ドリルドライバやインパクトドライバを使用したネジの締め付けや穴開けでは、ドリルビットが高速で回転するため、螺着箇所や穿孔箇所からドリルビットをズレ動かそうとする強い力がドリルドライバやインパクトドライバに作用し、ドリルビットの軸を螺着箇所や穿孔箇所に直交させた状態でドリルビットの先端を螺着箇所や穿孔箇所にピンポイントで静止させることが難しく、ドリルビットの軸が螺着箇所や穿孔箇所に対して斜めに傾斜したり、ドリルビットの先端が螺着箇所や穿孔箇所からズレ動いてしまう場合がある。
螺着箇所や穿孔箇所に対してドリルビットの軸が斜めに傾斜すると、ネジが螺着箇所に斜めに螺着される場合があり、または、穿孔箇所に異なる方向へ穴が開けられてしまう場合がある。ドリルビットの先端が螺着箇所や穿孔箇所からズレ動くと、ネジを螺着箇所に正確に螺着することができない場合があり、または、穿孔箇所とは異なる箇所に穴が開けられてしまう場合がある。
ドリルドライバやインパクトドライバを使用したネジの締め付け時には、ネジが螺着箇所に食い込むように螺着されるため、大きな螺着音が発生し、ドリルドライバやインパクトドライバを使用した穴開け時には、ドリルビットが穿孔箇所に食い込むように進入するため、大きな穿孔音が発生し、螺着音や穿孔音が周囲に不快な雑音として伝播し、周囲の静寂を破壊する騒音公害の原因になる。
本発明の目的は、ネジの締め付けや穴開けにおいてドリルビットの軸の螺着箇所や穿孔箇所における直交状態を維持することができ、螺着箇所や穿孔箇所におけるドリルビットのズレ動きを防ぐことができるドリルストッパーを提供することにある。本発明の他の目的は、大きな螺着音や穿孔音の発生を防ぐことができ、不快な騒音の周囲への伝播を防ぐことができるドリルストッパーを提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の前提は、所定の螺着箇所に対するネジの締め付けまたは所定の穿孔箇所に対する穴開けに使用する電動ドリルの先端部に取り付けられ、電動ドリルのチャックに取り付けられたドリルビットの先端を箇所に対向させた状態で電動ドリルをそれら箇所に設置するドリルストッパーである。
前記前提における本発明の特徴は、ドリルストッパーが、電動ドリルの先端部に取り付けられ、ドリルビットをその内部に挿通して軸方向へ延びる固定パイプと、固定パイプの内部に摺動可能に設置され、ドリルビットをその内部に挿通して軸方向へ延びる摺動パイプと、固定パイプから軸方向前方へ露出する摺動パイプの露出筒部に取り付けられた固定ベースと、固定ベースに軸方向および上下方向へ遊動可能に取り付けられて軸方向へ延びる遊動ガイドと、遊動ガイドの下方に位置して遊動ガイドに旋回可能に取り付けられた軸方向へ長い旋回レバーと、固定ベースおよび旋回レバーに旋回可能に取り付けられた旋回クランプとを有し、ドリルストッパーでは、摺動パイプの先端を箇所に当接させるとともに旋回クランプを箇所に対向させた状態で旋回レバーを上下方向上方へ旋回させると、旋回クランプが箇所に向かって旋回して箇所が摺動パイプの先端と旋回クランプとに挟まれ、それによって摺動パイプの先端と旋回クランプとが箇所に密着しつつ摺動パイプが箇所に固定され、摺動パイプが箇所に固定された状態から旋回レバーを上下方向下方へ旋回させると、旋回クランプが箇所から離間する方向へ旋回して箇所に対する摺動パイプの固定が解除されることにある。
本発明の一例としては、固定ベースが、摺動パイプの露出筒部の所定位置に固定された固定部と、固定部の下方に位置して固定部から軸方向後方へ延びるガイド部と、ガイド部の下方に位置して固定部から軸方向前方へ延びる延出部と、ガイド部において幅方向へ延びる遊動軸とを備え、遊動ガイドが、固定ベースのガイド部に位置して軸方向へ延びる第1遊動部と、固定ベースの延出部に位置して軸方向へ延びる第2遊動部と、第1遊動部に画成されて遊動軸に挿通された遊動開口とを備え、旋回レバーが、幅方向へ延びる第1回転軸を介して遊動ガイドの第2遊動部に回転可能に連結された中央部と、中央部から軸方向後方へ延びる後端部と、中央部から軸方向前方へ延びる前端部とを備え、旋回クランプが、幅方向へ延びる第2回転軸を介して旋回レバーの前端部に回転可能に連結された第1回転部と、幅方向へ延びる第3回転軸を介して固定ベースの延出部に回転可能に連結された第2回転部と、第2回転部から軸方向前方に延在するフック部とを備えている。
本発明の他の一例としては、固定パイプが、電動ドリルの先端部に着脱可能に連結される連結端部と、連結端部から軸方向前方へ延びる延出筒部と、延出筒部に形成されて延出筒部の内周面から径方向内方へ延びる第1フランジとを備え、摺動パイプが、固定パイプの延出筒部に位置する摺動筒部と、摺動筒部の後端から径方向外方へ延びる第2フランジとを備え、ドリルストッパーが、固定パイプの延出筒部と摺動パイプの摺動筒部との間に位置し、前端が固定パイプの第1フランジに当接するとともに後端が摺動パイプの第2フランジに当接して固定パイプを軸方向前方へ付勢する第1バネを有する。
本発明の他の一例として、ドリルストッパーでは、摺動パイプが箇所に固定されたときに、第1バネの付勢力によって固定パイプとともにドリルビットが軸方向前方へ付勢され、それによってドリルビットの先端に設置されたネジまたはドリルビットの先端が箇所に押圧状態で当接する。
本発明の他の一例として、ドリルストッパーでは、摺動パイプが箇所に固定されたときに、ドリルビットの先端に設置されたネジまたはドリルビットの先端が摺動パイプの内部に位置する。
本発明の他の一例としては、固定パイプがその連結端部に連結されて電動ドリルの先端部に着脱可能に固定されるアタッチメントを含み、ドリルストッパーでは、固定パイプの連結端部がアタッチメントを介して電動ドリルの先端部に連結される。
本発明の他の一例としては、固定ベースのガイド部がその後端に開口する螺着孔を備え、ドリルストッパーがガイド部の螺着孔に螺着されて軸方向前方または軸方向後方に進退可能であって前端が遊動ガイドの第1遊動部の後端に当接する調節軸を含み、調節軸を軸方向前方へ前進させると、調節軸によって遊動ガイドの第1遊動部が押圧されて遊動ガイドが軸方向前方に移動するとともに、箇所に向かって旋回した旋回クランプのフック部と摺動パイプの先端との軸方向の離間寸法が小さくなり、調節軸を軸方向後方へ後退させると、遊動ガイドが軸方向後方に移動するとともに、箇所に向かって旋回した旋回クランプのフック部と摺動パイプの先端との軸方向の離間寸法が大きくなる。
本発明の他の一例としては、ドリルストッパーが、後端が固定ベースの固定部に連結され、前端が旋回レバーの前端部に連結されて旋回レバーの前端部を固定ベースの固定部に向かって付勢する第2バネを含み、摺動パイプが箇所に固定された状態から旋回レバーを上下方向下方へ旋回させたときに、旋回レバーの前端部を固定ベースの固定部に向かって旋回させる方向へ第2バネの付勢力が作用する。
本発明の他の一例としては、ドリルストッパーが箇所に対する摺動パイプの固定を解除するときに使用する解除レバーを含み、解除レバーが、幅方向へ延びる第4回転軸を介して旋回レバーの中央部に回転可能に連結された支点部と、支点部から軸方向後方へ延びるとともに中央部から斜め上方へ延びる把持部と、支点部から軸方向前方へ延びていて遊動ガイドの中央下端に当接する作用部とを備え、ドリルストッパーでは、摺動パイプが箇所に固定された状態から解除レバーの把持部を旋回レバーの後端部に向かって上下方向下方へ旋回させると、解除レバーの作用部が遊動ガイドを上下方向上方へ移動させるとともに旋回レバーの前端部を上下方向下方へ旋回させ、それによって旋回クランプのフック部が箇所から離間する方向へ旋回する。
本発明の他の一例として、摺動パイプの露出筒部には、軸方向へ所定寸法離間して並んでいて径方向内方へ凹む複数の第1〜第n係合溝が形成され、ドリルストッパーが固定ベースの固定部の直前に位置してそれら係合溝のいずれかに係合するストッパーリングを備え、ドリルストッパーでは、それら係合溝のいずれかに係合したストッパーリングによって固定ベースの軸方向前方への移動が阻止されている。
