JP6579895B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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また、特許文献2では、ショルダ域において、ラグ溝の底にサイプを設けている。溝底に配置したサイプは、長期間の使用によっても消え難いので、サイプによる雪上性能を長期間に渡って継続することが可能となる。
(1)「複合ブロック」は、「周方向溝」および「横方向溝」によって周囲から分断されている。「横方向溝」は、「周方向溝」と交わる方向に延在し、その深さが「周方向溝」の深さのほぼ0.85〜1.0倍のものを意味する。
(2)「複合ブロック」は、その表面に1本または複数本の「サイプ付き浅溝」を備えている。当該「サイプ付き浅溝」によって、「複合ブロック」は、その表面が複数のサブ領域に区分けされている。
ここで「浅溝」とは、その深さが「周方向溝」の深さのほぼ0.4〜0.6倍のものを意味する。「サイプ」とは、タイヤの分野で一般的に使用される用語であって、「周方向溝」、「横方向溝」、「浅溝」よりも細いスリット状の切込みを言い、一般的には、幅が0.8〜1.5mm程度、深さが2mm以下程度である。
すなわち、「周方向溝」と「横方向溝」で分断された単純な「ブロック」だけでは、タイヤのドライ性能が低下する。そこで、一部の「横方向溝」に代えて「浅溝」を入れることでドライ性能を上げる。ただし、「横方向溝」を「浅溝」に代えた分だけスノー性能が落ちる。この「スノー性能落ち」を緩和するため、「浅溝」の底に「サイプ」を追加している。これによって、スノー性能とドライ性能を高い次元で両立することができる。
なお、図1中のトレッドパターンは、後述する実施例1のパターンである(図2)。
タイヤの全周に、周方向に延びるように構成された溝を言う。隣接する2つの周方向溝の間には、「リブ山」あるいは「リブ山を横方向溝で分断して構成される複数のブロック」が存在する。
なお、図2において、周方向溝A4は、断続的に存在する複数の傾斜した短い溝から構成されている。そのような構成であっても、全体として1本の溝として認識でき、かつ周方向に延在しているものは、本発明における「周方向溝」に該当する。
一般的には、周方向溝は、トレッド面に存在するすべての溝の中で1番深いものであるが、本発明において、必ずしもその必要はない。
タイヤの幅方向に延びていて、周方向溝と「ほぼ同等の深さ」あるいは、やや浅い溝を言う。
本発明では、「周方向溝」および「横方向溝」で囲まれる島状の部分を「ブロック」と呼ぶ。その中でも、「サイプ付き浅溝」が表面に形成されたブロックを「複合ブロック」と呼ぶ(詳しくは後述する)。「周方向溝」および「横方向溝」で周囲から分断された「ブロック」は独立性が高く、隣接する1の「ブロック」と他の「ブロック」はトレッド面上で独立した挙動を示す。
D1の値をこのように設定することで、十分なスノー性能(すなわち、雪道における加速、制動、旋回等の運動性能)が得られる。D1がこれよりも浅い場合には、雪柱せん断力が低下してスノー性能が低下する。
「横方向溝」よりも浅い溝を言う。
「浅溝」は「ブロック」を分断する程の深さを有しておらず、したがって、浅溝を形成しても、その両側の部位の一体性は、殆ど損なわれない。
D2がこれよりも浅いと、雪柱せん断力が低下してスノー性能が低下する。反対に、これよりも深いと、ブロックの一体性(=剛性)が低下してドライ性能(すなわち、ドライ路面における加速、制動、旋回等の運動性能)が低下する。
溝底に「サイプ」が形成された「浅溝」を言う。
「サイプ付き浅溝」も、「浅溝」と同様に、「ブロック」を分断するものではなく、その両側の部位の一体性は、殆ど損なわれない。「サイプ付き浅溝」全体の深さをD3とすると、次の関係式が成立することが好ましい。 D3=D0×(0.6〜1.0)
なお、「サイプ」とは、タイヤの分野において一般的に使用される用語であって、「周方向溝」、「横方向溝」、「浅溝」よりも細いスリット状の切込みを言う。「サイプ」の寸法は、一般的には、幅(W3)0.8〜1.5mmで、深さ2mm以下程度である。
図2は、実施例1に係るタイヤのトレッドパターンを示している。図示したトレッドパターンは、タイヤ周方向に沿って一部分のみを切り出したものであり、実際には、図中上下にさらに連続するパターンとなる。図2に示したように、パターンの中央部が実際に地面と接触する接地部(トレッド部)であり、その左右両側がショルダ部となる。
IN-SH : (インナーショルダ、最も内側)
IN-ME : (インナーメディエイト)
CE : (センター、中央)
OUT-ME : (アウターメディエイト)
