JP6581925B2 - 反射防止部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、反射防止部材及びその製造方法に関するものである。
反射防止部材は、レンズへの迷光の進入を防止するなど、撮影に無関係な光を遮断するものであり、各種の光学機器等に用いられる。反射防止部材として、フィルム状のいわゆる反射防止フィルムがある。例えば、特許文献1には、樹脂フィルムの両面上にニッケル系金属膜が設けられ、このニッケル系金属膜の表面にニッケル系金属酸化物膜を形成した黒色アルミニウム材が反射防止フィルムとして記載されている。また、特許文献2には、アルミニウム箔の表面に金属層が設けられ、この金属層の表面に、ニッケル‐スズ合金皮膜がめっきによって形成されている反射防止フィルムが記載されている。
特開2014−235196号公報 特開2014−51729号公報
しかしながら特許文献1と特許文献2との遮光フィルムは、反射率が高く、すなわち光沢性が高い。そこで本出願人は、アルミニウム箔の表面に形成された凹凸構造上に、ニッケルを含む突部が入射光の波長以下のピッチで多数形成された反射防止フィルムを提案している(特願2014−212024号)。また、特許文献2の遮光フィルムは割れやすいという問題がある。このため、製造過程において、または運搬している間等に破損が発生しやすい。
本発明は、割れにくい反射防止部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の反射防止部材は、基材シートとニッケル層とを備える。基材シートは、金属層と樹脂層とを有する。ニッケル層は、ニッケルを含み、基材シートの金属層の表面に形成されている。ニッケル層は、配列周期が反射防止対象となる光の波長帯域の中で最短の波長以下の凹凸からなる第1凹凸構造を有する。
金属層の表面に、配列周期が反射防止対象となる光の波長帯域の中で最長の波長よりも長い第2凹凸構造を有することが好ましい。
金属層がアルミニウム箔であることが好ましい。
反射防止部材は、アルミニウム箔と樹脂層とを接着する接着層を備えることが好ましい。
金属層に穴が形成されており、穴の内壁の少なくとも一部にニッケル層が設けられていることが好ましい。
本発明の反射防止部材の製造方法は、基材シート形成ステップと、第1凹凸構造形成ステップとを有する。基材シート形成ステップは、金属層と樹脂層とを有する基材シートを形成する。第1凹凸構造形成ステップは、金属層の表面に、めっき処理を施すことにより、配列周期が反射防止対象となる光の波長帯域の中で最短の波長以下の凹凸からなる第1凹凸構造を有し、かつニッケルを含むニッケル層を形成する。
反射防止部材の製造方法は、金属層の表面に、配列周期が反射防止対象となる光の波長帯域の中で最長の波長よりも長い第2凹凸構造を形成する第2凹凸構造形成ステップを、第1凹凸構造形成ステップの前に有することが好ましい。
金属層はアルミニウム箔であり、第2凹凸構造形成ステップは、金属層の表面に、硝酸を含む電解液による電解粗面化処理を施すことによって第2凹凸構造を形成することが好ましい。
金属層はアルミニウム箔であり、基材シート形成ステップは、一方の表面に凹凸を有する樹脂層の表面に、配列周期が反射防止対象となる光の波長帯域の中で最長の波長よりも長い第2凹凸構造を有する金属層を形成することが好ましい。
金属層はアルミニウム箔であり、第1凹凸構造形成ステップは、アルミニウム箔の一方の表面にニッケル層を形成し,基材シート形成ステップは、アルミニウム箔の他方の表面に、樹脂が溶剤に溶けた樹脂液または、溶融した樹脂をのせることによって樹脂層を形成することが好ましい。
アルミニウム箔の他方の表面に、第2凹凸構造が形成されていることが好ましい。
本発明の反射防止部材は割れにくく、本発明の反射防止部材の製造方法によれば、割れにくい反射防止部材が得られる。
反射防止部材の層構成を示す説明図である。 突部のピッチの説明図である。 突部の高さの説明図である。 突部の先端の向きの説明図である。 反射防止部材の製造方法の説明図である。 基材シートの製造装置の説明図である。 電解粗面化処理装置の概略図である。 めっき処理装置の概略図である。 反射防止部材の層構成を示す説明図である。 反射防止部材の製造方法の説明図である。 反射防止部材の層構成を示す説明図である。 反射防止部材の製造方法の説明図である。 基材シートの製造装置の説明図である。 反射防止部材の層構成を示す説明図である。 反射防止部材の製造方法の説明図である。 反射防止部材の層構成を示す断面図である。 反射防止部材の製造方法を示す断面図である。 反射防止部材からなる絞り板の概略図である。 反射防止部材を用いた撮影モジュールの一例を示す概略図である。 両面に第1凹凸構造及び第2凹凸構造を形成した反射防止部材の層構成を示す説明図である。
[第1実施形態]
図1に示すように、反射防止部材10は、基材シート11とニッケル層12とを備える。基材シートは反射防止部材10の部材本体であり、ニッケル層12は反射防止部材10としての反射防止機能を担うためのものである。反射防止機能とは、反射防止対象となる光、すなわち反射防止部材10への入射光の反射を抑制する機能である。基材シート11は、金属箔、すなわち金属によりシート状に形成されている金属層20と、合成樹脂によりシート状に形成されている樹脂層21と、樹脂層21と金属層20とを接着させる接着層22とを備える。接着層22は例えば製造方法等に応じて設けられなくてもよい。反射防止部材10は、反射防止構造を有する。反射防止構造は、具体的には、配列周期が互いに異なる、第1凹凸構造23及び第2凹凸構造24の2種類の凹凸構造で形成される。ここで、配列周期とは、後述する突部のピッチである。第1凹凸構造23はニッケル層12の表面に形成されており、第2凹凸構造24は金属層20のニッケル層12が設けられている一方の表面20aに形成されている。各図において、ニッケル層12、金属層20、接着層22、及び樹脂層21のそれぞれの厚みは誇張して描かれている。
金属層20を構成する上記金属箔は、この例ではアルミニウム箔(以下、アルミ箔と称する)である。アルミ箔とは、厚みが6μm以上200μm以下の範囲内であるシート状のアルミニウム(Al)、またはアルミニウムと他の金属とを含む合金である。厚みは、好ましくは6μm以上150μm以下の範囲内であり、より好ましくは6μm以上100μm以下の範囲内である。ここでは、例えば、厚み10μmのアルミ箔を金属層20として用いている。本実施形態の金属層20は、アルミニウムから形成されているが、他の素材から形成されていてもよい。また、金属層20は、互いに異なる2以上の素材の混合物から形成されていてもよい。例えば、金属層20の質量を100とするときに、アルミニウムの質量を90.0%以上99.9%以下の範囲内とし、他の素材の質量を0.1%以上10.0%以下の範囲内としてもよい。金属層20の素材は、透明なものでも不透明なものでもよいが、反射防止部材10への入射光、すなわち反射防止対象となる光の入射ができるだけ少ないものの方が好ましく、好ましい金属としては、アルミニウムの他に、銅またはSUS(ステンレス鋼)等が挙げられる。ただしアルミニウムなどの金属であっても、厚みによっては光を透過し、また表面で光を反射するから、ニッケル層12を基材シート11上に設けてある。
