緊急第2手順、緊急第3手順を表示している。
図13は、第2タスクパラメータウインドウの例を示す図である。タスクパラメータモニタ制御部29は、操作者による手順画像46Dの選択、すなわち操作者による手順画像46Dのタッチを検出すると、第1タスクパラメータウインドウから第2タスクパラメータウインドウへと表示を変更させる。図13に示すように、安全系パラメータ表示部27は、第2タスクパラメータウインドウにおいて、画像表示面に、操作ボタン画像46Bと、タイトル画像46Gと、タスクパラメータ画像46Hとを表示する。
タイトル画像46Gは、画面の上部に表示される画像であり、選択された緊急手順の通し番号と、その緊急手順の内容とを表示する。図13の例では、緊急第1手順が選択されており、タイトル画像46Gにおいて、通し番号である「緊急第1手順」という表示と、第1緊急手順の内容である「リアクタートリップ」が表示されている。
タスクパラメータ画像46Hは、タイトル画像46Gの下部であって画面のほぼ全面に表示される画像である。タスクパラメータ画像46Hは、安全系パラメータPaを、緊急操作手順の手順ステップ毎に、かつ、安全系装置111毎に並べて表示する。図13の例では、タスクパラメータ画像46Hにおいて、テーブル状に安全系パラメータPaが表示されている。タスクパラメータ画像46Hにおいては、ステップ画像46Iと、安全パラメータ種類画像46Jと、安全パラメータ値画像46Kとが、表示されている。ステップ画像46Iは、緊急操作手順の手順ステップを、列方向に順番に表示している画像である。安全パラメータ種類画像46Jは、ステップ画像46Iに隣接して表示されている画像である。安全パラメータ種類画像46Jは、ステップ画像46Iに表示された手順ステップに関連する安全系パラメータPaの種類(名称)を、ステップ画像46Iの手順ステップに関連付けて表示する。安全パラメータ値画像46Kは、安全パラメータ種類画像46Jに隣接して表示される画像であり、各安全系パラメータPaの値を逐次更新しながら表示する。なお、手順ステップに関連する安全系パラメータPaとは、その手順ステップでの制御対象の各種パラメータや、その手順ステップを実行することによって変化するパラメータ等である。
図13の例では、第1緊急手順の手順ステップは、ステップS1a、S2a、S3a、S4aである。タスクパラメータ表示部46は、ステップ画像46Iとして、列方向に上から順に、ステップS1a、S2a、S3a、S4aを表示している。そして、タスクパラメータ表示部46は、安全パラメータ種類画像46Jとして、パラメータPa1、Pa2、Pa3、Pa4、Pa5、Pa6を表示している。ステップS1aに関連する安全系パラメータPaは、パラメータPa1、Pa4であり、ステップS2aに関連する安全系パラメータPaは、パラメータPa2、Pa3であり、ステップS3aに関連する安全系パラメータPaは、パラメータPa5であり、ステップS4aに関連する安全系パラメータPaは、パラメータPa6である。安全系パラメータ表示部27は、ステップS1aの表示に隣接してパラメータPa1を表示し、その次行にパラメータPa4を表示している。また、安全系パラメータ表示部27は、パラメータPa4の表示の次行に、ステップS2aを表示し、それに隣接してパラメータPa2を表示している。安全系パラメータ表示部27は、このような配列で表示することにより、各手順ステップに関連する安全系パラメータPaを、その手順ステップに関連付けて表示する。
また、図13の例では、安全系パラメータ表示部27は、パラメータPa1という安全パラメータ種類画像46Jと同じ行に、安全パラメータ値画像46Kとして、第1安全系装置111AのパラメータPa1の値と、第2安全系装置111BのパラメータPa1の値と、第3安全系装置111CのパラメータPa1の値と、第4安全系装置111DのパラメータPa1の値と、を逐次更新しつつ表示する。操作者は、この第2タスクパラメータウインドウを視認して、これから実行する手順ステップに関連するパラメータを確認する。なお、操作者は、操作ボタン画像46Bのボタンを操作することにより、他の手順ステップ(例えば次のステップS5a)とそれに関連する安全系パラメータPaを表示するタスクパラメータ画像46Hに切り替える。
操作者は、安全系パラメータモニタ装置19に対し、必要に応じて、以上説明した並列パラメータウインドウとタスクパラメータウインドウとを切り替えて表示させる。
(タスクウインドウ)
