JP6589627B2 - 水処理システム、水処理方法および水処理方法の管理方法 - Google Patents

水処理システム、水処理方法および水処理方法の管理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6589627B2
JP6589627B2 JP2015253331A JP2015253331A JP6589627B2 JP 6589627 B2 JP6589627 B2 JP 6589627B2 JP 2015253331 A JP2015253331 A JP 2015253331A JP 2015253331 A JP2015253331 A JP 2015253331A JP 6589627 B2 JP6589627 B2 JP 6589627B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
treatment
raw
treated
raw water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015253331A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017006902A (ja
Inventor
元 高橋
高橋  元
高志 西田
高志 西田
山本 学
学 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Oji Holdings Corp
Original Assignee
Oji Holdings Corp
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Holdings Corp, Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Holdings Corp
Publication of JP2017006902A publication Critical patent/JP2017006902A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6589627B2 publication Critical patent/JP6589627B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Removal Of Specific Substances (AREA)
  • Activated Sludge Processes (AREA)
  • Separation Of Suspended Particles By Flocculating Agents (AREA)

Description

本発明は、水処理システムおよび水処理方法に関する。具体的には、本発明は、重金属を含む排水から重金属を除去する処理を施すシステムおよび処理方法であって、重金属以外のCOD成分もしくは濁度成分を含む排水に適用できる水処理システムおよび水処理方法に関する。
水資源を守るために、上水、排水、廃水、汚水などの様々な水から不純物成分を除去し、浄化水を得る水処理が求められている。例えば、イタイイタイ病の原因物質であるカドミウムのように、金属工業、非鉄金属第1次製錬・精製業、非鉄金属第2次製錬・精製業、溶融めっき業、水産食料品製造業の排水に含まれる重金属成分は、人の健康に影響を及ぼす可能性がある。このため、国連機関や日本国を含む各国で重金属に関する環境基準や排出基準が定められている。カドミウムは、国連機関による耐容摂取量の設定を受け、水質汚濁防止法の排水基準が0.03mg/L以下に強化された(非特許文献1)。
特開2014−61506号公報 特表2009−509737号公報
環境省「水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の許容限度等の見直しについて(報告案)」
排水中からのカドミウムの除去方法として、キレート剤と無機凝集剤を添加後に凝集沈殿または加圧浮上により汚泥として分離する方法や、pH12程度のアルカリ性にして凝集沈殿で水酸化カドミウム汚泥として分離する方法などの物理化学処理が知られている。しかしながら、本発明者が物理化学処理を検討したところ、凝集沈殿または加圧浮上での汚泥分離率(除去率)は100%ではなく、水から不純物成分を十分に除去できないことがわかった。例えば、カドミウム含有量が高い排水に物理化学処理をしただけでは、法規制値(0.03mg/L未満)を満たす程度まで水を浄化することが難しかった。
すなわち、従来、排水の処理では新たな法規制値(0.03mg/L未満)までカドミウム含有量を減らさないでよかったので生物処理および/または物理化学処理で十分だった。しかしながら、生物処理および/または物理化学処理で除去されなかったカドミウムを十分に除去する要望が、法基準の変更により生じたことがわかった。
一方、水から不純物成分を除去する方法として、ろ過膜などの物理処理を行う方法が知られている。しかしながら、水から除去される不純物成分の割合を100%に近づけようとして限外ろ過膜などを用いて精度の高い物理処理を行うと、大面積のろ過膜を用いなくては十分な処理水量(通水量)を維持できないために設備コストが高くなる。また、精度の高い物理処理を行うと、ろ過膜の逆洗の頻度を多くしなければならないために処理コストおよび管理コストが高くなる。