本発明の他の一例として、ドリルストッパーでは、ストッパーリングを第1〜第n係合溝のいずれかに係合させることで、摺動パイプの露出筒部に対する固定ベースの取付位置を変更可能であり、箇所に向かって旋回した旋回クランプのフック部と摺動パイプの先端との軸方向の離間寸法を調節可能である。
本発明の他の一例としては、電動ドリルがドリルドライバまたはインパクトドライバのいずれかである。
前記本発明にかかるドリルストッパーによれば、摺動パイプの先端を螺着箇所や穿孔箇所に当接させるとともに旋回クランプをそれら箇所に対向させた状態で旋回レバーを上下方向上方へ旋回させると、旋回クランプがそれら箇所に向かって旋回してそれら箇所が摺動パイプの先端と旋回クランプとに挟まれ、それによって摺動パイプの先端とクランプとがそれら箇所に密着しつつ摺動パイプがそれら箇所に固定され、その状態で電動ドリルのトリガーを引くことでネジ締め付けや穴開けを行うことができるから、ネジ締め付け時や穴開け時にドリルビットの軸のそれら箇所における直交状態を維持することができ、それら箇所におけるドリルビットのズレ動きを防ぐことができる。ドリルストッパーは、ドリルビットの軸のそれら箇所における直交状態を維持することができ、それら箇所におけるドリルビットのズレ動きを防ぐことができるから、螺着箇所の正確な位置にネジを締め付けることができ、螺着箇所において正確な方向へネジを締め付けることができるとともに、穿孔箇所の正確な位置に穴を開けることができ、穿孔箇所において正確な方向へ穴を開けることができる。ドリルストッパーは、それを利用することで電動ドリルを螺着箇所や穿孔箇所に設置することができるから、電動ドリルを持ち続ける力を必要とせず、作業者の腕に電動ドリルの重量がかかることがなく、ネジ締め付け作業や穴開け作業にかかる負担を軽減することができる。ドリルストッパーは、摺動パイプが螺着箇所や穿孔箇所に固定された状態から旋回レバーを上下方向下方へ旋回させることで、旋回クランプがそれら箇所から離間する方向へ旋回してそれら箇所に対する摺動パイプの固定が解除されるから、ネジ締め付け作業や穴開け作業を終了した後、それら箇所に対する摺動パイプの固定を容易に解除することができ、次の螺着箇所や穿孔箇所に対するネジ締め付け作業や穴開け作業にすみやかに移行することができる。
固定ベースが摺動パイプの露出筒部の所定位置に固定された固定部と固定部から軸方向後方へ延びるガイド部と固定部から軸方向前方へ延びる延出部とガイド部において幅方向へ延びる遊動軸とを備え、遊動ガイドが固定ベースのガイド部に位置して軸方向へ延びる第1遊動部と固定ベースの延出部に位置して軸方向へ延びる第2遊動部と第1遊動部に画成されて遊動軸に挿通された遊動開口とを備え、旋回レバーが第1回転軸を介して遊動ガイドの第2遊動部に回転可能に連結された中央部と中央部から軸方向後方へ延びる後端部と中央部から軸方向前方へ延びる前端部とを備え、旋回クランプが第2回転軸を介して旋回レバーの前端部に回転可能に連結された第1回転部と第3回転軸を介して固定ベースの延出部に回転可能に連結された第2回転部と第2回転部から軸方向前方へ延在するフック部とを備えているドリルストッパーは、旋回クランプが螺着箇所や穿孔箇所に向かって旋回してそれら箇所が摺動パイプの先端と旋回クランプのフック部とに挟まれ、それによって摺動パイプの先端がそれら箇所に密着しつつ摺動パイプがそれら箇所に固定され、その状態で電動ドリルのトリガーを引くことでネジ締め付けや穴開けを行うことができるから、ネジ締め付け時や穴開け時にドリルビットの軸のそれら箇所における直交状態を維持することができ、それら箇所におけるドリルビットのズレ動きを防ぐことができる。ドリルストッパーは、ドリルストッパーは、ドリルビットの軸のそれら箇所における直交状態を維持することができ、それら箇所におけるドリルビットのズレ動きを防ぐことができるから、螺着箇所の正確な位置にネジを締め付けることができ、螺着箇所において正確な方向へネジを締め付けることができるとともに、穿孔箇所の正確な位置に穴を開けることができ、穿孔箇所において正確な方向へ穴を開けることができる。
固定パイプが電動ドリルの先端部に着脱可能に連結される連結端部と連結端部から軸方向前方へ延びる延出筒部と延出筒部の内周面から径方向内方へ延びる第1フランジとを備え、摺動パイプが固定パイプの延出筒部に位置する摺動筒部と摺動筒部の後端から径方向外方へ延びる第2フランジとを備え、固定パイプの延出筒部と摺動パイプの摺動筒部との間に位置し、前端が固定パイプの第1フランジに当接するとともに後端が摺動パイプの第2フランジに当接して固定パイプを軸方向前方へ付勢する第1バネを有するドリルストッパーは、第1バネが固定パイプを軸方向前方へ付勢することで、摺動パイプを螺着箇所や穿孔箇所に固定したときに、摺動パイプをそれら箇所に密着させることができ、摺動パイプをそれら箇所に遊動不能に固定することができる。ドリルストッパーは、それを利用することで、摺動パイプを螺着箇所や穿孔箇所に遊動不能に固定することができるから、ネジ締め付け作業や穴開け作業の作業中においてそれら箇所におけるドリルビットのズレ動きを防ぐことができ、螺着箇所の正確な位置にネジを締め付けることができ、螺着箇所において正確な方向へネジを締め付けることができるとともに、穿孔箇所の正確な位置に穴を開けることができ、穿孔箇所において正確な方向へ穴を開けることができる。
摺動パイプが螺着箇所や穿孔箇所に固定されたときに、第1バネの付勢力によって固定パイプとともにドリルビットが軸方向前方へ付勢され、それによってドリルビットの先端に設置されたネジまたはドリルビットの先端がそれら箇所に押圧状態で当接するドリルストッパーは、摺動パイプが螺着箇所に固定されたときにドリルビットの先端に設置されたネジが螺着箇所に押圧状態で当接するから、作業者が電動ドリルに設置されたドリルビットを螺着箇所に押し付ける操作をする必要はなく、トリガーを引くだけで螺着箇所にネジを締め付けることができ、ネジ締め付け作業にかかる負担を軽減することができる。ドリルストッパーは、摺動パイプが穿孔箇所に固定されたときにドリルビットの先端が穿孔箇所に押圧状態で当接するから、作業者が電動ドリルに設置されたドリルビットを穿孔箇所に押し付ける操作をする必要はなく、トリガーを引くだけで穿孔箇所に穴を開けることができ、穴開け作業にかかる負担を軽減することができる。
摺動パイプが螺着箇所や穿孔箇所に固定されたときに、ドリルビットの先端に設置されたネジまたはドリルビットの先端が摺動パイプの内部に位置するドリルストッパーは、ネジ締め付け時にネジの螺着音が摺動パイプの外側に漏れることがなく、穴開け時に穿孔音が摺動パイプの外側に漏れることがないから、大きな螺着音や大きな穿孔音の発生を防ぐことができ、不快な騒音の周囲への伝播を防ぐことができる。ドリルストッパーは、それを利用することで、周囲の静寂を保持することができ、静穏状態を保持しつつネジ締め付け作業や穴開け作業を行うことができる。
固定パイプがその連結端部に連結されて電動ドリルの先端部に着脱可能に固定されるアタッチメントを含み、固定パイプの連結端部がアタッチメントを介して電動ドリルの先端部に連結されるドリルストッパーは、電動ドリルはその大きさが様々であり、その先端部のサイズが様々であるが、サイズ(直径)の異なる複数のアタッチメントを用意することで、様々なサイズの電動ドリルの先端部にドリルストッパーを取り付けることができ、先端部のサイズの異なる電動ドリルに対してドリルストッパーを利用することができる。
