JP6590665B2 - マルチニードルタイプの注射針組立体 - Google Patents
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Description
特許文献1の注射針組立体は、X線リソグラフィにより製造される。特許文献2では、注射針組立体の具体的な製造工程は説明されていない。
本発明は、全ての針管が針ハブ表面から等しい距離で突出しているマルチニードルタイプの注射針組立体を、簡単かつ高精度に製造することを目的とする。
(ア)
1本の針管と、当該針管の針先を表面から所定長さで突出させた状態で保持する本体部とを備え、当該針管が配置された成形型内で本体部を成形する1回目インサート成形で作られた第1インサート成形体と、
(イ)
複数の第1インサート成形体と、これら複数の第1インサート成形体を上記針先が突出する各表面を実質的に面一とした状態で保持する第1ハブ部材とを備え、当該複数の第1インサート成形体が配置された別の成形型内で第1ハブ部材を成形する2回目インサート成形で作られた第2インサート成形体と、を含んでいる。
(カ)
成形型内に針管を配置し、当該成形型内に材料を供給して、本体部の表面から所定長さで針先を突出させた状態で当該針管を保持する本体部を形成することで第1インサート成形体を作る、第1インサート成形工程と、
(キ)
別の成形型内に第1インサート成形体を複数配置し、当該成形型内に材料を供給して、複数の第1インサート成形体の上記針先が突出する各表面を実質的に面一とした状態で保持する第1ハブ部材を形成することで第2インサート成形体を作る、第2インサート成形工程と、を含む。
そして、そのような第1インサート成形体を複数用いて、各第1インサート成形体の針先が突出する表面が実質的に面一となるように、2回目のインサート成形を行うことで「第2インサート成形体」が構成される。
このように、インサート成形工程を2回に分けることにより、複雑な構造のマルチタイプ注射針組立体について、各注射針の突出量を高精度で一定に保つことが可能となり、その結果、不良品発生および廃棄ロスを低減することができる。
図1(a)に示した第1インサート成形体10は、「柱状の本体部11」と「これに保持される針管12」からインサート成形により構成される(1回目のインサート成形)。
図1(b)には、「2回目のインサート成形」において、第1インサート成形体10に付加される第1ハブ部材30を単独で図示しているが、これは、構造を明確に説明するためである。第1ハブ部材30は「2回目のインサート成形」で第1インサート成形体10に付加されるため、製造工程中において第1ハブ部材30だけが単独で存在する瞬間は存在しない。
図2(a)は、1回目のインサート成形で作られる第1インサート成形体10を拡大して示している。第1インサート成形体10は、針管12とこれを保持する柱状の本体部11とで構成される。針管12は、本体部11を貫通して延在し、その針先12aが本体部の表面11aから、所定長さL(例えば、1mm)で突出している。針管12は、金属等で構成される一般的に知られた注射針であって、本体部11は樹脂等で構成される。
図2(b)は、2回目のインサート成形で作られる第2インサート成形体20を拡大して示している。2回目のインサート成形では、1回目のインサート成形で作った第1インサート成形体10を複数用意し、これらを、1回目のインサート成形で使用したものとは別の成形型(図示せず)内の所定位置に配置した上で、当該型内に第1ハブ部材30を構成する材料を供給する。
その際、複数の第1インサート成形体10について、針先12aが突出する各表面11aが実質的に面一となるように、当該複数の第1インサート成形体10の配置を決めておく。
複数のインサート成形体10は、針先12aが突出する表面11aが実質的に面一となるように配置され、その状態で第1ハブ部材30に保持される。これにより、複数の針管12を、実質的に同一の深さでヒトの皮膚に差し込むことが可能となる。
上述した通り本発明では、1回目のインサート成形で、比較的単純な構造の第1インサート成形体10をまず完成させている。そのため、複数のインサート成形体10について、針先12aの突出量Lを高精度で一定値に保つことができる。
そのような第1インサート成形体10を複数用いて、各第1インサート成形体10の表面11aが実質的に面一となるように、2回目のインサート成形が行われる。
このように、インサート成形工程を2回に分けることにより、複雑な構造のマルチタイプ注射針組立体について、各注射針の突出量を高精度で一定に保つことが可能となり、その結果、不良品発生および廃棄ロスを低減することができる。
次に、図3に示した上記空間Sが存在することによるメリットを説明する。
上述の通り、2回目のインサート成形により第2インサート成形体20を作る際、成形型内に第1インサート成形体10が複数配置されて、その後、材料が当該型内に供給される。その際、仮に、型内に流れ込んできた材料が第1インサート成形体10の底面にぶつかったとする。そうなると、ぶつかった材料に押されて、インサート成形体10の高さ方向位置がズレる(あるいは、誤差がでる)ことが考えられる。
