JP6578657B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、コンバータ回路とインバータ回路を備え、モータ制御を行う電力変換装置に関する。
従来から、エアコン用コンプレッサのような周期的負荷変動を有する負荷を駆動する場合、特許文献1に示すように、トルク制御により回転速度変動を抑え、振動を抑制している。しかし、トルク制御を行うと、モータ電流が増加し、モータ効率の悪化につながる。そこで、一般的には、コンプレッサの振動が問題とならない高速域では、トルク制御を行わないようにしているが、その場合は周期的負荷変動に起因する回転数変動が発生することとなる。また、特許文献2に示すような単相コンデンサレスの構成では、出力トルクを電源周波数の2倍で脈動させており、このような場合は電源周波数2倍の周期的出力トルク脈動に起因する回転数変動が発生する。
また、モータの電気角速度は、モータ制御、例えばモータ内部で生じる誘起電圧を補償するための非干渉制御において、用いられている。この電気角速度は、モータに付して設けられたエンコーダの出力信号から演算する方法や、推定した位置情報から演算する方法がある。ところがこの演算結果には高周波ノイズが含まれており、この高周波ノイズは振動や異音の原因となり得る。そこで、例えば特許文献3では、基本電圧値を補正するための補正値をフィルタによって平滑化し、高周波成分が抑制された値にしている。
国際公開第2003/071672号 特開2002−051589号公報 国際公開第2009/122647号
トルク制御を行わない場合には、モータの電気角速度は負荷変動に応じて周期的に変動する。また同様に、特許文献2のように出力トルクが周期的に変動する装置構成においても、モータの電気角速度は出力トルク変動に応じて周期的に変動する。一方、特許文献3のようにフィルタを用いた場合には、負荷変動または出力トルク変動に起因するモータの電気角速度の変動が位相ずれするため、非干渉項の演算結果が、実際の角速度を用いて演算した場合に対して誤差を生じ、モータ電流を指令通り追従させることが困難である。
本発明は、モータ制御において、周期的負荷変動や周期的出力トルク変動に起因したモータの周期的速度変動を適切に補償し、モータ電流の追従性を高めることを目的とする。
上記の課題を解決するため、第1の発明は、電力変換装置は、
交流電源(20)の出力を全波整流するコンバータ回路(11)と、
上記コンバータ回路(11)の出力ノードの間に接続されたコンデンサ(C)と、
上記コンバータ回路(11)の出力を、複数のスイッチング素子(Sup,…,Swn)のオンオフ動作によって、交流に変換してモータ(30)に供給するインバータ回路(13)と、
モータ角速度の周期的変動成分(ω_h)を抽出し、抽出した周期的変動成分(ω_h)と、モータ電流指令値(id*,iq*)とを用いて、モータ電圧指令値(Vd*,Vq*)の演算を行い、得られた上記モータ電圧指令値(Vd*,Vq*)に従って、上記複数のスイッチング素子(Sup,…,Swn)のオンオフ動作の制御を行う制御部(40)とを備え、上記制御部(40)は、抽出したモータ角速度の周期的変動成分(ω_h)を、モータ制御における非干渉制御に用いる。
この構成により、制御部(40)は、モータ角速度の周期的変動成分(ω_h)を抽出し、抽出した周期的変動成分(ω_h)を、モータ電圧指令値(Vd*,Vq*)の演算に用いる。これにより、周期的負荷変動や周期的出力トルク変動に起因したモータ(30)の周期的速度変動を、位相遅れなくモータ制御に反映させることができるので、モータ電流の追従性を高めることができる。また、周期的負荷変動や周期的出力トルク変動に対して、モータ内部で生じる誘起電圧を適切に補償することができる。
また、第2の発明は、第1の発明において、
上記制御部(40)は、モータ角速度をフーリエ変換することによって、または、モータ位相角をフーリエ変換することによってモータ位相角の周期的変動成分を演算し、モータ位相角の周期的変動成分を微分することによって、モータ角速度の周期的変動成分(ω_h)を得る。
この構成により、モータ角速度の周期的変動成分(ω_h)を確実に得ることができる。
また、第3の発明は、第1の発明において、
上記制御部(40)は、モータ出力トルク(TM)および負荷トルク(TL)を推定し、モータ出力トルクと負荷トルクとの差(TM-TL)を積分し、得られた積分値を基にして、モータ角速度の周期的変動成分(ω_h)を得る。
この構成により、モータ角速度の周期的変動成分(ω_h)を確実に得ることができる。
また、第4の発明は、第1〜3の発明において、
