JP6591162B2 - サングラス用偏光レンズ - Google Patents

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Description

本発明は、偏光シートを曲面形状に曲げ加工した曲げ偏光レンズ、あるいはこの曲げ偏光レンズの片面にレンズ用透明樹脂を射出成形した射出偏光レンズに関し、特に、曲げ加工において色変化の小さいサングラス用偏光レンズである。
偏光板は、典型的には一軸延伸ポリビニルアルコール(PVA)フィルムにヨウ素または2色性染料を吸着もしくは含浸させた偏光フィルムが用いられている。この偏光フィルムは、通常、その片面あるいは両面にトリアセチルセルロースなどの透明樹脂を保護層として用いて、取り扱いが容易で二次加工に適し、安価、軽量な偏光板とされている。
ポリビニルアルコールフィルムを延伸して二色性色素で染色した偏光フィルムの両面に保護層として接着層を介して芳香族ポリカーボネートシートなどの透明樹脂シートを貼った偏光シート(以下、偏光シートと記す)はその樹脂の特性、例えば、芳香族ポリカーボネートの場合には、特に耐衝撃性に優れ、加えて高い耐熱性も併せ持つので曲げ加工や射出成形を施して得られるサングラスやゴーグル用の偏光レンズに使用されている。
耐衝撃性、耐熱性が要求されるサングラスあるいはゴーグルにおいては、ビスフェノールAからの芳香族ポリカーボネートが好適に使用されている。
しかしながら、芳香族ポリカーボネートは光弾性定数が大きいので、サングラスやゴーグルのような球面あるいは非球面の面形状に曲げ加工を施した際に、リタデーションによる着色干渉縞が生じやすく、この着色干渉縞が外観を損ね、眼精疲労を引き起こす等の問題を抱えている。
また、透明シートとして芳香族ポリカーボネートを用いた偏光シート(以下、芳香族ポリカーボネート偏光シートと記す)を球面あるいは非球面の面形状に曲げ加工した偏光レンズでは芳香族ポリカーボネート偏光シートの厚みムラにより像の歪みが生じてしまい、外観を損ね、眼精疲労を引き起こす等の問題も抱えている。
曲げ加工を施した際に生じるリタデーションについては、保護層に使用する芳香族ポリカーボネートシートに予め延伸処理を施して大きなリタデーションを生じさせておくことにより、着色干渉縞を見えなくした芳香族ポリカーボネート偏光シート(以下、延伸ポリカーボネート偏光シートと記す)が知られており(特許文献1)、偏光レンズの中でも外観や眼精疲労に優れた製品に使用されている。
一方、前述の偏光シートに曲げ加工を施して形成した偏光レンズの機能をさらに向上させる目的で、球面あるいは非球面の面形状に曲げ加工した偏光シートを金型内にインサートしレンズ用透明樹脂を射出して成形した偏光レンズ(以下、射出偏光レンズと記す)が知られており、樹脂として芳香族ポリカーボネートを用いた偏光レンズ(以下、芳香族ポリカーボネート偏光レンズ)も知られている(特許文献2、3)。
芳香族ポリカーボネート偏光レンズは、金型内に芳香族ポリカーボネートを射出して充填するので、インサートした延伸ポリカーボネートシートの厚みムラが見えなくなるという利点もあり、焦点屈折力を持たないレンズにおいても耐衝撃性、外観や眼精疲労に対して特に優れた製品に使用されている。
芳香族ポリカーボネート偏光レンズのように金型内に熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を充填して得られるレンズにおいては、両面それぞれの金型の表面形状と両面の間隔を適宜設定することにより、成形されたレンズの両面それぞれの形状と肉厚を自由に設定出来るので、成形されたレンズの焦点屈折力、プリズム屈折力、および像歪が所望の値になるよう光学設計に基づいて金型の表面形状と両面の間隔が設定される。
成形されたレンズの表面形状と成形時に接していた金型の表面形状は多くの場合同一だが、レンズの表面形状に非常に高い精度が要求される場合には、金型内に充填した熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂が固化する際に生じる体積収縮によるレンズ肉厚の減少や表面形状の変化を補償するために、両面それぞれの金型の表面形状と両面の間隔を適宜微調整する場合がある。
このように形成された射出偏光レンズの表面には、適宜、ハードコート、反射防止膜などが形成され、次いで玉摺り、穴あけ、ネジ締め等によりフレームに固定してサングラスやゴーグルになる。
偏光シートを球面あるいは非球面の面形状に曲げ加工した偏光レンズ、あるいは芳香族ポリカーボネートなどを射出成形して一体化した射出偏光レンズにおいては、ガラス面や水面等を見たときの眩しさを低減させる目的で水平方向の偏光をカットするだけでなく、さらに視認性を向上させる、あるいは意匠性を向上させる目的で、所望の色調や透過率になるように、例えばグレーやブラウン等に着色した偏光シートが使用される。
偏光レンズにおいては、偏光度を高めるために偏光レンズに入射した光の水平方向の偏光成分がほぼ吸収されるような濃度になるように、ポリビニルアルコールフィルムに染着する二色性色素の量を調整する。さらにポリビニルアルコールフィルムへの二色性色素の染着量を増やしていくと、偏光レンズに入射した光の垂直方向の偏光成分も多く吸収されるようになる。
より高性能の偏光レンズとの観点からは、より高い二色比を示す染料を用いることにより偏光レンズに入射した光の垂直方向の偏光成分の吸収をより少なくしたものが求められている。
また、ポリビニルアルコールフィルムに染着させる二色性色素は単色ではなく、通常、数色の二色性色素を併用する。
