JP6582609B2 - ポリイミド前駆体組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、膜を形成する際の、膜の白化を抑制するポリイミド前駆体組成物に関する。
従来、電気、電子部品、輸送機器、宇宙、航空機等の分野において、耐熱性、電気絶縁性、耐摩耗性、耐薬品性、機械特性等に優れたポリイミドが広く利用されている。
基体へポリイミド前駆体やポリイミドを含む組成物の塗布等を行い、加熱及び/又は乾燥することにより膜を得る場合、得られる膜が、塗布等の膜を形成する環境の影響を受けやすい傾向にある。特に湿度が高い環境で塗布等を行うと、乾燥前の吸湿によって組成物の溶解性が下がり、ポリイミド前駆体やポリイミドが析出し、膜が白くなる(白化)問題があった。また、白化が起こった膜に対して乾燥や加熱を行っても、耐熱性、機械特性等の本来のポリイミドの特性が得られないという問題点があった。そのため、ポリイミド前駆体やポリイミドを含む組成物を用いて膜を形成する際には、乾燥空気や窒素ガスを導入する、湿度を下げる等の製造設備への工夫が必要であった。
このような問題に対して、特許文献1では、ポリイミドを含む組成物中に40重量%以上のN−ビニル−2−ピロリドンを溶媒として含むことで、ポリイミドの膜を形成する際の白化を抑制することが開示されている。
また、特許文献2では、ポリイミドの組成をブロックとすることによって、溶媒に対する溶解性を上げ、白化を抑制することが開示されている。
特開2003−292779号公報 特開2003−119285号公報
しかし、特許文献1で用いられたN−ビニル−2−ピロリドンのような反応性基を有する溶媒を用いると、ポリイミドの機械特性等を損なう恐れがある。また、特許文献2のように、溶媒へ可溶にするためにポリイミドの組成をブロックにすると、製造コストが上がる等の問題がある。
一方、特許文献1及び2のようにポリイミドを用いて膜を形成する際の白化に関する検討はなされていたが、ポリイミド前駆体に関する検討は十分にされていなかった。ポリイミド前駆体とポリイミドの溶解性は大きく異なるため、ポリイミドを含む組成物の白化抑制に用いられている方法は、ポリイミド前駆体では十分な効果が得られないことがある。
本発明は、前記課題を鑑みて成し遂げられたものであり、ポリイミド前駆体を含む組成物を用いて形成された膜において、膜の白化が起こらないポリイミド前駆体組成物を提供することにある。
本発明は以下の構成を有するものである。
[1] ポリイミド前駆体及び溶媒を含む組成物であって、溶媒として、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、複素環系溶媒、フェノール系溶媒、ラクトン系溶媒及びエステル系溶媒からなる群より選ばれる1種以上であり、且つ、20℃における蒸気圧が50000Pa以下である溶媒(溶媒A)、並びにアルコール(溶媒B)を含むことを特徴とするポリイミド前駆体組成物。
[2]前記溶媒Bが芳香族アルコール、脂肪族アルコール及びグリコールモノエーテル系アルコールからなる群より選ばれる1種以上である、[1]に記載のポリイミド前駆体組成物。
[3]前記溶媒Bのオクタノール/水分配係数(logρ)が0以上である、[1]又は[2]に記載のポリイミド前駆体組成物。
[4]前記ポリイミド前駆体が、脂肪族骨格を有するものである[1]乃至[3]のいずれか1に記載のポリイミド前駆体組成物。
本発明のポリイミド前駆体組成物によれば、膜を形成する際に、膜の白化を抑制することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に例示する物や方法等は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これらの内容に限定されない。
本発明のポリイミド前駆体組成物は、ポリイミド前駆体及び溶媒を含むものである。溶媒としては、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、複素環系溶媒、フェノール系溶媒、ラクトン系溶媒及びエステル系溶媒からなる群より選ばれる1種以上であり、且つ、20℃における蒸気圧が50000Pa以下である溶媒(溶媒A)、並びにアルコール(溶媒B)を含む。溶媒A及び溶媒Bを含むことで白化が抑制できるのは、組成物全体の疎水性が上がり、吸湿が抑制されるためと推測される。
(溶媒A)
本発明の溶媒Aは、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、複素環系溶媒、フェノール系溶媒、ラクトン系溶媒及びエステル系溶媒からなる群より選ばれる1種以上であり、且つ、20℃における蒸気圧が50000Pa以下である溶媒である。溶媒Aを含むことで、溶解性が維持され、膜形成工程でのポリイミド前駆体の析出が抑えられる等の効果が得られる。
溶媒Aの20℃における蒸気圧は、通常50000Pa以下、好ましくは20000Pa以下、さらに好ましくは10000Pa以下、より好ましくは5000Pa以下、特に好ましくは1000Pa以下である。また、下限は無く、低い方が好ましいが、例えば1Pa以上である。溶媒Aの蒸気圧がこの範囲である溶媒を用いることで、組成物中のポリイミド前駆体が析出せず、また塗布途中でのポリイミド前駆体組成物の濃度変化が少ない傾向にある。そのため、膜中成分の均一性、白化抑制及び平滑性に優れた膜が得られる傾向にある。
溶媒Aの沸点は特に制限はないが、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上である。また、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは250℃以下である。沸点がこの範囲であることで、塗布等の膜形成途中でのポリイミド前駆体組成物の濃度変化が少なくなり、そのため、膜中成分の均一性、白化抑制及び平滑性に優れた膜が得られる傾向にある。さらに、膜の乾燥後や加熱後の膜中の残留溶媒が少なくなる傾向にある。
また、ポリイミド前駆体を製造する際の溶媒として溶媒Aを用い、そのまま溶媒Aをポリイミド前駆体組成物の溶媒とすることもできる。その場合、溶媒Aの沸点が上記範囲であることで、ポリイミド前駆体が得られやすい重合温度となる傾向にある。
溶媒Aのオクタノール/水分配係数(logρ)は特に制限はないが、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下である。また、好ましくは−10以上、より好ましくは−5以上、さらに好ましくは−3以上である。logρがこの範囲であることで、ポリイミド前駆体の溶解性が高くなる傾向にある。
溶媒Aの組成物中の全溶媒に対する割合は特に制限はないが、通常99.9質量%以下であり、好ましくは99.5質量%以下であり、より好ましくは99.0質量%以下である。また通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。全溶媒に対する溶媒Aの割合がこの範囲であることで、ポリイミド前駆体の溶解性が高くなり、また、塗布等の膜形成時の白化を抑制する傾向にある。
エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、複素環系溶媒、フェノール系溶媒、ラクトン系溶媒及びエステル系溶媒からなる群より選ばれる溶媒Aは、上記から選ばれる溶媒を1種以上用いればよく、任意の割合で複数用いてもよい。
