以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
なお、説明中で同じ符号、記号、数字は、特に説明が無い限り、同じ構成要素を示すものとする。また、特に説明が無い限り本開示に必須でない構成要素は図示しないものとする。
(実施の形態1)
以下、図1〜図8を用いて、実施の形態1を説明する。
[1−1.プロジェクタ100の概要]
図1は、実施の形態1におけるプロジェクタ100の外観の一例を模式的に示す斜視図である。
プロジェクタ100は、外部から入力される映像信号に応じて生成した映像光をスクリーン500へ投写する。プロジェクタ100は、映像表示装置の一例である。
[1−1−1.電気的構成]
図2は、実施の形態1におけるプロジェクタ100の電気的構成の一例を模式的に示すブロック図である。
プロジェクタ100は、光源部12と、映像生成部90と、マイクロコンピュータ110と、を有する。
光源部12は、レーザモジュール20と蛍光体ホイール16とを有する。光源部12は、レーザモジュール20から出力される光を励起光として、蛍光体ホイール16上の蛍光体に蛍光を発光させる。そして、レーザモジュール20から出力される光および蛍光体が発光した光を映像生成部90に出力する。光源部12は、光源装置の一例である。
映像生成部90は、DMD(Digital Mirror Device)96を有する。映像生成部90は、光源部12から出力される光を、外部から入力される映像信号に応じて空間変調して、映像光を生成する。この空間変調は、DMD96が行う。DMD96は、ライトバルブの一例である。
マイクロコンピュータ110は、光源部12および映像生成部90を含むプロジェクタ100の全体を統括制御する。マイクロコンピュータ110は、ROM(Read Only Memory。図示せず)にあらかじめ記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各種の制御を行う。マイクロコンピュータ110は、レーザモジュール20の発光と、蛍光体ホイール16の回転と、DMD96の駆動と、を同期して制御する。
[1−1−2.光学的構成]
図3は、実施の形態1におけるプロジェクタ100の光学的構成の一例を示す図である。なお、図3では、光の進行経路を矢印で示す。
プロジェクタ100は、照明部10と、映像生成部90と、投写レンズ98と、を備える。
照明部10は、光源部12と、導光光学系70と、を備え、実質的に均一で略平行光化した光を映像生成部90に照射するように構成されている。
まず、光源部12の構成について説明する。
光源部12は、レーザモジュール20と、レンズ34、36、42、44、46、48、54、60と、拡散板38、56と、ダイクロイックミラー40、蛍光体ホイール16、ミラー50、52、58と、を備える。
レーザモジュール20は、半導体レーザ素子22と、レンズ24と、を備える。レーザモジュール20は、光源の一例である。
半導体レーザ素子22は、4×4のマトリクス状に配置されており、それぞれが波長450nmの青色レーザ光を出力する。半導体レーザ素子22は、発光素子の一例である。なお、半導体レーザ素子22の数は16個に限定されるものではなく、半導体レーザ素子22の配列は4×4のマトリクス状に限定されるものではない。また、半導体レーザ素子22が出力するレーザ光は波長450nmの青色レーザ光に限定されるものではない。
レンズ24は、半導体レーザ素子22のそれぞれに設けられ、半導体レーザ素子22から広がり角を持って出射されるレーザ光を、実質的に平行な光束に集光する。
なお、レーザモジュール20の背面側(レーザ光の出射方向の反対側)には、後述する液冷式の冷却モジュール150が設けられている。冷却モジュール150によるレーザモジュール20の冷却のための構成については後述する。
レーザモジュール20から出射されたレーザ光(青色光)は、レンズ34によって集光される。レンズ34によって集光された光は、レンズ36と拡散板38とを透過する。レンズ36は、レンズ34によって集光された光を、再び平行な光束に戻す。拡散板38は、レーザ光の干渉性を低減させるとともに、レーザ光の集光性を調整する。
ダイクロイックミラー40は、カットオフ波長が約480nmに設定された色合成素子である。すなわち、ダイクロイックミラー40は、青色光を反射し、赤色光および緑色光を透過する、ように構成されている。レンズ36によって略平行光化されたレーザ光(青色光)は、ダイクロイックミラー40で反射し、レンズ42、44を通って、蛍光体ホイール16へ照射される。蛍光体ホイール16に照射されるレーザ光は、レンズ42、44によって集光される。
ここで、図4を用いて蛍光体ホイール16について説明する。