これに対し、オゾン等を用いた洗浄を加えることで物理処理を可能とし、処理水中の固体濃度をさらに減らす方法が知られている(特許文献1および2参照)。
特許文献1には、有機物を含む下水および排水の少なくともいずれかが流入して生物処理された後に固液分離する1次処理手段と、この1次処理手段で処理され発生した1次処理水を限外ろ過膜でろ過する2次処理手段と、この2次処理手段で処理され発生した2次処理水で2次処理手段を逆洗する逆洗手段と、2次処理手段で逆洗されて発生した逆洗排水を1次処理手段に導く逆洗排水流路と、1次処理手段から引抜汚泥を廃棄する汚泥引抜流路とを備え、2次処理手段はこの2次処理手段の被処理水を循環させる循環手段を有する液体処理設備が記載されている。特許文献1によれば、オゾンによる洗浄を定期的に行うことで、2次処理の限外ろ過膜処理が可能であるとしている。
特許文献2には、液体−固体分離ステップと、ステップに続いて少なくとも1つの濾過ステップとを含む水処理方法であって、液体−固体分離ステップが、15m/hを超える速度で実施される沈降ステップを含み、濾過ステップが、少なくとも1つの精密濾過膜または限外濾過膜により直接行われる水処理方法が記載されている。特許文献2によれば、オゾンによる洗浄を行うことで、処理水の目詰まり指数(またはSDI)のより良好な制御を可能にする処理方法を提案すること、すなわち既知の技法によって得られた指数に対してこの指数を低下させることを目的とするなどと記載されている。
本発明の第1の特徴は、無機凝集剤およびキレート剤を適切に組み合わせることで、特許文献1や2などに記載のようなオゾンによる洗浄を行わなくとも、物理処理を可能としている点にある。さらに、前記キレート剤の使用により、単に物理化学処理と物理処理を組み合わせる特許文献1や2などに記載の方法では不可能であったカドミウムなど水に溶解した汚濁成分を法規制値(0.03mg/L未満)を満たす程度まで浄化できる点にある。
本発明の第2の特徴は、物理処理した処理水もしくは清水で原水を希釈することで原水のCODもしくは濁度を一定濃度以下とし、従来中空糸膜のような高度な処理の適用が困難であったCODもしくは濁度が高い原水の処理が可能になる点である。さらに、処理水を原水と混ぜて処理する手段として広く採用されるクロスフロー方式と異なり、中空糸膜で分離した汚濁成分を濃縮水として原水側に蓄積することなく、定期的な物理洗浄により汚濁物を定期的に系外に排出できる点にある。しかしながら、原水の希釈倍率が高くなると物理処理を通過する排水量が増え、設備が過大となる欠点があることから、物理処理に高濁度の原水処理が可能で透過流量が高い中空糸膜を採用し、前記欠点を克服した。
本発明が解決しようとする課題は、水から溶解成分を含む不純物成分を十分に除去でき、設備コスト、処理コストおよび管理コストが低い水処理システムを提供することである。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った。物理処理を行う前に無機凝集剤およびキレート剤を添加することにより、水から重金属成分を十分に除去でき、設備コスト、処理コストおよび管理コストが低い水処理システムを提供できることが見出された。しかしながら、原水のCODもしくは濁度が高い場合、キレート剤もしくは無機凝集剤の効果が小さくなり、重金属の除去が不十分となった。そこで、原水を物理処理水の一部もしくは清水で希釈してCODもしくは濁度を一定濃度未満とすることで十分な重金属の除去が可能となることを見出した。
上記課題を解決するための具体的な手段である本発明および本発明の好ましい態様は、以下の構成である。
[1] 重金属を含有する原水に無機凝集剤およびキレート剤を添加する手段と、無機凝集剤とキレート剤を添加する手段の中、もしくは無機凝集剤とキレート剤の添加手段の下流に配置されるpH調整手段と、pH調整手段の下流に物理処理を行う手段として未使用での清水透過流量が操作圧力100kPa下単糸ベースで50m3/m2/・日以上であるPVDF製の中空糸を片端をフリーとして束ねた高濁度排水を高透過流量で処理することが可能な膜ろ過装置を設置した水処理システム。
[2] 前記重金属を含有する原水を物理処理した処理水もしくは清水で希釈する手段を有する[1]に記載の水処理システム。
[3] 前記重金属を含有する原水を前記物理処理した処理水もしくは清水で希釈し、前記原水のCODもしくは濁度を一定濃度未満に調整することを特徴とする重金属を含有する原水の処理方法。
本発明によれば、CODもしくは濁度の汚濁のある排水から重金属を十分に除去でき、設備コスト、処理コストおよび管理コストが低い水処理システムを提供することができる。
図1は、本発明の水処理システムの構成の一例を示す概略図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[水処理システム、水処理方法]
本発明の水処理システムは、原水に無機凝集剤およびキレート剤を添加する手段と、無機凝集剤およびキレート剤を添加する手段の中もしくはその下流に配置されるpHを調整する手段とpHを調整する手段の下流に設置された物理処理を行う手段を有する。さらに、物理処理した処理水もしくは清水を用いて原水のCODもしくは濁度を一定値未満に希釈調整する手段を有する。
