JP6582130B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents

Description

本発明は、スクロール式流体機械に関する。

本技術分野の背景技術として、特許文献１がある。

特許文献１には、駆動軸と一体をなす偏心軸部の前側において、旋回スクロールにその軸線方向を向く給油孔を貫設し、この給油孔の前側、すなわち旋回ラップ側の開口端より、前記偏心軸部の軸受部へ向かって、グリースを供給しうるようにし、自転防止機構の前側において、旋回スクロールに、その軸線方向を向く給油孔を貫設し、この給油孔の前側、すなわち旋回ラップ側の開口端より、前記自転防止機構のベアリングへ向かって、グリースを供給しうるようにしたスクロール式流体機械が記載されている。

特開２００５−２８２４９６号公報

特許文献１に記載のスクロール式流体機械は、例えば、給油孔が旋回軸受と自転防止機構のハウジングに対してそれぞれ１つずつしかなく、一方向からしか給油ができなかった。そのため、グリース補給時には必ずスクロール式流体機械の前側に、補給するための作業スペースが必要であるほか、障害物がある場合にはそれを移動させる必要があり、非常に工数がかかっていた。

上記問題点に鑑み、本発明はメンテナンス時に設置環境によらずに軸受へグリースを簡便に供給できるようにすることで、作業性を向上させたスクロール式流体機械を提供することを目的とする。

上記課題を解決するため、本発明は、鏡板にラップ部が形成された固定スクロールと、鏡板に前記固定スクロールのラップ部に対向してラップ部が形成された旋回スクロールと、前記旋回スクロールを駆動する駆動軸と、前記駆動軸を前記旋回スクロールに対して支持する旋回軸受と、前記旋回軸受に対して外部から潤滑剤を注入する注入口を複数設けることを特徴とするスクロール式流体機械を提供する。

また、他の観点における本発明は、固定スクロールと、前記固定スクロールに対向して設けられた旋回スクロールと、前記旋回スクロールの径方向外側に設けられたケーシングと、前記旋回スクロールを駆動する駆動軸と、前記旋回スクロールの自転を防止する複数の自転防止機構とを備え、複数の前記自転防止機構を収容する軸受ハウジングを前記ケーシング側と前記旋回スクロール側にそれぞれ有し、複数の前記自転防止機構のうち少なくとも１つは、前記ケーシング側と前記旋回スクロール側の軸受ハウジングにそれぞれ外部から潤滑剤を注入する注入口を複数設けることを特徴とするスクロール式流体機械を提供する。

本発明によれば、メンテナンス時の作業性を向上させたスクロール式流体機械を提供することができる。

本発明の実施例１に係るスクロール式圧縮機の断面図である。 本発明の実施例１に係るボス板部の正面図である。 本発明の実施例１に係るボス板部の断面図である。 本発明の実施例１に係るボス板部の断面図である。 本発明の実施例１に係る圧縮機本体の斜視図である。 本発明の実施例２に係るボス板部の斜視図である。 本発明の実施例２に係るボス板部の背面図である。 本発明の実施例３に係るボス板部の断面図である。 本発明の実施例３に係るボス板部の斜視図である。 本発明の実施例４に係るボス板部の斜視図である。 本発明の実施例４に係るボス板部の斜視図である。 本発明の実施例４に係るボス板部の斜視図である。 本発明の実施例４に係るボス板部の側面図である。 本発明の実施例４に係る圧縮機本体の斜視図である。 本発明の実施例５に係るケーシングの上面図である。

本発明に係るスクロール式流体機械の一例として実施例１に係るスクロール式圧縮機を図１から図５に基づき説明する。

図１を用いて本実施例に係るスクロール式流体機械の全体構成について説明する。圧縮機本体１は、スクロール式の空気圧縮機が用いられ、後述のケーシング２、固定スクロール３、旋回スクロール４、駆動軸９、クランク部１０および自転防止機構１３等より構成されている。

