JP6578993B2 - フッ素化炭化水素の製造方法 - Google Patents

フッ素化炭化水素の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体装置の製造分野において有用な、プラズマエッチング、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)等のプラズマ反応用ガス、含フッ素医薬中間体、及びハイドロフルオロカーボン系溶剤として有用な、含フッ素化炭化水素の製造方法に関する。
高純度化されたフッ素化炭化水素は、特に、プラズマ反応を用いた半導体装置の製造分野において、プラズマエッチング用ガス及びプラズマCVD用ガス等に好適である。
近年、半導体製造技術の微細化がますます進行し、最先端プロセスでは線幅が20nm、さらには10nm世代が採用されてきている。微細化に伴って、その加工技術の難度も向上しており、使用する材料、装置、加工方法等、多方面からのアプローチにより技術開発が進められている。
このような背景から、本出願人も、最先端のドライエッチングプロセスにも対応できるドライエッチング用ガスを開発し、2−フルオロブタン等のフッ素原子数の少ない飽和フッ素化炭化水素が、窒化シリコン膜のエッチングに用いられているモノフルオロメタンを凌ぐ性能を有することを見出している(特許文献1)。
従来、2−フルオロブタンの製造方法としていくつかの方法が知られている。例えば、特許文献2には、2−ブタノールに、フッ素化剤として、N,N’−ジエチル−3−オキソ−メチルトリフルオロプロピルアミンを接触させて、2−フルオロブタンを収率46%で得たことが記載されている。特許文献3には、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン/n−ヘキサン混合溶液に、六フッ化硫黄を接触させることにより、フッ化sec−ブチルの生成を確認したことが記載されている。特許文献4には、2−フルオロブタジエンを触媒存在下に水素化することにより、2−フルオロブタンを得たことが記載されている。また、非特許文献1には、三フッ化ホウ素リン酸錯体やフッ化亜鉛、四塩化スズ等の触媒存在下に、アダマンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル等の環状構造を有するエーテル化合物に、フッ素化剤として、フッ化アセチルを作用させて、モノフッ素化炭化水素を得る方法が開示されている。
WO2009−123038号パンフレット(US20110068086A1) 特開昭59−46251号公報 特開2009−292749号公報 米国特許第2550953号公報
Bulletin of the Chemical Society of Japan,Vol.41,1724(1968)
上述のように、従来から2−フルオロブタンの製造方法がいくつか知られている。
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、使用するフッ素化剤自体が非常に高価であり、特許文献3に記載の方法は、発火の危険性のあるアルキルリチウムを使用するものである。
また、本発明者が、非特許文献1の記載に従って、無溶媒下で同文献記載の反応を試みたところ、副生成物である、メチルアルキルエーテルのメチル基部分がフッ素化剤由来のアセチル基で置換された、酢酸アルキルエステルが多く副生することが確認された。
さらに、非特許文献1に記載のように、四塩化スズのような液体状の金属塩素化物触媒を用いて無溶媒で反応を行うと、生成した2−フルオロブタンの一部が塩素化された2−クロロブタンが副生したり、反応に用いる原料や反応条件等によっては、反応液が褐色から黒色に着色し、反応器内が汚染されるといった不具合を起こすことがあることがわかった。
また、スズ化合物は毒性を有することが指摘されており、反応触媒としてスズ化合物を使用する場合には、有害な廃棄物が発生するといった問題があるため、可能な限りその使用は避けるべきとの実情がある。
このように、従来の2−フルオロブタンの製造方法は、工業的生産性の観点から、適用が困難であった。
本発明者は、特願2014−24501号において、sec−ブチルメチルエーテル、あるいは、sec−ブチルエチルエーテル等の2級アルコールのアルキルエーテル化合物を出発原料にして、炭化水素系溶媒中、アセチルフルオリドをフッ素化剤に、三フッ化ホウ素のエーテル錯体を触媒に用いると、副生成物である、酢酸アルキルエステルの生成を抑制しながら、収率良く2−フルオロブタンが得られることを報告している。
しかしながら、その後の検討で、生成した2−フルオロブタンは、ルイス酸化合物(三フッ化ホウ素)に接触すると、一部がフッ化水素とブテン類に分解してしまうことが判明した。また、三フッ化ホウ素のエーテル錯体を用いた場合、反応系中で錯体を構成しているエーテル化合物が遊離し、このものが目的物であるフッ素化合物に対して不純物となり、その種類によっては精製時に負荷がかかる場合があることも分かった。さらに、反応に用いる原料や反応条件等によっては、反応液が褐色から黒色に着色し、反応器内が汚れるといった不具合を起こすこともあった。
本発明はかかる実情の下でなされたものであり、2−フルオロブタン等のフッ素化炭化水素を工業的に有利に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、触媒として、式(4):MX(Mは金属原子を表し、Xは塩素原子又は臭素原子を表す。)で表される金属ハロゲン化物を用いると、(a)反応により生成する目的物と、触媒との過度な接触による、目的物の分解を抑制できること、(b)用いる触媒由来のハロゲン交換による副生成物の生成を抑制できること、(c)反応液が褐色から黒色に着色し、反応器内が汚れるといった不具合を起こすことがないこと、を見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記(i)〜(vi)の、式(3)で示されるフッ素化炭化水素の製造方法が提供される。
(i)ハロゲン化炭化水素系溶媒中、式(4):MX(Mは金属原子を表し、Xは塩素原子又は臭素原子を表す。)で表される金属ハロゲン化物の存在下に、式(1)
Figure 0006578993
