以下、本発明の実施形態に係る液体収納容器について、図面を参照して説明する。まず、本発明に係る液体収納容器が装着される液体吐出装置の構成について説明する。尚、液体収納容器としては、インクタンクが挙げられる。液体吐出装置としては、インクジェット記録装置が挙げられる。
図1に示されるように、液体吐出装置100は、記録紙やプラスチックシート等の記録シートからなる記録媒体Sを搬送する搬送手段を備えており、記録媒体Sは搬送手段によって図1の矢印A方向に搬送される。液体吐出装置100は、搬送手段として、搬送ローラ15とこれに従動回転するピンチローラ2を備えている。複数のピンチローラ2は不図示のピンチローラホルダに回転自在に保持されている。そして、記録媒体Sの搬送の際には、記録媒体Sは搬送ローラ15とピンチローラ2との間に挟まれ、その状態で搬送ローラ15が駆動されて回転することにより、記録媒体Sがプラテン3上に案内支持されながら搬送される。
液体吐出装置100は、液滴を吐出可能な記録手段としての記録ヘッド4を有している。液体吐出装置100では、記録ヘッド4は、記録媒体Sに向かって液体を吐出可能な姿勢で、キャリッジ7に着脱可能に装着されている。キャリッジ7は、記録時に、不図示のモータ等の駆動手段により、記録媒体搬送方向(矢印A方向、副走査方向)と交差する方向(主走査方向)に往復移動するように駆動される。このように、本実施形態では、記録装置はキャリッジ7に装着された記録ヘッド4が記録媒体Sの搬送方向と交差する主走査方向に移動しながら記録を行ういわゆるシリアルスキャン形式の液体吐出装置100である。
液体吐出装置100は、記録ヘッド4に対向する位置にプラテン3が設けられている。プラテン3は、記録ヘッド4からのインク滴の吐出によって画像が形成されるときの記録媒体Sを支持するものである。プラテン3上には、搬送方向(矢印A)と交差する方向における記録媒体の端部の浮き上がりを抑制するための押さえ部材14が設けられている。プラテン3と押さえ部材14によって、記録ヘッド4の吐出口形成面(吐出口が配列された面)とこれに対向する記録媒体Sの表面と間の距離が所定距離に維持されている。記録ヘッド4を装着したキャリッジ7は、2本のガイドレール5、6に沿って往復移動可能に案内支持されている。
ここで示す記録ヘッド4は、液体吐出のために熱エネルギーを用いる形式である。記録ヘッド4には、発熱素子(電気熱変換素子)が備えられている。発熱素子に通電させ、その発熱素子から熱エネルギーを発生させることにより、発熱素子の周囲の液体が加熱されて膜沸騰により発泡する。そのときの発泡エネルギーによって吐出口から液滴が吐出される。なお、本実施形態では、液体吐出のために用いられる記録素子として熱エネルギーを用いる発熱素子について説明したが、本発明はこれに限定されない。記録ヘッドは、この方式の他、例えば通電させることで変形するピエゾ素子を用い、ピエゾ素子が通電に応じて変形することで、記録ヘッド内の液体が吐出口から押し出されて吐出される形式であってもよい。また、吐出口から液滴を吐出することができるのであれば、その他の吐出方式が用いられてもよい。
記録ヘッド4には、複数のチップが形成されており、チップごとに、それぞれ異なる色の液体(インク)を吐出するための吐出口列が設けられている。本実施形態では、複数の色の液体を吐出可能なように、複数のチップが記録ヘッド4に設けられている。それぞれのチップに形成された各吐出口列は、複数の吐出口を所定ピッチで配列して構成されている。本実施形態の液体吐出装置100では、記録ヘッド4で使用される液体の色に対応して、複数の独立した液体収納容器(液体収納容器)1がタンク装着ユニット9に着脱交換可能に装着されている。タンク装着ユニット9の内部に配置された液体収納容器1は、記録ヘッド4におけるそれぞれの液体の色ごとに対応する色のチップと供給チューブ16によって接続されている。供給チューブ16は、複数の色に対応した複数のチップに液体を供給できるように、それぞれの液体の色に対応して複数設けられている。タンク装着ユニット9に装着された各液体収納容器1に収納されたインクは、色ごとにそれぞれ独立して記録ヘッド4のチップに供給され、記録ヘッド4内の液室に一旦貯留される。
プラテン3上に搬送された記録媒体Sは、画像を記録された後、記録媒体Sが排出ローラ12とこれに従動回転する拍車13との間に挟持された状態で排出ローラ12が回転することにより、記録媒体Sは液体吐出装置100から排出される。
記録ヘッド4の主走査方向への往復移動範囲内であって、記録媒体Sの搬送範囲外の領域の所定位置(例えばホームポジション)に、吸引回復装置としての回復ユニット17が配設されている。回復ユニット17は、吸引回復を行うことによって、記録ヘッド4からインクの記録に関与しない排出を行う。また、回復ユニット17は、記録ヘッド4の吐出口形成面の汚れを払拭するための非表示の可撓性ブレード等からなるワイパー手段などを備えている。
(第1実施形態)
次に、本実施形態の液体吐出装置で用いられる液体収納容器の構成について説明する。図2(a)に、実施形態に係る液体収納容器1の斜視図を示し、図2(b)に液体収納容器1の分解斜視図を示す。
液体収納容器1は、インク等の液体を収納するケース10と、液体吐出装置100に接続されるジョイントユニット20と、ケース10及びジョイントユニット20を保護するカバー50を備えて構成されている。