これらの構成により、本発明の水処理システムおよび水処理方法は、水から重金属物成分を十分に除去でき、設備コスト、処理コストおよび管理コストが低い。さらに、原水を処理水で希釈調整することで、CODもしくは濁度が高い原水であっても、重金属を十分に除去できる。
本発明の水処理システムおよび水処理方法によれば、物理処理した処理水中の不純物成分の濃度を低くできる。前期不純物には大腸菌などの細菌類も含まれることから、処理水は細菌類が完全に除去された無菌水となる。
本発明の水処理システムおよび水処理方法によれば、CODもしくは濁度が高い原水であっても、重金属を十分に除去できるため、従来必要であった物理化学処理や生物処理を割愛できる。そのため、設備コスト、処理コストおよび管理コストを低くすることができる。
特開2014−61506、特表2009−509737号公報などで、一次処理手段を通過した処理水に対し、物理処理の前に無機凝集剤を添加せずに限外ろ過などの物理処理をしていたことから、微細な懸濁物が物理処理装置の細孔内に詰まることで発生するファウリングの問題で経済性や処理性に大きな問題を抱えていた。本発明によれば、この問題は凝集剤が懸濁物を粗大化させ、細孔詰まりを生じず、ファウリングトラブルが発生し難くなることがわかった。さらに、本発明では、一次処理水のCODおよび/または紫外線吸収量を設定値未満とする管理を取り入れることで、物理処理でのファウリングを抑制し、逆洗間隔の延長および処理流量の増大を可能とした。
特開2014−61506、特表2009−509737号公報の水に凝集剤を加えてから固体と液体を分離する物理化学処理をした処理水に対し、ろ過膜などを用いて物理処理を行って処理水中の固体濃度をさらに減らす方法であるが、溶解している重金属成分を排水から取り除く作用はなかった。本発明は凝集剤の一部に重金属を水に不溶な状態に変えるキレート剤を適切量用いることで、溶存するカドミウムなどの重金属を排水規制値以下にまで除去できる点で優れている。
本発明の水処理システムおよび水処理方法では、CODもしくは濁度が高い原水であっても、最終的に得られる浄化水の重金属濃度を非常に低くすることができる。特に、カドミウムを高濃度(0.1mg/L以上)含む原水を用いた場合であっても、確実に水質汚濁防止法の放流規制値(0.03mg/L)未満のカドミウム濃度の浄化水を得られる。
本発明の水処理システムおよび水処理方法で物理処理の後に最終的に得られる浄化水は、大腸菌などの菌類を含まない清澄な水である。そのため、衛生上の観点から海水の代わりに水道水を使用しているような水産加工分野では、得られた浄化水を水道水に替えて使用できるメリットも期待できる。
以下、本発明の水処理システムおよび水処理方法の好ましい態様について説明する。
<水処理システムの構成>
本発明の水処理システムの構成の好ましい態様を図面に基づいて説明する。本発明は図面に示された具体的な構成によって限定されるものではない。
図1は、本発明の水処理システムの構成の一例を示す概略図である。図1に示す水処理システムは、原水1を受け入れ、物理処理装置14で処理した処理水5および清水で原水1のCODもしくは濁度が一定濃度未満となるように希釈する原水槽11と、原水槽11でCODもしくは濁度を一定濃度未満に希釈調整された処理水2に無機凝集剤とキレート剤を添加する手段12と、手段12を通過した処理水3のpHを調整する手段13と、手段13でpHを調整された処理水4を物理処理する手段14と、手段14を通過した処理水5を原水槽に戻す手段15を有する。手段12で添加するキレート剤は原水が含有する重金属濃度に応じて調整し、無機凝集剤は原水が含有するCODもしくは濁度に応じて調整する。キレート剤と無機凝集剤の添加の順番は同時添加でも良いが、キレート剤を添加後、無機凝集剤を添加することが好ましい。
本発明の水処理システムは、図1に示すとおり物理処理手段14において中空糸表面に蓄積した懸濁物を定期的に系外排出する洗浄する装置16を備えることが望ましい。
次に、本発明の水処理システムを構成する各手段の好ましい態様について説明する。
<原水槽>
本発明の水処理システムは、原水のCODもしくは濁度を一定濃度未満に調整する原水槽を含む。
原水としては、例えば水産加工排水や水産加工場排水を下水受け入れしている公共下水を挙げることができる。
原水中に溶解している成分、例えばカドミウム等の重金属を除去する場合、キレート剤など除去したい溶解成分に適した凝集剤と十分に反応させて水に不溶な懸濁物に変えた後、中空糸膜などの物理処理で懸濁物を原水から分離し、前記汚濁成分を含まない水を得ることができる。前記処理方法を鋭意検討する中で、原水中に有機物、とりわけ水産加工排水などに多く含まれるタンパクや油脂が前期物理処理前に添加するキレート剤等の凝集剤との反応を阻害し、凝集剤の必要量が増加すること、さらに前期有機物は中空糸膜表面に付着してろ過を妨げたり、原水の粘性を上げて前期限外ろ過膜の通過抵抗を大きくし、膜の逆洗頻度が上昇したり、必要な膜面積が増加するなど種々の阻害要因になることを見出し、原水槽にて原水のCOD(マンガン)を160mg/L以下、好ましくは120mg/L以下、もっとも好ましくは80mg/L以下とすることで、前期凝集剤や膜面積を増やすことなく、カドミウム等の水に溶存している物質を確実に除去できることを見出した。原水槽での希釈処理の指標は濁度で代替することも可能であり、原水槽通過後の原水の濁度は50度以下、望ましくは30度以下、もっとも望ましくは20度以下であった。紫外線吸収量の設定値は濁度または色度の影響を受けることから、CODとの相関を確認して設定する。