(式中、R、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Rはメチル基又はエチル基を表す。また、RとRは結合して環構造を形成してもよい。)
で示されるエーテル化合物と、式(2)
Figure 0006578993
(式中、Rはメチル基又はエチル基を表す。)
で示される酸フルオリドとを接触させることを特徴とする、式(3)
Figure 0006578993
(式中、R〜Rは前記と同じ意味を表す。)
で示されるフッ素化炭化水素の製造方法。
(ii)前記式(4):MXで表される金属ハロゲン化物が、式(4)中、Mが、周期表第8族、3B族、及び、5B族からなる群から選択される金属原子のハロゲン化物であることを特徴とする、(i)に記載の製造方法。
(iii)前記式(4):MXで表される金属ハロゲン化物が、式(4)中、Mが、アルミニウム、インジウム、鉄、アンチモン、及び、ビスマスからなる群から選択される金属原子のハロゲン化物であることを特徴とする、(i)又は(ii)に記載の製造方法。
(iv)前記式(1)で示されるエーテル化合物が、sec−ブチルメチルエーテル、sec−ブチルエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、又は2−ペンチルメチルエーテルである、(i)〜(iii)のいずれかに記載の製造方法。
(v)前記式(2)で示される酸フルオリドが、フッ化アセチルである、(i)〜(iv)のいずれかに記載の製造方法。
(vi)前記式(3)で示されるフッ素化炭化水素が、2−フルオロブタンである、(i)〜(v)のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、式(4):MX(Mは金属原子を表し、Xは塩素原子又は臭素原子を示す。)で表される金属ハロゲン化物を触媒として用いることにより、次のような利点が得られ、結果として、高純度のフッ素化炭化水素を工業的に有利に得ることができる。
(a)反応により生成する目的物と触媒との過度な接触による、目的物の分解を抑制でき、
(b)用いる触媒由来のハロゲン交換による副生成物の生成を抑制でき、
(c)反応液が褐色から黒色に着色し、反応器内が汚れるといった不具合を起こすことがない。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ハロゲン化炭化水素系溶媒中、式(4):MXで表される金属ハロゲン化物(以下、「金属ハロゲン化物(4)」ということがある。)の存在下に、前記式(1)で示されるエーテル化合物(以下、「エーテル化合物(1)」ということがある。)と、前記式(2)で示される酸フルオリド(以下、「酸フルオリド(2)」ということがある。)を接触させることを特徴とする、前記式(3)で示されるフッ素化炭化水素(以下、「フッ素化炭化水素(3)」ということがある。)を製造する方法である。
Figure 0006578993
〔エーテル化合物(1)〕
本発明においては、出発原料としてエーテル化合物(1)を用いる。
前記式(1)中、R、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Rはメチル基又はエチル基を表す。
、Rの、炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
また、RとRは結合して環構造を形成していても良いが、環構造を形成していないのが好ましい。
とRが結合して形成する環構造としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環等の炭素数3〜7の飽和炭化水素環が挙げられる。
エーテル化合物(1)は、R〜Rの炭素合計数が、3〜5であるものが好ましい。
エーテル化合物(1)の具体例としては、sec−ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロブチルメチルエーテル、2−ペンチルメチルエーテル、3−ペンチルメチルエーテル、2−メチル−2−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のメチルエーテル化合物;sec−ブチルエチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、シクロブチルエチルエーテル、2−ペンチルエチルエーテル、3−ペンチルエチルエーテル、2−メチル−2−ブチルエチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル等のエチルエーテル化合物;が挙げられる。
これらの中でも、原料の入手が容易であることから、sec−ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、2−ペンチルメチルエーテル等の炭素数4又は5のアルキルメチルエーテル化合物;sec−ブチルエチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、2−ペンチルエチルエーテル等の炭素数4又は5のアルキルエチルエーテル化合物;が好ましく、より効率よく目的物が得られることから、sec−ブチルメチルエーテル、sec−ブチルエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、2−ペンチルメチルエーテルがより好ましく、sec−ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、2−ペンチルメチルエーテルから選ばれる炭素数4のアルキルメチルエーテル化合物;がさらに好ましい。
エーテル化合物(1)は、従来公知の方法により製造し、入手することができる。例えば、油化学 第31巻 960ページ(1982年)に記載の方法、Journal of American Chemical Society,Vol.54,2088(1932)に記載の方法が挙げられる。前者の方法は、50%濃度の水酸化ナトリウムとテトラアルキルアンモニム塩のような相関移動触媒存在下に、対応するアルコールを硫酸エステルと接触させる方法である。後者の方法は、対応する無水アルコールを金属ナトリウムと接触させた後に、臭化アルキル、もしくはヨウ化アルキルと接触させてエーテル化合物を製造するものである。
