JP6581866B2 - 車両用操舵ハンドル - Google Patents

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Description

本発明は、車両用操舵ハンドルに係り、特に、運転者が操作可能な操作手段が設けられた車両用操舵ハンドルに関するものである。
一般に、自動車等の車両では、ナビゲーション装置などの車載機器等を動作させるための各種操作スイッチ(以下、「操作部」と称す)が設けられている。
従来、このような操作部は、運転席の周辺部分(例えば、コンソールパネル)に配置されることが多かったため、ドライバー(運転者)が操作部を操作する際、手を伸ばす必要があり、操作性が悪いといった問題があった。
そこで、例えば、操作部(タッチパネル)を、ステアリングハンドルのスポーク部に取り付ける技術が提案されている(特許文献1参照)。
このような技術によれば、ドライバーは、ステアリングホイールを握ったまま、操作部を操作することができるため、操作性の向上を図ることが可能となる。
特開2014−211690号
上記特許文献1に記載のステアリングハンドルでは、ステアリングホイールを握ったままでの、タッチパネルの操作は、親指を、タッチパネルの表面に沿って移動(揺動)させることにより行われる。
ここで、一般に、親指を手のひら(親指以外の中手骨)上で揺動させる場合、人間の手の構造上、親指の中手骨をそれ以外の指の中手骨に近づけたり遠ざけたりしつつ、親指の指骨を中手骨との接続部分(第2関節)を支点として動かすようにしている。
このような場合、親指の中手骨を十分に動かすことができないため、その結果、親指の揺動範囲(可動範囲)は狭いものとなる。このことは、特許文献1に記載ステアリングハンドルにおいて、ステアリングホイールを握った状態でタッチパネルを操作する場合にも同様なことがいえる。
すなわち、特許文献1に記載のステアリングハンドルでは、親指の揺動範囲が狭いため、操作性を確保する観点から、操作部の取り付け範囲を大きくすることができない、といった問題があった。
仮に、上述した揺動範囲を超える位置に操作部を設けた場合、ドライバーは、操作部を操作するため、視線を操作部に向ける可能性が生じ、かかる場合、安全性の面において十分とは言いがたくなってしまう。
本発明は、上記不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、操作性および安全性を確保しつつ、広い範囲に操作部を設けることが可能な車両用操舵ハンドルを提供することにある。
前記課題は、本発明の車両用操舵ハンドルによれば、運転者が操舵時に把持する把持部と、運転者が操作可能な操作部と、を備えた車両用操舵ハンドルであって、前記操作部は、運転者が前記把持部の所定位置を把持した状態で車両後方側から操作可能な位置に設けられ、前記把持部の車両後方側には、車両が直進走行を行っている状態において、前記操作部よりも下方の位置に車両前方へ向けて凹む凹部が形成され、前記凹部は、運転者が前記所定位置を把持した状態で運転者の手のうちの前記把持部の車両後方側と接する一部分を収納可能な大きさに形成され、前記凹部の凹み深さは、下方に向かうに従って漸次深くなるように形成されていることにより解決される。
また、前記課題は、本発明の他の車両用操舵ハンドルによれば、運転者が操舵時に把持する把持部と、運転者が操作可能な操作部と、を備えた車両用操舵ハンドルであって、前記操作部は、運転者が前記把持部の所定位置を把持した状態で車両後方側から操作可能な位置に設けられ、前記把持部の車両後方側には、車両が直進走行を行っている状態において、前記操作部よりも下方の位置に車両前方へ向けて凹む凹部が形成され、前記凹部は、運転者が前記所定位置を把持した状態で運転者の手のうちの前記把持部の車両後方側と接する一部分を収納可能な大きさに形成され、前記凹部の凹み深さは、上方に向かうに従って漸次深くなるように形成されていることによっても解決される。
上記構成では、運転者が把持部の所定位置(把持部を把持したまま、操作部を、例えば、親指によって操作可能な位置)を把持した状態で、当該把持部のうち、手の母指球(手の親指の付け根のふくらみ)と接触する位置に、凹部を形成することが可能である。かかる場合、運転者が、把持部の所定位置を把持した状態で、手の母指球部分を凹部に押し込む(収納する)と、その動きは、手の指先側を、手首を支点として車両後方へ(回転)移動させたのと同様な動きになる。