次に、タスクウインドウについて詳細に説明する。タスク制御部25は、タスクウインドウとして、後述する第1タスクウインドウと、第2タスクウインドウと、第3タスクウインドウとを切り替えて、安全系表示部21に表示させる。図14は、第1タスクウインドウの例を示す図である。タスク制御部25は、操作者によってタスクウインドウが選択されたら、安全系表示部21に、第1タスクウインドウを表示させる。図14に示すように、第1タスクウインドウは、メニュー画面であり、タイトル画像48Aと、操作ボタン画像48Bと、メニュー画像48Cとを表示する。タイトル画像48Aは、画面の上部に表示される画像であり、この第1タスクウインドウの名称(例えば、「タスクメニュー画面」)を表示する。操作ボタン画像48Bは、画面の側部に表示される画像であり、各種操作ボタンが表示される。メニュー画像48Cは、タイトル画像48Aの下部であって画面のほぼ全面に表示される画像であり、複数の手順画像48Dを表示する。手順画像48Dは、緊急手順の通し番号とその緊急手順の内容とを表示する画像である。手順画像48Dは、通し番号又は名称が表示されている緊急手順を選択するためのボタン表示である。図14の例では、複数の手順画像48Dは、それぞれ、緊急第1手順、緊急第2手順、緊急第3手順を表示している。このように、図14の例での第1タスクウインドウの表示内容は、図12の例での第1タスクパラメータウインドウの表示内容と共通する。
図15は、第2タスクウインドウの例を示す図である。タスク制御部25は、操作者による手順画像48Dの選択、すなわち操作者による手順画像48Dのタッチ操作を検出すると、第1タスクウインドウから第2タスクウインドウへと表示を変更させる。安全系装置111は、複数のコンポーネントから構成されており、第2タスクウインドウは、第1タスクウインドウで選択された緊急手順において制御が必要なコンポーネントを選択するための画面である。図15に示すように、安全系表示部21は、第2タスクウインドウにおいて、画像表示面に、操作ボタン画像48Bと、タイトル画像48Gと、操作対象画像48Hとを表示する。
タイトル画像48Gは、画面の上部に表示される画像であり、選択された緊急手順の通し番号と、その緊急手順の内容とを表示する。図15の例では、緊急第1手順が選択されており、タイトル画像48Gにおいて、通し番号である「緊急第1手順」という文字と、緊急第1手順の内容である「リアクタートリップ」という文字が表示されている。
操作対象画像48Hは、タイトル画像48Gの下部であって画面のほぼ全面に表示される画像である。操作対象画像48Hは、安全系装置111が有するコンポーネントのうち、操作対象となるコンポーネントを、緊急手順の手順ステップ毎に表示する。図15の例では、操作対象画像48Hにおいて、ステップ画像48Iと、対象装置画像48Jとを表示する。ステップ画像48Iは、緊急操作手順の手順ステップの番号を、列方向に順番に表示している画像である。対象装置画像48Jは、ステップ画像48Iに隣接して表示される画像である。対象装置画像48Jは、ステップ画像48Iに表示された手順ステップにおいて操作が必要なコンポーネントの名称を、そのステップ画像48Iで表示された手順ステップと関連付けて表示する。対象装置画像48Jは、名称が表示されたコンポーネントを立ち上げるためのボタン表示である。
図15の例では、安全系表示部21は、ステップ画像48Iとして、第1緊急手順の手順ステップのうち、ステップS1a、S2aを表示している。そして、安全系表示部21は、対象装置画像48Jとして、ステップS1aの表示に隣接して、ステップS1aにおいて操作が必要なコンポーネントであるコンポC1、コンポC3、コンポC4等を表示している。また、ステップS1aの表示の次行には、ステップS1aにおいて操作が必要なコンポーネントであるコンポC5等を表示している。安全系表示部21は、コンポC5の表示の次行に、ステップ画像48Iとして、ステップS2aを表示しており、その表示に隣接して、ステップS2aにおいて操作が必要なコンポーネントであるコンポC1、コンポC2、コンポC8等を表示している。安全系表示部21は、このような配列で表示することにより、各手順ステップにおいて操作が必要なコンポーネントを、その手順ステップに関連付けて表示する。なお、操作者は、操作ボタン画像48Bのボタンを操作することにより、他の手順ステップ(例えば次のステップS3a)とそれに関連するコンポーネンを表示する操作対象画像48Hに切り替える。
図16は、第3タスクウインドウの例を示す図である。タスク制御部25は、操作者による対象装置画像48Jの選択、すなわち操作者による対象装置画像48Jへのタッチ操作を検出すると、第2タスクウインドウから第3タスクウインドウへと表示を変更させる。第3タスクウインドウは、第2タスクウインドウで選択されたコンポーネントを制御するための画面である。図16に示すように、安全系表示部21は、第3タスクウインドウにおいて、画像表示面に、操作ボタン画像48Bと、制御画像48Kとを表示する。