〔酸フルオリド(2)〕
本発明においては、フッ素化剤として、酸フルオリド(2)を用いる。
前記式(2)中、Rはメチル基又はエチル基を表す。
酸フルオリド(2)の具体例としては、フッ化アセチル、フッ化プロピオニルが挙げられ、より収率よく目的物が得られる観点から、フッ化アセチルが好ましい。
酸フルオリド(2)は公知物質であり、公知の方法により製造し、入手することができる。例えば、Journal of Chemical Society Dalton Transaction,2129(1975)や、Journal of American Chemical Society,Vol.59,1474(1937)に記載の方法に従って製造することができる。前者の方法は、酢酸にフッ化カリウムを溶解させ、加熱下に、塩化アセチル、あるいは、塩化プロピオニルを添加し、発生するフッ化アセチル、フッ化プロピオニルを回収する方法である。後者は、無水酢酸に二フッ化水素ナトリウムを溶解させ、塩化アセチルを添加して、発生するフッ化アセチルを回収する方法である。
酸フルオリド(2)の使用量は、エーテル化合物(1)に対して、通常、0.7〜2.5当量、好ましくは0.8〜2.0当量、より好ましくは0.9〜1.5当量である。
酸フルオリド(2)の使用量がこの範囲であれば、生産性に優れ、また、後処理や精製工程が煩雑にならずに済むので好ましい。
酸フルオリド(2)の内、フッ化アセチルは、エーテル化合物(1)としてメチルエーテル化合物を使用した場合には、フッ素化剤として作用した後、酢酸メチルに変換される。また、エーテル化合物(1)としてエチルエーテル化合物を使用した場合には、酢酸エチルに変換される。
酸フルオリド(2)の内、フッ化プロピオニルを使用した場合には、同様に、それぞれプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルに変換される。
〔金属ハロゲン化物(4)〕
本発明においては、触媒として、金属ハロゲン化物(4)を使用する。
前記式(4)中、Mは金属原子を表す。Mとしては、周期表第8族、3B族、及び、5B族からなる群から選択される金属原子であることが好ましく、アルミニウム、インジウム、鉄、アンチモン、及び、ビスマスから選択される金属原子であることがより好ましい。
Xは塩素原子又は臭素原子を表す。
金属ハロゲン化物(4)としては、三塩化鉄、三塩化ルテニウム、三臭化鉄、三臭化ルテニウム等の周期表第8族金属の塩化物又は臭化物;三塩化アルミニウム、三塩化ガリウム、三塩化インジウム、三臭化アルミニウム、三臭化ガリウム、三臭化インジウム等の周期表第3B族金属の塩化物又は臭化物;三塩化アンチモン、三塩化ビスマス、三臭化アンチモン、三臭化ビスマス等の周期表第5B族金属の塩化物又は臭化物;が挙げられる。
これらの中でも、金属ハロゲン化物(4)としては、分子量が小さく、使用量が少なくて済むという観点から、前記金属臭化物より金属塩化物が好ましい。具体的には、三塩化鉄、三塩化アルミニウム、三塩化インジウム、三塩化アンチモン、三塩化ビスマスが好ましい。
金属ハロゲン化物(4)の使用量は、原料であるエーテル化合物(1)に対し、0.01〜10モル%、より好ましくは、0.1〜5モル%である。使用量が少なすぎると反応速度の著しい低下を招き、反応が完結するまでに多大な時間を要する。一方、使用量が多すぎると内容物の液状成分に対し、触媒の固体成分比率が大きくなるので、内容物の粘度が高くなり、撹拌し難くなったり、目的物のフッ素化炭化水素(3)が塩素化又は臭素化された副生成物(塩素化炭化水素又は臭素化炭化水素)の量が増大するおそれがある。
〔ハロゲン化炭化水素系溶媒〕
本発明においては、本発明の効果がより得られやすいことから、溶媒としてハロゲン化炭化水素系溶媒を用いる。
無溶媒であると、触媒の金属ハロゲン化物(4)が、過度に、原料のエーテル化合物(1)や、生成した目的物のフッ素化炭化水素(3)に接触する事象に起因して、オレフィンやハロゲン置換体等の副生成物の生成量が増加するおそれがある。よって、これらの点を改善する観点からも、ハロゲン化炭化水素系溶媒下で反応を行うことが望ましい。
本発明に用いるハロゲン化炭化水素系溶媒としては、精製工程(蒸留精製)の負荷を考慮して、生成物であるフッ素化炭化水素の沸点よりも25℃以上高い沸点を有するものを用いるのが好ましい。
ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、具体的には、ジクロロメタン、ジブロモメタン、クロロホルム、ブロモホルム等の炭素数1のハロゲン化炭化水素系溶媒;1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等の炭素数2のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。また、ハロゲン化炭化水素系溶媒同士が異性体の関係にある場合は、それらの混合物を炭化水素系溶媒として使用してもよい。
これらの中でも、取扱い性の観点から、ジクロロメタン、ジブロモメタン、クロロホルム等の炭素数1のハロゲン化炭化水素系溶媒;1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等の炭素数2のハロゲン化炭化水素系溶媒;が好ましい。
これらハロゲン化炭化水素系溶媒の使用量は、原料となるエーテル化合物(1)1gに対し、通常1〜10mL、好ましくは2〜5mL、より好ましくは2.5〜3mLである。
ハロゲン化炭化水素系溶媒の使用量が少なすぎると、副生成物であるアルキルエステル等の生成量が多くなり、使用量が多すぎると、反応が完結するまでに多大な時間を要したり、後処理時の廃液の処理が煩雑になる。
〔反応〕
エーテル化合物(1)と酸フルオリド(2)との反応は、例えば、反応器に、金属ハロゲン化物(4)とハロゲン化炭化水素系溶媒を仕込み、反応器を所定の温度(0℃〜10℃)に冷却後、全容を撹拌しながら、原料となるエーテル化合物(1)、次いで、フッ素化剤となる酸フルオリド(2)を添加する。その後、所定の温度に維持しながら、内容物の撹拌を継続する等により実施することができる。
