以下に添付図面を適宜参照しながら、本発明に係る冷媒回路装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である冷媒回路装置が適用された自動販売機の内部構造を正面から見た場合を示す断面図である。ここで例示する自動販売機は、本体キャビネット1、冷媒回路装置10及びドレン水蒸発装置60を備えている。
本体キャビネット1は、前面が開口した直方状の形態を成す自動販売機本体である。この本体キャビネット1には、その内部に例えば2つの断熱仕切板2によって仕切られた3つの独立した商品収容庫3が左右に並んだ態様で設けられている。この商品収容庫3は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容する室で、断熱構造を有している。
図2は、図1に示した自動販売機の内部構造を示すものであり、右側の商品収容庫3の断面側面図である。尚、ここでは右側の商品収容庫(以下、適宜右庫とも称する)3aの内部構造について示すが、中央の商品収容庫(以下、適宜中庫とも称する)3b及び左側の商品収容庫(以下、適宜左庫とも称する)3cの内部構造も右庫3aと略同じような構成である。尚、本明細書における右側とは、自動販売機を正面から見た場合の右方を示し、左側とは、自動販売機を正面から見た場合の左方を示す。
かかる図2に示すように、本体キャビネット1の前面には、外扉4及び内扉5が設けられている。外扉4は、本体キャビネット1の前面開口を開閉するためのものであり、内扉5は、商品収容庫3の前面を開閉するためのものである。この内扉5は、上下に分割されており、上側の扉5aは商品を補充する際に開閉するものである。
上記商品収容庫3には、収納ラック6、搬出機構7及び搬出シュータ8が設けられている。収納ラック6は、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納するためのものである。搬出機構7は、収納ラック6の下部に設けられており、この収納ラック6に収納された商品群の最下位にある商品を1つずつ搬出するためのものである。搬出シュータ8は、搬出機構7から搬出された商品を外扉4に設けられた商品取出口4aに導くためのものである。
図3は、図1に示した自動販売機を構成する冷媒回路装置10を概念的に示す概念図である。ここで例示する冷媒回路装置10は、主経路20、高圧冷媒導入経路30、放熱経路40及びバイパス経路50を有する冷媒回路10aと、冷媒回路10aに設けられた各部を適宜制御する制御手段10bとを備えて構成されている。
主経路20は、圧縮機21、四方弁22、庫外熱交換器23、膨張機構24及び庫内熱交換器25を冷媒管路26にて適宜接続して構成されており、内部に冷媒が封入されている。
圧縮機21は、図2にも示すように機械室9に配設されている。機械室9は、本体キャビネット1の内部であって商品収容庫3と区画され、かつ商品収容庫3の下方側の室である。この圧縮機21は、吸引口を通じて冷媒を吸引し、吸引した冷媒を圧縮して高温高圧の状態(高温高圧冷媒)にして吐出するものである。
図4及び図5は、それぞれ図2及び図3に示した圧縮機21の構成を模式的に示すもので、図4は平面図、図5は側面図である。これら図4及び図5にも示すように、圧縮機21は、圧縮機本体211と、ピストンシリンダ部212と、モータ213と、ディスチャージポート214と、サクションポート215と、ディスチャージパイプ(第1パイプ)216と、サクションパイプ(第2パイプ)217と、プロセスパイプ(第3パイプ)218とを備えて構成されている。
圧縮機本体211は、厚肉鋳鉄の筐体であり、横断面形状が略円形の形態を成すものである。ピストンシリンダ部212は、圧縮機本体211の内部に設けられており、冷媒を圧縮するものである。モータ213は、圧縮機本体211の内部に設けられており、ピストンシリンダ部212を構成するピストンを駆動させる駆動源である。
ディスチャージポート214は、圧縮機本体211の内部に設けられており、ピストンシリンダ部212で圧縮された冷媒を流出させるための冷媒流出部である。サクションポート215は、圧縮機本体211の内部に設けられており、圧縮機本体211の内部に連通する開口部215aを通じて冷媒をピストンシリンダ部212に流入させる冷媒流入部である。
ディスチャージパイプ216は、ディスチャージポート214を介してピストンシリンダ部212に直結され、かつ圧縮機本体211の外部に突出する態様で配設されており、ピストンシリンダ部212で圧縮された冷媒を吐出するためのものである。
サクションパイプ217は、サクションポート215の開口部215aの近傍において圧縮機本体211の外部に突出する態様で配設されている。このサクションパイプ217は、詳細は後述するが、冷媒を吸引するためのものである。かかるサクションパイプ217で吸引された冷媒は、一度圧縮機本体211の内部に流入した後、サクションポート215を介してピストンシリンダ部212に流入される。
プロセスパイプ218は、サクションパイプ217よりもサクションポート215の開口部215aから離隔した個所において圧縮機本体211の外部に突出する態様で配設されている。このプロセスパイプ218は、従前から存在し、圧縮機本体211の内部の真空引き、冷媒封入、冷媒引き出し等に用いられるためのものである。
四方弁22は、1つの入口221と、3つの出口(第1出口222、第2出口223、第3出口224)とを有しており、制御手段10bから与えられる指令に応じて、入口221と第1出口222とを連通する第1送出状態、入口221と第2出口223とを連通する第2送出状態、入口221と第3出口224とを連通する第3送出状態、並びに入口221と第2出口223及び第3出口224とを連通する第4送出状態のいずれかに切替可能な切替バルブである。この四方弁22の入口221は、圧縮機21のディスチャージパイプ216に連結された冷媒管路26が接続されている。
庫外熱交換器23は、図2にも示すように圧縮機21と同様に機械室9に配設されている。この庫外熱交換器23は、通過する冷媒と周囲空気とを熱交換させるものである。かかる庫外熱交換器23の後方側近傍には庫外送風ファンF1が設けられている。この庫外熱交換器23の入口側に連結された冷媒管路26は、四方弁22の第1出口222に接続されている。
膨張機構24は、図2にも示すように圧縮機21及び庫外熱交換器23と同様に機械室9に配設されている。この膨張機構24は、通過する冷媒を減圧して断熱膨張させるもので、第1電子膨張弁241、第2電子膨張弁242及び第3電子膨張弁243を備えて構成されている。
これら第1電子膨張弁241、第2電子膨張弁242及び第3電子膨張弁243は、庫外熱交換器23の出口側に連結された冷媒管路26に接続された分配器271により3つに分岐された冷媒管路26にそれぞれ配設されている。
ここで膨張機構24を構成する第1電子膨張弁241、第2電子膨張弁242及び第3電子膨張弁243は、制御手段10bから与えられる指令に応じてそれぞれの開度が調整される。
庫内熱交換器25は、複数(図示の例では3つ)設けられており、各商品収容庫3の内部低域であって、背面ダクトD(図2参照)の前面側に配設されている。右庫3aに配設された庫内熱交換器(以下、右庫内熱交換器とも称する)25aは、第1電子膨張弁241の下流側に、中庫3bに配設された庫内熱交換器(以下、中庫内熱交換器とも称する)25bは、第2電子膨張弁242の下流側に、左庫3cの内部に配設された庫内熱交換器(以下、左庫内熱交換器とも称する)25cは、第3電子膨張弁243の下流側に位置する態様で冷媒管路26に接続されている。
また、第1電子膨張弁241と右庫内熱交換器25aとの間、第2電子膨張弁242と中庫内熱交換器25bとの間、並びに第3電子膨張弁243と左庫内熱交換器25cとの間には、それぞれ第1キャピラリーチューブ272、第2キャピラリーチューブ273及び第3キャピラリーチューブ274が設けられている。
更に、第2電子膨張弁242と第2キャピラリーチューブ273との間には第1逆止弁275が設けられ、第3電子膨張弁243と第3キャピラリーチューブ274との間には第2逆止弁276が設けられている。
中庫内熱交換器25b及び左庫内熱交換器25cの出口側に接続された冷媒管路26は、第1合流点P1で合流し、合流した冷媒管路26は、更に右庫内熱交換器25aの出口側に冷媒管路26と第2合流点P2で合流している。第2合流点P2で合流した冷媒管路26は、圧縮機21のサクションパイプ217に連結されている。
