次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
[第1の実施の形態]
(素子構造)
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的鳥瞰構造は、図1に示すように、フォトニック結晶層12と、フォトニック結晶層12内に配置され、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるバンド端における光波を、フォトニック結晶層12の面内で回折させると共にフォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させる共振状態形成用格子点(第1格子点)12Aと、フォトニック結晶層12内に周期的に配置され、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造のバンド端における光波を、フォトニック結晶層12の面内で回折させると共にフォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させる摂動格子点(第2格子点)12Pの2種類の格子点を有し、隣り合う第1格子点12Aと第2格子点12Pが、互いに異なる。
また、第1格子点12Aと第2格子点12Pが、互いに異なる形状を有していても良い。
また、第1格子点12Aと第2格子点12Pが、互いに異なる大きさを有していても良い。
また、第1格子点12Aと第2格子点12Pが、互いに異なる孔の深さを有していても
良い。
また、第1格子点12Aと第2格子点12Pが、互いに異なる屈折率を有していても良い。
また、第1格子点12Aと第2格子点12Pが、同じ形状を有し、互いに配置方向が異なっていても良い。
また、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、正方格子、長方格子、面心長方格子(菱形格子)、若しくは三角格子のいずれかに配置されていても良い。
また、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、正方格子若しくは長方格子に配置されていても良く、この場合には、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるΓ点、X点、若しくはM点における光波をフォトニック結晶層12の面垂直方向に回折可能である。
また、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、面心長方格子(菱形格子)若しくは三角格子に配置されていても良く、この場合には、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるΓ点、X点、若しくはJ点における光波をフォトニック結晶層12の面垂直方向に回折可能である。
また、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、多角形、円形、楕円形若しくは長円形のいずれかの形状を備えていても良い。多角形には、三角形、四角形、正方形、長方形などが含まれる。
ここで、図1の例では、共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点12Pは、互いに隣接すると共に、長方格子に配置され、互いに異なる形状を備える。長方格子の格子定数は、(a1,a2)で表される。共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図1に示すように、正方形・長方形の孔形状を有する。共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、2次元フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端における光波を回折する。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図1に示すように、基板24と、基板24上に配置された第1クラッド層10と、第1クラッド層10上に配置された第2クラッド層16と、第1クラッド層10と第2クラッド層16に挟まれた活性層14とを備える。ここで、第1クラッド層10はp型半導体層、第2クラッド層16はn型半導体層で形成されていても良く、あるいは導電性を反対にしても良い。
更に、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図1に示すように、第2クラッド層16上に配置されたコンタクト層18と、コンタクト層18上の面発光領域に配置され、レーザ光を取り出すためのウィンドウ層20と、ウィンドウ層20上に配置された窓状の上部電極22と、基板24の裏面に配置された下部電極26とを備える。
フォトニック結晶層12は、図1に示すように、第1クラッド層10と第2クラッド層16との間に、活性層14の面垂直方向に活性層14に隣接して配置されていても良い。ここで、活性層14は、例えば、多重量子井戸(MQW:Multi-Quantum Well)層で形成されていても良い。
また、フォトニック結晶層12は、図1に示すように、第1クラッド層10と活性層1
4との間に配置されていても良い。
更に、活性層14とフォトニック結晶層12との間には、図1に示すように、キャリアブロック層13を備え、MQW層からなる活性層14内にキャリアを有効に取り込みかつ活性層14からフォトニック結晶層12へのキャリアの流入をブロックしても良い。
また、フォトニック結晶層12は、第2クラッド層16と活性層14との間に配置されていても良い。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの材料系としては、例えば、以下のものを適用可能である。すなわち、例えば、波長1.3μm〜1.5μmでは、GaInAsP/InP系、波長900nmの赤外光では、InGaAs/GaAs系、波長800nm〜900の赤外光/近赤外光では、GaAlAs/GaAs系若しくはGaInNAs/GaAs系、波長1.3μm〜1.67μmでは、GaAlInAs/InP系、波長0.65μmでは、AlGaInP/GaAs系、青色光では、GaInN/GaN系などを適用可能である。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザに適用される2次元フォトニック結晶層12の長方格子の実空間は、図2(a)に示すように表され、図2(a)の実空間のフーリエ変換に対応する波数空間は、図2(b)に示すように表される。長方格子の格子定数は、図2(a)に示すように、(a1,a2)で表され、逆格子定数は、図2(b)に示すように、(b1,b2)で表される。逆格子点における回折ベクトルkd↑は、図2(b)に示すように表される。
(面発光の原理)
2次元フォトニック結晶層12が長方格子の格子点を有する場合を例として、2次元フォトニック結晶面発光レーザの面発光の原理を説明する。
2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の長方格子の面内共振状態の実空間における説明図は、図3(a)に示すように表され、図3(a)に対応する波数空間における説明図は、図3(b)に示すように表される。ここで、図3(a)に示す例では、長方格子の一辺a2が媒質内波長λの1/2に等しい。図3(a)に示された面内共振状態においては、波数ベクトルkf↑は、図3(b)に示すように表される。
図3に対応した面内共振状態において、上方向(z軸方向)への回折動作の波数空間kx−kyにおける説明図は、図4(a)に示すように表され、図4(a)に対応する波数空間kz−kyにおける説明図は、図4(b)に示すように表される。波数ベクトルkf↑と回折ベクトルkd↑は、波数空間kx−kyでは、図4(a)に示すように、差分|kf−kd|を有し、この差分に対応して、波数空間ky−kz面上、z軸から出射角度θだけ傾いたベクトルku↑方向に面発光レーザ光を出射することができる。
(比較例1:カプラの導入)
比較例1に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子)12Aの実空間は、図5(a)に示すように表され、2次元フォトニック結晶層12の光取り出し用格子点12Cの実空間は、図5(b)に示すように表される。さらに、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aと光取り出し用格子点12Cを結合した実空間は、図5(c)に示すように表される。
また、図5(a)に対応する波数空間は、図5(d)に示すように表され、図5(c)
に対応する波数空間は、図5(e)に示すように表される。
光取り出し用格子点12Cは、共振状態形成用格子点12Aと同一面内に配置され、共振状態形成用格子点12Aの基本構造と異なる周期の構造を有する。