エーテル化合物(1)と酸フルオリド(2)との反応温度は、0℃〜40℃の範囲が好ましく、10℃〜30℃がより好ましい。この温度範囲内であれば、反応速度が適切であり生産性に優れる。また、生成するフッ素化炭化水素(3)の揮発によるロスを抑制することができる。
反応時間は、原料となるエーテル化合物(1)と、酸フルオリド(2)、及びハロゲン化炭化水素系溶媒との組合せや反応規模にもよるが、通常、0.5〜10時間であり、1〜7時間が好ましい。
反応時間が短すぎると、反応が完結せず、未反応原料、もしくはフッ素化剤として機能する酸フルオリドが多く残存して、後処理が面倒になる。一方、反応時間が長すぎると、過剰反応が進行する可能性が高くなり、副生成物であるアルキルエステルの生成量が多くなる。
反応終了後においては、反応液の後処理操作を行うことにより目的物を単離することができる。具体的には、反応混合物に、アルカリ溶液を添加し、撹拌して、触媒の金属ハロゲン化物(4)を失活させ、静置後、目的物を含むハロゲン化炭化水素系溶媒溶液を分液する。さらに、目的に応じて、得られたハロゲン化炭化水素系溶媒溶液を乾燥し、蒸留することにより、目的物であるフッ素化炭化水素(3)を単離することができる。さらに高純度のフッ素化炭化水素(3)を得たい場合には、精留を再度実施してもよい。
以上のようにして、フッ素化炭化水素(3)を得ることができる。
本発明の製造方法により得られるフッ素化炭化水素(3)の具体例としては、2−フルオロブタン、t−ブチルフルオリド、2−フルオロペンタン、3−フルオロペンタン、2−メチル−2−フルオロブタン、シクロブチルフルオリド、シクロペンチルフルオリド、シクロヘキシルフルオリド等が挙げられる。
これらの中でも、原料入手の容易性から、2−フルオロブタン、t−ブチルフルオリド、2−フルオロペンタンが好ましく、2−フルオロブタン、t−ブチルフルオリドがより好ましく、2−フルオロブタンが特に好ましい。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によってその範囲を限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「%」は「重量%」を表す。
以下において採用した分析条件は下記の通りである。
〈ガスクロマトグラフィー分析(GC分析)〉
装置:HP−6890(アジレント社製)
カラム:Inert Cap−1、長さ60m、内径0.25mm、膜厚1.5μm(ジーエルサイエンス社製)
カラム温度:40℃で10分間保持、次いで、20℃/分で昇温し、その後、40℃で10分間保持
インジェクション温度:200℃
キャリヤーガス:窒素
スプリット比:100/1
検出器:FID
〈ガスクロマトグラフィー質量分析〉
GC部分:HP−6890(アジレント社製)
カラム:Inert Cap−1、長さ60m、内径0.25mm、膜厚1.5μm(ジーエルサイエンス社製)
カラム温度:40℃で10分間保持、次いで、20℃/分で昇温し、その後、240℃で10分間保持
MS部分:5973 NETWORK(アジレント社製)
検出器 EI型(加速電圧:70eV)
[製造例1]sec−ブチルメチルエーテルの製造
撹拌子を入れた容量500mLのナスフラスコに、2−ブタノール360mL、フレーク状水酸化カリウム(アルドリッチ社製、純度約90%)37.3gを入れ、全容を約2.5時間、50℃で撹拌した。水酸化カリウムが溶解し、均一溶液になったところで、加熱を一旦中止した。その均一溶液に、ヨードメタン84.4gを加え、ジムロート型コンデンサーを付した状態で、全容を50℃で3時間強撹拌した。反応混合物を室温(25℃、以下にて同じ。)まで冷却し、上澄み液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、ヨードメタンはほぼ消費され、目的物である2−メトキシブタンと、2−ブタノールの混合物が含まれていることがわかった。ナスフラスコ内の内容物をろ過することにより、ヨウ化カリウムをろ別した。ろ別したヨウ化カリウムを少量の水に溶解させ、上層の有機相を分離、先のろ液と混合し、ろ液混合物を得た。
得られたろ液混合物を蒸留釜に仕込み、KS型精留塔(東科精機社製、カラム長30cm、充填剤:ヘリパックNo.1)を使用して蒸留を行った。塔頂温度55〜56℃の留分を集め、共沸して留出してくる水を分液ロートで分離、得られた蒸留物をモレキュラーシーブス4Aで乾燥することにより、sec−ブチルメチルエーテルを38g得た(収率72%)。
GC−MS(EI−MS):m/z 73、59、41、29
[製造例2]sec−ブチルエチルエーテルの製造
撹拌子を入れた容量500mLのナスフラスコに、2−ブタノール240mL、フレーク状水酸化カリウム(アルドリッチ社製、純度約90%)24.8gを入れ、全容を50℃で3時間撹拌した。水酸化カリウムが溶解し、均一の溶液になったところで、加熱を一旦中止した。その均一溶液に、臭化エチル43gを入れ、ジムロート型コンデンサーを付した状態で、70℃で4時間強撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、上澄み液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、臭化エチルはほぼ消費され、目的物である2−エトキシブタンと、2−ブタノールの混合物であった。ナスフラスコ内の内容物から臭化カリウムをろ別してろ液を得た。ろ別した臭化カリウムは少量の水に溶解させ、上層の有機相を分離、先のろ液と混合した(ろ液混合物)。
得られたろ液混合物を蒸留釜に仕込み、KS型精留塔(東科精機社製、カラム長30cm、充填剤:ヘリパックNo.1)を使って、蒸留を行った。塔頂温度68〜69℃の留分を集め、共沸して留出してくる水を分液ロートで分離、モレキュラーシーブス4Aで乾燥し、31gのsec−ブチルエチルエーテルを得た(収率51%)。
GC−MS(EI−MS):m/z 87、73、59、45
[製造例3]2−ペンチルメチルエーテルの製造