固定ベースのガイド部がその後端に開口する螺着孔を備え、ガイド部の螺着孔に螺着されて軸方向前方または軸方向後方に進退可能であって前端が遊動ガイドの第1遊動部の後端に当接する調節軸を含み、調節軸を軸方向前方へ前進させると、調節軸によって遊動ガイドの第1遊動部が押圧されて遊動ガイドが軸方向前方に移動するとともに、螺着箇所や穿孔箇所に向かって旋回した旋回クランプのフック部と摺動パイプの先端との軸方向の離間寸法が小さくなり、調節軸を軸方向後方へ後退させると、遊動ガイドが軸方向後方に移動するとともに、螺着箇所や穿孔箇所に向かって旋回した旋回クランプのフック部と摺動パイプの先端との軸方向の離間寸法が大きくなるドリルストッパーは、調節軸を軸方向前方へ前進させることで、旋回クランプのフック部と摺動パイプの先端との軸方向の離間寸法が小さくなり、調節軸を軸方向後方へ後退させることで、旋回クランプのフック部と摺動パイプの先端との軸方向の離間寸法が大きくなるから、螺着箇所や穿孔箇所の寸法に応じてフック部と摺動パイプの先端との離間寸法を調節することができ、様々な寸法の螺着箇所や穿孔箇所に対してネジ締め付け作業や穴開け作業を行うことができる。
後端が前記固定ベースの固定部に連結され、前端が旋回レバーの前端部に連結されて旋回レバーの前端部を固定ベースの固定部に向かって付勢する第2バネを含み、摺動パイプが箇所に固定された状態から旋回レバーを上下方向下方へ旋回させるときに、旋回レバーの前端部を固定ベースの固定部に向かって旋回させる方向へ第2バネの付勢力が作用するドリルストッパーは、摺動パイプの箇所に対する固定を解除する場合、旋回レバーを上下方向下方へ旋回させるが、そのときに旋回レバーの前端部を固定ベースの固定部に向かって旋回させる方向へ第2バネの付勢力が作用するから、旋回レバーを上下方向下方へ容易に旋回させることができ、摺動パイプの箇所に対する固定を容易に解除することができる。
螺着箇所や穿孔箇所に対する摺動パイプの固定を解除するときに使用する解除レバーを含み、解除レバーが第4回転軸を介して旋回レバーの中央部に回転可能に連結された支点部と支点部から軸方向後方へ延びるとともに旋回レバーの中央部から斜め上方へ延びる把持部と支点部から軸方向前方へ延びていて遊動ガイドの中央下端に当接する作用部とを備え、摺動パイプがそれら箇所に固定された状態から解除レバーの把持部を旋回レバーの後端部に向かって上下方向下方へ旋回させると、解除レバーの作用部が遊動ガイドを上下方向上方へ移動させるとともに旋回レバーの前端部を上下方向下方へ旋回させ、それによって旋回クランプのフック部がそれら箇所から離間する方向へ旋回するドリルストッパーは、解除レバーの把持部を旋回レバーの後端部に向かって上下方向下方へ旋回させることで、旋回クランプのフック部が螺着箇所や穿孔箇所から離間する方向へ旋回するから、梃子の原理によってそれら箇所に対する摺動パイプの固定を少ない力で容易に解除することができる。
軸方向へ所定寸法離間して並んでいて径方向内方へ凹む複数の第1〜第n係合溝が摺動パイプの露出筒部に形成され、ドリルストッパーが固定ベースの固定部の直前に位置して係合溝に係合するストッパーリングを備え、係合溝に係合したストッパーリングによって固定ベースの軸方向前方への移動が阻止されているドリルストッパーは、係合溝に係合したストッパーリングによって固定ベースの軸方向前方への移動が阻止されるから、ドリルストッパーを利用したネジ締め付け作業や穴開け作業の作業中における固定ベースの不用意な移動を防ぐことができ、ネジ締め付け作業や穴開け作業を確実に行うことができる。
ストッパーリングを第1〜第n係合溝のいずれかに係合させることで、摺動パイプの露出筒部に対する固定ベースの取付位置を変更可能であり、螺着箇所や穿孔箇所に向かって旋回した旋回クランプのフック部と摺動パイプの先端との軸方向の離間寸法を調節可能であるドリルストッパーは、それら箇所の寸法に応じて第1〜第n係合溝に対する固定ベースの取付位置を変更することで、旋回クランプのフック部と摺動パイプの先端との離間寸法を調節することができるから、様々な寸法の螺着箇所や穿孔箇所に対してネジ締め付け作業や穴開け作業を行うことができる。
電動ドリルがドリルドライバまたはインパクトドライバのいずれかであるドリルストッパーは、摺動パイプが螺着箇所や穿孔箇所に固定された状態でドリルドライバやインパクトドライバのトリガーを引くことでネジ締め付けや穴開けを行うことができるから、ネジ締め付け時や穴開け時にドリルビットの軸のそれら箇所における直交状態を維持することができ、それら箇所におけるドリルビットのズレ動きを防ぐことができる。ドリルストッパーは、ドリルビットの軸のそれら箇所における直交状態を維持することができ、それら箇所におけるドリルビットのズレ動きを防ぐことができるから、ドリルドライバやインパクトドライバによって螺着箇所の正確な位置にネジを締め付けることができ、螺着箇所において正確な方向へネジを締め付けることができるとともに、穿孔箇所の正確な位置に穴を開けることができ、穿孔箇所において正確な方向へ穴を開けることができる。
一例として示すドリルストッパー10の斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかるドリルストッパーの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2,3は、ドリルストッパー10の側面図であり、図4は、ドリルストッパー10を切断して示す側面図である。
図1では、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bの先端部12のみを示す。図2は、旋回レバー21を下方に旋回させた状態で示し、図3は、旋回レバー21を上方に旋回させた状態で示す。図4では、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bの一部分を示す。図1〜図3では、螺子孔30,42の図示を省略し、図2,3ではストッパーリング81の図示を省略している。図1では、軸方向を矢印X、径方向を矢印Y、上下方向を矢印Zで示す。図4では、軸方向前方を矢印X1、軸方向後方を矢印X2で示す。
ドリルストッパー10は、所定の螺着箇所(螺着部材)に対するネジ締め付けまたは所定の穿孔箇所(穿孔部材)に対する穴開けに使用するドリルドライバ11A(電動ドリル)またはインパクトドライバ12B(電動ドリル)の先端部12に取り付けられる。ドリルストッパー10は、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bのチャック13に取り付けられたドリルビット14の先端15を螺着箇所や穿孔箇所に対向させた状態でドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bをそれら箇所に設置・固定する。
ドリルストッパー10は、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bの先端部12に着脱可能に取り付けられる軸方向へ長い固定パイプ16と、固定パイプ16の内部に摺動可能に設置される軸方向へ長い摺動パイプ17と、摺動パイプ17に取り付けられた固定ベース18と、固定ベース18に取り付けられた遊動ガイド19と、固定ベース18に螺着された調節軸20と、遊動ガイド19に取り付けられた軸方向へ長い一対の旋回レバー21と、旋回レバー21に取り付けられた解除レバー22と、固定ベース18および旋回レバー21に取り付けられた旋回クランプ23と、第1および第2コイルバネ24,25(第1および第2バネ)とを有する。ドリルストッパー10を形成する各部材は、金属から作られている。
図5は、一例として示す固定パイプ16の分解側面図である。図6は、一例として示す摺動パイプ17の側面図であり、図7(a)は、一例として示す固定ベース18の側面図である。図7(b)は、固定ベース18の正面図であり、図7(c)は、固定ベース18の上面図である。図8は、一例として示す遊動ガイド19の側面図であり、図9は、一例として示す旋回レバー21の分解側面図である。図10は、一例として示す解除レバー22の側面図であり、図11は、一例として示す旋回クランプ23の側面図である。