この際に、ポリビニルアルコールフィルムへの二色性色素の染着量を各色で変えることにより、所望の色調や透過率の偏光レンズを得ることが出来る。また、接着層あるいは保護層の芳香族ポリカーボネートシートに染料を溶解したものを使用して、所望の色調や透過率の偏光レンズを得る方法も用いられ、単独で、あるいは前述の方法と併用して、射出偏光シートの色調や透過率を調整することも出来る。
特開平03−39903号公報 特開平08−52817号公報 特開平08−313701号公報
前述のように、偏光シートを球面あるいは非球面の面形状に曲げ加工し、あるいは曲げ加工した偏光シートを、さらに金型内にインサートしレンズ用透明樹脂を射出して外観や眼精疲労に対して優れた偏光レンズが得られる。芳香族ポリカーボネートをレンズ用透明樹脂として用いた場合には、耐衝撃性に優れたものが得られる。
しかし、芳香族ポリカーボネート偏光シートを球面あるいは非球面の面形状に曲げ加工した芳香族ポリカーボネート偏光レンズ、あるいは、さらに射出成形した芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいて、成形前後で芳香族ポリカーボネート偏光シートの色調や透過率が大きく変化して、製品間の差が大きくなってしまうという問題があった。
検討によって、良好な射出偏光レンズが得られる条件にて、透明樹脂の射出成形により偏光レンズを成形する工程においては、射出偏光レンズの色調や透過率の変化が小さく、実質的に変化しないことが確認された。この結果から、色変化は、球面あるいは非球面の面形状に曲げ加工する工程にて、主に発生するものであることがわかった。
すなわち、球面あるいは非球面の面形状に曲げ加工した偏光レンズ、あるいは芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいては、曲げ加工が施される際に偏光シートに使用した芳香族ポリカーボネートのガラス転移点前後の温度にまで加熱されることにより、芳香族ポリカーボネート偏光シートの色調や透過率が大きく変化してしまい、製品間の差が大きくなってしまうということがわかった。
特に、染着濃度が高く透過率が低い芳香族ポリカーボネート偏光レンズは、染着濃度が低く透過率が高い芳香族ポリカーボネート偏光レンズと比べて、成形前の芳香族ポリカーボネート偏光シートの色調や透過率に対して、成形後の色調や透過率が大きく変わってしまうという問題があった。
さらに、成形前後での色調や透過率の変化が大きいと、色調や透過率が変化する量が一定にならなく、成形した製品間で色調や透過率の差が生じてしまうという問題があった。
この問題を鋭意検討した結果、染色された偏光フィルムにおいて、二色比が比較的低くなるように染色を行ったものは、加工時の加熱による色調の変化が小さくなることを見出し、さらに、二色比の差が少なくとも青、緑、赤の光吸収波長において小さいものほど、クロスニコル配置時の色調が黒色で、かつ、加工時の加熱による色調の変化が小さく、透過率の変化が同じ場合でも、透過率のムラが大きな色調変化として見られない物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性有機色素で延伸染色した偏光フィルムの両面に接着層を介して透明な保護シートを貼り合わせ、球面或いは非球面に加工した曲げ偏光レンズまたは前記の曲げ偏光レンズの凹面にレンズ用透明樹脂を射出成形したサングラス用偏光レンズにおいて、前記偏光フィルムの二色比が5〜14の範囲となるように二色性有機色素を組み合わせて染色してなるものであることを特徴とするサングラス用偏光レンズである。
本発明においては、前記の二色比が青、緑、赤の光吸収波長においてその差が5以内、特に3以内となるように二色性有機色素を組み合わせて染色してなるものであることが好ましい。
また、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが、3.5〜6倍に一軸延伸されたものであること、前記透明な保護シートが、芳香族ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂であること、前記芳香族ポリカーボネートシートが、リタデーション3000nm以上で厚み0.1〜1mmであること、前記貼合に、ポリウレタンプレポリマーとヒドロキシ(ポリ)アクリレートとを含む硬化剤からなる2液型の熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いるものであること、さらに、前記レンズ用透明樹脂が、芳香族ポリカーボネート、ポリアミド樹脂または(メタ)アクリル樹脂であるサングラス用偏光レンズである。
本発明により、色調や透過率において偏光レンズへの成形前後での変化が小さく製品間の差が少ないサングラス用偏光レンズを安定して提供できるようになった。
以下、本発明の構成に関して説明する。
偏光フィルムは、基材となる樹脂フィルムを水中で膨潤させた後に、本願発明の二色性有機染料を含有する染色液に、一方向に延伸させつつ含浸することにより、二色性色素を基材樹脂中に配向した状態で分散させて、偏光性及び所望の色調を付与したフィルムを得ることによる。
このときに用いる偏光フィルムの基材となる樹脂としては、ポリビニルアルコール類が用いられ、このポリビニルアルコール類としては、ポリビニルアルコール(以下PVA)、PVAの酢酸エステル構造を微量残したもの及びPVA誘導体または類縁体であるポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等が好ましく、特にPVAが好ましい。