図4は、実施の形態1におけるプロジェクタ100が有する蛍光体ホイール(蛍光体基板)16の一構成例を示す2面図である。図4には、蛍光体ホイール16の側面図(図4の左側に示す図)および平面図(図4の右側に示す図)を示す。なお、図4に示す側面図は、図3と同じ視点で蛍光体ホイール16を見たときの図である。また、図4に示す平面図は、図4の側面図に示す蛍光体ホイール16を紙面に向かって右側から見たときの図である。
蛍光体ホイール16は、円板形状のアルミニウム基板104を備えている。アルミニウム基板104は、表面に高反射コーティングが施された円板である。蛍光体ホイール16は、照射されるレーザ光の光軸に対してアルミニウム基板104の円板面が垂直となるように光源部12に配置される。アルミニウム基板104はモータ102に取り付けられ、回転方向Rに回転可能である。このときの回転速度は、例えば、60回転/秒であるが、他の回転速度であってもよい。そして、上述したように、ダイクロイックミラー40で反射したレーザ光は、レンズ42、44によって集光されて、蛍光体ホイール16に照射される。
蛍光体ホイール16のアルミニウム基板104は、レーザ光が照射される円周上の回転方向(周方向)Rに沿って、複数のセグメントを有する。具体的には、蛍光体ホイール16は、蛍光体領域114と、蛍光体領域116と、切欠き状の貫通穴になっている切欠き領域118と、をセグメントとして有する。そして、これらは、回転方向Rに沿って、蛍光体領域114、切欠き領域118、蛍光体領域116の順に蛍光体ホイール16に配置されている。蛍光体ホイール16が回転方向Rに回転することにより、レーザ光(青色光)は、蛍光体領域114、蛍光体領域116および切欠き領域118に、順次照射される。
蛍光体領域114には、波長約450nmの光によって、主波長が610nmの赤色光を発する蛍光体が塗布されている。蛍光体領域116には、波長約450nmの光によって、主波長が550nmの緑色光を発する蛍光体が塗布されている。切欠き領域118に照射されるレーザ光は、そのまま反対側へ透過する。すなわち、切欠き領域118から出射する光は、青色光となる。
図3に戻って説明を続ける。蛍光体ホイール16に照射されるレーザ光のうち、蛍光体領域114に照射されるレーザ光は赤色光に変換され、蛍光体領域116に照射されるレーザ光は緑色光に変換される。蛍光体ホイール16は回転方向Rに回転するので、レーザ光が蛍光体領域114に照射される期間は、赤色光が蛍光体ホイール16で発生し、レーザ光が蛍光体領域116に照射される期間は、緑色光が蛍光体ホイール16で発生する。これら赤色光および緑色光は、一部が蛍光体の表面から蛍光体ホイール16に照射されるレーザ光(青色光)に向かって出射され、他の一部は蛍光体ホイール16で反射する。こうして、蛍光体の発光(赤色光および緑色光)は、蛍光体ホイール16に照射されるレーザ光(青色光)とは逆方向に進行する。そして、これら赤色光および緑色光は、レンズ44、42によって平行光化されて、ダイクロイックミラー40に戻り、ダイクロイックミラー40を透過する。
一方、レーザ光が切欠き領域118に照射される期間、蛍光体ホイール16に照射されたレーザ光は、切欠き領域118を透過する。蛍光体ホイール16を透過したレーザ光(青色光)を再びダイクロイックミラー40に戻すために、光路上にはミラー50、52、58が配置されている。蛍光体ホイール16を透過したレーザ光は、レンズ46、48によって平行光化され、ミラー50、52、58のそれぞれで反射して、ダイクロイックミラー40に戻る。なお、ミラー52とミラー58との間には、レンズ54と拡散板56とが配置されている。図3に示すように、レーザ光(青色光)は、赤色光および緑色光よりも光路が延長される。レンズ54は、光路が延長された青色光をリレーするためのレンズである。拡散板56は、レーザ光の干渉性をさらに低減させるために配置されている。
蛍光体ホイール16を透過してミラー50、52、58のそれぞれで反射し、光路をリレーされてダイクロイックミラー40に戻ったレーザ光(青色光)は、ダイクロイックミラー40で反射する。このようにして、蛍光体ホイール16を透過したレーザ光(青色光)の光路と、蛍光体ホイール16で反射した蛍光(赤色光および緑色光)の光路とが、ダイクロイックミラー40によって空間的に合成される。
以上のように、蛍光体ホイール16は、複数のセグメントを備えており、回転することにより、時分割に切り替えながら、異なる波長の光(青色光、赤色光、緑色光)を順次出射する。
ダイクロイックミラー40によって合成された光は、レンズ60によって集光され、光源部12から出射されて、光源部12の出射光となる。光源部12からの出射光(言い換えると、蛍光体ホイール16からの光)は、導光光学系70に入射する。