中庫内熱交換器25bの出口側に接続された冷媒管路26には、第1合流点P1の上流側に第1帰還用電磁弁277が配設されている。第1帰還用電磁弁277は、開閉可能な弁体であり、制御手段10bから開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
左庫内熱交換器25cの出口側に接続された冷媒管路26には、第1合流点P1の上流側に第2帰還用電磁弁278が配設されている。第2帰還用電磁弁278は、開閉可能な弁体であり、制御手段10bから開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
高圧冷媒導入経路30は、第1高圧冷媒管路31と第2高圧冷媒管路32とを有している。第1高圧冷媒管路31は、一端が四方弁22の第2出口223に接続され、かつ他端が中庫内熱交換器25bの入口側の冷媒管路26の第3合流点P3に合流するものである。この第1高圧冷媒管路31は、四方弁22により冷媒の導入が許容される場合に、圧縮機21で圧縮された高圧冷媒を中庫内熱交換器25bに供給するものである。
第2高圧冷媒管路32は、一端が四方弁22の第3出口224に接続され、かつ他端が左庫内熱交換器25cの入口側の冷媒管路26の第4合流点P4に合流するものである。この第2高圧冷媒管路32は、四方弁22により冷媒の導入が許容される場合に、圧縮機21で圧縮された高圧冷媒を左庫内熱交換器25cに供給するものである。
放熱経路40は、第1放熱管路41及び第2放熱管路42を備えて構成されている。第1放熱管路41は、中庫内熱交換器25bの出口側に接続された冷媒管路26の途中の第1分岐点P5で分岐され、四方弁22の第1出口222と庫外熱交換器23との間の冷媒管路26の第5合流点P6で合流する態様で該冷媒管路26に接続されている。
この第1放熱管路41の途中には、第3逆止弁431、第4電子膨張弁432、第4キャピラリーチューブ433が設けられている。第4電子膨張弁432は、制御手段10bから与えられる指令に応じて開度が調整されるもので、通過する冷媒を断熱膨張させるものである。第4キャピラリーチューブ433は、通過する冷媒を断熱膨張させるためのものである。
第2放熱管路42は、左庫内熱交換器25cの出口側に接続された冷媒管路26の途中の第2分岐点P7で分岐され、第1放熱管路41の第6合流点P8で合流する態様で該第1放熱管路41に接続されている。この第2放熱管路42の途中には、第4逆止弁434が設けられている。
バイパス経路50は、バイパス管路51及びバイパスバルブ52を備えて構成されている。バイパス管路51は、庫外熱交換器23から分配器271に至る冷媒管路26の途中の第3分岐点P9から分岐し、かつ圧縮機21のプロセスパイプ218に連結されている。
バイパスバルブ52は、開閉可能な弁体であり、制御手段10bから開指令が与えられた場合には開成して冷媒がバイパス管路51を通過することを許容する一方、制御手段10bから閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒がバイパス管路51を通過することを規制するものである。
図6は、本体キャビネット1の機械室9の圧縮機21の周辺を模式的に示す平面図である。この図6に示すように、ドレン水蒸発装置60は、複数(図示の冷媒では2つ)設けられている。このドレン水蒸発装置60は、商品収容庫3の内部で生じたドレン水を蒸発させるためのもので、ドレン皿61とドレンシート62とを備えて構成されている。
ドレン皿61は、商品収容庫3の内部で生じたドレン水を貯留するためのものである。このドレン皿61に貯留されるドレン水は、図には明示しない樋部材等を通じてドレン皿61に導かれるものである。
ドレンシート62は、毛管現象によりドレン水を吸引可能なものである。このドレンシート62は、四角筒状に加工されてドレン皿61に立設されている。
このような構成を有するドレン水蒸発装置60は、庫外熱交換器23の後方側に配設された圧縮機21の左右両側域に設置されている。ここで、圧縮機21は、庫外熱交換器23の後方側に配設されているので、庫外送風ファンF1の駆動により庫外熱交換器23を通過した空気を左右に分岐させるものである。しかも、圧縮機本体211が上述したように横断面形状が略円形の形態を成しているので、通過する空気の粘性や空気の通過可能な面積の小型化が相俟って、圧縮機21の左右両側域では、通過する空気の風速が大きくなっている。このことについては図7を用いて説明する。
図7は、庫外送風ファンF1を駆動させた場合における庫外送風ファンF1の後方側、すなわち庫外熱交換器23の後方側の通過空気の風速を測定した結果を示す図表である。
この図7において庫外熱交換器23の後方側に圧縮機21を設置した場合の風速の変化を実線(イ)で示し、圧縮機21を設置していない場合の風速の変化を破線(ロ)で示している。尚、図7の横軸における左側の「0」は圧縮機21の左端部を示しており、右側の「0」は圧縮機21の右端部を示している。
かかる図7から、圧縮機21を設置した場合には、該圧縮機21の左右両側域での風速が圧縮機21を設置しない場合よりも大きいことが明らかである。これは圧縮機本体211の横断面形状が略円形の形態を成していることから、空気の粘性も相俟って、圧縮機21の左右両側域を通過する空気の量が十分に確保されており、しかも圧縮機21を設置したことにより空気の通過可能な面積が低減されているので、圧縮機21の左右両側域での通過空気の風速が大きくなっているからである。
そして、図7から圧縮機21の右端部から右方に60mmの範囲、並びに圧縮機21の左端部から左方に60mmの範囲では、圧縮機21を設置した場合の風速が圧縮機21を設置していない場合の風速よりも極めて大きい。
従って、圧縮機21の左側域に配設されるドレン水蒸発装置60は、圧縮機21の左端部から左方に60mmの範囲内に設置されることが好ましく、圧縮機21の右側域に配設されるドレン水蒸発装置60は、圧縮機21の右端部から右方に60mmの範囲内に設置されることが好ましい。
次に、上記冷媒回路装置10が商品収容庫3に収容された商品を冷却、あるいは加熱する場合について説明する。
まず冷却単独運転の一例として、CCC運転(全ての商品収容庫3の内部空気を冷却する運転)を行う場合について説明する。
この場合、制御手段10bは、四方弁22を第1送出状態に調整し、第1帰還用電磁弁277及び第2帰還用電磁弁278を開成させる一方、バイパスバルブ52を閉成させる。また制御手段10bは、膨張機構24を構成する第1電子膨張弁241、第2電子膨張弁242及び第3電子膨張弁243の開度を所定の大きさに調整するとともに、第4電子膨張弁432を閉成させる。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、図8に示すように循環する。
圧縮機21のピストンシリンダ部212で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ216から吐出され、第1送出状態の四方弁22を通過して冷媒管路26を経由して庫外熱交換器23に至る。
庫外熱交換器23に至った冷媒は、該庫外熱交換器23を通過中に、周囲空気(外気)に放熱して凝縮する。庫外熱交換器23で凝縮した冷媒は、分配器271で分岐され、膨張機構24(第1電子膨張弁241、第2電子膨張弁242及び第3電子膨張弁243)により断熱膨張して各庫内熱交換器25に至り、各庫内熱交換器25で蒸発して商品収容庫3の内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、各庫内熱交換器25の近傍に配設された庫内送風ファンF2の駆動により内部を循環し、これにより各商品収容庫3に収容された商品は、循環する内部空気に冷却される。
各庫内熱交換器25で蒸発した冷媒は、第1合流点P1及び第2合流点P2で合流した後にサクションパイプ217を通じて圧縮機21に吸引される。圧縮機21に吸引された冷媒は、圧縮機本体211の内部に流入した後、サクションポート215を介してピストンシリンダ部212に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
次に冷却加熱運転の一例として、HHC運転(中庫3b及び左庫3cの内部空気を加熱し、かつ右庫3aの内部空気を冷却する運転)を行う場合について説明する。
この場合、制御手段10bは、四方弁22を第4送出状態に調整し、第1帰還用電磁弁277、第2帰還用電磁弁278及びバイパスバルブ52を閉成させる。また制御手段10bは、第2電子膨張弁242及び第3電子膨張弁243を閉成させつつ、第1電子膨張弁241及び第4電子膨張弁432の開度を所定の大きさに調整する。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、図9に示すように循環する。