また、PVAフィルムの分子量は、延伸性とフィルム強度の点から重量平均分子量が50,000から350,000のものが好ましく、より好ましく分子量100,000から300,000、特に、分子量150,000以上が好ましい。PVAフィルムを延伸する際の倍率は、延伸後の二色比とフィルム強度の点から2〜8倍が好ましく、特に3〜6.5倍、特に3.5〜4.5倍が好ましい。延伸後のPVAフィルムの厚みは特に制限はないが、保護フィルムなどと一体化せずに取り扱いできるとの点から厚み20μm以上で、50μm以下程度が好ましい。
基材フィルムとしてPVAを用いる場合の典型的な製造工程は、
(1)PVAを水中にて膨潤させつつ水洗し、適宜、不純物を取り除き、
(2)適宜、延伸しつつ、
(3)染色槽にて染色し、
(4)ホウ酸または金属化合物による処理槽にて架橋乃至キレート化処理し、
(5)乾燥する、
との工程にて製造される。尚、工程(2)、(3)(場合により(4))は、適宜、その順序をかえても、また、同時に行っても良いものである。
まず、工程(1)の膨潤・水洗の工程は、水を吸収させることにより、常温の乾燥状態では容易に破断するPVAフィルムを均一に軟化させて延伸可能とする。また、PVAフィルムの製造工程に使用される水溶性の可塑剤などを除くこと、あるいは、適宜、添加剤を予備的に吸着させる工程である。このときに、PVAフィルムは順次均一に膨潤するものではなく、必ずバラツキが生じる。この状態でも、局所的に伸ばされ或いは伸び不足のないように、また、皺などの発生を抑えるように可能なかぎり小さい力を均一に負荷するような工夫を行うことが肝要である。また、この工程では、単に均一に膨潤させることが最も望ましいものであり、過剰な延伸などはムラの原因となるので極力しない。
工程(2)は、延伸倍率は通常2〜8倍となるように延伸を行うものである。
本発明では、加工性が良いことが重要であるので、延伸倍率を3〜6倍、特に3.5〜4.5倍から選択し、この状態でも配向性を維持するのが好ましい。
延伸配向された状態で、水中に存在する時間、さらに乾燥までの時間が長いと配向緩和が進むものであることから、より高い性能を維持するとの観点からは延伸処理はより短時間となるように設定し、延伸後は、出来るだけ早く水分を除く、すなわち、直ちに乾燥工程に導き過剰な熱負荷を避けつつ乾燥させることが好ましい。
工程(3)の染色は、配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムのポリマー鎖への染料を吸着或いは沈着させることによる。この機構からは、一軸延伸の前中後のいずれでも可能であり大きな変化はないが、界面という規制の高い表面が最も配向しやすいものであり、これを生かすような条件を選択するのが好ましい。
温度は、高い生産性との要求から通常は40〜80℃の高温から選択されるが、本発明では通常25〜45℃、好ましく30〜40℃、特に30〜35℃から選択する。
工程(4)は、耐熱性の向上や耐水性や耐有機溶剤性を向上させるために行う。
前者のホウ酸による処理はPVA鎖間の架橋にて耐熱性を向上させるものであるが、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸の前中後のいずれでも可能であり大きな変化はない。また、後者の金属化合物は主に、染料分子とキレート化合物を形成して安定化させるものであり、通常、染色後或いは染色と同時に行う。
金属化合物としては、第4周期、第5周期、第6周期のいずれの周期に属する遷移金属であっても、その金属化合物に前記耐熱性および耐溶剤性効果の確認されるものが存在するが、価格面からクロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの第4周期遷移金属の酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの金属塩が好ましい。これらの中でも、ニッケル、マンガン、コバルト、亜鉛および銅の化合物が、安価で前記効果に優れるため、さらに好ましい。
より具体的な例としては、例えば、酢酸マンガン(II)四水和物、酢酸マンガン(III)二水和物、硝酸マンガン(II)六水和物、硫酸マンガン(II)五水和物、酢酸コバルト(II)四水和物、硝酸コバルト(II)六水和物、硫酸コバルト(II)七水和物、酢酸ニッケル(II)四水和物、硝酸ニッケル(II)六水和物、硫酸ニッケル(II)六水和物、酢酸亜鉛(II)、硫酸亜鉛(II)、硝酸クロム(III)九水和物、酢酸銅(II)一水和物、硝酸銅(II)三水和物、硫酸銅(II)五水和物などが挙げられる。これらの金属化合物のうち、いずれか1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いることもできる。
金属化合物およびホウ酸の前記偏光フィルム中の含有率は、前記偏光フィルムに耐熱性および耐溶剤性を与える点から、偏光フィルム1g当たり、金属化合物では金属として0.2〜20mg含有されることが好ましく、1〜5mgがさらに好ましい。ホウ酸の含有率は、ホウ素として0.3〜30mgが好ましく、0.5〜10mgがさらに好ましい。
処理に用いる処理液の組成は以上の含有率を満たすように設定され、一般的には、金属化合物の濃度は0.5〜30g/L、ホウ酸濃度は2〜20g/Lであることが好ましい。
