JP6593030B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明は、有機繊維コードを引き揃えて構成された補強層を含む空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、軽量で、コーナリングパワー、荷重耐久性、および高速耐久性に優れる空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは、一対のビード部間に装架されたカーカス層を備えている。このようなカーカス層には一般的に有機繊維コードが使用されている。これに対して、近年、空気入りタイヤを製造するうえで環境負荷の軽減が技術課題とされており、中でも再生資源の利用や省資源化が求められている。このような観点から、カーカス層のような補強層に使用される有機繊維コードを厳選することが求められている。
このような有機繊維コードの素材として、例えば、セルロース繊維(レーヨン繊維)は、再生資源利用の観点から有効であるが、原料を製造する際に二硫化炭素が用いられるため、環境負荷の観点から必ずしも良好ではない。その点、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)は、製造時に二硫化炭素は用いられないので環境負荷の観点からも良好であり、また、より高強度であるため更なる省資源化(軽量化)が見込めるが、単独で用いた場合には剛性への悪影響が懸念されるため、例えばアラミド繊維と撚り合わせた複合コードとして用いることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、このような複合コードでは、軽量化やコーナリングパワーの向上が見込めるものの、複合コードであるため撚り構造によって充分な荷重耐久性が得られなかったり、高速走行時の発熱によってコートゴムとの接着性が低下して高速耐久性が悪化するという問題がある。そのため、小さいタイヤ質量(軽量化)、高いコーナリングパワー、優れた荷重耐久性、および優れた高速耐久性を高度に両立する対策が求められている。
特開2010‐173612号公報
本発明の目的は、軽量で、コーナリングパワー、荷重耐久性、および高速耐久性に優れる空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、有機繊維コードを引き揃えて構成された補強層を含む空気入りタイヤにおいて、前記有機繊維コードが、少なくとも1本のアラミド繊維ヤーンと少なくとも1本のポリエチレンテレフタレート繊維ヤーンとを撚り合わせて構成され、総繊度が1400dtex〜2200dtex、引張強度が9.0cN/dtex以上、中間伸度が2.0%〜4.0%、下記式(1)で表される撚り係数が2350〜2850の範囲である一方で、前記有機繊維コードを被覆するゴム組成物は、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを少なくとも30重量%含むジエン系ゴム100重量部に対し、窒素吸着比表面積が90m2 /g以下のカーボンブラックを30〜80重量部配合し、下記一般式(i)で表されるアミノ基を含んだチオ硫酸化合物またはその金属塩、或いは下記一般式(ii)で表される化合物を前記カーボンブラックの配合量に対して0.1〜5.0重量%含むことを特徴とする。
K=T×D1/2 ・・・(1)
(但し、Tは複合コードの上撚り数(回/10cm)であり、Dは複合コードの総繊度(dtex)である。)
Figure 0006593030
(式中、nは1〜10の整数を表す。)
Figure 0006593030
(式中R1 は置換基を有しても良い炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基、R2 ,R3 はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基または炭素数1〜6のアルコキシ基、 4 はヒドロキシ基または−ONa、Xは−NH−または−O−を表す。)
本発明の空気入りタイヤは、補強層を構成する有機繊維コードとして、アラミド繊維ヤーンとポリエチレンテレフタレート繊維ヤーンとを撚り合わせた複合コードを用い、その引張強度、中間伸度、および撚り係数をそれぞれ特定の範囲に設定しているので、タイヤ質量を低減しながら、コーナリングパワーを向上し、且つ、荷重耐久性を改善することができる。このとき、有機繊維コードを被覆するゴム組成物として、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを含むジエン系ゴムに対し、特定の窒素吸着比表面積を有するカーボンブラックと一般式(i)で表される化合物または一般式(ii)で表される化合物を配合したものを使用しているので、高速走行時の発熱を抑制し、高速耐久性を向上することができる。尚、このような空気入りタイヤでは、有機繊維コードとして再生資源を利用でき製造時の環境負荷も小さくなり、更に、軽量化(即ち、省資源化)も達成できるので、環境保全の観点からも利点がある。