圧縮機21のピストンシリンダ部212で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ216から吐出され、第4送出状態の四方弁22を介して第1高圧冷媒管路31及び第2高圧冷媒管路32を通過する。
第1高圧冷媒管路31を通過した冷媒は、中庫内熱交換器25bに至る。中庫内熱交換器25bに至った冷媒は、該中庫内熱交換器25bを通過中に、中庫3bの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、中庫3bの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、中庫3bの内部を循環し、これにより中庫3bに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
第2高圧冷媒管路32を通過した冷媒は、左庫内熱交換器25cに至る。左庫内熱交換器25cに至った冷媒は、該左庫内熱交換器25cを通過中に、左庫3cの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、左庫3cの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、左庫3cの内部を循環し、これにより左庫3cに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
中庫内熱交換器25bで凝縮した冷媒は、第1放熱管路41に至り、左庫内熱交換器25cで凝縮した冷媒は、第2放熱管路42を経由して第1放熱管路41に至って、互いに合流する。合流した冷媒は、第1放熱管路41を通過して第4電子膨張弁432及び第4キャピラリーチューブ433で断熱膨張し、その後に庫外熱交換器23に至り、該庫外熱交換器23で周囲空気と熱交換を行う。庫外熱交換器23を通過した冷媒は、分配器271を経由して第1電子膨張弁241で断熱膨張する。
第1電子膨張弁241で断熱膨張した冷媒は、右庫内熱交換器25aに至り、この右庫内熱交換器25aで蒸発して右庫3aの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により右庫3aの内部を循環し、これにより右庫3aに収容された商品は冷却される。
右庫内熱交換器25aで蒸発した冷媒は、サクションパイプ217を通じて圧縮機21に吸引される。圧縮機21に吸引された冷媒は、圧縮機本体211の内部に流入した後、サクションポート215を介してピストンシリンダ部212に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
尚、ここでは冷却加熱運転の一例としてHHC運転について説明したが、上記冷媒回路装置10においては、CHC運転(中庫3bの内部空気を加熱し、かつ右庫3a及び左庫3cの内部空気を冷却する運転)、HCC運転(左庫3cの内部空気を加熱し、かつ右庫3a及び中庫3bの内部空気を冷却する運転)を冷却加熱運転として行うことができる。
CHC運転を行う場合、制御手段10bは、四方弁22を第2送出状態に調整し、第2帰還用電磁弁278を開成させる一方、第2電子膨張弁242、第1帰還用電磁弁277及びバイパスバルブ52を閉成させる。また制御手段10bは、第1電子膨張弁241、第3電子膨張弁243及び第4電子膨張弁432の開度を所定の大きさに調整する。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、次のように循環する。
圧縮機21のピストンシリンダ部212で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ216から吐出され、第2送出状態の四方弁22を介して第1高圧冷媒管路31を通過する。
第1高圧冷媒管路31を通過した冷媒は、中庫内熱交換器25bに至る。中庫内熱交換器25bに至った冷媒は、該中庫内熱交換器25bを通過中に、中庫3bの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、中庫3bの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、中庫3bの内部を循環し、これにより中庫3bに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
中庫内熱交換器25bで凝縮した冷媒は、第1放熱管路41に至り、第1放熱管路41を通過して第4電子膨張弁432及び第4キャピラリーチューブ433で断熱膨張し、その後に庫外熱交換器23に至り、該庫外熱交換器23で周囲空気と熱交換を行う。庫外熱交換器23を通過した冷媒は、分配器271を経由して第1電子膨張弁241及び第3電子膨張弁243で断熱膨張する。
第1電子膨張弁241で断熱膨張した冷媒は、右庫内熱交換器25aに至り、この右庫内熱交換器25aで蒸発して右庫3aの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により右庫3aの内部を循環し、これにより右庫3aに収容された商品は冷却される。
第3電子膨張弁243で断熱膨張した冷媒は、左庫内熱交換器25cに至り、この左庫内熱交換器25cで蒸発して左庫3cの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により左庫3cの内部を循環し、これにより左庫3cに収容された商品は冷却される。
右庫内熱交換器25a及び左庫内熱交換器25cで蒸発した冷媒は、第2合流点P2で合流した後にサクションパイプ217を通じて圧縮機21に吸引される。圧縮機21に吸引された冷媒は、圧縮機本体211の内部に流入した後、サクションポート215を介してピストンシリンダ部212に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
HCC運転を行う場合、制御手段10bは、四方弁22を第3送出状態に調整し、第1帰還用電磁弁277を開成させる一方、第3電子膨張弁243、第2帰還用電磁弁278及びバイパスバルブ52を閉成させる。また制御手段10bは、第1電子膨張弁241、第2電子膨張弁242及び第4電子膨張弁432の開度を所定の大きさに調整する。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、次のように循環する。
圧縮機21のピストンシリンダ部212で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ216から吐出され、第3送出状態の四方弁22を介して第2高圧冷媒管路32を通過する。
第2高圧冷媒管路32を通過した冷媒は、左庫内熱交換器25cに至る。左庫内熱交換器25cに至った冷媒は、該左庫内熱交換器25cを通過中に、左庫3cの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、左庫3cの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、左庫3cの内部を循環し、これにより左庫3cに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
左庫内熱交換器25cで凝縮した冷媒は、第2放熱管路42を経由して第1放熱管路41に至り、第1放熱管路41を通過して第4電子膨張弁432及び第4キャピラリーチューブ433で断熱膨張し、その後に庫外熱交換器23に至り、該庫外熱交換器23で周囲空気と熱交換を行う。庫外熱交換器23を通過した冷媒は、分配器271を経由して第1電子膨張弁241及び第2電子膨張弁242で断熱膨張する。
第1電子膨張弁241で断熱膨張した冷媒は、右庫内熱交換器25aに至り、この右庫内熱交換器25aで蒸発して右庫3aの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により右庫3aの内部を循環し、これにより右庫3aに収容された商品は冷却される。
第2電子膨張弁242で断熱膨張した冷媒は、中庫内熱交換器25bに至り、この中庫内熱交換器25bで蒸発して中庫3bの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により中庫3bの内部を循環し、これにより中庫3bに収容された商品は冷却される。
