JP6580218B2 - エナンチオマー濃縮された3−アミノピペリジンの調製のためのプロセス - Google Patents

エナンチオマー濃縮された3−アミノピペリジンの調製のためのプロセス Download PDF

Info

Publication number
JP6580218B2
JP6580218B2 JP2018130513A JP2018130513A JP6580218B2 JP 6580218 B2 JP6580218 B2 JP 6580218B2 JP 2018130513 A JP2018130513 A JP 2018130513A JP 2018130513 A JP2018130513 A JP 2018130513A JP 6580218 B2 JP6580218 B2 JP 6580218B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
apip
acid
aminopiperidine
carboxylic acid
mixture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018130513A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018168194A (ja
Inventor
ロイター,カール
ベーデル,トービアス
マイアー,フィークトール
カントル,マルク
アンドルシュコ,ファシィル
シュトルツ,フローリアン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Reuter Chemischer Apparatebau KG
Original Assignee
Reuter Chemischer Apparatebau KG
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Reuter Chemischer Apparatebau KG filed Critical Reuter Chemischer Apparatebau KG
Publication of JP2018168194A publication Critical patent/JP2018168194A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6580218B2 publication Critical patent/JP6580218B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D211/00Heterocyclic compounds containing hydrogenated pyridine rings, not condensed with other rings
    • C07D211/04Heterocyclic compounds containing hydrogenated pyridine rings, not condensed with other rings with only hydrogen or carbon atoms directly attached to the ring nitrogen atom
    • C07D211/06Heterocyclic compounds containing hydrogenated pyridine rings, not condensed with other rings with only hydrogen or carbon atoms directly attached to the ring nitrogen atom having no double bonds between ring members or between ring members and non-ring members
    • C07D211/36Heterocyclic compounds containing hydrogenated pyridine rings, not condensed with other rings with only hydrogen or carbon atoms directly attached to the ring nitrogen atom having no double bonds between ring members or between ring members and non-ring members with hetero atoms or with carbon atoms having three bonds to hetero atoms with at the most one bond to halogen, e.g. ester or nitrile radicals, directly attached to ring carbon atoms
    • C07D211/56Nitrogen atoms
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D211/00Heterocyclic compounds containing hydrogenated pyridine rings, not condensed with other rings
    • C07D211/04Heterocyclic compounds containing hydrogenated pyridine rings, not condensed with other rings with only hydrogen or carbon atoms directly attached to the ring nitrogen atom
    • C07D211/06Heterocyclic compounds containing hydrogenated pyridine rings, not condensed with other rings with only hydrogen or carbon atoms directly attached to the ring nitrogen atom having no double bonds between ring members or between ring members and non-ring members
    • C07D211/36Heterocyclic compounds containing hydrogenated pyridine rings, not condensed with other rings with only hydrogen or carbon atoms directly attached to the ring nitrogen atom having no double bonds between ring members or between ring members and non-ring members with hetero atoms or with carbon atoms having three bonds to hetero atoms with at the most one bond to halogen, e.g. ester or nitrile radicals, directly attached to ring carbon atoms
    • C07D211/60Carbon atoms having three bonds to hetero atoms with at the most one bond to halogen, e.g. ester or nitrile radicals