ケース10は、内部に液体を直接収納可能な容器である。ケース10には、容器内部に形成された液体の貯留部に、外部から液体を供給、或いは外部に排出することが可能な開口部110が形成されている。ケース10は、開口部110の形成された開口面101と、開口面101と対向する天面102と、これらの間に形成された側面103、104、105、106とを備えている。開口部110は、開口面101から突出している。開口面101、天面102、側面103、104、105、106によって液体の貯留部が囲まれ、容器として機能する。このように、液体収納容器1は、ケース10及びカバー50が組み立てられて構成され、液体収納容器1は、組み立てられた状態で液体を収納可能な外壁を備えている。液体収納容器1は、外壁によって囲まれた容器の内部に液体を収納可能な構成である。
上述した通り、液体収納容器1は、カバー50を備えている。カバー50は、ケース10における開口部110の形成された側の面を覆うように取り付けられる。カバー50には、記憶素子ユニット60を収納する空間(記憶素子収納領域)52が形成されている。記憶素子ユニット60は、記憶素子収納領域52内でカバー50に直接組み付けられる。記憶素子ユニット60のカバー50への組み付け方法としては、両面テープやホットメルト、もしくはカシメによる固定等が挙げられる。
記憶素子収納領域52は、液体吐出装置側(図中Z方向)に開口している。記憶素子収納領域52は、後述する記憶素子ユニット60と液体吐出装置を電気接続させる液体吐出装置側コネクタが内部に挿入されることが可能に構成されている。
記憶素子収納領域52内では、回路基板61の接点部611が液体供給部11側を向くように固定されていることが好ましい。即ち、接点部611と液体供給部11の間には、液体吐出装置側のコネクタが侵入するための隙間が生じる。そのため、液体収納容器1の液体供給部11から液体が垂れてきても、液体がこの隙間にトラップされ、接点部611に液体が付着することが抑制される。
カバー50には、ケース10の開口部110及びジョイントユニット20に対応する位置に接続口51が設けられている。そのため、カバー50をケース10に組み付けることで、液体収納容器1の液体供給部11が形成される。液体吐出装置100に液体収納容器1を装着する際には、液体供給部11を介して、液体吐出装置100と液体収納容器1の内部とが接続されるようになっている。
ケース10とカバー50との間には、ジョイントユニット20が配置されている。カバー50がジョイントユニット20を覆うように、ジョイントユニット20をケース10とカバー50との間に挟んだ状態で、ケース10にカバー50が接続される。従って、ケース10内部における液体の貯留部とカバー50における接続口51との間の液体流路が、ジョイントユニット20を介して接続されている。ジョイントユニット20は、ケース10の開口部110に、熱板溶着等によって溶着される。
ジョイントユニット20は、ジョイント部材21、弾性部材22a、22b及び固定部材23を備えて構成されている。ジョイント部材21には、それを貫通してケース10内に通じている液体導出口211と大気導入口212のそれぞれから延びる2つの流路が形成されている。液体導出口211からケース10の開口部110に延在するように、ジョイント部材21内部に液体流路が形成されている。また、同様に大気導入口212から開口部110に延在するように、空気の流路が形成されている。従って、液体導出口211と大気導入口212とは、ジョイント部材21内部に形成された液体流路及び空気の流路のそれぞれの供給口として機能する。
液体導出口211には弾性部材22bが、大気導入口212には弾性部材22aが、それぞれ圧縮されて挿入される。弾性部材22a、22bが大気導入口212及び液体導出口211のそれぞれに挿入された状態で、その上から、固定部材23がジョイント部材21に取り付けられる。固定部材23には、それぞれの供給口に対応する位置に、固定部材23を貫通して液体流路及び空気の流路が形成されている。固定部材23を弾性部材22a、22bに当接させた状態で、外側から超音波溶着等を行うことによって、固定部材23と弾性部材22a、22bとが溶着される。
また、ジョイント部材21の内部に形成された液体流路及び空気の流路と、固定部材23の内部に形成された液体流路及び空気の流路との間に、弾性部材22a、22bを配置した状態で、ジョイント部材21と固定部材23とが接続される。これにより、液体流路及び空気の流路の途中に弾性部材22a、22bを配置した状態で、ジョイント部材21と固定部材23とのそれぞれに形成された液体の流路及び空気の流路が形成される。このようにジョイントユニット20が構成されることにより、弾性部材22a、22bは各流路内に圧縮されて固定される。それぞれの流路では、内部で気密性が保たれるように、それぞれの流路が弾性部材22a、22bによってシールされている。
液体収納容器1が液体吐出装置100に装着されていない状態においては、弾性部材22a、22bにより液体の流路及び空気の流路がシールされているので、ケース10内の気密性は保たれる。液体吐出装置の本体側には、液体収納容器1が液体吐出装置に装着された際の液体収納容器1のカバー50における接続口51に対向する位置に、液体供給針および空気導入針(共に不図示)が設けられている。従って、液体収納容器1が液体吐出装置に装着されると、液体吐出装置側に取り付けられた液体供給針及び空気導入針がそれぞれ弾性部材22a、22bを貫通する。これにより、液体収納容器1の内部と液体吐出装置側とが接続される。