偏光フィルムに含有される金属およびホウ素の含有率の分析は、原子吸光分析法により行うことができる。
温度は、通常、染色と同じ条件を採用するが、通常、20〜70℃、好ましくは25〜45℃、より好ましく30〜40℃、特に30〜35℃から選択する。また、時間は、通常、0.5〜15分から選択する。
工程(5)にて、延伸、染色及び適宜、ホウ酸または金属化合物にて処理された染色1軸延伸PVAフィルムを乾燥する。PVAフィルムは、含有する水分量に相当する耐熱性を示すものであり、水を多量に含む状態で温度が高くなってくると、より短時間で、1軸延伸状態からの乱れなどが生じ、二色比の低下が起こる。
乾燥は表面から進むものであり、両表面から乾燥させることが好ましく、乾燥空気送風にて水蒸気を除きつつ行うことが好ましい。また、周知のように、過剰な加熱を避ける点から、蒸発した水分を直ちに除去して蒸発を促進させる方法が温度上昇を抑えた乾燥ができる点から好ましく、乾燥空気の温度を乾燥状態の偏光フィルムが実質的に変色しない温度以下の範囲から、通常、70℃以上、好ましくは90〜120℃の温度で、1〜120分間、好ましくは3〜40分間にて送風乾燥する。
本発明の偏光フィルムは、上記製造法において、光吸収波長の青(450nm)、緑(550nm)、赤(650nm)における二色比が5〜14の範囲となるように、より好ましくは、その差が5以内となるように、特に3以内となるように、さらに、所望の光線透過率において偏光度が99%以上、より好ましくは99.9%以上となるように二色性有機色素を、通常、三種以上組み合わせて染色してなるものである。
加工時の加熱による色変化が小さいとの観点からは、必要な透過率を満たす範囲で二色比がより小さいものを選択することが好ましい。さらに、三光吸収波長の二色比が近いほど、加工時の加熱による色相の変化が小さく色変化のより少ないものと出来る。また、クロスニコル配置の偏光レンズが色付かないとの点からは、上記波長の間においても所望の二色比を示すものが好ましい。
光線透過率(T)、偏光度(P)、二色比(Rd)は、周知のように指数或いは対数関数の特定関係式にて表示される。例えば、二色比を決定すると、偏光度が高くなるに従い光線透過率が低下する曲線が得られ、特に偏光度が99%以上になると光線透過率が急激に低下する曲線となる。
用いる二色性有機色素(染料)は、染色された偏光フィルムが所望の二色比となるように選択する。従って、用いる染料の二色比は、上記の5〜14の範囲に限定されるものではなく、例えば、30以上のものも適宜選択し使用できる。
色変化の要因として、染色染料が基材に固定されず、単独で拡散する場合やPVA鎖とは無関係に回転するなどが知られている。本発明においても好ましい染料は、これらの要因のより少ない或いは無いもの、更に金属化合物処理などにてこれらの要因を抑えたものものとして用いることが好ましい。
PVAフィルムへの染色性と耐熱性の点からスルホン酸基を持つアゾ色素からなる直接染料が好ましく、偏光フィルムが所望の色調と透過率が得られるような濃度で染色液中に各色の直接染料を溶解あるいは分散させる。染色液には直接染料の他に、染色助剤として硫酸ナトリウム等の無機塩を適宜添加する。
なお、本発明における二色性有機色素(染料)の二色比とは、ヨウ素による染色にて製造された偏光フィルムにて600nmで測定される二色比の値が60以上を示す製造条件にて、ヨウ素に変えて二色性有機染料を用いて製造した偏光フィルムにおいて最大吸収波長で測定される値をいう。
具体的には、以下のアゾ色素が例示されるが、特にこれらに限定されるものではない。アゾ色素は商品名で例示し、括弧内にはカラー・インデックス・ジェネリック・ネーム(Color Index Generic Name)をわかるもののみ記載した。
Chrysophenine(C.I.Direct Yellow12)
Sumilight Supra Yellow BC conc(C.I.Direct Yellow28)
Direct Yellow R 125%( C.I.Direct Yellow50)
Kayarus Supra Yellow RL(C.I.Direct Yellow86)
Kayarus Light Yellow F8G(C.I.Direct Yellow87)
Kayarus Supra Yellow GLS(C.I.Direct Yellow130)
Kayarus Yellow PG(C.I.Direct Yellow142)
Kayacelon Yellow C-2RL(C.I.Direct Yellow164)
Kayacelon Yellow C-2G
Direct Fast Orange S (C.I.Direct Orange26)
Sumilight Supra Orange 2GL 125%(C.I.Direct Orange39)
Nippon Fast Scarlet GSX(C.I.Direct Red4)
Direct Fast Scarlet 4BS(C.I.Direct Red23)
Nippon Fast Red BB conc(C.I.Direct Red31)
Sumilight Red 4B(C.I.Direct Red81)
Direct Supra Rubine BL(C.I.Direct Red83)
Kayarus Supra Scarlet BNL 200(C.I.Direct Red89)
Direct Light Scarlet F2G(C.I.Direct Red224)
Kayarus Supra Red BWS(C.I.Direct Red243)
