JP2016222872A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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健介 土方
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Abstract

【課題】軽量で、コーナリングパワー、および高速走行時の操縦安定性に優れる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】有機繊維コード11を引き揃えて構成された補強層10を含む空気入りタイヤにおいて、有機繊維コード11をポリエチレンテレフタレート繊維で構成し、破断強度を4.0cN/dtex以上、中間伸度を3.0%〜4.0%、寸法安定性指数を5.0%〜6.5%、式(1)で表される撚り係数を1700〜2100の範囲に設定する一方で、有機繊維コード11を被覆するコートゴム12を、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを少なくとも30質量%含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積が90m2/g以下のカーボンブラックを30〜80質量部、ガラス転移温度が−75℃以下のカシューオイルを1〜20質量部配合したゴム組成物で構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機繊維コードを引き揃えて構成された補強層を含む空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、軽量で、コーナリングパワーおよび高速走行時の操縦安定性に優れる空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは、一対のビード部間に装架されたカーカス層を備えている。このようなカーカス層には一般的に有機繊維コードが使用されている。これに対して、近年、空気入りタイヤを製造するうえで環境負荷の軽減が技術課題とされており、中でも再生資源の利用や省資源化が求められている。このような観点から、カーカス層のような補強層に使用される有機繊維コードを厳選することが求められている。
このような有機繊維コードの素材として、例えば、セルロース繊維(レーヨン繊維)は、再生資源利用の観点から有効であるが、原料を製造する際に二硫化炭素が用いられるため、環境負荷の観点から必ずしも良好ではない。その点、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)は、製造時に二硫化炭素は用いられないので環境負荷の観点からも良好であり、また、より高強度であるため更なる省資源化(軽量化)が見込めるため好適である。
しかしながら、このようなPET繊維を用いたコードでは、剛性や寸法安定性が低下する傾向にあり、また、PET繊維は温度依存性を有するため発熱し易いことから、高速走行時の操縦安定性が悪化する虞がある。そのため、PET繊維からなるコードを用いた場合であっても、小さいタイヤ質量(軽量化)、高いコーナリングパワー、および優れた高速走行時の操縦安定性を高度に両立する対策が求められている。
特開平9‐058226号公報
本発明の目的は、軽量で、コーナリングパワーおよび高速走行時の操縦安定性に優れる空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、有機繊維コードを引き揃えて構成された補強層を含む空気入りタイヤにおいて、前記有機繊維コードがポリエチレンテレフタレート繊維で構成され、破断強度が4.0cN/dtex以上、中間伸度が3.0%〜4.0%、乾熱収縮率と中間伸度の和で表される寸法安定性指数が5.0%〜6.5%、下記式(1)で表される撚り係数が1700〜2100の範囲である一方で、前記有機繊維コードを被覆するゴム組成物は、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを少なくとも30質量%含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積が90m2/g以下のカーボンブラックを30〜80質量部、ガラス転移温度が−75℃以下のカシューオイルを1〜20質量部配合したことを特徴とする。
K=T×D1/2 ・・・(1)
(但し、Tは有機繊維コードの上撚り数(回/10cm)であり、Dは有機繊維コードの総繊度(dtex)である。)