2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの誘電率をε0.a(r↑)、光取り出し用格子点12Cの誘電率をε1.a’(r↑)とすると、共振状態形成用格子点12Aと光取り出し用格子点12Cを結合した誘電率ε(r↑)は、
ε(r↑)=ε0.a(r↑)+ε1.a’(r↑) (1)
で表される。また、誘電率ε(r↑)は、周期構造を有するため、
εa(r↑)=εa(r↑+a↑) (2)
で表される。ここで、|a↑|は、格子定数に関係した周期を表す。
比較例1では、X点共振器など、共振状態形成用格子点12Aと、光取り出し用格子点12Cが別々の格子として用いられ、光取り出し用格子点12Cが、共振状態形成に大きく影響する。たとえば、光取り出し用格子点12Cが導入されることによって、不要な散乱や、意図しない共振モードなどが発生する。比較例1では、共振状態形成用格子点12Aと光取り出し用格子点12Cの2つの格子点を複合しているために、構造が複雑である。
(比較例2:摂動の導入)
そこで、比較例2に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、光取り出し用格子点12Cを用いずに光を取り出す手法として、共振状態形成用格子点12Aに摂動を加えている。摂動の導入は、新たに別の格子を重ねる比較例1の構造に比べると、明らかに、共振状態形成に対する影響は少ない。
ここで、「摂動」とは、フォトニック結晶層12に周期構造を形成する共振状態形成用格子点12Aに対して、変調を加えることを云う。
比較例2に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子)12Aの実空間は、図6(a)に示すように表され、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子)12Aにy軸方向に正弦波関数の摂動を加える様子を説明する概念図は、図6(b)に示すように表される。また、共振状態形成用格子点(長方格子)にy軸方向に正弦波関数の孔形状(孔径)変調の摂動を加える様子を説明する概念図は、図6(c)に示すように表される。図6(c)においては、配列ラインPL1・PL2・PL3…に対して垂直方向に正弦波関数の周期的な孔形状(孔径d)変調の摂動が加えられている。例えば、配列ラインPL1上には孔径D1の摂動が加えられた摂動格子点12P1が配置される。同様に、配列ラインPL2上には孔径D2の摂動が加えられた摂動格子点12P2が配置され、配列ラインPL3上には孔径D3の摂動が加えられた摂動格子点12P3が配置されている。
また、図6(a)の実空間のフーリエ変換に対応する波数空間は、図7(a)に示すように表され、図6(b)の実空間のフーリエ変換に対応する波数空間は、図7(b)に示すように表される。波数ベクトルkf↑、回折ベクトルkd↑は、図7(a)および図7(b)に示す通りである。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子)12Aの実空間は、図8(a)に示すように表され、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子)12Aにy軸方向に正弦波関数の摂動を加える様子を説明する概念図は、図8(b)に示すように表される。
比較例2に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、基本格子の周期(ax,ay)に対して、sin関数(摂動)の周期に制限は無い。一方、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、基本格子の周期(ax,ay)に対して、sin関数(摂動)の周期Tは、一致しなければならない。図8の例では、2ay=Tに限られる。
また、図8(a)の実空間のフーリエ変換に対応する波数空間は、図7(a)と同様に表され、図8(b)の実空間のフーリエ変換に対応する波数空間は、図7(b)と同様に表される。波数ベクトルkf↑、回折ベクトルkd↑は、図7(a)および図7(b)に示す通りである。
比較例2に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、波数ベクトルkf↑(=π/ay)に対して、面発光のための回折ベクトルkd↑には制限は無い。一方、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、波数ベクトルkf↑と回折ベクトルkd↑は、一致しなければならない。すなわち、kf↑=kd↑が成立する。
2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの誘電率ε0.a(r↑)に対して、共振状態形成用格子点12Aに正弦波関数の摂動を加えた摂動項の誘電率は、ε1(r↑)sin(kd↑・r↑)で表すことができる。
したがって、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの基本構造に正弦波関数の摂動を加えた摂動格子点12Pの誘電率ε’(r↑)は、
ε’(r↑)=ε0,a(r↑)+ε1,a(r↑)sin(kd↑・r↑) (3)
で表される。
比較例1では、共振状態形成用格子点12Aと、光取り出し用格子点12Cが別々の格子として用いられたが、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aに周期的摂動を導入することによって、簡単な構造で面発光レーザを実現することができる。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、周期的に、1種類、または2種類の孔形状しか存在し得ず、重なり合うことも無いため、作製が容易である。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、2次元フォトニック結晶層12の結晶格子として、周期構造を形成する共振状態形成用格子点12Aの屈折率、大きさ、或いは深さに、周期的摂動が加わった構造を備えるため、より簡便に作製可能であるとともに、安定な共振状態が形成できる。
(孔形状(孔径)変調)
2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの孔径d0.a(r↑)に対して、共振状態形成用格子点12Aに正弦波関数の摂動を加えた摂動項の孔径は、d1,a(r↑)sin(kd↑・r↑)で表すことができる。すなわち、
da(r↑)=d0,a(r↑)+d1,a(r↑)sin(kd↑・r↑) (4)
で表される。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの基本構造に正弦波関数の孔形状(孔径)変調の周期的摂動を加えた摂動格子点12Pの孔径da(r↑)は、
da ’(r↑)=d0,a(r↑)+d1,a(r↑)sin{(π/a1↑,π/a2↑)・r↑}(5)
r↑=r0↑+am n↑ (6)
am n↑=(ma1↑,na2↑) (7)
で表される。ここで、m、nは、整数を表し、am n↑は、格子定数(a1,a2)の整数倍(ma1↑,na2↑)で定義される位置ベクトルである。r0↑は、初期位置ベクトルである。したがって、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、周期的摂動を加えた摂動格子点12Pの配置は、必ず共振状態形成用格子点12Aの位置に対応する。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、上記のように、回折ベクトルkd↑が(π/a1↑,π/a2↑)で表された特殊な場合と考えることができる。
ただし、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザには、上式では表せないさまざまな形状も含まれる。単純な数式で表せない例として、三角と四角が交互に配置された構造も含まれる(図16(a)および図16(b)参照。)。
(長方格子:M点)
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pの長方格子配置例であって、隣り合う格子点12Aと摂動格子点12Pとが互いに異なる形状を有する例は、図9(a)に示すように表され、隣り合う格子点が同じ形状であっても配置方向が異なる例は、図9(b)に示すように表される。ここで、長方格子の格子定数は、(ax,ay)=(a1,a2)で表される。共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図9(a)に示すように、正方形・長方形の孔形状を有する。或いは、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図9(b)に示すように、同一の長方形で配置方向が異なる孔形状を有する。