右庫内熱交換器25a及び中庫内熱交換器25bで蒸発した冷媒は、第2合流点P2で合流した後にサクションパイプ217を通じて圧縮機21に吸引される。圧縮機21に吸引された冷媒は、圧縮機本体211の内部に流入した後、サクションポート215を介してピストンシリンダ部212に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
更に加熱単独運転の一例として、中庫3b及び左庫3cのみの内部空気を加熱する運転を行う場合について説明する。
この場合、制御手段10bは、四方弁22を第4送出状態に調整し、バイパスバルブ52を開成させる一方、第1電子膨張弁241、第2電子膨張弁242、第3電子膨張弁243、第1帰還用電磁弁277及び第2帰還用電磁弁278を閉成させる。また制御手段10bは、第4電子膨張弁432の開度を所定の大きさに調整する。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、図10に示すように循環する。
圧縮機21のピストンシリンダ部212で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ216から吐出され、第4送出状態の四方弁22を介して第1高圧冷媒管路31及び第2高圧冷媒管路32を通過する。
第1高圧冷媒管路31を通過した冷媒は、中庫内熱交換器25bに至る。中庫内熱交換器25bに至った冷媒は、該中庫内熱交換器25bを通過中に、中庫3bの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、中庫3bの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、中庫3bの内部を循環し、これにより中庫3bに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
第2高圧冷媒管路32を通過した冷媒は、左庫内熱交換器25cに至る。左庫内熱交換器25cに至った冷媒は、該左庫内熱交換器25cを通過中に、左庫3cの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、左庫3cの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、左庫3cの内部を循環し、これにより左庫3cに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
中庫内熱交換器25bで凝縮した冷媒は、第1放熱管路41に至り、左庫内熱交換器25cで凝縮した冷媒は、第2放熱管路42を経由して第1放熱管路41に至って、互いに合流する。合流した冷媒は、第1放熱管路41を通過して第4電子膨張弁432及び第4キャピラリーチューブ433で断熱膨張し、その後に庫外熱交換器23に至り、該庫外熱交換器23で周囲空気と熱交換を行う。
庫外熱交換器23を通過した冷媒は、バイパス管路51を通過し、プロセスパイプ218を通じて圧縮機21に吸引される。圧縮機21に吸引された冷媒は、圧縮機本体211の内部に流入した後、サクションポート215を介してピストンシリンダ部212に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
ここで、プロセスパイプ218は、サクションパイプ217よりもサクションポート215の開口部215aから離隔した個所に配設されているので、プロセスパイプ218より圧縮機本体211の内部に流入した冷媒は、サクションポート215の開口部215aに流入されるまでに該圧縮機本体211の内部を通過する距離が、サクションパイプ217より圧縮機本体211の内部に流入した冷媒の該圧縮機本体211の内部を通過する距離よりも大きい。そのため、プロセスパイプ218を通じて圧縮機本体211の内部を通過する冷媒は、モータ213により十分に加熱されてからピストンシリンダ部212で圧縮されることになる。
尚、ここでは加熱単独運転の一例として中庫3b及び左庫3cのみの内部空気を加熱する運転について説明したが、上記冷媒回路装置10においては、中庫3bのみの内部空気を加熱する運転、左庫3cのみの内部空気を加熱する運転を加熱単独運転として行うことができる。
中庫3bのみの内部空気を加熱する運転を行う場合、制御手段10bは、四方弁22を第2送出状態に調整し、バイパスバルブ52を開成させる一方、第1電子膨張弁241、第2電子膨張弁242、第3電子膨張弁243、第1帰還用電磁弁277及び第2帰還用電磁弁278を閉成させる。また制御手段10bは、第4電子膨張弁432の開度を所定の大きさに調整する。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、次のように循環する。
圧縮機21のピストンシリンダ部212で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ216から吐出され、第2送出状態の四方弁22を介して第1高圧冷媒管路31を通過する。
第1高圧冷媒管路31を通過した冷媒は、中庫内熱交換器25bに至る。中庫内熱交換器25bに至った冷媒は、該中庫内熱交換器25bを通過中に、中庫3bの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、中庫3bの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、中庫3bの内部を循環し、これにより中庫3bに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
中庫内熱交換器25bで凝縮した冷媒は、第1放熱管路41に至り、第1放熱管路41を通過して第4電子膨張弁432及び第4キャピラリーチューブ433で断熱膨張し、その後に庫外熱交換器23に至り、該庫外熱交換器23で周囲空気と熱交換を行う。
庫外熱交換器23を通過した冷媒は、バイパス管路51を通過し、プロセスパイプ218を通じて圧縮機21に吸引される。圧縮機21に吸引された冷媒は、圧縮機本体211の内部に流入した後、サクションポート215を介してピストンシリンダ部212に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
この場合にもプロセスパイプ218を通じて圧縮機本体211の内部に冷媒が流入されるので、該冷媒は、モータ213により十分に加熱される。
左庫3cのみの内部空気を加熱する運転を行う場合、制御手段10bは、四方弁22を第3送出状態に調整し、バイパスバルブ52を開成させる一方、第1電子膨張弁241、第2電子膨張弁242、第3電子膨張弁243、第1帰還用電磁弁277及び第2帰還用電磁弁278を閉成させる。また制御手段10bは、第4電子膨張弁432の開度を所定の大きさに調整する。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、次のように循環する。
圧縮機21のピストンシリンダ部212で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ216から吐出され、第3送出状態の四方弁22を介して第2高圧冷媒管路32を通過する。
第2高圧冷媒管路32を通過した冷媒は、左庫内熱交換器25cに至る。左庫内熱交換器25cに至った冷媒は、該左庫内熱交換器25cを通過中に、左庫3cの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、左庫3cの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、左庫3cの内部を循環し、これにより左庫3cに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
左庫内熱交換器25cで凝縮した冷媒は、第2放熱管路42を経由して第1放熱管路41に至り、第1放熱管路41を通過して第4電子膨張弁432及び第4キャピラリーチューブ433で断熱膨張し、その後に庫外熱交換器23に至り、該庫外熱交換器23で周囲空気と熱交換を行う。
庫外熱交換器23を通過した冷媒は、バイパス管路51を通過し、プロセスパイプ218を通じて圧縮機21に吸引される。圧縮機21に吸引された冷媒は、圧縮機本体211の内部に流入した後、サクションポート215を介してピストンシリンダ部212に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
この場合にもプロセスパイプ218を通じて圧縮機本体211の内部に冷媒が流入されるので、該冷媒は、モータ213により十分に加熱される。