制御画像48Kは、制御ボタン画像48Lを表示する。制御ボタン画像48Lは、選択されたコンポーネントを制御するためのスイッチ又はコントローラを表示する画像である。タスク制御部25は、操作者による制御ボタン画像48Lへのタッチ操作等を検出すると、その操作に基づき、選択されたコンポーネントの動作を制御する。例えば、選択されたコンポーネントが開閉バルブである場合であって、バルブを閉じるという制御ボタン画像48Lへの操作が入力された場合、タスク制御部25は、その開閉バルブを閉じる指令を出し、開閉バルブを閉じる。
以上説明したように、安全系制御装置17は、第2タスクウインドウにおいて、これから実行する手順ステップに制御が必要なコンポーネントが表示される。一方、安全系パラメータモニタ装置19は、第2タスクパラメータウインドウにおいて、これから実行する手順ステップに関連する安全系パラメータPaが表示される。従って、作業者は、手順ステップを実行する際に、第2タスクパラメータウインドウで関連する安全系パラメータPaをモニタしながら、第2タスクウインドウで制御が必要なコンポーネントを選択し、第3タスクウインドウでそのコンポーネントの動作を制御することができる。
(タスク制御部及びタスクパラメータモニタ制御部の制御処理)
次に、以上説明した安全系制御監視システム8を用いた、異常時における安全系システム110の制御フローについて説明する。作業者は、原子力プラントの異常時に、運転内容に応じた緊急手順に従って、安全系システム110の動作を制御して、原子力プラントを安全に停止させる。この場合、作業者は、タスクパラメータモニタ制御部29が表示させるタスクパラメータウインドウによって、安全系システム110の安全系パラメータPaをモニタしつつ、タスク制御部25が表示させるタスクウインドウを操作して緊急手順の各手順ステップを実行する。
以下、タスク制御部25及びタスクパラメータモニタ制御部29による安全系システム110の制御フローを説明する。図17は、タスクパラメータモニタ制御部及びタスク制御部による安全系システムの制御フローを示すフローチャートである。作業者は、原子力プラントの異常時に安全系システム110の動作を制御する際、安全系パラメータモニタ装置19においてタスクパラメータウインドウを選択して、タスクパラメータモニタ制御部29に第1タスクパラメータウインドウを表示させる。そして、図17に示すように、タスクパラメータモニタ制御部29は、第1タスクパラメータウインドウにおいて、作業者による緊急手順の選択(タッチ操作)が検出されたかを判断する(ステップS20)。タスクパラメータモニタ制御部29は、緊急手順の選択が検出された場合(ステップS20;Yes)、第2タスクパラメータウインドウに表示を切り替え、第2タスクパラメータウインドウに、選択された緊急手順の手順ステップに関連する安全系パラメータPaを表示させる(ステップS22)。タスクパラメータモニタ制御部29は、緊急手順の選択が検出されない場合(ステップS20;No)、ステップS20に戻り、緊急手順の選択検出を続ける。
ステップS22の後、作業者は、第2タスクパラメータウインドウに表示された安全系パラメータPaに基づき、複数の安全系装置111から、制御する安全系装置111を選択する。作業者は、選択した安全系装置111を制御する安全系制御装置17においてタスクウインドウを選択して、タスク制御部25に第1タスクウインドウを表示させる。タスク制御部25は、第1タスクウインドウにおいて、作業者による緊急手順の選択(タッチ操作)が検出されたかを判断し(ステップS24)、緊急手順の選択が検出された場合(ステップS24;Yes)、第2タスクウインドウに表示を切り替え、第2タスクウインドウに、選択された緊急手順の各手順ステップの制御コンポーネントを表示させる(ステップS26)。手順ステップの制御コンポーネントとは、その手順ステップを実行するために制御が必要なコンポーネントである。タスク制御部25は、緊急手順の選択が検出されない場合(ステップS24;No)、ステップS24に戻り、緊急手順の選択検出を続ける。
第2タスクウインドウで手順ステップ毎の制御コンポーネントを表示させた後、タスク制御部25は、作業者による制御コンポーネントの選択(タッチ操作)が検出されたかを判断し(ステップS28)、制御コンポーネントの選択が検出された場合(ステップS28;Yes)、第3タスクウインドウに表示を切り替え、第3タスクウインドウに、選択された制御コンポーネントを制御する制御ボタン画像48Lを表示する(ステップS30)。タスク制御部25は、制御コンポーネントの選択が検出されなかった場合(ステップS28;No)、ステップS28に戻り、制御コンポーネントの選択検出を続ける。