上記制御部(40)は、モータ出力トルクに、電源位相(θin)に同期した脈動を発生させる。
この構成により、電源周波数の2倍で発生する周期的なトルク脈動に起因したモータ(30)の周期的速度変動を、位相遅れなくモータ制御に反映させることができるので、モータ電流の追従性を高めることができる。
本発明によると、周期的負荷変動や周期的出力トルク変動に起因したモータの周期的速度変動を、位相遅れなくモータ制御に反映させることができるので、モータ電流の追従性を高めることができる。
実施形態に係る電力変換装置の構成例 図1の構成における制御部の構成例 (a)はモータ出力トルクの脈動パターンのイメージ、(b)負荷トルクの脈動パターンのイメージ dq軸電流制御部の内部構成例 モータ角速度の周期的変動成分を求める他の構成例 モータ角速度の周期的変動成分を求める他の構成例
以下、実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
図1は実施形態に係る電力変換装置(10)の構成例を示している。電力変換装置(10)は、入力交流電圧(この例では、単相の交流電源(20)から供給された電源電圧(Vin))を所定の出力交流電圧に変換してモータ(30)に供給するものであり、コンバータ回路(11)と、直流リンク部(12)と、インバータ回路(13)と、制御部(40)とを備えている。例えば、モータ(30)は、IPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)によって構成され、空気調和機の圧縮機(図示を省略)を駆動する。
〈コンバータ回路〉
コンバータ回路(11)は、リアクトル(L)を介して交流電源(20)に接続され、交流電源(20)からの電源電圧(Vin)を全波整流する。この例では、コンバータ回路(11)は、ブリッジ状に結線された4個のダイオード(D1,D2,D3,D4)を備えている。すなわち、コンバータ回路(11)は、ダイオードブリッジ回路によって構成されている。
〈直流リンク部〉
直流リンク部(12)は、コンバータ回路(11)の一対の出力ノードの間に接続されたコンデンサ(C)を有し、コンバータ回路(11)の出力(すなわち、全波整流された電源電
圧(Vin))を入力して直流電圧(Vdc)を生成する。直流電圧(Vdc)は、電源電圧(Vin)の周波数に応じて脈動する。
ここで、電源電圧(Vin)の周波数に応じた脈動成分が直流電圧(Vdc)に含まれている理由について説明する。直流リンク部(12)のコンデンサ(C)の容量値は、コンバータ回路(11)の出力をほとんど平滑化することができない一方で、インバータ回路(13)のスイッチング動作に起因するリプル電圧(スイッチング周波数に応じた電圧変動)を抑制することができるように、設定されている。具体的には、コンデンサ(C)は、一般的な電力変換装置においてコンバータ回路(11)の出力の平滑化に用いられる平滑コンデンサ(例えば、電解コンデンサ)の容量値の約0.01倍の容量値(例えば、数十μF程度)を有する小容量コンデンサ(例えば、フィルムコンデンサ)によって構成されている。このようにコンデンサ(C)が構成されているので、直流リンク部(12)においてコンバータ回路(11)の出力がほとんど平滑化されず、その結果、電源電圧(Vin)の周波数に応じた脈動成分(具体的には、電源電圧(Vin)の周波数の2倍の周波数を有する脈動成分)が直流電圧(Vdc)に残留することになる。例えば、直流電圧(Vdc)は、その最大値がその最小値の2倍以上になるように脈動している。
〈インバータ回路〉
インバータ回路(13)は、その一対の入力ノードが直流リンク部(12)のコンデンサ(C)の両端に接続され、直流リンク部(12)によって生成された直流電圧(Vdc)をスイッチング動作により出力交流電圧に変換してモータ(30)に供給する。この例では、インバータ回路(13)は、三相の出力交流電圧をモータ(30)に供給するために、ブリッジ結線された6つのスイッチング素子(Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn)と、6つの還流ダイオード(Dup,Dvp,Dwp,Dun,Dvn,Dwn)とを有している。詳しく説明すると、インバータ回路(13)は、2つのスイッチング素子を互いに直列に接続してなる3つのスイッチングレグを備え、3つのスイッチングレグの各々において、上アームのスイッチング素子(Sup,Svp,Swp)と下アームのスイッチング素子(Sun,Svn,Swn)との中点が、モータ(30)の各相のコイル(u相,v相,w相のコイル)にそれぞれ接続されている。また、6つのスイッチング素子(Sup,…,Swn)には、6つの還流ダイオード(Dup,…,Dwn)がそれぞれ逆並列に接続されている。