本発明では、補強層がカーカス層であることが好ましい。カーカス層は空気入りタイヤの基本骨格を形成し、タイヤに含まれる補強コードが埋設された補強層としてはタイヤ中に占める割合が大きいため、本発明の補強層を適用することで、上述の効果を有効に発揮することができる。
また、本発明の補強層は、スピードレンジが270km/h以上のハイパフォーマンスタイヤに適用することが好ましい。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線半断面図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの補強層の断面形状を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に例示する空気入りタイヤにおいて、CLはタイヤ赤道、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されている。また、ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部分と折り返し部分により包み込まれている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図1では2層)のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。更に、ベルト層7の外周側にはタイヤ周方向に配向する補強コードを含むベルト補強層8が設けられている。ベルト補強層8のタイヤ周方向に対するコード角度は例えば5°以下、より好ましくは、3°以下である。
上記空気入りタイヤは、カーカス層4、ベルト層7、ベルト補強層8に代表される補強層を有しているが、このような補強層のうち少なくとも一部、好ましくは、少なくともカーカス層4には、後述する補強層10が使用されている。
図2に示すように、補強層10は、複数本の有機繊維コード11を引き揃えて、コートゴム12で被覆して構成される。このとき、有機繊維コード11は、少なくとも1本のアラミド繊維ヤーンと少なくとも1本のポリエチレンテレフタレート繊維ヤーンとを撚り合わせて構成される。また、この有機繊維コード11は、引張強度が9.0cN/dtex以上、中間伸度が2.0%〜4.0%、下記式(1)で表される撚り係数が2350〜2850の範囲に設定されている。
K=T×D1/2 ・・・(1)
(但し、Tは複合コードの上撚り数(回/10cm)であり、Dは複合コードの総繊度(dtex)である。)
一方、コートゴム12は、後述のように、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを含むジエン系ゴムに対し、特定の窒素吸着比表面積を有するカーボンブラックと、一般式(i)で表される化合物または一般式(ii)で表される化合物を特定量ずつ配合したことで、物性(例えば硬度)の温度依存性が低いゴム組成物で構成される。
Figure 0006593030
(式中、nは1〜10の整数を表す。)
Figure 0006593030
(式中R1 は置換基を有しても良い炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基、R2 ,R3 はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基または炭素数1〜6のアルコキシ基、 4 はヒドロキシ基または−ONa、Xは−NH−または−O−を表す。)
このように、有機繊維コード11として上述の構成の複合コードを用いる一方で、コートゴム12として特定のゴム組成物を用いているので、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ質量を軽量化する一方で、コーナリングパワー、荷重耐久性、および高速耐久性をバランスよく向上することができる。具体的には、有機繊維コード11として、アラミド繊維ヤーンとポリエチレンテレフタレート繊維ヤーンとを撚り合わせた複合コードを用い、その引張強度、中間伸度、および撚り係数をそれぞれ特定の範囲に設定しているので、タイヤ質量を低減しながら、コーナリングパワーを向上し、且つ、荷重耐久性を改善することができる。一方で、コートゴム12が、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを含むジエン系ゴムに対し、特定の窒素吸着比表面積を有するカーボンブラックと、一般式(i)で表される化合物または一般式(ii)で表される化合物を配合したことで、物性(硬度)の温度依存性が低いゴム組成物を使用しているので、高速走行時に温度が上昇してもゴム硬度が維持されて補強層10の動きが抑制され、発熱を抑制することができる。その結果、高速走行時において有機繊維コード11とコートゴム12との接着性の低下が抑制され、高速耐久性を改善することができる。