液体収納容器1が液体吐出装置に装着される前の状態では、液体収納容器1におけるケース10とカバー50との間は、弾性部材22a、22bによってシールされている。液体収納容器1が液体吐出装置に装着されたときに初めて弾性部材22a、22bが液体供給針及び空気導入針によって貫通されて、これらの間の液体の流路及び空気の流路が連通する。そのため、液体収納容器1が液体吐出装置に装着される前の段階では、弾性部材22a、22bが液体の流路及び空気の流路を確実にシールしているので、液体貯留部の内部の液体が十分に保持される。また、液体貯留部の気密性が保たれる。従って、液体収納容器1が市場に流通している状態での液体収納容器1からのインクの漏れを抑制することができる。弾性部材22a、22bを構成する材料としては、ブチルゴム等のゴム材や、エラストマー等の熱可塑性樹脂材などの柔軟性のある材料が挙げられる。
本実施形態においては、上記のような、弾性部材22a、22bが圧縮されて固定されるシール構成を用いて説明したが、本発明はこれらの構成に限定されるものではない。例えば、バネによりバルブ部材をシールゴムに付勢することで開口をシールするような構成であってもよい。液体吐出装置に装着されていないときには、液体収納容器の開口が十分にシールされ、その部分が液体吐出装置への装着時に開放されるものであればよい。また、液体吐出装置側が供給口と大気連通口が一体形成された一軸二流路ニードルを有し、それに対応して液体収納容器1側の供給口が一か所のみであってもよい。
液体収納容器1は、記憶素子ユニット60を有している。記憶素子ユニット60は、記憶素子62を備えている。記憶素子62は、液体収納容器に関する情報(例えば液体の色の情報、液体収納容器固有の情報)を記憶しており、液体吐出装置に液体収納容器1が装着された状態で、液体吐出装置100との間で情報交換を行うことが可能である。液体吐出装置100と液体収納容器1が交換する情報としては、液体の量、液体の色、液体収納容器が正しい位置に配置されているか等がある。液体が無くなったときには、ユーザー自身が液体収納容器を交換することが多いため、液体吐出装置が液体残量をユーザーに知らせる構成を備えていることが好ましい。また、液体収納容器1が正しい位置に配置されていない場合には、ユーザーに適切な位置に配置させることを促すために、ユーザーにそのことを知らせることが好ましい。このような、液体収納容器1と液体吐出装置100の本体との間の情報の授受を行う手段として、液体収納容器1に記憶素子62が設けられている。
記憶素子62は、回路基板61に接触するように配置されている。回路基板61は、液体吐出装置側に固定されたコネクタに設けられた接点部と接触して電気的に接続される接点部611を備えている。これらが一体となり記憶素子ユニット60を形成している。
記憶素子62は、電気的な信号を介して液体吐出装置100の本体側との間で情報の授受を行うため、信号の精度を高く保つために、配置位置が高い精度を保っていることが求められる。よって、液体収納容器1に衝撃が作用したとした場合に、その衝撃が記憶素子62に伝達されることは好ましくない。衝撃によって記憶素子ユニット60が変形し、記憶素子62の配置位置が所定の位置からずれてしまうと、液体吐出装置100の本体側との間で授受の行われる情報の精度が低下してしまう可能性がある。そのため、記憶素子62が収納された空間(記憶素子収納領域52)は、他の領域と比較して、許容される変形の量が小さい。
図3および図4を用いて、記憶素子収納領域52の周辺の構成について説明する。図3は、液体収納容器1におけるカバー50の、記憶素子収納領域52近傍を、Z方向に沿って上方から見た概略的な平面図である。図3では、図2(a)に示されるカバー50における記憶素子ユニット60(記憶素子)の配置された側の一部のみが示されている。
図4は、図3におけるIV−IV線に沿う概略的な断面図である。カバー50における記憶素子収納領域52の形成された側(図3に示される+Y方向側)の端部を、カバー端面503とする。カバー端面503には、識別手段(以下メカIDと称する)53が設けられている。メカID53は、液体収納容器1の誤装着を防ぐために、液体収納容器の種類ごとに異なった構成となるように設けられている。特定の種類の液体収納容器が適切でない位置に装着された場合には、メカID53と液体吐出装置100の本体側の構成とが干渉し、その液体収納容器が液体吐出装置100の本体に装着できないようになっている。このように、任意の液体収納容器に対し、それぞれの液体収納容器の種類に対応した適切な位置に配置されないと、その液体収納容器を適切な位置に配置することができない。すなわち、メカID53が、液体収納容器の種類を識別する識別手段として機能している。メカID53は、複数の突起532a、532b、532c、532d、532eと、突起532a、532b、532c、532d、532e間をつなぐ複数の梁531a、531b、531c、531d、531e、531fとを備えて構成されている。
メカID53は、それぞれの種類の液体収納容器ごとに定められたメカID53の形状となるように、液体収納容器の種類ごとに異なった形状に形成される。ここでは、上記のように構成されたメカIDから、液体収納容器の種類ごとに定められた部分が除去されることにより、液体収納容器の種類ごとに定められた形状となるように、メカID53が形成される。具体的には、液体収納容器の種類ごとに、除去される梁531が選択される。また、液体吐出装置側では、除去された梁531に対応した位置に突起が設けられている。こうすることで、液体収納容器の種類ごとに、液体収納容器側のメカID53及び液体吐出装置側の突起の形状が変化し、それぞれの液体収納容器が誤装着防止機能を有することになる。