制御ボタン画像48Lを表示した後、タスク制御部25は、作業者による制御ボタン画像48Lへの操作の検出がされたかを判断し(ステップS32)、制御ボタン画像48Lへの操作が検出された場合(ステップS32;Yes)、制御ボタン画像48Lへの操作に基づき、制御コンポーネントの動作を制御する(ステップS34)。これにより、本制御は終了する。なお、制御ボタン画像48Lへの操作が検出されない場合(ステップS32;No)、ステップS32に戻り、制御ボタン画像48Lへの操作検出を続ける。
作業者は、原子力プラントの異常時において、このようにタスク制御部25(安全系制御装置17)及びタスクパラメータモニタ制御部29(安全系パラメータモニタ装置19)を用いて安全系装置111を制御する。また、作業者は、例えば全ての安全系装置111の全ての安全系パラメータPaを一括で監視したい場合は、安全系パラメータモニタ装置19において並列パラメータウインドウを選択して、並列パラメータモニタ制御部28に並列パラメータウインドウを表示させ、全ての安全系パラメータPaをモニタすることもできる。
以上説明したように、本実施形態に係る安全系制御監視システム8は、複数の安全系装置111を有する原子力プラントの中央制御室2に配置される。安全系制御監視システム8は、並列パラメータモニタ制御部28と、タスクパラメータモニタ制御部29とを有する。並列パラメータモニタ制御部28は、安全系パラメータPaを、安全系パラメータPaの種類毎に、かつ、複数の安全系装置111毎に並べて表示させる。タスクパラメータモニタ制御部29は、安全系パラメータPaを、緊急操作手順の手順ステップ毎に、かつ、複数の安全系装置111毎に並べて表示する。
この安全系制御監視システム8によると、作業者は、緊急操作手順の手順ステップに従って安全系装置111を制御する際には、タスクパラメータモニタ制御部29によって、実行する手順ステップに関連した安全系パラメータPaを確認しつつ、制御を進めることができる。さらに、作業者は、定められた緊急操作手順以外の手順での安全系装置111の制御が必要になった場合や、全ての安全系パラメータPaを確認する場合等には、並列パラメータモニタ制御部28によって、重要な安全系パラメータPaを確認しつつ、安全系装置111の制御を進めることができる。従って、この安全系制御監視システム8によると、緊急手順を実行する際にはタスクパラメータモニタ制御部29を動作させ、緊急操作手順以外の制御を行ったり全ての安全系パラメータPaを確認したりする際には、並列パラメータモニタ制御部28を動作させることにより、両方のケースにおいて監視負担を軽減することができる。
また、この安全系制御監視システム8は、安全系パラメータモニタ装置19と、安全系制御装置17と、を有する。安全系パラメータモニタ装置19は、タスクパラメータモニタ制御部29と安全系パラメータ表示部27とを有する。安全系制御装置17は、緊急操作手順を実行する際に安全系装置111の各部の動作制御を実行するタスク制御部25を有する。タスクパラメータモニタ制御部29は、タスク制御部25によって実行される緊急操作手順の手順ステップに関連する安全系装置111のパラメータを、安全系パラメータPaとして安全系パラメータ表示部27に表示させる。この安全系制御監視システム8によると、安全系パラメータモニタ装置19が、安全系制御装置17によってこれから実行される手順ステップに関連する安全系パラメータPaを表示する。従って、安全系制御監視システム8は、安全系制御装置17による緊急操作手順の実行時において、作業者による安全系パラメータPaの監視負担を軽減することができる。
なお、本実施形態において、1つの装置である安全系制御装置17が、安全系モニタ制御部22、安全系操作部24及びタスク制御部25を有している。そして、安全系制御装置17は、安全系モニタ制御部22が表示させる安全系モニタウインドウと、安全系操作部24が表示させる安全系操作ウインドウと、タスク制御部25が表示させるタスクウインドウとを、1つの画面(安全系表示部21)で切り替えて表示している。
また、本実施形態において、1つの装置である安全系パラメータモニタ装置19が、並列パラメータモニタ制御部28、及びタスクパラメータモニタ制御部29を有している。そして、安全系パラメータモニタ装置19は、並列パラメータモニタ制御部28が表示させる並列パラメータウインドウと、タスクパラメータモニタ制御部29が表示させるタスクパラメータウインドウとを、1つの画面(安全系パラメータ表示部27)で切り替えて表示している。
(大型表示装置、常用系制御装置、及び監督補助表示装置)
次に、大型表示装置4、常用系制御装置10、及び監督補助表示装置15について詳細に説明する。上述のように、大型表示装置4は、大型表示盤制御部4Bが、常用系システム100から、常用系システム100の各部の状態やパラメータ等を取得し、取得したパラメータ等のうち予め定められた主要パラメータPbを、大型表示盤4Aに表示させる(図3参照)。主要パラメータPbとは、原子力プラントの運転を正常に進める上で重要なパラメータである。