本発明の空気入りタイヤは、補強層を構成する有機繊維コードをポリエチレンテレフタレート繊維で構成し、その破断強度、中間伸度、寸法安定性指数、および撚り係数をそれぞれ特定の範囲に設定しているので、タイヤ質量を低減しながら、コーナリングパワーを向上することができる。このとき、有機繊維コードを被覆するゴム組成物として、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを含むジエン系ゴムに対し、特定のガラス転移温度を有するカシューオイルを配合することで、低発熱性で高温でも物性低下し難いゴム組成物を使用しているので、高速走行時において有機繊維コードの剛性や寸法安定性が低下することや発熱を抑制し、有機繊維コードの本来の性能を発揮することを可能にし、高速走行時の操縦安定性を向上することができる。尚、このような空気入りタイヤでは、有機繊維コードとして再生資源を利用でき製造時の環境負荷も小さくなり、更に、軽量化(即ち、省資源化)も達成できるので、環境保全の観点からも利点がある。
本発明では、有機繊維コードについて、引張り試験における切断時の伸び率と切断時の引張り荷重の70%の荷重を負荷した際の伸び率との差が11%〜16%であることが好ましい。このように伸び率の差を設定することで、高いタフネスを確保して、耐外傷性を改善することが可能になる。
本発明では、カシューオイル中のモノマー比率が85%以上であることが好ましい。これにより、カシューオイルのガラス転移温度を充分に低くして、ゴム組成物の発熱を更に抑制することができるので、高速走行時の操縦安定性を向上するには有利になる。
本発明では、補強層がカーカス層であることが好ましい。カーカス層は空気入りタイヤの基本骨格を形成し、タイヤに含まれる補強コードが埋設された補強層としてはタイヤ中に占める割合が大きいため、本発明の補強層を適用することで、上述の効果を有効に発揮することができる。
また、本発明の補強層は、スピードレンジが270km/h以上のハイパフォーマンスタイヤに適用することが好ましい。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線半断面図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの補強層の断面形状を模式的に示 す説明図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に例示する空気入りタイヤにおいて、CLはタイヤ赤道、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されている。また、ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部分と折り返し部分により包み込まれている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図1では2層)のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。更に、ベルト層7の外周側にはタイヤ周方向に配向する補強コードを含むベルト補強層8が設けられている。ベルト補強層8のタイヤ周方向に対するコード角度は例えば5°以下、より好ましくは、3°以下である。
上記空気入りタイヤは、カーカス層4、ベルト層7、ベルト補強層8に代表される補強層を有しているが、このような補強層のうち少なくとも一部、好ましくは、少なくともカーカス層4には、後述する補強層10が使用されている。
図2に示すように、補強層10は、複数本の有機繊維コード11を引き揃えて、コートゴム12で被覆して構成される。このとき、有機繊維コード11はポリエチレンテレフタレート繊維で構成される。また、この有機繊維コード11は、破断強度が4.0cN/dtex以上、中間伸度が3.0%〜4.0%、寸法安定性指数が5.0%〜6.5%、下記式(1)で表される撚り係数が1700〜2100の範囲に設定されている。
K=T×D1/2 ・・・(1)
(但し、Tは有機繊維コードの上撚り数(回/10cm)であり、Dは有機繊維コードの総繊度(dtex)である。)
一方、コートゴム12は、後述のように、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを含むジエン系ゴムに対し、特定の窒素吸着比表面積を有するカーボンブラックと、特定のガラス転移温度を有するカシューオイルを特定量ずつ配合したことで、低発熱性で高温でも物性(例えば、剛性)が低下し難いゴム組成物で構成される。