また、このとき各梁531は、カバー50の内側面504a、504b、504c、504d、504e、504fに対し、それぞれクリアランス533a、533b、533c、533d、533e、533fが設けられて形成されている。それにより、メカID53の各部を梁531と突起532および梁とカバーの内側面504によって形成されるクリアランス533を有する凹部534a、534b、534c、534d、534e、534fとなっている。
ところで、上述したように、液体収納容器1に衝撃が作用したとした場合に、その衝撃が記憶素子62に伝達されることは好ましくない。このため、本発明の液体収納容器1は、外壁の特定の箇所に凹部を有している。この点について以下説明を行う。
液体収納容器の外壁のうち、図3で示されている面を第1の面とする。第1の面には、記憶素子を収納する空間(記憶素子収納領域52)がある。第1の面から垂直方向に記憶素子を収納する空間が設けられており、この記憶素子を収納する空間が第1の面に開口している。この第1の面に隣接する第2の面(図2のS2の面)には、第1の凹部510がある。第1の凹部510は、第1の面と第2の面との境界を跨ぐ凹部であり、第1の面から第2の面に渡って形成されている。一方、第1の面に隣接し、第2の面と対向する第3の面には、第2の凹部520がある。第2の凹部520は、第1の面と第3の面との境界を跨ぐ凹部であり、第1の面から第3の面に渡って形成されている。即ち、第2の面と第3の面とは、互いに対向する面であって、それぞれ第1の凹部510と第2の凹部520とを有する。そして、図3にも示されている通り、第1の凹部510と第2の凹部520とは、記憶素子を収納する空間(記憶素子収納領域52)を挟んで対向するように配置されている。本発明の液体収納容器1は、このような第1の凹部510と第2の凹部520とを有することにより、液体収納容器1に衝撃が作用した場合にも、記憶素子を収納する空間にその衝撃が強く作用することを抑制することができる。よって、記憶素子を収納している空間の変形や、記憶素子の位置ずれ、変形を抑制することができる。特に2つの凹部が記憶素子を収納する空間を挟んで対向しているので、様々な方向からの記憶素子を収納している空間への衝撃を抑制することができる。
液体収納容器の内部に収納された液体を液体吐出装置に供給する供給口は、図2の接続口51の位置にある。即ち、供給口は第1の面にあることとなる。
上述したメカID53は、第3の凹部である。上記第1の面と第2の面と第3の面に隣接する面を第4の面とする。そして第1の面及び第4の面に、図3で示すメカID53、即ち第3の凹部がある。第3の凹部は、第1の面と第4の面との境界を跨ぐ凹部である。第3の凹部はメカIDとしても機能する場合があるので、複数存在することが好ましい。図3では、第3の凹部は6個示されている。
液体収納容器を液体吐出装置に装着する際の方向を装着方向とする。このとき、第2の面及び第3の面は、装着方向に対して平行に延在する面となる。また、第4の面も、装着方向に対して平行に延在する面となる。液体収納容器を液体吐出装置に装着する際には、第1の面を液体収納容器に対向させた状態で装着していくことになる。第1の面は、装着方向に対して垂直に延在する面となる。
第1の凹部510と第2の凹部520と記憶素子収納領域52との間には、記憶素子収納領域52を挟んで、それぞれ梁511、521が設けられている。梁511、521は、液体収納容器のカバー50の2つの側面である第2の面501、第3の面502と平行に延在している。
また、図4に示されるように、記憶素子収納領域52の−Z方向側には、液体吐出装置の電気コネクタが挿入されるための開口部が設けられている。さらに、本実施形態において、ケース10における−Z方向側の端部の面は、ケース10の記憶素子収納領域52に対応した面120として形成されている。ただし、記憶素子収納領域52の+Z方向側の面に関しては、上記のようにケース10によって形成されることに限らず、カバー50に同様の面が設けられてもよい。
本実施形態では、記憶素子収納領域52のZ方向に沿う長さ(高さ)をZ1、第1の凹部510と第2の凹部520のZ方向に沿う長さをZ2、記憶素子ユニット60のZ方向に沿う長さをZ3とした場合、Z3<Z2<Z1の関係が満たされている。記憶素子ユニット60には衝撃による変形の影響をなるべく受けさせないように、第1の凹部510と第2の凹部520におけるZ方向に沿う長さを、記憶素子ユニット60のZ方向に沿う長さよりも長く形成している。これにより、記憶素子ユニット60に衝撃による影響が及ぶことがより抑制される。
第1の凹部510と第2の凹部520がカバー50に形成されることの効果を、より詳細に述べる。上述のように、カバー50の記憶素子収納領域52に衝撃が伝達されることは好ましくない。ところが、落下等により局所的な衝撃がカバー50に作用した場合には、図5に示すように、第2の面501、第3の面502の記憶素子収納領域52近傍に、矢印301のような衝撃が作用する可能性がある。図5(a)に、第1の凹部510及び第2の凹部520が形成されていないカバー50に、側面に衝撃が作用した場合の力の伝達する方向とそれによる変形について示す。カバー50に第1の凹部510及び第2の凹部520が形成されていない場合には、図5(a)に示されるように、記憶素子収納領域52に直接衝撃が伝わる。このときの衝撃による力が矢印302のように伝達することによって、記憶素子収納領域52に変形が起こる可能性がある。