樹脂層21は、基材シート11に割れにくさを付与するためのものである。樹脂層21には、可撓性を有するものが好ましく、この例ではPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いている。しかし、PETフィルムに限らず、PC(ポリカーボネート)フィルム、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)フィルム等でもよい。樹脂層21の厚みは、この例では75μmとしているが、75μmに限られず、好ましくは10μm以上300μm以下の範囲内、より好ましくは20μm以上250μm以下の範囲内、さらに好ましくは50μm以上200μm以下の範囲内である。
接着層22は、金属層20と樹脂層21との間の少なくとも一部に形成されていればよく、全面に渡って形成されていなくともよい。接着層22には、この例ではアクリル系接着剤が使用されているが、特に限定されない。
ニッケル層12は、金属層20の一方の表面20aに形成されている。ニッケル層12の第1凹凸構造23は、複数の第1突部25を有する。第1突部25は、この例では先端に向かうほど径が小さい円錐状である。ただし、第1突部25は先細のいわゆる錐体状であればよく、円錐状に代えて角錐状でもよい。第1突部25の先端部のみ先細であってもよい。また、第1突部25の先端は尖鋭である必要はなく、丸みを帯びていてもよい。このように第1突部25の各々が錐体状であることにより、入射光に対する見かけ上の屈折率が緩やかになり、このため入射光の吸収率が高まる。
金属層20の第2凹凸構造24は、複数の第2突部26を有する。図1において、PLは隣り合う第2突部26と第2突部26との各頂部間の距離を表し、HLは、第2突部26の底面から頂部までの距離を表す。
図2において、複数の第1突部25のピッチ(以下、第1突部ピッチと称する)PSは、反射防止対象の光である入射光の波長以下とされている。第1突部ピッチPSは、隣り合う第1突部25と第1突部25との各頂部間の距離である。また、入射光の波長以下とは、入射光の波長帯域のうち最も短い波長以下という意味であり、例えば入射光の波長帯域が可視光領域であり、その最短波長が400nmである場合には、第1突部ピッチPSは400nm以下である。第1突部ピッチPSは、一定である必要は無く、本実施形態においても一定ではない。このように第1突部ピッチPSが不均一である場合には、隣り合う11個の第1突部25につき、図2に示すようにそれらの各頂部間の距離(PS1,PS2,PS3,・・・,PS8,PS9,PS10)を求め、(PS1+PS2+PS3+・・・+PS8+PS9+PS10)/10で求める平均値を第1突部ピッチPSとする。各頂部間の距離(PS1,PS2,PS3,・・・,PS8,PS9,PS10)は、ニッケル層12の断面をSEM(Scanning Electron Microscope,走査型電子顕微鏡)で観察して求めることができる。本実施形態での第1突部ピッチPSは300nmである。なお、図2においては、上下方向を厚み方向としており、ニッケル層12を図示してある。第1突部ピッチPSは、入射光の最短波長よりも短いことがより好ましく、最短波長の1/2よりも短いことがさらに好ましい。
第1突部25の高さ(以下、第1突部高さと称する)HSは、入射光の波長帯域のうち最長の波長の1/4以上とされる。第1突部高さHSは、第1突部25の底面25bから頂部までの距離である。第1突部高さHSは、入射光の波長帯域が可視光領域の場合には、その最長波長を800nmとすると、200nm以上である。第1突部高さHSは一定でもよいし、不均一でもよい。本実施形態においては第1突部高さHSは不均一とされている。このように第1突部高さHSが不均一である場合には、隣り合う10個の第1突部25の各々につき、図3に示すように底面から頂部までの距離(HS1,HS2,HS3,・・・,HS8,HS9,HS10)を求め、(HS1+HS2+HS3+・・・+HS8+HS9+HS10)/10で求める平均値を第1突部高さHSとする。各第1突部25の底面25bから頂部までの距離(HS1,HS2,HS3,・・・,HS8,HS9,HS10)は、ニッケル層12の断面を前述のSEMで観察して求めることができる。本実施形態での第1突部高さHSは500nmである。
以上のような複数の微小な第1突部25で形成される表面凹凸構造はモスアイ構造とも呼ばれる。モスアイ構造においては、第1突部25の素材と、隣接する第1突部25間を占有する光の媒質との体積比率が、第1突部25の先端から根元に向かって徐々に変化するため、見かけ上の屈折率がゆるやかに変化する。このため、入射光は、光の反射や屈折が生じにくくなり、ニッケル層12で吸収される。なお、この例での上記媒質は、空気である。
図4に示すように、複数の第1突部25は、先端の向きが不均一に形成されている。すなわち、複数の第1突部25の先端の向きはランダムである。先端の向きは、第1突部25の頂部25pから底面25bへ垂線Pを下ろしたときの、底面25bから頂部25pへの向きである。このように、先端の向きが不均一に複数の第1突部25が形成されているから、見かけ上の屈折率はより確実にゆるやかに変化して入射光はより確実に吸収される。
金属層20の第2凹凸構造24の複数の第2突部26のピッチ(以下、第2突部ピッチと称する)PLは、反射防止対象の光である入射光の波長帯域の中で最長の波長よりも長い。第2突部ピッチPLは、隣り合う第2突部26と第2突部26との各頂部間の距離である。例えば入射光の波長帯域が可視光領域であり、その最長波長が800nmである場合には、第2突部ピッチPLは800nmよりも長い。第2突部ピッチPLは、一定である必要は無く、本実施形態においても一定ではない。このように第2突部ピッチPLが不均一である場合には、第1突部25の場合と同様に、隣り合う11個の第2突部26につき、それらの各頂部間の距離の和/10で求める平均値を第2突部ピッチPLとする。各頂部間の距離断面は、金属層20をSEM(Scanning Electron Microscope,走査型電子顕微鏡)で観察して求めることができる。本実施形態での第2突部ピッチPLは、5μmである。
金属層20の第2凹凸構造24の第2突部26の高さ(以下、第2突部高さと称する)HLは、第2突部26の底面から頂部までの距離である。第2突部26の第2突部高さHLは一定でもよいし、不均一でもよい。本実施形態においては、第2突部高さHLは不均一とされている。このように第2突部高さHLが不均一である場合には、第1突部高さHSの場合と同様に、隣り合う10個の第2突部26の各々につき、底面から頂部までの距離の和/10で求める平均値を第2突部高さHLとする。各第2突部26の底面から頂部までの距離は、ニッケル層12の断面を前述のSEMで観察して求めることができる。第2突部高さHLは、入射光の波長帯域の中で最長の波長の1/2以上である。入射光の波長帯域が可視光領域の場合には、可視光の最長波長を800nmとすると、第2突部高さHLは400nm以上である。また、第2突部26は、先端の向きが不均一に形成されている。本実施形態での金属層の厚み(第2突部高さHL)は、2μmである。