このとき、有機繊維コード11がPET繊維またはアラミド繊維のいずれか単独、或いは、これら以外の有機繊維(例えばレーヨン繊維)で構成されると、高速耐久性を改善することができない。また、引張強度が9.0cN/dtexよりも小さいと、荷重耐久性が低下する。中間伸度が2.0%よりも小さいと、サイド凹凸が発生し、ユニフォミティが阻害される可能性がある。中間伸度が4.0%よりも大きいと、剛性が低下し、満足なコーナリングパワーが得られない。撚り係数が2350よりも小さいと、充分な耐疲労性が得られず、荷重耐久性が低下する。撚り係数が2850よりも大きいと、剛性が低下し、満足なコーナリングパワーが得られない。尚、引張強度および中間伸度はいずれも、JIS L1017に準拠して測定された値である。中間伸度については2.0cN/dtex負荷時の値である。
有機繊維コード11の総繊度は特に限定されないが、例えば1400dtex〜2500dtexの範囲に設定するとよい。総繊度をこのような範囲にすることで、高い強力レベルを得ることができる。
以下、コートゴム12を構成するゴム組成物(以下、「本発明のゴム組成物」と言う)について説明する。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分はジエン系ゴムであり、例えば、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを必ず含む。天然ゴム、イソプレンゴムとしては、タイヤ用ゴム組成物に通常用いられるゴムを使用することができる。天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムの含有量は、ジエン系ゴム100重量%中30重量%以上、好ましくは40重量%以上である。これらゴムの含有量が30重量%よりも少ないと、本発明の所望の効果が充分に得られない虞がある。
本発明のゴム組成物は、天然ゴム、イソプレンゴム以外の他のジエン系ゴムを含有してもよい。特に、他のジエン系ゴムとして、例えばブタジエンゴム、スチレン‐ブタジエンゴム等を任意で配合することができる。これら他のジエン系ゴム(ブタジエンゴム、スチレン‐ブタジエンゴム)の配合量は合計で、ジエン系ゴム100重量%中50重量%以下であることが好ましい。これら他のジエン系ゴムは、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対し、カーボンブラックを30〜80重量部配合する。このようにカーボンブラックを配合することで、ゴム組成物の強度を向上することができる。カーボンブラックの配合量が30重量部よりも少ないと、ゴム組成物のゴム強度やゴム硬度が不足して、補強層10としての補強性能が低下する。カーボンブラックの配合量が80重量部よりも多いと、ゴム組成物の60℃におけるtanδが大きくなるため、高速走行時の発熱が抑えられず、高速耐久性を充分に改善することができない。
本発明のゴム組成物に使用するカーボンブラックは、窒素吸着比表面積が90m2/g以下、好ましくは80〜25m2/gである。カーボンブラックの窒素吸着比表面積が90m2/gよりも大きいと、ゴム組成物の60℃におけるtanδが大きくなるため、高速耐久性を充分に改善することができない。尚、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217‐2に準拠して測定するものとする。
本発明のゴム組成物には、下記一般式(i)で表されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸またはその金属塩、或いは、下記一般式(ii)で表される化合物が含まれる。
Figure 0006593030
(式中、nは2〜10の整数を表す。)
Figure 0006593030
(式中R1 は置換基を有しても良い炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基、R2 ,R3 はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基または炭素数1〜6のアルコキシ基、 4 はヒドロキシ基または−ONa、Xは−NH−または−O−を表す。)
上記一般式(i)において、nは2〜10の整数を表し、好ましくは2〜6、より好ましくは3〜4の整数である。S−(アミノアルキル)チオ硫酸としては、S−(アミノメチル)チオ硫酸、S−(2−アミノエチル)チオ硫酸、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸、S−(4−アミノブチル)チオ硫酸、S−(5−アミノペンチル)、S−(6−アミノヘキシル)チオ硫酸、S−(7−アミノペプチル)チオ硫酸、S−(8−アミノオクチル)チオ硫酸、S−(9−アミノノニル)チオ硫酸、S−(10−アミノデシル)チオ硫酸が例示される。なかでもS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸、S−(4−アミノブチル)チオ硫酸が好ましい。
上記一般式(i)で表わされるS−(アミノアルキル)チオ硫酸の金属塩は、金属イオンとして、例えばリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、コバルトイオン、銅イオン、亜鉛イオンを例示することができる。