次に、導光光学系70について説明する。導光光学系70は、光源部12から出射される光を映像生成部90へ導光するように構成されている。
導光光学系70は、ロッドインテグレータ72と、レンズ74、76と、を備える。
光源部12からの出射光は、ロッドインテグレータ72へ入射する。ロッドインテグレータ72は、入射面72aおよび出射面72bを備えている。ロッドインテグレータ72の入射面72aに入射した光源部12の出射光は、ロッドインテグレータ72内で照度がより均一化され、出射面72bから出射される。ロッドインテグレータ72の出射面72bから出射した光は、レンズ74、76でリレーされて、導光光学系70から出射される。こうして導光光学系70を出射した光は、照明部10の出力光となって、映像生成部90に入射する。
映像生成部90は、レンズ92と、全反射プリズム94と、1枚のDMD96と、を備える。映像生成部90は、導光光学系70から出射される光を、映像信号に応じて空間変調して映像光にするように構成されている。
レンズ92は、照明部10からの出力光をDMD96に結像させる。レンズ92を介して全反射プリズム94に入射した光は、面94aによって反射され、DMD96へ導かれる。
なお、DMD96に入射する光(照明部10の出力光)は、青色光、赤色光、緑色光の3つの色光が混合した光ではなく、上述したように、時分割された3つの色光であり、青色光、赤色光、緑色光と順次切り替わる光である。
DMD96は、画素数に応じた複数の微小なミラーを備えており、マイクロコンピュータ110によって制御される。マイクロコンピュータ110は、DMD96に備えられた複数のミラーのそれぞれに入射する各色光のタイミングに合わせ、かつ、映像信号に応じて、DMD96を制御する。こうして、照明部10の出力光は、DMD96によって空間変調されて、映像信号に応じた映像光となる。DMD96から出射された光(映像光)は、全反射プリズム94を透過して投写レンズ98へ導かれる。なお、この映像光は、青色の映像光、赤色の映像光、緑色の映像光、と順次切り替わる映像光であり、3色の映像光が時間的に多重されて生成された映像光である。
照明部10および映像生成部90は、上記のように構成されている。蛍光体ホイール16から出射される光はDMD96に入射する。DMD96は、蛍光体ホイール16から出射される光を映像信号に応じて変調して生成した映像光を出射する。
投写レンズ98は、映像生成部90で生成された映像光(3色の映像光が時間的に多重されて合成された映像光)を、装置外部のスクリーン500へ投写する。投写レンズ98は、投写光学系の一例である。
[1−2.動作]
以上のように構成されたプロジェクタ100の動作を説明する。
プロジェクタ100において、照明部10は、時間的に順次切り替わる赤色光、緑色光および青色光の3色の光を出力する。映像生成部90は、照明部10から出力される光から映像光を生成する。投写レンズ98は、生成された映像光をスクリーン500へ投写する。
具体的には、マイクロコンピュータ110は、DMD96に赤色光が入射する期間は、DMD96を、映像信号に含まれる赤色の映像信号に基づいて制御する。これにより、スクリーン500には赤色の映像信号に基づいた赤色の映像光が投写される。同様にして、緑色の映像光、青色の映像光がスクリーン500に順次投写される。このようにして、スクリーン500に、時間的に順次切り替わる3色の映像光が投写される。ユーザは、スクリーン500に投写される映像光を連続的に見ることで、スクリーン500上の映像をカラー映像として視認する。
[1−3.レーザモジュールと冷却モジュール周辺の構成]
図5は、実施の形態1におけるプロジェクタ100が有する冷却モジュール150周辺の一構成例を示す分解斜視図である。図5には、本実施の形態における、光源部12のレーザモジュール20と冷却モジュール150周辺の分解斜視図を示す。
プロジェクタ100の光源部12は、図3、4に示した光学的構成に加え、照明光学系筐体120と、防塵シート130と、ヒートスプレッダー140と、冷却モジュール150と、を備える。
照明光学系筐体120は、光源部12のうちレーザモジュール20を除いた各光学部品を内部に格納する。照明光学系筐体120は、レーザモジュール20から出射される光を内部に入射するための開口部121を有する。後述するように、レーザモジュール20を開口部121に取り付けることにより、開口部121は閉塞した状態となる。また、照明光学系筐体120は、光源部12から出射される光を照明光学系筐体120の外部に出射するための開口部(図示せず)を有する。この開口部は、光源部12のレンズ60が取り付けられることにより、閉塞した状態となる。照明光学系筐体120は、各開口部が閉塞されることにより、照明光学系筐体120の内部が密閉される構造を有する。