上記の中でも、ポリイミド前駆体の溶解性の点から、アミド系溶媒、エーテル系溶媒及びケトン系溶媒からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましく、これらの中でも、アミド系溶媒及び/又はエーテル系溶媒が特に好ましい。
上記溶媒は特に限定されないが、具体的には以下が挙げられる。
(エーテル系溶媒)
エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラメチレングリコ―ルジメチルエーテル、アニソール等が挙げられる。
(ケトン系溶媒)
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
(アミド系溶媒)
アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
(スルホン系溶媒)
スルホン系溶媒としては、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
(複素環系溶媒)
複素環系溶媒としては、ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン、イソキノリン等が挙げられる。
(フェノール系溶媒)
フェノール系溶媒としては、フェノール、クレゾール等が挙げられる。
(ラクトン系溶媒)
ラクトン系溶媒としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
(エステル系溶媒)
エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。
(溶媒B)
本発明の溶媒Bは、アルコールであれば特に制限されない。
溶媒Bの20℃における蒸気圧は特に制限はないが、好ましくは50000Pa以下、より好ましくは20000Pa以下、さらに好ましくは10000Pa以下、より好ましくは5000Pa以下である。また、下限は無く、低い方が好ましいが、例えば1Pa以上である。蒸気圧がこの範囲であることで、ポリイミド前駆体組成物及び膜中成分の均一性、白化抑制並びに平滑性に優れた膜が得られる傾向にある。
溶媒Bの沸点は特に制限はないが、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上である。また、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは250℃以下である。
沸点がこの範囲であることで、塗布等の膜形成時のポリイミド前駆体組成物の濃度変化が少なくなり、そのため、膜中成分の均一性、白化抑制及び平滑性に優れた膜が得られる傾向にある。さらに、乾燥後や加熱後の膜中の残留溶媒が少なくなる傾向にある。
溶媒Bのオクタノール/水分配係数(logρ)は特に制限はないが、好ましくは0以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1以上である。また、上限は無く、大きい方が好ましい。logρがこの範囲であることで、膜への水分の影響が少なくなり、膜形成時の白化が抑制される傾向になる。
溶媒Bの全溶媒に対する割合は特に制限はないが、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。また、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。
溶媒Bの量がこの範囲であることで、ポリイミド前駆体の溶解性が高くなり、また、膜形成時の白化が抑制される傾向になる。
溶媒Bは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール及びグリコールモノエーテル系アルコールからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、任意の割合で併用してもよい。
中でも、ポリイミド前駆体の溶解性が高くなるため、脂肪族アルコール又は芳香族アルコールが好ましい。
脂肪族アルコールの中でも、炭素数が4以上であることが好ましく、炭素数が5以上であることがより好ましい。また20以下であることが好ましく、15以下であることが更に好ましい。また、脂肪族アルコールの中でも、環状又は分岐を有することが好ましく、分岐の場合は、分岐位置がβ及び/又はγ位であることが特に好ましい。上記のように適当な炭素数及び/又は置換位置を有することで、ポリイミド前駆体の溶解性が高くなる傾向にある。
本発明の溶媒Bは特に限定されないが、具体的には以下が挙げられる。
(芳香族アルコール)
芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、サリチルアルコール、ジフェニルメタノール、バニリルアルコール等が挙げられる。
(脂肪族アルコール)
脂肪族アルコールとしては、例えば、炭素数1であるメタノール;炭素数2であるエタノール;炭素数3である、1−プロパノール及び2−プロパノール;炭素数4である、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール及びt−ブタノール;炭素数5である、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−エチル−1−プロパノール等;炭素数6である、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3−エチル−2−ブタノール、2,3−ジメチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール等;炭素数7である、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−メチル−1−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、2−メチル−4−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル―2−ヘキサノール、3−メチル−4−ヘキサノール、2−エチル−1−ペンタノール、2−エチル−3−ペンタノール、2,2−ジメチル−1−ペンタノール、2,3−ジメチル−1−ペンタノール、2,4−ジメチル−1−ペンタノール等;炭素数8である、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−メチル−1−ヘプタノール、2−メチル−3−ヘプタノール、2−メチル−4−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−エチル−3−ヘキサノール、2−エチル−4−ヘキサノール、2−プロピル−1−ペンタノール、2−プロピル−3−ペンタノール、2−プロピル−4−ペンタノール、2,3−ジメチル−1−ヘキサノール、2,4−ジメチル−1−ヘキサノール等;炭素数9である、1−ノナノール、2−ノナノール、3−ノナノール、4−ノナノール、5−ノナノール、2−メチル−1−オクタノール、2−メチル−3−オクタノール、2−メチル−4−オクタノール、2−メチル−5−オクタノール、2−メチル−6−オクタノール、2−エチル−1−ヘプタノール、2−エチル−3−ヘプタノール、2−エチル−4−ヘプタノール、2−エチル−5−ヘプタノール、2,6−ジメチル−1−ヘプタノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−2−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−1−ヘキサノール等;炭素数10である、1−デカノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール、5−デカノール、2−メチル−1−ノナノール、2−メチル−3−ノナノール、2−メチル−4−ノナノール、2−メチル−5−ノナノール、2−エチル−1−オクタノール、2−エチル−3−オクタノール、2−エチル−4−オクタノール、2−エチル−5−オクタノール等;炭素数11である、1−ドデカノール、2−ドデカノール、3−ドデカノール、4−ドデカノール、2−メチルー1−ウンデカノール、2−エチル−1−デカノール、2−プロピル−1−ノナノール等;炭素数12である、1−ドデカノール、2―ドデカノール、3−ドデカノール、1−エチル−1−デカノール、2−エチル−1−デカノール、3−エチル−1−デカノール、2−ブチル−1−オクタノール等;炭素数13である、1−トリデカノール、2―トリデカノール、3−トリデカノール、1−エチル−1−ウンデカノール、2−エチル−1−ウンデカノール、3−エチルー1−ウンデカノール、2−ブチル−1−ノナノール等;炭素14である、1−テトラデカノール、2−テトラデカノール、3−テトラデカノール、2−メチル−1−トリデカノール、2−エチル−1−ドデカノール、2−プロピル−1−ウンデカノール等;炭素15である、1−ペンタデカノール、2−ペンタデカノール、3−ペンタデカノール、2−メチル−1−テトラデカノール、2−エチル−1−トリデカノール、2−プロピル−1−ドデカノール等;炭素16である、1−ヘキサデカノール、2−ヘキサデカノール、3−ヘキサデカノール、2−メチル−1−ペンタデカノール、2−エチル−1−テトラデカノール、2−プロピル−1−トリデカノール等;炭素17である、1−ヘプタデカノール、2−ヘプタデカノール、3−ヘプタデカノール、2−メチル−1−ヘキサデカノール、2−エチル−1−ペンタデカノール、2−プロピル−1−テトラデカノール等;炭素18である、1−オクタデカノール、2−オクタデカノール、3−オクタデカノール、2−メチル−1−ヘプタデカノール、2−エチル−1−ヘキサデカノール、2−プロピル−1−ペンタデカノール等;炭素19である、1−ノナデカノール、2−ノナデカノール、3−ノナデカノール、2−メチル−1−オクタデカノール、2−エチル−1−ヘプタデカノール、2−プロピル−1−ヘキサデカノール等;炭素20である、1−エイコサノール、2−エイコサノール、3−エイコサノール、2−メチル−1−ノナデカノール、2−エチル−1−オクタデカノール、2−プロピル−1−ヘプタデカノール等;等が挙げられる。
(グリコールモノエーテル系アルコール)
グリコールモノエーテル系アルコールとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
溶媒A及び溶媒Bの蒸気圧差は特に制限はないが、好ましくは10000Pa以下、より好ましくは5000Pa以下、さらに好ましくは1000Pa以下である。また、下限は無く、蒸気圧差はゼロでもよい。さらに、溶媒A及び溶媒Bの蒸気圧はどちらが高くてもよい。
蒸気圧差が特定の範囲であることで、塗布等の膜形成時のポリイミド前駆体組成物の濃度変化が少なくなり、そのため、白化抑制、膜中成分の均一性及び平滑性に優れた膜が得られる傾向にある。さらに、膜の乾燥後や加熱後の膜中の残留溶媒が少なくなる傾向にある。
溶媒A及び溶媒Bの沸点差は特に制限はないが、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは50℃以下である。また、下限は無く、沸点差はゼロでもよい。さらに、溶媒A及び溶媒Bの沸点はどちらが高くてもよい。
沸点差が特定の範囲であることで、膜形成時のポリイミド前駆体組成物の濃度変化が少なくなり、そのため、白化抑制、膜中成分の均一性及び平滑性に優れた膜が得られる傾向にある。さらに、膜の乾燥後や加熱後の膜中の残留溶媒が少なくなる傾向にある。
溶媒A及び溶媒Bの全溶媒に対する割合の比は特に制限はない。また、溶媒Aに対する溶媒Bの割合は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。また、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。溶媒A及び溶媒Bの割合の比がこの範囲であることで、ポリイミド前駆体の溶解性を維持し、かつ白化抑制効果が得られる傾向にある。
溶媒Aと溶媒Bの組み合わせは特に制限はない。溶媒Aがアミド系溶媒又はケトン系溶媒の場合、溶媒Bは環状又は分岐を有する脂肪族アルコール、芳香族アルコール及びグリコール系モノエーテルアルコールからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。溶媒Aがエーテル系溶媒の場合、溶媒Bは芳香族アルコール又はグリコール系モノエーテルアルコールが好ましい。これらの組合せであることで、ポリイミド前駆体の溶解性が向上する傾向にある。
(その他の溶媒)
本発明のポリイミド前駆体組成物は、発明の効果を損なわない限り、溶媒A及び溶媒B以外のその他の溶媒を含んでもよい。その他の溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒;四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
(ポリイミド前駆体)
本発明のポリイミド前駆体は、ポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルを有するものである。また、ポリイミド前駆体の一部がポリイミド構造となっていてもよく、またポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルとポリイミドが混合されていてもよい。
また、本発明のポリイミド前駆体は、1種でも良く、複数種を含んでいてもよい。これらは、同じ反応条件で合成されたもの、又はイミド化率溶媒に対する溶解性が同じもののみである必要は無く、異なる条件で調整され、物性が異なっていてもよい。本発明において、後述するイミド化率及び分子量は、ポリイミド前駆体組成物中のポリイミド前駆体の平均値を表す。
本発明のポリイミド前駆体は、本発明の溶媒A及び溶媒Bの混合溶媒に可溶であれば特に限定されない。ポリイミド前駆体の主鎖は、テトラカルボン酸二無水物化合物に由来する単位及びジアミン化合物に由来する繰り返し単位よりなるものである。
本発明のポリイミド前駆体の構造は特に限定されず、例えば、後述するポリイミド前駆体の原料であるテトラカルボン酸二無水物化合物に由来する単位及びジアミン化合物に由来する単位を有する構造が挙げられる。これらの中でも、溶媒への溶解性の点から、脂肪族骨格を有することが好ましく、さらに脂環式構造を有することが好ましい。また、脂肪族骨格及び脂環式構造の位置は特に限定されないが、ポリイミド前駆体の原料であるテトラカルボン酸二無水物化合物に由来する単位に有することが、ポリイミド前駆体組成物及び膜形成時の粘度を制御しやすい傾向となるため好ましい。
なお、本発明において、「溶媒に可溶」とは、ポリイミド前駆体組成物の溶媒中で、ポリイミド前駆体を室温(25℃)で溶解させた場合に完溶することをいう。完溶する濃度としては通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。