固定パイプ16は、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bの先端部12(チャック13近傍)に取り付けられて軸方向前方へ延びている。固定パイプ16は、図5に示すように、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bの先端部12に位置する連結端部26と、連結端部26から軸方向前方へ延びる中空の延出筒部27と、延出筒部27に形成された第1フランジ28と、連結端部26に着脱可能に連結されるアタッチメント29とを備えている。延出筒部27の内部には、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bのチャック13に取り付けられたドリルビット14が挿通(収容)されている。
連結端部26の外周壁には、螺子(図示せず)が形成されている。第1フランジ28は、延出筒部27の内周面から径方向内方へ延びている。アタッチメント29は、略円環状に成形され、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bの先端部12を包被する大きさに作られている。アタッチメント29の前端内周壁には、連結端部26の螺子に螺着される螺子(図示せず)が作られている。アタッチメント29の後端周壁には、固定ネジ(図示せず)を螺着する複数の螺子孔30が作られている。
固定パイプ16をドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bの先端部12に取り付けるには、連結端部26の螺子にアタッチメント29の前端内周壁の螺子を螺着して連結端部26にアタッチメント29を取り付けた後、アタッチメント29の後端開口にドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bの先端部12を嵌め込み、アタッチメント29の後端周壁に作られたそれら螺子孔30に固定ネジを螺着する。固定パイプ16の連結端部26は、アタッチメント29を介してドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bの先端部12に着脱可能に連結される。
ドリルドライバ11A(電動ドリル)やインパクトドライバ11B(電動ドリル)はその大きさが様々であり、それらの先端部12のサイズが様々であるが、後端開口のサイズ(直径)の異なる複数のアタッチメント29を用意することで、様々なサイズのドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bの先端部12にドリルストッパー10を取り付けることができ、先端部12のサイズが異なるドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bに対してドリルストッパー10を利用することができる。
摺動パイプ17は、固定パイプ16の内部に摺動可能に設置されて軸方向へ延びている。摺動パイプ17は、図6に示すように、固定パイプ16の先端から軸方向前方へ露出する露出筒部31と、固定パイプ16の延出筒部27に位置する摺動筒部32と、摺動筒部32の後端から径方向外方へ延びる第2フランジ33とを備えている。露出筒部31および摺動筒部32の内部には、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bのチャック13に取り付けられたドリルビット14が挿通(収容)されている。
摺動パイプ17の露出筒部31には、径方向内方へ凹む複数の第1〜第3係合溝34a〜34c(第1〜第n係合溝)が形成されている。それら係合溝34a〜34cは、軸方向へ所定寸法離間(等間隔離間)して並んでいる。摺動パイプ17の露出筒部31に3つの係合溝34a〜34cが作られているが、2つまたは4つ以上の係合溝が露出筒部31に作られていてもよい。
固定ベース18は、摺動パイプ17の露出筒部31に着脱可能に取り付けられている。固定ベース18は、図7(a)〜図7(c)に示すように、摺動パイプ17の露出筒部31の所定位置に固定された固定部35と、固定部35の下方に位置するガイド部36と、ガイド部36の下方に位置する延出部37と、遊動軸38とを備えている。固定部35は、円環状に成形された円環部分39と、円環部分39から上下方向下方へ延びる接続部分40とを有する。固定部35の円環部分39には、摺動パイプ17の露出筒部31に挿通される円形の挿通開口41が画成されているとともに、固定ネジ(図示せず)を螺着する螺子孔42が作られている。
ガイド部36は、固定部35の下方から軸方向後方へ延びている。ガイド部36は、固定部35の接続部分40から軸方向後方へ開口する頂壁部分43と、接続部分40につながって軸方向後方へ延びる両側壁部分44と、両側壁部分44につながった後壁部分45(後端)とを有する。
ガイド部36の頂壁部分43と両側壁部分44と後壁部分45との間には、それら壁部分43〜45に囲繞されて軸方向後方へ延在するスペース46が画成されている。両側壁部分44には、幅方向へ貫通(開口)する遊動軸螺着孔47が作られている。遊動軸螺着孔47には、幅方向へ延びる遊動軸38が螺着されている。遊動軸38は、スペース46を横断し、両側壁部分44につながっている。ガイド部36の後壁部分45(後端)には、軸方向へ貫通(開口)する調節軸螺着孔48(螺着孔)が作られている。
延出部37は、ガイド部36の下方から軸方向前方へ延びている。延出部37は、ガイド部36の下方に位置して固定部35の接続部分40から軸方向前方へ延びる第1延出部分49aと、ガイド部36の下方に位置して固定部35の接続部分40から軸方向前方へ延びる第2延出部分49bとを有する。第1および第2延出部分49a,49bは、同形同大であり、幅方向へ離間して軸方向へ平行して延びている。第1および第2延出部分49a,49bの前端部位には、幅方向へ貫通する第1軸孔50が穿孔されている。
遊動ガイド19は、図8に示すように、固定ベース18のガイド部36に位置して軸方向へ延びる所定面積の第1遊動部51と、固定ベース18の延出部37に位置して軸方向へ延びる所定面積の第2遊動部52と、第1遊動部51に画成された四角形の遊動開口53とを備えている。第1遊動部51は、ガイド部36のスペース47に配置されている。第2遊動部52は、第1遊動部51よりも斜め下方に位置し、延出部37の第1および第2延出部分49a,49bの間に配置されている。第2遊動部52の前端部位には、幅方向へ貫通する第2軸孔54が穿孔されている。遊動開口53には、遊動軸螺着孔47に螺着された遊動軸38が挿通されている。遊動ガイド19は、遊動開口53において遊動軸38が軸方向と上下方向とへ移動することにより、軸方向と上下方向とへ遊動可能である。
調節軸20は、ガイド部36の後壁部分45(後端)に作られた調節軸螺着孔48(螺着孔)に螺着されている。調節軸20は、ガイド部36の後壁部分45から軸方向後方に露出する頭部55と、ガイド部36の後壁部分45から軸方向後方に露出するとともにスペース46に露出する軸部56とを有し、軸部56の前端が遊動ガイド19の第1遊動部51の後端に当接している。調節軸20は、頭部55を時計回り方向または反時計回り方向へ回転させることで、軸部56が軸方向前方または軸方向後方に進退する。
それら旋回レバー21は、遊動ガイド19の下方に位置して軸方向へ延びている。旋回レバー21は、図9に示すように、遊動ガイド19の第2遊動部52の軸方向前方に位置する前端部57と、遊動ガイド19の第2遊動部52の前端部位が位置する中央部58と、中央部58から軸方向後方に延びる後端部59とを有する。それら旋回レバー21は、軸方向前方に位置する一対の前方レバー60と、前方レバー60から軸方向後方に延びる一対の後方レバー61とから作られている。なお、前方レバー60と後方レバー61とが一体成形によってひとつながりになっていてもよい。