ジムロート型コンデンサー、滴下ロート、撹拌子を付した容量500mLのナスフラスコに、2−ペンタノール300mL、水酸化カリウム(和光純薬工業社製、純度約85%)30gを入れ、全容を50℃で約2.5時間撹拌した。水酸化カリウムが溶解し、均一溶液になったところで、p−トルエンスルホン酸メチル81gを滴下ロートから約1時間かけて添加し、50℃で3時間強撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、内容物をビーカーに移し、水を加えることにより、生成したp−トルエンスルホン酸カリウムを溶解させた。ビーカー内の液を分液ロートに移し、水層を分離し、2−ペンチルメチルエーテルと2−ペンタノールの混合液を得た。
得られた混合液を蒸留釜に仕込み、KS型精留塔(東科精機社製、カラム長30cm、充填剤ヘリパックNo.1)を使用して蒸留を行った。塔頂温度74〜75℃の留分を集め、共沸して留出してくる水を分液ロートで分離、得られた蒸留物をモレキュラーシーブス4Aで乾燥し、2−ペンチルメチルエーテルを16g得た(収率37%)。
GC−MS(EI−MS):m/z 87、71、59、45
[製造例4]フッ化アセチルの製造
攪拌機、滴下ロート及び捕集トラップを付した、容量500mLのガラス製反応器に、無水酢酸200mL、及び、二フッ化水素カリウム46.9gを入れ、全容を40℃に加温しながら撹拌した。そこへ、塩化アセチル47gを滴下ロートから40分間かけて滴下し、滴下終了後、15分ごとに反応器を10℃ずつ昇温させた。最終的に90℃まで加温し、20分間その温度に保持した後、反応を停止させた。その間、反応器から留出してくるフッ化アセチルは、氷水で冷却したガラストラップに捕集した。粗収量は47.6g(粗収率128%)であった。なお、本反応では、無水酢酸からもフッ化アセチルが生成するので、収率は100%を超える。
得られた粗フッ化アセチルを単蒸留して、塔頂温度20〜24℃の留分を集め、フッ化アセチルを42.4g得た(収率114%)。
[製造例5]フッ化プロピオニルの製造
攪拌機、滴下ロート、及び捕集トラップを付した、容量500mLのガラス製反応器に、無水プロピオン酸200mL、及び二フッ化水素カリウム46.8gを入れ、全容を90℃に加温しながら撹拌した。そこへ、塩化プロピオニル55.5gを滴下ロートから1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに、15分間撹拌した。その後、15分ごとに反応器を10℃ずつ昇温し、110℃まで加熱した。全容を110℃で30分間撹拌した後、反応を停止させた。その間、反応器から留出してくるフッ化プロピオニルは、氷水で冷却したガラストラップに捕集した。粗収率は132%であった。なお、本反応では、無水プロピオン酸からもフッ化プロピオニルが生成するので、収率は100%を超える。
得られた粗フッ化プロピオニルを単蒸留して、塔頂温度42〜43℃の留分を集め、フッ化プロピオニルを46.8g得た(収率103%)。
[実施例1]
撹拌子、ジムロート型コンデンサー(0℃の冷媒を循環)を付した容量50mLのガラス製反応器に、塩化アルミニウム0.133g、及び、乾燥クロロホルム5mLを入れ、窒素雰囲気下において0℃に冷却した。そこへ、製造例1で合成したsec−ブチルメチルエーテル1.76g、製造例4で合成したフッ化アセチル1.86gを添加し、その後、20℃まで昇温し、内容物を7時間撹拌した。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、25.07面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.47面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、10.72面積%、4.09面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された、2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は、2.24面積%、塩素化された2−クロロブタン(ハロゲン化物)は、0.52面積%生成したに過ぎなかった。なお、残りは溶媒のクロロホルム、酢酸メチルであった。
[実施例2]
実施例1において、触媒を塩化アルミニウム0.133gから、三塩化インジウム0.221gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、18.36面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.30面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、、8.91面積%、3.04面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は、4.82面積%生成したに過ぎず、塩素化された2−クロロブタン(ハロゲン化物)は検出されなかった。
[実施例3]
実施例1において、触媒を、塩化アルミニウム0.133gから、三塩化鉄0.162gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、18.52面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.51面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、10.57面積%、3.60面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は、4.53面積%生成したに過ぎず、塩素化された2−クロロブタン(ハロゲン化物)は検出されなかった。
[実施例4]
実施例1において、触媒を、塩化アルミニウム0.133gから、三臭化鉄0.296gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、18.43面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.38面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、9.37面積%、3.05面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は、3.84面積%、臭素化された2−ブロモブタン(ハロゲン化物)は0.41面積%生成したに過ぎなかった。
[実施例5]