ニッケル層12は、この例では、ニッケル(Ni)を含んでいるから、黒色である。黒色とすることにより、入射光はより吸収され、反射防止機能がより確実に向上する。ニッケルは、ニッケル層12の質量を100とするときに、少なくとも90の質量で含まれることが好ましい。反射防止部材10は、ニッケル層12が黒色であることから、この黒色を利用して、例えば、装飾用途としても用いることができる。なお、ニッケル層は、ニッケルの他に、例えばリン(P)、鉄(Fe)、又はすず(Sn)等を含有してもよい。さらに具体的には、ニッケル層は、リン(P)を0.1〜30%の割合で含むNiPからなる層でもよい。また、ニッケル層は、Niと、鉄(Fe)とすず(Sn)との少なくともいずれか一方とを含有する層であってもよい。
なお、反射防止対象の光である入射光は、可視光に限らず、紫外光や赤外光でもよいが、好ましい反射防止効果が得られるのは、波長が200nm以上2400nm以下の光である。波長300nm以上1000nm以下の光には、より好ましい反射防止効果が得られる。波長400nm以上800nm以下の光には、特に好ましい反射防止効果が得られる。
第2凹凸構造24は、第1凹凸構造23で吸収しきれなかった光を散乱させて、反射防止効果を得る。このように、第2凹凸構造24上に第1凹凸構造23を積層することによって、高い反射防止効果が得られる。
反射防止部材10の製造方法は、金属層20と樹脂層21とからなる基材シート11を形成する基材シート形成ステップと、第1凹凸構造23を有するニッケル層12を基材シート11の一方の表面に形成する第1凹凸構造形成ステップとを有する。具体的には以下である。図5Aに示すように、基材シート形成ステップは、両面が概ね平滑な金属層20としてのアルミ箔を準備し、この金属層20と樹脂層21とを接着剤からなる接着層22を介して貼り合わせて基材シート11を形成する。この基材シート11における金属層20側の一方の表面20aに対して後述する粗面化処理を行うことにより、金属層20の一方の表面20aに第2凹凸構造24を設ける(第2凹凸構造ステップ)。粗面化処理には、この例では、硝酸を主体とする電解液を用いている。硝酸を主体とする電解液とは、後述の濃度で硝酸を含む電解液である。なお、粗面化処理は、電解粗面化処理と機械的粗面化処理とのいずれでもよい。第1凹凸構造形成ステップは、第2凹凸構造24が設けられた基材シート11に対してめっき処理を行うことによって、第1凹凸構造23を有するニッケル層12を、第2凹凸構造24上に形成する。
図5Bに本実施形態で用いる基材シート製造装置27の一例を示す。基材シート製造装置27は、送出機27aと、塗布ユニット27bと、乾燥機27cと、ニップローラ対27dとを有する。送出機27aは、シート状の合成樹脂である樹脂層21を、塗布ユニット27bに向けて送出する。塗布ユニット27bは、容器中の接着剤28に接触したローラを、樹脂層21に接触させることによって、樹脂層21の一方の面に接着層22を形成する。乾燥機27cは、接着層22が形成された樹脂層21を乾燥する。その後に、ニップローラ対27dは、一方の面に接着層22が形成された樹脂層21と金属層20とを貼り合わせて、基材シート11が形成される。
基材シート形成ステップに供する金属層20としては、一方の表面20aにのみ第2凹凸構造24が設けられたアルミ箔を用いてもよい(第2凹凸構造ステップ)。すなわち、基材シート形成ステップに供する金属層20は、予め第2凹凸構造24が設けられていてもよい。この場合、基材シート形成ステップは、金属層20の第2凹凸構造24が設けられていない他方の表面と、樹脂層21とを接着層22を介して貼り合わせることにより、基材シート11を形成する。第1凹凸構造形成ステップは、上記と同様である。なお、一方の表面20aにのみ第2凹凸構造24が設けられたアルミ箔は、両面が概ね平滑な金属層20としてのアルミ箔の一方の表面に対して粗面化処理を行うことにより得られる。
(電解粗面化処理)
電解粗面化処理を行う電解粗面化処理装置30は、図6に示すように、電解槽32と、電極33と、交流電源34とを備え、電解槽32には硝酸を主体とする電解液36が貯留される。電解液36中において、浸漬した基材シート11の金属層20側の表面と電極33とが対向配置され、それぞれが交流電源34に接続される。交流電源34によって流される交流電流により、基材シート11の金属層20側の表面20aに、電解粗面化処理が施される。この電解粗面化処理によって、基材シート11の金属層20側の表面20aに第2凹凸構造24が設けられる。
こうした電解粗面化処理は、例えば、特公昭48−28123号公報および英国特許第896,563号明細書に記載されている電気化学的グレイン法(電解グレイン法)に従うことができる。この電解グレイン法は、正弦波形の交流電流を用いるものであるが、特開昭52−58602号公報に記載されているような特殊な波形を用いて行ってもよい。また、特開平3−79799号公報に記載されている波形を用いることもできる。また、特開昭55−158298号、特開昭56−28898号、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭54−85802号、特開昭60−190392号、特開昭58−120531号、特開昭63−176187号、特開平1−5889号、特開平1−280590号、特開平1−118489号、特開平1−148592号、特開平1−178496号、特開平1−188315号、特開平1−154797号、特開平2−235794号、特開平3−260100号、特開平3−253600号、特開平4−72079号、特開平4−72098号、特開平3−267400号、特開平1−141094の各公報に記載されている方法も適用できる。また、前述のほかに、電解コンデンサーの製造方法として提案されている特殊な周波数の交番電流を用いて電解することも可能である。例えば、特開昭58−207400号公報、米国特許第4,276,129号明細書および同第4,676,879号明細書に記載されている。
電解槽32および交流電源34については、種々提案されているが、米国特許第4203637号明細書、特開昭56−123400号、特開昭57−59770号、特開昭53−12738号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32823号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特開昭62−127500号、特開平1−52100号、特開平1−52098号、特開昭60−67700号、特開平1−230800号、特開平3−257199号の各公報等に記載されているものを用いることができる。また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
電解液36は、硝酸を主体とする水溶液であり、硝酸の濃度は0.5〜2.5質量%であるのが好ましいが、後述するスマット除去処理での使用を考慮すると、0.7〜2.0質量%であるのが特に好ましい。また、液温は20〜80℃であるのが好ましく、30〜60℃であるのがより好ましい。なお、本明細書において、「〜」によって示す範囲の記載は、この前後の数値、すなわち端点を含む。