Description

本発明は、エナンチオマー濃縮された3−アミノピペリジン、及びとりわけそのR−エナンチオマー(R)−3−アミノピペリジンの調製のためのプロセスに関する。本発明はまた、前記プロセスのエナンチオマー濃縮された中間体、3−アミノピペリジン(以降APIPともいう)の特定の酸付加塩でありAPIPの単一のエナンチオマーを得るのに有用であるもの、並びに結晶(R)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩一水和物及び結晶(S)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩一水和物に関する。
(R)−及び(S)−3−アミノピペリジンの双方は、中枢神経系における受容体の拮抗的リガンドなどの、生物活性化合物の調製のための貴重なビルディングブロックである。(R)−3−アミノピペリジンはまた、アログリプチン及びリナグリプチンなどのジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤、並びにプロテインキナーゼ阻害剤の合成のための重要な中間体としても知られる。
(R)−3−アミノピペリジンのエナンチオ選択的調製のためのいくつかのアプローチが当該技術分野において記載されており、それらはα−アミノ酸又はそれらの誘導体、例えばD−オルニチン及び誘導体化されたD−グルタミン酸などの環化によるか、或いは普通に誘導体化された後エナンチオマー分離された3−アミノピペリジンの水素化による。これらのアプローチは、典型的には高価な出発原料、多数の合成工程、又は白金群金属を含む高価な水素化触媒を要し、それ故工業規模の合成には適さない。
別法として、3−アミノピペリジン誘導体は、先行技術において、N−保護されたニペコチン酸(ピペリジン−3−カルボン酸)誘導体のクルチウス又はホフマン転位により、R−エナンチオマーの形態又はラセミ体の形態のいずれかで調製されてきた。このアプローチの具体的な例は以下の通りである:
特許文献1は、N−tert−ブトキシカルボニル−保護された(R)−ニペコチン酸をイソブチルクロロホルメート/トリエチルアミンと、次にアジ化ナトリウムと反応させることによる、(R)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−tert−ブチルオキシカルボニル−ピペリジンの合成を記載する。得られたアシルアジドは、次いでクルチウス転位にかけられ、対応するイソシアネートを生じ、これがベンジルアルコールと共に加熱されて、標題化合物が得られる。
非特許文献1は、硝酸ナトリウムの存在下で1−ベンジル−3−アミノピペリジンを生じる、N−ベンジル保護されたニペコチン酸ヒドラジドのクルチウス転位を開示している。
特許文献2は、tert−ブチルオキシカルボニル基又は任意選択で置換されたベンゾイル基を用いて、対応するN−保護(R)−3−アミノピペリジンへN−保護される、(R)−ニペコチン酸アミドのホフマン転位を開示している。
前述の3−アミノピペリジン合成経路において必要な、N−保護基の導入及び除去のための付加的な工程は、とりわけ工業規模での(R)−3−アミノピペリジンの調製にとって不都合である。
さらに、特許文献3は、ラセミ体の又は不充分にエナンチオマー濃縮された3−アミノピペリジンのエナンチオマー分割のための方法を開示しており、この方法は、エナンチオマーの一方のジアステレオメリックな酸付加塩の結晶化に基づく。この文献によれば(R)−3−アミノピペリジンは、それを2−当量の(R)−2−メトキシ−2−フェニル酢酸又は2当量のN−(パラ−トルエンスルホニル)−L−フェニルアラニンの存在下で生成されるその酸付加塩として結晶化することにより、ラセミ体から取得され得る。残念ながら、(R)−2−メトキシ−2−フェニル酢酸又は極めて高価でありかつ、後者の場合については、本発明の発明者らの技量ではN−(パラ−トルエンスルホニル)−L−フェニルアラニンを用いて事実上何ら分割が得られなかったことから、双方のオプションとも不充分である。同様に、非特許文献2によって記載されたように、ジアステレオメリックな酸付加塩による3−アミノピペリジンの誘電率制御分割におけるN−(パラ−トルエンスルホニル)−L−フェニルアラニンの使用は、低収率又は不充分なエナンチオマー過剰率を生じる結果となる。
特許文献4は、ジベンゾイル−L−酒石酸、ジ(オルト−トリル)−L−酒石酸、及びN−アセチル−フェニルアラニンを用いて生成されたジアステレオメリックな酸付加塩による、3−アミノピペリジンのキラル分割を開示する。しかしながら、これらのキラル酸は全て不安定であり、せいぜいわずかな分割をもたらすに過ぎない。
米国特許出願公開第2001/0056090号明細書 米国特許出願公開第2010/0105917号明細書 日本国特開2011/012032号公報 国際公開第2007/075630号パンフレット
Jean et al.Tetrahedron Letters、2001年、第42巻、p.5645−5649 Sakurai et al.Tetrahedron Asymmetry、2012年、第23巻、p.221−224
それ故、先行技術の欠点を克服する、APIP調製のためのプロセスを提供することがなお強く求められている。加えて、かかるプロセス又は、ラセミ若しくは不充分にエナンチオマー濃縮されたAPIPを生じる、APIP調製のための別のプロセスの場合に、APIP、とりわけ(R)−APIPのエナンチオマー濃縮を可能にする、先行技術の欠陥のないプロセスもまた必要である。
意外にも、第1の目的は、ピペリジン部分の第二級アミン基の中間体保護を必要としない、3−アミノピペリジン調製のためのプロセスによって解決されることが判明した。
それ故、本発明の第1の態様は、3−アミノピペリジンを調製するためのプロセスであって、以下の工程:
a)ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドを提供すること、及び
b)ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドを、ピペリジン−3−カルボニルアジドへ変換すること、及び
c)ピペリジン−3−カルボニルアジドを、水及び酸の存在下で反応させること、を含んでなる該プロセスに関する。
工程c)における反応は、クルチウス転位であり、これは一般にアシルアジドからの窒素ガスの除去と、対応するイソシアネートの転位とを含む。イソシアネートの加水分解及び脱カルボキシル化は、次に、対応するアミンを生じる。したがって工程c)は、意図された3−アミノピペリジンを与える。
クルチウス転位は、典型的にはカルボニル基へ結合した炭素原子の立体配置を保持しながら進行する。それ故本発明のプロセスの工程a)で提供されるピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドのキラル中心の立体配置は、プロセスの工程c)で得られる3−アミノピペリジンのものと同一である。結果として、本発明のプロセスは、ラセミ体の、(R)−立体配置の、又は(S)−立体配置のピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドが、それぞれ、プロセスの工程b)に導入された場合、ラセミ体の、(R)−立体配置の、又は(S)−立体配置の3−アミノピペリジンをもたらす。
本発明の前述のプロセスは、いくつかの利点に関連する。とりわけそれは、工業規模で容易に実施され得る、短くて高収率の合成経路における3−アミノピペリジンの調製を可能にする。
驚いたことに、第2の目標がN−修飾アラニン誘導体、とりわけ式A:
Figure 0006580218
[式中、Xは、S(O)、C(O)、又はNHC(O)であり、kは、0、1、2、3、4、又は5であり、かつRは、CN、NO、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、又はハロゲンであるか、或いは2つの隣接した可変の置換基Rが一緒になって任意選択で置換されたブタジエン−1,4−ジイル基を表していてもよい]のL−アラニン又はD−アラニン誘導体であるキラルカルボン酸Aによる、APIPの酸付加塩の分別結晶化により解決されることもまた判明した。好ましい実施形態によれば、Xは、S(O)又はNHC(O)であり、kは、0、1、2、又は3であり、かつRは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、又はハロゲンである。
それ故、第2の態様によれば、本発明はAPIPのエナンチオマー濃縮のためのプロセスに関し、該プロセスは、本明細書に記載したようなキラルカルボン酸Aによるその酸付加塩の形態にあるAPIPの分別結晶化を含んでなり、ここで、キラルカルボン酸は、APIPのエナンチオマーとキラルカルボン酸Aとの混合物を含有する溶液、エマルジョン、又は懸濁液から、そのエナンチオマーの一方に関しエナンチオマー濃縮され、これにより、APIPの所望のエナンチオマーに関しエナンチオマー濃縮されている、キラルカルボン酸AによるAPIPの酸付加塩が得られる。
本発明はまた、前記キラルカルボン酸Aによる新規な酸付加塩、とりわけ式Aのカルボン酸による、エナンチオマー濃縮された、又はエナンチオマー的に純粋なAPIPの酸付加塩にも関する。本発明の1つの特別な実施形態は、N−(パラ−トルエンスルホニル)−L−アラニン、N−(パラ−クロロフェニルスルホニル)−L−アラニン、N−(フェニルスルホニル)−L−アラニン、N−(フェニルカルバモイル)−D−アラニン、又はN−(4−クロロフェニルカルバモイル)−D−アラニンによるAPIPの酸付加塩、とりわけAPIPのR−エナンチオマーについて濃縮されるものに関する。本発明の別の特別の実施形態は、N−(パラ−トルエンスルホニル)−D−アラニン、N−(パラ−クロロフェニルスルホニル)−D−アラニン、N−(フェニルスルホニル)−D−アラニン、N−(フェニルカルバモイル)−L−アラニン、又はN−(4−クロロフェニル−カルバモイル)−L−アラニンによるAPIPの酸付加塩、又はとりわけAPIPのS−エナンチオマーについて濃縮されているものに関する。
これに関連して、エナンチオマー濃縮とは、酸付加塩のAPIPの一方のエナンチオマーに関するエナンチオマー過剰率(ee)が、少なくとも50%、しばしば少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、又は少なくとも80%であることを意味する。特定的な実施形態は、式Aのカルボン酸によるAPIPのエナンチオマー濃縮された酸付加塩に関し、ここで、酸付加塩のAPIPの一方のエナンチオマーに関するエナンチオマー過剰率(ee)は、70%以上、とりわけ80%以上、又はさらに90%ee以上、例えば>95%ee若しくは>98%eeである。
カルボン酸AによるAPIPの酸付加塩の使用は、高価なキラル補助剤を使用せずに、良好な結晶化収率と、一般に80:20(ee=60%)を超え、しばしば少なくとも85:15(ee=70%)、とりわけ少なくとも90:10(ee=80%)、又は少なくとも95:5(ee=90%)の、満足のいくエナンチオマー濃縮とを提供する。満足のいく濃縮は、分割されるべきAPIPの予備的濃縮なしに得られる。本発明によるAPIPの酸付加塩の結晶化はまた、水溶液、懸濁液、又はエマルジョンにおいて実施され得、そのことは、高価な若しくは有害な有機溶媒の使用を低減又は回避させ得ることから、プロセスをさらに経済的で、環境にやさしく、かつ低リスクなものにする。
本発明はまた、前述の本発明の2つのプロセスのうちのいずれか一方又は双方を用いることにより取得可能である、結晶(R)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩一水和物にも関する。R−エナンチオマーのエナンチオマー濃縮は、好ましくは少なくとも85:15(ee=70%)、とりわけ少なくとも90:10(ee=80%)、又は少なくとも95:5(ee=90%)である。
本発明はまた、前述の本発明の2つのプロセスのうちのいずれか一方又は双方を用いることにより取得可能である、結晶(S)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩一水和物にも関する。S−エナンチオマーのエナンチオマー濃縮は、好ましくは少なくとも85:15(ee=70%)、とりわけ少なくとも90:10(ee=80%)、又は少なくとも95:5(ee=90%)である。
さらなる態様においては、本発明は、そのR−エナンチオマー又はS−エナンチオマーのいずれかに関しエナンチオマー濃縮されている、非ラセミピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジド、並びにその酸付加塩及び水和物に関する。エナンチオマー濃縮は、好ましくは少なくとも85:15(ee=70%)、とりわけ少なくとも90:10(ee=80%)、又は少なくとも95:5(ee=90%)である。
さらなる態様においては、本発明は、そのR−エナンチオマー又はS−エナンチオマーのいずれかに関しエナンチオマー濃縮されている、ピペリジン−3−カルボニルアジド、とりわけ非ラセミピペリジン−3−カルボニルアジドに関する。エナンチオマー濃縮は、好ましくは少なくとも85:15(ee=70%)、とりわけ少なくとも90:10(ee=80%)、又は少なくとも95:5(ee=90%)である。
実施例5から得られた(R)−アミノピペリジン二塩酸塩一水和物の粉末X線回折パターンを示す図である。 実施例5から得られた(R)−アミノピペリジン二塩酸塩一水和物のNIRスペクトルを示す図である。 実施例5から得られた(R)−アミノピペリジン二塩酸塩一水和物のIRスペクトルを示す図である。 実施例5から得られた(R)−アミノピペリジン二塩酸塩無水物の粉末X線回折パターンを示す図である。
本発明に関し、一般的に使用される用語は、以下の通り定義される:
用語「ハロゲン」は、本明細書で用いる場合、例えばフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を包含し、特に塩素が優先される。
用語「C−C−アルキル」は、本明細書で用いる場合、1から8個、とりわけ1又は4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基(=C−C−アルキル)、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、1,1−ジメチルエチル(=tert−ブチル)、n−フェニル、n−へキシル、及びn−オクチルを包含する。
用語「C−C−アルコキシ」は、本明細書で用いる場合、1から4個、とりわけ1又は2個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基(=C−C−アルコキシ)、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、及び1,1−ジメチルエチルオキシを包含する。
用語「フェニル−C−C−アルキル」は、本明細書で用いる場合、1から4個、とりわけ1又は2個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基を包含し、ここで、1個の水素原子はフェニル基、例えばベンジルで置換されている。
本明細書でプロセスAとも称される、3−アミノピペリジンを調製するための本発明のプロセスは、以下の工程を含んでなる:
a)例えば、ピペリジン−3−カルボン酸の誘導体(ニペコチン酸)、例えばニペコチン酸ハロゲン化物、又はニペコチン酸のアルキルエステル若しくはベンジルエステルを、ヒドラジンと反応させることによってピペラジン−3−カルボン酸ヒドラジドを提供すること、及び
b)ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドを、例えば、ヒドラジドを無機若しくは有機亜硝酸化合物と反応させることにより、ピペリジン−3−カルボニルアジドへ変換すること、及び
c)ピペリジン−3−カルボニルアジドを、水及び酸の存在下で反応させることであり、これは典型的には、クルチウス転位及びそれに続く加水分解により3−アミノピペリジンを得ること。
プロセスAは、双方のエナンチオマーのラセミ混合物であるか、又はR−若しくはS−エナンチオマーに関し濃縮されている、APIPを提供するのに適する。プロセスAは、とりわけR−エナンチオマー又はS−エナンチオマーに関し濃縮されているAPIPなどの、エナンチオマー濃縮されているAPIPを生成するのに特に有用である。好ましくは、APIPをエナンチオマー濃縮された形態で得るために、ニペコチン酸のいずれかのエナンチオマー濃縮された誘導体、例えば(R)−ニペコチン酸のC−C−アルキルエステル若しくはベンジルエステル、又は(S)−ニペコチン酸のC−C−アルキルエステル若しくはベンジルエステル、とりわけ(R)−若しくは(S)−ニペコチン酸のC−C−アルキルエステル、特にエチルエステルが、工程a)においてピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドに変換されるか、或いは別法として、プロセスAの工程c)において得られた3−アミノピペリジンがエナンチオマー濃縮プロセスにかけられる。
以下に記載される通りの本発明の反応は、かかる反応のための習慣的な反応容器において実施され、反応は連続式、半連続式、又はバッチ式で実施される。一般に、個々の反応は大気圧下で行われる。しかしながら反応はまた、減圧又は加圧下でも行われる。
本発明のプロセスAの工程a)におけるピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドの供給は、カルボン酸ヒドラジドを調製するための当該技術分野において公知の任意の方法により達成され得る。しかしながら、好ましくは、前記供給は、酸臭化物若しくは酸塩化物、及びとりわけ酸塩化物などの、ピペリジン−3−カルボン酸ハロゲン化物、又はピペリジン−3−カルボン酸のC−C−アルキルエステル若しくはベンジルエステルのいずれかを、ヒドラジンと反応させることにより果たされる。
本発明によるプロセスAにおいては、ヒドラジンは、無水液体、1分子のヒドラジン当たり約1分子の水を含んでなるヒドラジン水和物(N・HO)、又は溶液、とりわけ、好ましくは35から70%(w/w)の含水量を有する水溶液としてのいずれかの、ヒドラジン反応物を意味するものと理解される。加えて、ヒドラジンはまた、例えばヒドラジン酢酸塩、ヒドラジン一塩酸塩、ヒドラジン二塩酸塩、ヒドラジンヘミ硫酸塩、ヒドラジン硫酸塩などの、ヒドラジンの塩としてのヒドラジン反応物を意味するものとも理解され得る。ヒドラジン水和物の使用が優先される。
好ましい実施形態によれは、プロセスAの工程a)は、C−C−アルキルエステル又はベンジルエステル(本明細書ではAEPCとも称する)、とりわけピペリジン−3−カルボン酸のC−C−アルキルエステル、特にピペリジン−3−カルボン酸のエチルエステルの、好ましくはその水和物の形態のヒドラジンとの反応により達成される。AEPCは、ラセミ混合物の形態、又は非ラセミ混合物、例えば、とりわけAEPCのR−エナンチオマーに関しエナンチオマー濃縮されている混合物、若しくはAEPCのS−エナンチオマーに関しエナンチオマー濃縮されている混合物の形態で使用され得る。
反応は、陽溶媒を用いるか又は用いずに実施され得る。ここで適当な溶媒は、水、所与の反応条件下で不活性な極性有機溶媒、又はかかる極性有機溶媒と水との混合物である。これに関連して、適当な極性有機溶媒は、例としては、C−C−アルカノール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、及びブタノール、エーテル、例えば1、2、3、又は4個の酸素原子を有する脂肪族C−C10−エーテル、及び脂環式C−C−エーテル、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及び1,4−ジオキサン、並びにそれらの混合物である。反応はまた、水性相と、例えばトルエン又はキシレンなどの芳香族溶媒とを含んでなる、二相系溶媒混合物中でも実施され得る。しかしながら、好ましくは、反応はいかなる陽溶媒もなしに、又はトルエン若しくはキシレンを含んでなる二相系溶媒混合物中で実施される。
ピペリジン−3−カルボン酸のアルキル若しくはベンジルエステルとヒドラジンとの前述の反応は、典型的には20から150℃の範囲、好ましくは30から110℃の範囲、とりわけ40から90℃の範囲、及び特に50から80℃の範囲の温度において実施される。