共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図9(a)および図9(b)に示すように、2次元フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端における光波を回折する。摂動格子点12Pは、長方格子の格子定数(a1,a2)の2倍の格子定数(2a1,2a2)を有する面心長方格子に配置される。同様に、共振状態形成用格子点12Aは、長方格子の格子定数(a1,a2)の2倍の格子定数(2a1,2a2)
を有する面心長方格子に配置される。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pの長方格子配置例であって、隣り合う格子点が同じ形状であっても配置方向が異なる別の例は、図10に示すように表される。ここで、長方格子の格子定数は、(ax,ay)=(a1,a2)で表される。
共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図10に示すように、同一の三角形で配置方向が異なる孔形状を有する。
共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図10に示すように、2次元フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端における光波を回折する。摂動格子点12Pは、長方格子の格子定数(a1,a2)の2倍の格子定数(2a1,2a2)を有する面心長方格子に配置される。同様に、共振状態形成用格子点12Aは、長方格子の格子定数(a1,a2)の2倍の格子定数(2a1,2a2)を有する面心長方格子に配置される。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pの長方格子配置例であって、隣り合う格子点12Aと摂動格子点12Pとが同じ形状であっても配置方向が異なる更に別の例は、図11(a)および図11(b)に示すように表される。ここで、長方格子の格子定数は、(ax,ay)=(a1,a2)で表される。
共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図11(a)に示すように、同一の長円形で配置方向が異なる孔形状を有する。或いは、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図11(b)に示すように、同一の長方形で配置方向が異なる孔形状を有する。
共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図11(a)および図11(b)に示すように、2次元フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端における光波を回折する。摂動格子点12Pは、長方格子の格子定数(a1,a2)の2倍の格子定数(2a1,2a2)を有する面心長方格子に配置される。同様に、共振状態形成用格子点12Aは、長方格子の格子定数(a1,a2)の2倍の格子定数(2a1,2a2)を有する面心長方格子に配置される。
(比較例3:正方格子:M点)
比較例3に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの模式的平面構成は、図12に示すように、正方格子に配置される。
共振状態形成用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cは、図12に示すように、いずれも矩形の孔形状を有する。
共振状態形成用格子点12Aは、図12に示すように、2次元フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端における光波を回折する。共振状態形成用格子点12Aは、図12に示すように、格子定数aを有する正方格子に配置される。カップラー用格子点12Cは、2倍の格子定数2aを有する面心正方格子に配置され、かつカップラー用格子点12Cの対角線方向のピッチは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。共振状態形成用格子点12Aは、共振器を構成し、レーザ発振の役割を担い、カップラー用格子点12Cは、カプラを構成し、光取り出しの役割を担う。
比較例3では、共振状態形成用格子点12Aと、カップラー用格子点12Cが別々の格
子として用いられ、カップラー用格子点12Cが、共振状態形成に大きく影響する。
(正方格子:M点)
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12A・12Bの正方格子配置例であって、隣り合う格子点12Aと摂動格子点12Pとが互いに異なる形状を有する例は、図13(a)に示すように表される。また、図13(a)の説明図は、図13(b)に示すように表される。図13(b)に示すように、隣り合う格子点12Aと格子点12Pとの差分であるDの部分が、カプラの働きをする。ここで、正方格子の格子定数は、aで表される。
共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図13(a)に示すように、正方形・長方形の孔形状を有する。
共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図13(b)に示すように、2次元フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端における光波を回折する。摂動格子点12Pは、正方格子の格子定数aの2倍の格子定数2aを有する面心正方格子に配置され、かつ対角線方向のピッチは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。同様に、共振状態形成用格子点12Aは、正方格子の格子定数aの2倍の格子定数2aを有する面心正方格子に配置され、かつ共振状態形成用格子点12Aの対角線方向のピッチは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pの正方格子配置例であって、隣り合う格子点が互いに異なる形状を有する別の例は、図14に示すように表される。ここで、正方格子の格子定数は、aで表される。
共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図14に示すように、円形・長円形の孔形状を有する。
共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図14に示すように、2次元フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端における光波を回折する。摂動格子点12Pは、正方格子の格子定数aの2倍の格子定数2aを有する面心正方格子に配置され、かつ摂動格子点12Pの対角線方向のピッチは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。同様に、共振状態形成用格子点12Aは、正方格子の格子定数aの2倍の格子定数2aを有する面心正方格子に配置され、かつ共振状態形成用格子点12Aの対角線方向のピッチは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層の共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pの正方格子配置例であって、隣り合う格子点が互いに大きさが異なる矩形形状を有する例は、図15(a)に示すように表され、隣り合う格子点が互いに大きさが異なる三角形状を有する例は、図15(b)に示すように表される。ここで、正方格子の格子定数は、aで表される。
共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図15(a)に示すように、相対的に小さな正方形・相対的に大きな正方形の孔形状を有する。或いは、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図15(b)に示すように、相対的に小さな正三角形・相対的に大きな正三角形の孔形状を有する。
共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図15(a)および図15(b)に示すよう