実施例1において、触媒を、塩化アルミニウム0.133gから、三塩化ビスマス0.315gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、17.46面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.29面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、4.71面積%、1.65面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は、1.13面積%生成したに過ぎず、塩素化された2−クロロブタン(ハロゲン化物)は検出されなかった。
[実施例6]
実施例1において、触媒を、塩化アルミニウム0.133gから、臭化アルミニウム0.266gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、19.79面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.39面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、9.38面積%、3.46面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は、3.72面積%、臭素化された2−ブロモブタン(ハロゲン化物)は0.54面積%生成したに過ぎなかった。
[実施例7]
実施例1において、触媒を、塩化アルミニウム0.133gから、三塩化アンチモン0.288gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、21.72面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.23面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、5.89面積%、0.96面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は、1.05面積%生成したに過ぎず、塩素化された2−クロロブタン(ハロゲン化物)は検出されなかった。
[実施例8]
実施例1において、触媒を、塩化アルミニウム0.133gから、三臭化アンチモン0.361gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、20.50面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.37面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、11.03面積%、4.57面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は3.27面積%、臭素化された2−ブロモブタン(ハロゲン化物)は0.69面積%生成したに過ぎなかった。
[実施例9]
実施例1において、触媒を、塩化アルミニウム0.133gから、三臭化インジウム0.354gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、18.55面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.36面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、9.98面積%、3.42面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は、3.30面積%、臭素化された2−ブロモブタン(ハロゲン化物)は0.71面積%生成したに過ぎなかった。
[実施例10]
実施例1において、クロロホルム5mLを、ジクロロメタン5mLに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、19.32面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.39面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、10.18面積%、3.71面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は3.44面積%、塩素化された2−クロロブタン(ハロゲン化物)は0.51面積%生成したに過ぎなかった。残りはジクロロメタンと酢酸メチルであった。
[実施例11]
実施例1において、クロロホルム5mLを、ジブロモメタン5mLに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン18.69面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.25面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、6.84面積%、3.20面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は、1.66面積%、塩素化された2−クロロブタン(ハロゲン化物)は0.79面積%生成したに過ぎなかった。残りはジブロモメタンと酢酸メチルであった。
[実施例12]
実施例1において、クロロホルム5mLを、1,2−ジクロロエタン5mLに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルは2.10面積%残存し、目的物である2−フルオロブタン11.76面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.31面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、6.38面積%、2.46面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は、1.64面積%、塩素化された2−クロロブタン(ハロゲン化物)は0.47面積%生成したに過ぎなかった。残りは溶媒の1,2−ジクロロエタンと酢酸メチルであった。