このように、有機繊維コード11として上述の構成の複合コードを用いる一方で、コートゴム12として特定のゴム組成物を用いているので、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ質量を軽量化する一方で、コーナリングパワーおよび高速走行時の操縦安定性をバランスよく向上することができる。具体的には、有機繊維コード11として、アラミド繊維ヤーンとポリエチレンテレフタレート繊維ヤーンとを撚り合わせた複合コードを用い、その破断強度、中間伸度、寸法安定性指数、および撚り係数をそれぞれ特定の範囲に設定しているので、タイヤ質量を低減しながら、コーナリングパワーを向上することができる。一方で、コートゴム12として、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを含むジエン系ゴムに対し、特定の窒素吸着比表面積を有するカーボンブラックと、特定のガラス転移温度を有するカシューオイルを配合したことで、低発熱性で高温でも物性低下し難いゴム組成物を使用しているので、高速走行時において有機繊維コード11の剛性や寸法安定性が低下することや発熱を抑制し、PET繊維からなる有機繊維コード11の本来の性能を発揮することを可能にし、高速走行時の操縦安定性を向上することができる。
このとき、有機繊維コード11がPET繊維以外の有機繊維(例えばレーヨン繊維)で構成されると、高速走行時の操縦安定性を改善することができない。また、破断強度が4.0cN/dtexよりも小さいと、充分な耐久性が得られない。中間伸度が3.0%よりも小さいと、有機繊維コード11を製造することが困難になる。中間伸度が4.0%よりも大きいと、剛性が低下し、操縦安定性が悪化する。寸法安定性指数が5.0%よりも小さいと、有機繊維コード11を製造することが困難になる。寸法安定性指数が6.5%よりも大きいと、ポストキュアインフレーションの際などにおいて、タイヤ幅寸法が大きく膨らんでしまい、安定したタイヤ製造が難しくなる。撚り係数が1700よりも小さいと、充分な耐疲労性が得られなくなる。撚り係数が2100よりも大きいと、剛性が悪化して、高速走行時の操縦安定性を改善することができない。
本発明において、破断強度および中間伸度はいずれも、JIS L1017に準拠して測定された値である。中間伸度については2.0cN/dtex負荷時の値である。また、寸法安定性指数とは乾熱収縮率と前述の中間伸度の和であり、乾熱収縮率については、破断強度や中間伸度と同様に、JIS L1017に準拠して測定された値である。乾熱収縮率については150℃の温度条件における値である。尚、撚り係数は、有機繊維コード11を製造する際の紡糸速度を調整することで設定することができる。
有機繊維コード11の総繊度は特に限定されないが、例えば1400dtex〜2500dtexの範囲に設定するとよい。総繊度をこのような範囲にすることで、高い強力レベルを有することができる。
本発明では、有機繊維コード11について、引張り試験における切断時の伸び率と切断時の引張り荷重の70%の荷重を負荷した際の伸び率との差が11%〜16%になるようにすることが好ましい。このように切断時の伸び率と特定の条件での伸び率との差を設定することで、高いタフネスを確保して、耐外傷性を改善することができる。この伸び率の差が11%よりも小さいと、充分なタフネスが得られず、耐外傷性を改善する効果が得られない。この伸び率の差が16%よりも大きいと、有機繊維コードの製造が困難になる。
以下、コートゴム12を構成するゴム組成物(以下、「本発明のゴム組成物」と言う)について説明する。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分はジエン系ゴムであり、例えば、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを必ず含む。天然ゴム、イソプレンゴムとしては、タイヤ用ゴム組成物に通常用いられるゴムを使用することができる。天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムの含有量は、ジエン系ゴム100質量%中30質量%以上である。これらゴムの含有量が30質量%よりも少ないと、本発明の所望の効果が充分に得られない虞がある。
本発明のゴム組成物は、天然ゴム、イソプレンゴム以外の他のジエン系ゴムを含有してもよい。特に、他のジエン系ゴムとして、例えばブタジエンゴム、スチレン‐ブタジエンゴムを任意で配合することができる。これら他のジエン系ゴム(ブタジエンゴム、スチレン‐ブタジエンゴム)の配合量は合計で、ジエン系ゴム100質量%中例えば50質量%以下である。これら他のジエン系ゴムは、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、カーボンブラックを30〜80質量部、好ましくは40〜70質量部配合する。このようにカーボンブラックを配合することで、ゴム組成物の強度を向上することができる。カーボンブラックの配合量が30質量部よりも少ないと、ゴム組成物のゴム強度やゴム硬度が不足して、補強層10としての補強性能が低下する。カーボンブラックの配合量が80質量部よりも多いと、ゴム組成物の60℃におけるtanδが大きくなるため、高速走行時の発熱が抑えられず、高速走行時の操縦安定性を充分に改善することができない。