重金属含有水である原水としては、例えば水産加工排水が挙げられる。水産加工排水とは、水産加工事業所から排出される排水であり、主に、魚類、貝類及び魚卵由来の有機物や重金属を含む排水である。特に、ホタテの中腸腺やイカの肝臓、カニの内臓にはカドミウムが含まれることから、これら軟体動物や甲殻動物を加工する水産加工場からはカドミウムを含む排水が排出される。このため、本発明を水産加工排水に好ましく用いることができる。水産加工排水は、通常、BOD濃度が10〜5000mg/L、COD濃度が30〜3000mg/L、塩分濃度が0〜20%、カドミウム濃度が0〜3mg/L、亜鉛濃度が0〜30mg/L、鉄濃度が0〜30mg/Lである。
なお、本発明は、水産加工場より排出される重金属含有排水の処理において、顕著な効果を奏するが、これ以外の原水、例えば、非鉄金属業やメッキ工場、半導体工場等より排出される重金属含有排水の処理に適用することもできる。
本発明において処理し得る原水の量は特に制限されないが、本発明では、多量の原水を処理することが可能である。具体的には、一日当たり500m以上の原水を処理することも可能である。本発明は多量の原水を効率よく処理できる。とりわけ多量の原水を処理する場合において、高濁度の原水を高透過水量で処理できる本発明は設備費および設備面積の観点から有利となる。、
凝集剤を添加する手段は、原水槽で濃度調整した処理水1にキレート剤および無機凝集剤を加えた後、適切な混合時間でよく混合し、pHを調整した上で、続く物理処理に供給する。キレート剤としては、カドミウムなどの除去したい溶存重金属の種類に応じて王子フロックL−1などを含有量に応じて添加する必要がある。キレート剤に変えて硫化ナトリウムを採用することも可能であるが、硫化水素の安全対策および腐食対策が必要となる。無機凝集剤としては、PAC(ポリ塩化アルミニウム)または硫酸バンドのアルミ系凝集剤またはポリ鉄または塩化第一鉄または塩化第二鉄の鉄系凝集剤のいずれかを適当量加える。無機凝集剤の添加量は、処理水1に対し無機凝集剤の酸化物固形量換算で100mg/L未満であることが望ましい。無機凝集剤の添加量がこれ未満であると、無機凝集剤に要する費用をより低減することができる。また、無機凝集剤の添加量がこれ未満であると、副生する汚泥の発生量をより低減することができ、従って、その汚泥の処分費をより低減することができる。さらに汚泥の発生量が低減することから、手段14(中空糸膜処理設備)での逆洗頻度を少なくして稼働を率げ1本あたりの処理流量が増え、設備費が抑制できる。
キレート剤は除去したい重金属以外の成分、例えば亜鉛やアルミ、鉄とも反応するため溶解成分中に亜鉛やアルミ、鉄が多い場合はキレート剤2から5倍量の添加が必要となる。1次処理が不十分で原水のCODまたはBODが規定より高い場合でもキレート剤の必要量が増し、この場合2〜10倍の添加が必要となるが、CODまたは濁度が規定濃度より著しく高い場合はキレート剤を増やしても目標レベルまでカドミウム等の溶存成分を除去できない。キレート剤の添加量は、原水で希釈した処理水1に対して10mg/L未満であることが望ましい。キレート剤の添加量がこれ未満であると、キレート剤に要する費用をより低減することができる。
物理処理に供する際の原水のpHは4から10であることが望ましく、5から9であることがさらに望ましく、6から8であるこが最も望ましい。前記範囲を超えてpHが高くなった場合、炭酸カルシウムが物理処理装置に付着するスケールトラブルの原因となり、前記範囲を超えて低い場合はキレート剤等の凝集剤の効果が十分発揮できなくなり、さらにアルミ系もしくは鉄系の凝集剤のフロック生成が不能もしくは阻害され、重金属等の溶解成分の除去性能が落ちたり、物理処理装置を汚濁するトラブルの原因となる。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム等が挙げられる。
物理処理としては、未使用での清水透過流量が操作圧力100kPa下単糸ベースで50m3/m2/・日以上であるPVDF製の中空糸を片端をフリーとして束ねた高濁度排水を高透過流量で処理することが可能な膜ろ過装置を用いる。本発明において、高濁度排水とは、SS濃度20mg/Lのカオリン懸濁水を操作圧力100kPaで0.5m3/m2処理した後の清水の透過流量が、未使用時の清水の透過流量に対して40%以上であることを意味する。この高濁度排水は、望ましくは50%以上であり、最も望ましくは60%以上である。本発明において、高透過流量とは、未使用での清水透過流量が操作圧力100kPa下単糸ベースで50m3/m2・日以上であることを意味する。この高透過流量は、望ましくは70m3/m2・日以上であり、最も望ましくは80m3/m2・日以上である。5から120分に1回の頻度で膜表面の洗浄を行うのが望ましく、前記頻度は10から60分に1回がさらに望ましく、20から40分に1回が最も望ましい。
物理処理は、装置表面に微生物が繁殖して堆積するバイオファウリングの問題を潜在的に有する。前記1次処理でCODもしくは紫外線吸収量を管理することで、バイオファウリングの進行速度を抑制でき、バイオファウリングの洗浄頻度を下げることができる。バイオファウリングの洗浄は、次亜塩素酸ナトリウムを用いて1時間から48時間に1回実施することが望ましく、6時間から36時間に1回実施することがさに望ましく、12時間から24時間に1回実施することが最も望ましい。