照明光学系筐体120は、防塵シート130を介してレーザモジュール20を密着させるための座面122を有する。座面122は、レーザモジュール20のレーザ光を出射する面(以下、「出射面」と記す)と対向するように、照明光学系筐体120に設けられている。座面122は、取り付け部の一例である。
照明光学系筐体120は、座面122の、レーザモジュール20が取り付けられたときに半導体レーザ素子22と対向する位置に、開口部121を有する。半導体レーザ素子22から出射される光は、開口部121を通って照明光学系筐体120の内部に入射する。
また、照明光学系筐体120は、座面122の周辺部に、ヒートスプレッダー140を取り付けるための4つのボス123(うち1つは図示せず)を有する。ボス123は、ヒートスプレッダー140を取り付ける取り付け部の一例である。
レーザモジュール20は、レーザホルダ25を備える。レーザホルダ25は、複数対の半導体レーザ素子22およびレンズ24を保持する(図示せず)。
防塵シート130は、ゴム等の弾性材料をシート状に形成したガスケットである。なお、防塵シート130は、例えば弾性を有する合成樹脂等、ゴム以外の弾性材料で形成されてもよい。
防塵シート130は、照明光学系筐体120の座面122と、レーザモジュール20のレーザホルダ25の出射面側の面と、の間に挟まれるように配置される。それらの面の間に挟み込まれた防塵シート130は、変形して各面に密着することで、両者の間の隙間を埋める。これにより、照明光学系筐体120の開口部121は、レーザモジュール20と防塵シート130とによって密閉される。
防塵シート130は、半導体レーザ素子22から出射される光が照明光学系筐体120の内部に入射可能なように、開口部131を有する。防塵シート130は、レーザモジュール20が取り付けられたときに半導体レーザ素子22と対向する位置に開口部131を有する。
ヒートスプレッダー140は、銅等の熱伝導率の高い金属製の板で形成されている。なお、ヒートスプレッダー140は、熱伝導率が高い材料であれば、銅以外のもので形成されてもよい。ヒートスプレッダー140は、レーザモジュール20の半導体レーザ素子22が発光するときに発生する熱を、冷却モジュール150に伝導する。具体的には、半導体レーザ素子22で発生する熱は、まずレーザホルダ25に伝導し、レーザホルダ25からヒートスプレッダー140に伝導し、ヒートスプレッダー140から冷却モジュール150に伝導する。ヒートスプレッダー140は、熱伝導体の一例である。
ヒートスプレッダー140は平板状に形成されている。本実施の形態では、ヒートスプレッダー140の一方の面(図5で隠れている方の面)を第1面とし、第1面とは反対側の面(図5に示されている方の面)を第2面とする。
ヒートスプレッダー140の第1面は、レーザモジュール20をネジ止めにより固定できるように構成されている。レーザモジュール20は、レーザホルダ25の、半導体レーザ素子22の出射面とは反対側の面(以下、「背面」と記す)側がヒートスプレッダー140に密着するように、ヒートスプレッダー140の第1面に固定される。これにより、レーザモジュール20は、ヒートスプレッダー140の第1面に、熱的に接続される。
ヒートスプレッダー140の第2面は、冷却モジュール150をネジ止めにより固定できるように構成されている。冷却モジュール150をヒートスプレッダー140の第2面にネジ止めすることで、冷却モジュール150は、ヒートスプレッダー140の第2面に、熱的に接続される。なお、冷却モジュール150は、ヒートスプレッダー140の第2面にネジ止めされているので、ヒートスプレッダー140に対して着脱可能である。
さらに、ヒートスプレッダー140は、第1面が座面122に対向する向きに配置された状態でボス123の先端面123aにネジ止めされることにより、座面122とレーザモジュール20とが対向した状態で照明光学系筐体120に固定される。
ヒートスプレッダー140を照明光学系筐体120に取り付けるための構造(ネジ)と、冷却モジュール150をヒートスプレッダー140に取り付ける構造(ネジ)とは、互いに独立している。そして、冷却モジュール150は、ヒートスプレッダー140に着脱可能に固定されている。したがって、ヒートスプレッダー140を照明光学系筐体120に固定したままで、冷却モジュール150をヒートスプレッダー140から取り外してヒートスプレッダー140に再装着することが可能である。