本発明のゴム組成物は、上述したS−(アミノアルキル)チオ硫酸を配合することにより、ゴム組成物の60℃におけるtanδを低減することができる。そのため、高速走行時の発熱を抑制して、高速耐久性を改善することができる。S−(アミノアルキル)チオ硫酸の金属塩よりもS−(アミノアルキル)チオ硫酸を配合したとき、その効果がより顕著になる。
S−(アミノアルキル)チオ硫酸の配合量は、カーボンブラックの配合量に対して0.1〜5.0重量%、好ましくは0.05〜4.00重量%である。S−(アミノアルキル)チオ硫酸の配合量がカーボンブラックの配合量の0.1重量%よりも少ないと、ゴム組成物の60℃におけるtanδを低減して、高速耐久性を改善する効果が充分に得られない。S−(アミノアルキル)チオ硫酸の配合量がカーボンブラックの配合量の5.0重量%よりも多いと、60℃におけるtanδが却って低下し、高速耐久性を充分に得ることができない。
上記一般式(ii)において、R1は置換基を有してもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基である。炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基が挙げられる。置換基としては、例えば炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、スルホ基、ハロゲン原子等が例示される。これら置換基は芳香族炭化水素基の水素原子を任意に0〜4個置換することができる。R1は好ましくはフェニレン基であるとよい。
2,R3は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基または炭素数1〜6のアルコキシ基である。R2およびR3におけるハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、炭素数6〜12の単環式又は縮合多環式芳香族炭化水素を示し、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
2およびR3として、R2が水素原子であり、R3が水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、より好ましくはR2およびR3が水素原子である。R4は、ヒドロキシ基または−ONaであり、好ましくはヒドロキシ基であるとよい。Xは、−NH−または−O−である。Xは好ましくは−NH−であるとよい。
前記一般式(ii)で表わされる化合物としては、例えば(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸、(2Z)−4−[(3−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸、(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−2−メチル−4−オキソ−2−ブテン酸、ナトリウム(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸、ナトリウム(2Z)−4−[(3−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸等を例示することができる。なかでも(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸、ナトリウム(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸が好ましく、とりわけ(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸が好ましい。
本発明のゴム組成物は、上述の一般式(ii)で表される化合物を配合することにより、ゴム組成物の60℃におけるtanδを低減することができる。そのため、スチールコード11として断面扁平形状の単線ワイヤを用いることで、補強層10内で隣り合うスチールコード11間のゴム量が少なくなって剪断力が高くなった場合であっても、発熱を抑制して、補強層10のエッジセパレーションの発生を抑制することができる。
上述の一般式(ii)で表される化合物の配合量は、カーボンブラックの配合量に対して0.1〜5.0重量%、好ましくは0.05〜4.00重量%である。この化合物の配合量がカーボンブラックの配合量の0.1重量%よりも少ないと、ゴム組成物の60℃におけるtanδを低減して、高速耐久性を改善する効果が充分に得られない。この化合物の配合量がカーボンブラックの配合量の5.0重量%よりも多いと、60℃におけるtanδが却って低下するため、高速耐久性を充分に得ることができない。
本発明のゴム組成物には、カーボンブラック以外の他の充填剤を配合することができる。他の充填剤としては、例えばシリカ、クレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等を例示することができる。なかでもシリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムが好ましい。他の充填剤を配合することによりゴム組成物の機械的特性をより一層改良することができ、タイヤにしたときの低転がり抵抗性、操縦安定性及び加工性のバランスを改良することができる。
