JP6589755B2 - フランジを有する形鋼の中間ユニバーサル圧延方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フランジを有する形鋼の中間ユニバーサル圧延方法に関する。
一般に、H形鋼、及び溝形鋼やI形鋼などのH形鋼に類似の形鋼は、粗圧延工程、中間圧延工程及び仕上げ圧延工程を順に経ることで圧延製造される。
粗圧延(「BD圧延」又は「ブレークダウン圧延」ともいう。)工程では、加熱炉で所定の温度に加熱されたスラブやビームブランクの素材を粗圧延機で圧延することで、粗形鋼片と呼ばれる中間素材を造形する粗造形圧延(「粗圧延」ともいう。)が行われる。
中間圧延工程では、通常、粗形鋼片を中間ユニバーサル圧延機及びエッジング圧延機で圧延することで、ウェブ及びフランジを有する所定の寸法形状に造形された粗形鋼片が製造される。この際、中間ユニバーサル圧延機では、上下に配置された一対の水平ロールの円周面でウェブの厚み圧下が行われ、一対の水平ロールの端面と左右に配置された一対の垂直ロールの円周面とでフランジの厚み圧下が行われる。この中間ユニバーサル圧延機による圧延を、中間ユニバーサル圧延という。また、エッジング圧延機では、フランジの両端部が圧延されることで、所定のフランジ幅に造形がなされる。なお、中間圧延工程では、圧延素材がリバース圧延されることで、複数の圧延パスによる圧延が施される。
仕上げ圧延工程では、中間圧延工程を経た圧延素材が仕上げユニバーサル圧延機で仕上げ圧延されることで、最終的な断面形状の製品が製造される。仕上げ圧延では、ウェブ及びフランジの最終厚み圧下、並びにフランジの角度起こしが行われる。
このような形鋼の圧延方法として、例えば、特許文献1には、中間ユニバーサル圧延機での圧延中に、被圧延材の長手方向でフランジ厚み圧下率及びウェブ厚み圧下率の少なくとも一方を変化させる圧延方法が開示されている。特許文献1では、上記の圧延方法を用いることで、製品のフランジ幅を長手方向で一定にすることを目的としている。
また、特許文献2には、ユニバーサル圧延機を用いたH形鋼の圧延において、H形鋼用素材の先端部がユニバーサル圧延機に噛み込まれた時点で、垂直ロールのロール開度を小さくするとともに、水平ロールのロール開度を大きくする圧延方法が開示されている。特許文献2では、垂直ロール及び水平ロールのロール開度が目標ロール開度となるように調整することで、ロール表面の疵に起因した品質劣化を抑制することを目的としている。
さらに、特許文献3には、被圧延材の長手方向端部が粗ユニバーサル圧延機あるいは仕上げユニバーサル圧延機に噛み込む直前に、被圧延材の捩じれ防止制御手段を講じて圧延する圧延方法が開示されている。特許文献3の捩れ防止制御手段では、ユニバーサル圧延機の水平ロール及び竪ロール(垂直ロール)の開度、入側の誘導ガイド隙あるいは竪ロールの圧延方向位置の変更を実施する。特許文献3では、上記の圧延方法を用いることで、ウェブ中心偏りの発生を抑制することを目的としている。
特開平11−156414号公報 特開平11−267702号公報 特開平11−314101号公報
ところで、上記の工程でH形鋼を製造する場合、中間ユニバーサル圧延の最初のパスにおいて、噛み込み不良やスリップといった現象が多々発生することが問題であった。ここで、噛み込み不良とは、被圧延材が中間ユニバーサル圧延機に噛み込まない状態であり、スリップとは、被圧延材が中間ユニバーサル圧延機に噛み込んだ後に、圧延途中で被圧延材が圧延方向に進まなくなる状態である。噛み込み不良やスリップが発生すると、その圧延素材が低熱となり、圧延の継続が不可能となる「ミスロール」が発生することがある。ミスロールは、歩留りの低下やロールの損傷を招くこととなる。