そうすると、今まで、手のひら上に位置していた、把持部の車両後方側に位置する指(例えば、親指)を、上記凹部に収納した指の側方(例えば、人さし指の親指側の側方)上に位置させることが可能となる。
かかる場合、車両後方側の指の中手骨が、それ以外の指の中手骨から遠ざかることになるため、この状態で、車両後方側の指を揺動させると、指骨を中手骨との接続部分(例えば、親指の第2関節)を支点として動かすことができるほか、中手骨も手根骨との接続部分を支点として十分に動かすことが可能となる。
すなわち、上記構成によれば、指骨のみならず、中手骨も十分に動かすことが可能なため、車両後方側の指の揺動範囲を飛躍的に増大させることができる。
従って、上記構成によれば、操作部を操作することが可能な指の揺動範囲を拡大することができるため、(車両用操舵ハンドルに設けられる)操作部の取り付け範囲を広げても、運転者は、操作部を注視することなく、十分に操作することが可能となる。
以上のように、本発明に係る車両用操舵ハンドルによれば、簡単な構成で、操作性および安全性を損なうことなく、操作部の取り付け範囲を拡大することができる。
本発明の実施の一形態に係る車両の車室内を示す斜視図である。 ステアリングハンドルを運転席側から視た状態を示す平面図である。 図2のIII−III矢視断面図である。 ステアリングハンドルの径方向外側から視た状態を示す要部拡大側面図である。 表示装置および操作部のそれぞれに表示される画像の一例を示す図であって、(a)は表示装置に表示される画像の一例を示す図、(b)は操作部に表示される画像の一例を示す図である。 図5に示す画像が表示された後に、表示装置および操作部のそれぞれに表示される画像の一例を示す図であって、(a)は表示装置に表示される画像の一例を示す図、(b)は操作部に表示される画像の一例を示す図である。 手のひら側を視た状態における右手の骨の構造を示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係るステアリングハンドルの径方向外側から視た状態を示す要部拡大側面図である。
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の一形態に係る車両の車室内を示す斜視図、図2はステアリングハンドルを運転席側から視た状態を示す平面図、図3は図2のIII−III矢視断面図、図4は図2のステアリングハンドルの径方向外側から視た状態を示す要部拡大側面図、図5は表示装置および操作部のそれぞれに表示される画像の一例を示す図、図6は図5に示す画像が表示された後に、表示装置および操作部のそれぞれに表示される画像の一例を示す図、図7は手のひら側を視た状態における右手の骨の構造を示す平面図である。
なお、図中FRは車両前方を、UPは車両上方をそれぞれ示している。また、以下の説明における左右方向は、車両に着座した乗員が車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。さらに、以下の説明におけるステアリングハンドルの左右および上下は、車両が直進走行を行っている状態での左右および上下をそれぞれ意味する。
図1に示すように、本実施形態に係る車両1は、ドライバーDによる操縦によって走行可能な自動車等であって、運転席2の車両前方に設けられるインストルメントパネル3と、運転席2とインストルメントパネル3との間に配置されるステアリングハンドル4とを備えている。なお、上記ステアリングハンドル4が特許請求の範囲に記載の「車両用操舵ハンドル」に該当する。
インストルメントパネル3の車幅方向中央には、表示装置5が設けられている。表示装置5は、表示手段としての表示パネルと操作手段(例えば、タッチパネル)とが一体的に設けられたものである。表示パネルには、ドライバーD等の乗員が、操作手段を操作することによって、各種情報(例えば、地図情報画像を含むいわゆるナビゲーション画像)を表示させることができるようになっている。詳しくは後述するが、本実施形態では、表示装置5に設けられる操作手段の他、後述するステアリングハンドル4の操作部20(図2参照)を操作することによっても、表示パネルに各種情報を表示させることが可能となっている。なお、以下においては、表示装置5がインストルメントパネル3の車幅方向中央に設けられている場合を例にとって説明するが、このような表示装置5に代えて、例えば、運転席2の車両前方に配置される、いわゆるヘッドアップディスプレイ(HUD)を採用することも可能である。