物理処理に限外ろ過膜もしくは精密ろ過膜を採用することで、大腸菌などの細菌類を原水から完全に除去し、無菌水を得ることが出来る。前記物理処理水はナノろ過膜(NF膜)もしくは逆浸透膜(RO膜)でそのまま処理することが可能であり、容易に脱塩水が得られる。
重金属含有水に含まれる重金属としては、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)等が挙げられる。カドミウムは、国連機関による耐容摂取量の設定を受け、水質汚濁防止法の排水基準が0.03mg/L以下に強化された(環境省「水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の許容限度等の見直しについて(報告案)」)。
本発明の水処理システムや水処理方法は、原水に含まれる重金属成分がカドミウムまたはカドミウムイオンである場合に特に好ましく用いることができる。特に本発明の水処理システムや水処理方法によれば、原水槽でCODもしくは濁度を前記範囲内とした希釈水に、キレート剤と凝集剤を加えてpHを調整後、物理処理することでカドミウム含有量が0.03mg/L以下の浄化水を生成することができる。そのため、本発明の水処理システムや水処理方法は、排水中のカドミウム濃度を上記基準値以下とし得る画期的方法であり、水産加工事業所から排出されるカドミウムを含む排水を処理するために特に好ましく用いられる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す薬品、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例1は参考例である。
(実施例1)
水産加工場の排水を原水(被処理水)として用いて下記の処理を行った。まず、水産加工場の排水に対して活性汚泥処理を行った。得られた処理水の紫外線吸収量から換算したCOD濃度は42〜76mg/Lであった。また、この処理水のカドミウム濃度は0.02mg/L〜0.09mg/Lで推移した。この処理水に対して、キレート剤1mg/Lおよび10%PAC50mg/Lを添加した。これを、水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整した後、未使用での清水透過流量が操作圧力100kPa下単糸ベースで80m3/m2/・日であったPVDF製の中空糸を片端をフリーとして束ねた高濁度排水を高透過流量で処理することが可能な膜ろ過装置で処理した。この方法により得られた浄化水のカドミウム濃度は常に0.03mg/L未満となった。また、この方法により得られた浄化水から大腸菌は検出されなかった。30分に1回の逆洗浄および1日1回の次亜塩素酸ナトリウム溶液洗浄を行うことで、この限外ろ過膜は4か月間に渡って1.m3/m2/・日の透過流量を維持できた。
(実施例2)
COD濃度が380mg/Lである水産加工場の活性汚泥原水を、原水槽でCOD濃度が120mg/Lとなるように中空糸膜ろ過装置の処理水で希釈した希釈原水に、キレート剤1mg/Lおよび10%PAC50mg/Lを添加した。これを、水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整した後、未使用での清水透過流量が操作圧力100kPa下単糸ベースで80m3/m2/・日であるPVDF製の中空糸を片端をフリーとして束ねた高濁度排水を高透過流量で処理することが可能な膜ろ過装置で処理した。この方法により得られた浄化水のカドミウム濃度は常に0.03mg/L未満となった。また、この方法により得られた浄化水から大腸菌は検出されなかった。処理に必要な中空糸モジュールの本数は30本と試算された。
(比較例1)
COD濃度380mg/Lの水産加工場の活性汚泥原水を原水(被処理水)して用いた。この被処理水のカドミウム濃度は0.12mg/Lであった。この被処理水に対し、キレート剤2mg/Lおよび10%PAC3000mg/Lを添加した。これを、水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整した後、未使用での清水透過流量が操作圧力100kPa下単糸ベースで80m3/m2/・日であるPVDF製の中空糸を片端をフリーとして束ねた高濁度排水を高透過流量で処理することが可能な膜ろ過装置で処理した。この処理により得られた水のカドミウム濃度は0.027mg/Lであった。限外ろ過膜の透過流量は0.3m3/m2・日であったが、2時間ごとに次亜塩素酸ナトリウム溶液でバイオファウリングを除去することが必要となり、実操業には至らなかった。
(比較例2)
COD濃度が380mg/Lである水産加工場の活性汚泥原水を、未使用での清水透過流量が操作圧力100kPa下単糸ベースで20m3/m2/・日であること以外は実施例2と同一の条件で処理した。この方法により得られた浄化水のカドミウム濃度は常に0.03mg/L未満となった。また、この方法により得られた浄化水から大腸菌は検出されなかった。処理に必要な中空糸モジュールの本数は240本と試算された。
1 原水
2 希釈原水
3 キレート剤および無機凝集剤処理水
4 pH調整処理水
5 物理処理水
11 原水槽
12 キレート剤および無機凝集剤を添加する手段
13 pHを調整する手段
14 物理処理する手段
15 処理水5を原水槽に送る手段
16 中空糸に付着した汚泥を定期的に排出する手段