OUT-SH : (アウターショルダ、最も外側)
実施例1では、周方向溝「A3」と「A4」に挟まれる領域(OUT-ME)において、横方向溝「B」で分断された複数のブロック10が周方向に並んでおり、これらのブロック10の全てが以下に説明する「複合ブロック」として構成している点に特徴がある。
図2中に、複合ブロック10を拡大して示している。本発明において「複合ブロック」とは、次のものを意味する。
(1)「複合ブロック」は、「周方向溝」および「横方向溝」によって周囲から分断されている。「横方向溝」は、「周方向溝」と交わる方向に延在し、その深さが「周方向溝」の深さのほぼ0.85〜1.0倍のものを意味する。
(2)「複合ブロック」は、その表面に1本または複数本の「サイプ付き浅溝」を備えている。当該「サイプ付き浅溝」によって、「複合ブロック」は、その表面が複数のサブ領域に区分けされている。
ここで「浅溝」とは、その深さが「周方向溝」の深さのほぼ0.4〜0.6倍のものを意味する。「サイプ」とは、タイヤの分野で一般的に使用される用語であって、「周方向溝」、「横方向溝」、「浅溝」よりも細いスリット状の切込みを言い、一般的には、幅が0.8〜1.5mm程度、深さが2mm以下程度である。
実施例1では、周方向溝「A3」と「A4」に挟まれる領域に存在するブロックは、全てが複合ブロック10である。
(ア)
「ブロック」は周方向溝および横方向溝で周囲から分断された島状の部位を言うが、仮に、単純なブロックだけが複数存在している場合を考えると、各ブロックの独立性が高かく、したがって、トレッド面の剛性は低下する。その結果、ドライ性能(すなわち、ドライ路面における加速、制動、旋回等の運動性能)も低下する。
(イ)
上のようなドライ性能の低下を緩和するために、一部の「横方向溝」を「浅溝」に代えることで、トレッド面の剛性を高めることができる。しかし、一部の「横方向溝」が「浅溝」に代わった分だけ、雪道を走行する場合の雪柱せん断力が低下し、したがってスノー性能(すなわち、雪道における加速、制動、旋回等の運動性能)が低下する。
(ウ)
そこで、本発明では、「ブロック」に「浅溝」を設け、さらに、「浅溝」の溝底に「サイプ」を設けている。すなわち、「ブロック」に「サイプ付き浅溝」を設けている(複合ブロック)。「浅溝」の溝底に「サイプ」が存在することで、サイプが存在しない浅溝の場合に比べて、当該浅溝が大きく開くことが可能となり、雪柱せん断力を高めることができる。すなわち、スノー性能を高めることができる。
「IN-SH」列および「OUT-SH」列では、各ブロックは、「横方向溝」で単純に分断されていて、表面に波状サイプが形成されている。また、「IN-ME」列および「CE」列では、ブロック分けされていないリブ山が連続的に形成されている。ただし、そのリブ山には、一定間隔で「サイプ付き浅溝」が形成されるとともに、各「サイプ付き浅溝」の間には、波状サイプを設けている。
すなわち、一般的に、IN−MEでは、車両にタイヤを装着する際のキャンバー角に起因して、接地長がout側よりも長くなる傾向にある。接地長が長くなるIN−MEでは、剛性の高さを最優先するのが良い。そのため、タイヤ全周に渡って連続的なリブを設ける。あるいは、そのようなリブに対して、「浅溝」または「サイプ付き浅溝」を設けることで(=深い「横方向溝」は設けないことで)、剛性の高さを確保する。その結果、剛性が若干低いがその分スノー性能を高めることのできる「複合ブロック」は、OUT−MEに設けることとなる。
すなわち、ウエット路面でのハイドロプレーニングを防止するには、トレッド面からタイヤ側方(外側)に効率良く水を排出することが必要である。そのため、IN-SHおよびOUT-SHでは、「複合ブロック」を配置するよりも、多くの「横方向溝」を設けて、排水効率を高めることが好ましい。
図3は、実施例2に係るタイヤのトレッドパターンを示している。実施例2は、実施例1に対して、「IN-ME」列および「CE」列に属するブロック構成のみが異なるので、当該相違点のみを説明する。
周方向溝「A2」と「A3」に挟まれた「CE」列では、横方向溝「B」で分断された複数のブロック20が周方向に並んでおり、これらのブロック20の全てが上記「複合ブロック」とされている。
同様に、周方向溝「A1」と「A2」に挟まれた「IN-ME」列でも、横方向溝「B」で分断された複数のブロック30が周方向に並んでおり、これらのブロック30の全てが上記「複合ブロック」とされている。
図4は、実施例3に係るタイヤのトレッドパターンを示している。実施例3は、実施例2に対して、各列(OUT-ME、CE、IN-ME)に属する全ての「複合ブロック」が、2本の「サイプ付き浅溝」を備える「複合ブロック」とされている。