本発明のゴム組成物に使用するカーボンブラックは、窒素吸着比表面積が90m2/g以下、好ましくは25〜80m2/gである。このように特定の窒素吸着比表面積を有するカーボンブラックを用いることで、低発熱性及び高剛性を両立することができる。カーボンブラックの窒素吸着比表面積が90m2/gよりも大きいと、ゴム組成物の60℃におけるtanδが大きくなるため、高速走行時の操縦安定性を充分に改善することができない。尚、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217‐2に準拠して測定するものとする。
本発明のゴム組成物には、ジエン系ゴム100質量部に対し、ガラス転移温度が−75℃以下のカシューオイルが1〜20質量部配合される。ガラス転移温度が−75℃以下のカシューオイルを配合することにより、カシューオイルが軟化剤として機能することでゴム組成物の加工性を向上する一方で、カシューオイルの熱硬化性により加硫後のゴム組成物の硬度が低下することを防止することができる。そのため、従来の軟化剤を用いるゴム組成物のように、硬度の低下を防止するための配合剤(例えば、カーボンブラック等の補強性フィラー)を追加または増加する必要がなくなり、タイヤ用ゴム組成物として充分な硬度と耐破断性および低発熱性をバランス良く両立することが可能になる。また、カシューオイルを用いることで高温時においても前述のゴムの物性が低下し難くなる。その結果、このゴム組成物を補強層10のコートゴム11として用いた場合に、高速走行時の発熱を効果的に抑制し、高速走行時の操縦安定性を効果的に改善することができる。また、カシューオイルは天然由来の材料であるため、環境負荷を低減するには有利である。
カシューオイルの配合量はジエン系ゴム100質量部に対し、1〜20質量部、好ましくは3〜18質量部である。カシューオイルの配合量が1質量部よりも少ないと、カシューオイルが少な過ぎるため、加工性を改善することができず、補強層10のコートゴム12として用いることが難しくなる。カシューオイルの配合量が20質量部よりも多いと、ゴム組成物の硬度が大幅に高まるため、耐破断性および低発熱性が悪化し、高速走行時の操縦安定性を改善することができない。
本発明において、カシューオイルとは、カシューの種子(カシューナッツ)の殻部分から得られる常温で液状の油脂である。特に、搾油後に加熱処理が施されて、主成分のアナカルド酸が脱炭酸されて、カルダノールが主成分となった工業用カシューオイルを指す。尚、工業用カシューオイルは、主成分であるカルダノールの他に、カードルや2‐メチルカードルを含む。
カシューオイルのガラス転移温度はカシューオイル中のモノマーの比率により変化し、モノマー比率が高くするほどガラス転移温度を低減することができる。
本発明では、上述のようにガラス転移温度が−75℃以下のカシューオイルを用いるが、ガラス転移温度が−75℃よりも高いカシューオイルを用いた場合、カシューオイルの物性の温度依存性に起因して、60℃におけるtanδが悪化する。即ち、低発熱性が悪化し、空気入りタイヤの高速走行時の操縦安定性を改善することができない。尚、ガラス転移温度が−75℃以下のカシューオイルを用いた場合には、tanδが悪化するピークの温度が低温側にシフトするため、60℃におけるtanδが悪化を防ぐことができ、タイヤ用ゴム組成物として用いる場合には優れた低発熱性が発揮され、高速走行時の操縦安定性を効果的に高めることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物では、硬化剤としてメチレン供与体を配合することが好ましい。メチレン供与体の配合量は、カシューオイル100質量%に対して好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜90質量%である。このようにカシューオイル(軟化剤)に対して、硬化剤として特定の量のメチレン供与体を配合することで、ゴム組成物の加工性、耐破断性、および低発熱性を維持しながら、ゴム硬度を向上することができる。メチレン供与体の配合量が10質量%未満であると、ゴム硬度を高める効果が十分に得られない。メチレン供与体の配合量が100質量%を超えると、耐破断性が低下する。また、メチレン供与体以外の硬化剤を用いると、加工性や耐破断性や低発熱性を維持することが難しくなる。メチレン供与体としては、本発明の効果の観点から、例えばヘキサメチレンテトラミンや、HMMM(ヘキサメトキシメチロールメラミンの部分縮合物)、PMMM(ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテルの部分縮合物)のようなメラミン誘導体を用いることが好ましい。
