以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の説明では、自動車1についての前、後、左、右、上及び下を、それぞれ単に前、後、左、右、上及び下という。
図1は、実施形態に係る下部車体構造を適用した自動車1の後部を概略的に示す。この自動車1の後部は、前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム10と、該リヤサイドフレーム10の前部10a(後述するキックアップ部10cの後側端よりも前側の部分。図3参照。)における車幅方向外側の側壁部(以下、フレーム外側側壁部11という)に接合され、前後方向に延びる左右一対のサイドシル3と、リヤサイドフレーム10の車幅方向内側の側壁部(以下、フレーム内側側壁部12という)に接合され、自動車1の床面を構成するフロアパネル4とを備えている。尚、図1では、リヤサイドフレーム10の前部10aは、フロアパネル4の後述するサイドパネル5と重複して見えておらず、リヤサイドフレーム10の後部10b(後述するキックアップ部10cの後側端よりも後側の部分)のみが見えている。
リヤサイドフレーム10の前部10aは、図3に示すように、前側から後側に向かって真っ直ぐに伸びた後、後側に向かって上側に傾斜したキックアップ部10cを形成している。サイドシル3については、図3に示すように、キックアップ部10cに対応する前後位置において、上壁部が後側に向かって上側に傾斜していて、これにより、サイドシル3は、キックアップ部10に対応する前後位置において、後側に向かうほど上下方向の幅が大きくなっている。
左右のリヤサイドフレーム10の前側端部同士及び左右のサイドシル3同士は、車幅方向に延びる第1クロスメンバ6によって連結されている。第1クロスメンバ6の車幅方向の中央には、エンジンの排気管(図示省略)が通るトンネル部6aが形成されている。
各リヤサイドフレーム10のキックアップ部10cの後側端部同士は、第2クロスメンバ7によって車幅方向に連結されている。
フロアパネル4は、自動車1の車室の床面を構成するフロントフロアパネル4aと、自動車1の荷室の床面を構成するリアフロアパネル4bと、フロントフロアパネル4aの車幅方向外側の両側端部にそれぞれ接合されたサイドパネル5とを含んでいる。フロントフロアパネル4aは、フロアパネル4における、第1クロスメンバ6と第2クロスメンバ7との間の前後範囲の部分であり、リアフロアパネル4bは、フロアパネル4における、第2クロスメンバ7よりも後側の部分である。フロントフロアパネル4aは、リヤサイドフレーム10の前部10aに接合されている。一方で、リアフロントパネル4bは、リヤサイドフレーム10の後部10bに接合されている。
フロントフロアパネル4aの車幅方向の中央は、具体的には、車幅方向における、第1クロスメンバ6のトンネル部6aに対応する位置には、図1及び図2に示すように、上側に向かって突出するように加工された凸部4cとなっている。フロントフロアパネル4aの凸部4cの下側は、第1クロスメンバ6のトンネル部6aと連通しており、上記エンジンの上記排気管が通るトンネル部を構成している。
リアフロアパネル4bには、上側から見て略円形をなしかつ下側に向かって凹んだ凹部が形成されている。この凹部は、スペアタイヤが保管されるスペアタイヤパン4dを構成している。
サイドパネル5は、図6及び図7に示すように、リヤサイドフレーム10の前部10aにおいて、該リヤサイドフレーム10よりも上側に位置し、サイドシル3の上端部とフロントフロアパネル4aの車幅方向外側の端部とを、左側同士及び右側同士でそれぞれ車幅方向に連結している。本実施形態では、図6及び図7に示すように、フロントフロアパネル4aの車幅方向外側の端部は、サイドシル3の上端部よりも下側に位置するため、サイドパネル5は、車幅方向外側に向かって上側に傾斜して延びている。
本実施形態では、図6及び図7に示すように、リヤサイドフレーム10の前部10a、サイドシル3、及びサイドパネル5によって、左側及び右側のそれぞれに、前後方向に延びかつ四角形状の閉断面をなす支持フレーム100が形成されている。詳しくは、図6及び図7に示すように、リヤサイドフレーム10の前部10aは、断面が、上側に解放するU字状をなしており、フレーム外側側壁部11と、該フレーム外側側壁部11に対して車幅方向に離間して対向するフレーム内側側壁部12と、フレーム外側側壁部11の下端部とフレーム内側側壁部12の下端部とを連結するフレーム下壁部13とを有している。
