JP4587812B2 - 電気車の制御装置及び電気車両 - Google Patents
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Description
従来技術では、モータ電流の特定周波数成分を抑制するため、モータ電流にほぼ比例するモータトルクの変動は抑制できるが、トルクと回転数の積であるモータの機械出力の変動を抑制することができない。このため、障害電流を効果的に抑制することができない。
本実施の形態においては、鉄道用の電気車両の例としてあり、ここでは、直流電源の供給を受ける車両に適用してある。即ち、図1に示すように、集電器1で架線から受電した直流電力を、フィルタリアクトル2及びフィルタコンデンサ3により高周波成分を除去して、第1の電力変換器4に供給する。
フィルタ102では、回転速度検出器6にて検出したモータ5の回転角速度ωrを入力し、特定の周波数帯域を抽出するフィルタを用いて回転角速度変動成分Δωrを出力する。
補正電流指令作成部121は、トルク補正指令作成部103と、q軸電流操作量作成部104で構成される。回転速度検出器6で検出したモータ5の回転速度ωrから、フィルタ102で特定の周波数帯域Δωrを抽出し、その抽出した特定の周波数帯域Δωrをトルク補正指令作成部103に供給する。トルク補正指令作成部103では、トルク補正指令ΔT*を演算し、q軸電流操作量作成部104でq軸電流操作量ΔIqを決定する。
即ち、ノイズ抑制部105では、q軸電流操作量ΔIq、ベクトル制御部106の出力する第1の角速度指令ω11*、d軸電流指令Id*、及びq軸電流指令Iq*から、数式(4)、数式(5)、数式(6)、及び数式(7)より、q軸電流補正指令dIq*、角速度補正指令dω1*、d軸電圧補正指令dVd*、及びq軸電圧補正指令dVq*をそれぞれ演算する。
q軸電流操作量ΔIqを補償するためにq軸電圧補正指令dVq*を補正した場合、定電流制御による変動分を抑制するためにq軸電流補正指令dIq*を補償し、すべり角速度の変動を抑制するために角速度補正指令dω1*を補償し、d軸電流の変動を抑制するためにd軸電圧補正指令dVd*を補償する。
モータ5の回転角速度変動成分Δωrにより、モータ5の機械出力がΔPm1及びΔPmだけ変動する。モータ5の出力と第1の電力変換器4の入力に着目し、モータ5と第1の電力変換器4の変換効率をηとすると第1の電力変換器4の入力はΔPeだけ変動する。
第1の電力変換器4の入力は、フィルタコンデンサ3の両端電圧Ecfと入力電流の積であるため、入力の変動ΔPeに対して入力電流はΔIdcだけ変動する。入力電流の変動ΔIdcは、受電フィルタを介して架線電流の変動ΔIsになる。すなわち、機械出力の変動が架線電流ΔIsの変動の原因となる。そこで、モータ5の回転数が変動した場合であっても機械出力が変動しないようにトルクを制御する。すなわち、モータ5の回転数による機械出力の変動ΔPm1をトルクによる機械出力の変動ΔPm2で相殺することにより、機械出力の変動ΔPmを抑制し、障害電流の原因となる架線電流の変動ΔIsを抑制する。
回転角速度変動成分Δωrは、図3に示す波形201であるとする。
トルク補正指令ΔT*の波形は、モータ電力一定に制御するため、数式(2)に従い、図3の波形202となる。ΔT*を波形203のq軸電流操作量ΔIqに変換し、第1の電力変換器4へ、交流電圧指令を出力する。
モータ電力変化量ΔPmが0であると、第1の電力変換器4へ流入する電流の変化量ΔIdcは0となり、モータ5の回転速度によるノイズ成分は第1の電力変換器4の出力電流に変換されない。このため、架線電流ΔIsは、ΔIdc=0より、フィルタコンデンサ両端電圧一定である定常状態では、ΔIs=0となるため、架線電流Isから保安機器に影響を与える周波数成分を抑制することができる。なお、図3の波形206はΔIsの波形である。
また、一般に保安装置が使用する周波数の±10Hzの成分が規制対象であるため、フィルタ102の抽出する成分は保安装置が使用する周波数の±10Hzを含むことが必要である。具体的には、保安装置で使用される周波数は、25Hz、30Hz、50Hz、60Hz、83.3Hz、100Hz、120Hzがあり、フィルタ102は、当該車両が走行する線区で使用される保安装置に応じて、15Hzから35Hz、20Hzから40Hz、40Hzから60Hz、50Hzから70Hz、73.3Hzから93.3Hz、90Hzから110Hz、110Hzから130Hzの範囲のうち、少なくとも1つの周波数範囲の成分を抽出することが必要である。
回転角速度推定値ωr^を、第1の実施の形態で説明した回転角速度ωrの代わりにフィルタ102、q軸電流操作量作成部104、ベクトル制御部106へ入力する。その他の部分は、第1の実施の形態で説明した図1と同様に構成する。