硝酸を主体とする水溶液は、濃度1〜100g/Lの硝酸の水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イオンを有する硝酸化合物または塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸化合物の少なくとも一つを1g/Lから飽和するまでの範囲で添加して使用することができる。また、硝酸を主体とする水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。好ましくは、硝酸の濃度0.5〜2質量%の水溶液にアルミニウムイオンが3〜50g/Lとなるように、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等を添加した液を用いることが好ましい。
更に、Cuと錯体を形成しうる化合物を添加して使用することによりCuを多く含有するアルミニウム製の金属層20に対しても均一な砂目立て(粗面化)が可能になる。Cuと錯体を形成しうる化合物としては、例えば、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のアンモニアの水素原子を炭化水素基(脂肪族、芳香族等)等で置換して得られるアミン類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩類が挙げられる。また、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等のアンモニウム塩も挙げられる。温度は10〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。
電解粗面化処理に用いられる交流電源波は、特に限定されず、サイン波、矩形波、台形波、三角波等が用いられるが、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好ましい。台形波において電流がゼロからピークに達するまでの時間(TP)は1〜3msecであるのが好ましい。1msec未満であると、金属層20の進行方向と垂直に発生するチャタマークという処理ムラが発生しやすい。TPが3msecを超えると、硝酸電解液を用いる場合、電解処理で自然発生的に増加するアンモニウムイオン等に代表される電解液中の微量成分の影響を受けやすくなり、均一な砂目立てが行われにくくなる。
台形波交流のduty比は1:2〜2:1のものが使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているように、アルミニウムにコンダクタロールを用いない間接給電方式においてはduty比が1:1のものが好ましい。台形波交流の周波数は0.1〜120Hzのものを用いることが可能であるが、50〜70Hzが設備上好ましい。50Hzよりも低いと、カーボン製の電極33が溶解しやすくなり、また、70Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。
電解槽32は、縦型、フラット型、ラジアル型等の公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているようなラジアル型電解槽が特に好ましい。電解槽内を通過する電解液は、金属層20のアルミニウムウェブの進行方向に対してパラレルであってもカウンターであってもよい。
硝酸を主体とする電解液を用いた電解粗面化処理により、第2突部ピッチPLが0.5μm超5μm以下の第2凹凸構造24を形成させることができる。ただし、電気量を比較的多くしたときは、電解反応が集中し、第2突部ピッチPLが5μmを超える第2凹凸構造24を形成することができる。このような表面形状を得るためには、電解反応が終了した時点でのアルミニウム製の金属層20のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜1000C/dm2であるのが好ましく、50〜300C/dm2であるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜100A/dm2であるのが好ましい。
粗面化処理は、硝酸を主体とする電解液を用いた電気化学的表面化処理に、以下の処理を組み合わせてもよい。代表的方法として、例えば、基材シート11の金属層20側の表面20aに、機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理、硝酸を主体とする電解液を用いた電解粗面化処理を順次施す方法がある。また、この方法において、電解粗面化処理の後、更に、アルカリエッチング処理および酸によるデスマット処理を施してもよい。
(機械的粗面化処理)
機械的粗面化処理を施す方法としては、例えば、ブラシグレイン法を利用する。また、放電加工、ショットブラスト、レーザー、プラズマエッチング等を用いて、微細な凹凸を食刻した転写ロールを用いて繰り返し転写を行う方法や、微細粒子を塗布した凹凸のある面を、基材シート11の金属層20側の表面20aに接面させ、その上より複数回繰り返し圧力を加え、基材シート11の金属層20側の表面20aに微細粒子の平均直径に相当する凹凸パターンを複数回繰り返し転写させる方法を用いることもできる。転写ロールへ微細な凹凸を付与する方法としては、特開平3−8635号、特開平3−66404号、特開昭63−65017号の各公報等に記載されている公知の方法を用いることができる。また、ロール表面にダイス、バイト、レーザー等を使って2方向から微細な溝を切り、表面に角形の凹凸をつけてもよい。このロール表面には、公知のエッチング処理等を行って、形成させた角形の凹凸が丸みを帯びるような処理を行ってもよい。また、表面の硬度を上げるために、焼き入れ、ハードクロムメッキ等を行ってもよい。そのほかにも、機械的粗面化処理としては、特開昭61−162351号公報、特開昭63−104889号公報等に記載されている方法を用いることもできる。本発明においては、生産性等を考慮して上述したそれぞれの方法を併用することもできる。これらの機械的粗面化処理は、電解粗面化処理の前に行うのが好ましい。
以下、機械的粗面化処理として好適に用いられるブラシグレイン法について説明する。ブラシグレイン法は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイロン、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したローラ状ブラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤を含有するスラリー液を噴きかけながら、基材シート11の金属層20側の表面20aを擦ることにより行う。上記ローラ状ブラシおよびスラリー液の代わりに、表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを用いることもできる。ローラ状ブラシを用いる場合、曲げ弾性率が好ましくは10,000〜40,000kg/cm2、より好ましくは15,000〜35,000kg/cm2であり、かつ、毛腰の強さが好ましくは500g以下、より好ましくは400g以下であるブラシ毛を用いる。ブラシ毛の直径は、一般的には、0.2〜0.9mmである。ブラシ毛の長さは、ローラ状ブラシの外径および胴の直径に応じて適宜決定することができるが、一般的には、10〜100mmである。