図18は、常用系制御装置の構成を示すブロック図である。図18に示すように、常用系制御装置10は、常用制御部50と、常用制御表示部52とを有する。常用制御表示部52は、常用系システム100の各種パラメータをモニタし、常用系システム100の動作を制御するための画面を表示するものである。また、常用制御表示部52は、タッチパネルであり、操作者(作業者)の操作(タッチ等)を検出する。常用制御部50は、操作者による常用制御表示部52の操作に基づき、常用系システム100の動作を制御する。このように、常用系制御装置10は、通常時において原子力プラントを運転及び監視する。
図19は、大型表示装置、常用系制御装置、及び監督補助表示装置に表示される画像の一例を示す図である。図19に示すように、大型表示盤4Aは、主要パラメータ画像60と、異常パラメータ画像62とを表示する。主要パラメータ画像60は、主要パラメータPbを、その主要パラメータPbが検出された箇所の原子力プラント全体における相対位置に対応付けて表示する画像である。図19の例では、大型表示盤4Aは、主要パラメータ画像60において、原子力プラント全体の模式絵の表示であるプラント模式画像64と、パラメータ画像66と、を表示する。パラメータ画像66は、主要パラメータPbの種類と値とを表示する画像である。パラメータ画像66は、プラント模式画像64において、表示する主要パラメータPbが検出された位置の近傍に表示される画像である。例えば、圧力容器に関する主要パラメータPbは、プラント模式画像64における圧力容器の絵の近傍に表示される。このようにして、大型表示盤4Aは、主要パラメータPbを、その主要パラメータPbが検出された原子力プラント内での位置に対応付けて表示している。
異常パラメータ画像62は、主要パラメータPbのいずれかが異常な値となった場合、異常となった主要パラメータPbである異常パラメータPcの種類と、その異常パラメータPcの値又は状態とを表示する。例えば、圧力容器の圧力が異常値となった場合、大型表示盤4Aは、異常パラメータ画像62において、異常パラメータPcの種類として「圧力容器の圧力」と表示し、異常パラメータPcの値を表示する。異常パラメータ画像62は、複数の異常パラメータPcがあった場合には、複数の異常パラメータPcを、テーブル状に表示する。
また、図19に示すように、常用系制御装置10の常用制御表示部52は、操作者によって操作されていない状態において、大型表示盤4Aと同じ表示である初期ウインドウを表示する。常用系制御装置10の常用制御部50は、大型表示盤制御部4Bから大型表示盤4Aに表示する画像のデータや主要パラメータPb等を取得し、常用制御表示部52に初期ウインドウを表示させる。なお、初期ウインドウは、大型表示盤4Aの表示と連動して、主要パラメータ画像60と異常パラメータ画像62とを表示するものであれば、大型表示盤4Aと全く同じ表示でなくてもよい。
また、図19に示すように、監督補助表示装置15は、常用制御部50から常用制御表示部52に表示されている画面の画像データが出力され、常用制御表示部52に表示される画像と同じ画像が表示される。なお、監督補助表示装置15は、常用制御表示部52と全く同じ画像が表示されるため、常用制御表示部52の表示が後述するプログラム選択ウインドウ等に切り替わった場合にも、その切り替わった画像を表示する。監督補助表示装置15は、監督者による操作を受け付けるものではなく、単純に画像を表示する機能のみを有する。
図20は、常用制御表示部の表示画像の例を説明する説明図である。主要パラメータPbのいずれかが異常な値となった場合、常用制御部50は、初期ウインドウにおいて、異常パラメータ画像62を表示させる。常用制御部50は、作業者によるその異常パラメータPcの表示の選択、すなわち異常パラメータ画像62へのタッチ操作を検出した場合、初期ウインドウからプログラム選択ウインドウへと表示を変更させる。常用制御表示部52は、プログラム選択ウインドウにおいて、選択された異常パラメータPcに関連した原子力プラントの制御プログラムを表示する。選択された異常パラメータPcに関連した原子力プラントの制御プログラムとは、例えば、その異常パラメータPcを正常値に戻すための制御プログラムである。