これに対し、本実施形態の液体収納容器1では、カバー50における記憶素子収納領域52の近傍に、記憶素子収納領域52を挟んで対向する第1の凹部510及び第2の凹部520が形成されている。カバー50に第1の凹部510及び第2の凹部520が形成されることで、液体収納容器が落下したとき等の衝撃が、カバー50における第1の凹部510及び第2の凹部520の形成されていない部分で分散される。そのため、衝撃による力が、記憶素子収納領域52近傍の梁521、511に直接伝達されることを抑制でき、記憶素子収納領域52の変形が抑制される。
第1の凹部510及び第2の凹部520におけるY方向に沿う幅Y2は、記憶素子収納領域52のY方向に沿う幅Y1よりも大きくすることが好ましい。但し、第1の凹部510及び第2の凹部520の幅Y2をあまり大きくしてしまうと、第1の凹部510及び第2の凹部520が、液体供給部11もしくは端面503側に向かう方向に拡大されてしまう。これにより、第1の凹部510及び第2の凹部520の周りの部分の強度が低下し、液体供給部11あるいは端面503に衝撃が加わった際に、第1の凹部510及び第2の凹部520付近の領域が変形してしまう可能性がある。そのため、第1の凹部510及び第2の凹部520におけるY方向に沿う幅Y2の幅は、Y1の幅に対し±50%以内とすることが好ましい。ただし、第1の凹部510及び第2の凹部520の端面側側壁514、524は、Y方向において、記憶素子収納領域52における端面503側の内面52aと同位置もしくは端面503側に位置していることが好ましい。
さらに、第3の凹部534における内側の側面としての内側面504は、カバー50の端面503近傍の強度を確保するために、第1の凹部510及び第2の凹部520から2mm以上、カバー50におけるY方向の外側に位置していることが好ましい。即ち、第1の凹部510及び第2の凹部520におけるY方向の端部の位置と、第3の凹部534における内側の内側面504との間の距離l1が2mm以上あることが好ましい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態における液体収納容器1aについて説明する。第1実施形態の液体収納容器1においては、カバー50に第1の凹部510及び第2の凹部520が形成されることにより、記憶素子ユニット60を囲む壁の厚みが薄くなっている。そのため、記憶素子ユニット60を囲む壁で座屈が生じる可能性がある。
図6に、第1の凹部510及び第2の凹部520の内部に梁が形成されていない状態の、液体収納容器1aの液体供給部11側から記憶素子収納領域52近傍に矢印で示す外力401a、401bが作用した状態を示す。図6は、図3におけるIV−IV線に沿う概略的な断面図である。図6に示されるように、外力401a、401bがカバーに作用すると、外力401a、401bは、カバーを介してケース10に伝達される。外力401a、401bがケース10に伝達されると、ケース10から、反力402a、402bが、カバーに作用する。この場合、第1の凹部510及び第2の凹部520に対応した位置の梁511、521が、矢印403a、403bの方向(もしくはその反対方向)に撓んでしまう可能性がある。このように、梁511、521で座屈が生じると、それにより、記憶素子収納領域52に外力が作用し、記憶素子収納領域52が変形する可能性がある。
これに対して、図7に示されるように、梁511、521に座屈が生じることを抑制するために、凹部510、520内に梁711、721が設けられることが好ましい。図7に、第1の凹部510及び第2の凹部520の内部に梁711、721が設けられたカバー50aの斜視図を示す。また、図8に、第1の凹部510及び第2の凹部520の内部に梁711、721が設けられたカバー50aにおける、メカID53の形成された側の一部について上方から見た平面図を示す。
第2実施形態では、梁711、721は、X方向に沿って延在して形成されている。即ち、梁は、第1の面と第2の面との境界、第1の面と第3の面との境界に対して垂直に延在している。
図8に示されるように、梁711、721は、X方向に沿って、カバー50aの側面501、502よりも外側に突出しない程度の長さに形成されている。図8では、梁711、721が、X方向に沿って、カバー50aの側面501、502と同じ長さとなるように、カバー50の側面501、502と同じ位置まで形成されている。
図9に、カバー50aにZ方向に沿って外力が加えられたときの外力を示した、カバー50aの断面図を示す。図9は、図8におけるIX−IX線に沿う断面図である。第1の凹部510及び第2の凹部520の内部に梁711、721が形成されているので、図9に示されるように、記憶素子収納領域52にZ方向に外力701a、701bが加わったときの記憶素子収納領域52の変形が抑制できる。
以下、記憶素子収納領域52にZ方向に外力701a、701bが作用し、またケース10側から反力702a、702bが作用したときの梁711、721の作用について説明する。
梁511、521に、外力701a、701b及び反力702a、702bが作用することにより、梁511、512が圧縮される方向に、Z方向に沿って力を受ける。このとき、カバー50aにおける第1の凹部510及び第2の凹部520の内部に梁711、721が形成されているので、カバー50に作用する外力が梁511、521に作用する力と梁711、721に作用する力とに分散される。従って、梁511、521に作用する外力が小さくなるので、梁511、521が変形することを抑制することが可能になる。