研磨剤は公知の物を用いることができる。例えば、パミストン、ケイ砂、水酸化アルミニウム、アルミナ粉、炭化ケイ素、窒化ケイ素、火山灰、カーボランダム、金剛砂等の研磨剤;これらの混合物を用いることができる。中でも、パミストン、ケイ砂が好ましい。特に、ケイ砂は、パミストンに比べて硬く、壊れにくいので粗面化効率に優れる点で好ましい。研磨剤の平均粒径は、粗面化効率に優れ、かつ、砂目立てピッチを狭くすることができる点で、3〜50μmであるのが好ましく、6〜45μmであるのがより好ましい。研磨剤は、例えば、水中に懸濁させて、スラリー液として用いる。スラリー液には、研磨剤のほかに、増粘剤、分散剤(例えば、界面活性剤)、防腐剤等を含有させることができる。スラリー液の比重は0.5〜2であるのが好ましい。
機械的粗面化処理に適した装置としては、例えば、特公昭50−40047号公報に記載された装置を挙げることができる。
(アルカリエッチング処理)
アルカリエッチング処理は、基材シート11の金属層20側の表面20aをアルカリ溶液に接触させることにより、その表層を溶解させる処理である。電解粗面化処理より前に行われるアルカリエッチング処理は、金属層20の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等を除去することを目的として行われる。
アルカリエッチング処理のエッチング量は、0.05〜10g/m2であるのが好ましく、1〜5g/m2であるのがより好ましい。エッチング量が0.05g/m2未満であると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等が残存する場合があるため、後段の電解粗面化処理において均一な波構造が生成できずムラが発生してしまう場合がある。一方、エッチング量が1〜10g/m2であると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等の除去が十分に行われる。上記範囲を超えるエッチング量とするのは、経済的に不利となる。
電解粗面化処理の直後に行うアルカリエッチング処理は、酸性電解液中で生成したスマットを溶解させることと、電解粗面化処理により形成された波構造のエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。電解粗面化処理で形成される波構造は電解液の種類によって異なるためにその最適なエッチング量も異なるが、電解粗面化処理後に行うアルカリエッチング処理のエッチング量は、0.1〜5g/m2であるのが好ましい。硝酸電解液を用いた場合、塩酸電解液を用いた場合よりもエッチング量は多めに設定する必要がある。電解粗面化処理が複数回行われる場合には、それぞれの処理後に、必要に応じてアルカリエッチング処理を行うことができる。
アルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げられる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。また、アルカリ金属塩としては、例えば、タケイ酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸塩;アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二リン酸カリ、第三リン酸ソーダ、第三リン酸カリ等のアルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチング速度が速い点および安価である点から、カセイアルカリの溶液、および、カセイアルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。特に、カセイソーダの水溶液が好ましい。
アルカリ溶液の濃度は、エッチング量に応じて決定することができるが、1〜50質量%であるのが好ましく、10〜35質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液中にアルミニウムイオンが溶解している場合には、アルミニウムイオンの濃度は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、3〜8質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液の温度は20〜90℃であるのが好ましい。処理時間は1〜120秒であるのが好ましい。
基材シート11の金属層20側の表面20aをアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば、基材シート11をアルカリ溶液を入れた槽の中を通過させる方法、基材シート11を、アルカリ溶液を入れた槽の中に浸漬する方法、アルカリ溶液を基材シート11の金属層20側の表面20aに噴きかける方法が挙げられる。
(デスマット処理)
電解粗面化処理またはアルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(デスマット処理)が行われるのが好ましい。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。上記デスマット処理は、例えば、基材シート11を塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。基材シート11を酸性溶液に接触させる方法としては、例えば、基材シート11を、酸性溶液を入れた槽の中を通過させる方法、基材シート11を、酸性溶液を入れた槽の中に浸漬する方法、酸性溶液を基材シート11の金属層20側の表面20aに噴きかける方法が挙げられる。デスマット処理においては、酸性溶液として、上述した電解粗面化処理において排出される硝酸を主体とする電解液36の廃液を用いることができる。デスマット処理の液温は、25〜90℃であるのが好ましい。また、処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。デスマット処理に用いられる酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。
上記において、第2凹凸構造形成ステップとして、硝酸を主体とする電解液を用いた電解粗面化処理、または、電解粗面化処理と機械的粗面化処理の組み合わせを例に説明したが、第2凹凸構造形成ステップとしては、電解粗面化処理を行わずに機械的粗面化処理のみで行ってもよい。ただし、機械的粗面化処理は、粉塵が発生するため、粉塵を除去する処理が必要になる。そのため、粉塵を除去する処理を無くして、生産効率を向上させたい場合には、機械的粗面化処理を行わずに、電解粗面化処理を中心に行うことが好ましい。
(第1凹凸構造形成ステップ)
基材シート形成ステップの後に、第1凹凸構造23を形成する第1凹凸構造形成ステップが行われる。第1凹凸構造形成ステップは、基材シート11の第2凹凸構造24が設けられた表面に対して行う、ニッケル(Ni)を主成分とするめっき処理である。めっき処理としては、電解めっきと無電解めっきとが挙げられる。電解めっきを行うめっき処理装置40は、図7に示すように、電解槽42と、電極43と、直流電源44とを備え、電解槽42にはニッケルを主成分とする電解液45が貯留される。電解液45中において、浸漬した基材シート11の金属層20側の表面と電極43とが対向配置され、それぞれが直流電源44に接続される。基材シート11は直流電源44の陰極に接続され、電極43が陽極に接続される。直流電源44が発生する直流電力により、基材シート11の金属層20の第2凹凸構造24上に、直接、ニッケルを主成分とするメッキ処理が施され、第1凹凸構造23を有するニッケル層12(図1参照)が形成される。