Kayacelon Rubine C-BL
Nippon Brilliant Violet BK conc(C.I.Direct Violet9)
Kayarus Supra Violet 5BL conc(C.I.Direct Violet48)
Sumilight Violet BB conc(C.I.Direct Violet51)
Sumilight Supra Blue BRR conc(C.I.Direct Blue71)
Sumilight Supra Blue G(C.I.Direct Blue78)
Direct Supra Blue 4BL conc(C.I.Direct Blue200)
Kayarus Supra Blue BWL 143(C.I.Direct Blue237)
Kayacelon Blue C-3GL(C.I.Direct Blue274)
Kayacelon Blue C-2R(C.I.Direct Blue291)
Direct Blue MRG
Kayarus Cupro Green G(C.I.Direct Green59)
Kayarus Supra Green F4G
Japanol Fast Black D conc(C.I.Direct Black17)
Sumilight Black G conc(C.I.Direct Black19)
Direct Fast Black B(C.I.Direct Black22)
Direct Fast Black conc(C.I.Direct Black51)
Sumilight Supra Grey CGL(C.I.Direct Black112)
Sumilight Supra Grey NGL conc(C.I.Direct Black113)
Kayarus Supra Black AR 503
Kayarus Supra Brown GL 125(C.I.Direct Brown195)
Kayarus Supra Brown B2R(C.I.Direct Brown209)
Kayarus Supra Brown GTL(C.I.Direct Brown210)
以上の工程にて製造した偏光フィルムは、通常、その両面に接着層を介して、透明な保護フィルム或いはシートを保護層として積層(貼付)して偏光シートに用いられる。
本発明の保護層として用いる透明なプラスチック材料としては、芳香族ポリカーボネート、非晶性ポリオレフィン(脂環式ポリオレフィン)、ポリアクリレート、ポリスルフォン、アセチルセルロース、ポリスチレン、ポリエステル、透明ポリアミド、及び芳香族ポリカーボネートと脂環式ポリエステルとの組成物などのこれらの混合物からなる透明樹脂が挙げられる。
耐衝撃性、耐熱性が要求されるサングラスあるいはゴーグルにおいては、ビスフェノールAからの芳香族ポリカーボネートを使用するのが好ましい。なお、耐衝撃性でより低い温度で曲げ加工を行うことができるポリカーボネート/PCC(ポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノール−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート))組成物が挙げられる。また、耐薬品性などからはポリオレフィン、ポリアクリレートやポリアミドが挙げられる。
芳香族ポリカーボネートシートの樹脂材料としては、フィルム強度、耐熱性、耐久性あるいは曲げ加工性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンや2,2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジハロゲノフェニル)アルカンで代表されるビスフェノール化合物から周知の方法で製造された重合体が好ましく、その重合体骨格に脂肪酸ジオールに由来する構造単位やエステル結合を持つ構造単位が含まれても良く、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネートが好ましい。
さらに、芳香族ポリカーボネートシートの分子量については、シート自体の成形における点から粘度平均分子量で12,000〜40,000のものが好ましく、フィルム強度、耐熱性、耐久性あるいは曲げ加工性の点から、特に20,000〜35,000のものが好ましい。また、芳香族ポリカーボネートシートのリタデーション値については、着色干渉縞を抑制する点から、下限は2,000nm以上であり、上限は特にないがフィルム製造面から20,000nm以下が好ましく、特に4,000nm以上20,000nm以下が好ましい。リタデーション値が高い方が着色干渉縞を生じ難い反面、リタデーション値が高い方が表面形状の精度が低いというデメリットがある。このリタデーション値が高い芳香族ポリカーボネートシートを偏光フィルムの光入射側、すなわち、人の目の反対側に用いることにより着色干渉縞を生じ難くすることが出来る。
芳香族ポリカーボネートとの組成物として、保護層用のシート或いはフィルムとして、レンズ用射出成形用樹脂として用いられる本発明の脂環式ポリエステル樹脂は、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸で代表されるジカルボン酸成分と1,4−シクロヘキサンジメタノールで代表されるジオール成分と、必要に応じて他の少量の成分とを、エステル化またはエステル交換反応させ、次いで、適宜、重合触媒を添加し徐々に反応槽内を減圧にし重縮合反応させる公知方法により得られるものである。