〈各種検出部〉
また、この例では、電力変換装置(10)は、電源位相検出部(51)と、直流電圧検出部(52)と、シャント抵抗(53)と、エンコーダ(54)と、モータ電流検出部(55)とをさらに備えている。
電源位相検出部(51)は、電源電圧(Vin)の位相角(電源位相(θin))を検出する。直流電圧検出部(52)は、直流リンク部(12)の直流電圧(Vdc)の電圧値を検出する。エンコーダ(54)はモータ(30)の電気角(モータ位相角(θ))を検出する。
シャント抵抗(53)は、負荷(モータ(30))からの電流が流れ込む位置に配置されている。この例では、シャント抵抗(53)は、インバータ回路(13)の負側の直流母線とコンバータ回路(12)の負側ノード(より詳しくはコンデンサ(C)よりもモータ(30)寄りのノード)との間に設けられている。このシャント抵抗(53)にモータ(30)からの電流が流れると、シャント抵抗(53)の両端には電圧差が生じる。モータ電流検出部(54)は、シャント抵抗(53)の両端間の電圧を検出することでモータ電流(idc)を算出することができる。
〈制御部〉
制御部(40)は、インバータ回路(13)のスイッチング動作を制御してインバータ回路(13)の出力(出力交流電圧)を制御する。これにより、モータ(30)の駆動が制御される。この例では、モータ(30)は、電流ベクトル制御(より詳しくは、弱め磁束制御)により制御される。制御部(40)は所定の周期でPWM出力(G)の更新を行う。
図2は制御部(40)の構成例である。制御部(40)は、マイクロコンピュータ(図示は省略)とそれを動作させるプログラムを含み、スイッチング素子(Sup,…,Swn)のオンオフ動作の制御を行うことによってインバータ回路(13)の電流制御を行う。すなわち、制御部(40)によってインバータ回路(13)の出力が制御されて、モータ(30)の駆動が制御される。モータ(30)の駆動の制御には、例えばd−q軸ベクトル制御が用いられる。本実施形態の制御部(40)は、速度制御部(41)、乗算器(42)、dq電流指令値生成部(43)、相変換部(44)、座標変換部(45)、dq軸電流制御部(46)、PWM演算部(47)及び角速度演算部(48)を備えている。
速度制御部(41)は、モータ(30)の角速度(ω)と角速度指令値(ω*)との偏差を求める。そして、速度制御部(41)は、その偏差を比例・積分演算(PI演算)し、演算結果を電流指令値(iT*)として乗算器(42)に出力する。この電流指令値(iT*)は平均トルク出力に相当する。
乗算器(42)は、交流電源(20)における電圧(Vin)の位相角(θin)の正弦値の絶対値(|sin(θin)|)に基づいて電流指令値(iT*)を変調し、乗算結果を駆動電流指令値(idq*)として出力する。これにより、電源位相に同期した出力トルクの脈動が発生する。
dq電流指令値生成部(43)は、駆動電流指令値(idq*)と、モータ(30)に流す電流の位相(β)の指令値(β*)とから、d軸電流指令値(id*)及びq軸電流指令値(iq*)を求め、それらをdq軸電流制御部(46)に出力する。具体的にdq電流指令値生成部(43)は、指令値(β*)の正弦値(-sinβ*)に駆動電流指令値(idq*)を乗じてd軸電流指令値(id*)を生成し、指令値(β*)の余弦値(cosβ*)に駆動電流指令値(idq*)を乗じてq軸電流指令値(iq*)を生成する。
相変換部(44)は、モータ電流検出部(55)によって検出されたモータ電流(idc)について相変換を行い、インバータ回路(13)の相電流(iu,iv,iw)を求める。座標変換部(44)は、モータ位相角(θ)とインバータ回路(13)の相電流(iu,iv,iw)とから、d軸電流値(id)とq軸電流値(iq)を算出する。
dq軸電流制御部(46)は、d軸電流指令値(id*)とd軸電流値(id)との偏差、及び、q軸電流指令値(iq*)とq軸電流値(iq)との偏差がそれぞれ小さくなるように、d軸の電圧指令値(Vd*)とq軸の電圧指令値(Vq*)を生成し、PWM演算部(47)に出力する。
PWM演算部(47)には、d軸及びq軸の電圧指令値(Vd*,Vq*)と、直流リンク電圧(Vdc)と、モータ位相角(θ)とが入力される。PWM演算部(47)は、これらの値に基づいて、インバータ回路(13)の各スイッチング素子(Su,…,Sz)のオンオフ動作を制御する制御信号(G)(PWM出力)を生成してインバータ回路(13)に出力する。