図1および図2に示すように、ステアリングハンドル4は、ドライバーDが車両1を走行させる際に把持する環状のリング部11と、リング部11の略中央に配置されるとともにハンドル回転軸(図示省略)に連結されるボス部12と、リング部11とボス部12とを連結するスポーク部13と、操作部20とを有している。このステアリングハンドル4は、チルトレバー(図示省略)を操作することによって上下方向に移動できるように構成されている。なお、上記リング部11と操作部20とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「把持部」と「操作部」とに該当する。
スポーク部13は、車両1が直進走行を行っている状態(ドライバーDが直進操舵を行っている状態)において、ボス部12から左方向に延設される左側スポーク部13Lと、ボス部12から右方向に延設される右側スポーク部13Rと、ボス部12から下方に延設される下側スポーク部13Dとを有している。詳しくは後述するが、本実施形態では、右側スポーク部13Rの車両後方側の表面13Raに、操作部20が設けられており、ドライバーDがリング部11の所定位置(以下、「操作位置P」と称す)を把持した状態で、右手HRの親指Ftを移動(揺動)させることによって、操作部20を操作することができるようになっている。
なお、本実施形態では、スポーク部13の本数を3本としているが、これに限られず、4本以上としてもよく、また、2本以下とすることも可能である。また、上記ボス部12および右側スポーク部13Rが特許請求の範囲に記載の「延設部」に該当する。
図2および図3に示すように、ステアリングハンドル4は、芯金部14と、芯金部14の外周部分を被覆する被覆部15とを有している。
芯金部14は、リング部11の内側に配置される断面略U字状のリング部芯金14aと、ボス部12の内側に配置されるボス部芯金(図示省略)と、スポーク部13の内側に配置されるスポーク部芯金(図示省略)とを有し、これらはそれぞれ連結されている。
被覆部15は、芯金部14の外周を覆うように配置される軟質層15aと、軟質層15aの外周を覆うように配置される表皮層15bとを有している。軟質層15aは、ポリウレタン等の合成樹脂等により形成されている。一方、表皮層15bには、合成皮革や天然皮革等が用いられている。
図2〜図4および図7に示すように、リング部11には、ドライバーDが操作位置Pを把持した状態で、親指Ftの付け根Ftbのふくらみ部分である、母指球Fte(親指Ftの中手骨Ftm部分)と接触する位置に、車両前方へ向けて凹む凹部16が形成されている。凹部16は、断面略U字状に形成され、リング部11の径方向外側からその内側に亘って貫通するように設けられている。なお、凹部16を、このように貫通させることなく、例えば、リング部11の径方向外側からその中央に亘って形成することも可能である。
また、凹部16は、車両後方視(運転席2側から視た場合)において、略矩形状(上端側および下端側のそれぞれが直線状)に形成され、右手HRの母指球Fteを入り込ませることが可能な形状を有している。本実施形態において、凹部16の凹み深さは、下方に向かうに従って、漸次深くなるように形成されている。例えば、凹部16は、例えば、車両後方視においてその上下方向の幅が約5cm〜7cmで、且つ、その最深部がリング部11の車両後方側の面から約1cm〜2cmとなるように形成されている。
さらに、本実施形態において、凹部16は、その凹み面16aが、右側スポーク部13Rの車両後方側の表面13Raと連続するように設けられている
本実施形態では、ドライバーDが、操作部20を操作するため、リング部11の操作位置Pを把持すると、右手HRの親指Ftの母指球Fte部分が、ちょうど、凹部16の車両後方側に位置するようになっている。そして、この状態で、ドライバーDが、親指Ftの母指球Fte部分を凹部16に押し込むことによって、当該母指球Fte部分を凹部16に収納することが可能となっている。このように、ドライバーDが、親指Ftの母指球Fte部分を凹部16に収納すると、その動きは、右手HRの指先側を、手首を支点として車両後方へ(回転)移動させたのと同様な動きになる。
なお、本実施形態では、車両後方視における凹部16の上端側および下端側をそれぞれ直線状に形成したが、これに限られず、例えば、凹部16の下端側のみを(上方へ開口する)湾曲状に形成することも可能である。
また、本実施形態では、凹部16の凹み面16aを、右側スポーク部13Rの車両後方側の表面13Raと連続するように設けたが、当該表面13Raと連続させることなく、凹部16を形成することが可能である。