脂環式ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体は、具体的には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、およびそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂は、レンズ用透明ポリアミド樹脂として公知のものが挙げられ、耐熱性の一指標である熱変形温度100〜170℃の範囲であり、芳香族ポリアミド樹脂、脂環族ポリアミド樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、並びに、これらの共重合体が挙げられ、機械的強度、耐薬品性、透明性等のバランスから脂環式ポリアミド樹脂は好ましいものであるが、2種以上のポリアミド樹脂を組み合わせてもよい。このようなポリアミド樹脂の例として、GLILAMID TR FE5577、XE 3805(EMS製)、NOVAMID X21(三菱エンジニアリングプラスチックス製)、東洋紡ナイロン T−714E(東洋紡製)があるが、これらに限定されない。
(メタ)アクリル樹脂は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート(MMA)に代表される各種(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、またはPMMAやMMAと他の1種以上の単量体との共重合体であり、さらにそれらの樹脂の複数種が混合されたものでもよい。これらのなかでも、低複屈折性、低吸湿性、耐熱性に優れた環状アルキル構造を含む(メタ)アクリレートが好ましい。以上のような(メタ)アクリル樹脂の例として、アクリペット(三菱レイヨン製)、デルペット(旭化成ケミカルズ製)、パラペット(クラレ製)があるが、これらに限定されない。
次に、偏光フィルムの両面に透明な保護層を貼り合わせるために用いる接着剤としては、ポリビニルアルコール樹脂系材料、アクリル樹脂系材料、ウレタン樹脂系材料、ポリエステル樹脂系材料、メラミン樹脂系材料、エポキシ樹脂系材料、シリコーン系材料等が使用できる。特に、接着層自体あるいは接着した際の透明性と透明な保護層との接着性の点から、ウレタン樹脂系材料であるポリウレタンプレポリマーと硬化剤からなる2液型の熱硬化性ウレタン樹脂が好ましい。
本発明のサングラス用偏光レンズに用いられる偏光シートは、前述の層構成に限られるものではなく、偏光フィルムと透明な保護層を接着する接着剤において、調光染料を溶解させた接着剤を用いて作製された調光機能も併せ持つ偏光シートを用いても良い。
本発明の保護層は、その好適な加工条件において、機能層の機能を実質的に損なわない加工条件が選択できるものを選択する。
例えば、機能層としてポリエステル系の超多層の選択反射膜が併用されている場合、この超多層の選択反射膜は1層の厚みを1/4λとするために、多層シートを製造し、これを適宜繰り返し延伸して所定の光学厚みとする、所謂、金太郎飴の製法が用いられる。この結果、機能性を保持した状態における加工条件は、加工時間において、延伸状態からの緩和が実質的に起きない温度と時間とが条件を選択することが必須となる。
次いで、本偏光シートを個々のレンズ用の形状に打ち抜きなどにて加工した後、曲げ加工を施す。個々のレンズ形状品への加工は、生産性などから、通常、トムソン刃からなる打ち抜き刃を用いた、複数のレンズ形状品の打ち抜き加工による。個別レンズ形状品の形状は、最終製品の形状(サングラス、ゴーグルなど)により適宜、選択される。二眼用の場合の標準的なレンズ形状品は、直径80mmの円盤或いはその両端を偏光軸に垂直な方向に同幅切り取ったスリット形状である。
また、曲げ加工は、上記の本偏光シートに用いる保護シートの種類の選択でも触れたが、本偏光シートの機能性を発揮する層の劣化が実質的に発生しないとの条件により決定される。
保護シートに芳香族延伸ポリカーボネートシートを用いた偏光シートを用いるとき、偏光フィルムは曲げ加工において延伸方向に沿った亀裂、いわゆる膜切れが生じやすいのでこれらの発生を抑えた条件を選択する必要がある。延伸ポリカーボネート偏光シートの曲げ加工における金型温度は延伸ポリカーボネート偏光シートに使用した芳香族ポリカーボネートのガラス転移点前後の温度が好ましく、加えて、予熱処理により曲げ加工直前の延伸ポリカーボネート偏光シート温度が芳香族ポリカーボネートのガラス転移点より50℃低い温度以上ガラス転移点未満の温度であることが好ましく、特に、ガラス転移点より40℃低い温度以上ガラス転移点より5℃低い温度未満であることが好ましい。
他の樹脂の場合も同様であり、用いた樹脂のガラス転移点未満の成形温度が適宜選択される。
次いで、曲げ偏光シートに、通常、用いた保護シートと同種の樹脂を射出して射出成形レンズとする。
射出成形の加工条件については、特に制限はないが、外観に優れている必要があり、この点から、金型温度は偏光シートに使用した透明保護シートの樹脂のガラス転移点より50℃低い温度以上ガラス転移点未満の温度が好ましく、特に、ガラス転移点より40℃低い温度以上ガラス転移点より15℃低い温度未満が好ましい。
次いで、ハードコート処理が施される。