しかし、特許文献1〜3の圧延方法では、噛み込み不良やスリップの発生を抑制することができず、噛み込み不良やスリップによるミスロールの発生が問題となっていた。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、噛み込み不良やスリップの発生を抑制することができる、フランジを有する形鋼の中間ユニバーサル圧延方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、粗圧延の後に行われる、フランジを有する形鋼の中間ユニバーサル圧延方法であって、上記粗圧延が施された被圧延材である粗形鋼片に、中間ユニバーサル圧延機を用いた複数の圧延パスによる圧延を施し、複数の上記圧延パスのうち、少なくとも最初の圧延パスにおいて、上記中間ユニバーサル圧延機の一対の水平ロールの開度を、上記粗形鋼片の長手方向中央側の定常部の圧延に用いる開度である基準開度よりも大きくした状態で、噛み込み側となる上記粗形鋼片の搬送方向の先端を上記中間ユニバーサル圧延機に噛み込ませ、上記先端を上記中間ユニバーサル圧延機に噛み込ませた後、上記基準開度となるまで上記一対の水平ロールの開度を徐々に小さくしながら上記粗形鋼片を圧延する開度調整圧延を施すことを特徴とするフランジを有する形鋼の中間ユニバーサル圧延方法が提供される。
本発明の一態様によれば、噛み込み不良やスリップの発生を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る圧延設備を示す説明図である。 粗圧延機の孔型を示す部分正面図である。 粗圧延工程を示す説明図である。 中間ユニバーサル圧延機を示す正面図である。 K1孔型での圧延後の粗形鋼片の定常部を示す断面図である。 K1孔型での圧延後の粗形鋼片の先端部を示す断面図である。 中間ユニバーサル圧延の最初の圧延パスにおける、粗形鋼片の噛み込みの状態を示す説明図である。 水平ロールの開度プロフィールを示すグラフである。 変形例における水平ロールの開度プロフィールを示すグラフである。 変形例における水平ロールの開度プロフィールを示すグラフである。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<中間ユニバーサル圧延機>
はじめに、本発明の一実施形態に係る中間ユニバーサル圧延機4について説明する。中間ユニバーサル圧延機4は、図1に示す、形鋼の圧延設備1に設けられる圧延設備である。
圧延設備1では、スラブを圧延素材として、フランジを有する形鋼であるH形鋼が製造される。圧延設備1は、加熱炉2と、粗圧延機3と、中間ユニバーサル圧延機4と、エッジング圧延機5と、仕上げユニバーサル圧延機6とを有する。圧延設備1では、加熱工程、粗圧延工程、中間圧延工程、及び仕上げ圧延工程が順に行われることで、H形鋼が製造される。
まず、加熱工程では、加熱炉2にてスラブが所定の温度に加熱される。
次いで、粗圧延工程では、図2に示すように、上下方向(図2における上下方向)に対向し、ロール胴に沿って複数の孔型が設けられた一対のロール31,32を有する粗圧延機3で粗圧延が行われる。粗圧延機3は、Box1孔型33、Box2孔型34、Box3孔型35及びK1孔型36の4つの孔型がロール31,32に刻設されている。粗圧延工程では、図3(A)に示すように、Box1孔型33で被圧延材Sであるスラブを圧下することで、スラブの幅両端に割り込みを入れる。そして、図3(B)及び図3(C)に示すように、Box2孔型34及びBox3孔型35で、Box1孔型33で圧下された被圧延材Sを順に圧下することで、この割り込みを押し広げ、フランジSaを形成する。その後、図3(D)に示すように、K1孔型36でフランジSaが形成された被圧延材Sを圧下することで、ウェブSbに相当する部分の厚みを薄くしていき、フランジSa及びウェブSbが形成された粗形状の粗形鋼片S1が造形される。
粗圧延工程の後、中間圧延工程では、中間ユニバーサル圧延機4及びエッジング圧延機5によって被圧延材Sがさらに圧下され、製品形状に近い寸法まで造形が行われる。