フレーム内側側壁部12の上端部からは車幅方向内側に向かって延設部12aが延びており、該延設部12aがフロントフロアパネル4aに溶接により接合されている。フレーム外側側壁部11は、サイドシル3の上下方向の中間に溶接により接合されている。図6及び図7に示すように、サイドパネル5とフロントフロアパネル4aとは、フロントフロアパネル4aと上記延設部12aとの接合部分で接合されており、これにより、フロントフロアパネル4aを介して、サイドパネル5とリヤサイドフレーム10とが接合されている。
以上のように、リヤサイドフレーム10の前部10a、サイドシル3、及びサイドパネル5が接合されることで、図6及び図7に示すような、断面四角形状の支持フレーム100が構成される。そして、支持フレーム100は、図6及び図7に示すように、車幅方向内側の側壁部(以下、支持フレーム内側側壁部101という)が、リヤサイドフレーム10の内側側壁部12で構成され、下壁部(以下、支持フレーム下壁部102という)が、リヤサイドフレーム10の下壁部13で構成され、車幅方向外側の側壁部(以下、支持フレーム外側側壁部103という)が、リヤサイドフレーム10のフレーム外側側壁部11及びサイドシル3の車幅方向内側の側壁部(以下、サイドシル側壁部3aという)の一部で構成され、上壁部(以下、支持フレーム上壁部104という)が、サイドパネル5で構成される。尚、詳しくは後述するが、支持フレーム100は、後述する後輪サスペンション20を支持するフレーム部材である。
各支持フレーム100内には、図2及び図3に示すように、支持フレーム100内を前後に仕切る2つの節部材8が前後に離間して設けられるとともに、相対的に後側の節部材8よりも後側の位置にガセット60が設けられている。ガセット60の詳細な構成については後述する。
リヤサイドフレーム10のキックアップ部10cには、図3に示すように、後輪サスペンション20が支持されている。
後輪サスペンション20は、所謂トーションビーム式サスペンションであって、前後方向に延びかつ左右の後輪(図示省略)をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアーム21と、車幅方向に延びかつ上記両トレーリングアーム21を連結するトーションビーム22とを有する。各トレーリングアーム21の先端には、サスペンションブッシュ30がそれぞれ設けられており(図3において左側のサスペンションブッシュ23のみ示している)、各トレーリングアーム21は、該サスペンションブッシュ30を介して、支持フレーム100に揺動可能に支持されている。
各トレーリングアーム21の前部21aは、図3に示すように、上記後輪を避けるように、車幅方向内側に向けて凸となる湾曲形状をしている。具体的には、トレーリングアーム21の前部21aは、その前後方向中間の部分が車幅方向内側に位置し、そこから当該前部21aの前側端及び当該前部21aの後側端に近づくほど車幅方向外側に位置するように湾曲している。トレーリングアーム21の後部21bは、図2に示すように、トレーリングアーム21の前部21aの後側端から後側に向かって車幅方向外側に傾斜した形状をなしている。
トーションビーム22は、長手方向両側の端部が、それぞれ、中空パイプの元々の形状である断面円形となっており、長手方向中間の部分の異形断面形状が、開口が下側に位置するU字状をなしている。また、上記異形断面形状は、長手方向両側の端部から長手方向中央に向かうに連れてU字開口が大きくなるような形状をなしている。
トーションビーム22の長手方向両側の端部は、図3に示すように、トレーリングアーム21の前部21aにおける、前後方向の中央よりもやや後側の部分にそれぞれ溶接されている。
図3及び図4に示すように、トーションビーム22よりも後側でかつ該トーションビーム22の長手方向両側の端部と左右一対のトレーリングアーム21との間の各コーナー部には、スプリングシート24がそれぞれ設けられている(図3において、左側のスプリングシート24のみを示している)。このスプリングシート24には、懸架用のコイルスプリング(図示省略)がそれぞれ取り付けられる。