ピペリジン−3−カルボン酸のアルキル若しくはベンジルエステルについては、ヒドラジンは好ましくは、少なくとも等モル量で、及びさらに好ましくは1molのエステル当たり1から2.0molの量で使用される。反応がいかなる陽溶媒もなしに実施される場合、ヒドラジンは、とりわけ1molのエステル当たり1から1.2mol、及び特に1molのエステル当たり1.05から1.15molの量で使用される。反応が二相系溶媒混合物中で実施される場合、ヒドラジンは、とりわけ1molのエステル当たり1.3から1.8mol、及び特に1molのエステル当たり1.4から1.6molの量で使用される。
本発明の好ましい実施形態によれば、ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドは、好ましくは、トルエン又はキシレン中のピペリジン−3−カルボン酸のエチルエステルの溶液を、1.4から1.6モル当量のヒドラジン水和物と、50から80℃の温度で反応させることにより調製される。
プロセスAの工程a)で得られた反応混合物は、ワークアップ処置にかけられてもよく、或いは、何ら予備的ワークアップなしに、又は存在する場合には有機溶媒の、及び混合物中に含まれ得る残留する過剰のヒドラジンの除去の後のいずれかで、次の合成工程へ直接投入され得る。
プロセスAの工程a)で得られた反応混合物のワークアップ、及びピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドの単離は、慣習的な方法で果たされ得る。好ましくは、反応混合物は最初に水又は極性有機溶媒の水溶液で、及びとりわけ水で希釈される。ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドは次に、好ましくは硫酸、塩酸、又は臭化水素酸等の鉱酸から選択される、とりわけ濃塩酸のような、酸を添加することにより、その酸付加塩の形態で希釈液から結晶化され得る。酸は、通常0から50℃、好ましくは10から30℃、とりわけ15から25℃の範囲の温度に、例えば室温に冷却された後、好ましくは徐々に希釈液へ添加される。濃塩酸は、その都度、用いたピペリジン−3−カルボン酸のアルキルエステルの量に基づき、通常約1モル当量、例えば0.9から1.2、とりわけ0.95から1.1モル当量、又は約2モル当量、例えば1.8から2.4、及びとりわけ1.9から2.2モル当量の量で添加される。約1モル当量か、又は約2モル当量の塩酸が添加されるかに依存して、ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドはその一塩酸塩の形態で、又はその二塩酸塩の形態で単離され得る。結晶化の完了後、得られた付加塩の結晶は、濾過により単離される。単離された結晶は、通常、冷水で、またその後任意選択で、アルカノールなどの極性有機溶媒、例えばイソプロパノールで、そしてその後任意選択で、炭化水素溶媒などの非極性有機溶媒、例えばペンタン、ヘキサン、又はシクロヘキサンで洗浄される。酸付加塩のさらなる量が、典型的には溶媒の蒸発、及び水又は別の適当な溶媒若しくは溶媒混合物からの再結晶化により、母液から取得可能である。ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドは、好ましくはその一塩酸塩付加塩の形態で単離され、それは上記記載のように、約1モル当量の塩酸を希釈反応混合物に添加することによって得られる。
好ましくは、プロセスAの工程a)において得られた反応混合物は、何ら予備的ワークアップの処置なしに、又は存在する場合には有機溶媒の、及び混合物中に含まれ得る残留性の過剰のヒドラジンの除去の後のいずれかで、次の合成工程へ直接投入される。本発明の特に好ましい実施形態によれば、工程a)で得られた反応混合物は、存在する場合には有機溶媒の後、及び残留性の過剰のヒドラジンが混合物から除去された後に、次の合成工程へ導入される。過剰のヒドラジンは、典型的には共沸蒸留により除去される。
本発明の1つの実施形態によれば、ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドは、工程a)において、その酸付加塩及び水和物を含め、そのエナンチオマーのラセミ混合物として提供される。かかるラセミ混合物は、好ましくはラセミAEPC、とりわけピペリジン−3−カルボン酸のラセミエチルエステルを、ヒドラジンと、及びとりわけヒドラジン水和物と反応させることにより調製される。
本発明の特定の実施形態によれば、ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドは、工程a)において、そのエナンチオマーの非ラセミ混合物として提供され、ここで、混合物はそのエナンチオマーの一方、とりわけそのR−エナンチオマーに関しエナンチオマー濃縮されている。ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドのエナンチオマーの前記非ラセミ混合物は、本明細書ではまた、エナンチオマー濃縮されたピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドとも称される。これに関連して、エナンチオマー濃縮とは、非ラセミ混合物中のピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドの一方のエナンチオマーに関するエナンチオマー過剰率(ee)が、少なくとも50%、しばしば少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、又は少なくとも80%であることを意味する。本発明の好ましい実施形態は、ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドのエナンチオマー濃縮された非ラセミ混合物に関し、ここで、酸付加塩におけるピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドの一方のエナンチオマーに関するエナンチオマー過剰率(ee)は、90%ee以上、例えば>95%ee若しくは>98%eeである。
本発明の特定の実施形態は、その一方のエナンチオマーに関し、とりわけそのR−エナンチオマー又はその酸付加塩、例えば硫酸塩、硫化水素塩、塩酸塩、又は臭化水素酸塩、或いはそれらの水和物に関しエナンチオマー濃縮されている、ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドに関する。
前記エナンチオマー濃縮されたピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドは、好ましくは、工程a)において、AEPC、とりわけ、その一方のエナンチオマー、特にそのR−エナンチオマーに関しエナンチオマー濃縮されているピペリジン−3−カルボン酸を、ヒドラジンと、及びとりわけヒドラジン水和物と反応させることにより調製される。
エナンチオマー濃縮されたAEPCは、さらに、この又は類似の目的のための当該技術分野において公知の任意の方法により、例えば不斉合成によるか、エナンチオマー濃縮されたピペリジン−3−カルボン酸などのキラル前駆体から出発する合成によるか、或いはAEPCエナンチオマーの混合物のエナンチオマー濃縮によって取得可能である。
AEPCのエナンチオマー濃縮は、慣例的な方法により、例えば、キラルクロマトグラフィーによるか、又はキラル分割剤を用いてAEPCを誘導体化することにより生成され得るジアステレオマーの分離により達成され得る。これに関連して、好ましいキラル分割剤は、ピペリジン−3−カルボン酸のC−C−アルキルエステル若しくはベンジルエステルの一方のエナンチオマーに関し、例えば分別結晶化により濃縮され得る、ジアステレオメリックな酸付加塩の生成が可能なキラル酸である。
本発明の好ましい実施形態によれば、プロセスAの工程a)は、ラセミAEPC、とりわけピペリジン−3−カルボン酸のラセミエチルエステルを、キラル酸によるAEPCの酸付加塩の分別結晶化によりエナンチオマー濃縮させることを含んでなる。しかしながら、この方法でAEPCエナンチオマーの非ラセミ混合物を濃縮することも可能である。このエナンチオマー濃縮を用いて、AEPCのR−エナンチオマー又はS−エナンチオマーを濃縮することが可能であり、好ましくはR−エナンチオマーを濃縮するために使用される。この点に関して、又は当該技術分野において公知の好ましいキラル酸は、例えば、US5220016及びWO 00/56730に記載されたような酒石酸、又はEP1341762に記載されたようなマンデル酸若しくはジベンゾイル酒石酸、又はUS6340762に記載されたような2−ヒドロキシ−プロピオン酸のエーテルである。AEPCのR−エナンチオマーのエナンチオマー濃縮は、好ましくは以下の酸の一方によるAEPCの酸付加塩の結晶化により達成される:L(+)酒石酸又はD−マンデル酸。AEPCのS−エナンチオマーのエナンチオマー濃縮は、好ましくは以下の酸の一方によるAEPCの酸付加塩の結晶化により達成される:D(−)酒石酸又はL−マンデル酸。
上記に概説したように、キラル酸によるAEPCの分別結晶化は、(R)−又は(S)−AEPCに関しエナンチオマー濃縮されているAEPCの酸付加塩の結晶をもたらす。それ故、前記結晶化において得られた母液は、このAEPCのそれぞれのエナンチオマーについて枯渇しており、それ故AEPCの反対のエナンチオマーを過剰に含有する。例えば、(R)−AEPC酸付加塩の結晶化から得られた母液は、(S)−AEPCに関し濃縮されている。収率損失を避けるため、前記母液のAPECはラセミ化にかけられ得る。この方法では、ラセミ化に続き、APECの所望のエナンチオマー、例えば(R)−AEPCの添加量が、エナンチオマー濃縮により、例えば上記記載の分別結晶化を含む方法により調製され得る。非ラセミAEPCのラセミ化は通常、例えばWO02/068391に記載されている既知の方法により、AEPCを塩基で処理することにより達成される。適当な方法は、例えば塩基として触媒量のナトリウムエトキシレートを用いた処理を含む。
先行の実施形態のエナンチオマー濃縮のための方法によって得られた、キラル酸によるAEPCの酸付加塩は、周知の技術により、遊離塩基、即ち遊離のAEPCへ変換され得る。典型的には、遊離塩基を調製するためには、AEPCの酸付加塩は、希釈塩基水溶液、例えばアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、又はアルカリ金属水酸化物、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、又は水酸化カリウムの水溶液で、或いは塩基性イオン交換樹脂のいずれかで処理される。遊離塩基は、かくして得られた混合物から、適当な方法、例えば有機溶媒を用いた抽出により抽出され得る。塩基の添加は、好ましくは冷却下で行われる。塩基の濃縮水溶液を使用することは、さらに好ましい。
プロセスAの工程b)においては、工程a)で得られたピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドがピペリジン−3−カルボニルアジドへ変換される。反応は通常、ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドを、適当な反応条件を用いて、酸性条件下で溶媒中で、亜硝酸塩と接触させることにより実施される。ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドは、その遊離塩基として、又はその酸付加塩若しくはその水和物として、とりわけ遊離塩基として、又は塩酸、硫酸、若しくは臭化水素酸などの鉱酸によるその酸付加塩として使用され得る。
ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドは、典型的には、工程b)において、そのまま、即ち遊離塩基として、又はその酸付加塩として、とりわけその一塩酸塩として若しくはその二塩酸塩として使用され、好ましくは遊離塩基として使用される。
本発明のプロセスAにおいては、亜硝酸塩は、亜硝酸、その塩の1つ、及び有機亜硝酸塩又はそれらの混合物を含め、無機及び有機亜硝酸塩の双方を意味するものと理解される。亜硝酸の適当な塩は、とりわけそのアルカリ金属塩、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、又は亜硝酸リチウムであり、またそのアルカリ土類金属塩、例えば亜硝酸カルシウム若しくは亜硝酸バリウムである。ここで好ましい塩は、アルカリ金属塩、とりわけ亜硝酸ナトリウム及び亜硝酸カリウムである。これに関連して、用語「有機亜硝酸塩」は、直鎖又は分枝鎖の亜硝酸C−C−アルキル、例えば亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸n−プロピル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸n−ブチル、亜硝酸イソブチル、亜硝酸tert−ブチル、亜硝酸n−ペンチル、亜硝酸イソペンチル(亜硝酸イソアミル)、亜硝酸ネオペンチル(亜硝酸2,2−ジメチルプロピル)、亜硝酸n−へキシル、及び亜硝酸2−エチルへキシル、亜硝酸C−C−シクロアルキル、例えば亜硝酸シクロへキシル、亜硝酸フェニル−C−C−アルキル、例えば亜硝酸ベンジル、又はそれらの混合物を意味する。プロセスAにおける使用のための好ましい有機亜硝酸塩は、亜硝酸n−ブチル、亜硝酸イソブチル、亜硝酸tert−ブチル、亜硝酸n−ペンチル、亜硝酸イソペンチル、及びそれらの混合物であり、またとりわけ亜硝酸tert−ブチル、亜硝酸イソペンチル、及びそれらの混合物が好ましい。
本発明の特別の実施形態によれば、プロセスAにおいて使用される亜硝酸塩は、亜硝酸イソペンチル、亜硝酸ブチル、又は亜硝酸ナトリウム、及びとりわけ亜硝酸イソペンチル若しくは亜硝酸ブチルである。
亜硝酸塩は、工程b)の変換において、用いるピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドの量に基づき、通常1から2モル当量、好ましくは1から1.5モル当量、及びとりわけ1.05から1.4モル当量の量で使用される。
典型的には、工程b)の変換は、用いるピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドの量に基づき、1から4モル当量、好ましくは1.2から3モル当量、より好ましくは1.5から2.5モル当量、及びとりわけ1.7から2.3モル当量の酸の存在下で行われる。
反応混合物へ添加されるべき酸の量は、亜硝酸及びピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドが工程b)の変換において使用される形態に依存する。例えば、亜硝酸塩が亜硝酸として使用される場合、一般に、添加されるべき酸の量を対応するモル当量数まで低減することが勧められる。同様に、ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドがその酸付加塩として、例えばその一又は二塩酸塩として使用される場合、添加されるべき酸の量は、相応に低減されるべきである。それ故、ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドの二塩酸塩が工程b)で使用される場合、追加の酸は通常必要とされない。
適当な酸は、とりわけ強酸、例えば塩酸、硫酸、又は有機スルホン酸、例えばアルキルスルホン酸若しくはアリールスルホン酸である。ここでは、塩酸が優先される。
工程b)の反応に適した溶媒は、水及び極性有機溶媒、並びにそれらの混合物を包含する。適当な極性有機溶媒の例は、とりわけアルコール、例えばC−C−アルカノール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、又はn−ペンタノール、C−C−カルボン酸、例えば酢酸若しくはプロピオン酸、5−及び6−員ラクトン、例えばγ−ブチロラクトン、ポリオール及びポリエテロール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ジメトキシエタン、エチレンジグリコール、又はエチレングリコールモノメチルエーテルである。ここで、好ましい極性有機溶媒は、C−C−アルカノール、とりわけイソプロパノール、及びC−C−カルボン酸、とりわけ酢酸である。本発明のプロセスAの工程b)における使用のための好ましい溶媒は、水及び、水とC−C−アルカノール、例えばイソプロパノールとの、又はC−C−カルボン酸、例えば酢酸との混合物である。水が特に優先される。
本発明によるプロセスAの工程b)において使用される溶媒の量は、通常、1molのピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドを基準として、100から1000gの範囲、好ましくは250から800gの範囲、及びとりわけ350から700gの範囲である。
ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドと亜硝酸塩とは、原則的に、任意の所望の順序で互いに接触され得る。例えば、ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドは、適宜に溶媒中に溶解されるか又は分散された形態で最初に投入され、そして亜硝酸塩と混合されてもよく、或いは逆に、亜硝酸塩が、適宜に溶媒中に溶解されるか又は分散された形態で最初に投入され、そしてピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドと混合されてもよい。別法として、これら2つの成分はまた、同時に反応容器へ添加されてもよい。必要であれば、酸は、ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジドの添加の前又は後に容器へ添加されてもよく、或いはまたそれと一緒でもよい。
好ましくは少なくとも一部の溶媒に溶解又は分散された、ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジド(その遊離塩基の形態で、又はその酸付加塩若しくはその水和物の形態で)が、最初に反応容器へ投入され、次いで、必要であれば酸が、反応混合物を約−10から10℃、及び好ましくは約−5から5℃の温度に保持しながら添加されることが適切であることが判明している。その後亜硝酸塩が、典型的には連続的又は段階的のいずれかで、個々の場合の反応条件に依存して、約−25から5℃、及び好ましくは約−18から0℃の温度において添加される。亜硝酸塩の添加が完了した後、反応混合物を−5から5℃、好ましくは−3から3℃の温度まで温めさせ、そして約10分から4時間まで、及び好ましくは約20分から2時間まで撹拌する。
工程b)における変換、及びピペリジン−3−カルボニルアジドの単離から得られた反応混合物のワークアップは、所望であれば、慣例的な方法で、例えば減圧下で溶媒を除去することによるか、又は沈殿により達成され得る。しかしながら好ましくは、工程b)における変換から得られた反応生成物は、予備的なワークアップなしに、本発明によるプロセスAの工程c)における変換にかけられる。この目的のため、工程b)における変換の完了後に得られた反応混合物は、典型的には直接、工程c)における変換へ導入される。
したがって、本発明のとりわけ好ましい実施形態によれば、プロセスAの工程b)及びc)は、ピペリジン−3−カルボニルアジドの中間体分離なしに実施される。
プロセスAの工程c)において、工程b)で得られたピペリジン−3−カルボニルアジドは、3−アミノピペリジン(APIP)へ変換される。反応は通常、ピペリジン−3−カルボニルアジドを溶媒I中で、加水分解条件下で加熱することにより行われる。
一般に、工程b)における変換に好適として上述された溶媒から、及びとりわけ、そこで好ましいとして述べたものから選択される溶媒Iにおける、ピペリジン−3−カルボニルアジドの溶液若しくは分散物を、最初に提供することが有利であることが判明している。ピペリジン−3−カルボニルアジドは、通常、1モルのピペリジン−3−カルボニルアジドを基準として、100から1000g、好ましくは250から800g、及びとりわけ350から700gの溶媒I中に溶解若しくは分散される。
本発明の好ましい実施形態によれば、ピペリジン−3−カルボニルアジドの前記溶液又は分散物は、プロセスAの工程b)における変換の後に得られる、反応混合物の形態で提供され、即ち工程b)における反応の完了後に反応混合物は工程c)におけるピペリジン−3−カルボニルアジドの前記最初の溶液若しくは分散物として使用される。