冷却モジュール150は、ヒートスプレッダー140を介してレーザモジュール20と熱的に接続されている。冷却モジュール150は、レーザモジュール20で発生する熱を吸収する部材であり、レーザモジュール20を冷却するための冷却系170を構成する部材の一つである。冷却モジュール150は、冷却部の一例である。
次に、冷却系170について説明する。
図6は、実施の形態1におけるプロジェクタ100が有する冷却系170の一構成例を示す斜視図である。
冷却系170は、冷却モジュール150と、ラジエター153と、パイプ151と、ファン160と、を備える。
冷却モジュール150とラジエター153とは、パイプ151によって接続されている。冷却モジュール150とラジエター153との間には、ポンプ(図示せず)により、パイプ151を通って冷却液が循環している。
ファン160は、ラジエター153と対向して配置される。ファン160の回転により、プロジェクタ100の外部の空気がラジエター153に送風される。
レーザモジュール20で発生する熱は、冷却モジュール150を介して冷却液に吸収される。加熱された冷却液は、ラジエター153に移動し、ファン160による送風により冷却され、再び冷却モジュール150に移動する。このようにして冷却系170は熱交換を行い、レーザモジュール20を冷却する。レーザモジュール20を冷却することで、半導体レーザ素子22の発光効率の低下や性能劣化が防止される。
次に、冷却モジュール150の周辺部品の取り付けについて説明する。
図7は、実施の形態1におけるプロジェクタ100が有する冷却モジュール150周辺の一構成例を模式的に示す分解図である。図7では、冷却モジュール150周辺の各部品の取り付け方向を白抜きの矢印で示し、X軸方向を実線の矢印で示す。X軸方向は、レーザモジュール20がレーザ光を出射する方向であり、レーザ光の光軸に平行な方向(すなわち、光軸方向)である。
まず、レーザモジュール20が、ヒートスプレッダー140の第1面に取り付けられる。これにより、レーザモジュール20とヒートスプレッダー140とが互いに熱的に接続される。次に、ヒートスプレッダー140が、第1面を照明光学系筐体120側に向けて、照明光学系筐体120のボス123の先端面123aに取り付けられる。その際、防塵シート130が、照明光学系筐体120の座面122とレーザモジュール20との間に挟み込まれる。最後に、冷却モジュール150が、ヒートスプレッダー140の第2面へ取り付けられる。これにより、冷却モジュール150とヒートスプレッダー140とが互いに熱的に接続される。
図8は、実施の形態1におけるプロジェクタ100が有する冷却モジュール150周辺の組み立て後の状態を模式的に示す図である。図8では、X軸方向を矢印で示す。図8のX軸方向は、図7のX軸方向と同方向であり、レーザ光の光軸に平行な方向である。
図8に示すように、レーザモジュール20が取り付けられたヒートスプレッダー140は、照明光学系筐体120のボス123に取り付けられている。そして、防塵シート130は、照明光学系筐体120の座面122とレーザモジュール20の出射面側の面との間に挟み込まれている。
このとき、各部品を適切に組み立て終えたときに、防塵シート130が照明光学系筐体120の座面122に適度に密着するように、各部品の寸法が設定されていることが望ましい。
照明光学系筐体120では、ボス123の先端面123aと、防塵シート130を取り付ける座面122との、X軸方向における位置関係(距離)に、ばらつきが発生することがある。さらに、レーザモジュール20の外形寸法にもばらつきが発生することがある。
そして、組み立て前のレーザモジュール20の厚みと防塵シート130の厚みとの合計が、組み立て後の、座面122からヒートスプレッダー140の第1面までの長さよりも大きすぎると、組み立て時に、ヒートスプレッダー140が正しい位置に取り付けられなかったり、防塵シート130が壊れてしまったりする恐れがある。また、組み立て前のレーザモジュール20の厚みと防塵シート130の厚みとの合計が、組み立て後の、座面122からヒートスプレッダー140の第1面までの長さよりも小さいと、組み立て後に防塵シート130と座面122との間に隙間が生じ、照明光学系筐体120における防塵性能が低下する恐れがある。
そこで、本実施の形態では、防塵シート130の厚みを、以下の条件を満たすように設定する。すなわち、レーザモジュール20のX軸方向における、レーザモジュール20の寸法(厚み)と防塵シート130の自然状態(組み立て前)での寸法(厚み)との合計は、上記した寸法のばらつきにかかわらず、組み立て後の座面122からヒートスプレッダー140の第1面までの長さよりも、わずかに大きい。
このとき、防塵シート130の厚みが大きすぎたり小さすぎたりすると、上述した問題が発生する恐れがある。したがって、防塵シート130の厚みは、組み立て後に、座面122とレーザモジュール20との間で適度に弾性変形する程度、とする。