に、フォトニックバンド構造におけるM点バンド端における光波を回折する。摂動格子点12Pは、正方格子の格子定数aの2倍の格子定数2aを有する面心正方格子に配置され、かつ摂動格子点12Pの対角線方向のピッチは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。同様に、共振状態形成用格子点12Aは、正方格子の格子定数aの2倍の格子定数2aを有する面心正方格子に配置され、かつ共振状態形成用格子点12Aの対角線方向のピッチは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pの正方格子配置例であって、隣り合う格子点12Aと摂動格子点12Pとが互いに異なる形状を有する更に別の例は、図16(a)および図16(b)に示すように表される。ここで、正方格子の格子定数は、aで表される。
共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図16(a)に示すように、四角形・三角形の孔形状を有する。或いは、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図16(b)に示すように、円形・三角形の孔形状を有する。
共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、図16(a)および図16(b)に示すように、フォトニックバンド構造におけるM点バンド端における光波を回折する。摂動格子点12Pは、正方格子の格子定数aの2倍の格子定数2aを有する面心正方格子に配置され、かつ摂動格子点12Pの対角線方向のピッチは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。同様に、共振状態形成用格子点12Aは、正方格子の格子定数aの2倍の格子定数2aを有する面心正方格子に配置され、かつ共振状態形成用格子点12Aの対角線方向のピッチは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。
(FFP)
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、例えば、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(正方格子M点)の遠視野像(FFP:Far Field Pattern)は、模式的に図17に示すように表される。すなわち、x−y−z三次元空間において、基板10上に配置された2次元フォトニック結晶層12の面垂直なz軸方向からビーム拡がり角度θ0のFFPが得られる。
第1の実施の形態によれば、M点共振器など、非放射共振器構造おいて、簡易な構造で、レーザビームの垂直出射可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的鳥瞰構造は、図1と同様に表される。また、第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点12Pの模式的平面構成は、図18(a)、図19(a)、図20(a)、図21(a)、図22(a)、図23(a)、図24(a)、図25(a)、図26(a)に示すように表される。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、フォトニック結晶層12と、フォトニック結晶層12内に周期的に配置され、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造のバンド端における光波を、フォトニック結晶層12の面内で回折させる共振状態形成用格子点12Aと、フォトニック結晶層12内に周期的に配置され、フ
ォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造のバンド端における光波を、フォトニック結晶層12の面内で回折させると共にフォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させる摂動格子点12Pとを備える。
ここで、摂動格子点12Pは、光波を、フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるための「周期的摂動」が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成されている。ここで、「周期的摂動」とは、フォトニック結晶層12に周期構造を形成する共振状態形成用格子点12Aに対して、周期的変調を加えることを云う。
摂動が加えられた共振状態形成用格子点12Aは、摂動格子点12Pで表される。周期的変調は、屈折率変調であっても良く、孔の大きさ変調であっても良く、孔の深さ変調であっても良い。さらに、周期的変調は、孔の深さ変調および孔の深さ変調であっても良い。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいても、上記の摂動格子点12Pは、第1の実施の形態における摂動格子点12Pと同様に形成可能である。
すなわち、隣り合う共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、互いに異なる形状を有していても良い。
また、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、互いに異なる大きさを有していても良い。
また、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、互いに異なる孔の深さを有していても良い。
また、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、互いに異なる屈折率を有していても良い。
また、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、同じ形状を有し、互いに配置方向が異なっていても良い。
また、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、正方格子、長方格子、面心長方格子、若しくは三角格子のいずれかに配置されていても良い。
また、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、正方格子若しくは長方格子に配置されていても良く、この場合には、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるΓ点、X点、若しくはM点における光波をフォトニック結晶層12の面垂直方向に回折可能である。
また、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、面心長方格子若しくは三角格子に配置されていても良く、この場合には、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるΓ点、X点、若しくはJ点における光波をフォトニック結晶層12の面垂直方向に回折可能である。
また、共振状態形成用格子点12Aと摂動格子点12Pは、多角形、円形、楕円形若しくは長円形のいずれかの形状を備えていても良い。多角形には、三角形、四角形、正方形、長方形などが含まれる。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図1と同様に、基板24と、基板24上に配置された第1クラッド層10と、第1クラッド層10上に配置された第2クラッド層16と、第1クラッド層10と第2クラッド層16に挟まれた活性層14とを備える。ここで、第1クラッド層10はp型半導体層、第2クラッド層16はn型半導体層で形成されていても良く、あるいは導電性を反対にしても良い。
更に、第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図1と同様に、第2クラッド層16上に配置されたコンタクト層18と、コンタクト層18上の面発光領域に配置され、レーザ光を取り出すためのウィンドウ層20と、ウィンドウ層20上に配置された窓状の上部電極22と、基板24の裏面に配置された下部電極26とを備える。
フォトニック結晶層12は、図1と同様に、第1クラッド層10と第2クラッド層16との間に、活性層14の面垂直方向に活性層14に隣接して配置されていても良い。ここで、活性層14は、例えば、MQW層で形成されていても良い。
また、フォトニック結晶層12は、図1と同様に、第1クラッド層10と活性層14との間に配置されていても良い。
更に、活性層14とフォトニック結晶層12との間には、図1に示すように、キャリアブロック層13を備え、MQW層からなる活性層14内にキャリアを有効に取り込みかつ活性層14からフォトニック結晶層12へのキャリアの流入をブロックしても良い。
また、フォトニック結晶層12は、第2クラッド層16と活性層14との間に配置されていても良い。
(Γ点発振:正方格子)