典型的には、ピペリジン−3−カルボニルアジドの最初に提供された溶液若しくは分散物は、次に連続的に、段階的に、又は一度に、のいずれかで、及び好ましくは連続的若しくは段階的に、50から150℃の範囲、好ましくは70から120℃の範囲、及びとりわけ75から100℃の範囲の温度を有する溶媒IIへ添加される。その後、反応混合物はほぼこの温度において、2分から4時間まで、好ましくは5分から2時間まで、及びとりわけ8分から1.5時間まで保持され、その後ほぼ室温に冷却される。
適当な溶媒IIは、工程b)における変換に好適として上述されたものである。しかしながら、とりわけ水が、溶媒IIとして優先される。
プロセスAの工程c)で得られた反応混合物のワークアップ、及びAPIPの単離は、当該技術分野における慣例的な方法、例えば減圧下での溶媒の除去、非水混和性有機溶媒によるAPIPの水溶液の抽出、沈殿、例えば3−アミノピペリジンの、その一又は二塩酸塩としての結晶化など、或いはこれらの処理の組合せにより達成され得る。別法として、工程c)における変換から得られた反応混合物は、何ら予備的ワークアップの工程なしに、APIPのエナンチオマー濃縮のためのプロセス、及びとりわけ、キラル酸によるその付加塩の形態にあるAPIPの分別結晶化に基づくプロセスへかけられ得る。
好ましくは、ワークアップのためには、用いたピペリジン−3−カルボニルアジドの量に基づき、0.5から2.5モル当量、及びとりわけ0.8から2.0モル当量の塩酸の添加の後、反応混合物は少なくとも溶媒の大部分を除去することにより濃縮される。残留する材料は、任意選択で水中に溶解されてもよく、濃縮され、とりわけイソプロパノールなどの適当な有機溶媒中に溶解され、そして再度濃縮される。得られた残渣は、好ましくは加熱しながら、比較的少量の極性有機溶媒、例えばとりわけメタノール中に溶解される。得られた溶液には、それをほぼ室温に冷却した後、前述の極性有機溶媒の量を基準として約30から300重量%の量の、とりわけアセトン若しくはイソプロパノールなどの弱極性有機溶媒を徐々に添加する。エナンチオマー濃縮されたAPIPが、前記弱極性有機溶媒の添加に先立って合成されている場合、溶液は任意選択で、対応する結晶性塩酸塩とともに播種され得る。かくして得られた沈殿は、任意選択で、例えばイソプロパノール又はイソプロパノールとメタノールとの混合物を添加した後の減圧下での共沸蒸留により脱水され、得られた懸濁液に対し、前述の極性溶媒、例えばメタノールが、任意選択で加熱しながら添加され、次に前述の弱極性有機溶媒、例えばアセトン又はイソプロパノールが、再び徐々に添加される。第1又は第2の沈殿工程の後に得られた生成物は、APIPのヒドロクロリド塩の1つ、例えば、一塩酸塩、二塩酸塩、又は二塩酸塩一水和物である。
本発明の好ましい実施形態によれば、3−アミノピペリジンは、その二塩酸塩又は二塩酸塩一水和物として、工程c)から単離される。
本発明のとりわけ好ましい実施形態によれば、3−アミノピペリジンは、それがR−又はS−エナンチオマーとして濃縮された形態で得られた場合、その二塩酸塩として、若しくはその二塩酸塩一水和物として、工程c)から単離される。
本発明によるプロセスAの工程c)において得られたAPIPがラセミ体であるか又は不充分なエナンチオメリックな純度のものである場合、それは、本発明の第2の態様により、とりわけ、式Aのキラルカルボン酸によるその酸付加塩の形態にあるAPIPの分別結晶化によって、エナンチオマー濃縮にかけられ得る。
本発明の第2の態様によれば、3−アミノピペリジンのエナンチオマーの光学分割は、上記記載のように、式AのN−修飾アラニン誘導体によるそのジアステレオメリックな酸付加塩の形態にある個々のエナンチオマーの分別結晶化により達成される。
それ故、本発明はまた、APIPのエナンチオマー濃縮のためのプロセスに関し、それはまた本明細書においてプロセスBとも称される。該プロセスは、APIPのエナンチオマーの混合物、とりわけラセミ混合物、及び、N−修飾L−アラニン誘導体若しくはN−修飾D−アラニン誘導体のいずれかを含有する溶液、エマルジョン、又は懸濁液から、N−修飾L−アラニン誘導体又はN−修飾D−アラニン誘導体のいずれかによるその酸付加塩の形態にあるAPIPを、分別結晶化することを含んでなる。
適当なN−修飾L−アラニン誘導体は、式A−LのL−アラニン誘導体であり、一方適当なN−修飾D−アラニン誘導体は、式A−DのD−アラニン誘導体であるが、それらに限定されない:
Figure 0006580218
式中、kは、0、1、2、3、4、又は5であり、Rは、CN、NO、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、又はハロゲンであるか、或いは2つの隣接した可変の置換基Rが一緒になって未置換若しくは置換されたブタン−1,3−ジエン−1,4−ジイルを表していてもよく、かつXは、S(O)、C(O)、又はNHC(O)である。可変の置換基XがNHC(O)である場合、2価の基NHC(O)の窒素原子はベンゼン環へ結合される。式A、A−L、及びA−Dにおいては、変数k、R、及びXは、互いに独立して、好ましくは以下の意味を有する:変数kは、好ましくは0、1、2、又は3である。Xは、好ましくはS(O)又はNHC(O)である。Rは、好ましくはC−C−アルキル、C−C−アルコキシ、又はハロゲンである。
式A−L及びA−Dのアラニン誘導体は、本明細書ではまた、それぞれキラルカルボン酸A−L及びA−Dとも称される(本明細書ではまたCAAともいう)。
本明細書において好ましいのは、式中、可変の置換基XがS(O)又はNHC(O)であり、変数kが0又は1であり、かつ可変の置換基RがC−C−アルキル、とりわけメチル、又はハロゲン、特にCであるキラルカルボン酸A−L及びA−Dである。
本発明の好ましい実施形態によれば、式A−L又はA−Dのキラルカルボン酸A−L及びA−Dは、それぞれ、式中、XがS(O)であり、kが0又は1であり、かつRが、存在する場合には、メチル又は塩化物であり、かつ好ましくは、可変の置換基Xに対しパラ位に結合されている、キラルカルボン酸A−L及びA−Dである。これらのカルボン酸A−L及びA−Dは、本明細書ではまた、それぞれカルボン酸A−1−L及びA−1−Dとも称される。
とりわけ好ましいカルボン酸A−1−Lは、(S)−2−(4−メチルフェニル)スルホニルアミノ−プロピオン酸(N−(パラ−トルエンスルホニル)−L−アラニンとしても知られ、本明細書ではまたTs−L−Alaとも称される)、(S)−2−(4−クロロフェニル)スルホニルアミノ−プロピオン酸(N−(パラ−クロロフェニルスルホニル)−L−アラニンとしても知られ、本明細書ではまたpCl−Ps−L−Alaとも称される)、及び(S)−2−フェニルスルホニルアミノ−プロピオン酸(N−(フェニルスルホニル)−L−フェニルアラニンとしても知られ、本明細書ではまたPs−L−Alaとも称される)である。
とりわけ好ましいカルボン酸A−1−Dは、(R)−2−(4−メチルフェニル)スルホニルアミノ−プロピオン酸(N−(パラ−トルエンスルホニル)−D−アラニンとしても知られ、本明細書ではまたTs−D−Alaとも称される)、(R)−2−(4−クロロフェニル)スルホニルアミノ−プロピオン酸(N−(パラ−クロロフェニルスルホニル)−D−アラニンとしても知られ、本明細書ではまたpCl−Ps−D−Alaとも称される)、及び(R)−2−フェニルスルホニルアミノ−プロピオン酸(N−(フェニルスルホニル)−D−フェニルアラニンとしても知られ、本明細書ではまたPs−D−Alaとも称される)である。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、キラルカルボン酸A−L及びA−Dは、式A−L又はA−D[式中、XはNHC(O)であり、kは0又は1であり、かつRは、存在する場合には、ハロゲン、とりわけ塩素であり、かつ好ましくは、変数Xに対しパラ位に結合されている]のものである。これらのカルボン酸A−L及びA−Dは、本明細書ではまた、それぞれカルボン酸A−2−L又はA−2−Dとも称される。
とりわけ好ましいカルボン酸A−2−Lは、(S)−2−(3−フェニルウレイド)−プロピオン酸(N−フェニルカルバモイル−L−アラニンとしても知られ、本明細書ではまたPC−L−Alaとも称される)及び(S)−2−(3−(4−クロロフェニル)ウレイド)−プロピオン酸(N−(4−クロロフェニルカルバモイル)−L−アラニンとしても知られ、本明細書ではまたCl−PC−L−Alaとも称される)である。
とりわけ好ましいカルボン酸A−2−Dは、(R)−2−(3−フェニルウレイド)−プロピオン酸(N−フェニルカルバモイル−D−アラニンとしても知られ、本明細書ではまたPC−D−Alaとも称される)及び(R)−2−(3−(4−クロロフェニル)ウレイド)−プロピオン酸(N−(4−クロロフェニルカルバモイル)−D−アラニンとしても知られ、本明細書ではまたCl−PC−D−Alaとも称される)である。
APIPのR−エナンチオマーは、本発明のプロセスBにおいて、カルボン酸A−1−LをN−修飾L−アラニン誘導体として用いることにより、APIPエナンチオマーの混合物から選択的に結晶化され得、一方APIPのS−エナンチオマーは、カルボン酸A−2−Lを用いることにより、APIPエナンチオマーの混合物から選択的に結晶化され得ることもまた判明した。
APIPのS−エナンチオマーは、本発明のプロセスBにおいて、カルボン酸A−1−DをN−修飾D−アラニン誘導体として用いることにより、APIPエナンチオマーの混合物から選択的に結晶化され得、一方APIPのR−エナンチオマーは、カルボン酸A−2−Dを用いることにより、APIPエナンチオマーの混合物から選択的に結晶化され得ることもまた判明した。
それ故、特別の態様においては、本発明は、APIPのR−エナンチオマーを得るためのプロセスであって、前記R−エナンチオマーを、カルボン酸A−1−Lによるそのジアステレオメリックな塩として、少なくとも1つの溶媒中のAPIPのエナンチオマー混合物の溶液若しくは懸濁液から分別結晶化することを含んでなる、該プロセスを提供する。
同様に、別の態様においては、本発明は、APIPのS−エナンチオマーを得るためのプロセスであって、前記S−エナンチオマーを、カルボン酸A−2−Lによるそのジアステレオメリックな塩として、少なくとも1つの溶媒中のAPIPのエナンチオマー混合物の溶液若しくは懸濁液から分別結晶化することを含んでなる、該プロセスを提供する。
さらなる特別の態様においては、本発明は、APIPのS−エナンチオマーを得るためのプロセスであって、前記S−エナンチオマーを、カルボン酸A−1−Dによるそのジアステレオメリックな塩として、少なくとも1つの溶媒中のAPIPのエナンチオマー混合物の溶液若しくは懸濁液から分別結晶化することを含んでなる、該プロセスを提供する。
なお特別の態様においては、本発明は、APIPのR−エナンチオマーを得るためのプロセスであって、前記R−エナンチオマーを、カルボン酸A−2−Dによるそのジアステレオメリックな塩として、少なくとも1つの溶媒中のAPIPのエナンチオマー混合物の溶液若しくは懸濁液から分別結晶化することを含んでなる、該プロセスを提供する。
本発明のプロセスBによれば、キラルカルボン酸A−L又はA−D(CAA)による(R)−又は(S)−APIPの酸付加塩は、典型的には、それぞれ適当な溶媒又は溶媒混合物中に懸濁又は溶解された、APIPエナンチオマーの混合物を含有する懸濁液又は溶液から結晶化される。
懸濁液又は溶液中に含有されたAPIPエナンチオマーの混合物は、ラセミ混合物又は非ラセミ混合物であってよい。非ラセミ混合物が使用される場合、一方のエナンチオマーの過剰率は、一般に30%、とりわけ20%を超えず、即ちS/R比(又はR/S比、各々)は、70:30から30:70の範囲、とりわけ60:40から40:60の範囲内となる。かかる非ラセミ混合物は、APIPのラセミ混合物の溶液からの一方のエナンチオマーの結晶化を通じて、又は一方のエナンチオマーが既に結晶化された母液へのラセミAPIPの添加により取得され得る。ラセミ混合物並びに非ラセミ混合物は、双方とも本発明のプロセスBにおいて使用され得る。
本発明のプロセスBにおける、CAAによる、とりわけ好ましいとして言及されたものによる、APIPのジアステレオメリックな酸付加塩の結晶化は、キラル酸による塩基性窒素原子を有する化合物のエナンチオメリックな混合物の光学分割のための標準的な技術の類似法により、例えば本出願の導入部分において引用された先行技術に記載された方法の類似法によって実施され得る。
とりわけ、APIPの結晶化は、適量の適切なCAAの存在下で実施される。言うまでもなく、CAAの量は、CAAによるAPIPのジアステレオメリックな酸付加塩の結晶化を確保するべく選択される。通常、用いるCAAの量は、結晶化に先立ち溶液又はスラリー中に含有されている所望のAPIPエナンチオマー(即ち、(S)−APIP又は(R)−APIP、どちらのエナンチオマーが結晶化されることになっているかに依存して)の1mol当たり、少なくとも0.8mol、とりわけ少なくとも0.9molである。好ましくは、CAAは、結晶化に先立ち溶液又はスラリー中に含有されている所望のAPIPエナンチオマーの1mol当たり、0.9から5molの量で使用される。好ましくは、CAAは、溶液又は懸濁液がラセミ混合物又はAPIPエナンチオマーの混合物を含有し、ここでAPIPのR−及びS−エナンチオマーの相対量が1:1に近い(即ち、45:55から55:45)とき、結晶化に先立ち溶液又はスラリー中に含有されている所望のAPIPエナンチオマーの1mol当たり、1.5から4.5mol、とりわけ1.8から4.2molの量で使用される。
用語「適当なCAA」とは、個々のAPIPエナンチオマーを結晶化するのに特に適しているCAAを意味し、即ち、(R)−APIPの場合には、適当なCAAはカルボン酸A−1、とりわけ本明細書で好ましいと言及されたものであり、一方(S)−APIPの場合には、適当なCAAはカルボン酸A−2、とりわけ本明細書で好ましいと言及されたものである。
所望のAPIPエナンチオマーの高いエナンチオマー濃縮を達成するためには、結晶化に用いる適当なCAAの光学純度を一般に、少なくとも70%ee、しばしば少なくとも80%ee、好ましくは少なくとも90%ee、とりわけ少なくとも95%ee、及びより好ましくは少なくとも99%eeとする。
好ましくは、本発明のプロセスBにおいて使用されるCAAのモル量は、結晶化前の溶液又は懸濁液中に存在するAPIPの全モル量の2.5倍を超えない。とりわけ、CAAは結晶化前の溶液又は懸濁液中に含有されるAPIPの1mol当たり、0.5から2.5mol、より好ましくは0.8から2.2molの量で使用される。
プロセスBにおいて、APIPがその塩酸塩付加塩の1つ、例えばAPIPの一塩酸塩又は二塩酸塩の形態において使用される場合、前記付加塩は一般に、周知の技術により結晶化に先立ち遊離塩基へ変換される。この目的のため、APIPの塩酸塩付加塩は、APIPの一塩酸塩又は二塩酸塩が使用されるかに依存して、通常約1モル当量又は約2モル当量の塩基水溶液で処理される。適当な塩基水溶液は、アンモニアの、第一級、第二級、又は第三級アミン、例えばメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、又はトリエタノールアミンの、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、又はアルカリ金属水酸化物、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、又は水酸化カリウムの水溶液である。アルカリ金属水酸化物、及びとりわけ水酸化ナトリウムが優先される。塩基水溶液は、水中の、又は水と以下に記載される水混和性有機溶媒との混合物の1つの中の、APIPの塩酸塩付加塩の溶液へ、一度に又は段階的に添加することが好ましい。APIPの遊離塩基を含む、かくして得られた混合物は、典型的には、何ら予備的なワークアップ工程なしに、プロセスBの結晶化へ直接かけられる。別法として、APIPの塩酸塩付加塩を、イオン交換樹脂により、遊離塩基へ変換することも可能である。
本発明のプロセスBによる結晶化のためには、CAAと、APIPエナンチオマー混合物とは、適当な溶媒又は溶媒混合物中に溶解又は懸濁される。好ましくは、CAAと、APIPエナンチオマー混合物とは、結晶化に先立ち完全に溶解される。
CAA及びAPIPエナンチオマーの溶液は、均一溶液になり得る、即ち、CAA、エナンチオマー混合物、及び少なくとも1つの溶媒は、結晶化に先立ち、単相か、又は不均一な溶液(多相溶液、例えばエマルジョン)を形成し、これにおいて、CAAとエナンチオマー混合物とは、少なくとも1つの溶媒中か、又は極性の異なる少なくとも2つの溶媒の混合物中に溶解され、それにより多相液を形成する。均一溶液及びエマルジョンの双方は、固形物、とりわけ未溶解のAPIPエナンチオマー又は未溶解のCAAをさらに含んでなり得る。好ましくは、何ら未溶解のAPIPも、また何ら未溶解のCAAも結晶化に先立ち存在しない。
適当な溶媒は、とりわけ水、極性有機溶媒、及びそれらと水との混合物を包含する。適当な有機溶媒は、少なくとも部分的に水混和性である有機溶媒、即ち20℃で少なくとも20%(v/v)の、水との混和性を有するもの、及びまた水との混和性が低減された溶媒、即ち20℃で20%(v/v)未満の、とりわけ10%(v/v)未満の、水との混和性を有するものを包含する。
少なくとも部分的に水混和性である適当な有機溶媒、即ち20℃で少なくとも20%(v/v)の、水との混和性を有するものは、これに限定されないが、以下を包含する:
1. C−C−アルカノール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、又はイソプロパノール;
2. C−C−カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、又はプロピオン酸;
3. アミド、N−メチルアミド、及びC−C−カルボン酸のN,N−ジメチルアミド、例えばホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトアミド、及びN,N−ジメチルアセトアミド;
4. 合計7個の炭素原子をもつ5又は6員のラクタム、例えばピロリドン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−イソプロピルピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン;
5. ジメチルスルホキシド及びスルホラン;
6. 3から6個の炭素原子を有するケトン、例えばアセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、及びシクロへキサノン;
7. アセトニトリル;
8. 5又は6員のラクトン、例えばγ−ブチロラクトン;
9. ポリオール及びポリエテロール、例えばグリコール、グリセリン、ジメトキシエタン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなど、
10. 環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、及びトリオキサン、
11. 低分子量ポリエチレングリコール及び低分子量ポリプロピレングリコール(MW≦400)。
低減された水混和性をもつ適当な有機溶媒、即ち20℃で20%(v/v)未満、とりわけせいぜい10%(v/v)の、水との混和性を有するものは、これに限定されないが、以下を包含する:
12. 芳香族溶媒、例えばベンゼン又は、トルエン、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、若しくはキシレンのようなその誘導体、及びヘテロ芳香族液体、例えばピリジン若しくはフラン;
13. ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどの、ハロゲン化アルカン;
14. 4個以上、例えば4から10個の炭素原子を有するジアルキルエーテル、例えばジエチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、又はtert−ブチルメチルエーテル;
15. 5個以上の炭素原子をもつn−、i−、又は分枝鎖のカルボン酸のエステルであり、ジエステル、トリエステル、例えば油及び脂肪、並びにポリエステルを包含する;