回転角速度推定値ωr^は、速度起電力に基づき推定を行っているため、第1の実施の形態と同様、回転角速度変動成分Δωrを含む。このため、速度検出器6がない場合でも本実施の形態の構成でも、第1の実施の形態の場合と同様の効果が得られる。
|Fs±F1|の周波数成分に変換される。このため、架線電流で周波数Fhの成分を抑制する場合、周波数|Fs+Fh|及び|Fs-Fh|の出力変動を抑制する必要があり、フィルタ102はこれらの周波数成分を抽出する必要がある。通常は保安装置で用いられる周波数の±10Hzの範囲を抑制する必要があるため、保安装置で用いる周波数をFh’とするとフィルタ102は少なくとも|Fs-Fh’-10|Hzから|Fs-Fh’+10|Hzまでの範囲、または|Fs+Fh’-10|Hzから|Fs+Fh’+10|Hzの範囲を抽出することが必要である。具体的には、保安装置で使用される周波数は、25Hz、30Hz、83.3Hz、100Hz、120Hzがあり、フィルタ102は、当該車両が走行する線区で使用される保安装置に応じて、15Hzから35Hz、65Hzから85Hz、20Hzから40Hz、80Hzから100Hz、23.3Hzから43.3Hz、123.3Hzから143.3Hz、40Hzから60Hz、140Hzから160Hz、30Hzから50Hz、150Hzから170Hz、50Hzから70Hz、170Hzから190Hzの範囲のうち、少なくとも1つの周波数範囲の成分を抽出することが必要である。
Claims (10)
- 直流電圧を電流指令に基づき交流電圧に変換し電動機を駆動する鉄道用車両としての電気車の制御装置において、
前記電動機の回転速度を検出する検出器と、
該検出した回転速度から、軌道回路が使用する周波数の±10Hzの周波数成分を抽出するフィルタと、
該フィルタの出力に基づきモータ出力を一定になるようにモータトルクを制御する補正電流指令を出力する作成部と、
該補正電流指令に基づき前記交流電圧指令を制御する電動機制御部を具備することを特徴とする電気車の制御装置。 - 請求項1記載の電気車の制御装置において、
交流電圧を架線から受電し、交流電圧を前記直流電圧に変換して、前記電動機により車輪を駆動することを特徴とする電気車の制御装置。 - 直流電圧を電流指令に基づき交流電圧に変換し電動機を駆動する鉄道用車両としての電気車の制御装置において、
前記電動機の回転速度を前記電動機の電流に基づき推定する速度推定部と、
該推定した回転速度から、軌道回路が使用する周波数の±10Hzの周波数成分を抽出するフィルタと、
該フィルタの出力に基づきモータ出力が一定になるようにモータトルクを制御する補正電流指令を出力する作成部と、
該補正電流指令に基づき前記交流電圧を制御する電動機制御部を具備することを特徴とする電気車の制御装置。 - 請求項3記載の電気車の制御装置において、
交流電圧を架線から受電し、交流電圧を前記直流電圧に変換して、前記電動機により車輪を駆動することを特徴とする電気車の制御装置。 - 直流電圧を電流指令に基づき交流電圧に変換し電動機を駆動する鉄道用車両としての電気車両において、
前記電動機の回転速度を検出又は推定する回転速度判定手段と、
検出又は推定した回転速度から、軌道回路が使用する周波数の±10Hzの周波数成分を抽出するフィルタと、
該フィルタの出力に基づきモータ出力を一定になるようにモータトルクを制御する補正電流指令を出力する作成部と、
該補正電流指令に基づき前記交流電圧指令を制御する電動機制御部を具備し、
前記電動機により車輪を駆動することを特徴とする電気車両。 - 請求項5記載の電気車両において、
前記回転速度判定手段は、前記電動機の回転速度を直接的に検出することを特徴とする電気車両。 - 請求項5記載の電気車両において、
前記回転速度判定手段は、前記電動機の回転速度を、前記電動機の電流に基づき推定することを特徴とする電気車両。 - 請求項5記載の電気車両において、
前記フィルタは15Hzから35Hz、20Hzから40Hz、40Hzから60Hz、50Hzから70Hz、73.3Hzから93.3Hz、90Hzから110Hz、110Hzから130Hzの範囲のうち、少なくとも1つの周波数範囲の成分を抽出することを特徴とする電気車両。 - 請求項5記載の電気車両において、
交流電圧を架線から受電し、交流電圧を前記直流電圧に変換して、前記電動機により車輪を駆動することを特徴とする電気車両。 - 請求項9記載の電気車両において、
前記フィルタは15Hzから35Hz、65Hzから85Hz、20Hzから40Hz、80Hzから100Hz、23.3Hzから43.3Hz、123.3Hzから143.3Hz、40Hzから60Hz、140Hzから160Hz、30Hzから50Hz、150Hzから170Hz、50Hzから70Hz、170Hzから190Hzの範囲のうち、少なくとも1つの周波数範囲の成分を抽出することを特徴とする電気車両。
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