ニッケルを主成分とするメッキ処理としては、例えば、エビナ電化工業の黒色メッキ技術(http://www.ebinadk.com/technology/tech/detail02.html参照)が用いられる。この黒色メッキ技術により、第1突部ピッチPSが、例えば、可視光の波長以下のナノオーダーの第1凹凸構造23を形成することができる。また、この黒色メッキ技術を用いることで、第1凹凸構造23の第1突部高さHSも、可視光を反射防止対象とする場合、可視光領域の最大波長の1/4以上の高さになる。
第1凹凸構造形成ステップは、上記の電解めっき処理を行わずに、代わりに無電解めっき処理を行ってもよい。無電解めっき処理の方法としては、例えば、ホスフィン酸塩を還元剤として用いたNi−P(ニッケル−リン)めっきが挙げられる。より具体的には、硫酸ニッケル、ホスフィン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムからなるめっき浴を用い、このめっき浴中に、基材シート11を浸漬して、表面にNi−P(ニッケルとリン)からなる被覆膜を形成する。この際のめっき浴の水素イオン指数pHは4以上6以下の範囲内であることが好ましく、めっき浴の温度は90℃が好ましい。得られた被覆膜が目的とする第1凹凸構造として得られている場合には、この被覆膜をニッケル層12として用いてよい。得られた被覆膜が、平滑な場合などのように目的とする第1凹凸構造と異なる場合には、この被覆膜を、硫酸や酢酸中でエッチングすることで、目的とする第1凹凸構造とされたニッケル層12が形成される。
基材シート11からのニッケル層12の剥離を防止する観点から、めっき処理の前に、基材シート11に薬液による下地処理を施してもよい。しかし、第1凹凸構造23は、粗面化処理により形成された第2凹凸構造24上にめっき処理を施すことにより形成されるので、第2凹凸構造24は、めっきに対するアンカー効果を発揮する。このため、フラットな表面上に第1凹凸構造23を形成する場合と比べて、めっきが剥離しにくく、ニッケル層12と基材シート11との密着性を上げられるメリットがある。
反射防止部材10は、金属層20と樹脂層21とからなる基材シート11を使用しているため、金属層20が薄い場合でも、割れにくい。また、金属層20と樹脂層21とからなる基材シート11はフレキシブル性(可撓性)に優れ、曲面への貼付けも容易である。フレキシブル性が高いため、反射防止部材10は加工しやすい。従って、加工の際も割れにくい。
[第2実施形態]
図8に示す反射防止部材50は、基材シート51とニッケル層12とを備える。なお、図8において第1実施形態と同様の部材には図1と同じ符号を付し、説明を略す。基材シート11は、本実施形態では、一方の表面52に凹凸を有する樹脂層21と、この樹脂層21の表面52にアルミニウムの真空蒸着によって形成された、第2凹凸構造24を有する金属層20とを備えている。周面に複数の凹凸が形成されたエンボスローラを用い、例えば加熱下で、樹脂層21の表面52を押圧する周知のエンボス加工を行うことによって、樹脂層21の表面52に凹凸を形成する。凹凸は規則的でもよいし、ランダムでもよい。
反射防止部材50の製造方法を図9を参照しながら説明する。反射防止部材50の製造方法において、エンボス加工によって表面52に凹凸が形成された樹脂層21の凹凸上に、アルミニウムの真空蒸着によって、第2凹凸構造24を有する金属層20を形成する(第2凹凸構造形成ステップ)。この例では、金属層20は、樹脂層21の一方の表面52に直接形成されるから、接着層22はない。アルミニウムの真空蒸着によって、樹脂層21と、樹脂層21の凹凸が形成された表面52に形成された、第2凹凸構造24を有する金属層20とからなる基材シート51が形成される(基材シート形成ステップ)。次に、第1凹凸構造23を有するニッケル層12を基材シート51の一方の表面20aに形成する第1凹凸構造形成ステップを行う。第1凹凸構造23を有するニッケル層12は、第1実施形態と同様のめっき処理によって形成される。
アルミニウムの真空蒸着は、周知の技術であり、通常用いられる種々の方法によって行うことができる。例えば、真空蒸着用装置に関しては、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、電子ビーム加熱方式の真空蒸着装置を挙げることができる。アルミニウムの真空蒸着を行う際に、圧力は例えば10-2Pa以下である。
樹脂層21の表面52への凹凸構造の形成には、エンボス加工だけでなく、フィラーを樹脂層21の表面に分散する方法、樹脂層21の表面をサンドブラスト加工する方法、樹脂層21にフィラーを練りこんで製膜する方法などが挙げられる。凹凸構造が形成された樹脂層21は、市販品を用いても良い。市販品としては、開成工業(株)のコーティングマットフィルム、練り込みマットフィルム、またはエンボスマットフィルム等が好ましく用いられる。
本実施形態の反射防止部材50の製造方法によれば、金属層20が直接樹脂層21に形成されるため、接着層22を介して金属層20と樹脂層21と貼り合わせる工程が省かれる。また樹脂フィルムの表面に凹凸を付与することは比較的容易であり、金属層20の第2凹凸構造24が樹脂層21の表面52の凹凸を生かして形成されるので、基材シート11が容易に得られるという利点がある。
[第3実施形態]
図10に示す反射防止部材60は、基材シート61とニッケル層12とを備える。なお、図10において第1実施形態と同様の部材には図1と同じ符号を付し、説明を略す。基材シート61は、この例では、第2凹凸構造24が一方の面20aに設けられた金属層20と、樹脂層21とを備えている。金属層20は、第1実施形態と同様の粗面化処理により形成されている。反射防止部材60の製造方法を、図11A及び図11Bを参照しながら説明する。基材シート形成ステップは、周知の溶液製膜方法を用いたものである。基材シート形成ステップにおいては、図11Bに示すように、一対の回転ローラ62aは、環状に形成されたベルト62bを長手方向に走行させ、このベルト62b上に粗面化処理が施される前のアルミ箔である金属層20が供給される。金属層20は、ベルト62bの走行に伴って長手方向に搬送される。ダイ63は、搬送中の金属層20に、樹脂を溶剤に溶解させた樹脂液21aを流延し、図11Aに示すように、樹脂層21を金属層20上に直接形成した基材シート61を形成する。その後の第2凹凸構造形成ステップでは、金属層20の一方の面20a、すなわち樹脂層21が設けられていない側の面に、第1実施形態と同様の粗面化処理により第2凹凸構造24を設ける。第1凹凸構造形成ステップは、第1実施形態と同様のめっき処理によって、第1凹凸構造23を有するニッケル層12を第2凹凸構造24側の表面に形成する。なお、基材シート形成ステップは、粗面化処理が行われる前のアルミ箔を支持体として用い、溶融した樹脂をこのアルミ箔上に押し出すことによって樹脂層21を形成する溶融押出し法を用いてもよい。
