JP6591779B2 - 増ちょう剤の製造方法 - Google Patents
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従来、低温から高温まで広い温度範囲で良好な潤滑性を発揮し、軸受の冷時異音の発生を抑え、長時間にわたり高温耐久性に優れた軸受封入用グリースとして、合成炭化水素油と所定のエステル油とからなる基油に、ウレア系増ちょう剤を配合したものが知られている(特許文献1)。また、自動車のプーリ用軸受に用いられ、軸受の軌道面やボール表面の脆性剥離や冷時異音の発生を抑えるグリースとして、合成炭化水素とエステル油とからなる所定粘度の基油に、増ちょう剤として脂環族ジウレア化合物を配合したものが知られている(特許文献2)。また、高温高速回転条件における焼き付き寿命が長いグリースとして、基油にエステル油を含み、増ちょう剤として所定のジウレア化合物を3〜30重量%含むグリースが知られている(特許文献3)。
特許文献1〜特許文献3に示されるように、高温耐久性に優れたグリースとして、ジウレア化合物を増ちょう剤に用いたものが知られている。これら各特許文献において使用されているジウレア化合物は、ジフェニルメタンジイソシアネートとモノアミンとを反応させることで得られている。
しかしながら、このイミド結合を含む化合物は、イミド結合単独ではなく、他のウレア結合、ウレタン結合、またはアミド結合との組み合わせを必須としている。ウレア結合、ウレタン結合、またはアミド結合は、ポリイミド樹脂と、ポリウレタン樹脂またはポリアミド樹脂との比較に見られるように、耐熱性がイミド結合に対して劣る。そのため、特許文献4に記載の増ちょう剤であっても、近年の高温高速耐久性などの性能を満足させることが出来ないという問題がある。
特に上記第二の反応工程が180℃以上の温度で反応させることを特徴とする。
また、上記第一および第二の反応工程が、陰イオン性界面活性剤を添加して行なわれることを特徴とする。さらに、第三級アミン系触媒の存在下に行なわれることを特徴とする。
また、本発明のグリース封入軸受は上記本発明のグリースが封入されてなるグリース封入軸受であることを特徴とする。
本発明のグリース封入転がり軸受は、上記グリースが封入されてなるので、高温高速耐久性に優れる。このため、近年において高温および高速回転条件下で使用される家電や産業機器のモータ用などの転がり軸受として好適に利用できる。
芳香族酸一無水物としては、無水フタル酸、無水ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中で無水フタル酸が好ましい。
ポリオールとしては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。一塩基酸としては、炭素数4〜18の1価の脂肪酸が挙げられる。例えば、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、エナント酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、牛脂酸、ステアリン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、バクセン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、サビニン酸、リシノール酸などが挙げられる。
芳香族酸一無水物と芳香族ジイソシアネートとをエステル基油に溶解させて反応させることにより、芳香族ジイミド化合物が製造できる。
芳香族酸一無水物と芳香族ジイソシアネートとの配合割合は、反応性ある遊離基を残さないため、芳香族ジイソシアネートのイソシアネート基と芳香族酸一無水物の無水カルボン酸基とは略当量となるように、すなわち、芳香族酸一無水物2モルと芳香族ジイソシアネート1モルとの割合で配合する。
図1は芳香族ジイミド化合物の生成過程を示す赤外スペクトル図である。図1(a)は150℃にて10時間反応させた後のFT−IRであり、図1(b)はさらに180℃にて3時間反応させた後のFT−IRである。
図1(a)に示すように、3000cm-1付近および1000〜1300cm-1付近のエステル油に起因するピークと共に、1780cm-1にイミド環に基づく特徴的なピークが認められた。
図1(b)に示すように、150℃にて10時間反応させた後、さらに180℃にて3時間反応させることにより、1780cm-1のピークがより明瞭になった。
図2は、第一および第二の反応工程で得られた芳香族ジイミド化合物粉末の熱重量曲線である。熱重量曲線は熱重量測定装置により、アルミニウムパンに試料を詰めて、窒素雰囲気、昇温速度5℃/分の条件で室温から500℃まで昇温し、その時の重量減少を測定した。図2において、aは第一の反応工程後、bは第二の反応工程後の熱重量曲線であり、a’はaの微分曲線、b’はbの微分曲線である。図2に示すように、微分曲線a’において明瞭に2つのピークa'1およびa'2が認められ、ピークa'1に対応する約150℃付近から開始する約15%程度の重量減少と、ピークa'2に対応する250℃付近から徐々に開始する主重量減少と、2段階に熱分解が生じていることが分かった。
一方、第二の反応工程後の熱重量曲線bの微分曲線b’は単一のピークb'1を有しており、300℃付近から1つの熱分解が生じていることが分かった。
第二の反応工程における反応条件としては、150℃をこえる温度であればよいが、反応時間を考慮すると180℃以上の温度で反応させることが好ましい。より好ましくは180℃〜200℃、1〜3時間である。