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、Γ点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点12Pの模式的平面構成(正方格子配置例)は、図18(a)に示すように表され、2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数[単位:c/a]と波数ベクトルの関係は、図18(b)に示すように表される。
フォトニックバンド構造において、傾きが0となる部分をバンド端と呼ぶ。バンド端においては、光の群速度が0となり、定在波が形成されるため、フォトニック結晶が光の共振器として機能する。また、摂動格子点12Pは、周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成されている。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるΓ点バンド端(図18(b)のP領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図19(a)に示すように、格子定数aを有する正方格子に配置される。また、周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成された結果、摂動格子点12Pは、正方格子の格子定数の2倍の格子定数2aを有する面心正方格子に配置される。このように、Γ点共振器など、放射共振器構造おいても、簡易な構造で、レーザビームの垂直出射可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザも提供することができる。
(M点発振:正方格子)
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点
12Pの模式的平面構成は、図19(a)に示すように表される。また、図19(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数ベクトルの関係は、図19(b)に示すように表される。摂動格子点12Pは、光波を、フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるための周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成されている。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端(図19(b)のQ領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図19(a)に示すように、格子定数aの正方格子に配置される。また、周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成された結果、摂動格子点12Pは、2倍の格子定数2aを有する面心正方格子に配置され、かつ摂動格子点12Pの対角線方向のピッチは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。
第2の実施の形態に係るフォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニックバンド構造のM点バンド端における発振を用いる場合、フォトニック結晶の周期構造は、発振のための共振状態形成の機能しか持っていないが、共振状態形成用格子点12Aに周期的摂動を加えた摂動格子点12Pを設けることにより、光を取り出すことができる。
しかも、第2の実施の形態に係るフォトニック結晶面発光レーザは、大面積で安定な単一モードで動作可能である。すなわち、第2の実施の形態に係るフォトニック結晶面発光レーザにおいては、フォトニック結晶層12に形成された共振状態形成用格子点12A・摂動格子点12Pによって電磁界分布が規定されているため、大面積でも単一モードを維持可能である。このため、例えば、W級の出力光をレンズを介して小さい1点に集光するなどの加工が容易である。
例えば、図1において、フォトニック結晶層12のサイズは、例えば、約700μm×約700μmである。
また、近視野像(NFP:Near Field Pattern)の例では、約100μm角程度の大面積発振から約数100μm角程度の超大面積発振も実現可能である。発振スペクトルは、例えば、波長約950nmの常温連続発振を半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)が約0.16nm程度で得られている。
共振状態形成用格子点12Aは、例えば、光の周期程度のピッチで配置可能である。例えば、空孔が、空気で満たされるとすると、空気/半導体のピッチは、光通信帯で、約400nm程度の周期に配置可能であり、青色光では、約230nm程度の周期に配置可能である。
また、試作されている共振状態形成用格子点12Aの直径・深さは、例えば、約120nm・115nm程度であり、ピッチは、例えば、約286nm程度である。尚、これらの数値例は、基板10および活性層14を構成する材料系、2次元フォトニック結晶層12の材料系および媒質内波長などによって適宜変更可能である。
例えば、GaAs/AlGaAs系材料を適用した第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、2次元フォトニック結晶層12の媒質内波長λとしては、約200nm〜約300nm程度であり、出力光波長は、約900nm〜約915nm程度である。
尚、摂動格子点12Pを屈折率変調する場合、例えば、屈折率の異なる半導体層で充填
しても良い。例えば、GaAs層に対して組成比xを変調したAlxGa1-xAs層を充填して形成しても良い。例えば、2次元フォトニック結晶層12を融着する製造工程において、摂動格子点12Pの空孔形状が変形する場合には、屈折率の異なる半導体層で充填することがこのような変形を回避する上で有効である。
(X点発振:正方格子)
フォトニックバンド構造のX点のバンド端における発振では、フォトニック結晶の周期構造は、発振のための光増幅の機能しか持っていないが、この周期構造と同一面内に、光を回折させるための周期的摂動構造を設けることにより、光を取り出すことができる。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点12Pの模式的平面構成は、図20(a)に示すように、正方格子に配置される。また、図20(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数ベクトルの関係は、図20(b)に示すように表される。摂動格子点12Pは、光波を、フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるための周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成されている。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図20(b)のR領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図20(a)に示すように、格子定数aの正方格子に配置される。また、周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成された結果、摂動格子点12Pは、格子定数(a、2a)の長方格子に配置される。ここで、2aは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。
(X点発振:三角格子)
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点12Pの模式的平面構成は、図21(a)に示すように、三角格子に配置される。また、図21(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数ベクトルの関係は、図21(b)に示すように表される。摂動格子点12Pは、光波を、フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるための周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成されている。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図21(b)のR領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図21(a)に示すように、第1三角格子に配置される。また、周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成された結果、摂動格子点12Pは、第1三角格子のピッチの2倍のピッチの第2三角格子に配置され、かつ第2三角格子の平面視の高さは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。
