JP6584803B2 - 汎用性エンドトキシンフリー化処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性がなく且つ吸水性の資材にも適用可能な新規のエンドトキシンを除去する方法に関する。
エンドトキシン(内毒素)とは、主としてグラム染色に染まらない(グラム陰性)細菌類の菌体の膜成分の一部であり、その成分はリポポリサッカライドと呼ばれる脂質多糖類、具体的には、リピドA (Lipid A)と呼ばれる脂質と多糖鎖とが2−ケト−3−デオキシオクトン酸(KDO)を介して結合したリポ多糖(LPS)である。リポ多糖に含まれるリピドAと呼ばれる脂質構造部分は、感染により人の体内に入ったときに細胞の受容体(TLR-4)と結合して炎症を引き起こし、多くの場合、様々な重篤な臨床症状を引き起こす。
本発明者らは、高感度エンドトキシン測定法を開発している(特許文献1〜3)。当該エンドトキシン測定法では、従来のエンドトキシンの測定方法より200倍程度、測定感度が高いためエンドトキシンフリーの度合いを高めておく必要がある。
従来の滅菌の方法として、高圧蒸気滅菌法(オートクレーブ)、電子線や放射線照射による滅菌法、ガス滅菌法(エチレンオキサイド(二酸化エチレン)による燻蒸法)、乾熱滅菌法等がある。
高圧蒸気滅菌、電子線・放射線照射による滅菌、ガス滅菌は、細菌を殺す(殺菌する)ことはできるが、菌体を消滅させることはできず、エンドトキシンとしての生物影響を除くことはできない。これらの方法により、従来法の感度の悪い測定法で検出できないエンドトキシンレベルを作り出すことは可能である。しかしながら、本発明者らが開発した新しい高感度エンドトキシン測定法で検出できない極低レベルのエンドトキシンフリー資材は得ることはできない。
乾熱滅菌では、エンドトキシンを除くために250℃で3時間以上処理して、菌体破片(エンドトキシン)を熱分解除去する。このように、乾熱滅菌で完全にエンドトキシンフリーとするためには、対象資材の耐熱性が要求され、多くの繊維や樹脂は対応できない。
また、その他の方法として、アルカリや酸溶液等の薬物によりエンドトキシンを分解洗浄するという方法も知られているが、平滑表面の機具類ならともかく、繊維や樹脂フィルターなど吸水性の資材は、それら薬剤を洗い落とす時、洗浄水によるエンドトキシンの再汚染が起きる可能性があり、不完全さが残ってしまう。
特許第4886785号公報 特許第4551980号公報 特許第5014466号公報
本発明者らは、高感度エンドトキシン測定法を開発し、空気中PM2.5又はPM0.5といった微粒子や環境大気中に含まれるエンドトキシンを検証したく計画したが、高感度エンドトキシン測定法にとっても十分なエンドトキシンフリーの粒子捕集のフィルターが無いことが分かった。
前述するように、高圧蒸気滅菌、電子線・放射線照射による滅菌などではエンドトキシンフリーのフィルター資材を入手することはできず、乾熱滅菌法は繊維や樹脂製フィルターには耐熱性の問題があり適用できない。また、薬物による分解洗浄も吸水性がある繊維や樹脂製フィルターでは洗浄水による再汚染が起きる可能性がある。
そこで、本発明は、繊維や樹脂製フィルターなどの耐熱性がなく且つ吸水性の資材にも適用可能なエンドトキシン除去方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、フィルターを次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸し、70℃で30分間熱処理を行ってエンドトキシンを分解した後、同様に処理したフィルター保持器具に充填し、オートクレーブ処理することによって、無菌化・エンドトキシンフリー化できるという知見を得た。この方法では、次亜塩素酸ナトリウムは熱分解し、微量の塩化ナトリウムとなり、エンドトキシン測定法に影響を与えないという利点を有する。
本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次のエンドトキシンを除去する方法を提供するものである。
項1.以下の工程(A)及び(B)を含むエンドトキシンを除去する方法:
(A) 被処理物を次亜塩素酸又はその塩の溶液に浸漬し50〜90℃で加熱処理する工程、及び
(B) 工程(A)で加熱処理した被処理物をオートクレーブ処理する工程。
項2.前記次亜塩素酸又はその塩が、次亜塩素酸ナトリウムである、項1に記載の方法。
項3.工程(A)の加熱処理が、10〜60分間行われる、項1又は2に記載の方法。
項4.工程(B)のオートクレーブ処理が、10〜30分間行われる、項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
項5.前記溶液の有効塩素濃度が、5〜12重量%である、項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
項6.前記被処理物が、フィルター、布、実験器具、医療器具、医療機器、又はガラス器具類である、項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
項7.前記被処理物が、繊維又は樹脂製のものである、項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
項8.前記被処理物が、繊維又は樹脂製のフィルターである、項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
本発明のエンドトキシンの除去方法によれば、容易にエンドトキシンフリーのフィルターや器具を作製することができる。また、本発明の方法は、繊維や樹脂製フィルターなどの耐熱性がなく且つ吸水性の資材についても、高感度なエンドトキシン測定法であっても検出できない程度の低濃度のエンドトキシンレベルにすることが可能である。さらに、本発明の方法は、フィルターに加えて、布、実験器具、医療器具、医療機器、ガラス器具類等にも適用可能である。
実施例1〜2及び比較例1〜3における各処理条件で得られたフィルターを用いて測定したエンドトキシン量を示すグラフである。BG(DW):ESP希釈液を用いてエンドトキシン量を測定したバックグラウンドである。なお、通常の比濁時間法によるエンドトキシン検出限界は0.6〜1.0 pg/mlとされている。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書において「含む(comprise)」とは、「本質的にからなる(essentially consist of)」という意味と、「からなる(consist of)」という意味をも包含する。
本発明のエンドトキシンを除去する方法は、以下の工程(A)及び(B)を含むことを特徴とする。
(A) 被処理物を次亜塩素酸又はその塩の溶液に浸漬し50〜90℃で加熱処理する工程、及び
(B) 工程(A)で加熱処理した被処理物をオートクレーブ処理する工程。
エンドトキシン(endotoxin)(内毒素)とは、前述するように、グラム陰性細菌の菌体の膜に存在するリポ多糖であって、毒素としての活性中心はリピドAにある。
本発明は、当該エンドトキシンを除去する方法であるが、本発明において「除去」とは、エンドトキシンが100%除去される必要はなく、上記工程(A)及び(B)の処理の前後で少なくともエンドトキシンの減少が生じてさえいればよいことを意味する。しかし、上記工程(A)及び(B)の処理の前後において、高感度のエンドトキシン測定法であっても検出できない程度の低濃度までエンドトキシンレベルが減少していることが望ましい。
ここでの高感度のエンドトキシン測定法とは、例えば、特許文献1〜3に記載されているエンドトキシン測定法(エンドトキシン散乱測光法;Endotoxin Scattering Photometry法(ESP法))であり、当該エンドトキシン測定法は、従来のエンドトキシンの測定方法より200倍程度、測定感度が高い。そのため、本発明のエンドトキシンの除去方法では、当該エンドトキシン測定法によっても検出できない程度の低濃度までエンドトキシンレベルが減少していることが望ましい。
ESP法は、エンドトキシンに特異的に反応してゲル化を起こすリムルス試薬を用いて、連続的攪拌条件下で試料と反応させ、発生するゲル粒子の出現時間からエンドトキシン濃度を測定する方法である。この測定反応を安定に行わせるため、ゲル粒子を制御して形成させるために必要な調節因子や界面活性剤などを加えたESP希釈液をもって試料調製を行う必要がある。