圧縮機本体１の外殻を構成するケーシング２は、図１に示す如く軸方向の一側が閉塞され、軸方向の他側が開口した有底筒状体として形成されている。即ち、ケーシング２は、軸方向の他側（後述の固定スクロール３側）が開口した筒部２Ａと、該筒部２Ａの軸方向一側に一体形成され径方向内向きに延びた環状の底部２Ｂと、該底部２Ｂの内周側から軸方向の両側に向けて突出した筒状の軸受取付部２Ｃとから大略構成されている。

また、ケーシング２の筒部２Ａ内には、後述の旋回スクロール４、クランク部１０および自転防止機構１３等が収容されている。また、ケーシング２の底部２Ｂ側には、後述する旋回スクロール４の鏡板４Ａ側との間に複数の自転防止機構１３（図１中に１個のみ図示）が周方向に所定の間隔をもって配設されている。

固定スクロール３はケーシング２（筒部２Ａ）の開口端側に固定して設けられた一のスクロール部材である。そして、該固定スクロール３は、図１に示す如く円板状に形成された鏡板３Ａと、該鏡板３Ａの表面に立設された渦巻状のラップ部３Ｂと、該ラップ部３Ｂを径方向外側から取囲むように鏡板３Ａの外周側に設けられ、複数のボルト（図示せず）等によりケーシング２（筒部２Ａ）の開口端側に固定された筒状の支持部３Ｃとにより大略構成されている。

他のスクロール部材を構成する旋回スクロール４は、固定スクロール３と軸方向で対向してケーシング２内に旋回可能に設けられている。そして、旋回スクロール４は、図１に示すように円板状の鏡板４Ａと、該鏡板４Ａの表面に立設されたラップ部４Ｂと、ラップ部４Ｂと反対側に立設された複数の冷却フィン４Ｃと、鏡板４Ａの背面（ラップ部４Ｂと反対側の面）側に突設され、後述のクランク部１０に旋回軸受１２を介して取付けられるボス板部５とにより大略構成されている。

また、ボス板部５の径方向外側には、ケーシング２の底部２Ｂとの間に後述の自転防止機構１３が旋回スクロール４の周方向に所定の間隔をもって配設されている。そして、旋回スクロール４のボス板部５は、その中心が固定スクロール３の中心に対して予め決められた所定の寸法（旋回半径）分だけ径方向に偏心して配置されるものである。

複数の圧縮室６は固定スクロール３のラップ部３Ｂと旋回スクロール４のラップ部４Ｂとの間に画成されている。該各圧縮室６は、図１中に示す如く旋回スクロール４のラップ部４Ｂを固定スクロール３のラップ部３Ｂと重なり合うように配置することにより、これらのラップ部３Ｂ、４Ｂ間に鏡板３Ａ、４Ａに挟まれてそれぞれ形成されるものである。
吸入口７は固定スクロール３の外周側に設けられている。該吸入口７は、例えば吸気フィルタ７Ａ等を介して外部から空気を吸込み、この空気は各圧縮室６内で旋回スクロール４の旋回動作に伴って連続的に圧縮される。

吐出口８は固定スクロール３の中心側に設けられている。該吐出口８は、前記複数の圧縮室６のうち、最内径側の圧縮室６から圧縮空気を後述の貯留タンク（図示せず）側に向けて吐出するものである。即ち、旋回スクロール４は、電動モータ（図示せず）等により後述の駆動軸９とクランク部１０とを介して駆動され、後述の自転防止機構１３によって自転を規制された状態で固定スクロール３に対し旋回運動を行う。

これにより、複数の圧縮室６のうち径方向外側の圧縮室６は、固定スクロール３の吸入口７から空気を吸込み、この空気は各圧縮室６内で連続的に圧縮される。そして、径方向内側の圧縮室６は、鏡板３Ａの中心側に位置する吐出口８から圧縮空気を外部に向けて吐出するものである。