16. 5個以上、例えば5から10個の炭素原子をもつアルカノール、芳香族及び環式アルコール、例えば2−ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、又はオクタノール。
本発明のプロセスBにおける結晶化の好ましい実施形態によれば、CAA及びAPIPエナンチオマーの溶液は、均一溶液である。
プロセスBにおける結晶化のための好ましい溶媒は、少なくとも1つのプロトン性溶媒を含んでなり、これは、水、C−C−アルカノール、例えばメタノール、エタノール、又はイソプロパノール、及びC−C−カルボン酸、例えば酢酸から選択される。これらの溶媒は、そのままで、混合物として、又はプロトン性溶媒、とりわけ水溶性の低いプロトン性溶媒、例えば20℃で<20%(v/v)、特に≦10%(v/v)の水溶性をもつプロトン性溶媒との混合物中で使用され得る。
プロセスBの結晶化の非常に好ましい実施形態においては、溶液又は懸濁液を形成するために使用される溶媒は、水又は少なくとも1つのC−C−アルカノール、例えば好ましくはエタノールを含んでなる。とりわけ溶媒は、水、C−C−アルカノール、例えばとりわけエタノール、2、3、又は4種、及びとりわけ2種のC−C−アルカノールの混合物、例えばエタノールとメタノールとの混合物、又は水と、C−C−アルカノール若しくはC−C−カルボン酸のいずれかとの混合物、例えばとりわけ水とエタノール若しくは酢酸との混合物である。
APIPがその遊離塩基の形態でプロセスBによる結晶化へ導入される場合、溶液又は懸濁液を形成するために用いる溶媒は、好ましくは、C−C−アルカノール、例えばとりわけエタノール、及び水とC−C−アルカノール、例えばエタノールとの混合物から選択される。これに関連して、水とC−C−アルカノールとの混合物中の水対C−C−アルカノールの比は、20:80(v/v)から80:20(v/v)、及びとりわけ40:60(v/v)から60:40(v/v)の範囲である。
APIPがその塩酸塩付加塩の形態でプロセスBによる結晶化へ導入される場合、溶液又は懸濁液を形成するために用いる溶媒は、好ましくは、水、及び水とC−C−カルボン酸、例えば酢酸との混合物から選択される。これに関連して、水とC−C−カルボン酸との混合物は、10重量%まで、及び好ましくは5重量%まで、例えば0.5から10重量%、及びとりわけ1.5から5重量%の、C−C−カルボン酸からなる。
上記記載のように、塩基水溶液がAPIPの塩酸塩付加塩をその遊離塩基へ変換するために添加される場合、塩基水溶液の体積中に含まれる溶媒は、プロセスBにおけるCAAとAPIPエナンチオマーとの溶液又は懸濁液を形成するべく使用される前述の溶媒に寄与し、それ故その総量の一部でもある。
APIPエナンチオマーの混合物を含有する溶液又は懸濁液からの、CAAによるAPIPのジアステレオメリックな酸付加塩の結晶化は、当該技術分野において既知の通常の結晶化技術により達成され得る。通常、CAAとAPIPエナンチオマー混合物とは、適当な溶媒中に懸濁又は好ましくは溶解されて、前記溶媒中のCAA及びAPIPエナンチオマーの懸濁液又は好ましくは溶液が得られる。
懸濁液又は溶媒中のAPIPの濃度は、通常、溶媒と遊離塩基の形態にあるAPIPとの総量を基準に、1から20重量%、とりわけ3から10重量%、及びさらに好ましくは3.5から5.5重量%である。APIP及びCAAの総量は、一般に、APIP、CAA、及び溶媒の総量を基準に、40重量%、とりわけ25重量%、かつさらに好ましくは17重量%を超えない。
CAA及びAPIPエナンチオマーを充分に懸濁又は溶解するためには、通常、溶液又は懸濁液を30℃から150℃、好ましくは40から120℃、及びとりわけ50から100℃の温度まで、適当な時間加熱することが有利である。溶媒中のCAA及びAPIPエナンチオマーのかかる懸濁液又は溶液が、詳細にはどのように完成されるかは、通常、補助的な関連ごとである。したがって、可能な選択肢の2つだけ例を挙げると、CAA及びAPIPエナンチオマーが一緒に溶媒へ添加され、次にそれが加熱されてもよく、或いはCAAがAPIPエナンチオマーの熱溶液へ添加されてもよい。結晶化は、典型的には、溶液又は懸濁液を一般に65℃未満の温度、例えば10から65℃、好ましくは15から45℃、及びとりわけ18から42℃の範囲の温度に冷却することにより果たされる。
結晶化を助けるため、APIP及びCAAを含有する溶液又は懸濁液を、該溶液又は懸濁液を調製するのに用いた溶媒と混和性があり、加えて低い極性をもつ溶液を用いて希釈することが有利であり得る。例えば、単独又は主要な溶媒として、C−C−アルカノール、例えばエタノールを用いた溶液又は懸濁液からの結晶化は、好ましくは、より極性の低い別のC−C−アルカノール、例えばイソプロパノールを添加することにより開始され得る。溶液又は懸濁液へ添加されるべき、より極性の低いC−C−アルカノールの量は、元の溶媒の量を基準として、好ましくは20から80重量%、とりわけ40から60重量%である。結晶化を誘導するための別の選択肢は、所望のAPIPエナンチオマーの酸付加塩の種結晶を、適当なCAAとともに、APIP及びCAAを含有する溶液又はスラリーへ添加することである。溶液又は懸濁液へ添加されるべき種結晶の量は、溶液中に含有されるAPIPの化合物の1mol当たり、好ましくは0.1から10mmol、好ましくは0.2から8mmol、とりわけ0.3から5mmolである。
かくして生成されたCAAによるAPIPの酸付加塩は、次に、濾過及び遠心分離などの通常の分離技術により母液から分離される。かくして得られた結晶物質は、任意選択でそれを最初に母液で洗浄した後、適当な溶媒、例えば水及び/又は、酸付加塩がやや溶けにくいだけの又はさらに不溶性の溶媒で洗浄されて、母液及びさらに不純物、とりわけ所望されないAPIPエナンチオマーの酸付加塩を除去してもよい。好ましくは、母液を用いた任意選択の洗浄の後、結晶物質は、極性の低下していく溶媒を用いた連続的な洗浄にかけられ、例えば、水で洗浄した後、結晶はC−C−アルカノール、例えばn−ブタノール又はイソブタノールで、次いでジ−C−C−アルキルエーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、又はtert−ブチルエチルエーテルで、そして最後にC−C−アルカン、又はC−C−シクロアルン、例えばペンタン、ヘキサン、又はシクロヘキサンで洗浄され得る。
本発明のプロセスBによって得られたCAAによるAPIPの酸付加塩においては、APIPエナンチオマーのモル比(以降、S/R又はR/S比値ともいう)は、通常、少なくとも90対10(80%eeに相当)、とりわけ少なくとも95対5(90%eeに相当)である。しかしながら、光学純度は、前記酸付加塩を適当な溶媒から再結晶化することによりさらに改善され得る。適当な溶媒は、これに限定されないが、水、C−C−アルカノール、とりわけメタノール又はエタノール、及びそれらの水との混合物を包含する。この再結晶化により、光学純度は、所望のエナンチオマーの少なくとも95%ee、好ましくは少なくとも98%ee、又はさらに少なくとも99%eeのエナンチオマー過剰率まで改善され得る。再結晶化を達成するためには、酸付加塩を完全に溶解する必要はない。同様に、塩のスラリーを適当な溶媒中で、長時間、例えば2から24時間にわたり、任意選択で撹拌の間に、高い温度から出発して低い温度で終わる温度勾配を適用しながら撹拌することが可能である。
CAAによるAPIPの酸付加塩の分別結晶化、及びCAAによるAPIPの酸付加塩の再結晶化の双方は、バッチプロセスとして、又は連続プロセスとして実行され得る。プロセスを連続的に実行するための1つの手段は、それについて完全に参照されているWO
97/32644の、図1に例示されている。
かくして得られた、CAAによるAPIPエナンチオマーの酸付加塩は、周知の技術、例えば本出願の導入部分において引用された先行技術に記載されたもの、例えばAPIP/CAA酸付加塩を希釈塩基水溶液で処理すること、そしてその陰イオン形にあるCAAを、例えばイオン交換樹脂により除去することにより、遊離塩基へ変換され得る。しかしながら、好ましくは、CAAによるAPIPエナンチオマーの酸付加塩は、塩酸などの強酸を用いて、APIPエナンチオマーの酸付加塩へ変換される。これは通常、最初にAPIP/CAA付加塩を、水性溶媒、例えば水、又は水と水混和性の有機溶媒との混合物、及びとりわけ水中に懸濁することにより達成される。得られた懸濁液は、強鉱酸の水溶液、例えば塩酸水溶液又は硫酸水溶液、及びとりわけ濃塩酸水溶液(約37重量%)を用いて処理される。それにより、キラルカルボン酸AによるエナンチオメリックなAPIPの酸付加塩は、前記強鉱酸によるAPIPの酸付加塩へ変換され、それは水性相中に溶解されたままであり、一方キラルカルボン酸Aは水性相から沈殿する。沈殿したキラルカルボン酸Aは、濾過、洗浄、及び乾燥により回収され、これで再使用可能である。母液は、微量のキラルカルボン酸Aを除去する目的で、比較的極性の高い適当な有機溶媒、例えば先に述べたグループ6に列記された溶媒のいくつか、とりわけ2−ブタノンで洗浄される。母液は次に、例えば珪藻土上で濾過され、減圧下で濃縮され、得られた残渣は任意選択で、例えばイソプロパノール、又はメタノールとイソプロパノールとの混合物を加えた後、減圧下での1回若しくは2回の共沸蒸留により脱水される。最終的に得られた生成物は、前記強酸によるAPIPエナンチオマーの酸付加塩であり、とりわけAPIPエナンチオマーの塩酸塩付加塩であり、これは例えば再結晶化によりさらに精製され得る。
本発明の好ましい実施形態によれば、APIPエナンチオマーの酸付加塩、とりわけCAAによる(R)−APIPは、エナンチオメリックなAPIP二塩酸塩一水和物、とりわけ(R)−APIP二塩酸塩一水和物、即ち塩酸による(R)−又は(S)−APIPの酸付加塩へ変換され、これは1molのAPIP当たり、約2molの塩酸と約1molの水とを含む。
既知の無水APIP二塩酸塩とは対照的に、(R)−並びに(S)−APIP二塩酸一水和物、及びとりわけ(R)−APIP二塩酸一水和物は、予想外に高度に結晶性の化合物であることが判明しており、これは、その化学的及びエナンチオメリックな純度の双方を改善する目的で、例えば結晶化により、容易にさらに精製され得る。(R)−及び(S)−APIP二塩酸一水和物は、一般に、容易に濾過される>0.5mm(しばしば約1−2mmのサイズ)の非常に大きい結晶に結晶化し、母液ホールドアップの傾向が非常に低く、かつ高い安定性を有しており、それ故、無水(S)−又は(R)−APIP二塩酸塩(以降(S)−又は(R)−APIP二塩酸塩無水物とも称する)に比較して、改善された貯蔵性及び取扱性を特徴とする。
本発明はそれ故、結晶(R)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩−一水和物及び(S)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩−一水和物にも関する。(R)−及び(S)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩−一水和物の双方は、約2mol、例えば1.90から2.1−mol、及びとりわけ1.95から2.05molの塩酸塩と、約1モル、例えば0.9から1.1mol、及びとりわけ0.95から1.05molの水とを含んでなる。
(R)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩−一水和物及び(S)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩−一水和物の双方は、粉末X線回折図により特性決定され、これは22℃で、かつCu−Kα線を用いて、2θ値として見積もられた以下の反射の少なくとも5個、とりわけ少なくとも7個、より特定的には少なくとも9個又は少なくとも11個、及び特に全てを示す:11.0±0.2°、16.4±0.2°、17.0±0.2°、20.9±0.2°、24.5±0.2°、25.3±0.2°、25.9±0.2°、26.7±0.2°、27.3±0.2°、28.4±0.2°、29.3±0.2°、30.0±0.2°、30.7±0.2°、31.0±0.2°、31.8±0.2°。しばしば、以下の反射の少なくとも1つ、とりわけ以下の反射の1、2、又は3個が、任意選択で3個以上の他の反射と一緒に観察される:17.0±0.2°、20.9±0.2°、24.5±0.2°。
それに対し、既知の(R)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩−無水物及び同様に(R)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩−無水物が、粉末X線回折図により特性決定され、これは22℃で、かつCu−Kα線を用いて、2θ値として見積もられた以下の反射を示す:9.0±0.2°、15.8±0.2°、17.9±0.2°、19.7±0.2°、21.7±0.2°、23.1±0.2°、24.4±0.2°、25.3±0.2°、28.9±0.2°、30.7±0.2°。
(R)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩−一水和物は、>−1.5、とりわけ−1.7の比旋光度(20°、濃度C=10(HO中)、及び589nm)、ee>98%(HPLC)を示す。
(R)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩−一水和物中の含水率は、9%であると測定された(カールフィッシャー滴定)。これは、1molのAPIP当たり1molの水に相当する。
(R)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩−一水和物のNIRスペクトル(近赤外スペクトル)では、水和物の典型的なシグナル、とりわけ5070cm−1に強いバンドが存在する(図1参照)。
(R)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩−一水和物の融点は、204−207℃である。水は加熱中に除去されることから、それはほぼ無水(R)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩のものと同じである。
上記で指摘したように、CAAによるAPIPのジアステレオメリックな酸付加塩、とりわけカルボン酸A−1による(R)−APIPの酸付加塩、及びカルボン酸A−2による(S)−APIPの酸付加塩は、APIPのエナンチオマーに関し光学純度が高く、エナンチオマー過剰率(%ee)は一般に少なくとも70%ee、しばしば80%ee、好ましくは少なくとも90%ee、とりわけ少なくとも95%ee、さらに好ましくは少なくとも98%ee、又は少なくとも99%ee若しくは少なくとも99.5%eeである。CAAによるAPIPのこれらのジアステレオメリックな酸付加塩は、新規でありかつ本発明の一部である。
これらの塩においては、APIP対CAAのモル比は、化学量論比に近いが、少々のずれは可能である。通常、これらの塩におけるAPIP対CAAのモル比は、0.9:2から1.1:2、とりわけ0.95:2から1.05:2までである。
CAAによるAPIPのジアステレオメリックな酸付加塩は、純粋な形態で存在し得、即ち、APIP及びCAAとは異なる不純物は、酸付加塩の総量のせいぜい1重量%、とりわけせいぜい0.5重量%、又はせいぜい0.1重量%を占める。しかしながら、CAAによるAPIPのジアステレオメリックな酸付加塩は、溶媒和物、例えば水和物の形態で存在してもよく、これもまた本発明の一部である。とりわけ、CAAによるAPIPのジアステレオメリックな酸付加塩は、水との溶媒和物の形態で存在する。溶媒和物は、結晶物質の生成に関して有利であろう。それ故、本発明の好ましい実施形態は、水との溶媒和物の形態にある、CAAによるAPIPのジアステレオメリックな酸付加塩に関する。本発明のさらに好ましい実施形態によれば、カルボン酸A−1による(R)−APIPのジアステレオメリックな酸付加塩は、1molのAPIP当たり約1mol、例えば0.95から1.05mol、及びとりわけ0.98から1.02molの水を含んでなり、またカルボン酸A−2による(S)−APIPのジアステレオメリックな酸付加塩は、1molのAPIP当たり約2mol、例えば1.90から2.10mol、及びとりわけ1.95から2.05molの水を含んでなる。
それ故、本発明のとりわけ好ましい実施形態は、以下の酸付加塩に関する:
(R)−APIP(S)−2−(4−メチルフェニル)スルホニルアミノ−ヒドロプロピオネート(1:2)一水和物、
(R)−APIP(S)−2−(4−クロロフェニル)スルホニルアミノ−ヒドロプロピオネート(1:2)一水和物、
(R)−APIP(S)−2−(フェニル)スルホニルアミノ−ヒドロプロピオネート(1:2)一水和物、
(S)−APIP(S)−2−(3−フェニルウレイド)−ヒドロプロピオネート(1:2)二水和物、及び
(S)−APIP(S)−2−(3−(4−クロロフェニル)ウレイド)−ヒドロプロピオネート(1:2)二水和物。
当業者は、本明細書に記載された発明が、具体的に記載されたもの以外の変形及び修正の余地があることを理解するであろう。本発明はかかる変形及び修正の全てを包含する。本発明はまた、本明細書で参照又は示された工程、特徴、処方、及び化合物の全てを、個別に又は集合的に、また工程若しくは特徴の、任意の及び全ての、又は任意の2つ以上の組合せを包含する。
以下の実施例は本発明のさらなる例示に役立つものであり、本発明の範囲を制限することを意図したものではない。
略語:
Ts−L−Ala: (S)−2−(4−メチルフェニル)スルホニルアミノ−プロピオン酸
pCl−Ps−L−Ala: (S)−2−(4−クロロフェニル)スルホニルアミノ−プロピオン酸
Ps−L−Ala: (S)−2−フェニルスルホニルアミノ−プロピオン酸
PC−L−Ala: (S)−2−(3−フェニルウレイド)−プロピオン酸
Cl−PC−L−Ala: (S)−2−(3−(4−クロロフェニル)ウレイド)−プロピオン酸
rac−APIP: ラセミ3−アミノピペリジン
(R)−APIP: (R)−3−アミノピペリジン
(S)−APIP: (S)−3−アミノピペリジン
S/R: (S)−APIP/(R)−APIPのエナンチオマー比
TBME: tert−ブチルメチルエーテル
MeOH: メタノール
MEK: メチルエチルケトン(2−ブタノン)
r.t.: 室温(22℃)
conc.: 濃縮された
分析:
エナンチオマー比S/Rは、ヘキサン/イソプロパノール90:10を溶離液として用いたChiralpak AD 250/4.6/10カラム上でのモッシャーの酸塩化物による誘導体化の後、キラルHPLCにより測定した。検出波長は220nmであった。保持時間は:それぞれRt(R−APIP)=8min、及びR(S−APIP)=14minであった。
粉末X線回折パターンの測定は、室温(22℃)で、粉末回折計STOE STADI
Pで、Cu−Kα線(1.540598Å)を用いて、Debeye Scherrer幾何学において実施した。試料は、内径約0.3mmのキャピラリに収容された。
I APIPの調製
実施例1:ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジド(ニペコチン酸ヒドラジド)の調製
157gのラセミニペコチン酸エチル及び53gのヒドラジン水和物を、80℃で一晩撹拌した。溶液を室温に冷却し、280gのTBMEで徐々に希釈した。得られた懸濁液を1時間撹拌した。ラセミニペコチン酸ヒドラジド(123g)を、吸引下の濾過及び、50℃で白色の結晶性固体として乾燥することにより単離した。融点:111℃。
実施例2:ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジド(ニペコチン酸ヒドラジド)一塩酸塩の調製
157gのラセミニペコチン酸エチル(技術等級、1.0mol)及び55.1gのヒドラジン水和物(1.1mol)を、80℃で一晩撹拌した。溶液を100gの蒸留水で希釈し、室温に冷却した。次いで99gの濃塩酸(1.0mol)を徐々に添加し、懸濁液を一晩撹拌した。沈殿した結晶を濾過し、冷水(2x10ml)、イソプロパノール(2x10ml)、及びペンタン(50ml)で洗浄して、119gのラセミニペコチン酸ヒドラジド一塩酸塩を得た。母液からさらなる25.4gを、蒸発及び水からの再結晶化により得ることができた。それ故、合計144gの純粋なラセミニペコチン酸ヒドラジド一塩酸塩(80%)が単離された。