中間ユニバーサル圧延機4は、図4に示すように、上下方向(図4における上下方向)に対向する一対の水平ロール41,42と、左右方向(図4における左右方向)に対向する一対の垂直ロール43,44とを備える。中間ユニバーサル圧延機4では、一対の水平ロール41,42によって被圧延材SのウェブSbがその厚み方向に圧下され、一対の垂直ロール43,44と一対の水平ロール41,42の端面とによって被圧延材SのフランジSaがその厚み方向に圧下される。なお、一対の水平ロール41,42及び一対の垂直ロール43,44は、圧下率を調整できるよう、上下方向及び左右方向にそれぞれ移動可能に構成される。
エッジング圧延機5は、上下方向に対向する一対のロール(不図示)を有し、このロールで被圧延材SのフランジSaを上下方向に圧下することで、フランジSaの幅を調整する。
中間圧延工程では、被圧延材Sがリバース搬送され、タンデムに配置された中間ユニバーサル圧延機4及びエッジング圧延機5で複数回の圧延が行われることで、徐々に所定の寸法形状への造形が行われる。この中間ユニバーサル圧延機4及びエッジング圧延機5による被圧延材Sの一回の通過での圧延を圧延パスといい、中間圧延工程では、複数の圧延パスによる圧延が行われる。中間ユニバーサル圧延機4による中間ユニバーサル圧延方法の詳細については、後述する。
中間圧延工程の後、仕上げ圧延工程では、仕上げユニバーサル圧延機6によって、被圧延材Sがさらに圧下され、最終的な製品形状となるように造形が行われる。仕上げユニバーサル圧延機6は、中間ユニバーサル圧延機4と同様に、一対の水平ロールと一対の垂直ロールとを有する圧延機である。仕上げ圧延工程では、仕上げユニバーサル圧延機6の一対の水平ロール及び一対の垂直ロールによって、被圧延材SのフランジSa及びウェブSbが圧下されることで、フランジSa及びウェブSbの厚みの最終圧下、並びにフランジSaの角度起こしが行われる。
このような圧延設備1でH形鋼を製造する場合、上述のように、中間ユニバーサル圧延機4による複数の圧延パスのうち最初の圧延パスにおいて、発生し易い噛み込み不良の発生が問題となる。このような問題に対して、本発明者らは、噛み込み不良やスリップの発生の原因を究明すべく、粗圧延が施された粗形鋼片S1の形状を詳細に調査した。調査の結果、図5及び図6に示すように、粗形鋼片S1の断面形状が、長手方向の端部と中央側の定常部とで異なることが分かった。特に、長手方向の端部の断面形状は、図6に示すように、矢印で示したウェブSbの幅方向(左右方向)両端の厚みが、図5に示す定常部に比べ厚くなる。
このような断面形状の粗形鋼片S1を中間ユニバーサル圧延機4に噛み込ませる際、つまり中間ユニバーサル圧延の最初の圧延パスにおいて粗形鋼片S1を噛み込ませる際の、粗形鋼片S1と中間ユニバーサル圧延機4との関係を図7に示す。中間ユニバーサル圧延の最初の圧延パスでは、主にウェブSbの左右方向の両端側について、厚みの圧下が施される。また、最初の圧延パスにおいて、フランジSaの内面と一対の水平ロール41,42の端面形状とを合致させることは困難であり、両者の間には隙間が生じてしまうことから、一対の水平ロール41,42によるフランジSaの圧下は行われない。さらに、一対の垂直ロール43,44は、フランジSaの外面に接するような位置に配されること望ましい。
ここで、通常の中間ユニバーサル圧延では、被圧延材Sの各部の寸法を長手方向に均一にするため、被圧延材Sの長手方向に全長にわたって一定のロール開度で圧下が行われる。つまり、中間ユニバーサル圧延時における、一対の水平ロール41,42及び一対の垂直ロール43,44の互いの胴面間隔である各ロール開度は、被圧延材Sの長手方向の全長にわたって一定となる。このような圧延条件で、長手方向位置で断面形状が異なる粗形鋼片S1を中間ユニバーサル圧延機4に噛み込ませようとすると、ウェブSbの両端部の厚み圧下が大きすぎる場合、被圧延材Sが中間ユニバーサル圧延機4に入っていかず、噛み込み不良が発生する。