(J点発振:三角格子)
第2の実施の形態に係るフォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニックバンド構造のJ点のバンド端における発振では、フォトニック結晶の周期構造は、発振のための光増幅の機能しか持っていないが、この周期構造と同一面内に、光を回折させるための周期的摂動構造を設けることにより、光を取り出すことができる。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、J点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点12P
は、図22(a)に示すように、三角格子に配置される。また、図22(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数ベクトルの関係は、図22(b)に示すように表される。摂動格子点12Pは、光波を、フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるための周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成されている。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるJ点バンド端(図22(b)のS領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図22(a)に示すように、第1三角格子に配置される。また、周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成された結果、摂動格子点12Pは、第1三角格子のピッチの3倍のピッチの面心三角格子に配置され、かつ面心三角格子の一辺は、フォトニック結晶層12の媒質内波長λの2倍に等しい。
(X点発振:長方格子)
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振状態形成用格子点および摂動格子点の模式的平面構成は、図23(a)に示すように、長方格子(a1>a2の例)に配置される。また、図23(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数ベクトルの関係は、図23(b)に示すよう表される。摂動格子点12Pは、光波を、フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるための周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成されている。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図23(b)のR領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図23(a)に示すように、格子定数(a1,a2)を有する第1の長方格子に配置される。また、周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成された結果、摂動格子点12Pは、格子定数(a1,2a2)を有する第2の長方格子に配置される。ここで、第2の長方格子の格子定数(a1,2a2)は、格子定数a1およびa2により定義されるアスペクト比r=a1/a2(r≠1)に対して、媒質内波長λのr倍および媒質内波長λに等しい。
(X点発振:菱形格子)
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点12Pの模式的平面構成は、図24(a)に示すように、菱形格子に配置される。また、図24(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数ベクトルの関係は、図24(b)に示すように表される。摂動格子点12Pは、光波を、フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるための周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成されている。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図24(b)のR領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図24(a)に示すように、格子定数(a1,a2)を有する菱形格子に配置される。また、周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成された結果、摂動格子点12Pは、格子定数(a1,a2)を有する長方格子に配置される。ここで、長方格子の格子定数は、格子定数(a1,a2)により定義されるアスペクト比r=a1/a2(r≠1)に対して、媒質内波長λのr倍および媒質内波長λに等しい。
(X点発振:長方格子)
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点12Pの模式的平面構成は、図25(a)に示すように、格子定数(a1,a2)を有する長方格子(a1<a2の例)に配置される。また、図25(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数との関係は、図25(b)に示すように表される。摂動格子点12Pは、光波を、フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるための周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成されている。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図25(b)のR領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図25(a)に示すように、格子定数(a1,a2)を有する第1の長方格子に配置される。また、周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成された結果、摂動格子点12Pは、格子定数(a1,2a2)を有する第2の長方格子に配置される。ここで、第2の長方格子の格子定数(a1,2a2)は、a1および媒質内波長λ(=2a2)に等しい。
(X点発振:菱形格子)
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12A・摂動格子点12Pの模式的平面構成は、図26(a)に示すように、菱形格子に配置される。また、図26(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数の関係は、図26(b)に示すように表される。摂動格子点12Pは、光波を、フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるための周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成されている。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図26(b)のR領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図26(a)に示すように、格子定数(a1,2a2)を有する菱形格子に配置される。また、周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成された結果、摂動格子点12Pは、(a1,2a2)を有する長方格子に配置される。ここで、長方格子の格子定数は、菱形格子の格子定数(a1,a2)に対して、a1および媒質内波長λ(=2a2)に等しい。
第2の実施の形態によれば、M点共振器など、非放射共振器構造おいて、簡易な構造で、レーザビームの垂直出射可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
(ビーム拡がり角度の制御:共振器領域RPと摂動領域PP)
共振器領域RPとは、フォトニック結晶層12において共振状態形成用格子点12Aが配置される領域であり、摂動領域PPとは、フォトニック結晶層12において摂動格子点12Pが配置される領域である。摂動領域PPには、共振状態形成用格子点12Aと、共振状態形成用格子点12Aの一部に周期的摂動が加えられた摂動格子点12Pが混在して配置されている。