角速度演算部(48)は、エンコーダ(54)から出力されたモータ位相角(θ)(もしくは推定位相角)から、平均トルク出力を演算するために用いる角速度(ω)を演算する。
ω=dθ/dt
なので、微分部(48a)がモータ位相角(θ)について微分演算を行う。そして、微分演算結果をカットオフ周波数の低いローパスフィルタ(48b)を通して、角速度(ω)として出力する。これにより、角速度(ω)は出力トルクの脈動や負荷トルクの脈動などによる速度変動が十分に落とされ、ほぼ一定の値(DC成分のみ)となる。その一方で、微分演算結果に対してフーリエ変換部(FFT)(48c)がフーリエ変換を行い、角速度(ω)の周期的変動成分(ω_h)を抽出する。
図3(a)はモータ出力トルクの脈動パターンのイメージを表している。TMはモータ出力トルク、TLは負荷トルクである。図3(a)は本実施形態のような電解コンデンサレスの場合を示しており、モータ出力トルク(TM)が周期的に脈動している。
J・dω/dt =T−T
(Jはモータのイナーシャ)
の関係があるので、モータ出力トルク(TM)の周期的な脈動により、モータの角速度(ω)に周期的な変動が生じる。この変動の周波数はモータ出力トルクの脈動と同じ周波数となり、ここでは電源周波数の2倍の周波数となる(電源周波数が50Hzの場合は、角速度の変動周波数は100Hz、周期は10ms)。
図3(b)は1シリンダ圧縮機の負荷トルクの脈動パターンのイメージを表しており、回転周波数に同期した負荷トルク(TL)脈動が生じている。2シリンダ圧縮機の場合は回転周波数の2倍で負荷トルク脈動が生じる。この場合にも、モータの角速度(ω)に周期的な変動が生じる。この変動周波数は負荷脈動の周波数に同期する。すなわち、1シリンダの場合は回転周波数に同期し、2シリンダの場合は回転周波数の2倍に同期する。なお、モータ出力トルク(TM)と負荷トルク(TL)が両方脈動する場合もあり、この場合にもモータの角速度(ω)に変動が生じる。
そこで本実施形態では、角速度ωの周期的変動成分(ω_h)を用いて、モータ制御を安定化させる。例えば、非干渉制御のための演算に、周期的変動成分(ω_h)を用いる。具体的には、下のようなモータ電圧方程式において、非干渉項(第3項および第4項)の演算に周期的変動成分(ω_h)を反映させるものとする。
Figure 0006578657
第1項:巻線抵抗の電圧降下
第2項:インダクタンスの電圧降下
第3項:電機子反作用の項(電機子電流によって発生する磁束による誘起電圧)
第4項:永久磁石の磁束による誘起電圧
図4はdq軸電流制御部(46)の内部構成例を示す図である。図4の構成では、dq軸電流制御部(46)は、PID制御器(46a,46b)に加えて、上のモータ電圧方程式の第1項および第2項に対応したフィードフォワード項演算部(46c)と、同じくモータ電圧方程式の第3項および第4項に対応した非干渉項演算部(46d)とを備えている。
本実施形態のようなモータ制御において、モータの電気角速度にノイズ等の高周波成分が乗ると、出力電圧指令にも高周波成分が乗ることになり、これにより振動や異音を発生させてしまう可能性がある。このため、出力電圧指令の演算には、図4のように角速度指令値(ω*)を用いたり、あるいは、LPF後の角速度(ω)を用いたりするのが一般的である。
ところが、図3(a),(b)に示すようなモータ出力トルク(TM)や負荷トルク(TL)の脈動に起因して、角速度(ω)に周期的な変動が生じる場合がある。このような場合に、一定値である指令値(ω*)やLPF後の角速度(ω)を用いてモータ制御を行うと、非干渉項の演算結果が、実際の角速度を用いて演算した場合に対して誤差を生じる。この結果、出力電圧指令(すなわちモータ出力トルク)に角速度の周期的変動成分に起因した脈動が生じてしまい、振動や騒音の発生や制御の不安定につながる。
そこで本実施形態では、図4に示すように、dq軸電流制御部(46)は、角速度(ω)の周期的変動成分(ω_h)を角速度指令値(ω*)に加算した結果を入力としている。すなわち、モータ電圧指令値(Vd*,Vq*)の演算において、角速度(ω)の周期的変動成分(ω_h)が補償されている。これにより、角速度(ω)に関し、高周波成分が除去される一方で、周期的変動成分(ω_h)が位相遅れなく反映されるため、モータ制御が安定化する。なお、図4の構成では、角速度(ω)の周期的変動成分(ω_h)を角速度指令値(ω*)に加算した結果をdq軸電流制御部(46)に入力しているが、これに代えて、LPF後の角速度(ω)に周期的変動成分(ω_h)を加算した結果を入力してもかまわない。