融点:127℃。
実施例3:R−ニペコチン酸エチル酒石酸塩からの(R)−APIP二塩酸塩の調製:
157gのキシレン(技術的混合物)中の153.6gのR−ニペコチン酸エチルL−酒石酸塩の充分に撹拌された懸濁液に、78gの水中の69.3gの技術的水酸化カリウムの溶液を、冷却下で滴下添加した。有機相を分離した;水相をそれぞれ50g及び40gのキシレンでさらに抽出した。合わせた有機相を10gの硫酸ナトリウム上で脱水した。乾燥剤を濾別し、39gのヒドラジン水和物を添加した。二相混合物を80℃で激しく撹拌しながら2日間加熱した。混合物を真空下で濃縮し、残渣を水中に溶解し、再び濃縮して、水中のR−ニペコチン酸ヒドラジドの40.6%溶液168gを得た。
この溶液に、50gの砕氷を添加した。77gの濃塩酸を用いて、pHを2.0の値に調整した。この溶液の約五分の一を取り分けておき、溶液の主要部分に1mlの濃塩酸を添加した。ジアゾ化は、<0℃で、まず18gの亜硝酸イソペンチル用いて行い、次に、取り分けておいた残りのニペコチン酸二塩酸塩溶液を冷却下で慎重に添加し、最後に53gの亜硝酸イソペンチルを−5から−2℃の間の温度で滴下添加した(約200gの砕氷を分割添加して混合物を冷温に維持した)。その後、溶液を0℃で1時間撹拌した。水相を分離し、20分間で100gの沸騰水上へ注入した。沸騰を10分間継続し、5gの濃塩酸を添加し、溶液を、APIP含量66.2g(二塩酸塩として、3工程での収率は76%)及び4.6gの副産物ニペコチン酸をもつ330gの最終体積へ濃縮した。溶液を厚い塊に濃縮し、これを74gの沸騰メタノール中に溶解した。冷却により、R−APIPx2HClは、厚い塊として結晶化された。APIPx2HClは、150gのアセトンを用いた希釈後に濾過により単離された。真空乾燥後、56.9gの乾燥R−APIPx2HClが得られた。
実施例4:亜硝酸へキシルによる(R)−APIP二塩酸塩の調製
水中のR−ニペコチン酸ヒドラジンの溶液(アッセイ41.9%、200mmol)68.3gに対し、70gの氷及び46.8gの濃塩酸(475mmol、1.95当量、ヒドラジンの総量を基準として)を添加した。透明溶液を−10℃に冷却し、33gの亜硝酸n−へキシルを冷却下で(氷/塩浴)30分間で添加した。水中のR−ニペコチン酸ヒドラジドの溶液17.1g(アッセイ41.9%、50mmol)を、冷却下で10分間で添加した。その後、さらなる16gの亜硝酸n−へキシルを、冷却下で20分間で添加した。溶液を−5℃で1時間撹拌し、水相を分離し、100gの沸騰水(>95℃)の上に一度に注入した。pH値はこの時点で1.9である(pH紙で測定)。5gの濃塩酸を添加し、溶液を厚い塊に濃縮し、これを50gの沸騰メタノール中に溶解した。イソプロパノール(100g)を添加し、溶液を約70gの塊に濃縮した。溶液を播種し、アセトン(100g)で希釈した。R−APIPx2HCl(36g、83%)を濾過及び真空乾燥により単離した。
実施例5:(R)−APIP二塩酸塩の調製
194kgの脱イオン水中の136kgの(R)−ニペコチン酸ヒドラジドの溶液に、274kgの氷及び219kgの濃塩酸を添加した。溶液を0℃に冷却し、50kgの亜硝酸イソペンチルを、−2から+2℃の温度で徐々に添加した。18.4kgの水中の14.6kgの(R)−ニペコチン酸ヒドラジドの溶液を添加した。溶液を再び0℃に冷却し、117kgの亜硝酸イソペンチルを、−2から+2℃の温度で徐々に添加した。最後に溶液を0℃で30分間撹拌した。この透明溶液を少量ずつ(約30l)、400kgの水に90℃で注入した。添加の完了後、溶液を90℃で30分間加熱した。溶液を室温に冷却し、相を分離した。
この方法で総量544kgの(R)−ニペコチン酸ヒドラジドから得られた、合わせた3つの水相に、200kgの濃塩酸を添加した。溶液を濃いシロップに濃縮し、熱メタノール(1300kg)中に溶解した。溶液を室温に冷却し、(R)−アミノピペリジン二塩酸塩水和物とともに播種し、900kgのアセトンで徐々に希釈した。得られた(R)−アミノピペリジン二塩酸塩一水和物の結晶を、遠心分離により単離した(湿重量601kg;含水率:9%(カールフィッシャー滴定))。
試料の粉末X線回折パターンを図1に示す。特徴的な反射を、以下の表1において2θ値として、又は面間隔Dとして、相対強度とともに提示する:
Figure 0006580218
(R)−アミノピペリジン二塩酸塩一水和物のNIRスペクトルを、図2に示す。(R)−アミノピペリジン二塩酸塩一水和物のIRスペクトルを、図3に示す。
この固体に、メタノール(400kg)及びイソプロパノール(1000kg)を添加した。溶媒を減圧下で、含水率<1.0%が測定されるまで蒸留した。懸濁液をまずメタノール(400kg)で、次に徐々にアセトン(800kg)で希釈した。得られた固体を遠心分離により単離し(湿重量563kg)、減圧下で高温で乾燥させて、522kgの、光学純度>99%eeの化学的に純粋な(R)−アミノピペリジン二塩酸塩を、その無水物の形態で得た。
サンプルの粉末X線回折パターンを図4に示す。特徴的な反射を、以下の表2において2θ値として、又は面間隔Dとして、相対強度とともに提示する:
Figure 0006580218
実施例6:亜硝酸イソペンチルによるrac−APIP二塩酸塩の調製
125mlの水中の、36g(250mmol)のラセミニペコチン酸ヒドラジドに、45ml(500mmol)の濃塩酸を冷却下(氷/塩)で添加した。25.1gの亜硝酸イソペンチル(300mmol)を、0℃において30分間で添加し、同じ温度でさらに30分間撹拌した。HPLCは、何ら出発原料が残されない、所望のアジドへの完全な変換を示す。混合物を500mlの熱(80℃)水上へ10分間で滴下注入した。沸騰をさらに60分間継続した。溶液を室温に冷却し、濃塩酸(40ml)を添加し、溶液を粘性の塊へ濃縮した。水(100ml)を添加し、溶液を再び濃縮した。イソプロピルアルコール(100ml)を添加し、溶液を再度濃縮した。残渣を熱メタノール(50ml)中に溶解した。冷却されたメタノール溶液に、アセトン(100g)を激しく撹拌しながら滴下添加した。
沈殿した3−アミノピペリジン二塩酸塩を単離し(40gの湿性生成物)、2回(各50ml)のイソプロパノールを用いて、減圧下の共沸蒸留により脱水した。熱メタノールを添加し、懸濁液を室温で一晩撹拌した。懸濁液を70gのアセトンで希釈し、固形物を濾過により単離した。33.2g(192mmol、収率77%に相当)の3−アミノピペリジン二塩酸塩を、白色粉末として得た。化学的純度(HPLC)は98.7%であり、含水率(カールフィッシャー滴定により測定)は0.046%である。
実施例7:共溶媒として酢酸を用いたrac−APIP二塩酸塩の調製
10gの水及び2.5gの酢酸中の、5.40gのラセミニペコチン酸ヒドラジド二塩酸塩(25mmol)に、3.5gの亜硝酸イソペンチル(30mmol)を−15℃で滴下添加した。透明な溶液を2時間にわたり0℃に温め、50mlの沸騰水へ一度に注入した。沸騰を10分間継続した。溶液を室温に冷却し、濃塩酸(2ml)を添加し、溶液を粘性の塊に濃縮し、これを10mlの熱メタノール中に溶解した。透明溶液を室温に冷却することにより、厚い結晶性塊が発生した。アセトン(20ml)を添加し、結晶を濾過により単離した。50℃で12時間の乾燥後、3.71gのラセミ3−アミノピペリジン二塩酸塩(21mmol、収率84%に相当)が含水率0.68%で得られた。
実施例8:共溶媒としてイソプロパノールを用いたrac−APIP二塩酸塩の調製
5gの水及び5gのイソプロパノール中の、5.40gのラセミニペコチン酸ヒドラジド二塩酸塩(25mmol)に、3.5gの亜硝酸イソペンチル(30mmol)を−15℃で滴下添加した。透明な粘性の溶液を1時間にわたり0℃に温め、50mlの沸騰水へ一度に注入した。沸騰を10分間継続した。溶液を室温に冷却し、濃塩酸(2ml)を添加し、溶液を粘性の塊に濃縮し、これを10mlの熱メタノール中に溶解した。透明溶液を室温に冷却することにより、厚い結晶性塊が発生した。アセトン(20ml)を添加し、結晶を濾過により単離した。50℃で12時間の乾燥後、3.42gのラセミ3−アミノピペリジン二塩酸塩(20mmol、収率80%に相当)が含水率0.64%で得られた。
実施例9:亜硝酸ナトリウムによるラセミAPIP二塩酸塩の調製
18gのラセミニペコチン酸ヒドラジド一塩酸塩(100mmol)を、36gの水及び21gの37%塩酸(210mmol)中に溶解し、−10℃に冷却した。溶液に7.6gのNaNO(110mmol)を、温度が≦−5℃に維持されるように少量ずつ添加した。撹拌を−5から0℃の温度で30分間継続した。次いで冷溶液を、20gの沸騰水中へ少量ずつ注入した。反応混合物を還流下でさらに30分間撹拌し、次いで室温に冷却して、水中のラセミAPIP二塩酸塩の溶液を得た。
II ジアステレオメリックな酸付加塩の分別結晶化によるラセミAPIPのエナンチオマー分割
実施例10:Ts−L−Alaによるrac−APIPの分割
実施例9で得られたrac−APIP二塩酸塩の溶液を、50gの蒸留水で希釈し、次いで100mlの2N水酸化ナトリウム水溶液(200mmol)を、氷浴上でpHが12に調整されるように滴下添加した。その後、44gのN−(パラ−トルエンスルホニル)−L−アラニン(180mmol)を添加し、懸濁液を90℃で30分間加熱して、透明な溶液を得た。この溶液を、次に60℃に冷却した。沈殿した結晶をこの温度で1時間熟成させ、次いで室温で一晩撹拌した。得られた塩を濾過により集め、10mlのイソプロパノール、2x10mlのペンタンで洗浄し、乾燥させて31.35gの(R)−APIP・2Ts−L−Ala・HOを白色固体として得た。収率:52%(用いたrac−APIPの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=9.57:90.43。
得られた酸付加塩を、210gの水からの再結晶化により精製した。
収率:18.62g、31%(用いたrac−APIPの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=0.2:99.8。
実施例11:Ts−L−Alaによるrac−APIPの分割
5.0gの水中の、400mg(10mmol)の水酸化ナトリウムの溶液を、5.0gの水中の、865mg(5mmol)のrac−APIP二塩酸塩の溶液へ滴下添加し、混合物を10分間撹拌した。2428mg(10mmol)のTs−L−Alaを添加し、混合物を透明溶液が得られるまで80℃で加熱した。溶液を徐々に室温に冷却し、懸濁液を3時間撹拌した。形成された固体を濾過により集め、母液、水、イソブタノール、TBME、及びペンタン(各1ml)で洗浄し、乾燥させて、(R)−APIP・2Ts−L−Ala・HOを得た。
収率:1435mg、95%(用いたエナンチオマーの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=2.06:97.94;S値(光学分割の効率)=0.91。
得られた酸付加塩を、13.0gの水からの再結晶化により精製した。
収率:1087mg、72%(用いたエナンチオマーの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=0.0:100.0。
融点:152℃。
比旋光度[α]D20=−3.8(c=0.5、MeOH)。
実施例12:Ts−L−Alaによるrac−APIPの分割
5.0gの水及び300mg(5mmol)の酢酸中の、400mg(10mmol)の水酸化ナトリウムを、5.0gの水中の、865mg(5mmol)のrac−APIP二塩酸塩の懸濁液へ連続して添加し、10分間撹拌した。1460mg(6mmol)のTs−L−Alaを添加し、混合物を80℃で透明溶液が得られるまで加熱した。溶液を徐々に室温に冷却し、懸濁液を3時間撹拌した。形成された固体を濾過により集め、母液、水、イソブタノール、TBME、及びペンタン(各1ml)で洗浄し、乾燥させて(R)−APIP・2Ts−L−Ala・HOを得た。
収率:1265mg、84%(用いたエナンチオマーの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=2.0:98.0。
得られた酸付加塩を、12.0gの水からの再結晶化により精製した。
収率:858mg、57%(用いたエナンチオマーの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=0.0:100.0。
実施例13:pCl−Ps−L−Alaによるrac−APIPの分割
1.0gの水中の、80mg(2mmol)の水酸化ナトリウムを、1.0gの水中の、173mg(1mmol)のrac−APIP二塩酸塩の溶液へ滴下添加し、混合物を10分間撹拌した。527mg(2mmol)のpCl−Ps−L−Alaを添加し、混合物を40℃で30分間加熱した。溶液を徐々に室温に冷却し、懸濁液を2時間撹拌した。形成された固体を濾過により集め、母液、水(2x0.5ml)、アセトン(1ml)、及びペンタン(2ml)で洗浄し、乾燥させて、(R)−APIP・2pCl−Ps−L−Ala・HOを得た。
収率:273mg、85%(用いたエナンチオマーの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=4.41:95.59;S値(光学分割の効率)=0.77。
純粋な酸付加塩が、10gの水中の、5mmol(R)−APIP・2HCl、10mmol NaOH、及び10mmol pCl−Ps−L−Alaから、独立して調製され、これは100%の光学純度を有しており、かつ以下の物理的データを示す:
エナンチオマー比 S/R=0.0:100.0。
融点:139℃
比旋光度[α]D20=−0.3(c=1.0、MeOH)。
実施例14:Ps−L−Alaによるrac−APIPの分割
5.0gの水中の、400mg(10mmol)の水酸化ナトリウムを、5.0gの水中の、865mg(5mmol)のrac−APIP二塩酸塩の溶液へ滴下添加し、混合物を10分間撹拌した。2293mg(10mmol)のPs−L−Alaを添加し、混合物を80℃で透明溶液が得られるまで加熱した。溶液を徐々に室温に冷却し、懸濁液を3時間撹拌した。形成された固体を濾過により集め、母液、水、イソブタノール、TBME、及びペンタン(各1ml)で洗浄し、乾燥させて、(R)−APIP・2Ps−L−Ala・HOを白色固体として得た。
収率:765mg、53%(用いたエナンチオマーの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=2.99:97.01。
実施例15:Ps−L−Alaによるrac−APIPの分割
5.0gの水及び300mg(5mmol)の酢酸中の、400mg(10mmol)の水酸化ナトリウムを、5.0gの水中の、865mg(5mmol)のrac−APIP二塩酸塩の溶液へ滴下添加し、混合物を10分間撹拌した。1146mg(5mmol)のPs−L−Alaを添加し、混合物を80℃で透明溶液が得られるまで加熱した。溶液を徐々に室温に冷却し、懸濁液を3時間撹拌した。形成された固体を濾過により集め、母液、水、イソブタノール、TBME、及びペンタン(各1ml)で洗浄し、乾燥させて、(R)−APIP・2Ps−L−Ala・HOを白色固体として得た。
収率:1069mg、74%(用いたエナンチオマーの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=3.71:96.29。
得られた酸付加塩を、6.0gの水からの再結晶化により精製した。
収率:605mg、42%(用いたエナンチオマーの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=0.03:99.97。
融点:180.6℃。
比旋光度[α]D20=−4.4(c=0.5、MeOH)。
実施例16:PC−L−Alaによるrac−APIPの分割
5.0gの水中の、400mg(10mmol)の水酸化ナトリウムを、5.0gの水中の、865mg(5mmol)のrac−APIP二塩酸塩の溶液へ滴下添加し、混合物を10分間撹拌した。2082mg(10mmol)のPC−L−Alaを添加し、混合物を80℃で透明溶液が得られるまで加熱した。溶液を徐々に室温に冷却し、懸濁液を3時間撹拌した。形成された固体を濾過により集め、母液、水、イソブタノール、TBME、及びペンタン(各1ml)で洗浄し、乾燥させて(S)−APIP・2PC−L−Ala・HOを白色固体として得た。
収率:1220mg、88%(用いたエナンチオマーの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=98.88:1.12。S値(光学分割の効率)=0.86。
得られた1000mgの酸付加塩を、6.0gの水から再結晶化により精製した。
収率:504mg。
エナンチオマー比 S/R=99.93:0.07。
融点:135.2℃。
比旋光度[α]D20=+3.4(c=0.5、MeOH)。
実施例17:Cl−PC−L−Alaによるrac−APIPの分割
1000mgのエタノール中の、100mg(1mmol)のrac−APIP及び246mg(1mmol)の(S)−2−(3−(4−クロロフェニル)ウレイド)−プロピオン酸の混合物を、70℃でホモジナイズし、室温に冷却し、1mlのイソプロパノールで希釈し、1時間撹拌した。固体を濾過し、母液、イソプロパノール、TBME、及びペンタン(各1ml)で洗浄し、乾燥させて(S)−APIP・2Cl−PC−L−Ala・HOを得た。
収率:209mg、67%(用いたエナンチオマーの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=96.74:3.26。
実施例18:Cl−PC−L−Alaによるrac−APIPの分割
7000mgのエタノール水溶液(50%(v/v))中の、350mg(3,5mmol)のrac−APIP及び1723mg(7mmolの(S)−2−(3−(4−クロロフェニル)ウレイド)−プロピオン酸の混合物を、70℃でホモジナイズし、40℃に冷却し、それにより沈殿を得た。懸濁液をこの温度で1時間、次いで室温でさらに1時間撹拌した。固体を濾過により集め、母液、イソプロパノール、TBME、及びペンタン(各1ml)で洗浄し、乾燥させて(S)−APIP・2L−p−Chlor−PC−Ala・HOを得た。
収率:1025mg、93%(用いたエナンチオマーの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=90.04:9.96。
得られた酸付加を、5.0gのエタノール水溶液(50%(v/v))中で、70℃で、次に室温で撹拌することにより精製した。
収率:858mg、78%(用いたエナンチオマーの量を基準として)。
エナンチオマー比 S/R=99.7:0.3。
融点:138℃。
比旋光度[α]D20=+3.2(c=0.5、MeOH)。
III キラル酸による(R)−APIPのジアステレオメリックな酸付加塩の(R)−APIP二塩酸塩一水和物((R)−APIP・2HCl・HO)への変換
実施例19:(R)−APIP・2Ts−L−Ala・HOの(R)−APIP・2HCl・HOへの変換
18.6g(31mmol)の(R)−APIP・2Ts−L−Ala・HO(実施例10より)を、80gの水中に懸濁し、氷水浴で冷却し、15.3g(155mmol)の濃塩酸で処理した。沈殿したTs−L−Alaを濾過により集め、3×10mlの水で洗浄し、乾燥させて13.93g(57mmol;収率92%)の回収されたTs−L−Alaを得た。母液を2×50mlのMEKで洗浄して、Ts−L−Alaの最終的な痕跡を除去し、セライトで濾過し、蒸発させた。得られた黄色の油を、20gのメタノール中に溶解し、20gのイソプロパノールで希釈し、蒸発乾燥させた。この方法をもう一度繰り返して、APIP(遊離塩基)含量53.6%及び含水量4.2%の、6.42gの(R)−APIP・2HCl・HOを得た(それ故この場合、水和物と無水APIPとの混合物が得られた)。
収率:31%(用いたラセミ体の量を基準として)。
塩形成及び精製からの合わせた母液を、蒸発乾燥させ、160gの水中に溶解した。27.6g(280mmol)の濃塩酸を、pH値が1に調整されるよう、氷冷下で滴下添加した。固体を濾過し、乾燥させて、24.45g(101mmol)の回収されたTs−L−Alaを得た。
回収されたTs−L−Alaの全収率:38.38g(158mmol)、88%(用いた全量を基準として)。