なお、図8に示される梁711、721のY方向に沿う長さY4は、なるべく小さくすることが好ましい。梁711、721におけるY方向に沿う長さY4を小さくすることにより、梁711、721に外力が作用したときに梁711、721が変形し易くなる。梁711、721が容易に変形するので、カバー50aの側面501、502側に衝撃が加わったときに、梁711、721が変形することにより、梁711、721が衝撃のエネルギーを吸収することができる。これにより、カバー50aに作用する衝撃が緩和され、記憶素子収納領域52の変形がより抑制される。
なお、第2実施形態では、記憶素子収納領域52を含む面(第1の面)と、その面に隣接する面(第2の面、第3の面)との境界に対して垂直に延在する梁711、721が設けられている形態について説明した。しかしながら、本発明は上記実施形態に限定されず、記憶素子収納領域52を含む面(第1の面)と、その面に隣接する面(第2の面、第3の面)との境界に対して平行に延在するように、梁711、721が設けられていてもよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態における液体収納容器1bについて説明する。第3実施形態の液体収納容器1bでは、凹部におけるZ方向の中間の位置に、XY方向に沿って形成された梁712、722が形成されている。
図10に、第3実施形態における液体収納容器1bのカバー50bの斜視図を示す。第3実施形態のカバー50bでは、第1の凹部510及び第2の凹部520におけるZ方向の中間の位置に梁712、722が設けられているので、カバー50bが変形することをより抑制できる。
図11に、第1の凹部510及び第2の凹部520に梁712、722の形成されていない状態のカバーの平面図を示す。図11に示されるカバーにおいて、角部503a、503b付近に外力801が作用した場合、角部503a、503b付近の一部が外力801によって押され、外力801の作用した方向に変形する可能性がある。図11に示されるように、外力801によって、角部503aが押され、角部503aの近傍が変形すると共に、その影響で凹部520の側壁523が変形する。これにより、上述したメカID53における角部503aに近接した側の梁531aの位置がずれてしまう可能性がある。液体吐出装置側の対応するメカID53の一部の位置がずれてしまうと、液体収納容器の種類の識別を精度良く行うことができない可能性がある。これにより、液体収納容器における誤装着防止機能が損なわれる可能性がある。
これに対し、第3実施形態では、第1の凹部510及び第2の凹部520の内部に梁712、722が設けられている。梁712、722は、第1の凹部510及び第2の凹部520の内部におけるZ方向の中間の位置に、第1の凹部510及び第2の凹部520のXY方向の平面によって形成されて設けられている。梁712、722は、XY方向において、第1の凹部510及び第2の凹部520の内部の領域を部分的に占めるように形成されている。従って、第1の凹部510及び第2の凹部520における、側壁が移動するような圧縮、引っ張りによる変形に対し、梁712、722が抵抗となる。従って、第1の凹部510及び第2の凹部520を形成する部分の側壁が変形することを抑制することができる。第3実施形態では、梁712、722は、Y方向に沿って延びて形成されている。
図12に、第3実施形態に、カバー50bにおける記憶素子収納領域52近傍の一部について、Z方向の上方から見た概略的な平面図を示す。図12に示されるように、梁712、722は、それぞれ梁511、521の側面から離間して配置されている。本実施形態では、X方向に関して、梁712、722の側面の位置がカバー50bにおける側面501、502の位置と同じ位置となるように、梁712、722が配置されている。このように梁712、722が第1の凹部510及び第2の凹部520の内部に配置されているので、カバー50の側面501、502側から梁712、722に外力が加わったとしても、記憶素子収納領域52に直接衝撃が加わることを抑制することができる。
図13に、第2の凹部520の内部に梁712、722を設けた際に、カバー50bにおける角部503aに外力が加わったときの記憶素子収納領域52近傍についての平面図を示す。図13に示されるように、カバー50bの角部503aに外力801が加わったとしても、第2の凹部520に梁722が設けられているので、梁722が第2の凹部520の側壁523、524を支持する。従って、側壁523、524の変形を抑えることができ、そのことによる角部503aの変形を抑制することができる。そのため、メカID53の梁531aの位置がずれることを抑制することができ、メカID53による液体収納容器の識別手段としての精度を維持することができる。結果的に、液体収納容器の誤装着を抑制することができる。
また、第1の凹部510及び第2の凹部520の内部に形成された梁712、722を、液体収納容器の種類を識別する識別手段としてのメカIDと構成することもできる。図14に、梁712、722をメカIDとして形成した場合の、カバーの概略的な平面図を示す。