図20に示すように、常用制御表示部52は、プログラム選択ウインドウにおいて、タイトル画像68Aと、操作ボタン画像68Bと、プログラムメニュー画像68Cとを表示する。タイトル画像68Aは、画面の上部に表示される画像であり、このプログラム選択ウインドウの名称(例えば、「プログラム選択ウインドウ」)を表示する。操作ボタン画像68Bは、画面の側部に表示される画像であり、各種操作ボタンが表示される。プログラムメニュー画像68Cは、複数のプログラム選択ボタン画像68Dを表示する画像である。プログラム選択ボタン画像68Dは、対応する制御プログラムの通し番号又は名称が表示されている。プログラム選択ボタン画像68Dは、通し番号又は名称が表示されている制御プログラムを立ち上げるためのボタン表示である。常用制御部50は、操作者による制御プログラムの選択、すなわち操作者によるプログラム選択ボタン画像68Dのタッチ操作を検出すると、その制御プログラムを立ち上げる。操作者は、その制御プログラムを実行して、その異常パラメータPcを正常値に戻すための制御を行う。
なお、異常パラメータPcに関連する制御プログラムが1つである場合、常用制御部50は、初期画面において異常パラメータ画像62へのタッチ操作が行われたら、プログラム選択ウインドウを表示させることなく、直接その制御プログラムを立ち上げてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る運転監視システム1は、大型表示盤4A(表示盤)と、常用系制御装置10と、を有する。大型表示盤4Aは、中央制御室2内の全ての作業者に視認可能な位置に配置され、主要パラメータ画像60と、異常パラメータ画像62とを表示する。主要パラメータ画像60は、原子力プラントの主要パラメータPbを原子力プラント内での位置に対応付けた表示である。異常パラメータ画像62は、主要パラメータPbのうち値が異常となったパラメータである異常パラメータPcの表示である。常用系制御装置10は、作業者の操作に基づき原子力プラントの動作を制御する常用制御部50と、常用制御部50の制御により画像を表示する常用制御表示部52とを有する。常用制御部50は、大型表示盤4Aの表示と連動して、主要パラメータ画像60と異常パラメータ画像62とを表示する初期ウインドウを、常用制御表示部52に表示させる。常用制御部50は、初期ウインドウ中の異常パラメータPcの表示が作業者に選択された場合に、その異常パラメータPcに関連した原子力プラントの制御プログラムを立ち上げる。
例えば、常用系制御装置10が初期画面を表示しない場合、熟練していない作業者は、異常パラメータPcが発生しても、その異常パラメータPcを正常値に戻すためにどの制御プログラムを立ち上げるかの判断に時間がかかるなど、監視負担が増加する。一方、本実施形態に係る運転監視システム1によると、異常パラメータPcが発生した場合に、常用系制御装置10の初期ウインドウの画面において、その異常パラメータPcの表示画像を選択するだけで、その異常パラメータPcを正常値に戻すための制御プログラムを立ち上げることができる。従って、この運転監視システム1によると、作業者の監視負担を軽減することができる。
また、常用制御部50は、初期ウインドウにおいて、関連した制御プログラムが複数ある異常パラメータPcが選択された場合に、複数の制御プログラムを表示するプログラム選択ウインドウを、常用制御表示部52に表示させ、プログラム選択ウインドウ中の1つの制御プログラムの表示が選択された場合に、その選択されたプログラムを立ち上げる。この運転監視システム1によると、異常パラメータPcに関連する制御プログラムが複数ある場合にも、関連する制御プログラムだけに絞って選択を可能にするため、作業者の監視負担をより軽減することができる。
また、運転監視システム1は、作業者を監督する監督者が操作を行う監督制御装置14と、監督制御装置14に隣接して配置され、常用系制御装置10の表示と同じ表示を行う監督補助表示装置15と、を有する。この運転監視システム1によると、監督補助表示装置15により、作業者の常用系制御装置10の操作画面と同じ画面を、監督を行う場所からでも視認することができる。従って、運転監視システム1によると、監督者の監視負担を軽減することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る運転監視システム1は、大型表示盤4Aaの表示が、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
図21は、第2実施形態における大型表示盤の表示の一例を示す図である。図21に示すように、第2実施形態に係る大型表示盤4Aaは、主要パラメータ画像60aと、異常パラメータ画像62とを表示する。大型表示盤4Aaは、主要パラメータ画像60aにおいて、プラント模式画像64とパラメータ画像66とに加え、傾向画像70を表示する。傾向画像70は、パラメータ画像66に対応して(隣接して)それぞれ表示される画像である。傾向画像70は、対応するパラメータ画像66の主要パラメータPbの経時毎の変化の傾向を示す変化傾向を表示するものである。