以上説明したように、上記冷媒回路装置10によれば、バイパス経路50を構成するバイパス管路51は、プロセスパイプ218に連結されており、制御手段10bは、加熱単独運転を行う場合には、バイパスバルブ52を開成させて庫外熱交換器23を通過した冷媒がバイパス管路51を通過するようにするので、圧縮機21に吸引された冷媒を該圧縮機21の駆動源であるモータ213により加熱することができ、これにより加熱能力の向上を図ることができる。従って、外気温度に関係なく加熱単独運転を良好に行うことができる。
またこのように圧縮機21の駆動源であるモータ213により冷媒を加熱することができるので、冷媒が液相状態で圧縮機21に吸引されるいわゆる液バックの発生を抑制でき、しかも蒸発温度を上昇させて運転効率の向上を図ることができる。
上記冷媒回路装置10によれば、圧縮機21の吐出側の冷媒管路26に設けられた四方弁22は、第1送出状態、第2送出状態、第3送出状態及び第4送出状態のいずれかに切替可能な切替バルブであるので、従来のように圧縮機の吐出側の圧力が過大になってしまうことを防止するためにリリーフ配管やリリーフバルブを設ける必要がなく、部品点数を低減させて製造コストの低減化を図ることができる。
上記自動販売機によれば、圧縮機21は、横断面形状が略円形の形態をなし、かつ庫外熱交換器23を通過した空気を左右に分岐させるもので、ドレン水蒸発装置60が圧縮機21の左右両側域にて該圧縮機21により分岐された空気の通過域に設置されるので、通過する空気の風速が十分に大きくなる領域にドレン水蒸発装置60を設置することとなる。しかも、従来のように風路規制部等を用いることもない。従って、製造コストの増大化を抑制しつつ、ドレン水を良好に蒸発させることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。以下に上記冷媒回路装置10の変形例について説明する。
図11は、上記冷媒回路装置10の変形例を概念的に示す概念図である。尚、ここで例示する冷媒回路装置10も図1及び図2に示した自動販売機に適用されるものとして説明する。
ここで例示する冷媒回路装置11は、主経路70、高圧冷媒導入経路80、放熱経路90及びバイパス経路100を有する冷媒回路11aと、冷媒回路11aに設けられた各部を適宜制御する制御手段11bとを備えて構成されている。
主経路70は、圧縮機71、第1三方弁72、庫外熱交換器73、膨張機構74及び庫内熱交換器75を冷媒管路76にて適宜接続して構成されており、内部に冷媒が封入されている。
圧縮機71は、機械室9に配設されている。機械室9は、本体キャビネット1の内部であって商品収容庫3と区画され、かつ商品収容庫3の下方側の室である。この圧縮機71は、吸引口を通じて冷媒を吸引し、吸引した冷媒を圧縮して高温高圧の状態(高温高圧冷媒)にして吐出するものである。
図12及び図13は、それぞれ図11に示した圧縮機71の構成を模式的に示すもので、図12は平面図、図13は側面図である。これら図12及び図13にも示すように、圧縮機71は、圧縮機本体711と、ピストンシリンダ部712と、モータ713と、ディスチャージポート714と、サクションポート715と、ディスチャージパイプ(第1パイプ)716と、サクションパイプ(第2パイプ)717と、プロセスパイプ(第3パイプ)718とを備えて構成されている。
圧縮機本体711は、厚肉鋳鉄の筐体であり、横断面形状が略円形の形態を成すものである。ピストンシリンダ部712は、圧縮機本体711の内部に設けられており、冷媒を圧縮するものである。モータ713は、圧縮機本体711の内部に設けられており、ピストンシリンダ部712を構成するピストンを駆動させる駆動源である。
ディスチャージポート714は、圧縮機本体711の内部に設けられており、ピストンシリンダ部712で圧縮された冷媒を流出させるための冷媒流出部である。サクションポート715は、圧縮機本体711の内部に設けられており、圧縮機本体711の内部に連通する開口部715aを通じて冷媒をピストンシリンダ部712に流入させる冷媒流入部である。
ディスチャージパイプ716は、ディスチャージポート714を介してピストンシリンダ部712に直結され、かつ圧縮機本体711の外部に突出する態様で配設されており、ピストンシリンダ部712で圧縮された冷媒を吐出するためのものである。
サクションパイプ717は、サクションポート715の開口部715aの近傍において圧縮機本体711の外部に突出する態様で配設されている。このサクションパイプ717は、詳細は後述するが、冷媒を吸引するためのものである。かかるサクションパイプ717で吸引された冷媒は、一度圧縮機本体711の内部に流入した後、サクションポート715を介してピストンシリンダ部712に流入される。
プロセスパイプ718は、サクションパイプ717よりもサクションポート715の開口部715aから離隔した個所において圧縮機本体711の外部に突出する態様で配設されている。このプロセスパイプ718は、従前から存在し、圧縮機本体711の内部の真空引き、冷媒封入、冷媒引き出し等に用いられるためのものである。
第1三方弁72は、1つの入口721と、2つの出口(第1出口722、第2出口723)とを有しており、制御手段11bから与えられる指令に応じて、入口721と第1出口722とを連通する第1送出状態と、入口721と第2出口723とを連通する第2送出状態とのいずれかに切替可能な切替バルブである。この第1三方弁72の入口721は、圧縮機71のディスチャージパイプ716に連結された冷媒管路76が接続されている。
庫外熱交換器73は、圧縮機71と同様に機械室9に配設されている。この庫外熱交換器73は、通過する冷媒と周囲空気とを熱交換させるものである。かかる庫外熱交換器73の後方側近傍には庫外送風ファンF1が設けられている。この庫外熱交換器73の入口側に連結された冷媒管路76は、第1三方弁72の第1出口722に接続されている。
膨張機構74は、圧縮機71及び庫外熱交換器73と同様に機械室9に配設されている。この膨張機構74は、通過する冷媒を減圧して断熱膨張させるもので、第1電子膨張弁741、第2電子膨張弁742及び第3電子膨張弁743を備えて構成されている。
これら第1電子膨張弁741、第2電子膨張弁742及び第3電子膨張弁743は、庫外熱交換器73の出口側に連結された冷媒管路76に接続された分配器771により3つに分岐された冷媒管路76にそれぞれ配設されている。
ここで膨張機構74を構成する第1電子膨張弁741、第2電子膨張弁742及び第3電子膨張弁743は、制御手段11bから与えられる指令に応じてそれぞれの開度が調整される。
庫内熱交換器75は、複数(図示の例では3つ)設けられており、各商品収容庫3の内部低域であって、背面ダクトDの前面側に配設されている。右庫3aに配設された庫内熱交換器(以下、右庫内熱交換器とも称する)75aは、第1電子膨張弁741の下流側に、中庫3bに配設された庫内熱交換器(以下、中庫内熱交換器とも称する)75bは、第2電子膨張弁742の下流側に、左庫3cの内部に配設された庫内熱交換器(以下、左庫内熱交換器とも称する)75cは、第3電子膨張弁743の下流側に位置する態様で冷媒管路76に接続されている。
また、第1電子膨張弁741と右庫内熱交換器75aとの間、第2電子膨張弁742と中庫内熱交換器75bとの間、並びに第3電子膨張弁743と左庫内熱交換器75cとの間には、それぞれ第1キャピラリーチューブ772、第2キャピラリーチューブ773及び第3キャピラリーチューブ774が設けられている。
更に、第2電子膨張弁742と第2キャピラリーチューブ773との間には第1逆止弁775が設けられ、第3電子膨張弁743と第3キャピラリーチューブ774との間には第2逆止弁776が設けられている。
中庫内熱交換器75b及び左庫内熱交換器75cの出口側に接続された冷媒管路76は、第1合流点Q1で合流し、合流した冷媒管路76は、更に右庫内熱交換器75aの出口側に冷媒管路76と第2合流点Q2で合流している。第2合流点Q2で合流した冷媒管路76は、圧縮機71のサクションパイプ717に連結されている。
中庫内熱交換器75bの出口側に接続された冷媒管路76には、第1合流点Q1の上流側に第1帰還用電磁弁777が配設されている。第1帰還用電磁弁777は、開閉可能な弁体であり、制御手段11bから開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
左庫内熱交換器75cの出口側に接続された冷媒管路76には、第1合流点Q1の上流側に第2帰還用電磁弁778が配設されている。第2帰還用電磁弁778は、開閉可能な弁体であり、制御手段11bから開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