以上のように本実施形態によると、制御部(40)は、モータ角速度の周期的変動成分(ω_h)を抽出し、抽出した周期的変動成分(ω_h)を、モータ電圧指令値(Vd*,Vq*)の演算に用いる。これにより、周期的負荷変動や周期的出力トルク変動に起因したモータ(30)の周期的速度変動を、位相遅れなくモータ制御に反映させることができるので、モータ電流の追従性を高めることができる。
なお、角速度(ω)の周期的変動成分(ω_h)を求める構成は、図2に示したものに限られるものではない。例えば図5に示すように、モータ位相角(θ)について、フーリエ変換部(FFT)(48d)がフーリエ変換を行い、モータ位相角(θ)の周期的変動成分(θ_h)を求め、この周期的変動成分(θ_h)に対して微分部(48e)が微分演算を行うことによって、角速度(ω)の周期的変動成分(ω_h)を抽出してもよい。
また、図6に示すように、負荷トルク(TL)およびモータ出力トルク(TM)をそれぞれ推定し、その差(TM-TL)に対して積分演算を行うことによって、角速度(ω)の周期的変動成分(ω_h)を求めてもよい。すなわち、負荷トルク演算部(49a)が、予め与えられた負荷トルクモデルを基にして、運転状態パラメータから負荷トルク(TL)を推定する。また、モータ出力トルク演算部(49b)が、例えば次式に示すような予め与えられたモータモデルを基にして、d軸電流値(id)およびq軸電流値(iq)から、モータ出力トルク(TM)を求める。
Figure 0006578657
そして、積分演算部(49c)が、モータ出力トルクと負荷トルクとの差(TM-TL)を積分し、積分結果をモータのイナーシャJで除し、角速度(ω)の周期的変動成分(ω_h)を求める。
なお、本実施形態では、角速度(ω)の周期的変動成分(ω_h)を非干渉制御に用いるものとしたが、これに限られるものではなく、非干渉制御以外のモータ制御において角速度(ω)の周期的変動成分(ω_h)を用いてもかまわない。
本発明は、モータ制御において、周期的負荷変動や周期的出力トルク変動に起因したモータの周期的速度変動を適切に補償し、モータ電流の追従性を高めるのに有用である。
11 コンバータ回路
13 インバータ回路
20 交流電源
30 モータ
40 制御部
C コンデンサ
Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn スイッチング素子

Claims (4)

  1. 交流電源(20)の出力を全波整流するコンバータ回路(11)と、
    上記コンバータ回路(11)の出力ノードの間に接続されたコンデンサ(C)と、
    上記コンバータ回路(11)の出力を、複数のスイッチング素子(Sup,…,Swn)のオンオフ動作によって、交流に変換してモータ(30)に供給するインバータ回路(13)と、
    モータ角速度の周期的変動成分(ω_h)を抽出し、抽出した周期的変動成分(ω_h)と、モータ電流指令値(id*,iq*)とを用いて、モータ電圧指令値(Vd*,Vq*)の演算を行い、得られた上記モータ電圧指令値(Vd*,Vq*)に従って、上記複数のスイッチング素子(Sup,…,Swn)のオンオフ動作の制御を行う制御部(40)とを備え
    上記制御部(40)は、抽出したモータ角速度の周期的変動成分(ω_h)を、モータ制御における非干渉制御に用いる
    ことを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1において、
    上記制御部(40)は、モータ角速度をフーリエ変換することによって、または、モータ位相角をフーリエ変換することによってモータ位相角の周期的変動成分を演算し、モータ位相角の周期的変動成分を微分することによって、モータ角速度の周期的変動成分(ω_h)を得る
    ことを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項1において、
    上記制御部(40)は、モータ出力トルク(TM)および負荷トルク(TL)を推定し、モータ出力トルクと負荷トルクとの差(TM-TL)を積分し、得られた積分値を基にして、モータ角速度の周期的変動成分(ω_h)を得る
    ことを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか1項において、
    上記制御部(40)は、モータ出力トルクに、電源位相(θin)に同期した脈動を発生させる
    ことを特徴とする電力変換装置。
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