スプリングシート24は、図4に示すように、略矩形状をなしている。スプリングシート24の前側端部は、トーションビーム22の後側の面に接合され、スプリングシート24の車幅方向外側の端部は、トレーリングアーム21の下壁部及び車幅方向内側の側壁部にそれぞれ接合されている。
各トレーリングアーム21の後部21bには、図1〜図4に示すように、上記後輪を支持するためのアクスルユニット25が、アクスルブラケット26を介して、車幅方向外側に向かって突出するようにそれぞれ設けられている。
アクスルブラケット26は、図4に示すように、金属板を平面視略U字状になるように折り曲げたものであり、U字開口が車幅方向内側を向くように、トレーリングアーム21の後部21bにおける車幅方向外側の部分に接合されている。
アクスルユニット25は、アクスルブラケット26の車幅方向外側の面部に複数(本実施形態では4つ)のボルトによって取り付けられる。アクスルユニット25は、ホイールハブ25aと、該ホイールハブ25aの一部を収容するハウジング25bとを有している。ホイールハブ25aには、該ホイールハブ25aの径方向外側に向かって広がるハブフランジが形成されており、上記後輪は、ホイールハブ25aのハブフランジにハブボルト51によって締結される。
トレーリングアーム21におけるアクスルユニット25よりも後側の部分には、リアダンパ(図示省略)を支持するためのダンパブラケット27が接合されている。
上記サスペンションブッシュ30は、図5〜図7に示すように、トレーリングアーム21の前側端部に固定される外筒31と、該外筒31の内側に該外筒31と同軸に配置される内筒32と、外筒31と内筒32との間に配置される弾性部材33とを有している。
図3に示すように、トレーリングアーム21の、車幅方向内側の側壁部の前側端部及び車幅方向外側の側壁部の前側端部は、外筒31の形状に対応するように、前側に向かって開放されたU字状に切り欠かれた切欠部(図3では、車幅方向内側の側壁部の切欠部についてはサスペンションブッシュ30と重なって見えていない)となっており、この切欠部21cに外筒31が嵌め込まれて溶接により接合されることで、サスペンションブッシュ30がトレーリングアーム21の前側端部に固定される。サスペンションブッシュ30は、図4に示すように、筒軸(外筒31及び内筒32の筒軸)が車幅方向に対して前後方向に若干傾斜するように配設されている。詳しくは、サスペンションブッシュ30は、筒軸が車幅方向内側から車幅方向外側に向かって若干後側に傾斜するように配設されている。
サスペンションブッシュ30は、図4及び図6に示すように、支部ブラケット40を介して、支持フレーム100の支持フレーム下壁部102よりも下側の位置、詳しくは、支持フレーム下壁部102における、トレーリングアーム21の前側端部が位置する前後位置の部分よりも下側の位置で、該支持フレーム100に支持されている。
以下、サスペンションブッシュ30の支持構造について具体的に説明する。尚、本実施形態に係る下部車体構造は左右対称に構成されているため、以下の説明では、左側のサスペンションブッシュ30の支持構造についてのみ説明し、サスペンションブッシュ30の支持構造については詳細な説明を省略する。
支持ブラケット40は、図4、図6及び図7に示すように、上下方向から見てL字状をなす第1パネル41と、前後方向から見てL字状をなす第2パネル42とで構成されている。
第1パネル41は、図4に示すように、車幅方向に延びかつ車幅方向外側の端部が、サイドシル3における支持フレーム下壁部102よりも下側の部分に溶接により接合された第1パネル前側壁部41aと、該第1の前側壁部41aの車幅方向内側の端部から後側に向かって延びる第1パネル内側側壁部41bとを有している。
第1パネル前側壁部41aの上端部からは、図4に示すように、前側に向かって上側溶接代41cが延びており、該上側溶接代41cは、支持フレーム下壁部102に溶接により接合されている。また、第1パネル内側側壁部41bは、図6及び図7に示すように、上端部が支持フレーム下壁部102よりも上側まで延びていて、支持フレーム内側側壁部101(つまり、リヤサイドフレーム10のフレーム内側側壁部12)と車幅方向に重複した部分が、該支持フレーム内側側壁部101に溶接により接合されている。
第1パネル41の第1パネル内側側壁部41bにおける、支持フレーム下壁部102よりも下側の部分には、図7に示すように、サスペンションブッシュ30を支持するためのボルト52が締結されるウェルドナット43が接合されている。第1パネル内側側壁部41bにおける,ウェルドナット43のボルト孔43aに対応する部分には、該ボルト孔43aに連通する孔部41dが形成されている。