本発明のエンドトキシンを除去する方法は、エンドトキシンフリー化又はパイロジェンフリー化とも称することができる。
本発明のエンドトキシンの除去方法に供する被処理物としては、エンドトキシンが存在している可能性がある固体の物(例えば、金属製、ガラス製、樹脂製、繊維製の物など)であって本発明のオートクレーブ処理に耐えられる物であれば特に制限されず、例えば、フィルター、布、実験器具、医療器具、医療機器、ガラス器具類、リムルス試薬等の製造設備、エンドトキシン測定系に用いる器具類等が挙げられる。
フィルターとしては、ろ過のために用いられる部材(液体用フィルター、エアフィルターなど)であれば特に限定されないが、好ましくは空気中の粒子状物質を除去するために用いられる部材である。フィルターの材料も特に限定されず、例えば、天然又は合成の樹脂製の物や、天然又は合成の繊維製の物等が挙げられる。
布としては、繊維を薄い板状に加工したものであれば特に限定されないが、例えば、織物や不織布などが挙げられる。布の材料も特に限定されず、例えば、絹、麻、木綿等の天然の繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維などが挙げられる。
実験器具としては、一般的に実験に使用される機具類であれば特に限定されないが、例えば、ビーカー、ピペット、試験管、攪拌棒、スピッツ管、シャーレ、フラスコ、メスシリンダー、ろうと、マイクロチューブ、チップなどが挙げられる。
医療器具及び医療機器としては、医療において使用される器具や機器であれば特に限定されないが、例えば、メス、はさみ、ピンセット、鉗子、カテーテル、チューブ、注射器、縫合針、縫合糸、ステント、内視鏡などが挙げられる。
ガラス器具類としては、ガラス製の器具であれば特に限定なれないが、例えば、ビーカー、ピペット、試験管、攪拌棒、シャーレ、フラスコ、メスシリンダー、ろうとなどが挙げられる。
本発明のエンドトキシンの除去方法は、被処理物が繊維又は樹脂製のものである場合、特に繊維又は樹脂製のフィルターである場合に好適である。前述するように、繊維又は樹脂製の被処理物は、耐熱性の問題から乾熱滅菌法は多くの場合適用できず、また、吸水性を有することから薬物による分解洗浄も適用が難しいが、本発明のエンドトキシンの除去方法は、耐熱性がなく且つ吸水性である繊維又は樹脂製の被処理物に対しても適用可能である。
以下、本発明のエンドトキシンを除去する方法の各工程について説明する。
工程(A)
工程(A)は、被処理物を次亜塩素酸(HClO)又はその塩の溶液に浸漬し50〜90℃で加熱処理する工程である。
本発明において、次亜塩素酸(HClO)又はその塩の溶液に被処理物を浸漬することで、被処理物のエンドトキシンを分解・洗浄することができる。
次亜塩素酸(HClO)又はその塩の溶液は、殺菌作用を有しているので、一般的に、漂白剤、殺菌消毒剤として使用されている。
次亜塩素酸又はその塩の溶液としては、通常、水溶液である。ここで、水溶液には、所望により、水以外の溶媒が含まれていてもよい。
上記次亜塩素酸塩としては、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、例えば、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO)2)が挙げられ、好ましくは次亜塩素酸ナトリウムである。
次亜塩素酸又はその塩の溶液の有効塩素濃度としては、エンドトキシンを分解できる限り特に制限されないが、例えば5〜12重量%を挙げることができ、好ましくは10〜12重量%である。有効塩素濃度の測定は、常法に従って実施することができる(例えば、第六版 食品添加物公定書解説書(廣川書店)を参照)。
次亜塩素酸ナトリウム溶液については、様々なメーカーから市販されているので、これをそのまま若しくは所望の有効塩素濃度となるように適宜希釈した後、本発明において使用することができるし、又は公知の製造方法により製造することもできる。
上記の次亜塩素酸又はその塩の溶液には、所望により、次亜塩素酸又はその塩以外の成分が含まれていてもよい。