このような設定とすることで、ヒートスプレッダー140をボス123に固定したときに、防塵シート130は圧縮されて弾性変形する。これにより、上記したばらつきは吸収される。また、これにより、照明光学系筐体120の開口部121は、防塵シート130とレーザモジュール20とで密閉され、照明光学系筐体120内部の防塵性が確保される。
なお、本実施の形態のヒートスプレッダー140は、平板状の部材で形成されている。そのため、座面122からヒートスプレッダー140の第1面までの長さは、座面122からボス123の先端面123aまでの長さと実質的に等しい。したがって、上記した条件は次のように言い換えることもできる。防塵シート130の厚みを、以下の条件を満たすように設定してもよい。すなわち、レーザモジュール20のX軸方向における、レーザモジュール20の寸法(厚み)と防塵シート130の自然状態(組み立て前)での寸法(厚み)との合計は、上記した寸法のばらつきにかかわらず、座面122からボス123の先端面123aまでの長さよりも、わずかに大きい。
例えば、X軸方向における、防塵シート130の自然状態(組み立て前)での厚みを約1mmとし、組み立て後の座面122からレーザモジュール20の出射面までの長さを約0.8mmとする。この場合は、防塵シート130は、約20%圧縮された状態で、座面122とレーザモジュール20の出射面との間に挟み込まれることになる。なお、これらの数値は単なる一例に過ぎず、本開示は何らこれらの数値に限定されない。
また、本実施の形態において、レーザモジュール20と冷却モジュール150とは、ヒートスプレッダー140の第1面と第2面とにそれぞれ直接取り付けられる。すなわち、レーザモジュール20はヒートスプレッダー140を介して冷却モジュール150へ熱的に接続されている。したがって、冷却モジュール150は、レーザモジュール20を効率よく冷却することができる。
また、本実施の形態において、レーザモジュール20を取り付けたヒートスプレッダー140を照明光学系筐体120に取り付ける構造と、冷却モジュール150をヒートスプレッダー140に取り付ける構造と、は互いに独立している。このため、例えば故障等により冷却モジュール150(冷却系170全体)を交換または修理する際に、レーザモジュール20およびヒートスプレッダー140を照明光学系筐体120から取り外さずに、冷却モジュール150をヒートスプレッダー140から取り外すことができる。照明光学系筐体120からレーザモジュール20を取り外して再装着すると、照明光学系筐体120の防塵性能が低下する恐れがある。しかし、本実施の形態におけるプロジェクタ100では、上述したように、冷却モジュール150を交換する際に、照明光学系筐体120からレーザモジュール20を取り外す必要がない。すなわち、ヒートスプレッダー140から冷却モジュール150だけを取り外せるので、照明光学系筐体120の防塵性を保ちつつ、冷却モジュール150のメンテナンス性を向上することができる。
なお、図8に一例を示すように、ヒートスプレッダー140に、レーザモジュール20および冷却モジュール150を取り付ける領域に加え、さらに、レーザモジュール20からの熱を放熱する放熱領域140aを設けてもよい。
[1−4.効果等]
以上のように、本実施の形態において、光源装置は、発光素子を備える光源と、熱伝導体と、光学系筐体と、冷却部と、を備える。熱伝導体は、第1面および第2面を有し、第1面に光源が熱的に接続される。光学系筐体は、開口部を有する取り付け部を有し、熱伝導体の第1面が取り付け部に対向する向きに配置されるとともに発光素子が開口部に対向する位置に配置されて熱伝導体が固定される。冷却部は、熱伝導体の第2面に熱的に接続され、光源からの熱を冷却する。
この光源装置は、弾性材料により形成され取り付け部と光源との間に挟み込まれる防塵シート、を備えていてもよい。
この光源装置では、光源の光軸方向における、光源の厚みと防塵シートの自然状態での厚みとの合計が、取り付け部から熱伝導体の第1面までの長さより長くなるように、防塵シートの自然状態での厚みが設定されていてもよい。
この光源装置において、熱伝導体は、光源および冷却部を熱的に接続する領域に加え、光源からの熱を放熱する放熱領域、を備えていてもよい。
この光源装置において、冷却部は、熱伝導体を光学系筐体に固定したまま、熱伝導体の第2面に着脱可能である。