第2パネル42は、図6及び図7に示すように、支持フレーム下壁部102に沿って車幅方向に延びる第2パネル上側壁部42aと、該第2パネル上側壁部42aの車幅方向内側の端部から下側に向かって延びる第2パネル内側側壁部42bとを有している。第2パネル上側壁部42aは、支持フレーム下壁部102の下面に溶接により接合されており、第2パネル内側側壁部42bは、第1パネル内側側壁部42aの車幅方向外側の面に溶接により接合されている。第2パネル内側側壁部42bにおける、ウェルドナット43のボルト孔43aに対応する部分には、図7に示すように、該ボルト孔43及び第1パネル内側側壁部41bの孔部41dに連通する孔部42cが形成されている。
また、サイドシル側壁部3aにおける、上記ウェルドナット43と同じ高さ位置には、図7に示すように、サスペンションブッシュ30を支持するためのボルト52が挿通される、孔部3bが形成されている。
そして、支持ブラケット40とサイドシル側壁部3aとによって、支持フレーム下壁部102よりも下側に、断面が下側に開口する略U字状をなしかつ内部にサスペンションブッシュ30が収容されるサスペンション支持部が構成される。
図6に示すように、サスペンションブッシュ30よりも下側の位置において、第2パネル42の第2パネル内側側壁部42bとサイドシル3とは、口開き防止部材44によって連結されている。口開き防止部材44は、細長い板状部材であり、上記サスペンション支持部のU字開口が車幅方向に広がらないように(口開きしないように)するための部材である。図6に示すように、口開き防止部材44の車幅方向外側の端部は、サイドシル3の下壁部にボルト53によって固定されており、口開き防止部材44の車幅方向内側の端部は、下側に向かって延びるように折り曲げられて、該下側に向かって延びる部分が第2パネル内側側壁部42bにボルト54によって固定されている。
実際に、サスペンションブッシュ30を支持フレーム100に支持させるときには、先ず、サスペンションブッシュ30を、第1パネル内側側壁部41b及び第2パネル内側側壁部41bと、サイドシル側壁部3bとの間に位置させる。次に、サスペンションブッシュ30の内筒32の筒孔32a、サイドシル3の孔部3b、ウェルドナット43のボルト孔43aとが連通するように、サスペンションブッシュ30の位置を合わせる。次いで、ボルト52を、車幅方向外側から、サイドシル3の孔部3b及びサスペンションブッシュ30の内筒32の筒孔32aを介してウェルドナット43に向かって挿通させて、該ボルト52の先端をウェルドナット43に締結させる.以上のようにして、サスペンションブッシュ30が、支持フレーム下壁部102よりも下側の位置で、支持ブラケット40及びボルト52を介して支持フレーム100に支持される。これにより、トレーリングアーム21の前側端部が、支持フレーム下壁部102よりも下側の位置で該支持フレーム100に支持される。
本実施形態において、左側のサスペンションブッシュ30の支持構造は、上述のように構成されている。右側のサスペンションブッシュ30の支持構造は、上述した、左側のサスペンションブッシュ30の支持構造と左右対称になるように構成されている。
ここで、トレーリングアーム21に支持される上記後輪の上下の動きを滑らかにして、走行安定性を向上させるためには、トレーリングアーム21の前側端部は出来る限り高い位置に位置することが望ましいため、トレーリングアーム21の前側端部、すなわちサスペンションブッシュ30を出来る限り高い位置に位置させたいという要求がある。このためには、サスペンションブッシュ30が支持される位置において、支持フレーム100を出来る限り高い位置に位置させる必要がある。
一方で、自動車1の車室内空間を出来る限り広くするために、フロントフロアパネル4aの位置を出来る限り下側に下げたいという要求もある。本実施形態では、フロントフロアパネル4aは、支持フレーム100の支持フレーム内側側壁部101に接合されているため、フロントフロアパネル4aの位置を下側に下げるためには、支持フレーム100を出来る限り低い位置に位置させる必要がある。