第二の反応工程を経ることにより、図2に示すように、反応生成物の熱分解曲線が1段階の曲線bとなり、その微分曲線b’も1つのピークとなる。
グリースの基油に対して増ちょう剤としての上記芳香族ジイミド化合物の配合割合は、グリース全体に対して10〜60質量%であることが好ましい。10質量%未満では、グリースが軟化して漏洩しやすく軸受に封入することが困難になる。また60質量%をこえると硬質化して、軸受封入用のグリースとして実用性がなくなる。
エステル油として、HATCO社製商品名ハトコールH3855(148mm2/s(40℃))を用いた。このエステル油62gに無水フタル酸20.6g(0.14モル)、ジフェニルメタンジイソシアネート(表1においてMDIと表す)17.4g(0.07モル)、および反応触媒としてトリエチレンジアミン5gを投入して、150℃で10時間反応させた。その後180℃の温度を維持して3時間放置した。生成したベースグリースをロールミルに通し、半固形状のグリースを得た。表1のグリース組成の単位は「g」である。なお、180℃で3時間放置後、反応物の一部を分取して多量のベンジンに投入して淡黄色粉末を得た。この粉末の熱重量曲線を上述した図2に示す条件で測定した。結果を図4に示す。
これらの結果は、上記淡黄色粉末が下記化学構造を有する芳香族ジイミド化合物であることを示している。
転がり軸受(軸受寸法:内径20mm、外径47mm、幅14mm)に実施例1で得られたグリースを1.8g封入し、軸受外輪外径部温度を200℃、ラジアル荷重を67N、アキシャル荷重を67Nの下で10,000rpmの回転数で回転させ、焼き付きに至るまでの時間(時間(h))をASTMD3336に準拠して測定した。
基油、増ちょう剤等を表1に示す割合で配合し、150℃で10時間反応させた後、180℃で2時間(実施例2)、1時間(実施例3)放置する以外は実施例1と同様にして半固形状のグリースを得た。実施例1と同一条件で測定した熱重量曲線を図4に示す。また、実施例1と同一条件で測定した混和ちょう度および高温高速耐久性試験を表1に示す。
反応触媒としてトリエチレンジアミンを添加しない以外は実施例1と同様にして半固形状のグリースを得た。実施例1と同一条件で測定した混和ちょう度および高温高速耐久性試験を表1に示す。
基油、増ちょう剤等を表1に示す割合で配合し、陰イオン界面活性剤として、花王株式会社製商品名ホモゲノールL1820を5g配合する以外は、実施例4と同様にして半固形状のグリースを得た。実施例1と同一条件で測定した混和ちょう度および高温高速耐久性試験を表1に示す。
基油、増ちょう剤等を表1に示す割合で配合し、150℃で10時間反応させた。生成したベースグリースをロールミルに通し、半固形状のグリースを得た。なお、150℃で10時間反応後、反応物の一部を分取して多量のベンジンに投入して淡黄色粉末を得た。この粉末の熱重量曲線を上述した条件で測定した。結果を図3に示す。
基油、増ちょう剤等を表1に示す割合で配合し、150℃で10時間反応させた。生成したベースグリースをロールミルに通し、半固形状のグリースを得た。なお、比較例3で用いた非イオン界面活性剤は花王株式会社製商品名エマルゲン104Pである。実施例1と同一条件で測定した混和ちょう度および高温高速耐久性試験を表1に示す。
表1 に示す配合割合で基油および増ちょう剤の原料を使用してグリースを作製した。MDIを基油半量に加熱溶解させ、これにp−トルイジンを同基油半量に加熱溶解させたものを加えた。p−トルイジンの配合量は、モル比でMDIの2 倍量である。生成したベースグリースをロールミルに通し、半固形状のグリースを得た。実施例1と同一条件で測定した混和ちょう度および高温高速耐久性試験を表1に示す。
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース
Claims (4)
- 芳香族酸一無水物2モルと芳香族ジイソシアネート1モルとの配合割合で、前記芳香族酸一無水物および前記芳香族ジイソシアネートをエステル油中で反応させて得られる芳香族ジイミド化合物からなる増ちょう剤の製造方法であって、
該芳香族ジイミド化合物は、不活性雰囲気中にて所定の昇温速度で測定された熱重量曲線の微分曲線が1つのピークで表され、
前記製造方法は、前記芳香族酸一無水物2モルと前記芳香族ジイソシアネート1モルとの配合割合で、前記芳香族酸一無水物および前記芳香族ジイソシアネートをエステル油中で150℃以下の温度で反応させる第一の反応工程と、
前記第一の反応工程後、反応生成物を不活性雰囲気中にて所定の昇温速度で測定した熱重量曲線の微分曲線が1つのピークで表される条件にて、前記エステル油中で反応させる第二の反応工程を有し、
前記第二の反応工程が180℃以上の温度で反応させることを特徴とする増ちょう剤の製造方法。 - 前記第二の反応工程の反応時間が2時間〜3時間であることを特徴とする請求項1記載の増ちょう剤の製造方法。
- 前記第一および第二の反応工程が、陰イオン性界面活性剤を添加して行なわれることを特徴とする請求項1または請求項2記載の増ちょう剤の製造方法。
- 前記第一および第二の反応工程が第三級アミン系触媒の存在下に行なわれることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の増ちょう剤の製造方法。
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