ハードコートの材質あるいは加工条件については、特に制限はないが、外観や下地の芳香族ポリカーボネートに対して、あるいは続いてコートされるミラーコートや反射防止コート等の無機層に対する密着性に優れている必要があり、この点から、焼成温度は延伸ポリカーボネート偏光シートに使用した芳香族ポリカーボネートのガラス転移点より50℃低い温度以上ガラス転移点未満の温度が好ましく、特に、ガラス転移点より40℃低い温度以上ガラス転移点より15℃低い温度未満である120℃前後の温度であり、ハードコートの焼成に要する時間は概ね30分から2時間の間である。
実施例1
(a)偏光フィルム
ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製、商品名:VF-PS#7500)を35℃の水中で270秒間膨潤しつつ、2倍に延伸した。
引き続いて、Kayarus Supra Yellow GLS(C.I.Direct Yellow130)、Kayarus Supra Red BWS(C.I.Direct Red243)、Kayacelon Blue C-3GL(C.I.Direct Blue274)及び10g/Lの無水硫酸ナトリウムを含む35℃の水溶液中で染色した。
この染色フィルムを酢酸ニッケル2.3g/Lおよびホウ酸4.4g/Lを含む水溶液中35℃で120秒間浸漬しつつ、4倍に延伸した。そのフィルムを緊張状態が保持された状態で室温で3分乾燥を行った後、110℃で3分間加熱処理し、偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムの光吸収波長の青(450nm)、緑(550nm)、赤(650nm)における二色比を表1に示した。二色比は次式により求めた。
二色比=Az/Ax
ここで、Axは最大透過方向の直線偏光の吸光度を表し、Azは最大透過方向に直交する方向の直線偏光の吸光度を表す。AxおよびAzは、島津製作所社製の分光光度計(UV-3600)を用いてサンプルに直線偏光を入射させて測定した。
次に得られた偏光フィルムの偏光度、およびクロスニコル配置時の色調を表1に示した。偏光度は次式により求めた。
偏光度=100×(τpmax-τpmin)/(τpmax+τpmin)
ここで、τpmaxは直線偏光を入射して測定した視感透過率の最大値を表し、τpminは直線偏光を入射して測定した視感透過率の最小値を表す。τpmaxおよびτpminは、AxおよびAzを視感透過率として表した値である。
クロスニコル配置時の色調は、クロスニコル配置時には偏光フィルムに入射した光が透過軸、吸収軸にそれぞれ吸収されることから、クロスニコル配置時のスペクトルはAz×Axで表すことができ、そこからL*a*b*表色系を用いて算出した。
クロスニコル配置時の色調はb*値が低く、青みを帯びてみえるが、偏光度は99%を上回っており、実用上なんら問題はない。
(b)芳香族ポリカーボネート偏光シート
(a)で得た偏光フィルムにウレタン系の接着剤をバーコーター#12を用いて塗布し、70℃で10分間乾燥させた後、厚さ0.3mm、リタデーション値5500nmの芳香族ポリカーボネートシート(三菱瓦斯化学社製)の延伸軸と偏光フィルムの延伸軸とを揃えてラミネーターで貼り合わせた。この積層シートの偏光フィルム側に上記と同様の方法で接着剤を塗布し、もう1枚の芳香族ポリカーボネートシートを同様に貼り合わせ、芳香族ポリカーボネート偏光シートを得た。硬化後の接着剤塗膜の厚みは9〜11μmであった。
(c)芳香族ポリカーボネート偏光レンズの吸光度の測定
作製した芳香族ポリカーボネート偏光シートの透過率と色調を島津製作所社製の分光光度計(UV-3600)を用いて測定した。結果を表2に示した。
(d)芳香族ポリカーボネート偏光レンズ
(b)で得た芳香族ポリカーボネート偏光シートをベースカーブ7.95(曲率半径66.67mm)の金型を用いて曲げ加工した。曲げ加工においては金型温度137℃、保持時間1200秒の条件にて成形した。
ここで言うベースカーブとは、レンズ前面の曲率の意味で用いており、530をミリメータ単位の曲率半径で除した値のことである。
曲げ加工後の芳香族ポリカーボネート偏光レンズには偏光フィルムの亀裂はなかった。 (c)と同様に測定したサンプルの曲げ加工後の芳香族ポリカーボネート偏光レンズの透過率と色調、および成形前後のCIE1976(L*a*b*)色空間における色差ΔE*abを表2に示す。色差は次式により求めた。
色差:ΔE*ab=((ΔL*)^2+(Δa*)^2+(Δb*)^2)^(1/2)
実施例2
染色過程における染料の組み合わせをDirect Yellow R 125%( C.I.Direct Yellow50)、Direct Supra Rubine BL(C.I.Direct Red83)、Sumilight Supra Blue G(C.I.Direct Blue78)に変えた以外は(a)と同様にして、偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムの光吸収波長の青(450nm)、緑(550nm)、赤(650nm)における二色比、偏光フィルムの偏光度、およびクロスニコル配置時の色調を表1に示した。
偏光フィルムの青、緑、赤の光吸収波長の二色比の差が4.6になったことで、偏光度が99.7%になり、クロスニコル配置時の色調もほぼ黒色となった。
次に(b)、(c)、(d)と同様にして曲げ加工前後の芳香族ポリカーボネート偏光レンズの透過率と色調を測定し、色差を求めた。結果を表2に示した。
実施例1と同様に、曲げ加工後の芳香族ポリカーボネート偏光レンズには偏光フィルムの亀裂はなかった。
実施例3