駆動軸９はケーシング２の軸受取付部２Ｃに圧縮機本体１に近い側に配置された負荷側軸受２０と、圧縮機本体１から離れた側に配置された反負荷側軸受２１を介して回転可能に設けられている。該駆動軸９は、ケーシング２の外部に突出した基端側（軸方向の一側）が図示しない電動モータ等の駆動源に着脱可能に連結され、この電動モータによって回転駆動されるものである。また、駆動軸９の先端側（軸方向の他側）には、旋回スクロール４のボス板部５における軸受ハウジング５Ａが後述のクランク部１０と旋回軸受１２とを介して旋回可能に連結されている。

駆動軸９の先端側には一体化して駆動軸９の中心に対して偏心したクランク部１０が設けられており、該クランク部１０は、旋回スクロール４のボス板部５の軸受ハウジング５Ａに後述の旋回軸受１２を介して連結されている。そして、クランク部１０は駆動軸９と一体に回転され、このときの回転は旋回軸受１２を介して旋回スクロール４の旋回動作に変換されるものである。

複数の自転防止機構１３はケーシング２の底部２Ｂと旋回スクロール４の背面側との間に設けられている（図１中に１個のみ図示）。該各自転防止機構１３は、例えば補助クランクシャフト１３Ａ、ケーシング２側と旋回スクロール４側それぞれの補助クランク軸受１３Ｂ、１３Ｃにより構成されている。そして、補助クランク軸受１３Ｂ、１３Ｃはケーシング２、旋回スクロール４のボス板部５のそれぞれに設けられた軸受ハウジング２Ｄ、５Ｂに収容されている。

そして、自転防止機構１３は、旋回スクロール４の自転を防止すると共に、旋回スクロール４からのスラスト荷重をケーシング２の底部２Ｂ側で受承させるものである。なお、自転防止機構１３としては、補助クランク機構に替えて、例えばボールカップリング機構またはオルダム継手等を用いて構成してもよい。

吐出配管１４は固定スクロール３の吐出口８に接続して設けられている。該吐出配管１４は、貯留タンク（図示せず）と吐出口８との間を連通させる吐出流路を構成するものである。

駆動軸９には、旋回スクロール４の旋回動作を安定させるためにバランスウェイト１１が設けられ、圧縮機運転の場合には駆動軸９と一体で回転する。

旋回軸受１２は旋回スクロール４のボス板部５の軸受ハウジング５Ａとクランク部１０との間に配設されている。該旋回軸受１２は、旋回スクロール４のボス板部５の軸受ハウジング５Ａに対してクランク部１０を支持し、旋回スクロール４が駆動軸９の軸線に対し所定の旋回半径をもって旋回動作するのを補償するものである。

図２に本実施例に係るボス板部５を、図３および図４にボス板部５の軸受ハウジング５Ａ、５ＢのＡ−Ａ断面図およびＢ−Ｂ断面図を示す。

旋回軸受１２は、ボス板部５の軸受ハウジング５Ａとシール部材１５および駆動軸９のクランク部１０により囲まれている。シール部材１５は旋回軸受１２の潤滑剤を封止するためにボス板部５の軸受ハウジング５Ａと駆動軸９のクランク部１０との間に設けられている。

補助クランク軸受１３Ｃは、ボス板部５の軸受ハウジング５Ｂと押え板１３Ｄおよびシール部材１３Ｆ、補助クランクシャフト１３Ａにより囲まれている。補助クランク軸受１３Ｃは、ボス板部５の軸受ハウジング５Ｂに挿入され押え板１３Ｄと共に皿ボルト１３Ｅ（図１に図示）により強固に締結される。軸受ハウジング５Ｂの深さは補助クランク軸受１３Ｂの高さよりも小さくなっており、押え板１３Ｄを皿ボルト１３Ｅで締結することで、補助クランク軸受１３Ｃの外輪１３Ｇに予圧を与えている。シール部材１３Ｆは補助クランク軸受１３Ｃの潤滑剤を封止するために押え板１３Ｄと補助クランクシャフト１３Ａとの間に設けられている。