高圧冷媒導入経路80は、高圧冷媒導入管路81、第2三方弁82、第1高圧冷媒管路83、第2高圧冷媒管路84、高圧冷媒パイバス管路85を有している。
高圧冷媒導入管路81は、一端が第1三方弁72の第2出口723に接続され、かつ他端が第2三方弁82の入口821に接続されている。
第2三方弁82は、1つの入口821と、2つの出口(第1出口822、第2出口823)とを有しており、制御手段11bから与えられる指令に応じて、入口821と第1出口822とを連通する第1送出状態と、入口821と第2出口823とを連通する第2送出状態とのいずれかに切替可能な切替バルブである。
第1高圧冷媒管路83は、一端が第2三方弁82の第1出口822に接続され、かつ他端が中庫内熱交換器75bの入口側の冷媒管路76の第3合流点Q3に合流するものである。この第1高圧冷媒管路83は、圧縮機71で圧縮された高圧冷媒を中庫内熱交換器75bに供給するものである。
第2高圧冷媒管路84は、一端が第2三方弁82の第2出口823に接続され、かつ他端が左庫内熱交換器75cの入口側の冷媒管路76の第4合流点Q4に合流するものである。この第2高圧冷媒管路84は、圧縮機71で圧縮された高圧冷媒を左庫内熱交換器75cに供給するものである。
高圧冷媒バイパス管路85は、高圧冷媒導入管路81の途中の第1分岐点Q5から分岐し、かつ第2高圧冷媒管路84の第5合流点Q6に合流する態様で設けられている。この高圧冷媒バイパス管路85には、高圧冷媒バイパスバルブ86が配設されている。
高圧冷媒バイパスバルブ86は、開閉可能な弁体であり、制御手段11bから開指令が与えられた場合には開成して冷媒が高圧冷媒バイパス管路85を通過することを許容する一方、制御手段11bから閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒が高圧冷媒バイパス管路85を通過することを規制するものである。
放熱経路90は、第1放熱管路91及び第2放熱管路92を備えて構成されている。第1放熱管路91は、中庫内熱交換器75bの出口側に接続された冷媒管路76の途中の第2分岐点Q7で分岐され、第1三方弁72の第1出口722と庫外熱交換器73との間の冷媒管路76の第6合流点Q8で合流する態様で該冷媒管路76に接続されている。
この第1放熱管路91の途中には、第3逆止弁931、第4電子膨張弁932、第4キャピラリーチューブ933が設けられている。第4電子膨張弁932は、制御手段11bから与えられる指令に応じて開度が調整されるもので、通過する冷媒を断熱膨張させるものである。第4キャピラリーチューブ933は、通過する冷媒を断熱膨張させるためのものである。
第2放熱管路92は、左庫内熱交換器75cの出口側に接続された冷媒管路76の途中の第3分岐点Q9で分岐され、第1放熱管路91の第7合流点Q10で合流する態様で該第1放熱管路91に接続されている。この第2放熱管路92の途中には、第4逆止弁934が設けられている。
バイパス経路100は、バイパス管路101及びバイパスバルブ102を備えて構成されている。バイパス管路101は、庫外熱交換器73から分配器771に至る冷媒管路76の途中の第4分岐点Q11から分岐し、かつ圧縮機71のプロセスパイプ718に連結されている。
バイパスバルブ102は、開閉可能な弁体であり、制御手段11bから開指令が与えられた場合には開成して冷媒がバイパス管路101を通過することを許容する一方、制御手段11bから閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒がバイパス管路101を通過することを規制するものである。
このような冷媒回路装置11は、商品収容庫3に収容された商品を次のようにして冷却、あるいは加熱する。
まず冷却単独運転の一例として、CCC運転(全ての商品収容庫3の内部空気を冷却する運転)を行う場合について説明する。
この場合、制御手段11bは、第1三方弁72を第1送出状態に調整する。また制御手段11bは、第1帰還用電磁弁777及び第2帰還用電磁弁778を開成させる一方、バイパスバルブ102を閉成させる。更に制御手段11bは、膨張機構74を構成する第1電子膨張弁741、第2電子膨張弁742及び第3電子膨張弁743の開度を所定の大きさに調整するとともに、第4電子膨張弁932を閉成させる。これにより圧縮機71で圧縮された冷媒は、図14に示すように循環する。
圧縮機71のピストンシリンダ部712で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ716から吐出され、第1送出状態の第1三方弁72を通過して冷媒管路76を経由して庫外熱交換器73に至る。庫外熱交換器73に至った冷媒は、該庫外熱交換器73を通過中に、周囲空気(外気)に放熱して凝縮する。
庫外熱交換器73で凝縮した冷媒は、分配器771で分岐され、膨張機構74(第1電子膨張弁741、第2電子膨張弁742及び第3電子膨張弁743)により断熱膨張して各庫内熱交換器75に至り、各庫内熱交換器75で蒸発して商品収容庫3の内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、各庫内熱交換器75の近傍に配設された庫内送風ファンF2の駆動により内部を循環し、これにより各商品収容庫3に収容された商品は、循環する内部空気に冷却される。
各庫内熱交換器75で蒸発した冷媒は、第1合流点Q1及び第2合流点Q2で合流した後にサクションパイプ717を通じて圧縮機71に吸引される。圧縮機71に吸引された冷媒は、圧縮機本体711の内部に流入した後、サクションポート715を介してピストンシリンダ部712に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
次に冷却加熱運転の一例として、HHC運転(中庫3b及び左庫3cの内部空気を加熱し、かつ右庫3aの内部空気を冷却する運転)を行う場合について説明する。
この場合、制御手段11bは、第1三方弁72を第2送出状態に調整するとともに第2三方弁82を第1送出状態に調整する。また制御手段11bは、高圧冷媒バイパスバルブ86を開成させる一方、第1帰還用電磁弁777、第2帰還用電磁弁778及びバイパスバルブ102を閉成させる。更に制御手段11bは、第2電子膨張弁742及び第3電子膨張弁743を閉成させつつ、第1電子膨張弁741及び第4電子膨張弁932の開度を所定の大きさに調整する。これにより圧縮機71で圧縮された冷媒は、図15に示すように循環する。
圧縮機71のピストンシリンダ部712で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ716から吐出され、第2送出状態の第1三方弁72を介して高圧冷媒導入管路81を通過する。
高圧冷媒導入管路81を通過した冷媒は、第1送出状態の第2三方弁82を介して第1高圧冷媒管路83を通過するとともに、高圧冷媒バイパス管路85を介して第2高圧冷媒管路84を通過する。
第1高圧冷媒管路83を通過した冷媒は、中庫内熱交換器75bに至る。中庫内熱交換器75bに至った冷媒は、該中庫内熱交換器75bを通過中に、中庫3bの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、中庫3bの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、中庫3bの内部を循環し、これにより中庫3bに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
第2高圧冷媒管路84を通過した冷媒は、左庫内熱交換器75cに至る。左庫内熱交換器75cに至った冷媒は、該左庫内熱交換器75cを通過中に、左庫3cの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、左庫3cの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、左庫3cの内部を循環し、これにより左庫3cに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
中庫内熱交換器75bで凝縮した冷媒は、第1放熱管路91に至り、左庫内熱交換器75cで凝縮した冷媒は、第2放熱管路92を経由して第1放熱管路91に至って、互いに合流する。合流した冷媒は、第1放熱管路91を通過して第4電子膨張弁932及び第4キャピラリーチューブ933で断熱膨張し、その後に庫外熱交換器73に至り、該庫外熱交換器73で周囲空気と熱交換を行う。庫外熱交換器73を通過した冷媒は、分配器771を経由して第1電子膨張弁741で断熱膨張する。