共振器領域RPおよび摂動領域PPにおいて、共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点12Pは、正方格子、長方格子、面心長方格子、若しくは三角格子のいずれかに配置可能である。
また、共振器領域RPおよび摂動領域PPにおいて、共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点12Pは、正方格子若しくは長方格子に配置され、かつフォトニック結晶層
12のフォトニックバンド構造におけるΓ点、X点、若しくはM点における光波をフォトニック結晶層12の面垂直方向に回折可能である。
また、共振器領域RPおよび摂動領域PPにおいて、共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点12Pは、面心長方格子(菱形格子)若しくは三角格子に配置され、かつフォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるΓ点、X点、若しくはJ点における光波をフォトニック結晶層12の面垂直方向に回折可能である。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、摂動領域PPの幅A、ビーム拡がり角度θ、およびビーム拡がり領域30の関係は、模式的に図27(a)、図27(b)および図27(c)に示すように表される。すなわち、摂動領域PP1の幅A1、ビーム拡がり角度θa、およびビーム拡がり領域301の例は図27(a)に示すように表され、摂動領域PP2の幅A2、ビーム拡がり角度θb、およびビーム拡がり領域302の例は図27(b)に示すように表され、摂動領域PP3の幅A3、ビーム拡がり角度θc、およびビーム拡がり領域303の例は図27(c)に示すように表される。ここで、摂動領域の幅の大小関係は、A1<A2<A3であり、摂動領域PP1の大きさは相対的に小さく、摂動領域PP3の大きさは相対的に大きい。また、ビーム拡がり領域301・302・303を規定するビーム拡がり角度の大小関係は、θa>θb>θcが成立している。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、図27(a)・図27(b)・図27(c)に対応する共振器領域RPの大小関係は、図28(a)に示すように表され、ビーム拡がり角度の大小関係は、図28(b)に示すように表される。すなわち、共振器領域RPの大きさが大きい程、ビーム拡がり角度は小さくなる。
(比較例4:正方格子:Γ点)
比較例4に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、正方格子Γ点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振器領域RPの大きさの関係を示す図であって、RP1の例は図29(a)に示すように表され、RP2の例は図29(b)に示すように表され、RP3の例は図29(c)に示すように表される。
一方、第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、例えば、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振器領域RPおよび摂動領域PP大きさの関係を示す図であって、RP1、PP1の例は図30(a)に示すように表され、RP2、PP2の例は図30(b)に示すように表され、RP3、PP3の例は図30(c)に示すように表される。
フォトニック結晶レーザの発振には、ある一定以上の共振器の領域が必要である。そのため比較例に係る正方格子Γ点発振の場合、ビーム拡がり角度θを大きくしようとすると、発振に必要な共振器領域RPAが確保できない。すなわち、比較例4に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、正方格子Γ点発振を利用するため、共振器領域RPのサイズがそのまま摂動領域PPのサイズに等しいため、ビーム拡がり角度θを大きくしようとして、共振器領域RPのサイズを縮小化すると、図28(a)に示すように、共振器領域RPの大小関係において、RP<RPAの範囲では、発振に必要な共振器領域RPAが確保できないため、発振することができなくなる。
(変形例)
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、共振状態形成用格子点12A・摂動格子点12Pの配置構造と、共振状態形成用格子点12Aのみの配置構造とが混在していても良い。
すなわち、第2の実施の形態の変形例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、フォトニック結晶層12と、フォトニック結晶層12内に周期的に配置され、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造のバンド端における光波を、フォトニック結晶層12の面内で回折させる共振器領域RPと、フォトニック結晶層12内に周期的に配置され、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造のバンド端における光波を、フォトニック結晶層12の面内で回折させると共にフォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させる摂動領域PPとを備え、摂動領域PPは、第1格子点12Aと第2格子点12Pの2種類の格子点を有し、隣り合う第1格子点12Aと第2格子12P点が、互いに異なる構成を備える。
また、第1格子点12Aと第2格子点12Pが、互いに異なる形状を有していても良い。
また、第1格子点12Aと第2格子点12Pが、互いに異なる大きさを有していても良い。
また、第1格子点12Aと第2格子点12Pが、同じ形状を有し、互いに配置方向が異なっていても良い。
第1格子点12Aと第2格子点12Pは、多角形、円形、楕円形若しくは長円形のいずれかの形状を備えていても良い。多角形には、三角形、四角形、正方形、長方形などが含まれる。
第2の実施の形態の変形例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、共振器領域RPの大きさを維持したまま、摂動領域PPの大きさを変化させることにより、レーザビームの発光面の大きさおよび形状を調整可能である。
第2の実施の形態の変形例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPおよび摂動領域PP内における共振状態形成用格子点12A・摂動格子点12Pの配置例は、図31に示すように表される。
共振器領域RPでは、共振状態形成用格子点12Aのみが格子定数(a1,a2)を有する長方格子に配置される。
摂動領域PPでは、隣り合う共振状態形成用格子点12A・摂動格子点12Pが、図9(a)と同様に、格子定数(a1,a2)を有する長方格子において、互いに異なる形状を有するように配置される。すなわち、共振状態形成用格子点12A・摂動格子点12Pは、正方形・長方形の孔形状を有する。共振状態形成用格子点12A・摂動格子点12Pは、図9(a)と同様に、2次元フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端における光波を回折する。共振状態形成用格子点12Aは、長方格子の格子定数(a1,a2)を有する長方格子に配置される。また、周期的摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成された結果、摂動格子点12Pは、長方格子の格子定数(a1,a2)の2倍の格子定数(2a1,2a2)を有する面心正方格子に配置される。
第2の実施の形態の変形例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPと摂動領域PPの大きさがほぼ等しい場合のNFPは、図32(a)に示すように表され、摂動領域PPからのビーム拡がり領域30は、図32(b)に示すように表され、図32(a)に対応する共
振器領域RPおよび摂動領域PP内の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点12Pの配置例は、図32(c)に示すように表される。摂動領域PP内の構成は、図31と同様である。
また、第2の実施の形態の変形例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPと摂動領域PPの大きさが異なる場合のNFPは、図33(a)に示すように表され、摂動領域PPからのビーム拡がり領域30は、図33(b)に示すように表され、図33(a)に対応する共振器領域RPおよび摂動領域PP内の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動格子点12Pの配置例は、図33(c)に示すように表される。摂動領域PP内の構成は、図31と同様である。