また、ウェブSbの両端部の厚み圧下が小さすぎる場合、被圧延材を中間ユニバーサル圧延機4に引き込む摩擦力が不足することから、この場合も噛み込み不良が発生する。さらに、被圧延材Sの長手方向の端部が噛み込むようにロール開度を適切に設定したとしても、定常部においてはウェブSbの厚み圧下量が不足し、これにより被圧延材Sを推進させる摩擦力が不足することから、スリップが発生する可能性がある。特に、最初の圧延パスにおいては、ウェブSbの長手方向端部の厚みと長手方向中央の厚みとの差が大きくなるため、噛み込み不良やスリップが発生し易くなる。
このような問題に対して、本発明者らは、中間ユニバーサル圧延時において、一対の水平ロール41,42のロール間隔を変化させることで、噛み込み不良やスリップの発生を抑制することができることを知見した。
この知見に基づいた、本実施形態に係るフランジを有する形鋼の中間ユニバーサル圧延方法について説明する。本実施形態に係る中間ユニバーサル圧延方法は、中間ユニバーサル圧延機4による最初の圧延パスにおいて、定常部の圧下時における一対の水平ロール41,42の開度を基準開度とし、長手方向の両端部の圧下時における開度を定常開度よりも大きな開度とする開度調整圧延を施す。
開度調整圧延における、一対の水平ロール41,42の開度プロフィールを、図8に示す。図8において、横軸は被圧延材Sの先端からの長手方向位置を示し、縦軸は横軸に示す長手方向位置が中間ユニバーサル圧延機4を通過し圧下されるときの一対の水平ロール41,42の開度Dを示す。図8に示すように、本実施形態では、長手方向中央側の定常部において、開度Dは基準開度Dsとなる。基準開度Dsは、通常の中間ユニバーサル圧延と同様であり、最初の圧延パスで必要な圧下率に応じて設定される。これに対して、搬送方向下流側の噛み込み部となる先端側及び搬送方向上流側のしり抜け部となる後端側では、基準開度Dsよりも大きな開度に設定される。本実施形態では、先端及び後端の開度Dは、基準開度Dsよりも開度変更量ΔDだけ大きな開度とする。また、先端側及び後端側の開度Dは、先端及び後端から長手方向中央に向かうに従って徐々に小さくなり、開度変更長さLの領域を超えると開度Sが基準開度Dsとなるように設定される。なお、先端側及び後端側の開度変更長さLの領域では、開度Sは長手方向位置の変化に応じて直線的に変化するように設定される。
このような開度調整圧延では、まず、一対の水平ロール41,42の開度を基準開度Dsよりも開度変更量ΔDだけ大きくした状態で、被圧延材Sを中間ユニバーサル圧延機4に噛み込ませる。次いで、図8の開度プロフィールに従い、被圧延材Sの搬送に合わせて開度Dを小さくしていき、先端から開度変更長さLとなる長手方向位置の圧下が終了した時点で開度Dが基準開度Dsとなる。さらに、基準開度Dsでの圧下を続け、後端から先端側に開度変更長さLとなる長手方向位置の圧下が終了したら、図8の開度プロフィールに従い、開度Dを基準開度Dsから徐々に大きくしていく。そして、後端の圧下が行われるときに、開度Dが基準開度Dsから開度変更量ΔDだけ大きくなった状態で、開度調整圧延が終了する。
開度調整圧延における開度変更量ΔD及び開度変更長さLは、粗圧延条件や粗鋼片形状によって適宜設定されるが、一般的には以下の値が好適となる。なお、ウェブ厚みとは、図7におけるウェブSbの左右方向中央の上下方向の長さであり、ウェブ高さとは、図7におけるウェブSbの左右方向の長さである。
開度変更量ΔD:粗形鋼片S1のウェブ厚みの20%以下
開度変更長さL:粗形鋼片S1のウェブ高さの1倍〜2倍