ポリイミド前駆体組成物に含まれるポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は特に制限されない。ポリスチレン換算の重量平均分子量で通常1000以上、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上である。また、通常200000以下であり、好ましくは180000以下であり、より好ましくは150000以下である。この範囲となることで、溶媒に対するポリイミド前駆体の溶解性、組成物粘度、溶融粘度等が通常の製造設備で扱いやすい傾向となるため好ましい。なお、ポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により求めることができる。
ポリイミド前駆体組成物に含まれるポリイミド前駆体の数平均分子量(Mn)は特に制限されない。ポリスチレン換算の数平均分子量で通常500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2500以上である。また、通常100000以下、好ましくは90000以下、より好ましくは80000以下である。この範囲となることで、溶媒に対するポリイミド前駆体の溶解性、組成物粘度、溶融粘度等が通常の製造設備で扱いやすい傾向となるため好ましい。ポリイミド前駆体の数平均分子量は前記重量平均分子量と同様の方法で求めることができる。
ポリイミド前駆体組成物に含まれるポリイミド前駆体の分子量分布(PDI:重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn))は、通常1以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上である。また、通常10以下、好ましくは9以下、より好ましくは8以下である。この範囲にあることで、膜中成分の均一性、白化抑制及び平滑性に優れた膜が得られる傾向にある。
ポリイミド前駆体組成物に含まれるポリイミド前駆体のイミド化率は、特に限定されない。通常100%未満、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下であり、さらに好ましくは50%以下である。また、下限はなく、イミド化率が0%でもよい。イミド化率がこの範囲となることで、ポリイミド前駆体組成物に用いる溶媒への溶解性が高くなり、ポリイミド前駆体組成物の安定性が増す傾向にあるため。ポリイミド前駆体組成物に含まれるポリイミド前駆体のイミド化率は、従来既知の方法、例えばNMR法、IR法、滴定法等で求めることができる。
(ポリイミド前駆体組成物のその他の成分)
本発明のポリイミド前駆体組成物は、上述したポリイミド前駆体及び溶媒以外に、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含むことができる。その他の成分としては、例えば、界面活性剤、溶媒、酸化防止剤、滑剤、着色剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、レベリング剤、消泡剤等が挙げられる。また、その他必要に応じて、発明の目的を損なわない範囲で、粉末状、粒状、板状、繊維状等の、無機系充填剤又は有機系充填剤を配合してもよい。これらの添加成分は、ポリイミド前駆体組成物を製造するどの工程のどの段階で添加してもよい。
これらの成分の中で、レベリング剤を含むことが膜の平滑性が向上する傾向となるため好ましい。レベリング剤としては、例えばシリコーン系化合物等が挙げられる。シリコーン系化合物は特に限定はないが、例えば、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノ誘導体シリコーン、フェニル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
(ポリイミド前駆体組成物の製造方法)
ポリイミド前駆体組成物の製造方法は特に制限はない。例えば、ポリイミド前駆体を溶媒Aの全量に溶解させ、次いで溶媒Bを添加する方法;溶媒A及び溶媒Bの混合溶媒にポリイミド前駆体を溶解させる方法;ポリイミド前駆体を溶媒Aの一部に溶解させ、残りの溶媒A及び溶媒Bを混合した溶媒を添加する方法;等が挙げられる。溶媒A及び溶媒Bの添加順序等にも制限は無く、またその他の溶媒を添加する場合も同様である。
(ポリイミド前駆体の製造方法)
本発明のポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を溶媒中で反応させて得られる。テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を溶媒中で反応させる方法は特に限定されない。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の添加順序や添加方法も特に限定されない。例えば、溶媒にテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を順に投入し、適切な温度で撹拌することにより、ポリイミド前駆体を得ることができる。
ジアミン化合物の量は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、通常0.7モル以上、好ましくは0.8モル以上であり、通常1.3モル以下、好ましくは1.2モル以下である。ジアミン化合物をこのような範囲とすることで、得られるポリイミド前駆体の収率が向上する傾向にある。
溶媒中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の濃度は、反応条件や得られるポリイミド前駆体の粘度に応じで適宜設定できる。
テトラカルボン酸二無水及びジアミン化合物の合計質量は、特に制限はないが、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン化合物及び溶媒を含む溶液全量に対し、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、通常70%質量以下、好ましくは50質量%以下である。テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の濃度が低過ぎないことで、分子量の伸長が起こりやすい傾向にある。また、高過ぎないことで、粘度か高くなり過ぎず、溶液の撹拌が容易である傾向にある。
テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を溶媒中で反応させる温度は、反応が進行する温度であれば、特に制限はないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、通常120℃以下、好ましくは100℃以下である。
反応時間は通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、通常100時間以下、好ましくは42時間以下である。このような条件で行うことにより、低コストで収率よくポリイミド前駆体を得ることができる傾向にある。
反応時の圧力は、常圧、加圧及び減圧のいずれでもよい。雰囲気は空気下でも不活性雰囲気下でもよい。
テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を反応させる際に用いる溶媒は特に限定されない。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソール等の炭化水素系溶媒;四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メトキシベンゼン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコール系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホン系溶媒;ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン、イソキノリン等の複素環系溶媒;フェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