また、本実施の形態において、映像表示装置は、発光素子を備える光源と、熱伝導体と、光学系筐体と、冷却部と、ライトバルブと、を備える。熱伝導体は、第1面および第2面を有し、第1面に光源が熱的に接続される。光学系筐体は、開口部を有する取り付け部を有し、熱伝導体の第1面が取り付け部に対向する向きに配置されるとともに発光素子が開口部に対向する位置に配置されて熱伝導体が固定される。冷却部は、熱伝導体の第2面に熱的に接続され、光源からの熱を冷却する。ライトバルブは、光源からの光を映像信号に応じて変調して生成した映像光を出射する。
なお、プロジェクタ100は、映像表示装置の一例である。光源部12は、光源装置の一例である。DMD96は、ライトバルブの一例である。レーザモジュール20は、光源の一例である。半導体レーザ素子22は、発光素子の一例である。座面122は、取り付け部の一例である。ヒートスプレッダー140は、熱伝導体の一例である。冷却モジュール150は、冷却部の一例である。照明光学系筐体120は、光学系筐体の一例である。開口部121は、開口部の一例である。防塵シート130は、防塵シートの一例である。放熱領域140aは放熱領域の一例である。
半導体レーザ素子は、製品寿命が約20,000時間以上と比較的長い。したがって半導体レーザ素子を光源に用いるプロジェクタでは、光源(例えば、レーザモジュール20)よりも冷却装置(例えば、冷却モジュール150)の方が、先に故障する場合がある。
光源と冷却装置とが互いに直接接続された従来技術によるプロジェクタでは、冷却装置を交換または修理する際に、冷却装置とともに光源も光学系筐体から取り外す必要がある。
しかし、光源がプロジェクタから取り外されると、それまで密閉されていた光学系筐体の一部が開放された状態となり、そこから光学系筐体内部に塵や埃が侵入してプロジェクタの光学的性能が低下する恐れがある。あるいは、光源を光学系筐体に再装着する際に、防塵シートの配置位置に若干のずれが生じる等して、それまでよりも防塵性能が低下する恐れもある。そのような場合、例えば光集塵効果により熱伝導グリスが光学系筐体内に侵入する等して、プロジェクタの光学的性能が低下する恐れもある。また、冷却装置を光源に再装着する際に、冷却装置と光源との互いの密着度がそれまでよりも低下して、光源を冷却する性能が低下する恐れもある。
しかしながら、本実施の形態に一例を示す光源装置を備えた映像表示装置は、光源を光学系筐体から取り外すことなく、冷却装置だけを光学系筐体から取り外し、再装着することができる。
例えば、プロジェクタ100では、レーザモジュール20を照明光学系筐体120から取り外すことなく、冷却モジュール150だけを照明光学系筐体120から取り外し、再装着することができる。レーザモジュール20を取り外さずに冷却モジュール150の交換作業が行えるため、照明光学系筐体120の内部を外気にさらさずに冷却モジュール150のメンテナンス作業を行うことができる。したがって、照明光学系筐体120の防塵性能の低下を防止し、冷却モジュール150のメンテナンス性を向上することができる。
また、レーザモジュール20と冷却モジュール150とをヒートスプレッダー140の第1面および第2面にそれぞれ直接固定するので、レーザモジュール20と冷却モジュール150とがヒートスプレッダー140を介して、互いに熱的に接続される。これにより、レーザモジュール20の冷却性能に関しても、従来技術と同等の性能を確保することができる。
また、本実施の形態では、レーザモジュール20をヒートスプレッダー140に取り付け、レーザモジュール20が取り付けられたヒートスプレッダー140を、防塵シート130を間に挟んで照明光学系筐体120に取り付ける構成としている。例えば、レーザモジュール20を、照明光学系筐体120に直接取り付けることも可能である。しかし、その構成では、複数のレーザホルダ25を備えたレーザモジュール20を照明光学系筐体120に取り付けるときに、レーザホルダ25の外形寸法にばらつきがあると、レーザホルダ25の背面側が不揃いとなり、レーザホルダ25の背面をヒートスプレッダー140に均一に密着させることが困難となる。しかし、本実施の形態では、まずレーザモジュール20をヒートスプレッダー140に取り付けるので、レーザホルダ25の外形寸法にばらつきがあっても、レーザホルダ25の背面をヒートスプレッダー140に実質的に均一に密着させることができる。一方、レーザホルダ25の外形寸法にばらつきがあり、レーザホルダ25の出射面側が不揃いのときに、防塵シート130がなければ、レーザモジュール20と座面122との間に隙間が生じ、照明光学系筐体120の防塵性能が低下する。しかし、本実施の形態では、レーザホルダ25の出射面と座面122との間に弾性変形する防塵シート130を挟み込むので、レーザホルダ25の出射面側が不揃いであっても、防塵シート130が弾性変形してそのばらつきは吸収されるので、照明光学系筐体120の防塵性能を確保することができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1では、照明光学系筐体120の開口部121が、レーザモジュール20と防塵シート130とによって密閉される構成を説明した。