そして、最初の圧延パスにて開度調整圧延が施された後は、通常の中間ユニバーサル圧延と同様に、各圧延パスの圧下率に応じた一定の開度Dで、中間ユニバーサル圧延機4を用いた複数の圧延パスによる圧下が施されることで、中間ユニバーサル圧延が終了する。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、開度調整圧延にて先端側及び後端側の開度Dを基準開度Dsよりも大きくするとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、圧延によって材料の進行方向への慣性力が高まっていれば、後端側については開度Dの変更をしなくてもよい。なお、上記実施形態のように後端側で開度Dを変更することにより、慣性力が低い状態でも安定して圧延を行うことができる。また、開度調整圧延において、先端が圧下された後、開度Dをすぐに小さくせずに、所定の長手方向位置となるまでの間、先端と同じ開度Dで圧下を施してもよい。この場合、例えば図9に示す開度プロフィールとなり、先端側では、圧下される長手方向位置が先端から変更開始位置Pとなるまでの間は、先端と同じ開度D(=Ds+ΔD)で圧下が行われる。そして、そこから圧延が進むに従い開度Sが徐々に小さくなり、先端から開度変更長さLsとなる長手方向位置まで圧下が行われると開度Sが基準開度Dsになる。変更開始位置Pは、粗圧延条件や粗鋼片形状によって適宜設定されるが、一般的には、先端から長手方向に500mmまでの長さに設定されることが好適である。なお、図9に示す開度プロフィールでは、後端側で開度Dの変更をしない条件となっている。
また、上記実施形態では、開度Dを変更する際に、図8に示すように、被圧延材Sの長手方向位置に対して開度Dを直線的な折れ線状に変化させるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。開度Dを変更する際には、被圧延材Sの長手方向位置に対して、滑らかな曲線的に開度Dを変化させてもよい。このように、開度Dの変化を滑らかにすることで、表面疵などの発生をより抑えることができる。
さらに、上記実施形態では、開度調整圧延を複数の圧延パスのうち最初の圧延パスにのみ適用するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、中間ユニバーサル圧延の複数の圧延パスのうち、最初の圧延パスから最後の圧延パスを除いた複数の圧延パスまでの圧延パスに開度調整圧延を適用してもよい。この場合、被圧延材Sの先端及び後端での開度Dを、最初の圧延パスにおける開度Dを最大として、圧延パスの進行に従い小さくすることが好ましい。例えば、最初の圧延パスに対して、2回目の圧延パス及び3回目の圧延パスでは、開度変更量ΔDや基準開度Dsに対する先端及び後端での開度Dの変更率などを小さくする。この場合、例えば、図10に示す開度プロフィールで中間ユニバーサル圧延が施される。図10に示す例では、中間ユニバーサル圧延における4回目までの圧延パスのロール開度を示しており、1回目〜3回目までの圧延パスで開度調整圧延を適用する。図10に示す例では、1回目の圧延パスでの先端及び後端の開度変更量ΔDに対して、2回目及び3回目の圧延パスでは開度変更量ΔDを小さく設定し、4回目以降の圧延パスでは開度変更量ΔDを0としている(5回目以降の圧延パスは図示を省略)。このような開度プロフィールとすることで、最終的な製品の断面形状を長手方向の全長にわたってより一定にすることができる。
さらに、上記実施形態では、スラブを圧延素材としてH形鋼を製造する構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、圧延素材は、ビームブランクやブルームなどの他の形状のものであってもよい。また、製造される形鋼は、H形鋼に限られず、フランジを有する形鋼であれば、溝形鋼やI形鋼、山形鋼などの他の製品形状であってもよい。