さらに、後輪サスペンション20のトレーリングアーム21は、主に、前側端部でサスペンションブッシュ30を介して支持フレーム100に支持されている状態であるため、支持フレーム100におけるトレーリングアーム21の前側端部の位置に対応する部分、すなわち、サスペンションブッシュ30を支持する部分は、トレーリングアーム21を介して上記後輪からの荷重が入力される。このため、支持フレーム100におけるサスペンションブッシュ30を支持する部分は、上記後輪から荷重に対する剛性を確保する必要があり、支持フレーム100における当該部分は、出来る限り断面積を大きくする必要がある。
これらの要求を全て満たすために、本実施形態では、図6及び図7に示すように、支持フレーム100の車幅方向両側の側壁部101,103のうち支持フレーム内側側壁部101における、トレーリングアーム21の前側端部、すなわちサスペンションブッシュ30の位置に対応する部分の上下方向の幅を小さくしている。このようにすれば、走行安定性を向上させかつ広い車室内空間を形成しつつ、支持フレーム100における、サスペンションブッシュ30の位置に対応する部分の断面積を確保することができる。
一方で、上記後輪からの荷重に対する剛性を確保するためには、断面積を大きくするだけでなく、断面の形状を変形し難くする必要がある。本実施形態のように、支持フレーム内側側壁部101の上下方向の幅を小さくすると、該支持フレーム内側側壁部101については、変形量自体が比較的小さくなるが、相対的に上下方向の幅が大きい、支持フレーム外側側壁部103は、上記荷重によって変形しやすいままである。特に、本実施形態では、支持フレーム外側側壁部103を構成する、サイドシル側壁部3aが、ボルト52を介してサスペンションブッシュ30を支持しており、上記後輪からの荷重が直接的に入力されるため、該後輪からの荷重により変形しやすい。
支持フレーム100内における、トレーリングアーム21の前側端部に対応する位置に節部材を設けることも考えられるが、走行安定性を向上させかつ広い車室内空間を形成するために、図6及び図7に示すように、支持フレーム100は、支持フレーム内側側壁部101と支持フレーム外側側壁部103との上下方向の幅が大きく異なっており、断面が略台形状となっているため、節部材を設けること自体が困難になっている。
そこで、本実施形態では、左右の支持フレーム100内における、トレーリングアーム21の前側端部、すなわち、サスペンションブッシュ30の位置に対応する位置に、ガセット60及び補強パネル70をそれぞれ設けている。
以下、ガセット60及び補強パネル70の構成について詳細に説明する。尚、以下の説明では、サスペンションブッシュ30の支持構造の説明のときと同様に、左側のガセット60及び補強パネル70の構成についてのみ説明し、右側のガセット60及び補強パネル70の構成については詳細な説明を省略する。
ガセット60は、支持フレーム外側側壁部103及び支持フレーム下壁部102に接合されたガセット前側壁部61と、ガセット前側壁部61に対して後側に離間して設けられかつ支持フレーム外側側壁部103及び支持フレーム下壁部102に接合されたガセット後側壁部62と、ガセット前側壁部61の車幅方向内側の端部及び後側壁部62の車幅方向内側の端部を連結するガセット側壁部63とを有している。
ガセット60のガセット前側壁部61及びガセット後側壁部62は、図3及び図5に示すように、支持フレーム下壁部102に対して垂直になるように延びている。また、ガセット60は、該ガセット60から下側に延ばした延長線上に、サスペンションブッシュ30が位置するように配設されている。より詳しくは、図5に示すように、サスペンションブッシュ30の外筒31を通りかつ該外筒31の軸心(内筒32の軸心と一致)に垂直な断面において、ガセット前側壁部61とガセット後側側壁部62との離間する方向をガセット60の幅方向として、該ガセット60の幅方向の中央から、該幅方向及び車幅方向の両方に垂直な方向に延ばした直線Aが、サスペンションブッシュ30の内筒32の筒孔32aを横切るように配設されている。