Claims (12)

  1. 3−アミノピペリジンをそのR−エナンチオマーに関してエナンチオマー濃縮するためのプロセスであって、前記プロセスが、3−アミノピペリジンのエナンチオマー混合物を含有する、溶液、懸濁液、又はエマルジョンからの、キラルカルボン酸Aによるその酸付加塩の形態にある3−アミノピペリジンを、分別結晶化することを含んでなり、
    ここで、キラルカルボン酸Aが、式A:
    Figure 0006580218

    の化合物であり、これにおいて、kは、0、1、2、3、4、又は5であり、Rは、CN、NO、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、又はハロゲンであるか、或いは2つの隣接した可変の置換基Rが一緒になって、任意選択で置換されたブタジエン−1,4−ジイル基を表していてもよく、かつXは、S(O)、C(O)、又はNHC(O)であり、ここで、キラルカルボン酸Aがそのエナンチオマーの一方に関してエナンチオマー過剰である、該プロセス。
  2. 前記3−アミノピペリジンのエナンチオマー混合物が3−アミノピペリジンのエナンチオマーのラセミ混合物である、請求項1に記載のプロセス。
  3. 式Aにおいて、kは、0、1、2、又は3であり、Rは、C −C −アルキル、C −C −アルコキシ、又はハロゲンであり、Xは、S(O) 、又はNHC(O)である、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
  4. カルボン酸Aが、(S)−2−フェニルスルホニルアミノ−プロピオン酸、(S)−2−(4−メチルフェニル)スルホニルアミノ−プロピオン酸、(S)−2−(4−クロロフェニル)スルホニルアミノ−プロピオン酸、(R)−2−(3−フェニルウレイド)−プロピオン酸、及び(R)−2−(3−(4−クロロフェニル)ウレイド)−プロピオン酸から選択される、請求項に記載のプロセス。
  5. 3−アミノピペリジンを、そのS−エナンチオマーに関してエナンチオマー濃縮するためのプロセスであって、前記プロセスが、3−アミノピペリジンのエナンチオマーの混合物を含有する溶液、懸濁液、又はエマルジョンから、キラルカルボン酸Aによるその酸付加塩の形態にある3−アミノピペリジンを、分別結晶化することを含んでなり、
    ここで、キラルカルボン酸Aが、請求項1に定義された通りの式Aの化合物であり、これにおいてキラルカルボン酸Aがそのエナンチオマーの一方に関してエナンチオマー過剰である、該プロセス。
  6. 前記3−アミノピペリジンのエナンチオマーの混合物が3−アミノピペリジンのエナンチオマーのラセミ混合物である、請求項5に記載のプロセス。
  7. カルボン酸Aが、(R)−2−フェニルスルホニルアミノ−プロピオン酸、(R)−2−(4−メチルフェニル)スルホニルアミノ−プロピオン酸、(R)−2−(4−クロロフェニル)スルホニルアミノ−プロピオン酸、(S)−2−(3−フェニルウレイド)−プロピオン酸、及び(S)−2−(3−(4−クロロフェニル)ウレイド)−プロピオン酸から選択される、請求項5又は6に記載のプロセス。
  8. 請求項1、2、3、4又はにおいて定義された通りの、キラルカルボン酸Aによる3−アミノピペリジンの酸付加塩、及びその水和物。
  9. 3−アミノピペリジンの一方のエナンチオマーに関するエナンチオマー過剰率が少なくとも70%である、請求項に記載の酸付加塩。
  10. 結晶(R)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩−一水和物。
  11. 結晶(S)−3−アミノピペリジン−二塩酸塩−一水和物。
  12. 22℃及びCu−Kα線での粉末X線回折図において、2θ値として見積もられた以下の反射:11.0±0.2°、16.4±0.2°、17.0±0.2°、20.9±0.2°、24.5±0.2°、25.3±0.2°、25.9±0.2°、26.7±0.2°、27.3±0.2°、28.4±0.2°、29.3±0.2°、30.0±0.2°、30.7±0.2°、31.0±0.2°、31.8±0.2°、
    の少なくとも5個を示す、請求項10又は請求項11に記載の結晶3−アミノピペリジン−二塩酸塩−一水和物。
JP2018130513A 2013-02-20 2018-07-10 エナンチオマー濃縮された3−アミノピペリジンの調製のためのプロセス Active JP6580218B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP13156030.2 2013-02-20
EP13156030 2013-02-20