それら旋回レバー21の前端部57(前方レバー60)には、幅方向へ貫通する第3軸孔62が穿孔され、旋回レバー21の中央部58(前方レバー60)の上端部分には、幅方向へ貫通する第4軸孔63が穿孔されている。旋回レバー21の中央部58(前方レバー60)における第4軸孔63の後方には、幅方向へ貫通する第5軸孔64が穿孔され、旋回レバー21の中央部58(前方レバー60)における第5軸孔64の下方には、幅方向へ貫通する2つの第6軸孔65が穿孔されている。後方レバー61の前端部には、幅方向へ貫通する2つの第7軸孔66が穿孔されている。
解除レバー22は、螺着箇所や穿孔箇所に対する摺動パイプ17の固定を解除するときに使用される。解除レバー22は、図10に示すように、支点部67と、支点部67から軸方向後方へ延びるとともに旋回レバー21の中央部58から斜め上方へ延びる把持部68(力点部)と、支点部67から軸方向前方へ延びる作用部69とを有する。解除レバー22の支点部67には、幅方向へ貫通する第8軸孔70が穿孔されている。
旋回クランプ23は、旋回レバー21の前端部57に位置する第1回転部71と、固定ベース18の延出部37(第1および第2延出部分49a,49bの前端部位)に位置する第2回転部72と、第2回転部72から軸方向前方へ延在するフック部73とを備えている。第1回転部71には、幅方向へ貫通する第9軸孔74が穿孔され、第2回転部72には、幅方向へ貫通する第10軸孔75が穿孔されている。フック部73は、第2回転部72から軸方向前方へ延びた後、上下方向上方へ延出し、さらに、軸方向後方へ延びている。
第1コイルバネ24(第1バネ)は、固定パイプ16の延出筒部27と摺動パイプ17の摺動筒部32との間に位置している。第1コイルバネ24は、その前端が固定パイプ16の第1フランジ28に当接するとともに、その後端が摺動パイプ17の第2フランジ33に当接している。第1コイルバネ24は、固定パイプ16の延出筒部27を軸方向前方へ付勢する。第2コイルバネ25(第2バネ)は、その後端が固定ベース18の固定部35の接続部分40に連結され、その前端がそれら旋回レバー21(それら前方レバー60)の前端部57に連結されている。第2コイルバネ25は、それら旋回レバー21(それら前方レバー60およびそれら後方レバー61)の前端部57を固定ベース18の固定部35に向かって斜め上方へ付勢する。
ドリルストッパー10では、遊動ガイド19の第2遊動部52の前端部位にそれら旋回レバー21の中央部58(前方レバー60)の上端部分が配置され、遊動ガイド19の第2遊動部52の前端部位に穿孔された第2軸孔54とそれら旋回レバー21の中央部58(前方レバー60)の上端部分に穿孔された第4軸孔63とに幅方向へ延びる第1回転軸76が挿通され、遊動ガイド19の第2遊動部52の前端部位とそれら旋回レバー21の中央部58の上端部分とが第1回転軸76を介して回転可能に連結されている。それら旋回レバー21は、第1回転軸76(第2軸孔54および第4軸孔63)を中心に遊動ガイド19に対して上下方向へ旋回可能である。
それら旋回レバー21の前端部57(前方レバー60)に旋回クランプ23の第1回転部71が配置され、それら旋回レバー21の前端部57(前方レバー60)に穿孔された第3軸孔62と旋回クランプ23の第1回転部71に穿孔された第9軸孔74とに幅方向へ延びる第2回転軸77が挿通され、それら旋回レバー21の前端部57(前方レバー60)と旋回クランプ23の第1回転部71とが第2回転軸77を介して回転可能に連結されている。旋回クランプ23は、第2回転軸77(第3軸孔62および第9軸孔74)を中心にそれら旋回レバー21に対して上下方向へ旋回可能である。
旋回クランプ23の第2回転部72が固定ベース18の延出部38の第1および第2延出部分49a,49bの間に配置され、延出部38の第1および第2延出部分49a,49bの前端部位に穿孔された第1軸孔50と旋回クランプ23の第2回転部72に穿孔された第10軸孔75とに幅方向へ延びる第3回転軸78が挿通され、延出部38の第1および第2延出部分49a,49bと旋回クランプ23の第2回転部72とが第3回転軸78を介して回転可能に連結されている。旋回クランプ23は、第3回転軸78(第1軸孔50および第10軸孔75)を中心に延出部38の第1および第2延出部分49a,49bに対して上下方向へ旋回可能である。
それら旋回レバー21の中央部58(前方レバー60)における第4軸孔63の後方に解除レバー22の支点部67が配置され、それら旋回レバー21の中央部58(前方レバー60)における第4軸孔63の後方に穿孔された第5軸孔64と解除レバー22の支点部67に穿孔された第8軸孔70とに幅方向へ延びる第4回転軸79が挿通され、それら旋回レバー21の中央部58(前方レバー60)と解除レバー22の支点部67とが第4回転軸79を介して回転可能に連結されている。解除レバー22は、第4回転軸79(第5軸孔64および第8軸孔70)を中心に旋回レバー21の中央部58に対して上下方向へ旋回可能である。
それら旋回レバー21の中央部58(前方レバー60)における第5軸孔64の下方に後方レバー61の前端部が配置され、それら旋回レバー21の中央部58(前方レバー60)における第5軸孔64の下方に穿孔された第6軸孔65と後方レバー61の前端部に穿孔された第7軸孔66とに幅方向へ延びる固定軸80が嵌め込まれ、前方レバー60と後方レバー61とが固定軸80を介して連結・固定されている。
ドリルストッパー10では、摺動パイプ17の露出筒部31に固定ベース18の固定部35の挿通開口41が挿通されている。固定ベース18では、固定部35の前端が第2係合溝34bの直後に配置され、固定部35の前端の直前にストッパーリング81(止め輪)(図1参照)が嵌め込まれ、ストッパーリング81が第2係合溝34bに係合している。固定部35の螺子孔42に固定ネジが螺着されることによって固定ベース18が摺動パイプ17の露出筒部31の係合溝34bの直後(摺動パイプ17の露出筒部31の所定の位置)に固定されている。ドリルストッパー10では、第2係合溝34bに係合したストッパーリング81によって固定ベース18の軸方向前方への移動が阻止されている。
ドリルストッパー10では、固定ベース18の固定部35の前端を第1係合溝34aの直後に配置し、固定ベース18を摺動パイプ17の露出筒部31の第1係合溝34aの直後に固定することで、摺動パイプ17の露出筒部31に対する固定ベース18の取付位置を変更することができ、旋回クランプ23のフック部73と摺動パイプ17の露出筒部31の先端82との軸方向の離間寸法を大きくすることができる。逆に、固定ベース18の固定部35の前端を第3係合溝34cの直後に配置し、固定ベース18を摺動パイプ17の露出筒部31の第3係合溝34cの直後に固定することで、摺動パイプ17の露出筒部31に対する固定ベース18の取付位置を変更することができ、旋回クランプ23のフック部73と摺動パイプ17の露出筒部31の先端82との軸方向の離間寸法を小さくすることができる。
図12,13は、螺着箇所85に摺動パイプ17が固定された状態のドリルストッパー10の切断側面図である。図14は、螺着箇所85に対する摺動パイプ17の固定解除を説明するドリルストッパー10の切断側面図であり、図15は、図14から続く固定解除を説明するドリルストッパー10の切断側面図である。図12では、ネジ83が螺着箇所85にねじ込まれる前(螺着される前)の状態を示し、図13は、ネジ83が螺着箇所85にねじ込まれた後(螺着される後)の状態を示す。図12,13では、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bの先端部12のみを示す。