梁712、722のうちのいずれか1つを除去し、液体吐出装置における本体側の液体収納容器装着部の構成を対応して形成されることとしてもよい。即ち、梁が複数あって、複数の梁は液体収納容器の種類に応じて一部が除去されていてもよい。これにより、適切な種類の液体収納容器のみ、液体吐出装置の本体側の対応した位置に装着することが可能となる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態における液体収納容器1cについて説明する。第2実施形態では、第1の凹部510及び第2の凹部520の内部に、ZX方向の平面に沿って延在した梁が形成されている。また、第3実施形態では、第1の凹部510及び第2の凹部520の内部に、XY方向の平面に沿って延在した梁が形成されている。第4実施形態では、第1の凹部510及び第2の凹部520の内部に、ZX方向の平面に沿って延在した梁と、XY方向の平面に沿って延在した梁とのいずれもが形成されている。即ち、梁としては、第1の面と第2の面との境界または第1の面と第3の面との境界に対して垂直に延在している梁と、第1の面と第2の面との境界または第1の面と第3の面との境界に対して平行に延在している梁とが両方とある。
図15に、第4実施形態における液体収納容器1cのカバー50cについて示した斜視図を示す。図16に、第4実施形態の液体収納容器のカバー50cについての概略的な平面図を示す。ZX方向の平面に沿った梁と、XY方向の平面に沿った梁の両方が第1の凹部510及び第2の凹部520の内部に形成されているので、Y方向に沿う外力BとX方向に沿う外力Cとの両方に対して、梁が支持することができる。従って、液体収納容器1cのカバー50cが変形することをより確実に抑制することができる。また、記憶素子ユニット60がカバー50cから脱落することをより確実に抑制することができる。具体的には、図16に示されるように、梁712、722が分断され、梁712、722のそれぞれの中間の位置に梁711、721が配置されることによって、4つの梁712a、712b、722a、722bが設けられている。また、これらの4つの梁712a、712b、722a、722bを、液体収納容器の種類を識別する識別手段として使用することもできる。4つの梁712a、712b、722a、722bのうち、いずれかを除去し、液体吐出装置側の液体収納容器の装着部に対応する構成を形成することにより、適切な種類の液体収納容器のみ所定位置に装着可能にすることができる。
このように、本実施形態においても、4つの梁712a、712b、722a、722bを、液体収納容器の種類を識別するためのメカIDとして使用することができる。図17に、4つの梁712a、712b、722a、722bのうち、1つの梁722aのみ除去したカバーについての平面図を示す。このように、カバー内のメカIDの構成を増加させることにより、さらに多くのメカIDパターン数を確保することが可能となる。従って、さらに多くの種類の液体収納容器を識別することができる。
次に、図18を用いて、凹部510、520内部の梁をメカIDとして使用する場合の、誤装着による装着時における、凹部側および端面側のそれぞれのメカID部へかかる荷重について説明する。
液体収納容器1cを液体吐出装置に装着する際、本来の位置ではない場所に誤装着された場合、液体収納容器1c側のメカIDの梁と液体吐出装置の本体側のピンが干渉することにより、液体収納容器1cを配置することができない。液体収納容器1cを装着するにあたって、ユーザーは液体収納容器1cにおける天面102の中央付近を、液体吐出装置側に装着する方向に沿って押すことが多い。誤装着があった場合、液体収納容器を装着するために液体収納容器を押すと、液体収納容器のメカIDが液体吐出装置側のピンと干渉することにより反力が発生する。このときに発生するそれぞれのメカIDの位置での反力について説明する。
液体収納容器の装着の際の、ユーザーによって加えられる力をF、第1の凹部510及び第2の凹部520付近と端面503付近のZ方向の同一の位置においてZ方向に発生する凹部510、520付近の反力をFb、端面503付近の反力をFaとする。FとFaおよびFbの作用する点のそれぞれを結ぶ線と、Fの加わる方向がなす角度をそれぞれθa、θbとする。第1の凹部510及び第2の凹部520の方が端面503に比べ液体収納容器1の中央に近いため、θa>θbとなる。つまり、力Fから凹部520(510)と端面503側に分散する力は、それぞれFcosθaおよびFcosθbとなり、θa>θb>90°の関係より、Fcosθb>Fcosθaとなる。つまり、中央側に近い第1の凹部510及び第2の凹部520付近にかかる力のほうが、端面503付近にかかる力よりも大きくなる。よって、誤装着状態において、第1の凹部510及び第2の凹部520に設けた梁722a、722bおよび712a、712bに掛かる反力Fbのほうが、端面503の梁531に掛かる反力Faよりも大きくなる。そのため、誤装着があったときに、第1の凹部510及び第2の凹部520の方が、端面503側メカID53の各凹部533a、533b、533c、533d、533e、533fよりも干渉による変形が生じ易い。
図19に、図16におけるC方向から見た図(図19(a))とB方向から見た図(図19(b))とを示す。凹部の深さを浅く形成することにより、その部分について変形し難い形状とすることができる。上述の理由から、本実施形態においては、図19に示されるように、第1の凹部510及び第2の凹部520のZ方向の深さZ2を端面503側の凹部533の深さZ4よりも浅く形成している。
本実施形態では、梁531a、531b、531c、531d、531e、531fに掛かる反力Faよりも強い反力Fbが梁722a、722bおよび712a、712bに掛かったとしても、凹部520が浅く形成されている。そのため、第1の凹部510及び第2の凹部520近傍の変形を抑制することができる。