加熱処理の温度は、通常50〜90℃、好ましくは60〜80℃である。この範囲の温度で加熱処理を実施することにより、より低濃度のエンドトキシンレベルまでエンドトキシンの除去が可能となる。加熱処理は、例えば、ヒートブロックを使用することにより実施することができる。上記温度範囲であれば、沸騰により処理中に有効塩素濃度が低下することが無いため望ましい。
加熱処理の時間は、エンドトキシンを分解できる限り特に制限されないが、好ましくは10〜60分、より好ましくは20〜50分である。加熱処理の時間が短いほど有効塩素濃度の低下が少ないので望ましい。
本発明における浸漬とは、被処理物の全体又は一部を次亜塩素酸又はその塩の溶液に浸すことを意味するが、被処理物の全体を次亜塩素酸又はその塩の溶液に浸すことが望ましい。
工程(B)
工程(B)は、工程(A)で加熱処理した被処理物をオートクレーブ処理する工程である。
次亜塩素酸又はその塩の溶液に浸漬した被処理物をオートクレーブ処理することにより、次亜塩素酸又はその塩が熱分解するため、更なる洗浄を行う必要がなく、その上、エンドトキシン測定法にも影響を与えない。
オートクレーブ(autoclave)とは、高圧蒸気滅菌法ともいい、水を入れた密閉容器で、100℃以上に熱して水蒸気加圧し滅菌する方法を意味する。オートクレーブ処理は、生物学の実験において、滅菌のために広く使用されている方法である。
オートクレーブの温度は、通常100℃以上であり、好ましくは110〜130℃である。また、オートクレーブの圧力は、次亜塩素酸又はその塩を熱分解できる限り特に限定されないが、通常約1.1気圧以上、好ましくは約1.1〜約2.0気圧である。
オートクレーブ処理の時間は、次亜塩素酸又はその塩を熱分解できる限り特に限定されないが、好ましくは10〜40分、より好ましくは20〜40分である。
様々なメーカーから各種のオートクレーブ用の装置が市販されているので、これらの中から、本発明の方法に使用するのに適したオートクレーブ用の装置を適宜選択して使用することができる。
オートクレーブ処理の前に、被処理物に対して、適当な容器への収容又は包装など、オートクレーブ処理後の再度の汚染を防ぐ手段を講じることが望ましい。例えば、被処理物がフィルターの場合には、フィルターを装着したフィルターホルダーごとアルミ箔などで包むことが挙げられる。
本発明のエンドトキシンの除去方法では、上記の加熱処理とオートクレーブ処理の2つの工程を実施するだけであり、簡便にエンドトキシンフリーのフィルターや器具を作製することができる。また、高感度なエンドトキシン測定法であっても検出できない程度の低濃度のエンドトキシンレベルを得ることができる。
さらに、本発明のエンドトキシンの除去方法は、繊維や樹脂製フィルターなどの耐熱性がなく且つ吸水性の資材についても適用可能である。
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
実施例1
(1) 不織布(東レの機器払拭用、2μm繊維で出来ている)を約26 mm径で切り取った。
(2) アンチホルミン(次亜塩素酸ナトリウム溶液原液)(ナカライテスク(株), code.315-18)を50-mlプラスチックチューブに20 ml取り、フィルターを浸漬した。
(3) ヒートブロック(70℃)で30分間加温した。
(4) あらかじめ室温レベルのアンチホルミンで浸漬したフィルターホルダーに、加温後のフィルターをピンセットで装着し、全体をアルミフォイルで包んだ。
(5) オートクレーブ((株)トミー精工、SD-321)を30分間実施した。処理後、自然放冷した。吸引乾燥は行わなかった。
(6) フィルターホルダーを分解し、あらかじめ滅菌処理したピンセットを用いてフィルターを新しい無菌の50 mlチューブに移し、密栓した。測定まで冷凍保存した。
(7) ESP希釈液5 mlをフィルターの入っている50 mlチューブに入れた。
(8) 超音波槽に入れて30分放置した(10分おきに液を攪拌した)。フィルターに捕集された微粒子からエンドトキシンを抽出した。
(9) 抽出後、直ちに上清から1 ml採取し、エンドトキシン散乱測光法;Endotoxin Scattering Photometry法(ESP法)でエンドトキシンを測定した。