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015557468A Division JP6370316B2 (ja) 2013-02-20 2014-02-19 エナンチオマー濃縮された3−アミノピペリジンの調製のためのプロセス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018168194A JP2018168194A (ja) 2018-11-01
JP6580218B2 true JP6580218B2 (ja) 2019-09-25

Family

ID=47748496

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015557468A Active JP6370316B2 (ja) 2013-02-20 2014-02-19 エナンチオマー濃縮された3−アミノピペリジンの調製のためのプロセス
JP2018130513A Active JP6580218B2 (ja) 2013-02-20 2018-07-10 エナンチオマー濃縮された3−アミノピペリジンの調製のためのプロセス

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015557468A Active JP6370316B2 (ja) 2013-02-20 2014-02-19 エナンチオマー濃縮された3−アミノピペリジンの調製のためのプロセス

Country Status (14)

Country Link
US (3) US10464898B2 (ja)
EP (3) EP2958894B8 (ja)
JP (2) JP6370316B2 (ja)
KR (1) KR102236806B1 (ja)
CN (1) CN105102430A (ja)
DK (1) DK2958894T3 (ja)
ES (1) ES2777200T3 (ja)
HR (1) HRP20200437T1 (ja)
HU (1) HUE048567T2 (ja)
IL (1) IL240214B (ja)
PL (1) PL2958894T3 (ja)
PT (1) PT2958894T (ja)
SI (1) SI2958894T1 (ja)
WO (1) WO2014128139A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2958894B8 (en) 2013-02-20 2020-02-26 Reuter Chemische Apparatenbau e.K. Process for the preparation of enantiomerically enriched 3-aminopiperidine
CN108693272B (zh) * 2018-06-04 2021-03-12 吉林百纯化学科技有限公司 一种hplc法分析及制备n-(对甲苯磺酰基)-l-丙氨酸及其对映异构体的方法
CN109668987A (zh) * 2019-02-27 2019-04-23 浙江华贝药业有限责任公司 一种3-氨基哌啶二盐酸盐对映异构体测定分析方法
CN110078657A (zh) * 2019-04-10 2019-08-02 湖州复华春生物医药科技有限公司 一种手性3-氨基哌啶及其衍生物的合成方法

Family Cites Families (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE1024974B (de) 1956-10-17 1958-02-27 Dr Alfred Dornow Verfahren zur Herstellung von 2-Oxy-7-aza-benzimidazolen
US5334766A (en) 1991-04-29 1994-08-02 Hoffmann-La Roche Inc. Process for the resolution of racemic diphosphine oxides
US5220016A (en) 1991-07-29 1993-06-15 Board Of Regents, The University Of Texas System Synthesis of navelbine analogs
JP3716376B2 (ja) * 1995-10-26 2005-11-16 東レ・ファインケミカル株式会社 光学分割剤およびそれを用いた光学活性3−アミノピロリジン誘導体の製造法
JP4157602B2 (ja) 1996-03-10 2008-10-01 ロイター・ヒェーミシェ・アパラーテバウ・コマンディート・ゲゼルシャフト 分離方法
BR0010652A (pt) 1999-03-22 2002-07-16 Ortho Mcneil Pharm Inc Processo de preparação de ácido [s-(r*,s*)]-beta-[[[1-[1-oxo-3-(4-piperidinil)propil]-3-piperi dinil]carbonil]amino]-3-piridinapropanóico e derivados
EP1227083A4 (en) * 1999-10-08 2002-11-20 Meiji Seika Kaisha 3-AMINOPIPERIDE DERIVATIVES AS INTEGRIN- $ g (a) v $ g (b) 3-ANTAGONISTS
WO2001068604A2 (en) 2000-03-14 2001-09-20 Sepracor, Inc. 3-substituted piperidines comprising urea functionality, and methods of use thereof
EP1146029A1 (en) 2000-04-13 2001-10-17 Nissan Chemical Industries Ltd. Method for optical resolution of piperidine carboxylic acid derivative
WO2002068391A1 (en) 2000-11-20 2002-09-06 Eli Lilly And Company Process for resolving racemic mixtures of piperidine derivatives
GB0126859D0 (en) 2001-11-08 2002-01-02 Kee Klamp Ltd Counter-balance weight for a modular safety rail
WO2007075630A1 (en) 2005-12-22 2007-07-05 Dow Global Technologies Inc. Method for producing 3-aminopiperidine diastereomer
ITMI20060179A1 (it) 2006-02-02 2007-08-03 Abiogen Pharma Spa Procedimento per la risoluzione di miscele racemiche e complesso diastereoisomerico di un agente risolvente e di unantiomero di interesse
EP1999108A1 (en) * 2006-03-28 2008-12-10 Takeda Pharmaceutical Company Limited Preparation of (r)-3-aminopiperidine dihydrochloride
US8338142B2 (en) 2007-02-19 2012-12-25 Kaneka Corporation Method for producing optically active 3-aminopiperidine or salt thereof
WO2009107571A1 (ja) 2008-02-27 2009-09-03 住友化学株式会社 アルキルピペリジン-3-イルカーバメートの光学分割方法およびその中間体
CN101565397B (zh) * 2009-04-07 2011-08-10 浙江医药股份有限公司新昌制药厂 N-Boc-3-氨基哌啶及其光学异构体的合成方法
JP2011012032A (ja) 2009-07-03 2011-01-20 Yamakawa Yakuhin Kogyo Kk 光学活性な3−アミノピペリジンの製造方法および製造の中間体
JP5585822B2 (ja) 2010-05-11 2014-09-10 東レ・ファインケミカル株式会社 光学活性ニペコチン酸誘導体の製造方法
JP2013533866A (ja) * 2010-06-17 2013-08-29 ドクター レディズ ラボラトリーズ リミテッド 3−アミノピペリジンジヒドロクロリドの単一の鏡像異性体を調製するための方法
EP2958894B8 (en) 2013-02-20 2020-02-26 Reuter Chemische Apparatenbau e.K. Process for the preparation of enantiomerically enriched 3-aminopiperidine

Also Published As

Publication number Publication date
ES2777200T8 (es) 2020-09-29
US10464898B2 (en) 2019-11-05
CN105102430A (zh) 2015-11-25
US20160251311A1 (en) 2016-09-01
KR102236806B1 (ko) 2021-04-06
HUE048567T2 (hu) 2020-07-28
PL2958894T3 (pl) 2020-06-29
EP2958894B8 (en) 2020-02-26
WO2014128139A1 (en) 2014-08-28
EP3653607B1 (en) 2023-10-18
IL240214A0 (en) 2015-09-24
US20200087257A1 (en) 2020-03-19
JP2018168194A (ja) 2018-11-01
PT2958894T (pt) 2020-03-10
EP4289819A3 (en) 2024-01-10
EP3653607A2 (en) 2020-05-20
EP2958894B1 (en) 2019-12-18
IL240214B (en) 2018-02-28
HRP20200437T1 (hr) 2020-09-04
JP6370316B2 (ja) 2018-08-08
SI2958894T1 (sl) 2020-07-31
JP2016508514A (ja) 2016-03-22
EP3653607A3 (en) 2020-07-29
US20230008387A1 (en) 2023-01-12
ES2777200T3 (es) 2020-08-04
US11472770B2 (en) 2022-10-18
EP3653607C0 (en) 2023-10-18
EP4289819A2 (en) 2023-12-13
KR20150123267A (ko) 2015-11-03
US11897843B2 (en) 2024-02-13
DK2958894T3 (da) 2020-03-23
EP2958894A1 (en) 2015-12-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6580218B2 (ja) エナンチオマー濃縮された3−アミノピペリジンの調製のためのプロセス
JP5780657B2 (ja) 光学活性ジアミン誘導体の塩の製造方法
US9932337B2 (en) Method for the production of Praziquantel and precursors thereof
CN108601355B (zh) 制备激酶抑制剂及其中间体的方法
US20150353577A1 (en) Method for producing (1s,4s,5s)-4-bromo-6-oxabicyclo[3.2.1]octan-7-one
WO2010045900A1 (en) A method for the preparation of dabigatran and its intermediates
JP5534460B2 (ja) 光学活性なα−アミノアセタール類の製造方法
JP4294121B2 (ja) ピリドンカルボン酸誘導体の製造方法およびその中間体
ES2811271T3 (es) Método para la producción de praziquantel y sus precursores
JP2009256298A (ja) ピペリジン−3−イルカーバメート化合物の光学分割方法およびその中間体
US20080234495A1 (en) Process for the Preparation of Almotriptan
JPWO2009142194A1 (ja) 光学活性アミノアルコール誘導体の製造方法
KR101686087B1 (ko) 광학 활성을 갖는 인돌린 유도체 또는 이의 염의 신규 제조 방법
JP2013544787A (ja) アザインダゾール誘導体の調製方法
KR100228328B1 (ko) (2r)-메틸-4,4,4-트리플루오로부틸아민 또는 이것의 산부가염을 제조하는 방법
US20100324294A1 (en) Process for the preparation of 2,3,4,9-tetrahydro-1h-beta-carbolin-3-carboxylic acid esters
JP2010530397A (ja) アミド形成の改善方法
JPWO2008004416A1 (ja) 光学活性3−アミノ−2,5−ジオキソピロリジン−3−カルボキシレート類およびその製造方法ならびに該化合物の使用
JP5176452B2 (ja) 光学活性なテトラヒドロピラニルグリシン化合物の製造方法
KR100566562B1 (ko) 수마트립탄의 제조방법
WO2010090341A1 (ja) 光学活性なトランス-4-アミノピペリジン-3-オール化合物の製造方法
JPH0435463B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180710

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190531

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190730

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190827

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6580218

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250