実施例3では、実施例1、2とは異なり、各「複合ブロック」が2本の「サイプ付き浅溝」を備えているが故に、ブロック表面は、3つのサブ領域に区分けされている。
(1)
実施例1〜3では、周方向溝が4本存在しているが、本発明においては、周方向溝は少なくとも3本存在すればよい。周方向溝が3本の場合、IN-SHとOUT-SHの間に2列のブロックまたはリブが存在するが、その内の少なくとも1列において、当該列に属するブロックの全てを上記「複合ブロック」とする。5本以上の周方向溝が存在する場合も、同様に考えることができる。
(2)
一般的に、車両用タイヤは、車両が前進するときのタイヤ回転方向が指定されたものと、指定されていないものがある。基本的に、本発明はいずれの場合にも適用できる。しかし、例えば実施例1では、OUT-ME列に属するブロックが全て「複合ブロック10」で構成されていることに意味があり、そのような場合は、タイヤ回転方向が指定されていることが前提となる。
4本の周方向溝の全てに関して、隣接する周方向溝間に存在するリブ山が、「横方向溝」によって分断されることなく、周方向に連続的に存在する。ただし、各リブ山には、複数の「サイプ付き浅溝」が間隔を置いて形成されていて、「サイプ付き浅溝」間には、波状サイプが形成されている。
4本の周方向溝の全てに関して、隣接する周方向溝間に存在するリブ山が、「横方向溝」によって分断されている。各ブロックには、波状サイプが形成されている。
「複合ブロック」はどこにも存在せず、すべてのブロックが単純なブロックであるが故に、各ブロックの独立性が高い。
4本の周方向溝の全てに関して、隣接する周方向溝間に存在するリブ山が、「横方向溝」によって分断されることなく、ただ「浅溝」が間隔を置いて形成され、「浅溝」間に波状サイプが設けられている。
「複合ブロック」は、どこにも存在しない。また、上述の通り、「浅溝」によっては、その両側の部位の一体性は殆ど損なわれない。
4本の周方向溝の全てに関して、隣接する周方向溝間に「複合ブロック」が存在しているが、各列において、周方向溝および横方向溝で周囲から分断された単純な「ブロック」と「複合ブロック」とが繰り返して存在する。
換言すると、比較例4では、ある1つの列に注目した場合に、「複合ブロック」以外に、「横方向溝」だけで挟まれた単純なブロックが混ざっている。
本発明に係る実施例1〜3のタイヤと、その範疇外である比較例1〜4のタイヤを車両に装着して、以下に説明する比較試験を行った。各タイヤのタイヤサイズおよび使用車両は、下の通りである。
タイヤサイズ:225/50 R 17
使用車両:アウディA4 (2000cc、FFセダン)
<スノー性試験>
車両に各タイヤを装着して、スノー路面を、加速・制動・旋回・レーンチェンジをする走行を実施した。そして、ドライバーによる官能試験により、操縦安定性能を評価した。
比較例1の結果を100とする指数で評価し、指数が大きいほど、スノー操縦安定性能が優れていることを示す。
<ドライ性試験>
車両に各タイヤを装着して、ドライ路面を、加速・制動・旋回・レーンチェンジをする走行を実施した。そして、ドライバーによる官能試験により、操縦安定性能を評価した。
比較例1の結果を100とする指数で評価し、指数が大きいほど、ドライ操縦安定性能が優れていることを示す。
B 横方向溝
10、20、30、40、50、60 複合ブロック
Claims (3)
- トレッド面にタイヤ周方向に延びる少なくとも3本の周方向溝を備え、そのうちの隣接する少なくとも1組(2本)の周方向溝の間において、当該周方向溝と横方向溝とで周囲から分断された複数のブロックが周方向に並んでおり、
当該複数のブロックの全てが、溝底にサイプを備えた1本または複数本のサイプ付き浅溝によって表面が区分けされてなる複合ブロックであり、
上記横方向溝の深さは、周方向溝の深さの0.85〜1.0倍であり、
上記浅溝の深さは、周方向溝の深さの0.4〜0.6倍であり、
上記サイプの深さは、2mm以下である、空気入りタイヤ。 - 車両が前進するときのタイヤ回転方向が指定された請求項1記載の空気入りタイヤであって、
上記1組の周方向溝は、当該タイヤを車両に装着した状態で、最も外側に位置する2本の周方向溝である、空気入りタイヤ。 - 上記横方向溝の幅寸法は、2.5〜8mmであり、
上記浅溝の幅寸法は、横方向溝の幅寸法以下であり、
上記サイプの幅寸法は、0.8〜1.5mmである、請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
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