[実施例13]
実施例1において、クロロホルム5mLを、1,1,2,2−テトラクロロエタン5mLに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン18.51面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.37面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、7.62面積%、3.07面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は、3.06面積%、塩素化された2−クロロブタン(ハロゲン化物)は0.31面積%生成したに過ぎなかった。残りは1,1,2,2−テトラメチルエタンと酢酸メチルであった。
[実施例14]
実施例1において、製造例4で合成したフッ化アセチル1.86gを、製造例5で合成したフッ化プロピオニル3.65gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン17.33面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.24面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、8.87面積%、3.15面積%生成していた。また、原料がプロピオニルオキシ化された2−プロピオニルオキシブタン(アシルオキシ化物)は、3.94面積%、塩素化された2−クロロブタン(ハロゲン化物)は0.36面積%生成したに過ぎなかった。残りは溶媒のクロロホルムとプロピオン酸メチルであった。
[実施例15]
実施例1において、sec−ブチルメチルエーテル1.76gを、製造例2で合成したsec−ブチルエチルエーテル2.04gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルエチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン18.54面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.29面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、9.63面積%、2.65面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は、3.04面積%、塩素化された2−クロロブタン(ハロゲン化物)は0.40面積%生成したに過ぎなかった。残りは溶媒のクロロホルムと酢酸エチルであった。
[実施例16]
実施例15において、触媒を、塩化アルミニウム0.133gから、三塩化インジウム0.221gに変更したこと以外は、実施例15と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルエチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、18.50面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.17面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、6.16面積%、1.90面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)は、2.16面積%生成したに過ぎず、塩素化された2−クロロブタン(ハロゲン化物)は検出されなかった。残りは溶媒のクロロホルムと酢酸エチルであった。
[実施例17]
実施例1において、sec−ブチルメチルエーテル1.76gを、製造例3で合成した2−ペンチルメチルエーテル2.04gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ペンチルエチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロペンタン、19.69面積%、3−フルオロペンタン、4.59面積%と、異性体混合物であるペンテンが12.36面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシペンタン(アシルオキシ化物)は、2.46面積%生成したに過ぎず、2−クロロペンタン及び3−クロロペンタン(ハロゲン化物)は検出されなかった。
[実施例18]
実施例1において、sec−ブチルメチルエーテル1.76gを、t−ブチルメチルエーテル(東京化成工業社製)1.76gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のt−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物であるt−ブチルフルオリド、19.77面積%と、末端オレフィンであるイソブテン、1.68面積%が生成していた。また、原料がアセトキシ化されたアセトキシt−ブチル(アシルオキシ化物)は、4.49面積%、塩素化されたt−ブチルクロリド(ハロゲン化物)は0.38面積%生成したに過ぎなかった。
[実施例19]
実施例1において、sec−ブチルメチルエーテル1.76gを、t−ブチルエチルエーテル(東京化成工業社製)2.04gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のt−ブチルエチルエーテルはほぼ消失し、目的物であるt−ブチルフルオリド21.40面積%と末端オレフィンであるイソブテン4.48面積%が生成していた。また、原料がアセトキシ化されたアセトキシt−ブチル(アシルオキシ化物)は、2.65面積%、塩素化されたt−ブチルクロリド(ハロゲン化物)は0.16面積%生成したに過ぎなかった。
[比較例1]