(ESP法)
(1)ESP希釈液で抽出されたフィルター浸漬溶液は、希釈せず、また加熱処理をしないで,原液をリムルス試薬と混合した。リムルス試薬はシングルテストワコーES (和光純薬工業(株)、code.411-355301)を用いた。
(2)試料溶液630μLとリムルス試薬1本を混合して反応を開始し、あらかじめ乾熱滅菌法で無菌化した試料キュベットに300μLずつ2分して、その両方を側方散乱計測によるESP法測定を行った(側方散乱によるESP法計測は、興和(株) PA-200を用いた)。
(3)小粒子出現時間を計り、同様に標準エンドトキシンを用いて作成した検量線を元に、その出現時間のエンドトキシン濃度を計算した。2本測った値を平均し、またその5倍濃度を、フィルター由来のエンドトキシン量とした。
(ESP希釈液)
ESP希釈液は、従来のエンドトキシン測定法にない概念で、ゲル化の過程で生じるゲル化開始のきっかけを制御するものである。主として極低濃度のエンドトキシン蒸溜水に界面活性剤(TritonX-100, 0.02%(v/v))と熱変性タンパク質溶液(1%(v/v)熱変性アルブミン、0.02%(v/v))を加えたもので、リムルス試薬とエンドトキシンが反応中に産生する不溶性タンパク質コアグリンを、適正なサイズに凝集せしめるよう調整されたものである(小幡 徹、日本血栓止血学会誌 20巻:66-71頁(2009)参照)。
BG(DW)
ESP希釈液のエンドトキシン濃度を示すバックグラウンドである。実施例1と同じESP法でエンドトキシンを測定した。なお、比濁時間法の検出限界は0.6〜1.0 pg/mlなので、比濁時間法ではこの濃度は検出できない。
実施例2(環境大気中エンドトキシンの測定)
工程(5)終了後に、アルミフォイルを開けて、吸気側に50 ml注射器をセットして、ゆっくり1000 mlほど引いて空気を捕集した以外は実施例1と同様にしてフィルター処理を行った。処理後に、実施例1と同じESP法でエンドトキシンを測定した。
比較例1(アンチホルミン未処理)
フィルターをアンチホルミンに浸漬する処理を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にしてフィルター処理を行った(すなわち、フィルターにオートクレーブ処理のみを実施した)。処理後に、実施例1と同じESP法でエンドトキシンを測定した。
比較例2(アンチホルミン非加熱処理)
フィルターのアンチホルミン処理をヒートブロックでの加温に代えて、室温で実施したこと以外は実施例1と同様にしてフィルター処理を行った。処理後に、実施例1と同じESP法でエンドトキシンを測定した。
比較例3(アンチホルミン沸騰処理)
フィルターのアンチホルミン処理をヒートブロックでの70℃の加温に代えて、100℃で加温したこと以外は実施例1と同様にしてフィルター処理を行った(即ち、100℃でアンチホルミン処理を実施した)。処理後に、実施例1と同じESP法でエンドトキシンを測定した。
実施例1(全行程処理)、実施例2及び比較例1〜3で得られたエンドトキシン量の結果を図1に示す。

Claims (4)

  1. 以下の工程(A)及び(B)を含むエンドトキシンを除去する方法:
    (A) 被処理物を次亜塩素酸又はその塩の溶液に浸漬し50〜90℃で加熱処理する工程であって、該被処理物が繊維又は樹脂製のフィルターである、工程及び
    (B) 工程(A)で加熱処理した被処理物をオートクレーブ処理する工程。
  2. 前記次亜塩素酸又はその塩が、次亜塩素酸ナトリウムである、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(A)の加熱処理が、10〜60分間行われる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(B)のオートクレーブ処理が、10〜40分間行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
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