本実施形態において、凹部16には、当該凹部16を車両後方側から覆うカバー部材17が取り付けられている。なお、上記カバー部材17が特許請求の範囲に記載の「カバー部材」に該当する。
カバー部材17は、硬質な樹脂等により形成される硬質部材17aと、硬質部材17aの車両前方側の面と凹部16の凹み面16aとの間に配置される弾性部材17bとを有している。硬質部材17aは、その断面形状がリング部11の外周形状に沿った湾曲状に形成されるとともに、車両後方視における形状が、凹部16の形状よりも若干小さめに形成されている。弾性部材17bは、いわゆるバネ部材であって、凹部16と硬質部材17aとの間に配置された状態で、硬質部材17aを車両後方へ付勢する。
本実施形態では、ドライバーDが親指Ftの母指球Fte部分を凹部16に押し込むことによって、硬質部材17a(カバー部材17)を通常位置P1から押圧位置P2へ移動させることが可能となっている。このようにして、硬質部材17aを押圧位置P2に移動させることによって、親指Ftの母指球Fte部分は、凹部16に収納されることとなる。一方、押圧位置P2にある硬質部材17aは、凹部16に収納されていた親指Ftの母指球Fte部分を、車両後方へ移動させることによって、弾性部材17bの付勢力により押圧位置P2から通常位置P1に移動されるようになっている。
硬質部材17aは、カバー部材17が凹部16に対して組み付けられた状態で、その車両後方側の面がリング部11の車両後方側の面と略一致するように配置される。なお、本実施形態では、カバー部材17を構成する弾性部材としてバネ部材を用いたが、ドライバーDが車両後方側から硬質部材17aを押圧した際、凹部16の凹み面に向けて移動することができるものであれば、例えば、弾性変形可能な軟質な弾性材料(例えば、エラストマー)により形成されたもの(以下、「弾性軟質部材」と称す)を用いることも可能である。また、本実施形態では、硬質部材17aを用いたが、これを省略することも可能である。このような場合、例えば、上記弾性軟質部材のみを設ければよい。さらに、本実施形態では、凹部16にカバー部材17(硬質部材17aおよび弾性部材17b)を取り付けたが、それ自体省略することはもちろん可能である。
次に、操作部20について図1、図2、図5および図6を参照して説明する。
図1および図2に示すように、操作部20は、右側スポーク部13Rの車両後方側の表面13Raに取り付けられている。この操作部20は、表示装置5と同様に、表示手段としての表示パネルとタッチセンサとが一体的に設けられたものであって、ドライバーDが操作面に対して指等を接触または近接させることによって操作入力(例えば、フリック操作)をすることが可能な、いわゆるタッチパネル式のものである。
図5および図6に示すように、本実施形態に係る操作部20は、主として、表示装置5に各種情報を表示させる場合に用いられ、上側操作領域20aと、その下方に並んで配置される下側操作領域20bとを有している。操作部20における操作入力は、上側操作領域20aまたは下側操作領域20bに表示されるアイコン画像Iを、ドライバーDが操作面を介してタッチ等することにより行われるようになっている。なお、上記上側操作領域20aと下側操作領域20bとが、それぞれ特許請求の範囲に記載の「第1の操作部」と「第2の操作部」とに該当する。
本実施形態では、表示装置5に表示される画像と、操作部20に表示される画像とは、相互に連動するように構成されている。
例えば、図5(a)および図5(b)に示すように、操作部20には、表示装置5に「NAVI MENU」画面が表示されている場合、その画面中に含まれる「出発地・目的地の設定」等のアイコン画像Iが表示されるようになっている。
なお、この状態で、ドライバーDが、操作部20の操作面を介して「出発地・目的地の設定」のアイコン画像Iをタッチ等すると、表示装置5には「NAVI MENU」画面から切り替わって「出発地・目的地の設定」画面が表示される一方、操作部20には文字や数字等を入力することが可能な複数の「文字」や「数字」等のアイコン画像Iが表示されるようになっている(図6(a)および図6(b)参照)。
本実施形態において、上側操作領域20aには、図5(b)に示すように、ドライバーDが比較的複雑な操作入力を行わなくても(複数回の操作入力をしなくても)操作を完了することができ、かつ、表示サイズの比較的大きめなアイコン画像I(1回の操作で表示画面が切り替わるような「出発地・目的地の設定」等のアイコン画像I)が表示されるようになっている。
これは、親指Ftの付け根Ftbから上側操作領域20aまでの距離が比較的遠く、親指Ftを上下方向に動かすとその指先側では大きく揺動してしまうため、細かい(微小な)指の移動を要する操作を行いにくい、といった理由からである(図7も参照)。