本発明のゴム組成物には、加硫または架橋剤、加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫または架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。本発明のビードフィラー用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
本発明の補強層10は高速走行時の操縦安定性の改善に有利であるので、スピードレンジが270km/h以上のハイパフォーマンスタイヤに適用することが好ましい。このようなハイパフォーマンスタイヤでは、タイヤ質量を小さくし、コーナリングパワーを向上し、荷重耐久性および高速走行時の操縦安定性を改善する効果が有効に機能して、走行性能を高めることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
タイヤサイズが205/55R16であり、図1に例示する基本的な断面形状を有し、補強層(カーカス層)を構成する補強コード(有機繊維コード)について、繊維の種類、コード構造、総繊度、破断強度、中間伸度、乾熱収縮率、寸法安定性指数、撚り係数、引張り試験における切断時の伸び率と切断時の引張り荷重の70%の荷重を負荷した際の伸び率との差(伸び率の差)をそれぞれ表1,2のように設定し、また、コートゴムを構成するゴム組成物の組成について表1,2のように設定した従来例1、比較例1〜14、実施例1〜10の25種類の空気入りタイヤを作製した。
尚、コートゴムを構成するゴム組成物については、硫黄、加硫促進剤を除く成分を1.8Lの密閉型ミキサーで160℃、5分間混練し放出したマスターバッチに、硫黄、加硫促進剤を加えてオープンロールで混練することにより調製した。
得られた25種類のタイヤ用ゴム組成物について、下記に示す方法により、タイヤ質量、コーナリングパワー、および高速走行時の操縦安定性(高速操縦安定性)の評価を行った。
タイヤ質量
各試験タイヤについて、質量を測定し、従来例1の測定値を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほどタイヤ質量が小さく、軽量化が達成できていることを意味する。
コーナリングパワー
各試験タイヤをリムサイズ18×8Jのホイールに装着し、空気圧200kPaを充填して、フラットベルト試験機を用いて、荷重400kgf、速度200km/hの条件にて走行させ、スリップ角を±30°としたときのコーナリングパワーを測定し、その絶対値の平均を求めた。評価結果は、従来例1の測定値を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどコーナリングパワーが大きいことを意味する。
高速操縦安定性
各試験タイヤをリムサイズ18×8Jのホイールに組み付けて、空気圧200kPaを充填して、排気量2Lの試験車両に装着し、平坦な周回路からなるテストコースを速度60〜100km/hの条件で走行し、レーンチェンジ時およびコーナリング時の操舵性と直進時の安定性について、専門のパネラー3名による官能試験を行った。評価結果は、従来例1の測定値を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど高速走行時の操縦安定性が優れていることを意味する。
Figure 2016222872
Figure 2016222872
なお、表1,2において使用した原材料の種類を下記に示す。
−NR:天然ゴム、STR20
−BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol BR1220
−SBR:スチレン‐ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol 1502
−CB1:カーボンブラック、新日化カーボン社製ニテロン#10N(窒素吸着比表面積:42m2/g)
−CB2:カーボンブラック、新日化カーボン社製ニテロン#200IS(窒素吸着比表面積:92m2/g)
−酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
−ステアリン酸:日新理化社製ステアリン酸50S
−老化防止剤:大内新興化学工業社製ノクラック224
−オイル1:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S(ガラス転移温度:−41℃)
−オイル2:昭和シェル石油社製プロセスオイル123(ガラス転移温度:−85℃)
−カシューオイル1:東北化工社製LB‐7000(ガラス転移温度:−98℃)
−カシューオイル2:東北化工社製LB‐3025(ガラス転移温度:−92℃)
−カシューオイル3:東北化工社製CD‐5L(ガラス転移温度:−67℃)
−硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