また、第1ないし第3実施形態と同様に、記憶素子収納領域52のZ方向深さをZ1、記憶素子ユニット60のZ寸法をZ3とし、凹部510、520の深さをZ2とした場合、Z3<Z2<Z1の関係が満たされる。これにより、記憶素子ユニット60の変形を抑制すると共に、誤装着時の第1の凹部510及び第2の凹部520の変形を抑制することができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る液体収納容器1dについて説明する。図20に、第5実施形態に係る液体収納容器1dの斜視図および分解斜視図を示す。図20に示されるように、液体収納容器1dは、記憶素子ユニット60を、記憶素子ユニット収納構造80に組み付けた記憶素子ユニット結合90として、カバー70によって液体収納容器1dに組み付ける構成となっている。カバー70は、記憶素子ユニット結合90を収納する記憶素子ユニット結合収納領域72を有する。記憶素子ユニット結合90と、記憶素子ユニット結合収納領域72との間に、クリアランス700が設けられている。記憶素子ユニット結合収納領域72との間にクリアランス700が設けられた状態で、記憶素子ユニット結合90が、記憶素子ユニット結合収納領域72の内部に取り付けられている。
図21に液体収納容器1dを、記憶素子ユニット結合収納領域近傍のZ方向の上方から見た概略的な断面図を示す。上述したように、カバー70の記憶素子ユニット結合収納領域72と記憶素子ユニット結合90との間には、X、Y方向にクリアランス700が設けられている。これにより、液体収納容器1dの液体吐出装置への装着時に、記憶素子ユニット結合90が液体収納容器1dに対し相対的に移動することが可能となる。そのため、液体収納容器1dが液体吐出装置側に固定的に装着された状態で、液体吐出装置側のコネクタに接続されるように、記憶素子ユニット結合90が移動することができる。これにより、液体収納容器1dが液体吐出装置側に装着された状態であってもコネクタに対応する適切な位置に記憶素子ユニット結合90を移動させることができ、記憶素子ユニット結合90の位置の調節を容易に行うことができる。ここでは、クリアランス700の範囲内で、液体吐出装置側のコネクタに接続されるための適切な位置に、記憶素子ユニット結合90を移動させて記憶素子ユニット結合90の位置を調節することができる。すなわち、記憶素子がイコライズ可能となっており、記憶素子が液体収納容器に対して相対的に移動可能に配置されている。これにより、液体吐出装置側のコネクタと記憶素子ユニット結合90との間の良好な電気接続をより確実に得ることができる。
クリアランス700の設けられた液体収納容器1dにおいて、落下等によって衝撃が作用し、その衝撃により記憶素子ユニット結合収納領域72が変形してしまうと、クリアランス700が小さくなる。これにより、所望のイコライズ量が得られない可能性がある。そのため、液体収納容器1dにおけるカバー70には第1の凹部710及び第2の凹部720が形成されている。記憶素子ユニット結合収納領域72近傍に第1の凹部710及び第2の凹部720を設けることで、落下等の衝撃による記憶素子ユニット結合収納領域72の変形が抑制される。これにより、記憶素子ユニット結合収納領域72に衝撃が伝達されることが抑制され、液体吐出装置側のコネクタと記憶素子ユニット結合90との間での良好な電気接続が維持される。
なお、第5実施形態の液体収納容器においても、上記第2実施形態ないし第4実施形態と同様に、第1の凹部710及び第2の凹部720の内部に梁が設けられてもよい。
図22に、第1の凹部710及び第2の凹部720の内部に梁731、741が設けられた形態のカバー70aの断面図を示す。第1の凹部710及び第2の凹部720には、それぞれ、X方向に沿って形成された梁731、741が設けられている。これにより、第1の凹部710及び第2の凹部720の周囲の部分が梁731、741によって支持され、その部分についてのX方向に沿った方向への強度が向上する。そのため、カバー70aにX方向に沿った外力が第1の凹部710及び第2の凹部720の近傍に作用したとしても、カバー70aが変形することが抑制される。
さらに、第1の凹部710及び第2の凹部720の内部に、Y方向に沿って形成された梁が設けられてもよい。図23に、Y方向に沿って形成された梁732、742が設けられた形態のカバー70bについての断面図を示す。
第1の凹部710及び第2の凹部720には、それぞれY方向に沿って形成された梁732、742が設けられている。これにより、第1の凹部710及び第2の凹部720の周囲の部分が梁732、742よって支持され、その部分についてのY方向に沿った方向の強度が向上する。そのため、カバー70bにY方向に沿った外力が第1の凹部710及び第2の凹部720の近傍に作用したとしても、カバー70bが変形することが抑制される。従って、液体吐出装置側のコネクタと記憶素子ユニット結合90との間での良好な電気接続が維持される。
さらに、第1の凹部710及び第2の凹部720の内部に、X方向に沿って形成された梁とY方向に沿って形成された梁とが設けられてもよい。図24に、X方向に沿って形成された梁731、741と、Y方向に沿って形成された梁732、742が設けられた形態のカバー70cについての断面図を示す。
図24に示されるように、X方向に沿って形成された梁741、731とそれぞれY方向に沿って形成された梁742a、742bおよび梁732a、732bが、それぞれ第1の凹部710及び第2の凹部720の内部に形成されている。これにより、カバー70cにおけるX方向及びY方向についての強度が向上する。従って、カバー70cが変形することがより確実に抑制され、液体吐出装置側のコネクタと記憶素子ユニット結合90との間での良好な電気接続をより確実に維持することができる。