これに対し、下側操作領域20bには、図6(b)に示すように、ドライバーが比較的複雑な操作入力(複数回の操作入力)を行わなければ、操作を完了することができず、かつ、表示サイズの比較的小さめなアイコン画像I(例えば、「文字」や「数字」等のアイコン画像I)が表示されるようになっている。
これは、上側操作領域20aと比べて、親指Ftの付け根Ftbから下側操作領域20bまでの距離が比較的近く、親指Ftを上下方向に動かしてもその指先側の揺動が少ないため、細かい指の移動を要する操作を行いやすい、といった理由からである(図7も参照)。
なお、本実施形態では、操作部20として、表示パネルとタッチセンサとが一体となったもの(アイコン画像Iが表示されるもの)を採用したが、タッチセンサのみのもの(アイコン画像Iが表示されないもの、例えば、いわゆるタッチパッド)を採用することができる。また、本実施形態では、操作部20として、タッチパネル式のものを採用したが、これに限られず、押しボタン式の操作スイッチ等を採用することも可能である。
また、図2および図4に示すように、本実施形態において、右側スポーク部13Rの上端面13Rbには、上記操作部20の他、第2操作部30が設けられている。この第2操作部30は、押しボタン式の操作スイッチであり、右側スポーク部13Rの上端面から上方へ突出するように1個設けられている。なお、この第2操作部30が特許請求の範囲に記載の「その他の操作部」に該当する。
第2操作部30は、ドライバーDがリング部11の操作位置Pを把持した状態で、リング部11の車両前方側に位置する指(例えば、人さし指Ff)によって上方から押圧操作可能な位置に設けられている。本実施形態では、ドライバーDが押圧操作することによって、表示装置5(図1参照)および操作部20の電源をON/OFFさせることができるようになっている。なお、本実施形態では、第2操作部30を1個設けたが、2個以上設けることも可能である。また、本実施形態では、第2操作部30として、押しボタン式の操作スイッチを用いたが、これに限られず、その他の形式のもの、例えば、操作部20と同様に、タッチパネル式のものを用いてもよい。さらに、本実施形態では、第2操作部30を表示装置5等のON/OFFさせるものとしたが、その他の目的に用いられるものであってもよい。
次に、本実施形態に係るステアリングハンドル4の作用について、図2〜図4および図7を参照して説明する。
上述したように、本実施形態では、ドライバーDが、リング部11を把持した状態で、右手HRの親指Ftの指先を操作部20の操作面上に置くと(リング部11の操作位置Pを把持すると)、その親指Ftの母指球Fte部分がカバー部材17の硬質部材17a(凹部16)上に自然に配置されるようになっている(図4参照)。
この状態で、ドライバーDが、親指Ftの母指球Fte部分を凹部に押し込んで、硬質部材17aを通常位置P1から押圧位置P2に移動させると、右手HRは、指先側を、手首を支点として車両後方へ移動させたのと同様な動きとなる。
この状態では、今まで、水平方向において、人さし指Ffの手のひら側に位置していた親指Ftの指骨Ftt部分が、人さし指Ffの親指Ft側の側方に位置することとなる。
ここで、人の手を構成する骨について図2および図5〜図7を参照して説明する。
図7に示すように、親指Ftの骨は、大きく、手根骨HRcに接続される中手骨Ftmと、中手骨Ftmに接続される指骨Fttとによって構成される。
図2および図5〜図7に示すように、一般に、親指Ftの指骨Ftt部分を人さし指Ffの手のひら上に位置させている状態(親指Ftの母指球Fte部分を凹部16に収納していない状態)において、親指Ftを揺動させた場合、当該親指Ftは、中手骨Ftmをそれ以外の指の中手骨(例えば、人さし指Ffの中手骨Ffm)に近づけたり遠ざけたりしつつ、指骨Fttを中手骨Ftmとの接続部分を支点として動く。
すなわち、このような場合、親指は、手根骨HRcと中手骨Ftmとの接続部分を支点として十分に動かすことができず、その動きのほとんどが、指骨Fttと中手骨Ftmとの接続部分(親指Ftの第2関節)を支点とした指骨Fttの動きとなることがわかる。このため、凹部16に親指Ftの母指球Fte部分を収納していない状態において、親指Ftを動かしても、その揺動範囲は狭く、ドライバーDは、特に、操作部20の上側操作領域20aを操作しくい、または、上側操作領域20aの上側の部分に親指Ftがとどかない、といった問題が生じうる。また、ドライバーDは、上側操作領域20aを操作するのにあたり、場合によっては、操作部20を凝視する可能性もあり、かかる場合、安全上、好ましくない場合も生じる。