本発明のゴム組成物には、加硫または架橋剤、加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫または架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。本発明のビードフィラー用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
本発明の補強層10は高速耐久性の改善に有利であるので、スピードレンジが270km/h以上のハイパフォーマンスタイヤに適用することが好ましい。このようなハイパフォーマンスタイヤでは、タイヤ質量を小さくし、コーナリングパワーを向上し、荷重耐久性および高速耐久性を改善する効果が有効に機能して、走行性能を高めることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
タイヤサイズが205/55R16であり、図1に例示する基本的な断面形状を有し、補強層(カーカス層)を構成する補強コード(有機繊維コード)について、繊維の種類、コード構造、総繊度、引張強度、中間伸度、撚り係数をそれぞれ表1,2のように設定し、また、コートゴムを構成するゴム組成物の組成について表1,2のように設定した従来例1、比較例1〜10、実施例1〜7の18種類の空気入りタイヤを作製した。
尚、コートゴムを構成するゴム組成物については、硫黄、加硫促進剤を除く成分を1.8Lの密閉型ミキサーで160℃、5分間混練し放出したマスターバッチに、硫黄、加硫促進剤を加えてオープンロールで混練することにより調製した。
得られた18種類のタイヤ用ゴム組成物について、下記に示す方法により、タイヤ質量、コーナリングパワー、荷重耐久性、および高速耐久性の評価を行った。
タイヤ質量
各試験タイヤについて、質量を測定し、従来例1の測定値を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほどタイヤ質量が小さく、軽量化が達成できていることを意味する。
コーナリングパワー
各試験タイヤをリムサイズ18×8Jのホイールに装着し、空気圧230kPaを充填して、フラットベルト試験機を用いて、荷重5kN、速度15km/hの条件にて走行させ、スリップ角を±10°としたときのコーナリングパワーを測定し、その絶対値の平均を求めた。評価結果は、従来例1の測定値を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどコーナリングパワーが大きいことを意味する。
荷重耐久性
各試験タイヤをリムサイズ18×8Jのホイールに装着し、空気圧230kPaを充填して、JIS D4230の耐久性能試験に準拠して、室内ドラム試験機(ドラム径:1707mm)を用いて、周辺温度38±3℃、走行速度81km/hの条件で、負荷荷重をJATMA規定の最大荷重の85%から4時間毎に15%ずつ増加させて、タイヤが破壊するまでの走行距離を測定した。尚、負荷荷重がJATMA規定の最大荷重の280%に達した場合は、それを最終荷重として故障するまで走行させた。評価結果は、従来例1の測定値を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど荷重耐久性が優れていることを意味する。
高速耐久性
各試験タイヤをリムサイズ18×8Jのホイールに装着し、空気圧230kPaを充填して、JIS D4230の耐久性能試験に準拠して、室内ドラム試験機(ドラム径:1707mm)を用いて、周辺温度38±3℃、負荷荷重180KPaの条件で、走行速度を0km/hから0.5時間毎に5km/hずつ増加させて、タイヤが破壊するまでの走行距離を測定した。尚、走行速度が300km/hに達した場合は、それを最終速度として故障するまで走行させた。評価結果は、従来例1の測定値を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど荷重耐久性が優れていることを意味する。
Figure 0006593030
Figure 0006593030
なお、表1,2において使用した原材料の種類を下記に示す。
−NR:天然ゴム、STR20
−BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol BR 1220
−SBR:スチレン‐ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol 1502
−CB1:カーボンブラック、新日化カーボン社製ニテロン#GN(窒素吸着比表面積が32m2/g)
−CB2:カーボンブラック、新日化カーボン社製ニテロン#200IS(窒素吸着比表面積が92m2/g)
−酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
−ステアリン酸:日新理化社製ステアリン酸50S
−老化防止剤:大内新興化学工業社製ノクラック224
−オイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