ネジ83を締め付ける(ねじ込む)螺着箇所85としては、各種ボードや鉄板、木板、コンクリート板等の板材、折り板(軽鉄)や野縁(軽鉄)、野縁受け(軽鉄)等の成形材があるが、ネジ83を締め付ける(ねじ込む)螺着箇所85はそれらに制限されず、ドリルストッパー10を利用可能なすべての螺着箇所85が含まれる。
ドリルストッパー10を利用して摺動パイプ17(ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11B)を螺着箇所85に固定し、それらドライバ11A,11Bによって螺着箇所85にネジ83を締め付ける(ねじ込む)手順の一例を説明すると、以下のとおりである。最初に、調節軸20を軸方向前方または軸方向後方に進退させ、螺着箇所85に向かって旋回させたときの旋回クランプ23のフック部73の先端と摺動パイプ17の露出筒部31の先端82との軸方向の離間寸法を調節する。
固定ベース18のガイド部36の後壁部分45の調節軸螺着孔48に螺着された調節軸20の頭部55を時計回り方向へ回転させ、調節軸20の軸部56を軸方向前方へ進出(前進)させる。軸部56を軸方向前方へ進出(前進)させると、遊動ガイド19の第1遊動部51の後端に当接する軸部56の前端によって遊動ガイド19が第2コイルバネ25の付勢力に抗して軸方向前方に押され、遊動ガイド19が軸方向前方へ次第に移動する。
遊動ガイド19が軸方向前方へ移動すると、遊動ガイド19の軸方向前方への移動にともなって旋回レバー21が軸方向前方へ次第に移動するとともに、旋回クランプ23が第1回転部71および第2回転部72を中心に上下方向上方へ次第に旋回し、螺着箇所85に向かって旋回させたときの旋回クランプ23のフック部73の先端と摺動パイプ17の露出筒部31の先端82との軸方向の離間寸法が徐々に小さくなる。フック部73の先端と露出筒部31の先端82と離間寸法を小さくすることで、小さい厚み寸法の螺着箇所85に摺動パイプ17(ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11B)を確実に固定することができ、小さな厚み寸法の螺着箇所85に対するネジ83の締め付け作業(ねじ込み作業)を行うことができる。
逆に、調節軸螺着孔48に螺着された調節軸20の頭部55を反時計回り方向へ回転させ、調節軸20の軸部56を軸方向後方へ後退させると、遊動ガイド19の第1遊動部51の後端に当接する軸部56の前端が軸方向後方に次第に移動し、第2コイルバネ25の付勢力によって遊動ガイド19が軸方向後方へ次第に移動する。
遊動ガイド19が軸方向後方へ移動すると、遊動ガイド19の軸方向後方への移動にともなって旋回レバー21が軸方向後方へ次第に移動するとともに、旋回クランプ23が第1回転部71および第2回転部72を中心に上下方向下方へ次第に旋回し、螺着箇所85に向かって旋回させたときの旋回クランプ23のフック部73の先端と摺動パイプ17の露出筒部31の先端82との軸方向の離間寸法が徐々に大きくなる。フック部73の先端と露出筒部31の先端82と離間寸法を大きくすることで、大きい厚み寸法の螺着箇所85に摺動パイプ17(ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11B)を確実に固定することができ、大きい厚み寸法の螺着箇所85に対するネジ83の締め付け作業を行うことができる。
摺動パイプ17の露出筒部31に挿通(収容)されたドリルビット14の先端15にネジ83の頭部を位置させるとともに、ネジ83の先端(摺動パイプ17の露出筒部31の先端82)を螺着箇所85の前面に当接させた状態でドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bを前後方向前方へ押圧する。次に、旋回レバー21の後方レバー61(解除レバー22を含む)を上下方向下方から上方へ旋回させつつ、旋回クランプ23を図2の状態から上下方向上方へ旋回させて旋回クランプ23のフック部73を螺着箇所85の後面に対向させる。
旋回レバー21の後方レバー61を上方へ旋回させると、旋回レバー21の後端部59が第1回転軸76を中心に上下方向下方から上方へ向かって旋回するとともに、旋回レバー21の前端部57が第1回転軸76を中心に上下方向上方から下方へ向かって旋回し、第2コイルバネ25が伸長する。さらに、遊動ガイド19の第1遊動部51が固定ベース18のガイド部36のスペース46において軸方向後方へ移動し、延出部37の第1および第2延出部分49a,49bと旋回クランプ23の第2回転部72とが第3回転軸78において回転するとともに、それら旋回レバー21の前端部57(前方レバー60)と旋回クランプ23の第1回転部71とが第2回転軸77において回転し、第2回転軸77および第3回転軸78を中心に旋回クランプ23のフック部73が螺着箇所85の後面に向かって旋回する。
旋回クランプ23のフック部73が螺着箇所85の後面に向かって旋回すると、螺着箇所85が摺動パイプ17の先端82と旋回クランプ23のフック部73の先端とに挟まれ、それによって螺着箇所85の後面にフック部73の先端が密着するとともに、螺着箇所85の前面に摺動パイプ17の先端82が密着し、図12に示すように、摺動パイプ17とともにドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bが螺着箇所85に遊動不能に固定される。摺動パイプ17が螺着箇所85に固定されると、第1コイルバネ24の付勢力によって固定パイプ16とともにドリルビット14が軸方向前方へ付勢され、それによってドリルビット14の先端に設置されたネジ83が螺着箇所85の前面に押圧状態で当接する。
図12の状態でドリルドライバ11Aまたはインパクトドライバ11Bのトリガー84を引くと、ドリルビット14が所定の方向に回転し、図13に示すように、ネジ83が螺着箇所85にねじ込まれる。ドリルストッパー10を利用することで、摺動パイプ17が螺着箇所85に固定されたときにドリルビット14の先端に設置されたネジ83が螺着箇所85に押圧状態で当接するから、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bに設置されたドリルビット14を螺着箇所85に押し付ける操作をする必要はなく、トリガー84を引くだけで螺着箇所85にネジ83を締め付ける(ねじ込む)ことができ、ネジ83の締め付け作業(螺着作業)にかかる負担を軽減することができる。
ネジ83を螺着箇所85に締め付けた(ねじ込んだ)後、図14に示すように、摺動パイプ17(ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11B)が螺着箇所85に固定された状態から解除レバー22の把持部68を旋回レバー21の後端部59(後方レバー61)に向かって上下方向下方へ旋回させる。解除レバー22の把持部68を旋回レバー21の後端部59に向かって旋回させると、解除レバー22の作用部69が遊動ガイド17を上下方向上方へ移動させるとともに、旋回レバー21が第1回転軸76を中心に回転して旋回レバー21の前端部57を上下方向下方へ旋回させ、それによって旋回クランプ23の第1および第2回転部71,72が第2および第3回転軸77,78を中心に回転しつつ旋回クランプ23のフック部73の先端が螺着箇所85の後面から離間する方向へ旋回する。
フック部73の先端が螺着箇所85の後面から離間する方向へ旋回することで、螺着箇所85に対する摺動パイプ17の先端82と旋回クランプ23のフック部73の先端との挟み込みが解除され、螺着箇所85に対する摺動パイプ17(ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11B)の固定が解除される。解除レバー22の把持部68を旋回レバー21の後端部59に向かって旋回させることで、旋回クランプ23のフック部73の先端が螺着箇所85から離間する方向へ旋回するから、梃子の原理によって螺着箇所85に対する摺動パイプ17の固定を少ない力で容易に解除することができる。