この変化傾向は、大型表示盤制御部4Bによって検出される。大型表示盤制御部4Bは、主要パラメータPbを経時毎に取得し、取得した主要パラメータPbの値を、所定時間Tだけ前のタイミングで取得した主要パラメータPbである前主要パラメータPdの値と比較して、変化傾向を検出する。大型表示盤制御部4Bは、取得した主要パラメータPbの値が、前主要パラメータPdの値より第1変化量A以上上昇している場合、傾向画像70として、値が上昇している旨を示す上昇情報を表示させる。また、大型表示盤制御部4Bは、取得した主要パラメータPbの値が、前主要パラメータPdの値より第2変化量B以上下降している場合、傾向画像70として、値が下降している旨を示す上昇情報を表示させる。大型表示盤制御部4Bは、取得した主要パラメータPbの値がそれ以外、すなわち前主要パラメータPdの値より第1変化量A以上上昇しておらず、かつ、前主要パラメータPdの値より第2変化量B以上下降してない場合は、傾向画像70として、値が変化していない旨を示す一定情報を表示させる。大型表示盤制御部4Bは、主要パラメータPbを新たに取得する毎に変化傾向を検出し、この上昇表示、下降表示、一定表示を逐次切替させる。
図21に示すように、大型表示盤4Aaは、傾向画像70として、上昇情報を表示する場合は、傾向画像70として水平方向より先端が上に傾斜している上向き矢印を表示する。大型表示盤4Aaは、傾向画像70として、下降情報を表示する場合は、傾向画像70として水平方向より先端が下に傾斜している下向き矢印を表示する。大型表示盤4Aaは、傾向画像70として、一定情報を表示する場合は、傾向画像70として水平方向に沿った水平矢印を表示する。大型表示盤4Aaは、値に応じて矢印の傾斜を変化させる。すなわち、上昇情報であっても、前主要パラメータPdの値との差が大きいものは、上向き→の先端をより上に傾斜させ、下降情報であっても、前主要パラメータPdの値との差が大きいものは、下向き矢印の先端をより下に傾斜させる。
大型表示盤制御部4Bは、所定時間T、第1変化量A、及び第2変化量Bを、主要パラメータPb毎に設定する。従って、所定時間T、第1変化量A、及び第2変化量Bのうち少なくとも1つは、主要パラメータPb毎に異なった値となる。図22は、パラメータ毎の所定時間の設定を説明する図である。図22の各グラフは、各主要パラメータPbの時間毎の変化の例を示している。図22は、主要パラメータPb1、Pb2、Pb3が上昇傾向にある例を示している。主要パラメータPb1は、上昇傾向において単位時間においても値の下降がなく、安定して値が上昇している。主要パラメータPb2は、単位時間においても値が下降しており、値が下降と上昇とを繰り返しながら全体的に値が上昇していっている。主要パラメータPb3は、主要パラメータPb2と同様に値が下降と上昇とを繰り返しながら全体的に値が上昇していっているが、主要パラメータPb2よりも変動が安定しておらず、大きく値が下降するタイミングがある。
このように主要パラメータPb1、Pb2、Pb3の値の変動傾向が異なる場合、大型表示盤制御部4Bは、主要パラメータPb1の所定時間T1、主要パラメータPb2の所定時間T2、主要パラメータPb3の所定時間T3を、互いに異なる値として設定する。例えば、大型表示盤制御部4Bは、単位時間での値の変動が最も小さい主要パラメータPb1の所定時間T1を最も短くし、単位時間での値の変動がそれよりも大きい主要パラメータPb2の所定時間T2を、所定時間T1よりも長くする。また、大型表示盤制御部4Bは、変動が安定しない主要パラメータPb3の所定時間T3を、最も長くする。
大型表示盤制御部4Bは、例えば厳密な監視が必要な主要パラメータPbについて、第1変化量Aと第2変化量Bとを小さく設定し、ある程度の変化が許容できる主要パラメータPbについて、第1変化量Aと第2変化量Bとを大きく設定する。なお、大型表示盤制御部4Bは、同じ主要パラメータPbについては、第1変化量Aと第2変化量Bとを同じ値としてもよい。
また、大型表示盤制御部4Bは、主要パラメータPbの許容上限値と、許容下限値と、許容中央値との情報を取得し、これらに基づき、上昇情報を第1上昇情報と第2上昇情報とに区別して表示させ、下降情報を第1下降情報と第2下降情報とに区別して表示させてもよい。許容上限値とは、主要パラメータPb毎に予め設定される値であり、主要パラメータPbの値が許容上限値より大きくなると、値が正常でないと判断されて異常パラメータPcとして表示される。許容下限値とは、主要パラメータPb毎に予め設定される値であり、主要パラメータPbの値が許容下限値より小さくなると、値が正常でないと判断されて異常パラメータPcとして表示される。許容中央値は、許容上限値と許容下限値との間の中央値である。