第2の実施の形態の変形例に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいては、共振器領域RPと摂動領域PPを別々に設計が可能である。
第2の実施の形態の変形例によれば、M点共振器など、非放射共振器構造おいて、簡易な構造で、レーザビームの垂直出射可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
さらに、第2の実施の形態の変形例に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいては、共振器領域RPの大きさを維持したまま、摂動領域PPを変化させることにより、安定した発振を維持しつつレーザビームのビーム拡がり角度を調整することができる。
(その他様々なビームの生成の例)
第2の実施の形態の変形例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RP内に相対的に大きな円形の摂動領域PPを有する場合のNFPは、図34(a)に示すように表され、図34(a)に対応するFFPは、図34(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に相対的に小さな円形の摂動領域PPを有する場合のNFPは、図35(a)に示すように表され、図35(a)に対応するFFPは、図35(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に相対的に微小な円形の摂動領域PPを有する場合のNFPは、図36(a)に示すように表され、図36(a)に対応するFFPは、図36(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に相対的に大きな長円形の摂動領域PPを有する場合のNFPは、図37(a)に示すように表され、図37(a)に対応するFFPは、図37(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に相対的に小さな円形の摂動領域PPを複数配置した場合のNFPは、図38(a)に示すように表され、図38(a)に対応するFFPは、図38(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に互いに直交する2個の長円形の摂動領域PPを有する場合のNFPは、図39(a)に示すように表され、図39(a)に対応するFFPは、図39(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に互いに60度で交差する3個の長円形の摂動領域PPを有す
る場合のNFPは、図40(a)に示すように表され、図40(a)に対応するFFPは、図40(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に互いに120度で交差する2個の長円形の摂動領域PPを有する場合のNFPは、図41(a)に示すように表され、図41(a)に対応するFFPは、図41(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に互いに72度で交差する5個の長円形の摂動領域PPを有する場合のNFPは、図42(a)に示すように表され、図42(a)に対応するFFPは、図42(b)に示すように表される。
第2の実施の形態の変形例に係る2次元フォトニック結晶レーザにおいては、図34〜図42に示すように、フォトニックバンド構造におけるM点バンド端における発振において、発振領域の大きさを維持したまま、摂動領域PPの大きさを相対的に変化させることにより、レーザビームの発光面の大きさや形状を調整可能である。NFPのサイズ例としては、数10μm角、数100μm角、1mm角とさまざまなサイズの形成可能であり、対応するFFPについても同様である。
第2の実施の形態の変形例に係るフォトニック結晶面発光レーザにおいては、レーザビームの発光面の大きさや形状により、レーザビームのビーム拡がり角度θや形状が決定されるため、レーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能となる。光増幅のための周期構造を維持してさえいれば、この摂動領域PPの大きさや形状を変化させても発振は可能である。
レーザビームの拡がり角度θや形状は、発光面の大きさや形状によって決定されるため、例えば、レーザビームの拡がり角度θを大きくしたい場合には、光増幅の共振器領域RPの大きさはそのままで、摂動領域PPの大きさを相対的に小さくすれば良い。また、レーザビームの形状を長方形にしたい場合には、摂動領域PPも長方形にすれば良い。
[第3の実施の形態]
(2次元セルアレイ)
第3の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元セルアレイ化して高出力化を図った構成例は、図43に示すように表される。すなわち、第1〜第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザのセル32を基板100上に2次元配置し、2次元セルアレイ化しても良い。例えば、21個のセル32を2次元配置し、2次元セルアレイ化した例では、1kHz、50nsecのパルス駆動において、電流値約50Aで35W以上の高出力の2次元フォトニック結晶面発光レーザが得られている。
図43に示す例において、各セル32には、摂動領域PPと共振器領域RPの面積比の異なるセルを配置しても良い。摂動領域PPと共振器領域RPの面積比の異なる複数のセル32を同一の基板100上に配置し、選択的に駆動することによって、レーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能な高出力多機能2次元フォトニック結晶レーザアレイを提供することができる。
第3の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、第1クラッド層上の2次元フォトニック結晶層12に共振状態形成用格子点12Aの基本パターンT0を配置すると共に、矩形形状の摂動領域PP1・PP2・PP3・PP4の摂動パターンT1・T2・T3・T4を配置する2次元セルアレイ化構成例は、図44(a)に示すように表される。また、第1クラッド層上の2次元フォトニック結晶層12に共振状態形成用格
子点12Aの基本パターンT0を配置すると共に、六角形形状の摂動領域PP1・PP2・PP3の摂動パターンT1・T2・T3を配置する2次元セルアレイ化構成例は、図44(b)に示すように表される。
図44(a)および図44(b)に示す例においては、複数の摂動パターンを配置することによって、レーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能な高出力多機能2次元フォトニック結晶レーザアレイを提供することができる。
第3の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、同一の基板100上に図44(b)に示された構成を複数のチップCH1・CH2・CH3・CH4に配置した2次元セルアレイ化構成例は、図45に示すように表される。
図45に示す例においては、同一の基板100上に、それぞれ複数の摂動パターンT1・T2・T3を有する複数のチップCH1・CH2・CH3・CH4を配置し、選択的に駆動することによって、レーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能な高出力多機能2次元フォトニック結晶レーザアレイを提供することができる。
また、第3の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、同一の基板100上に互いにFFP(FFP1・FFP2・FFP3・FFP4)の異なる複数のチップCH1・CH2・CH3・CH4を配置した2次元セルアレイ化構成例は、図46に示すように表される。
図46に示す例においては、同一の基板100上に、それぞれ異なるFFP1・FFP2・FFP3・FFP4を有するチップCH1・CH2・CH3・CH4を配置し、選択的に駆動することによって、レーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能な高出力多機能2次元フォトニック結晶レーザアレイを提供することができる。
以上説明したように、本発明によれば、M点共振器など、非放射共振器構造おいて、簡易な構造で、レーザビームの垂直出射可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
[その他の実施の形態]
上記のように、第1〜第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。