さらに、上記実施形態では、開度調整圧延をする際に、開度変更量ΔD及び開度変更長さLを、先端と後端とで同じ値にするとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、開度変更量ΔD及び開度変更長さLを、先端と後端とで異なる値にそれぞれ設定してもよい。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係る形鋼の中間ユニバーサル圧延方法は、粗圧延の後に行われる、フランジを有する形鋼(例えば、H形鋼)の中間ユニバーサル圧延方法であって、粗圧延が施された被圧延材Sである粗形鋼片S1に、中間ユニバーサル圧延機4を用いた複数の圧延パスによる圧延を施し、複数の圧延パスのうち、少なくとも最初の圧延パスにおいて、中間ユニバーサル圧延機4の一対の水平ロール41,42の開度Dを、粗形鋼片S1の長手方向中央側の定常部の圧延に用いる開度Dである基準開度Dsよりも大きくした状態で、噛み込み側となる粗形鋼片S1の搬送方向の先端を中間ユニバーサル圧延機4に噛み込ませ、先端を中間ユニバーサル圧延機4に噛み込ませた後、基準開度Dsとなるまで一対の水平ロール41,42の開度Dを徐々に小さくしながら粗形鋼片S1を圧延する開度調整圧延を施す。
上記(1)の構成によれば、粗形鋼片S1の先端が中間ユニバーサル圧延機4に噛み込む際に、開度Dを基準開度Dsよりも大きくする。これにより、粗形鋼片S1の先端側において左右方向両端のウェブ厚みが左右方向中央に比べて大きな場合でも、粗形鋼片S1が中間ユニバーサル圧延機4に噛み込み易くなり、噛み込み不良の発生を抑制することができる。また、粗形鋼片S1の先端が噛み込んだ後は、基準開度Dsとなるまで開度Dを小さくすることで、粗形鋼片S1の長手方向の定常部において、被圧延材と水平ロール41,42との摩擦力が十分に得られる。これにより、中間ユニバーサル圧延時におけるスリップの発生を抑制することができる。つまり、中間ユニバーサル圧延における噛み込み不良やスリップの発生が抑制されることにより、ミスロールに起因する歩留りの低下を防止することができる。
さらに、スリップの発生が抑制されることにより、スリップが発生した際に生じるロールの焼きつき(特に、水平ロール41,42のロールコーナーR部における焼きつき)に起因する疵の発生も抑制することができ、生産性を向上させることができる。
(2)上記(1)の構成において、複数の圧延パスのうち、最初の圧延パスから最後の圧延パスを除いた複数回目までの圧延パスにおいて開度調整圧延を施し、開度調整圧延を施す各圧延パスにおいて、先端を一対の水平ロール41,42に噛み込ませる際の開度Dを、圧延パスの進行に従い小さくする。
上記(2)の構成によれば、2回目の圧延パス移行にスリップや噛み込み不良が懸念される場合にも、これらを回避して安定して圧延を行うことができる。
(3)上記(1)または(2)の構成において、粗圧延では、圧延素材としてスラブを圧延することで、フランジを有する形状の粗形鋼片S1にスラブを造形する。
上記(3)の構成によれば、他の形状の圧延素材を用いる場合に比べ、粗形鋼片S1の先端側において、左右方向両端のウェブ厚みが左右方向中央に比べて大きくなり易くなる場合において、噛み込み不良やスリップを効果的に抑制することができる。
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、上記実施形態のように、スラブを圧延素材として、製品寸法で800mm×400mm×19mm×28mmとなるH形鋼を製造した。
実施例の粗圧延工程では、図2に示す4つの孔型を用いて粗形鋼片S1を造形し、造形後のウェブSbの厚みを、長手方向の定常部のウェブSbの高さ方向中央で100mmとした。造形した粗形鋼片S1について、長手方向の先端における、ウェブSbの左右方向端部の厚み(図6に示す、水平ロール41,42のR部と接するウェブSbの厚み)を測定したところ、120mmであった。