本実施例では、ボス板部５における軸受ハウジング５Ａおよび軸受ハウジング５Ｂ、ケーシング２の軸受ハウジング２Ｄの側面を介して、旋回軸受１２および自転防止機構１３に外部から潤滑剤を供給する配管として、外部に連通した潤滑剤供給用通路１７およびグリースニップル１６をそれぞれの軸受ハウジング５Ａ、５Ｂ、２Ｄに２つ設け、異なる方向を向く構造とした。本実施例においては、グリースニップル１６がスクロール圧縮機を固定スクロール側から見て、左右方向に向く構造とした。

グリースニップル１６は、グリースガン等の潤滑剤供給用の工具を接続する接続部を有する注入口である。グリースニップル１６は、外部から軸受ハウジング５Ａ、軸受ハウジング５Ｂ内に向けて潤滑剤を通す構造となっているが、軸受ハウジング５Ａ、軸受ハウジング５Ｂ内から外部へは潤滑剤を通さないように逆止機能を有している。また、グリースニップル１６は必要に応じて向きを可変とする構造としてもよい。このようにすることで、潤滑剤供給用通路１７の向きによらず、グリースニップルの先端の向きを自由に変更でき、さらに作業性が向上する。また、グリースニップル１６は着脱可能であり、必要に応じて取り替えることができる。

グリースニップル１６を２個設けることにより、旋回軸受１２および補助クランク軸受１３Ｃへ潤滑剤を異なる方向から補給することが可能となる。これにより、メンテナンス時の作業性を向上させることができる。図５にメンテナンス時の斜視図を示す。例えば、スクロール圧縮機の左側に障害物が有る場合には、右側からのみでグリース補給することができ、右側に障害物が有る場合には、左からのみでそれぞれ専用に作り変える必要なく簡便にグリース補給をすることができる。また、左右方向だけでなく、上方向を向く３個目のグリースニップル (図示しない)を設けてもよい。その場合には、左右方向に障害物があり、グリース補給が困難な場合であっても、上方向から補給することができ、利便性を向上することができる。従って、グリースニップル１６は２個である必要はなく３個以上つけてもよい。また、グリースニップル１６ではなく、普段は六角穴付き止めねじや、或いはゴム製の栓などを潤滑剤供給用通路１７に取付けておいてもよい。その場合には補給の際に止めねじや、栓を取外して補給すればよい。

固定スクロール３またはケーシング２、もしくは固定スクロール３とケーシング２との間には開口が設けられている。そして、グリースニップル１６の先端は固定スクロール３またはケーシング２、もしくは固定スクロール３とケーシング２との間に設けられた開口の方向を向いている。このようにすることで、固定スクロール３を外さずに開口からノズル等の工具を入れてグリースニップル１６より潤滑剤を補給することが可能なる。これにより、メンテナンス時の作業性を向上させることができる。また、固定スクロール３またはケーシング２、もしくは固定スクロール３とケーシング２との間に開口を複数設けた場合には、複数のグリースニップル１６が異なる開口を向くようにしてもよい。これにより、一方の開口の方向に障害物がある場合にも障害物の無い方向にある他方の開口から潤滑剤を供給することが可能となる。

固定スクロール３またはケーシング２、もしくは固定スクロール３とケーシング２との間に設けられた開口と旋回軸受１２用のハウジング５Ａに設けられたグリースニップル１６の先端とを結ぶ直線は２つの自転防止機構１３の間を通っている。このような向きにグリースニップル１６を設けることで、開口から見て自転防止機構１３に遮られることなく、開口からグリースニップル１６へ潤滑剤を供給することが可能となる。

以上より、本実施例によれば、ボス板部５に旋回軸受１２および自転防止機構１３に潤滑剤を供給する配管として、潤滑剤供給用通路１７およびグリースニップル１６を複数個設け、グリースニップル１６の先端を異なる方向を向くようにしたため、メンテナンス時に複数の方向から容易に潤滑剤の補給をすることが可能となる。従って、スクロール圧縮機の設置環境によらず、作り分ける必要なく障害物の無い方向から簡便にグリース補給することができる。即ち、本実施例によれば、信頼性と作業性を向上させることができる。