上記ガセット前側及び後側壁部61,62は、図2に示すように、前後方向から見て略直角三角形状をなしている。ガセット前側及び後側壁部61,62の略直角三角形状の三辺のうち直角に交わる二辺が、それぞれ下端及び車幅方向外側の端になるように配設されている。より具体的には、図2に示すように、ガセット前側及び後壁部61,62の略直角三角形状の対辺の部分が、ガセット前側及び後壁部61,62の下端に位置し、ガセット前側及び後壁部61,62の略直角三角形状の隣辺の部分が、ガセット前側及び後壁部61,62の車幅方向外側の端に位置している。図2に示すように、ガセット前側壁部61の下端部からは、前側に向かって第1前側溶接代61aが延びており、ガセット後側壁部62の下端部からは、後側に向かって第1後側溶接代62aが延びている。第1前側及び後側溶接代61a,62aは、それぞれ支持フレーム下壁部102に溶接により接合されている。また、図3に示すように、ガセット前側壁部61の車幅方向外側の端部からは、前側に向かって第2前側溶接代61bが延びており、ガセット後側壁部62の車幅方向外側の端部からは、後側に向かって第2後側溶接代62bが延びている。第2前側及び後側溶接代61b,62bは、それぞれ支持フレーム外側側壁部103(つまり、サイドシル側壁部3a)に溶接により接合されている。これにより、ガセット前側及び後側壁部61,62の略直角三角形状の三辺のうち直角に交わる二辺が、支持フレーム外側側壁部103及び支持フレーム下壁部102にそれぞれ接合される。
また、ガセット前側壁部61の第1前側溶接代61a及びガセット後側壁部62の第1後側溶接代62aは、図5に示すように、支持フレーム下壁部102と支持ブラケット40の第2パネル42との接合部分と同じ位置で、支持フレーム下壁部102に接合されている。これにより、支持ブラケット40の第2パネル42(厳密には、第2パネル上側壁部42a)と、支持フレーム下壁部102と、ガセット前側壁部61の第1前側溶接代61aとが3枚接合されるとともに、支持ブラケット40の第2パネル42(厳密には、第2パネル上側壁部42a)と、支持フレーム下壁部102と、ガセット後側壁部62の第1後側溶接代62aとが3枚接合される。
図5に示すように、ガセット前側壁部61とガセット後側壁部62との間の離間距離L1は、サスペンションブッシュ30の外筒31の外径Dよりも大きい長さに設定されている。
ガセット側壁部63は、ガセット前側及び後側壁部61,62の略直角三角形状の斜辺同士を連結している。図2及び図5に示すように、ガセット前側壁部61とガセット側壁部63との間の角部、及びガセット後側壁部62とガセット側壁部63との間の角部には、それぞれ、上側及び車幅方向内側に向かって突出する突出部64が、ガセット前側及び後側壁部61,62の斜辺の部分全体に亘って形成されている。
ガセット側壁部63の下端部からは、図6及び図7に示すように、下側溶接代63aが支持フレーム下壁部102に沿って車幅方向内側に向かって延びており、該下側溶接代63aは支持フレーム下壁部102に溶接により接合されている。また、ガセット側壁部63の上端部からは、図6及び図7に示すように、上側溶接代63bが上側に向かって延びており、該上側溶接代63bは支持フレーム外側側壁部103に溶接により接合されている。
また、ガセット側壁部63の下側溶接代63aは、図6及び図7に示すように、支持フレーム下壁部102と支持ブラケット40の第2パネル42との接合部分と同じ位置で、支持フレーム下壁部102に接合されている。これにより、支持ブラケット40の第2パネル42(厳密には、第2パネル上側壁部42a)と、支持フレーム下壁部102と、ガセット側壁部63の下側溶接代63aとが3枚接合される。
図2に示すように、ガセット側壁部63の下側溶接代63aは、ガセット前側壁部61の第1前側溶接代61a及びガセット後側壁部62の第1後側溶接代62aと互いに連結されている。換言すると、第1前側溶接代61aと第1後側溶接代62aとは、下側側壁部63aによって前後に連結されている。
ガセット側壁部63の2つの突出部64の間の部分における、上下方向の略中央の部分には、孔部63cが設けられている。この孔部63cは、リヤサイドフレーム10のフレーム外側側壁部11とサイドシル3のサイドシル側壁部3aとを溶接する際に、溶接装置を挿し込むための孔部である。
また、図7に示すように、車幅方向における、ガセット側壁部63の車幅方向内側の端(つまり、下側溶接代63aの車幅方向内側の端)からガセット側壁部63の上側溶接代63bまでの車幅方向の距離L2は、サスペンションブッシュ30の外筒31の筒軸方向の長さよりも長い長さに設定されている。より具体的には、ガセット側壁部63の車幅方向内側の端からガセット側壁部63の上側溶接代63bまでの車幅方向の距離L2は、上側から見たときに、外筒31の車幅方向内側の端部が、ガセット側壁部63の下端部よりも車幅方向内側にはみ出ないような長さに設定されている。