得られたポリイミド前駆体はそのまま用いてもよく、また貧溶媒中に添加することで固体状に析出させた後に他の溶媒に再溶解させてポリイミド前駆体組成物として得ることもできる。
用いる貧溶媒は特に制限は無く、ポリイミド前駆体の種類によって適宜選択し得るが、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;等が挙げられる。中でも、アルコール系溶媒が効率良く析出物が得られ、沸点が低く乾燥が容易となる傾向にあるため好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
ポリイミド前駆体を再溶解させる方法は特に限定されないが、例えば前述した溶媒Aにポリイミド前駆体を溶解させた後、溶媒Bを添加する方法、溶媒Aと溶媒Bの混合溶媒にポリイミド前駆体樹脂を溶解させる方法等が挙げられる。
(ポリイミド前駆体の原料)
本発明のポリイミド前駆体の原料であるテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物は特に限定されないが、具体的には以下が挙げられる。
(テトラカルボン酸二無水物)
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物及び脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物としては、1分子内に芳香環が1つであるテトラカルボン酸二無水物、1分子内に独立した2つ以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物、1分子内に縮合芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中でも、製造時の粘度が制御しやすいため、分子内に含まれる1分子内に芳香環が1つであるテトラカルボン酸二無水物又は1分子内に独立した2つ以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物が好ましく、特に、1分子内に独立した2つ以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
1分子内に2つ以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物としては、溶解性の点から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物又は4,4’−オキシジフタル酸二無水物が好ましい。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、脂環式テトラカルボン酸二無水物、鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中でも、脂環式テトラカルボン酸二無水物が好ましい。脂環式テトラカルボン酸二無水物の中でも、3,3’、4,4’−ビスシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物又は1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物が、溶媒に対するポリイミド前駆体の溶解性が向上し、且つ、寸法安定性に優れた膜を得られる傾向にあるため好ましい。
(芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物)
(1分子内に含まれる芳香環が1つであるテトラカルボン酸二無水物)
1分子内に含まれる芳香環が1つであるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
(1分子内に独立した2つ以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物)
1分子内に独立した2つ以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’、5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロトリメチレン)−ジフタル酸二無水物、4,4’−(オクタフルオロテトラメチレン)−ジフタル酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物等が挙げられる。
(1分子内に縮合芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物)
1分子内に縮合芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,5,6−ナフタレンジカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
(脂肪族テトラカルボン酸二無水物)
(脂環式テトラカルボン酸二無水物)
脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ビスシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフ
リル) −3−メチル−3−シクロヘキセン−11,2−ジカルボン酸無水物、トリシクロ[6.44.0.02,7]ドデカン−1,8:2,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
(鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物)
鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
(ジアミン化合物)
ジアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物、脂肪族ジアミン化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
芳香族ジアミン化合物としては、1分子内に芳香環が1つであるジアミン化合物、1分子内に独立した2つ以上の芳香環を有するジアミン化合物、1分子内に縮合芳香環を有するジアミン化合物等が挙げられる。これらの中でも、製造時の粘度制御が容易になる点で、1分子内の芳香環が1つであるジアミン化合物又は独立した2つ以上の芳香環を有するジアミン化合物が好ましく、独立した2つ以上の芳香環を有するジアミン化合物が特に好ましい。
1分子内に独立した2つ以上の芳香環を有するジアミン化合物としては、溶解性の点から、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン等が好ましい。
脂肪族ジアミン化合物としては、脂環系ジアミン化合物、鎖状脂肪族系ジアミン化合物等が挙げられる。これらの中で、溶解性の点から、脂環系ジアミン化合物が好ましく、特に、1,4−ジアミノシクロヘキサン又は1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。
(芳香族ジアミン化合物)