図23は、上昇情報と下降情報とを説明するためのグラフである。図23は、主要パラメータPbの時間毎の変動の一例を示すグラフである。大型表示盤制御部4Bは、主要パラメータPbが上昇傾向、すなわち上昇情報を表示させる場合であって、値が許容下限値と許容中央値との間である場合である領域L1においては、大型表示盤4Aaに、第1上昇情報を表示させる。大型表示盤制御部4Bは、主要パラメータPbが上昇傾向、すなわち上昇情報を表示させる場合であって、値が許容中央値と許容上限値との間である場合である領域L2においては、大型表示盤4Aaに、第2上昇情報を表示させる。
また、大型表示盤制御部4Bは、主要パラメータPbが下降傾向、すなわち下降情報を表示させる場合であって、値が許容中央値と許容上限値との間である場合である領域L3においては、大型表示盤4Aaに、第1下降情報を表示させる。大型表示盤制御部4Bは、主要パラメータPbが下降傾向、すなわち下降情報を表示させる場合であって、値が許容下限値と許容中央値との間である場合である領域L4においては、大型表示盤4Aaに、第2下降情報を表示させる。
第1上昇情報と第2上昇情報とは、変化量が同じであれば同じ傾斜の上向き矢印であるが、例えば表示する色を異なるものとすることにより、互いの表示を異ならせている。同様に、第1下降情報と第2下降情報とは、変化量が同じであれば同じ傾斜の下向き矢印であるが、例えば表示する色を異なるものとすることにより、互いの表示を異ならせている。主要パラメータPbは、第2上昇情報である場合、このまま上昇傾向が続けば許容上限値を超える可能性が、第1上昇情報である場合よりも高くなる。また、主要パラメータPbは、第2下降情報である場合、このまま下降傾向が続けば許容下限値を下回る可能性が、第1下降情報である場合よりも高くなる。従って、大型表示盤制御部4Bは、第2上昇情報及び第2下降情報については、例えば黄色で表示させることにより、作業者の注意を引きやすくしている。
以上説明したように、第2実施形態に係る運転監視システム1は、大型表示盤4Aa(表示盤)と、大型表示盤4Aaの表示を制御する大型表示盤制御部4Bと、を有する。大型表示盤制御部4Bは、主要パラメータPbの経時毎の変化の傾向を示す変化傾向を検出し、大型表示盤4Aaに、変化傾向を主要パラメータPbと関連付けて表示させる。
大型表示盤に変化傾向が表示されない場合、作業者は、各時点における主要パラメータPbの値を統合し、自身で変化傾向を計算する必要が生じる。一方、この運転監視システム1によると、作業者は、大型表示盤4Aaを視認するだけで、経時毎の変化の傾向も一目で視認することが可能となる。従って、この運転監視システム1によると、変化傾向を計算する必要がなくなり、作業者の監視負担を軽減することができる。
また、大型表示盤制御部4Bは、主要パラメータPbが所定時間T前よりも第1変化量A以上上昇している場合は、値が上昇している旨を示す上昇情報を表示させ、主要パラメータPbが所定時間T前よりも第2変化量B以上下降している場合は、値が下降している旨を示す下降情報を表示させる。この運転監視システム1によると、値が上昇しているか下降しているかを一目で確認することができるため、作業者の監視負担をより軽減することができる。
また、大型表示盤制御部4Bは、所定時間T、第1変化量A、及び第2変化量Bのうち少なくともいずれか1つを、主要パラメータPb毎に設定する。大型表示盤制御部4Bは、これにより、変化傾向を主要パラメータPbの種類毎に適切に設定することができる。従って、この運転監視システム1によると、より適切に設定された変化傾向を視認することができるため、作業者の監視負担をより軽減することができる。
また、大型表示盤制御部4Bは、主要パラメータPbの許容上限値と、許容下限値と、許容中央値との情報を取得する。大型表示盤制御部4Bは、上昇情報を表示させる場合であって、主要パラメータPbが許容下限値と許容中央値との間である場合には、第1上昇情報を表示させ、主要パラメータPbが許容中央値と許容上限値との間である場合には、第2上昇情報を表示させる。大型表示盤制御部4Bは、下降情報を表示させる場合であって、主要パラメータPbが許容中央値と許容上限値との間である場合には、第1下降情報を表示させ、主要パラメータPbが許容下限値と許容中央値との間である場合には、第2上昇情報を表示させる。第2上昇情報、第2下降情報である場合、許容上限値や許容下限値の範囲外となる可能性が、第1上昇情報、第1下降情報である場合より高くなる。従って、この運転監視システム1によると、これらを異なる表示とすることにより、作業者の注意を引きやすくするため、作業者の監視負担をより軽減することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。