Claims (3)

  1. 重金属を含有する原水に無機凝集剤およびキレート剤を添加する手段と、無機凝集剤とキレート剤を添加する手段の中、もしくは無機凝集剤とキレート剤の添加手段の下流に配置されるpH調整手段と、pH調整手段の下流に物理処理を行う手段として未使用での清水透過流量が操作圧力100kPa下単糸ベースで50m/m /日以上であるPVDF製の中空糸を片端をフリーとして束ねた高濁度排水を高透過流量で処理することが可能な膜ろ過装置を設置した水処理システムであって、前記重金属を含有する原水を物理処理した処理水もしくは清水で希釈する手段を有し、前記希釈する手段で原水のCODを160mg/L以下とする水処理システム
  2. 前記重金属としてカドミウムを含む水産加工排水を原水として用いた場合、前記物理処理後の浄化水のカドミウム濃度を0.03mg/L未満とする請求項1に記載の水処理システム。
  3. 請求項1または2に記載の水処理システムで原水を処理する方法であって、前記重金属を含有する原水を前記物理処理した処理水もしくは清水で希釈し、前記原水のCODを160mg/L以下に調整することを特徴とする重金属を含有する原水の処理方法。
JP2015253331A 2015-06-22 2015-12-25 水処理システム、水処理方法および水処理方法の管理方法 Active JP6589627B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015124493 2015-06-22
JP2015124493 2015-06-22