(1分子内に芳香環が1つであるジアミン化合物)
1分子内に芳香環が1つであるジアミン化合物としては、例えば、1,4−フェニレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン等が挙げられる。
(1分子内に独立した2つ以上の芳香環を有するジアミン化合物)
1分子内に独立した2つ以上の芳香環を有するジアミン化合物としては、例えば、4,4’−(ビフェニル−2,5−ジイルビスオキシ)ビスアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ネオペンタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、N−(4−アミノフェノキシ)−4−アミノベンズアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ノルボルナンジアミン、4,4’−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル、5−トリフルオロメチル−1,3−ベンゼンジアミン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−{4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ}フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2−トリフルオロメチル−p−フェニレンジアミン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
(1分子内に縮合芳香環を有するジアミン化合物)
1分子内に縮合芳香環を有するジアミン化合物としては、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、2,7−ジアミノフルオレン、1,5−ジアミノナフタレン、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェン5,5−ジオキシド等が挙げられる。
(脂肪族ジアミン化合物)
(脂環系ジアミン化合物)
脂環系ジアミン化合物としては、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
(鎖状脂肪族系ジアミン化合物)
鎖状脂肪族系ジアミン化合物としては、例えば、(1,2−エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,10−ジアミノデカン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、2,3−ジアミノ−2,3−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン)等が挙げられる。
(ポリイミド前駆体組成物を用いた膜の形成方法)
本発明のポリイミド前駆体組成物を用いた膜の形成方法は特には限定されないが、基板等にポリイミド前駆体組成物を塗布する方法、等が挙げられる。
塗布する方法としては、ダイコーティング、スピンコーティング、スクリーン印刷、スプレー、キャスト法、コーターを用いる方法、吹き付けによる方法、浸漬法、カレンダー法、流延法等が挙げられる。これらの方法は、塗布面積及び被塗布面の形状等に応じて適宜選択することができる。
塗布等で形成した膜に含まれる溶媒を揮発させる方法も特に限定されない。通常は、ポリイミド樹脂組成物が塗布されたキャリア基板を加熱することにより、溶媒が揮発させられる。加熱方法は特に限定されず、例えば、熱風加熱、真空加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱、熱板又はホットロール等を用いた接触による加熱等が挙げられる。
上記の場合の加熱温度は、溶媒の種類に応じて好適な温度を用いることができる。加熱温度は、通常40℃以上、好ましくは60℃以上であり、一方、通常400℃以下、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下である。加熱温度が40℃以上である場合、溶媒が十分揮発される点で好ましい。また、加熱温度が400℃以下である場合、有機溶媒の揮発が急激に起こらないため、得られるポリイミドの膜に気泡などが発生することが防止されうる。このことは、得られる膜の外観や品質を低下させる可能性を低減できるため好ましい。また、加熱の雰囲気は、空気下でも不活性雰囲気下でも良く特に制限はないが、ポリイミドフィルムに無色透明性が要求される場合は、着色抑制のために窒素などの不活性雰囲気下で加熱することが好ましい。
本発明のポリイミド前駆体組成物を用いて形成された膜は、特に透明性や低着色性に優れるため、コーティング材料、表面保護層、接着剤、デバイス用基板、絶縁膜等の用途に好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその主旨に反しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
窒素ガス導入管、冷却器、攪拌機を備えた4つ口フラスコに、3,3’,4,4’−ビスシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物16.98g(0.06mol)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物6.99g(0.02mol)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル16.02g(0.08mol)、溶媒AとしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)120gを加えた。この混合物を撹拌しながら昇温し80℃で6時間反応させ、25質量%のポリイミド前駆体及び溶媒Aを含む組成物X−1を得た。
5.0gの組成物X−1に、溶媒Bとして2−メチル−1−ペンタノール0.41gを加え、撹拌し、ポリイミド前駆体組成物1を得た。
得られたポリイミド前駆体組成物1を、アセトンで洗浄し乾燥させたガラス基板上に、100μm厚みのアプリケーターを用いて幅3cm、長さ8cm程度に塗布し、24℃70%湿度下に静置した。白化試験として、膜が全面白化するまでの時間を計測し、60分以上のものをA、45分以上60分未満のものをB、30分以上45分未満のものをC、30分未満のものをDとした。結果を表1に示す。
なお、用いた各溶媒の蒸気圧(Pa)及びオクタノール/水分配係数(logρ)は表1〜3に示す。
[実施例2]
実施例1の3,3’,4,4’−ビスシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を44.57g(0.15mol)に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を14.27g(0.05mol)に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを40.05g(0.20mol)に、NMPを137gに変更した以外は実施例1と同様に合成し、ポリイミド前駆体及び溶媒Aを含む組成物X−2を得た。
5.0gの組成物X−2に、溶媒Bとして2−エチル−1−ブタノール0.41gを加え、撹拌し、ポリイミド前駆体組成物2を得た。また、実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