実施例1において、溶媒のクロロホルムを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、反応器内にクロロホルム5mLを添加し、ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、目的物である2−フルオロブタン、12.32面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが0.44面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、15.15面積%、4.34面積%生成し、原料のsec−ブチルメチルエーテルが、4.33面積%残存していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)が、5.24面積%、塩素化された2−クロロブタン(ハロゲン化物)が4.24面積%生成していた。
[比較例2]
実施例1において、触媒を、塩化アルミニウム0.133gから、四塩化スズ0.265gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタンが12.23面積%、末端オレフィンである1−ブテンが3.44面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、11.15面積%、3.34面積%生成した他、2−クロロブタン(ハロゲン化物)が10.22面積%、及び、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)が、3.24面積%生成していた。また、反応終了後の内容液は茶褐色に呈色していた。
[比較例3]
実施例1において、触媒を、塩化アルミニウム0.133gから、四塩化チタン0.189gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、13.63面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが2.95面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、9.33面積%、3.23面積%生成していた他、2−クロロブタン(ハロゲン化物)が9.04面積%、及び、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)が、2.82面積%生成し生成していた。また、反応終了後の内容液は茶褐色に呈色していた。
[比較例4]
実施例1において、触媒を、塩化アルミニウム0.133gから、四臭化チタン0.367gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、11.63面積%と、末端オレフィンである1−ブテンが2.81面積%、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、10.33面積%、3.43面積%生成していた他、2−ブロモブタン(ハロゲン化物)が8.54面積%、及び、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタン(アシルオキシ化物)が、2.82面積%生成し生成していた。また、反応終了後の内容液は茶色に呈色していた。
Figure 0006578993
表1から、実施例1〜19では、副生成物の生成を抑えつつ、目的物であるフッ素化炭化水素(3)が有利に生成していることがわかる。
一方、溶媒を用いないで反応を行った比較例1では、原料が残存し、原料由来成分の2−アセトキシブタン、2−クロロブタン等の副生成物の量が多くなることが分かった。
また、比較例2〜4では、触媒に4価の金属ハロゲン化物を用いても、原料由来成分の2−アセトキシブタン、2−クロロブタン等の副生成物の量が多くなることが同様に分かった。このことから、無溶媒である、または、4価のハロゲン化金属触媒を用いると、目的物である2−フルオロブタンに、過度に偏って接触するため、副反応が起き、反応収率が低下するものと考えられる。加えて、触媒に4価の金属ハロゲン化物を用いると、反応液が呈色してしまい、反応器内を汚す不具合を起こし、その都度、洗浄を行う必要を生じる。

Claims (6)

  1. ハロゲン化炭化水素系溶媒中、式(4):MX(Mは金属原子を表し、Xは塩素原子又は臭素原子を表す。)で表される金属ハロゲン化物の存在下に、式(1)
    Figure 0006578993
    (式中、R、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Rはメチル基又はエチル基を表す。また、RとRは結合して環構造を形成してもよい。)
    で示されるエーテル化合物と、式(2)
    Figure 0006578993
    (式中、Rはメチル基又はエチル基を表す。)
    で示される酸フルオリドとを接触させることを特徴とする、式(3)
    Figure 0006578993
    (式中、R〜Rは前記と同じ意味を表す。)
    で示されるフッ素化炭化水素の製造方法。
  2. 前記式(4):MXで表される金属ハロゲン化物が、式(4)中、Mが、周期表第8族、3B族、及び、5B族からなる群から選択される金属原子のハロゲン化物であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記式(4):MXで表される金属ハロゲン化物が、式(4)中、Mが、アルミニウム、インジウム、鉄、アンチモン、及び、ビスマスからなる群から選択される金属原子のハロゲン化物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記式(1)で示されるエーテル化合物が、sec−ブチルメチルエーテル、sec−ブチルエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル又は2−ペンチルメチルエーテルである、請求項1〜3に記載の製造方法。
  5. 前記式(2)で示される酸フルオリドが、フッ化アセチルである、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記式(3)で示されるフッ素化炭化水素が、2−フルオロブタンである、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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