この粗形鋼片S1に対して、実施例では、21回の圧延パスが施される中間ユニバーサル圧延のうち、初めの3回の圧延パスにおいて図8に示す開度プロフィールで調整圧延を行った。表1に実施例の1回目〜3回目までの圧延パスの開度プロフィールとして、変更開始位置P、開度変更長さL、開度変更量ΔD及び基準開度Dを示す。また、比較として、中間ユニバーサル圧延の1回目〜3回目までの圧延パスにおいて、開度調整圧延を行わずに、表1に示す基準開度Dsで圧延を施した、比較例1,2についても実施した。比較例1,2では、1回目〜3回目までの圧延パスの開度プロフィールを除いた圧延条件は、実施例と同様とした。なお、表1に記載していないが、実施例及び比較例1,2における4回目以降の圧延パスでは、いずれも開度調整圧延は行わず、同じ基準開度Dsで圧下を施した。
Figure 0006589755
上述の条件で中間ユニバーサル圧延を行った結果、実施例では、噛み込み不良やスリップは発生せず、問題なく圧延が完了したことが確認された。
これに対して、比較例1では、最初の圧延パスにて被圧延材Sの先端が中間ユニバーサル圧延機4の水平ロール41,42に噛み込まない、噛み込み不良が発生し、圧延を断念せざるを得なかった。また、噛み込み不良対策として比較例1に比べて開度Dをやや広げた比較例2では、最初の圧延パスにおいて、定常部の圧延中にスリップが発生した。比較例2では、その後、オペレータの手作業による介入によって、圧延を継続することができたが、スリップに起因する焼きつき疵が製品のフィレット部(フランジSaとウェブSbとの結合部分)に発生し、製品の手入れ処理が必要となった。
さらに、本発明者らは、図9に示す変更開始位置Pが0m超となり、後端側で開度Dを変更しない開度プロフィールでも同様に圧延を行った。その結果、図9に示す圧延条件においても、噛み込み不良やスリップは発生せず、実施例と同様な効果があることを確認した。
以上の結果から、本発明に係るフランジを有する形鋼の圧延方法によれば、噛み込み不良やスリップの発生が抑制されることが確認された。
1 圧延設備
2 加熱炉
3 粗圧延機
31,32 ロール
33 Box1孔型
34 Box2孔型
35 Box3孔型
36 K1孔型
4 中間ユニバーサル圧延機
41,42 水平ロール
43,44 垂直ロール
5 エッジング圧延機
6 仕上げユニバーサル圧延機
S 被圧延材
S1 粗形鋼片
Sa ウェブ
Sb フランジ

Claims (3)

  1. 粗圧延の後に行われる、フランジを有する形鋼の中間ユニバーサル圧延方法であって、
    前記粗圧延が施された被圧延材である粗形鋼片に、中間ユニバーサル圧延機を用いた複数の圧延パスによる圧延を施し、
    複数の前記圧延パスのうち、少なくとも最初の圧延パスにおいて、前記中間ユニバーサル圧延機の一対の水平ロールの開度を、前記粗形鋼片の長手方向中央側の定常部の圧延に用いる開度である基準開度よりも大きくした状態で、噛み込み側となる前記粗形鋼片の搬送方向の先端を前記中間ユニバーサル圧延機に噛み込ませ、前記先端を前記中間ユニバーサル圧延機に噛み込ませた後、前記基準開度となるまで前記一対の水平ロールの開度を徐々に小さくしながら前記粗形鋼片を圧延し、前記粗形鋼片の搬送方向の後端側を圧延する際に、前記一対の水平ロールの開度を前記基準開度から徐々に大きくしていく、開度調整圧延を施すことを特徴とするフランジを有する形鋼の中間ユニバーサル圧延方法。
  2. 複数の前記圧延パスのうち、最初の圧延パスから最後の圧延パスを除いた複数回目までの圧延パスにおいて前記開度調整圧延を施し、
    該開度調整圧延を施す各圧延パスにおいて、前記先端を前記一対の水平ロールに噛み込ませる際の開度及び前記後端側を圧延する際の開度を、前記圧延パスの進行に従い小さくすることを特徴とする請求項1に記載のフランジを有する形鋼の中間ユニバーサル圧延方法。
  3. 前記粗圧延では、圧延素材としてスラブを圧延することで、フランジを有する形状の前記粗形鋼片に前記スラブを造形することを特徴とする請求項1または2に記載のフランジを有する形鋼の中間ユニバーサル圧延方法。
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