ポリイミド前駆体組成物1の溶媒Bを、2−メチル−1−ペンタノールから2−エチル−1−ヘキサノールに変更した以外は実施例1と同様にし、ポリイミド前駆体組成物3を得た。また、実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
ポリイミド前駆体組成物1の溶媒Bを、2−メチル−1−ペンタノールから3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールに変更した以外は実施例1と同様にし、ポリイミド前駆体組成物4を得た。また、実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
ポリイミド前駆体組成物1の溶媒Bを、2−メチル−1−ペンタノールから2,6−ジメチル−4−ヘプタノールに変更した以外は実施例1と同様にし、ポリイミド前駆体組成物5を得た。また、実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
ポリイミド前駆体組成物1の溶媒Bを、2−メチル−1−ペンタノールからシクロヘキサノールに変更した以外は実施例1と同様にし、ポリイミド前駆体組成物6を得た。また、実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
ポリイミド前駆体組成物1の溶媒Bを、2−メチル−1−ペンタノールから1−デカノールに変更した以外は実施例1と同様にし、ポリイミド前駆体組成物7を得た。また、実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例2で得られた20gの組成物X−2にシクロヘキサノンを22g添加し、ポリイミド前駆体及び溶媒Aを含む組成物X−3を得た。さらに、10gの組成物X−3に、溶媒Bとして2−エチルー1−ブタノール0.015gを加え、ポリイミド前駆体組成物8を得た。また実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例9]
ポリイミド前駆体組成物8の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールから2−エチル−1-ヘキサノールに変更した以外は実施例8と同様にし、ポリイミド前駆体組成物9を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表1に示す。
[実施例10]
ポリイミド前駆体組成物8の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールからベンジルアルコールに変更した以外は実施例8と同様にし、ポリイミド前駆体組成物10を得た。また実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例11]
ポリイミド前駆体組成物8の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールからエチレングリコールモノメチルエーテルに変更した以外は実施例8と同様にし、ポリイミド前駆体組成物11を得た。また実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例12]
実施例2で得られた20gの組成物X−2にアニソールを22g添加し、ポリイミド前駆体及び溶媒Aを含む組成物X−4を得た。さらに、10gの組成物X−4に、溶媒Bとして2−エチルー1−ブタノール0.015gを加え、ポリイミド前駆体組成物12を得た。また実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例13]
ポリイミド前駆体組成物12の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールから2−エチル−1-ヘキサノールに変更した以外は実施例12と同様にし、ポリイミド前駆体組成物13を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表1に示す。
[実施例14]
ポリイミド前駆体組成物12の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールからベンジルアルコールに変更した以外は実施例12と同様にし、ポリイミド前駆体組成物14を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表1に示す。
[実施例15]
ポリイミド前駆体組成物12の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールからエチレングリコールモノメチルエーテルに変更した以外は実施例12と同様にし、ポリイミド前駆体組成物15を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表1に示す。
[実施例16]
実施例2で得られた20gの組成物X−2にジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)を22g添加し、ポリイミド前駆体及び溶媒Aを含む組成物X−5を得た。さらに、10gの組成物X−5に、溶媒Bとしてベンジルアルコール0.015gを加え、ポリイミド前駆体組成物16を得た。また実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例17]
ポリイミド前駆体組成物16の溶媒Bを、ベンジルアルコールからエチレングリコールモノメチルエーテルに変更した以外は実施例16と同様にし、ポリイミド前駆体組成物17を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表1に示す。
[実施例18]
実施例1の3,3’,4,4’−ビスシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を25.26g(0.08mol)に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を24.26g(0.08mol)に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル27.22g(0.09mol)と4,4’−ジアミノジフェニルスルホン31.66g(0.09mol)に、NMPを135gに変更した以外は実施例1と同様に合成し、ポリイミド前駆体及び溶媒Aを含む組成物X−6を得た。さらに、20gの組成物X−6にシクロヘキサノンを22g添加し、ポリイミド前駆体及び溶媒Aを含む組成物X−7を得た。
10gの組成物X−7に、溶媒Bとして2−エチルー1−ブタノール0.015gを加え、ポリイミド前駆体組成物18を得た。また実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表2に示す。
[実施例19]
ポリイミド前駆体組成物18の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールから2−エチル−1-ヘキサノールに変更した以外は実施例18と同様にし、ポリイミド前駆体組成物19を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表2に示す。
[実施例20]