しかし、照明光学系筐体120の開口部121を密閉する構成は、この構成に限定されない。例えば、照明光学系筐体120の取り付け部をレーザモジュール20の形状に合わせた凹状の形状とし、防塵シート130を挟み込むことなしに、この凹状の取り付け部にレーザモジュール20が直接はまり込むような構成としてもよい。この構成では、レーザモジュール20が照明光学系筐体120に密着せずとも、照明光学系筐体120における防塵性能を確保することができる。ただし、照明光学系筐体120の防塵性能を高めるためには、実施の形態1に示したように、防塵シート130を用いる構成の方が望ましい。
実施の形態1では、ヒートスプレッダー140を平板状の板状部材で形成し、一方の面を第1面とし他方の面を第2面とする構成を説明した。しかし、ヒートスプレッダー140は何らこの構成に限定されない。例えば、L字型に折り曲げた板状部材でヒートスプレッダー140を形成してもよい。そして、一方の面を第1面とし、折り曲げ部を挟んだ他方の面を第2面としてもよい。この場合、第1面に取り付けられたレーザモジュール20から発生する熱は、第1面、折り曲げ部、第2面を経由して冷却モジュール150に伝導される。
図8に一例を示したように、ヒートスプレッダー140には、レーザモジュール20からの熱を放熱する放熱領域140aを設けてもよい。また、この放熱領域140aに、例えば銅等の熱伝導率が高い材料で形成された放熱フィン等の放熱部材を取り付けてもよい。あるいは、放熱領域140aに、放熱のための溝を設ける等してもよい。
実施の形態1では、冷却部の一例として液冷式の冷却系170を説明した。しかし、冷却系170は空冷式であってもよい。あるいは、ヒートスプレッダー140に、銅等の熱伝導率が高い材料で形成された放熱フィン等の放熱部材を取り付け、その放熱部材に対して送風するような構成であってもよい。なお、この構成の場合、銅に錆が生じて放熱性能が劣化する可能性があるが、本実施の形態では、錆びた放熱フィンだけをヒートスプレッダー140から取り外して交換することも可能である。
実施の形態1では、レーザモジュール20がレーザホルダ25を1つ備える構成を説明した。しかし、レーザモジュール20は、複数のレーザホルダを備えていてもよい。その場合、寸法公差の範囲内で、複数のレーザホルダ間の厚み方向の寸法が互いに異なる可能性がある。しかしながら、そのような場合であっても、各レーザホルダは、ヒートスプレッダー140に固定されるため、いずれのレーザホルダも熱をヒートスプレッダー140に伝導することができる。また、各レーザホルダの寸法のばらつきを防塵シート130で吸収することができる。
実施の形態1では、照明光学系筐体120の内部に、レーザモジュール20を除く光源部12の各光学部品を格納する構成を説明した。しかし、照明光学系筐体120は、光学部品を密閉して内部を防塵できる構造であれば、照明光学系筐体120の内部に、光源部12に加え、光源部12以外の部品が格納されてもよい。例えば、照明光学系筐体120は、光源部12、導光光学系70、および映像生成部90の全体または一部を内部に格納して密閉する構造であってもよい。その際、光の入口となる開口部および光の出口となる開口部は、これらを構成する部品のいずれかを取り付けて塞げばよい。これにより、照明光学系筐体120を、光の出口および光の入口を確保しつつ内部を密閉して防塵構造とすることができる。
実施の形態1では、ライトバルブの一例としてDMD96を示した。しかし、ライトバルブは、DMD96に限定されない。ライトバルブは、照明部10から出射された光を変調し、映像光を出力する素子であればよい。例えば、ライトバルブは、反射型液晶パネルや、透過型液晶パネル等であってもよい。
実施の形態1では、ヒートスプレッダー140の厚みについては言及しなかったが、ヒートスプレッダー140は適切な厚みに設定されることが望ましい。例えば、ヒートスプレッダー140が厚過ぎると、レーザモジュール20の熱が冷却モジュール150側に適切に伝導しない。一方、ヒートスプレッダー140が薄過ぎると、レーザモジュール20の熱がヒートスプレッダー140内で十分に拡散されないまま冷却モジュール150側に伝導するため、ヒートスプレッダー140が局所的に熱を持ち、冷却モジュールの冷却効果は限定的となる。したがって、レーザモジュール20の熱がヒートスプレッダー140内で適切に拡散して冷却モジュール150側に伝導し、冷却モジュールの冷却効果を適切に得られるように、ヒートスプレッダー140の厚みを設定することが望ましい。