補強パネル70は、図6及び図7に示すように、断面L字状をなしており、支持フレーム内側側壁部101(つまり、リヤサイドフレーム10のフレーム内側側壁部12)に沿って延びる補強パネル内側側壁部71と、支持フレーム下壁部102に沿って延びる補強パネル下壁部72とを有している。補強パネル70は、図2及び図3に示すように、リヤサイドフレーム10のキックアップ部10cの略全体に亘って設けられている。つまり、支持フレーム100内におけるサスペンションブッシュ30の位置に対応する位置には、補強パネル70の一部が設けられている。
補強パネル内側側壁部71は、図6及び図7に示すように、支持フレーム内側側壁部101と支持ブラケット40の第1パネル41との接合部分と同じ位置で、支持フレーム内側側壁部101に接合されている。これにより、支持ブラケット40の第1パネル41(厳密には、第1パネル内側側壁部41b)と、支持フレーム内側側壁部101と、補強パネル内側側壁部71とが3枚接合される。一方で、補強パネル下壁部72は、図6及び図7に示すように、支持フレーム下壁部102と支持ブラケット40の第2パネル42との接合部分と同じ位置で、支持フレーム下壁部102に接合されている。これにより、支持ブラケット40の第2パネル42(厳密には、第2パネル上側壁部42a)と、支持フレーム下壁部102と、補強パネル下壁部72とが3枚接合される。
本実施形態において、左側のガセット60及び補強パネル70は、上述のように構成されている。右側のガセット60及び補強パネル70は、上述した、左側のガセット60及び補強パネル70と左右対称になるように構成されている。
本実施形態では、上述のように、ガセット60が設けられることによって、支持フレーム外側側壁部103及び支持フレーム下壁部102、並びにガセット60によって閉断面が構成される。これにより、上記後輪からの荷重が、トレーリングアーム21を介して支持フレーム100に伝達されたとしても、該ガセット60によって、支持フレーム100、特に支持フレーム外側壁部103が変形するのを抑制することができる。この結果、支持フレーム内側側壁部101の上下方向の幅を小さくすることで、走行安定を向上させかつ広い車室内空間を形成するとともに、ガセット60を設けることによって、上記後輪からの荷重に対する支持フレーム100の剛性を確保することができる。
また、本実施形態では、サスペンションブッシュ30の外筒31を通りかつ該外筒31の軸心(内筒32の軸心と一致)に垂直な断面において、ガセット前側壁部61とガセット後側側壁部62との離間する方向をガセット60の幅方向として、該ガセット60の幅方向の中央から、該幅方向及び車幅方向の両方に垂直な方向に延ばした直線Aが、サスペンションブッシュ30の内筒32の筒孔32aを横切るように配設されているため、サスペンションブッシュ30を介して支持フレームに入力される上記後輪からの荷重を、ガセット60によって適切に受けることができる。これにより、上記後輪からの荷重に対する支持フレーム100の剛性を確保することができる。尚、上記断面において、上記直線Aが内筒32の軸心を通っていれば、上記後輪からの荷重を、ガセット60によってより適切に受けることができる。
さらに、本実施形態では、ガセット前側壁部61とガセット後側壁部62との間の離間距離L1は、サスペンションブッシュ30の外筒31の外径Dよりも大きい長さに設定されているため、サスペンションブッシュ30を介して支持フレームに入力される上記後輪からの荷重を、ガセット60によってより適切に受けることができる。
また、本実施形態では、ガセット前側壁部61とガセット側壁部63との間の角部及びガセット後側壁部62とガセット側壁部63との間の角部には、それぞれ、車幅方向内側に向かって突出する突出部64が、ガセット前側及び後側壁部61,62の斜辺の部分全体に亘って形成されているため、これら2つの突出部64がビードのような役割を果たし、ガセット60自体が変形し難くなる。これにより、ガセット60自体の剛性が向上するため、上記後輪からの荷重に対する支持フレーム100の剛性を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、ガセット前側壁部61、ガセット後側壁部62、及びガセット側壁部63の全てが、支持フレーム外側側壁部103に接合されるとともに、ガセット前側壁部61、ガセット後側壁部62、及びガセット側壁部63の全てが、支持フレーム下壁部102に接合されているため、ガセット60自体の変形がより効果的に抑えられる。支持フレーム外側側壁部103の変形が効果的に抑制され、支持フレーム100の変形が効果的に抑制される。この結果、上記後輪からの荷重に対する支持フレーム100の剛性を一層向上させることができる。