−加硫促進剤:大内新興化学社製ノクセラーNS‐P
表1から明らかなように実施例1〜10のタイヤ用ゴム組成物は、従来例1に対してタイヤ質量を軽減し、コーナリングパワー、および高速走行時の操縦安定性を向上した。
一方、カシューオイルを含まない比較例1〜4は、いずれもPET繊維の温度依存性により、高速走行時に発熱の影響を受けて、有機繊維コードの剛性が低下し、高速走行時の操縦安定性が悪化した。また、コーナリングパワーについても向上することができなかった。尚、比較例1,2,3の順に有機繊維コードの中間伸度が小さくなっているため、この順で寸法変化は抑制され、高速走行時の操縦安定性やコーナリングパワーの悪化は抑えられているが、最も中間伸度の小さい比較例3であっても、従来レベルを維持することはできなかった。また、比較例4は、撚り係数を低くしているため、有機繊維コードの剛性を適度に維持することができるものの、やはりカシューオイルを含まないため、PET繊維自体の欠点を補うことができず、高速走行時の操縦安定性が悪化した。
比較例5の空気入りタイヤは、従来例1に対して特定のガラス転移温度を有するカシューオイルを配合しているが、有機繊維コードにレーヨン繊維を用いているため、カシューオイルを配合することによる効果は発揮されず、タイヤ質量、コーナリングパワー、および高速走行時の操縦安定性のいずれも改善しなかった。比較例6〜8の空気入りタイヤは、比較例1〜3に対してそれぞれ特定のガラス転移温度を有するカシューオイルを配合しているが、撚り係数が大きいため、高速耐久性やコーナリングパワーを比較例1〜3よりは改善できるものの、従来レベルよりも改善することはできなかった。
比較例9の空気入りタイヤは、有機繊維コードの撚り係数が小さ過ぎるため、耐疲労性が悪化し、コーナリングパワーおよび高速走行時の操縦安定性を向上することができなかった。比較例10の空気入りタイヤは、オイルを配合することで低下するゴム硬度を補うために比較例4に対してカーボンブラックを増量しているが、カーボンブラックが過多であるため、ゴム組成物の低発熱性が悪化して、高速走行時の操縦安定性が悪化した。比較例11は、ガラス転移温度の低い(−85℃以下)のオイルを用いているが、カシューオイルではないため、コーナリングパワーが悪化した。
比較例12は、カシューオイルは用いているものの、そのガラス転移温度が−75℃よりも高いため、充分な低発熱性が得られず、高速走行時の操縦安定性が悪化した。比較例13は、カシューオイルの配合量が多すぎるため、却って低発熱性が悪化し、高速走行時の操縦安定性が悪化した。比較例14は、窒素吸着比表面積が大きいカーボンブラックが配合されたため、高速操縦安定性が悪化した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
10 補強層
11 有機繊維コード
12 コートゴム

Claims (4)

  1. 有機繊維コードを引き揃えて構成された補強層を含む空気入りタイヤにおいて、
    前記有機繊維コードがポリエチレンテレフタレート繊維で構成され、破断強度が4.0cN/dtex以上、中間伸度が3.0%〜4.0%、乾熱収縮率と中間伸度の和で表される寸法安定性指数が5.0%〜6.5%、下記式(1)で表される撚り係数が1700〜2100の範囲である一方で、前記有機繊維コードを被覆するゴム組成物は、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを少なくとも30質量%含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積が90m/g以下のカーボンブラックを30〜80質量部、ガラス転移温度が−75℃以下のカシューオイルを1〜20質量部配合したことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
    K=T×D1/2 ・・・(1)
    (但し、Tは有機繊維コードの上撚り数(回/10cm)であり、Dは有機繊維コードの総繊度(dtex)である。)
  2. 前記有機繊維コードについて、引張り試験における切断時の伸び率と切断時の引張り荷重の70%の荷重を負荷した際の伸び率との差が11%〜16%であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記補強層がカーカス層であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  4. スピードレンジが270km/h以上のハイパフォーマンスタイヤであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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