解除レバー22の把持部68を旋回レバー21の後端部59に向かって旋回させた後、図15に示すように、旋回レバー21の後方レバー61(解除レバー22を含む)を図14の状態から上下方向下方へ旋回させる。旋回レバー21の後方レバー61を下方へ旋回させると、旋回レバー21の後端部59が第1回転軸76を中心に上下方向上方から下方へ向かって旋回するとともに、旋回レバー21の前端部57が第1回転軸76を中心に上下方向下方から上方へ向かって旋回する。
なお、旋回レバー21の後方レバー61を上下方向下方へ旋回させるときに、旋回レバー21の前端部57を固定ベース18の固定部35に向かって旋回させる方向へ第2コイルバネ25の付勢力が作用する。摺動パイプ17の螺着箇所85に対する固定を解除する場合、旋回レバー21を上下方向下方へ旋回させるが、そのときに旋回レバー21の前端部57を固定ベース18の固定部35に向かって旋回させる方向へ第2コイルバネ25の付勢力が作用するから、旋回レバー21を上下方向下方へ容易に旋回させることができ、摺動パイプ17の螺着箇所85に対する固定を容易に解除することができる。
さらに、遊動ガイド19の第1遊動部51が固定ベース18のガイド部36のスペース46において軸方向前方に移動し、延出部38の第1および第2延出部分49a,49bと旋回クランプ23の第2回転部72とが第3回転軸78において回転するとともに、それら旋回レバー21の前端部57(前方レバー60)と旋回クランプ23の第1回転部71とが第2回転軸77において回転し、第2回転軸77および第3回転軸78を中心に旋回クランプ23のフック部73が螺着箇所85から下方へ旋回する。なお、第1コイルバネ24の付勢力によって摺動パイプ17が固定パイプ16の延出筒部27から軸方向前方へ移動し、ドリルビット14の先端15が摺動パイプ17の摺動筒部32の先端に位置する。
ドリルストッパー10は、摺動パイプ17の先端82を螺着箇所85に当接させるとともに旋回クランプ23を螺着箇所85に対向させた状態で旋回レバー21を上下方向上方へ旋回させると、旋回クランプ23が螺着箇所85に向かって旋回して螺着箇所85が摺動パイプ17の先端82と旋回クランプ23のフック部73とに挟まれ、それによって摺動パイプ17の先端82とフック部73の先端とが螺着箇所85に密着しつつ摺動パイプ17(ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11B)が螺着箇所85に固定され、その状態でドリルドライバ11A(電動ドリル)やインパクトドライバ11B(電動ドリル)のトリガー84を引くことでネジ83の締め付け(ねじ込み)を行うことができるから、ネジ83の締め付け時(ねじ込み時)にドリルビット14の軸の螺着箇所85における直交状態を維持することができ、螺着箇所85におけるドリルビット14のズレ動きを防ぐことができる。
ドリルストッパー10は、ドリルビット14の軸の螺着箇所85における直交状態を維持することができ、螺着箇所85におけるドリルビット14のズレ動きを防ぐことができるから、螺着箇所85の正確な位置にネジ83を締め付ける(ねじ込む)ことができ、螺着箇所85において正確な方向へネジ83を締め付ける(ねじ込む)ことができる。ドリルストッパー10は、それを利用することでドリルドライバ11A(電動ドリル)やインパクトドライバ11B(電動ドリル)を螺着箇所85に設置することができるから、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bを持ち続ける力を必要とせず、作業者の腕にドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bの重量がかかることがなく、ネジ83の締め付け作業にかかる負担を大幅に軽減することができる。
ドリルストッパー10は、摺動パイプ17が螺着箇所85に固定された状態から旋回レバー21を上下方向下方へ旋回させることで、旋回クランプ23が螺着箇所85から離間する方向へ旋回して螺着箇所85に対する摺動パイプ17(ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11B)の固定が解除されるから、ネジ締め付け作業を終了した後、螺着箇所85に対する摺動パイプ17の固定を容易に解除することができ、次の螺着箇所85に対するネジ83の締め付け作業にすみやかに移行することができる。
ドリルストッパー10は、摺動パイプ17が螺着箇所85に固定されたときに、ドリルビット14の先端15に設置されたネジ83が摺動パイプ17の露出筒部31の内部に位置し、その状態でネジ83が螺着箇所85にねじ込まれるから、ネジ83の締め付け時(ねじ込み時)にネジ83の螺着音が摺動パイプ17の外側に漏れることがなく、大きな螺着音の発生を防ぐことができ、不快な騒音の周囲への伝播を防ぐことができる。ドリルストッパー10は、それを利用することで、周囲の静寂を保持することができ、静穏状態を保持しつつネジ83の締め付け作業を行うことができる。
図16,17は、穿孔箇所86に摺動パイプ17が固定された状態のドリルストッパー10の切断側面図である。穴を開ける穿孔箇所86としては、各種ボードや鉄板、木板、コンクリート板等の板材、折り板(軽鉄)や野縁(軽鉄)、野縁受け(軽鉄)等の成形材があるが、穴を開ける穿孔箇所86はそれらに制限されず、ドリルストッパー10を利用可能なすべての穿孔箇所86が含まれる。なお、穴開け作業によって作られる穴には、貫通した穴および貫通しない穴がある。
ドリルストッパー10を利用して摺動パイプ17(ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11B)を穿孔箇所86に固定し、それらドライバ11A,11Bによって穿孔箇所86に穴を開ける手順の一例を説明すると、以下のとおりである。調節軸20を軸方向前方または軸方向後方に進退させて螺着箇所85に向かって旋回させた旋回クランプ23のフック部73の先端と摺動パイプ17の露出筒部31の先端82との軸方向の離間寸法を調節する。離間寸法の調節は、図12,13の螺着箇所85に対するネジ83の締め付け(ねじ込み)において説明したそれと同一であるから、図12,13の説明を援用することで、その説明は省略する。
ドリルビット14の先端15(摺動パイプ17の露出筒部31の先端82)を穿孔箇所86の前面に当接させた状態でドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bを前後方向前方へ押圧する。次に、旋回レバー21の後方レバー61(解除レバー22を含む)を上下方向下方から上方へ旋回させつつ、旋回クランプ23を上下方向上方へ旋回させて旋回クランプ23のフック部73を穿孔箇所86の後面に対向させる。
旋回レバー21の後方レバー61を上方へ旋回させると、旋回レバー21の後端部59が第1回転軸76を中心に上下方向下方から上方へ向かって旋回するとともに、旋回レバー21の前端部57が第1回転軸76を中心に上下方向上方から下方へ向かって旋回し、第2コイルバネ25が伸長する。さらに、遊動ガイド19の第1遊動部51が固定ベース18のガイド部36のスペース46において軸方向後方に移動し、延出部38の第1および第2延出部分49a,49bと旋回クランプ23の第2回転部72とが第3回転軸78において回転するとともに、それら旋回レバー21の前端部57(前方レバー60)と旋回クランプ23の第1回転部71とが第2回転軸77において回転し、第2回転軸77および第3回転軸78を中心に旋回クランプ23のフック部73が穿孔箇所86の後面に向かって旋回する。