[第4実施形態]
図12に示す本実施形態の別の例では、反射防止部材70は、基材シート71とニッケル層12とを備える。なお、図12において第1実施形態と同様の部材には図1と同じ符号を付し、説明を略す。基材シート71は、この例では、第1実施形態と同様の粗面化処理により第2凹凸構造24が両方の面20a,72aに設けられた金属層20と、樹脂層21とを備えている。金属層20は、第1実施形態と同様の粗面化処理により形成されている。具体的には、第2凹凸構造形成ステップにおいては、金属層20を、電解粗面化処理装置30(図6参照)の電解槽32の電解液36に浸漬して粗面化処理を両面に施すことにより、図13に示すように、金属層20の両面20a,72aに第2凹凸構造24を設ける。基材シート形成ステップは、本実施形態においても、前述の溶液製膜方法を用いている。すなわち上記の金属層20を用い、樹脂を溶剤に溶解させた樹脂液21a(図11b参照)を連続的に流延し、第3実施形態と同様に、樹脂層21を金属層20の表面72a上に直接形成して、基材シート71を形成する。第1凹凸構造形成ステップは、第1実施形態と同様のめっき処理によって、第1凹凸構造23を有するニッケル層12を、基材シート71の第2凹凸構造24側の表面に形成する。
本実施形態においても、接着層22は設けられていない。従って、接着層22を介して金属層20と樹脂層21と貼り合わせる工程が省かれる。また、本実施形態では、樹脂層21を溶液製膜方法によって形成することにより、樹脂層21と接する金属層20の面形状の自由度が大きくなる。上記のように樹脂層21と接する金属層20の面に第2凹凸構造24が形成されている例では、この第2凹凸構造24により、樹脂層21と金属層20との密着性が増し、より剥がれ難くなるという利点がある。
[第5実施形態]
図14に示す反射防止部材80は、基材シート81とニッケル層12とを備える。なお、図14において第1実施形態と同様の部材には図1と同じ符号を付し、説明を略す。図14に示す形状は、例えばパターンを付与した装飾用のフィルム部材を形成するためのものである。基材シート81は、本実施形態では、金属層20と樹脂層21とを接着層22で接着した後でフォトエッチングを行う基材シート形成ステップにより形成される。
基材シート形成ステップは、具体的には、原版マスク作製ステップと、前処理ステップと、フォトレジスト付与ステップと、露光ステップと、現像ステップと、エッチングステップと、エッチングマスク除去ステップと、をこの順に有する。原版マスク形成ステップは、露光ステップに用いるパターン原版マスクをつくる。前処理ステップは、樹脂層21に接着層22を用いて接着した金属層20の表面20aを例えば脱脂洗浄することにより、汚れや油脂といった付着物を除去する。この前処理により、次に続くフォトレジスト付与ステップにおいてフォトレジストが金属層20にむらなく付与され、また、フォトレジストの金属層20に対する密着性が向上する。
フォトレジスト付与ステップは、前処理ステップを経た金属層20の表面20aに、フォトレジストを付与する。付与は例えば塗布で行われ、塗布の方法は特に限定されず、例えばスピンコートなどがある。露光ステップは、上記のパターン原版マスクを用いて、金属層20の表面20aに付与されたフォトレジストに露光し、パターン原版マスクにおけるパターン形状をフォトレジストに転写する。
現像ステップは、フォトレジストを現像し、図15に示すように、形成すべきパターン形状に対応したエッチングマスク85を金属層20の表面20a上に形成する。フォトレジストには、周知のようにポジ型とネガ型とがあり、いずれでもよい。本実施形態ではポジ型を用いている。エッチングマスク85には、開口部86が形成されている。従って、金属層20の表面20aは開口部86にて露出している。図15においては、エッチングマスク85の厚みを大きく誇張して描いてある。
エッチングステップは、金属層20のうちエッチングマスク85の開口部86によって露出された露出部分をエッチングすることによって、除去する。この例では、エッチング液によってエッチングするいわゆるウェットエッチングとしているが、プラズマ処理などのドライエッチングでもよい。また、エッチングの手法は、本実施形態では全方向にエッチングが進むいわゆる等方性エッチングとしている。等方性エッチングにより、図15に示すように、垂直面を有する金属層87が形成される。ただし、等方性エッチングと一の方向にのみエッチングが進むいわゆる異方性エッチングとを組み合わせてもよい。
上記エッチングステップにより、開口部86にて露呈されている金属層20は除去され、それ以外の金属層87は残る。すなわち、樹脂層21または接着層22上に、金属層87に囲まれた穴88が形成されている。エッチングマスク除去ステップは、金属層87からエッチングマスク85を除去するステップである。エッチングマスク85の除去は、例えば、エッチングマスク85を溶解する液をエッチングマスク85に接触させてこれを溶解し、金属層87を洗浄、乾燥させる。溶解に代えて剥離でもよい。このようにして、金属層87と樹脂層21とを有する基材シート81が得られる。
第2凹凸構造形成ステップは、エッチングステップ後の金属層87に、第1実施形態と同様の粗面化処理を行うことによって、金属層87に第2凹凸構造24を形成する。第1凹凸構造形成ステップは、第2凹凸構造24が形成された金属層87に、第1実施形態と同様のめっき処理を行うことで、基材シート81の金属層87に第1凹凸構造23を有するニッケル層12を形成する。金属層87の上面と側面にニッケル層12が形成されているから、金属層87に囲まれた穴88の内壁にもニッケル層12が形成されていることになる。
第2凹凸構造形成ステップは、接着層22により樹脂層21が設けられた金属層20に対して、前処理ステップに供する前に行ってもよい。この場合、第2凹凸構造形成ステップは、第1実施形態と同様の粗面化処理を行うことによって、金属層20の一方の表面20aに第2凹凸構造24を形成する。第2凹凸構造24の形成前または形成後に、原版マスク作製ステップを行う。第2凹凸構造形成ステップ及び原版マスク作製ステップが行われた後に、前処理ステップと、フォトレジスト付与ステップと、露光ステップと、現像ステップと、エッチングステップと、エッチングマスク除去ステップとをこの順に行うことによって、樹脂層21または接着層22上に、金属層87に囲まれた穴88が形成される。第1凹凸構造形成ステップは、すでに第2凹凸構造24が形成されている金属層87に、第1実施形態と同様のめっき処理を行うことで、基材シート81の金属層87に第1凹凸構造23を有するニッケル層12を形成する。上記と同様に、金属層87の上面と側面にニッケル層12が形成されているから、金属層87に囲まれた穴88の内壁にもニッケル層12が形成されていることになる。
本実施形態のニッケル層12においては、第1実施形態のニッケル層12の場合と比べて、第1突部25は先端がより多方向に向いて形成されているから、入射光や迷光をより確実に受光して、吸収する。また、反射防止部材の81の表面に部分的に金属層87が形成されていても、金属層87は接着層22で樹脂層21と接着されているため、剥がれにくい。そのため、金属層87に設けられたニッケル層12も剥がれにくい。また、金属層87の上面だけではなく、側面にもニッケル層12が設けられているから、金属層87が形成する穴88の側面からの入射光や迷光も受光して、吸収する。さらに、樹脂層21が設けられているから、反射防止部材80は可撓性に優れ、曲面等に沿って設けることができる。その場合に、上記のように金属層87が反射防止部材80に部分的に設けられていても、金属層87とニッケル層12とは、剥がれにくく、割れにくい。