そこで本発明では、第1インサート成形体10を保持する第1ハブ部材30の保持部70において、上記空間Sを設けることで、そのような不都合を回避している。すなわち、第1インサート成形体10が、その底面がフリーな状態で支持される(底面に接触する部材が存在しない)ので、流れ込んできた材料が底面にぶつかるという事態は生じ得ない。したがって、上記のような位置ズレが生じることはない。
その結果、複数の第1インサート成形体10について、針先12aが突出する各表面11aを、実質的に面一に収めることがより確実となる。
図3に示したように、第1ハブ部材30の保持部70は、その上端位置(図示の例では、環状部73の上端面73a)が、第1インサート成形体10の本体部11上で針先12aが突出する表面11aよりも低い位置に設定している。この構成により、次のようなメリットが得られる。
すなわち、インサート成形後に、成形型から取り出した第2インサート成形体20において、環状部73の上端面73aを超えて上方に突出するバリが生じる場合がある。その場合、バリ取りが不十分であると、表面11aからの針先12aの突出量L(上述の通り、この距離Lは、複数の第1インサート成形体10に関して一定である必要がある)に対して悪影響を与える可能性がある。
この実施形態では、上端面73aを表面11aよりも低い位置に設定することで、たとえバリが発生しても(あるいは、バリ取りに不十分であったとしても)、そのような不都合が生じないようにしている。
図4を参照して、注射器シリンジから各針管12に至る流路の一例を説明する。図4(a)は、図1(d)の第2ハブ部材40を再度示したものである。上述の通り、第2ハブ部材40は、第2インサート成形体20(の第1ハブ部材30)に係合されるとともに、注射器シリンジに連結される。
第2ハブ部材40の上面42には、隆起部45で囲まれた凹状領域46が形成されていて、当該領域46の中央には、注射器シリンジに連通する連通孔48が形成されている。
11 本体部
12 針管
12a 針先
12b 下端開口
20 第2インサート成形体
30 第1ハブ部材
31 ベース部
32 第1ハブ部材の裏面
35 隆起部
36 凹状領域
40 第2ハブ部材
42 第2ハブ部材の上面
45 隆起部
46 凹状領域
48 連通孔
50 注射針組立体
70 保持部
71 基部
72a、72b アーム部
73 環状部
Claims (6)
- 複数の針管を備え、注射器シリンジに連結して使用される注射針組立体であって、
(ア)
1本の針管(12)と、当該針管の針先(12a)を表面(11a)から所定長さ(L)で突出させた状態で保持する本体部(11)とを備え、当該針管(12)が配置された成形型内で本体部(11)を成形する1回目インサート成形で作られた第1インサート成形体(10)と、
(イ)
複数の第1インサート成形体(10)と、これら複数の第1インサート成形体(10)を上記針先(12a)が突出する各表面(11a)を実質的に面一とした状態で保持する第1ハブ部材(30)とを備え、当該複数の第1インサート成形体(10)が配置された別の成形型内で第1ハブ部材(30)を成形する2回目インサート成形で作られた第2インサート成形体(20)と、を含んでいる注射針組立体。
- 上記第1ハブ部材(30)は、第1インサート成形体(10)の本体部(11)を側方から保持する保持部(70)によって、第1インサート成形体(10)を保持している、請求項1記載の注射針組立体。
- 上記第1ハブ部材(30)の保持部(70)は、第1インサート成形体(10)の本体部(11)に外嵌される環状部(73)と、当該環状部(73)を支える2本のアーム部(72a、72b)とを含んでいて、
当該2本のアーム部間に、第1インサート成形体(10)の本体部(11)の底面を露出させる空間(S)を設けている、請求項2記載の注射針組立体。
- 上記第1ハブ部材(30)の保持部(70)の上端位置は、第1インサート成形体(10)の本体部(11)の上記表面(11a)よりも低い位置に設定している、請求項1記載の注射針組立体。
- 上記第1ハブ部材(30)と係合し、かつ上記注射器シリンジに連結される第2ハブ部材(40)を備える請求項1記載の注射針組立体であって、
第1ハブ部材(30)および第2ハブ部材(40)には、それぞれ、係合時に対向する面(32、42)に、隆起部(35、45)で囲まれた凹状領域(36、46)が形成されていて、
第1ハブ部材(30)と第2ハブ部材(40)を係合させたとき、両ハブ部材(30、40)の隆起部(35、45)同士が当接し、凹状領域(36、46)同士が合わさることで、注射器シリンジから針管(12)に至る閉じた流路が構成される、注射針組立体。
- 請求項1記載の注射針組立体を製造する方法であって、
(カ)
成形型内に針管(12)を配置し、当該成形型内に材料を供給して、本体部の表面(11a)から所定長さ(L)で針先(12a)を突出させた状態で当該針管(12)を保持する本体部(11)を形成することで第1インサート成形体(10)を作る、第1インサート成形工程と、
(キ)
別の成形型内に第1インサート成形体(10)を複数配置し、当該成形型内に材料を供給して、複数の第1インサート成形体(10)の上記針先(12a)が突出する各表面(11a)を実質的に面一とした状態で保持する第1ハブ部材(30)を形成することで第2インサート成形体(20)を作る、第2インサート成形工程と、を含む方法。
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