第1電子膨張弁741で断熱膨張した冷媒は、右庫内熱交換器75aに至り、この右庫内熱交換器75aで蒸発して右庫3aの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により右庫3aの内部を循環し、これにより右庫3aに収容された商品は冷却される。
右庫内熱交換器75aで蒸発した冷媒は、サクションパイプ717を通じて圧縮機71に吸引される。圧縮機71に吸引された冷媒は、圧縮機本体711の内部に流入した後、サクションポート715を介してピストンシリンダ部712に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
尚、ここでは冷却加熱運転の一例としてHHC運転について説明したが、上記冷媒回路装置11においては、CHC運転(中庫3bの内部空気を加熱し、かつ右庫3a及び左庫3cの内部空気を冷却する運転)、HCC運転(左庫3cの内部空気を加熱し、かつ右庫3a及び中庫3bの内部空気を冷却する運転)を冷却加熱運転として行うことができる。
CHC運転を行う場合、制御手段11bは、第1三方弁72を第2送出状態に調整するとともに第2三方弁82を第1送出状態に調整する。また制御手段11bは、第2帰還用電磁弁778を開成させる一方、第2電子膨張弁742、第1帰還用電磁弁777、高圧冷媒バイパスバルブ86及びバイパスバルブ102を閉成させる。更に制御手段11bは、第1電子膨張弁741、第3電子膨張弁743及び第4電子膨張弁932の開度を所定の大きさに調整する。これにより圧縮機71で圧縮された冷媒は、次のように循環する。
圧縮機71のピストンシリンダ部712で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ716から吐出され、第2送出状態の第1三方弁72を介して高圧冷媒導入管路81を通過する。高圧冷媒導入管路81を通過した冷媒は、第1送出状態の第2三方弁82を介して第1高圧冷媒管路83を通過する。
第1高圧冷媒管路83を通過した冷媒は、中庫内熱交換器75bに至る。中庫内熱交換器75bに至った冷媒は、該中庫内熱交換器75bを通過中に、中庫3bの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、中庫3bの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、中庫3bの内部を循環し、これにより中庫3bに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
中庫内熱交換器75bで凝縮した冷媒は、第1放熱管路91に至り、第1放熱管路91を通過して第4電子膨張弁932及び第4キャピラリーチューブ933で断熱膨張し、その後に庫外熱交換器73に至り、該庫外熱交換器73で周囲空気と熱交換を行う。庫外熱交換器73を通過した冷媒は、分配器771を経由して第1電子膨張弁741及び第3電子膨張弁743で断熱膨張する。
第1電子膨張弁741で断熱膨張した冷媒は、右庫内熱交換器75aに至り、この右庫内熱交換器75aで蒸発して右庫3aの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により右庫3aの内部を循環し、これにより右庫3aに収容された商品は冷却される。
第3電子膨張弁743で断熱膨張した冷媒は、左庫内熱交換器75cに至り、この左庫内熱交換器75cで蒸発して左庫3cの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により左庫3cの内部を循環し、これにより左庫3cに収容された商品は冷却される。
右庫内熱交換器75a及び左庫内熱交換器75cで蒸発した冷媒は、第2合流点Q2で合流した後にサクションパイプ717を通じて圧縮機71に吸引される。圧縮機71に吸引された冷媒は、圧縮機本体711の内部に流入した後、サクションポート715を介してピストンシリンダ部712に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
HCC運転を行う場合、制御手段11bは、第1三方弁72を第2送出状態に調整するとともに第2三方弁82を第2送出状態に調整する。また制御手段11bは、第1帰還用電磁弁777を開成させる一方、第3電子膨張弁743、第2帰還用電磁弁778、高圧冷媒バイパスバルブ86及びバイパスバルブ102を閉成させる。更に制御手段11bは、第1電子膨張弁741、第2電子膨張弁742及び第4電子膨張弁932の開度を所定の大きさに調整する。これにより圧縮機71で圧縮された冷媒は、次のように循環する。
圧縮機71のピストンシリンダ部712で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ716から吐出され、第2送出状態の第1三方弁72を介して高圧冷媒導入管路81を通過する。高圧冷媒導入管路81を通過した冷媒は、第2送出状態の第2三方弁82を介して第2高圧冷媒管路84を通過する。
第2高圧冷媒管路84を通過した冷媒は、左庫内熱交換器75cに至る。左庫内熱交換器75cに至った冷媒は、該左庫内熱交換器75cを通過中に、左庫3cの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、左庫3cの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、左庫3cの内部を循環し、これにより左庫3cに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
左庫内熱交換器75cで凝縮した冷媒は、第2放熱管路92を経由して第1放熱管路91に至り、第1放熱管路91を通過して第4電子膨張弁932及び第4キャピラリーチューブ933で断熱膨張し、その後に庫外熱交換器73に至り、該庫外熱交換器73で周囲空気と熱交換を行う。庫外熱交換器73を通過した冷媒は、分配器771を経由して第1電子膨張弁741及び第2電子膨張弁742で断熱膨張する。
第1電子膨張弁741で断熱膨張した冷媒は、右庫内熱交換器75aに至り、この右庫内熱交換器75aで蒸発して右庫3aの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により右庫3aの内部を循環し、これにより右庫3aに収容された商品は冷却される。
第2電子膨張弁742で断熱膨張した冷媒は、中庫内熱交換器75bに至り、この中庫内熱交換器75bで蒸発して中庫3bの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により中庫3bの内部を循環し、これにより中庫3bに収容された商品は冷却される。
右庫内熱交換器75a及び中庫内熱交換器75bで蒸発した冷媒は、第2合流点Q2で合流した後にサクションパイプ717を通じて圧縮機71に吸引される。圧縮機71に吸引された冷媒は、圧縮機本体711の内部に流入した後、サクションポート715を介してピストンシリンダ部712に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
更に加熱単独運転の一例として、中庫3b及び左庫3cのみの内部空気を加熱する運転を行う場合について説明する。
この場合、制御手段11bは、第1三方弁72を第2送出状態に調整するとともに第2三方弁82を第1送出状態に調整する。また制御手段11bは、高圧冷媒バイパスバルブ86及びバイパスバルブ102を開成させる一方、第1電子膨張弁741、第2電子膨張弁742、第3電子膨張弁743、第1帰還用電磁弁777及び第2帰還用電磁弁778を閉成させる。更に制御手段11bは、第4電子膨張弁932の開度を所定の大きさに調整する。これにより圧縮機71で圧縮された冷媒は、図16に示すように循環する。
圧縮機71のピストンシリンダ部712で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ716から吐出され、第2送出状態の第1三方弁72を介して高圧冷媒導入管路81を通過する。高圧冷媒導入管路81を通過した冷媒は、第1送出状態の第2三方弁82を介して第1高圧冷媒管路83を通過するとともに、高圧冷媒バイパス管路85を介して第2高圧冷媒管路84を通過する。