染色過程における染料の組み合わせをKayarus Supra Yellow GLS(C.I.Direct Yellow130)、Sumilight Supra Orange 2GL 125%(C.I.Direct Orange39)、Kayarus Supra Red BWS(C.I.Direct Red243)、Sumilight Red 4B(C.I.Direct Red81)、Kayacelon Blue C-3GL(C.I.Direct Blue274)に変えた以外は(a)と同様にして、偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムの光吸収波長の青(450nm)、緑(550nm)、赤(650nm)における二色比、偏光フィルムの偏光度、およびクロスニコル配置時の色調を表1に示した。
偏光フィルムの青、緑、赤の光吸収波長の二色比の差が3.6になったことで、偏光度が99.9%になり、クロスニコル配置時の色調もほぼ黒色となった。
次に(b)、(c)、(d)と同様にして曲げ加工前後の芳香族ポリカーボネート偏光レンズの透過率と色調を測定し、色差を求めた。結果を表2に示した。
実施例1と同様に、曲げ加工後の芳香族ポリカーボネート偏光レンズには偏光フィルムの亀裂はなかった。
実施例4
染色過程における染料の組み合わせをSumilight Supra Orange 2GL 125%(C.I.Direct Orange39)、Sumilight Red 4B(C.I.Direct Red81)、Kayarus Supra Blue BWL 143(C.I.Direct Blue237)に変えた以外は(a)と同様にして、偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムの光吸収波長の青(450nm)、緑(550nm)、赤(650nm)における二色比、偏光フィルムの偏光度、およびクロスニコル配置時の色調を表1に示した。
偏光フィルムの青、緑、赤の光吸収波長の二色比の差が1.9になったことで、偏光度が99.9%になり、クロスニコル配置時の色調も完全に黒色となった。
次に(b)、(c)、(d)と同様にして曲げ加工前後の芳香族ポリカーボネート偏光レンズの透過率と色調を測定し、色差を求めた。結果を表2に示した。
実施例1と同様に、曲げ加工後の芳香族ポリカーボネート偏光レンズには偏光フィルムの亀裂はなかった。
Figure 0006591162

Figure 0006591162
本実施例から明らかにわかるように、光吸収波長の青(450nm)、緑(550nm)、赤(650nm)において二色比が5〜14の範囲になるように二色性色素による染色を行った偏光フィルムを用いた、芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいては、加工前後での色差が小さく、曲げ加工前後での色調と透過率の変化が小さいことがわかる。
さらに、光吸収波長の青(450nm)、緑(550nm)、赤(650nm)において二色比の差が5以内になるように二色性色素による染色を行った偏光フィルムを用いた、芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいては、クロスニコル配置時の色調もほぼ黒色で、かつ、加工前後での色差が小さく、曲げ加工前後での色調と透過率の変化が小さいことがわかる。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性有機色素で延伸染色した偏光フィルムの両面に接着層を介して透明な保護シートを貼り合わせ、球面或いは非球面に加工した曲げ偏光レンズまたは前記の曲げ偏光レンズの凹面にレンズ用透明樹脂を射出成形したサングラス用偏光レンズにおいて、前記延伸染色して得られた偏光フィルムの、光吸収波長の青(450nm)、緑(550nm)、赤(650nm)における二色比が5〜14の範囲であり、かつその差が5以内となるように二色性有機色素を組み合わせて染色してなるものであることを特徴とするサングラス用偏光レンズ。
  2. 前記の二色比が青(450nm)、緑(550nm)、赤(650nm)の光吸収波長においてその差が3以内となるように二色性有機色素を組み合わせたものである請求項1記載のサングラス用偏光レンズ。
  3. 前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが、3.5〜6倍に一軸延伸されたものである請求項1記載のサングラス用偏光レンズ。
  4. 前記透明な保護シートが、芳香族ポリカーボネート、ポリアクリレート、アセチルセルロース、ポリアミド、及び芳香族ポリカーボネートと脂環式ポリエステルとの組成物からなる群より選択される1つ以上である、請求項1記載のサングラス用偏光レンズ。
  5. 前記透明な保護シートが、リタデーション3000nm以上で厚み0.1〜1mmである芳香族ポリカーボネート樹脂のフィルムまたはシートである請求項1記載のサングラス用偏光レンズ。
  6. 前記接着層に、ポリウレタンプレポリマーとヒドロキシ(ポリ)アクリレートとを含む硬化剤からなる2液型の熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いるものである請求項1記載のサングラス用偏光レンズ。
  7. 前記レンズ用透明樹脂が、芳香族ポリカーボネート、ポリアミドまたはポリアクリレートである請求項1記載のサングラス用偏光レンズ。
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