一方、凹部16に親指Ftの母指球Fte部分を収納すると(親指Ftの指骨Ftt部分を人さし指Ffの親指Ft側の側方に位置させると)、親指Ftの中手骨Ftmが、それ以外の指の中手骨(例えば、人さし指Ffの中手骨Ffm)から遠ざかることになる。このような状態で、親指Ftを揺動させると、当該親指Ftは、その指の指骨Fttを中手骨Ftmとの接続部分を支点として動かすことができるほか、中手骨Ftmも手根骨HRcとの接続部分を支点として十分に動かすことが可能となる。
このため、凹部16に親指Ftの母指球Fte部分を収納している状態では、親指Ftの揺動範囲は広く、ドライバーDは、特に、操作部20の上側操作領域20aにおいても十分に(無理なく)操作することができる。
以上のように、本実施形態によれば、リング部11の所定位置に凹部16を設ける、といった簡単な構成でありながらも、操作性および安全性を損なうことなく、操作部20の取り付け範囲を拡大することができるものといえる。なお、ステアリングハンドル4の操作にドライバーDが慣れてきた場合にあっては、ブラインドタッチによる操作も期待することができるため、かかる場合、より操作性および安全性の向上を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、凹部16の凹み面16aが、操作部20が取り付けられる右側スポーク部13Rの表面13Raと連続するように設けられている。すなわち、本実施形態では、操作部20の操作面が、凹部16の凹み面16aから延びる連続面上に配置されているため、親指Ftの母指球Fteを凹部16に収納した状態であっても、親指Ftによる操作部20の操作に支障をきたすことがほとんどない。
さらに、本実施形態では、凹部16の凹み深さが、下方に向かうに従って漸次深くなるように形成されているため、親指Ftの母指球Fte部分を凹部16に収納した際、手首を大きく曲げることが可能である。かかる場合、親指Ftの指骨Ftt部分が、人さし指Ffの親指Ft側の側方に位置しやすくなり、その結果、操作部20を操作する親指Ftの揺動範囲が拡大されるため、操作性の向上等を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、(親指Ftの付け根Ftbから遠い)上側操作領域20aでは操作が比較的簡単となるように構成する一方、(親指Ftの付け根Ftbから近い)下側操作領域20bでは操作が比較的複雑となるように構成したため、より操作性および安全性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態では、操作部20に加え、右側スポーク部13Rに、凹部16に収納された人さし指Ffによっても操作可能な第2操作部30を設けているため、ステアリングハンドル4により多くの操作機能を持たせることができる。
また、本実施形態では、凹部16にカバー部材17を取り付けているため、意匠面においても、美観に優れたステアリングハンドル4を提供することが可能である。
また、本実施形態では、凹部16を、リング部11の径方向外側からその内側に亘って貫通するように形成しているため、ドライバーDは、リング部11の操作位置Pを把持した状態で、親指Ftの母指球Fte部分を、車両前方へ移動させる(押し込む)だけで、そのまま、凹部16に挿入することができる。
[その他の実施形態]
なお、上記実施形態では、操作部20を、ステアリングハンドル4に1箇所設けたが、2箇所以上、例えば、右側スポーク部13Rに加えて、左側スポーク部13Lにも設けてもよい。この場合、リング部11の右側に形成した凹部16と同様なもの(凹部)を、リング部11の左側に形成すればよい。また、リング部11の左側に形成した凹部には、カバー部材17と同様なものを取り付けるのが好ましい。
また、操作部20を、ステアリングハンドル4に1箇所のみ設ける場合にあっては、上記実施形態のように右側スポーク部13Rではなく、それ以外の部位、例えば、左側スポーク部13Lに設けることも可能である。この場合、リング部11の右側ではなく左側に、上記凹部16と同様なもの(凹部)を形成すればよい。さらに、左側に形成した凹部には、凹部16と同様に、カバー部材17を取り付けるのが好ましい。