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017006902A JP2017006902A (ja) 2017-01-12
JP6589627B2 true JP6589627B2 (ja) 2019-10-16

Family

ID=57197551

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015223031A Active JP6015841B1 (ja) 2015-06-22 2015-11-13 水処理システム、水処理方法、無菌水製造方法、抗菌水製造方法および水処理方法の管理方法
JP2015253331A Active JP6589627B2 (ja) 2015-06-22 2015-12-25 水処理システム、水処理方法および水処理方法の管理方法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015223031A Active JP6015841B1 (ja) 2015-06-22 2015-11-13 水処理システム、水処理方法、無菌水製造方法、抗菌水製造方法および水処理方法の管理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP6015841B1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6550084B2 (ja) * 2017-01-18 2019-07-24 株式会社大都技研 遊技台
US10851004B2 (en) * 2017-04-12 2020-12-01 Seaon, LLC Waste water treatment method and apparatus
JP7119568B2 (ja) * 2018-05-23 2022-08-17 王子ホールディングス株式会社 水処理装置および水処理方法
JP6935924B2 (ja) * 2018-06-15 2021-09-15 株式会社ノアテック 高濃度の懸濁物質を含む排水、汚泥の処理システム

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0515879A (ja) * 1991-07-15 1993-01-26 Suntory Ltd 循環使用水処理装置
JPH09192675A (ja) * 1996-01-25 1997-07-29 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 廃水の処理方法
JP3334786B2 (ja) * 1996-09-03 2002-10-15 株式会社荏原製作所 不溶性及び溶解性の鉛、クロム、亜鉛含有排水の処理方法
JPH10118664A (ja) * 1996-10-24 1998-05-12 Kansai Electric Power Co Inc:The シアン化合物及び有機物を含有する排水の処理方法
JPH11262799A (ja) * 1998-03-17 1999-09-28 Hitachi Zosen Corp 排水処理方法
JP2002011498A (ja) * 2000-06-28 2002-01-15 Atlas:Kk 浸出水の処理装置
JP5982239B2 (ja) * 2012-09-24 2016-08-31 株式会社日立製作所 液体処理設備

Also Published As

Publication number Publication date
JP6015841B1 (ja) 2016-10-26
JP2017006902A (ja) 2017-01-12
JP2017006899A (ja) 2017-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20110163032A1 (en) High recovery sulfate removal process
JP6589627B2 (ja) 水処理システム、水処理方法および水処理方法の管理方法
RU2681458C2 (ru) Установка для очистки сточных вод на борту судов
CN102815836A (zh) 难降解有机废水处理系统及处理方法
WO2013054810A1 (ja) 有機排水の回収処理装置及び回収処理方法
CN102897944A (zh) 难降解有机废水深度处理系统
Hög et al. The use of integrated flotation and ceramic membrane filtration for surface water treatment with high loads of suspended and dissolved organic matter
JP7299022B2 (ja) メンブレンバイオリアクターにおけるリン析出およびメンブレンフラックスの改善
KR20190095152A (ko) 양식장의 배출수 처리 및 순환여과 시스템
WO2021072483A1 (en) Process and apparatus for water treatment
WO2011136043A1 (ja) 廃水処理装置および廃水処理方法
Azmi et al. The effect of operating parameters on ultrafiltration and reverse osmosis of palm oil mill effluent for reclamation and reuse of water
JP4933679B1 (ja) 海水淡水化方法および海水淡水化装置
CN112533874A (zh) 作为用于废水处理的添加剂的阳极电解液
JP5250684B2 (ja) 海水淡水化方法及び海水淡水化装置
JP7119568B2 (ja) 水処理装置および水処理方法
Fatima et al. Treatment of Poultry Slaughterhouse Wastewater with Membrane Technologies: A Review. Water 2021, 13, 1905
CN209010325U (zh) 一种生物制药废水零排放的成套处理设备
CN104016551A (zh) 基于生物化学处理的高盐度工业废水处理方法
Al-Shammari et al. Treatment of Dairy Wastewater Effluent Using Submerged Membrane Microfiltration System
CN109516601A (zh) 结合海水淡化技术的电镀废水回用工艺
JP2016221474A (ja) 水処理装置および水処理方法
JPH1028995A (ja) 排水の処理方法
JP5232906B2 (ja) 浄化水生成方法及び浄化水生成装置
CN113526767A (zh) 彩涂废水处理系统及处理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160405

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190514

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190716

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190820

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190902

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6589627

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250