また、本実施例では、旋回軸受１２および自転防止機構１３に潤滑剤を供給する配管として、潤滑剤供給用通路１７およびグリースニップル１６を複数個設けた例を説明したが、これに限らず、駆動軸９を支持する負荷側軸受２０または反負荷側軸受２１に対して潤滑剤を供給する注入口を１つの軸受ハウジングに対して複数個設けたものであってもよい。

本発明における実施例２に係るスクロール式圧縮機について図６を用いて説明する。実施例１と同一の構成について同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施例は、同じ方向を向く潤滑剤供給用のグリースニップル１６を複数設けたことに特徴がある。

図６に本実施例におけるボス板部５を示す。本実施例では、旋回軸受１２用の軸受ハウジング５Ａに同じ方向を向くグリースニップル１６を２個配置した。グリースニップル１６より潤滑材を補給した場合には、グリースニップル１６の先端に油分が付着し、粉塵などの不純物がグリースニップル１６に付着しやすくなる。その場合、２回目に潤滑剤を補給する際に、グリースニップル１６先端の不純物が、軸受ハウジング５Ａ内に混入し旋回軸受１２の破損の原因となる。それに対し、本実施例では、同じ方向を向くグリースニップルが２個設置されているため、１回目の潤滑剤補給と２回目の潤滑剤補給で、使用するグリースニップル１６を分けることができ、不純物が混入することなく、旋回軸受１２の信頼性を向上することができる。

また、実施例１ではグリースニップル１６は逆止機能を有するものとしたが、本実施例では、複数のグリースニップル１６の代わりに逆止機能を有さない注入口を用いて、同じ方向を向く注入口のうち一方を給油用とし、他方を排油用としてもよい。これにより、給油をしながら、混入した不純物を洗浄することができる。

また、実施例１と同様に更に異なる方向を向くグリースニップル１６を複数配置することにより、設置環境によらずに潤滑材を補給することができ、且つ、２回目の補給であっても不純物が混入することなく作業性と信頼性を向上することができる。また、本実施例では、一例として軸受ハウジング５Ａに同じ方向を向くグリースニップル１６を取付けた構造を示したが、自転防止機構１３用の軸受ハウジング５Ｂ、２Ｄにも同様に同じ方向を向くグリースニップルを複数設けてもよい。その場合には、作業性と補助クランク軸受１３Ｃ、１３Ｂの信頼性を向上することができる。

なお、固定スクロール３またはケーシング２、もしくは固定スクロール３とケーシング２との間に開口を設けた場合は、完全には同じ方向を向いていなくても、同じ開口を向いていれば、本実施例の効果を得ることができる。