第1高圧冷媒管路83を通過した冷媒は、中庫内熱交換器75bに至る。中庫内熱交換器75bに至った冷媒は、該中庫内熱交換器75bを通過中に、中庫3bの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、中庫3bの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、中庫3bの内部を循環し、これにより中庫3bに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
第2高圧冷媒管路84を通過した冷媒は、左庫内熱交換器75cに至る。左庫内熱交換器75cに至った冷媒は、該左庫内熱交換器75cを通過中に、左庫3cの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、左庫3cの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、左庫3cの内部を循環し、これにより左庫3cに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
中庫内熱交換器75bで凝縮した冷媒は、第1放熱管路91に至り、左庫内熱交換器75cで凝縮した冷媒は、第2放熱管路92を経由して第1放熱管路91に至って、互いに合流する。合流した冷媒は、第1放熱管路91を通過して第4電子膨張弁932及び第4キャピラリーチューブ933で断熱膨張し、その後に庫外熱交換器73に至り、該庫外熱交換器73で周囲空気と熱交換を行う。
庫外熱交換器73を通過した冷媒は、バイパス管路101を通過し、プロセスパイプ718を通じて圧縮機71に吸引される。圧縮機71に吸引された冷媒は、圧縮機本体711の内部に流入した後、サクションポート715を介してピストンシリンダ部712に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
ここで、プロセスパイプ718は、サクションパイプ717よりもサクションポート715の開口部715aから離隔した個所に配設されているので、プロセスパイプ718より圧縮機本体711の内部に流入した冷媒は、サクションポート715の開口部715aに流入されるまでに該圧縮機本体711の内部を通過する距離が、サクションパイプ717より圧縮機本体711の内部に流入した冷媒の該圧縮機本体711の内部を通過する距離よりも大きい。そのため、プロセスパイプ718を通じて圧縮機本体711の内部を通過する冷媒は、モータ713により十分に加熱されてからピストンシリンダ部712で圧縮されることになる。
尚、ここでは加熱単独運転の一例として中庫3b及び左庫3cのみの内部空気を加熱する運転について説明したが、上記冷媒回路装置11においては、中庫3bのみの内部空気を加熱する運転、左庫3cのみの内部空気を加熱する運転を加熱単独運転として行うことができる。
中庫3bのみの内部空気を加熱する運転を行う場合、制御手段11bは、第1三方弁72を第2送出状態に調整するとともに第2三方弁82を第1送出状態に調整する。また制御手段11bは、バイパスバルブ102を開成させる一方、第1電子膨張弁741、第2電子膨張弁742、第3電子膨張弁743、第1帰還用電磁弁777、第2帰還用電磁弁778及び高圧冷媒バイパスバルブ86を閉成させる。更に制御手段11bは、第4電子膨張弁932の開度を所定の大きさに調整する。これにより圧縮機71で圧縮された冷媒は、次のように循環する。
圧縮機71のピストンシリンダ部712で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ716から吐出され、第2送出状態の第1三方弁72を介して高圧冷媒導入管路81を通過する。高圧冷媒導入管路81を通過した冷媒は、第1送出状態の第2三方弁82を介して第1高圧冷媒管路83を通過する。
第1高圧冷媒管路83を通過した冷媒は、中庫内熱交換器75bに至る。中庫内熱交換器75bに至った冷媒は、該中庫内熱交換器75bを通過中に、中庫3bの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、中庫3bの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、中庫3bの内部を循環し、これにより中庫3bに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
中庫内熱交換器75bで凝縮した冷媒は、第1放熱管路91に至り、第1放熱管路91を通過して第4電子膨張弁932及び第4キャピラリーチューブ933で断熱膨張し、その後に庫外熱交換器73に至り、該庫外熱交換器73で周囲空気と熱交換を行う。
庫外熱交換器73を通過した冷媒は、バイパス管路101を通過し、プロセスパイプ718を通じて圧縮機71に吸引される。圧縮機71に吸引された冷媒は、圧縮機本体711の内部に流入した後、サクションポート715を介してピストンシリンダ部712に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。この場合にもプロセスパイプ718を通じて圧縮機本体711の内部に冷媒が流入されるので、該冷媒は、モータ713により十分に加熱される。
左庫3cのみの内部空気を加熱する運転を行う場合、制御手段11bは、第1三方弁72を第2送出状態に調整するとともに第2三方弁82を第2送出状態に調整する。また制御手段11bは、バイパスバルブ102を開成させる一方、第1電子膨張弁741、第2電子膨張弁742、第3電子膨張弁743、第1帰還用電磁弁777、第2帰還用電磁弁778及び高圧冷媒バイパスバルブ86を閉成させる。更に制御手段11bは、第4電子膨張弁932の開度を所定の大きさに調整する。これにより圧縮機71で圧縮された冷媒は、次のように循環する。
圧縮機71のピストンシリンダ部712で圧縮された冷媒は、ディスチャージパイプ716から吐出され、第2送出状態の第1三方弁72を介して高圧冷媒導入管路81を通過する。高圧冷媒導入管路81を通過した冷媒は、第2送出状態の第2三方弁82を介して第2高圧冷媒管路84を通過する。
第2高圧冷媒管路84を通過した冷媒は、左庫内熱交換器75cに至る。左庫内熱交換器75cに至った冷媒は、該左庫内熱交換器75cを通過中に、左庫3cの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、左庫3cの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF2の駆動により、左庫3cの内部を循環し、これにより左庫3cに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
左庫内熱交換器75cで凝縮した冷媒は、第2放熱管路92を経由して第1放熱管路91に至り、第1放熱管路91を通過して第4電子膨張弁932及び第4キャピラリーチューブ933で断熱膨張し、その後に庫外熱交換器73に至り、該庫外熱交換器73で周囲空気と熱交換を行う。
庫外熱交換器73を通過した冷媒は、バイパス管路101を通過し、プロセスパイプ718を通じて圧縮機71に吸引される。圧縮機71に吸引された冷媒は、圧縮機本体711の内部に流入した後、サクションポート715を介してピストンシリンダ部712に流入され、その後に圧縮されて上述した循環を繰り返す。この場合にもプロセスパイプ718を通じて圧縮機本体711の内部に冷媒が流入されるので、該冷媒は、モータ713により十分に加熱される。
以上説明したように、上記冷媒回路装置11によれば、バイパス経路100を構成するバイパス管路101は、プロセスパイプ718に連結されており、制御手段11bは、加熱単独運転を行う場合には、バイパスバルブ102を開成させて庫外熱交換器73を通過した冷媒がバイパス管路101を通過させるので、圧縮機71に吸引された冷媒を該圧縮機71の駆動源であるモータ713により加熱することができ、これにより加熱能力の向上を図ることができる。従って、外気温度に関係なく加熱単独運転を良好に行うことができる。
またこのように圧縮機71の駆動源であるモータ713により冷媒を加熱することができるので、冷媒が液相状態で圧縮機71に吸引されるいわゆる液バックの発生を抑制でき、しかも蒸発温度を上昇させて運転効率の向上を図ることができる。
上記冷媒回路装置11によれば、圧縮機71の吐出側の冷媒管路76に設けられた第1三方弁72は、第1送出状態及び第2送出状態のいずれかに切替可能な切替バルブであるので、従来のように圧縮機の吐出側の圧力が過大になってしまうことを防止するためにリリーフ配管やリリーフバルブを設ける必要がなく、部品点数を低減させて製造コストの低減化を図ることができる。