さらに、上記実施形態では、凹部16の凹み深さを、下方に向かうに従って、漸次深くなるように形成したが、これに限られない。例えば、凹部(凹部116)を、図8に示すように、上方に向かうに従って、漸次深くなるように形成することも可能である。このように構成すれば、凹部116に収納された親指Ftの母指球Fte部分を、凹部116の下端縁等に引っ掛かることなく、スムーズに取り出すことができる。なお、凹部116には、カバー部材17と同様なものを取り付けるのが好ましい。
また、本実施形態において、ドライバーDが車両1を走行させる際に把持する把持部として、環状に形成されたもの(リング部11)を例示したが、これに限られず、例えば、多角状に形成されたものであってもよく、また、(ハンドル回転軸の左右両側にそれぞれ配置される)略棒状に形成されたものであってもよい。
さらに、上記各実施形態では、ステアリングハンドル4を、自動車等の車両1に設けたが、他の車両(例えば、電車)にも設けることが可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述および図面により、本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本考案の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
1 車両
2 運転席
3 インストルメントパネル
4 ステアリングハンドル
5 表示装置
11 リング部
12ボス部
13スポーク部
13R 右側スポーク部
13Ra 表面
13Rb 上端面
13L 左側スポーク部
13D 下側スポーク部
14 芯金部
14a リング部芯金
15 被覆部
15a 軟質層
15b 表皮層
16,116 凹部
16a 凹み面
17 カバー部材
17a 硬質部材
17b 弾性部材
20 操作部
20a 上側操作領域
20b 下側操作領域
30 第2操作部
D ドライバー
HR 右手
HRc 手根骨
Ft 親指
Ftb 付け根
Ftt 指骨
Fte 母指球
Ftm 中手骨
Ff 人さし指
Ffm 中手骨
I アイコン画像
P 操作位置
P1 通常位置
P2 押圧位置

Claims (5)

  1. 運転者が操舵時に把持する把持部と、
    運転者が操作可能な操作部と、を備えた車両用操舵ハンドルであって、
    前記操作部は、運転者が前記把持部の所定位置を把持した状態で車両後方側から操作可能な位置に設けられ、
    前記把持部の車両後方側には、車両が直進走行を行っている状態において、前記操作部よりも下方の位置に車両前方へ向けて凹む凹部が形成され
    前記凹部は、運転者が前記所定位置を把持した状態で運転者の手のうちの前記把持部の車両後方側と接する一部分を収納可能な大きさに形成され、
    前記凹部の凹み深さは、下方に向かうに従って漸次深くなるように形成されていることを特徴とする車両用操舵ハンドル。
  2. 運転者が操舵時に把持する把持部と、
    運転者が操作可能な操作部と、を備えた車両用操舵ハンドルであって、
    前記操作部は、運転者が前記把持部の所定位置を把持した状態で車両後方側から操作可能な位置に設けられ、
    前記把持部の車両後方側には、車両が直進走行を行っている状態において、前記操作部よりも下方の位置に車両前方へ向けて凹む凹部が形成され、
    前記凹部は、運転者が前記所定位置を把持した状態で運転者の手のうちの前記把持部の車両後方側と接する一部分を収納可能な大きさに形成され、
    前記凹部の凹み深さは、上方に向かうに従って漸次深くなるように形成されていることを特徴とする車両用操舵ハンドル。
  3. 車両が直進走行を行っている状態において左右方向に延設され、前記把持部とハンドル回転軸とを連結する延設部をさらに備え、
    前記操作部は、前記延設部に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用操舵ハンドル。
  4. 前記操作部は、第1の操作部と、前記第1の操作部とは異なる第2の操作部とを有し、
    前記第1の操作部と前記第2の操作部とは、上下方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載の車両用操舵ハンドル。
  5. 前記凹部には、運転者が車両後方側から押圧することによって車両前方へ向けて移動可能なカバー部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載の車両用操舵ハンドル。
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