本実施例では、同じ方向を向くグリースニップルを２個設けた例について説明したが、２個に限らず３個以上設けてもよい。

本発明における実施例３に係るスクロール式圧縮機について図７−９を用いて説明する。実施例１と同一の構成について同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施例は軸受ハウジング５Ｂに突起１８を設けた点に特徴がある。図７に本実施例におけるボス板部５の背面図を示す。本実施例では、ボス板部５の旋回スクロール４の鏡板４Ａ側にある鏡板面５Ｃに旋回スクロール４の鏡板４Ａ側に向けて突出した突起１８を設け、突起１８にグリースニップル１６を複数個設置したものである。図８に本実施例における補助クランク軸受ハウジング５ＢのＣ−Ｃ断面を示す。旋回スクロール４の鏡板４Ａ側に向けて突出した突起１８を設けることにより、スクロール圧縮機の駆動軸９の回転軸の反対側からでも潤滑剤を補給することができるようになる。例えば、図７の図中右側にある軸受ハウジング５Ｂに対し、図中左側からも潤滑剤を容易に補給することができる。また、突起１８があることにより、潤滑剤の流れる方向が、補助クランク軸受１３Ｃのすき間と同じ方向になり、軸受内に十分に潤滑剤を行きわたらせることができるようになり、信頼性が向上する。また、図９に軸受ハウジング５Ｂの斜視図を示す。突起１８を設けることにより、突起１８の内部に潤滑剤を溜めるグリースだまり１８Ａを形成することができる。グリースだまり１８Ａを形成することにより、軸受ハウジング内に保持できる潤滑剤の量が増え、メンテナンスまでの期間を延長することができる。本実施例では、ボス板部５の鏡板面５Ｃの補助クランク軸受１３Ｂの軸受ハウジング５Ｂに対応する位置に突起１８を設けた場合について説明したが、ボス板部５の鏡板面５Ｃの旋回軸受１２の軸受ハウジング５Ａに対応する位置に旋回スクロール４の鏡板４Ａ側に向けて突出した突起を設けた場合も同様の効果を得ることができる。

本発明における実施例４に係るスクロール式圧縮機について図１０−１４を用いて説明する。実施例１と同一の構成について同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施例は潤滑剤供給用のガイドを設けた点に特徴がある。図１０に旋回スクロール４とボス板部５の斜視図を示す。本実施例では、軸受ハウジング５Ａの背面(旋回スクロール４側)に突起１８を設け、突起１８にグリースニップル１６を２個配置している。また、旋回スクロール４の鏡板面４Ａの背面にある冷却フィン４Ｃに、グリース供給用のノズルに沿うガイド１９を形成した。これにより、ボス板部５の軸受ハウジング５Ａの背面に設置したグリースニップル１６が目視することができない場合でも容易に潤滑剤の補給を行うことができ、メンテナンス時の作業性を向上させることができる。

図１１−１４に本実施例の変形例を示す。図１１に示す変形例では、ガイド１９Ａを冷却フィン４Ｃの一部を低くすることにより形成した。また、図１２に示す変形例では、ボス板部５の鏡板面５Ｃの一部をへこませて同様にガイド１９Ｂとした。これにより、ガイドを容易に形成することができる。また、図１３に示す変形例では、冷却フィン４Ｃの間隔をグリースガンのノズル２２の直径と合わせてガイド１９Ｃとした。また、図１４に示す変形例では、ケーシング２の一部をへこませて同様にガイド１９Ｄとした。

以上より、本実施例によれば、グリース供給用のノズルに沿ったガイド１９を形成することにより、実施例１と比較してさらにメンテナンス時の作業性を向上させることができる。

また、本実施例によれば、ボス板部５に突起１８を設けることにより、実施例１、２と比較してさらに信頼性およびメンテナンス性を向上させることができる。

本発明における実施例５に係るスクロール式圧縮機について図１５を用いて説明する。実施例１と同一の構成について同一の符号を付し、その説明を省略する。

図１５に本実施例に係るケーシング２の上面図を示す。本実施例では、ケーシング２の側面に開口として、軸受ハウジング５Ｂ(図示しない)への潤滑剤補給用の補給経路を複数設けたことに特徴がある。ケーシング２の側面に軸受ハウジング５Ｂ(図示しない)に配したグリースニップル１６の位置に合わせて、グリースガンのノズル２２の通り道となる補給経路２３をノズルの侵入方向を変えて複数配置してある。これにより、軸受ハウジング５Ｂに配置したグリースニップル１６に対し、容易に潤滑剤の補給を行うことができる。また、メンテナンス時以外は、補給経路２３には取外しの容易なゴム製の蓋などを付けて置いても良い。ゴム製の蓋を付けることにより、圧縮機運転中に補給経路２３から冷却風が漏れることを防ぐことができるほか、取外しが容易なためメンテナンス時の作業性を損なうことがない。

本実施例では、補給経路２３をケーシング２の側面に設けたが、ケーシング２に限らず、固定スクロール３に設けてもよい。また、ケーシング２と固定スクロール３との間に設けてもよい。