旋回クランプ23のフック部73が穿孔箇所86の後面に向かって旋回すると、穿孔箇所86が摺動パイプ17の先端82と旋回クランプ23のフック部73の先端とに挟まれ、それによって穿孔箇所86の後面にフック部73の先端が密着するとともに、穿孔箇所86の前面に摺動パイプ17の先端82が密着し、図16に示すように、摺動パイプ17とともにドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bが穿孔箇所86に遊動不能に固定される。摺動パイプ17が穿孔箇所86に固定されると、第1コイルバネ24の付勢力によって固定パイプ16とともにドリルビット14が軸方向前方へ付勢され、それによってドリルビット14の先端が穿孔箇所86の前面に押圧状態で当接する。
図16の状態でドリルドライバ11Aまたはインパクトドライバ11Bのトリガー84を引くと、ドリルビット14が所定の方向に回転し、図17に示すように、ドリルビット14の先端15が穿孔箇所86にねじ込まれ、穿孔箇所86に穴が開けられる。ドリルストッパー10を利用することで、摺動パイプ17が穿孔箇所86に固定されたときにドリルビット14の先端が穿孔箇所86に押圧状態で当接するから、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bに設置されたドリルビット14を穿孔箇所86に押し付ける操作をする必要はなく、トリガー84を引くだけで穿孔箇所86に穴を開けることができ、穴開け作業(穿孔作業)にかかる負担を軽減することができる。
穿孔箇所86に穴を開けた後、図14と同様に、摺動パイプ17(ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11B)が穿孔箇所86に固定された状態から解除レバー22の把持部68を旋回レバー21の後端部59に向かって上下方向下方へ旋回させる。解除レバー22の把持部68を旋回レバー21の後端部59に向かって旋回させると、解除レバー22の作用部69が遊動ガイド17を上下方向上方へ移動させるとともに、旋回レバー21が第1回転軸76を中心に回転して旋回レバー21の前端部57を上下方向下方へ旋回させ、それによって旋回クランプ23の第1および第2回転部71,72が第2および第3回転軸77,78を中心に回転しつつ旋回クランプ23のフック部73の先端が穿孔箇所86の後面から離間する方向へ旋回する。
フック部73の先端が穿孔箇所86の後面から離間する方向へ旋回することで、穿孔箇所86に対する摺動パイプ17の先端82と旋回クランプ23のフック部73の先端との挟み込みが解除され、穿孔箇所86に対する摺動パイプ17(ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11B)の固定が解除される。解除レバー22の把持部68を旋回レバー21の後端部59に向かって旋回させることで、旋回クランプ23のフック部73の先端が穿孔箇所86から離間する方向へ旋回するから、梃子の原理によって穿孔箇所86に対する摺動パイプ17の固定を少ない力で容易に解除することができる。
解除レバー22の把持部68を旋回レバー21の後端部59に向かって旋回させた後、図15と同様に、旋回レバー21の後方レバー61(解除レバー22を含む)を上下方向下方へ旋回させる。旋回レバー21の後方レバー61を下方へ旋回させると、旋回レバー21の後端部59が第1回転軸76を中心に上下方向上方から下方へ向かって旋回するとともに、旋回レバー21の前端部57が第1回転軸76を中心に上下方向下方から上方へ向かって旋回する。
なお、旋回レバー21の後方レバー61を上下方向下方へ旋回させるときに、旋回レバー21の前端部57を固定ベース18の固定部35に向かって旋回させる方向へ第2コイルバネ25の付勢力が作用する。摺動パイプ17の穿孔箇所86に対する固定を解除する場合、旋回レバー21を上下方向下方へ旋回させるが、そのときに旋回レバー21の前端部57を固定ベース18の固定部35に向かって旋回させる方向へ第2コイルバネ25の付勢力が作用するから、旋回レバー21を上下方向下方へ容易に旋回させることができ、摺動パイプ17の穿孔箇所86に対する固定を容易に解除することができる。
さらに、遊動ガイド19の第1遊動部51が固定ベース18のガイド部36のスペース46において軸方向前方に移動し、延出部38の第1および第2延出部分49a,49bと旋回クランプ23の第2回転部72とが第3回転軸78において回転するとともに、それら旋回レバー21の前端部57(前方レバー60)と旋回クランプ23の第1回転部71とが第2回転軸77において回転し、第2回転軸77および第3回転軸78を中心に旋回クランプ23のフック部73が穿孔箇所86の後面から離間する方向へ旋回する。なお、第1コイルバネ24の付勢力によって摺動パイプ17が固定パイプ16の延出筒部27から軸方向前方へ移動し、ドリルビット14の先端15が摺動パイプ17の摺動筒部32の先端に位置する。
ドリルストッパー10は、摺動パイプ17の先端82を穿孔箇所86に当接させるとともに旋回クランプ23を穿孔箇所86に対向させた状態で旋回レバー21を上下方向上方へ旋回させると、旋回クランプ23が穿孔箇所86に向かって旋回して穿孔箇所86が摺動パイプ17の先端82と旋回クランプ23のフック部73とに挟まれ、それによって摺動パイプ17の先端82とフック部73の先端とが穿孔箇所86に密着しつつ摺動パイプ17(ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11B)が穿孔箇所86に固定され、その状態でドリルドライバ11A(電動ドリル)やインパクトドライバ11B(電動ドリル)のトリガー84を引くことで穴開けを行うことができるから、穴開け時にドリルビット14の軸の穿孔箇所86における直交状態を維持することができ、穿孔箇所86におけるドリルビット14のズレ動きを防ぐことができる。
ドリルストッパー10は、ドリルビット14の軸の穿孔箇所86における直交状態を維持することができ、穿孔箇所86におけるドリルビット14のズレ動きを防ぐことができるから、穿孔箇所86の正確な位置に穴を開けることができ、穿孔箇所86において正確な方向へ穴を開けることができる。ドリルストッパー10は、それを利用することでドリルドライバ11A(電動ドリル)やインパクトドライバ11B(電動ドリル)を穿孔箇所86に設置することができるから、ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bを持ち続ける力を必要とせず、作業者の腕にドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11Bの重量がかかることがなく、穴開け作業にかかる負担を大幅に軽減することができる。
ドリルストッパー10は、摺動パイプ17が穿孔箇所86に固定された状態から旋回レバー21を上下方向下方へ旋回させることで、旋回クランプ23が穿孔箇所86から離間する方向へ旋回して穿孔箇所86に対する摺動パイプ17(ドリルドライバ11Aやインパクトドライバ11B)の固定が解除されるから、穴開け作業を終了した後、穿孔箇所86に対する摺動パイプ17の固定を容易に解除することができ、次の穿孔箇所86に対する穴開け作業にすみやかに移行することができる。
ドリルストッパー10は、摺動パイプ17が螺着箇所85に固定されたときに、ドリルビット14の先端15が摺動パイプ17の露出筒部31の内部に位置し、その状態でドリルビット14が螺着箇所85にねじ込まれるから、穴開け時にドリルビット14の穿孔音が摺動パイプ17の外側に漏れることがなく、大きな穿孔音の発生を防ぐことができ、不快な騒音の周囲への伝播を防ぐことができる。ドリルストッパー10は、それを利用することで、周囲の静寂を保持することができ、静穏状態を保持しつつ穴開け作業を行うことができる。