[第6実施形態]
図16に示すリング状の反射防止部材としての絞り板100が用いられる。この反射防止部材は、作成した上記反射部材から所望の形状にカットしてもよいし、打ち抜いてもよい。基材シートを作成した段階で、所望の形状に打ち抜き、その後に、粗面化処理とめっき処理とを行ってもよい。あるいは、粗面化処理の後で、所望の形状に打ち抜いて、その後にめっき処理を行ってもよい。周知のエッチング方法を用いて、絞り板100を形成してもよい。絞り板100は、例えば、スマートフォンや携帯電話などに内蔵される撮影モジュールに用いられる。
図17において、撮影モジュール200は、レンズユニット211と、撮像素子(イメージセンサ)212等から構成されている。レンズユニット211は、4枚のレンズ216〜219と、4つの絞り板100と、これらのレンズ216〜219及び絞り板100が組み込まれる鏡筒227等から構成される。この例では、レンズを4枚としているが、枚数は4に限られず、レンズ設計に応じて適宜に増減される。絞り板100は、リング状のシートとされ、レンズ216とレンズ217、レンズ217とレンズ218、レンズ218とレンズ219の各間と、レンズ219の光の射出面側とに配されて、撮影と無関係な光を遮断する。絞り板100のそれぞれは、隣接するレンズに応じた大きさとされている。
撮像素子212は、基板228に実装されており、この基板228にレンズユニット211が固定される。レンズ216は、第一面側に光軸に対して軸対称である凸状の非球面部216a、第二面側に平面216b、非球面部216aの外周側のツバ部216cを備え、レンズ216の非球面部216aに入射した被写体光は、レンズ216、レンズ217、レンズ218、レンズ219を順次通って撮像素子212の撮像面上に結像され、撮像が行われる。
絞り板100は、外径及び内径以外は同様の構成とされている。この例では、外径が5mm、内径が1.8mm、厚みTが20μmとされている。ただし、外径、内径、厚みはこれに限られない。
このような撮影モジュール200内に、絞り板100が組み込まれた場合、各絞り板100は基材シートに樹脂層を有するので割れにくい。そのため撮影モジュール200は長寿命化する。絞り板100は、それぞれが第1凹凸構造と第2凹凸構造とを有するため、良好な反射防止機能を有する。
図18に示すように、樹脂層21の両面に金属層20が設けられている。各金属層20に粗面化処理とめっき処理とを施すことによって、絞り板100の両面にめっき層が設けられる。この場合も、絞り板100は可撓性に優れており、割れにくい。絞り板100の各面が第1凹凸構造と第2凹凸構造とを有するため、より良好な反射防止機能を有する。
10,50,60,70,80 反射防止部材
11,51,61,71,81 基材シート
12 ニッケル層
20,87 金属層
20a,72a 表面
21 樹脂層
21a 樹脂液
22 接着層
23 第1凹凸構造
24 第2凹凸構造
25 第1突部
25b 第1突部の底面
25p 第1突部の頂部
26 第2突部
27 基材シート製造装置
27a 送出機
27b 塗布ユニット
27c 乾燥機
27d ニップローラ対
28 接着剤
30 電解粗面化処理装置
32 電解槽
33 電極
34 交流電源
36 電解液
40 めっき処理装置
42 電解槽
43 電極
44 直流電源
45 電解液
52 表面
62a 回転ローラ
62b ベルト
63 ダイ
85 エッチングマスク
86 開口部
88 穴
100 絞り板
200 撮影モジュール
211 レンズユニット
212 撮像素子
216a 非球面部
216b 平面
216c ツバ部
216,217,218,219 レンズ
227 鏡筒
228 基板
PS 第1突部ピッチ
HS 第1突部高さ
PL 第2突部ピッチ
HL 第2突部高さ
P 垂線

Claims (11)

  1. 金属層と樹脂層とを有する基材シートと、
    前記基材シートの前記金属層の表面に形成されたニッケルを含むニッケル層と
    を備え、
    前記ニッケル層は、配列周期が反射防止対象となる光の波長帯域の中で最短の波長以下の凹凸からなる第1凹凸構造を有し、
    前記金属層に穴が形成されており、
    前記穴の内壁の少なくとも一部に前記ニッケル層が設けられている反射防止部材。
  2. 前記第1凹凸構造は、前記穴の近傍から前記穴の内壁に渡って連続的に形成されている請求項1記載の反射防止部材。
  3. 前記金属層の前記表面に、配列周期が反射防止対象となる光の波長帯域の中で最長の波長よりも長い第2凹凸構造を有する請求項1または2に記載の反射防止部材。
  4. 前記金属層がアルミニウム箔である請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止部材。
  5. 前記アルミニウム箔と前記樹脂層とを接着する接着層を備える請求項に記載の反射防止部材。
  6. 金属層と樹脂層とを有する基材シートを形成する基材シート形成ステップと、
    前記金属層の一部を除去して前記金属層に穴を形成する穴形成ステップと、
    前記穴の内壁を含む前記金属層の表面に、めっき処理を施すことにより、配列周期が反射防止対象となる光の波長帯域の中で最短の波長以下の凹凸からなる第1凹凸構造を有し、かつニッケルを含むニッケル層を形成する第1凹凸構造形成ステップと
    を有することを特徴とする反射防止部材の製造方法。
  7. 前記金属層の表面に、配列周期が反射防止対象となる光の波長帯域の中で最長の波長よりも長い第2凹凸構造を形成する第2凹凸構造形成ステップを、前記第1凹凸構造形成ステップの前に有する請求項6に記載の反射防止部材の製造方法。
  8. 前記金属層はアルミニウム箔であり、
    前記第2凹凸構造形成ステップは、
    前記金属層の前記表面に、硝酸を含む電解液による電解粗面化処理を施すことによって前記第2凹凸構造を形成する請求項7に記載の反射防止部材の製造方法。
  9. 前記金属層はアルミニウム箔であり、
    前記基材シート形成ステップは、
    一方の表面に凹凸を有する前記樹脂層の前記表面に、配列周期が反射防止対象となる光の波長帯域の中で最長の波長よりも長い第2凹凸構造を有する前記金属層を形成する請求項6に記載の反射防止部材の製造方法。
  10. 前記金属層はアルミニウム箔であり、
    前記第1凹凸構造形成ステップは、前記アルミニウム箔の一方の前記表面に前記ニッケル層を形成し,
    前記基材シート形成ステップは、
    前記アルミニウム箔の他方の表面に、樹脂が溶剤に溶けた樹脂液または、溶融した樹脂をのせることによって前記樹脂層を形成する請求項7または8に記載の反射防止部材の製造方法。
  11. 前記アルミニウム箔の他方の前記表面に、前記第2凹凸構造が形成されている請求項10に記載の反射防止部材の製造方法。
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