これまで説明してきた実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。また、本発明は複数の実施例を組み合わせることによって実施してもよい。

なお、ここまでスクロール式流体機械に関して説明してきたが、本発明は駆動軸によって流体を圧縮または膨張させる流体機械本体が駆動され、駆動軸を支持する軸受や駆動軸の回転に伴って回転する従動軸を支持する軸受を有するものであれば、スクロール式流体機械に限らず、往復動圧縮機、スクリュー圧縮機といった他の流体機械にも適用することができる。

１ 圧縮機本体
２ ケーシング
２Ａ 筒部
２Ｂ 底部
２Ｃ 軸受取付部
２Ｄ 軸受ハウジング
３ 固定スクロール（スクロール部材）
３Ａ 鏡板
３Ｂ ラップ部
３Ｃ 支持部
４ 旋回スクロール（スクロール部材）
４Ａ 鏡板
４Ｂ ラップ部
４Ｃ 冷却フィン
５ ボス板部
５Ａ 軸受ハウジング(旋回軸受)
５Ｂ 軸受ハウジング(補助クランク軸受)
５Ｃ 鏡板面
６ 圧縮室
７ 吸入口
７Ａ 吸気フィルタ
８ 吐出口
９ 駆動軸
１０ クランク部
１１ バランスウェイト
１２ 旋回軸受
１３ 自転防止機構
１３Ａ 補助クランクシャフト
１３Ｂ 補助クランク軸受
１３Ｃ 補助クランク軸受
１３Ｄ 押え板
１３Ｅ 皿ボルト
１３Ｆ シール部材(補助クランク軸受)
１３Ｇ 外輪
１４ 吐出配管（吐出流路）
１５ シール部材(旋回軸受)
１６ グリースニップル
１７ 潤滑剤補給用通路
１８ 突起
１８Ａグリースだまり
１９ ガイド
１９Ａ 冷却フィンガイド
１９Ｂ ボス板ガイド
１９Ｃ 冷却フィン間隔ガイド
１９Ｄ ケーシングガイド
２０ 負荷側軸受
２１ 反負荷側軸受
２２ グリースガンノズル
２３ 補給経路

Claims (22)