また、本実施形態では、支持フレーム100内におけるサスペンションブッシュ30の位置に対応する位置に、支持フレーム内側側壁部101及び支持フレーム下壁部102に沿って延びる補強パネル70が設けられてため、支持フレーム内側側壁部101についても、補強パネル70によって、上記後輪からの荷重がかかった際の変形が抑えられるため、支持フレーム100の変形がより効果的に抑制される。この結果、上記後輪からの荷重に対する支持フレーム100の剛性をより向上させることができる。
さらに、本実施形態では、支持ブラケット40の第2パネル上側壁部42aと、支持フレーム下壁部102と、ガセット60における支持フレーム下壁部102との接合部分(第1前側溶接代61a、第1後側溶接代62a、及び下側溶接代63a)とが、3枚接合されているため、支持フレーム100の変形が一層効果的に抑制され、これにより、上記後輪からの荷重に対する支持フレーム100の剛性を一層向上させることができる。
さらにまた、本実施形態では、支持ブラケット40の第2パネル上側壁部42aと、支持フレーム下壁部102と、補強パネル70の補強パネル下壁部72とが、3枚接合されているため、3枚接合となる部分が2箇所あることによって、支持フレーム100の変形がより一層効果的に抑制される。この結果、上記後輪からの荷重に対する支持フレーム100の剛性をより一層向上させることができる。
したがって、本実施形態では、前後方向に延びかつ四角形状の閉断面をなす左右一対の支持フレーム100と、前後方向に延びかつ左右の後輪をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアーム21と有する後輪サスペンション20とを備え、後輪サスペンション20は、左側及び右側のそれぞれにおいて、各トレーリングアーム21の前側端部が、支持フレーム下壁部102よりも下側の位置で支持フレーム100に支持されており、各支持フレーム100内におけるトレーリングアーム21の前側端部に対応する前後位置にそれぞれ設けられるガセット60であって、支持フレーム外側側壁部102及び支持フレーム下壁部102にそれぞれ接合されたガセット前側壁部61と、該ガセット前側壁部61に対して後側に離間して設けられかつ支持フレーム外側側壁部103及び支持フレーム下壁部102にそれぞれ接合されたガセット後側壁部62と、ガセット前側壁部61の車幅方向内側の端部とガセット後側壁部62の車幅方向内側の端部とを連結させるガセット側壁部63とを有するガセット60を更に備えるため、走行安定性を向上させかつ広い車室内空間を形成するとともに、上記後輪からの荷重に対する支持フレーム100の剛性を確保することができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、ガセット60のガセット前側壁部61及びガセット後側壁部62は、前後方向から見て略直角三角形状をなしていたが、これに限らず、ガセット前側壁部61及びガセット後側壁部62が矩形状をなしていてもよい。この場合は、ガセット側壁部63は、支持フレーム外側側壁部103に接合されていなくてもよい。
また、上述した実施形態では、突出部64は、ガセット前側壁部61とガセット側壁部63との間の角部、及びガセット後側壁部62とガセット側壁部63との間の角部との両方にそれぞれ設けられていたが、これに限らず、上記両角部のうちの一方にのみ突出部64が設けられていてもよい。
さらに、上述した実施形態では、後輪サスペンション20は、トーションビーム式サスペンションであったが、これに限らず、後輪サスペンション20は、各トレーリングアーム21の前側端部が、支持フレーム下壁部102よりも下側の位置で、該支持フレーム100に支持されることで車体に支持されるものであれば、トーションビーム式サスペンションでなくてもよい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。