ポリイミド前駆体組成物18の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールからベンジルアルコールに変更した以外は実施例18と同様にし、ポリイミド前駆体組成物20を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表2に示す。
[実施例21]
ポリイミド前駆体組成物18の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールからエチレングリコールモノメチルエーテルに変更した以外は実施例18と同様にし、ポリイミド前駆体組成物21を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表2に示す。
[実施例22]
実施例18で得られた20gの組成物X−6にアニソールを22g添加し、ポリイミド前駆体及び溶媒Aを含む組成物X−8を得た。さらに、10gの組成物X−8に、溶媒Bとして2−エチルー1−ブタノール0.015gを加え、ポリイミド前駆体組成物22を得た。また実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表2に示す。
[実施例23]
ポリイミド前駆体組成物22の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールから2−エチル−1-ヘキサノールに変更した以外は実施例22と同様にし、ポリイミド前駆体組成物23を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表2に示す。
[実施例24]
ポリイミド前駆体組成物22の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールからベンジルアルコールに変更した以外は実施例22と同様にし、ポリイミド前駆体組成物24を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表2に示す。
[実施例25]
ポリイミド前駆体組成物22の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールからエチレングリコールモノメチルエーテルに変更した以外は実施例22と同様にし、ポリイミド前駆体組成物25を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表2に示す。
[実施例26]
実施例18で得られた20gの組成物X−6にジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)を22g添加し、ポリイミド前駆体及び溶媒Aを含む組成物X−9を得た。さらに、10gの組成物X−9に、溶媒Bとして2−エチルー1−ブタノール0.015gを加え、ポリイミド前駆体組成物26を得た。また実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表2に示す。
[実施例27]
ポリイミド前駆体組成物26の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールから2−エチル−1-ヘキサノールに変更した以外は実施例26と同様にし、ポリイミド前駆体組成物27を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表2に示す。
[実施例28]
ポリイミド前駆体組成物26の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールからベンジルアルコールに変更した以外は実施例26と同様にし、ポリイミド前駆体組成物28を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表2に示す。
[実施例29]
ポリイミド前駆体組成物26の溶媒Bを、2−エチルー1−ブタノールからエチレングリコールモノメチルエーテルに変更した以外は実施例26と同様にし、ポリイミド前駆体組成物29を得た。また実施例1と同様に白化試験をおこなった。結果を表2に示す。
[比較例1]
ポリイミド前駆体組成物1の溶媒Bの代わりに、アニソールを加えた以外は実施例1と同様にし、比較例組成物1を得た。また、実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表3に示す。
[比較例2]
ポリイミド前駆体組成物1の溶媒Bの代わりに、N−メチル−2−ピロリドンを加えた以外は実施例1と同様にし、比較例組成物2を得た。また、実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表3に示す。
[比較例3]
ポリイミド前駆体組成物12の溶媒Bの代わりに、アニソールを加えた以外は実施例12と同様にし、比較例組成物3を得た。また、実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表3に示す。
[比較例4]
ポリイミド前駆体組成物19の溶媒Bの代わりに、シクロヘキサンを加えた以外は実施例19と同様にし、比較例組成物4を得た。また、実施例1と同様に白化試験を行った。結果を表3に示す。
[比較例5]
ポリイミド前駆体組成物26の溶媒Bの代わりに、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)を加えた以外は実施例26と同様にし、比較例組成物5を得た。また、実施例3と同様に白化試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006582609
Figure 0006582609
Figure 0006582609
表1〜3に示すように、本発明のポリイミド前駆体組成物は高湿度の塗布環境において、30分以上白化が抑制されていることが示された。
本発明のポリイミド前駆体組成物は、コーティング材料、表面保護層、接着剤、デバイス用基板、絶縁膜等に用いることができる。

Claims (3)

  1. ポリイミド前駆体及び溶媒を含む組成物であって、溶媒として、
    エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、複素環系溶媒、フェノール系溶媒、ラクトン系溶媒及びエステル系溶媒からなる群より選ばれる1種以上であり、且つ、20℃における蒸気圧が50000Pa以下である溶媒(溶媒A)、
    並びに芳香族アルコール、脂肪族アルコール及びグリコールモノエーテル系アルコールからなる群より選ばれる1種以上である溶媒(溶媒B)を含み、
    溶媒Aは、少なくともエーテル系溶媒又はアミド系溶媒を含み、
    溶媒A及び溶媒Bの蒸気圧差が10000Pa以下であり、
    該ポリイミド前駆体は、3,3',4,4'−ビスシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物に由来する単位、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカカルボン酸二無水物に由来する単位及びジアミン化合物に由来する単位を有する構造であることを特徴とするポリイミド前駆体組成物。
  2. 前記溶媒Bのオクタノール/水分配係数(logρ)が0以上である、請求項1に記載のポリイミド前駆体組成物。
  3. 前記ポリイミド前駆体が、脂肪族骨格を有するものである、請求項1又は2に記載のポリイミド前駆体組成物。
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