−有機チオ硫酸1:S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸(住友化学社製)
−有機チオ硫酸2:S−(4−アミノブチル)チオ硫酸(住友化学社製)
−硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
−加硫促進剤:大内新興化学社製ノクセラーNS‐P
表1から明らかなように実施例1〜7のタイヤ用ゴム組成物は、従来例1に対してタイヤ質量を軽減し、コーナリングパワー、荷重耐久性、および高速耐久性を向上した。
一方、S−(アミノアルキル)チオ硫酸を含まない比較例1〜4のうち、比較例1の空気入りタイヤは、有機繊維コードにPET繊維を単独で用いているため、タイヤ質量を軽減することはできるものの、剛性低下により高速耐久性が悪化した。比較例2の空気入りタイヤは、有機繊維コードにアラミド繊維を単独で用いているため、比較例1と同様にタイヤ質量を軽減することはできるものの、高速耐久性が悪化した。比較例3,4の空気入りタイヤは、有機繊維コードとして、PET繊維およびアラミド繊維からなる複合コードを用いているが、前述のようにS−(アミノアルキル)チオ硫酸を含まないため、高速耐久性が悪化した。特に、比較例3は撚り係数も低いため荷重耐久性も悪化した。
比較例5の空気入りタイヤは、従来例1に対してS−(アミノアルキル)チオ硫酸を配合しているが、有機繊維コードにレーヨン繊維を単独で用いているため、S−(アミノアルキル)チオ硫酸を配合することによる効果は発揮されず、タイヤ質量、コーナリングパワー、荷重耐久性、および高速耐久性のいずれも改善しなかった。比較例6の空気入りタイヤは、比較例1に対してS−(アミノアルキル)チオ硫酸を配合しているが、有機繊維コードにPET繊維を単独で用いているため、高速耐久性を改善することはできなかった。比較例7の空気入りタイヤは、従来例2に対してS−(アミノアルキル)チオ硫酸を配合しているが、有機繊維コードにアラミド繊維を単独で用いているため、高速耐久性を改善することはできなかった。比較例8の空気入りタイヤは、従来例3に対してS−(アミノアルキル)チオ硫酸を配合しているが、PET繊維およびアラミド繊維からなる複合コードを用いていても撚り係数も低いため高速耐久性や荷重耐久性を改善することはできなかった。
比較例9の空気入りタイヤは、コートゴムを構成するゴム組成物におけるS−(アミノアルキル)チオ硫酸の配合量が多すぎるため、S−(アミノアルキル)チオ硫酸による低発熱化の効果が得られず、また硬度が高くなり過ぎるため、荷重耐久性および高速耐久性が悪化した。比較例10の空気入りタイヤは、コートゴムを構成するゴム組成物に含まれるカーボンブラックの窒素吸着比表面積が大き過ぎるため高速耐久性が悪化した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
10 補強層
11 有機繊維コード
12 コートゴム

Claims (3)

  1. 有機繊維コードを引き揃えて構成された補強層を含む空気入りタイヤにおいて、
    前記有機繊維コードが、少なくとも1本のアラミド繊維ヤーンと少なくとも1本のポリエチレンテレフタレート繊維ヤーンとを撚り合わせて構成され、総繊度が1400dtex〜2200dtex、引張強度が9.0cN/dtex以上、中間伸度が2.0%〜4.0%、下記式(1)で表される撚り係数が2350〜2850の範囲である一方で、前記有機繊維コードを被覆するゴム組成物は、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを少なくとも30重量%含むジエン系ゴム100重量部に対し、窒素吸着比表面積が90m2 /g以下のカーボンブラックを30〜80重量部配合し、下記一般式(i)で表されるアミノ基を含んだチオ硫酸化合物またはその金属塩、或いは下記一般式(ii)で表される化合物を前記カーボンブラックの配合量に対して0.1〜5.0重量%含むことを特徴とする空気入りタイヤ。
    K=T×D1/2 ・・・(1)
    (但し、Tは複合コードの上撚り数(回/10cm)であり、Dは複合コードの総繊度(dtex)である。)
    Figure 0006593030
    (式中、nは1〜10の整数を表す。)
    Figure 0006593030
    (式中R1 は置換基を有しても良い炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基、R2 ,R3 はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基または炭素数1〜6のアルコキシ基、 4 はヒドロキシ基または−ONa、Xは−NH−または−O−を表す。)
  2. 前記補強層がカーカス層であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. スピードレンジが270km/h以上のハイパフォーマンスタイヤであることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
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