1. 鏡板にラップ部が形成された固定スクロールと、
   鏡板に前記固定スクロールのラップ部に対向してラップ部が形成された旋回スクロールと、
   前記旋回スクロールを駆動する駆動軸と、
   前記駆動軸を前記旋回スクロールに対して支持する旋回軸受と、を有し、
   前記旋回軸受に潤滑剤を注入する複数の注入口が設けられていることを特徴とするスクロール式流体機械。
2. 前記旋回軸受を収容する軸受ハウジングに複数の前記注入口が設けられていることを特徴とする請求項１に記載のスクロール式流体機械。
3. 前記旋回スクロールは前記駆動軸と接続されるボス板部を有し、
   前記ボス板部の前記旋回スクロールの前記鏡板側の表面に前記旋回スクロールの前記鏡板側に向けて突出する突起部が形成されており、
   前記突起部に前記注入口が設けられていることを特徴とする請求項１に記載のスクロール式流体機械。
4. 複数の前記注入口の先端が異なる方向を向けられていることを特徴とする請求項１に記載のスクロール式流体機械。
5. 前記注入口が潤滑剤供給用の工具を接続する接続部を有すことを特徴とする請求項１に記載のスクロール式流体機械。
6. 前記接続部が着脱可能であることを特徴とする請求項５に記載のスクロール式流体機械。
7. 前記接続部の先端の向きが可変であることを特徴とする請求項５に記載のスクロール式流体機械。
8. 前記固定スクロールに取り付けられ、前記旋回スクロールの径方向外側に設けられたケーシングを有し、
   前記固定スクロールまたは前記ケーシング、もしくは前記固定スクロールと前記ケーシングとの間に複数の開口が設けられ、
   少なくとも２つの前記接続部の先端が異なる開口の方向に向けられていることを特徴とする請求項５に記載のスクロール式流体機械。
9. 前記固定スクロールに取り付けられ、前記旋回スクロールの径方向外側に設けられたケーシングを有し、
   前記固定スクロールまたは前記ケーシング、もしくは前記固定スクロールと前記ケーシングとの間に複数の開口が設けられ、
   少なくとも２つの前記接続部の先端が同一の開口の方向に向けられていることを特徴とする請求項５に記載のスクロール式流体機械。
10. 前記旋回スクロールの自転を防止する自転防止機構を有し、
    複数の前記自転防止機構の間に前記開口と前記注入口とを結ぶ直線が通ることを特徴とする請求項８または９に記載のスクロール式流体機械。
11. 前記接続部が前記旋回軸受を収容する軸受ハウジングの外部から内部には潤滑剤を通し、内部から外部には潤滑剤を通さないことを特徴とする請求項５に記載のスクロール式流体機械。
12. 前記旋回スクロールに設けられた冷却フィン、前記旋回スクロールを前記駆動軸と接続するボス板部、または前記旋回スクロールを収容するケーシングにグリース供給用のガイドが形成されていることを特徴とする請求項１に記載のスクロール式流体機械。
13. 固定スクロールと、
    前記固定スクロールに対向して設けられた旋回スクロールと、
    前記旋回スクロールを収容するケーシングと、
    前記旋回スクロールを駆動する駆動軸と、
    前記旋回スクロールの自転を防止する複数の自転防止機構と、を有し、
    複数の前記自転防止機構を収容する軸受ハウジングを前記ケーシング側と前記旋回スクロール側にそれぞれ有し、
    複数の前記自転防止機構のうち少なくとも１つは、前記ケーシング側と前記旋回スクロール側の軸受ハウジングにそれぞれ外部から潤滑剤を注入する注入口を複数設けることを特徴とするスクロール式流体機械。
14. 前記旋回スクロールは前記駆動軸と接続されるボス板部を有し、
    前記ボス板部の前記旋回スクロールの前記鏡板側の表面に前記旋回スクロールの前記鏡板側に向けて突出する突起部が形成され、
    前記突起部に前記旋回スクロール側の軸受ハウジング内に潤滑剤を注入する前記注入口を設けることを特徴とする請求項１３に記載のスクロール式流体機械。
15. 複数の前記注入口の先端が異なる方向に向けられていることを特徴とする請求項１３に記載のスクロール式流体機械。
16. 前記注入口が潤滑剤供給用の工具を接続する接続部を有すことを特徴とする請求項１３に記載のスクロール式流体機械。
17. 前記接続部が着脱可能であることを特徴とする請求項１６に記載のスクロール式流体機械。
18. 前記接続部の先端の向きが可変であることを特徴とする請求項１６に記載のスクロール式流体機械。
19. 前記固定スクロールまたは前記ケーシング、もしくは前記固定スクロールと前記ケーシングとの間に複数の開口が設けられ、
    少なくとも２つの前記接続部の先端が異なる開口の方向に向けられていることを特徴とする請求項１６に記載のスクロール式流体機械。
20. 前記固定スクロールに取り付けられ、前記旋回スクロールの径方向外側に設けられたケーシングを有し、
    前記固定スクロールまたは前記ケーシング、もしくは前記固定スクロールと前記ケーシングとの間に複数の開口が設けられ、
    少なくとも２つの前記接続部の先端が同一の開口の方向に向けられていることを特徴とする請求項１６に記載のスクロール式流体機械。
21. 前記接続部が、前記軸受ハウジングの外部から内部には潤滑剤を通し、内部から外部には潤滑剤を通さないことを特徴とする請求項１６に記載のスクロール式流体機械。
22. 前記旋回スクロールに設けられた冷却フィン、前記ボス板部または前記ケーシングにグリース供給用のガイドが形成されていることを特徴とする請求項１３に記載のスクロール式流体機械。

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