JP7515740B2 - 電力変換装置、電動機駆動装置及び冷凍サイクル適用機器 - Google Patents

電力変換装置、電動機駆動装置及び冷凍サイクル適用機器 Download PDF

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本開示は、負荷を駆動する電動機に交流電力を供給する電力変換装置、電動機駆動装置及び冷凍サイクル適用機器に関する。
電力変換装置は、交流電源から印加される電源電圧を整流するコンバータと、コンバータの出力端に接続されるコンデンサと、コンデンサから出力される直流電圧を交流電圧に変換して電動機に印加するインバータとを備える。
下記特許文献1には、圧縮機を駆動する電動機の状態に応じて、負荷トルクの脈動成分であるトルク脈動を適切に補償することで振動の増加を抑制する技術が開示されている。
特開2016-082637号公報
冷凍サイクル適用機器の応用製品の1つである空気調和機においては、電源電流に含まれる高調波成分である電源高調波による障害を抑制するため、電源高調波に関する規制が定められている。例えば、日本国内においては、日本工業規格(JIS)によって電源高調波に対して制限値である規格値が定められている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、電源高調波に関する考慮がなされていない。このため、特許文献1の技術を使用して、電源周波数と非同期の周波数で電動機のトルク脈動の補償成分を発生させると、電源電流がその極性の正と負との間でアンバランス状態となり、電源高調波が増加して、電源高調波の一部の次数成分が規格値を超えるおそがある。従って、電源高調波の次数成分が規格値を超えないように、何らかの対応が求められる。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、電動機のトルク脈動を補償しつつ、電源高調波の次数成分が規格値を超えないように動作できる電力変換装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本開示に係る電力変換装置は、負荷を駆動する電動機に交流電力を供給する電力変換装置である。電力変換装置は、交流電源から印加される電源電圧を整流するコンバータと、コンバータの出力端に接続されるインバータとを備える。電動機は、負荷の振動を抑制する振動抑制制御の実施時に、電動機の駆動周波数が、継続的に電源電圧の周波数である電源周波数の0.5から0.75次、及び1.25から1.6次の範囲内とはならないように駆動される。
本開示に係る電力変換装置によれば、電動機のトルク脈動を補償しつつ、電源高調波の次数成分が規格値を超えないように動作できるという効果を奏する。
実施の形態1に係る電力変換装置の構成例を示す図 実施の形態1に係る電力変換装置が備えるインバータの構成例を示す図 実施の形態1に係る電動機駆動装置における振動抑制制御無しのときの動作の状態を示す図 実施の形態1に係る電動機駆動装置における振動抑制制御有りのときの動作の状態を示す図 実施の形態1に係る電力変換装置が備える制御装置の構成例を示すブロック図 一般的な振動抑制制御の実施時に電源高調波が増加する理由の説明に供する図 実施の形態1における振動抑制制御の実施時において問題となる電源高調波の周波数成分を示す図 実施の形態1に係る制御装置が備える電圧指令値演算部の構成例を示すブロック図 実施の形態1に係る電圧指令値演算部が備える補償値演算部の構成例を示すブロック図 実施の形態1に係る電圧指令値演算部が備える電源高調波規格適合判定部の構成例を示すブロック図 実施の形態1に係る判定部の動作説明に供するフローチャート 実施の形態1に係る電源高調波規格適合判定部が備える電源高調波規格値演算部の構成例を示すブロック図 実施の形態1に係る電源高調波規格値演算部が備える電流高調波限度値演算部の演算処理の説明に供する図 実施の形態1に係る電源高調波規格適合判定部が備える次数成分演算部の構成例を示すブロック図 実施の形態1に係る制御装置が備える運転制御部の構成例を示すブロック図 実施の形態1に係る周波数指令決定部の動作説明に供するフローチャート 実施の形態1に係る電圧指令値演算部が備える速度制御部及びδ軸電流指令値生成部の構成例を示すブロック図 実施の形態1に係る速度制御部及び制限部の動作説明に供するフローチャート 実施の形態1に係る電動機駆動装置において振動抑制制御を最大限に働かせたときに発生し得る電源高調波の偶数次の次数成分を規格値と比較したシミュレーション結果を示す図 実施の形態1に係る電力変換装置が備える制御装置を実現するハードウェア構成の一例を示す図 実施の形態2に係る冷凍サイクル適用機器の構成例を示す図
以下に添付図面を参照し、本開示の実施の形態に係る電力変換装置、電動機駆動装置及び冷凍サイクル適用機器について詳細に説明する。なお、以下の説明において、「接続」という文言は、構成要素同士が直接的に接続される場合と、構成要素同士が他の構成要素を介して間接的に接続される場合との双方を含んでいる。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電力変換装置2の構成例を示す図である。図2は、実施の形態1に係る電力変換装置2が備えるインバータ30の構成例を示す図である。電力変換装置2は、交流電源1及び圧縮機8に接続される。圧縮機8は、被駆動時に負荷トルクが周期的に変動する特性を有する負荷の一例である。圧縮機8は、電動機7を有する。電動機7の一例は、3相永久磁石同期電動機である。電力変換装置2は、交流電源1から印加される電源電圧を所望の振幅及び位相を有する交流電圧に変換して電動機7に印加する。電力変換装置2は、リアクタ4と、コンバータ10と、コンデンサ20と、インバータ30と、電圧検出部82と、電流検出部83,84と、制御装置100とを備える。電力変換装置2と、圧縮機8が備える電動機7とによって、電動機駆動装置50が構成される。
コンバータ10は、4つのダイオードD1,D2,D3,D4を備える。4つのダイオードD1~D4は、ブリッジ接続され、整流回路を構成する。コンバータ10は、4つのダイオードD1~D4から構成される整流回路によって、交流電源1から印加される電源電圧を整流する。コンバータ10において、入力側の一端はリアクタ4を介して交流電源1に接続され、入力側の他端は交流電源1に接続されている。また、コンバータ10において、出力側はコンデンサ20に接続されている。なお、リアクタ4は、コンバータ10とコンデンサ20との間、即ちコンバータ10の出力側に接続される構成もある。
コンバータ10は、整流機能と共に、整流電圧を昇圧する昇圧機能を有するものであってもよい。昇圧機能を有するコンバータは、ダイオードに加え、もしくはダイオードに代え、1以上のトランジスタ素子、もしくはトランジスタ素子とダイオードとが逆並列に接続された1以上のスイッチング素子を備えて構成することができる。なお、昇圧機能を有するコンバータにおけるトランジスタ素子又はスイッチング素子の配置、及び接続は公知であり、ここでの説明は省略する。
コンデンサ20は、直流母線22a,22bを介してコンバータ10の出力端に接続される。直流母線22aは正側の直流母線であり、直流母線22bは負側の直流母線である。コンデンサ20は、コンバータ10から印加される整流電圧を平滑する。コンデンサ20としては、電解コンデンサ、フィルムコンデンサなどが例示される。
インバータ30は、直流母線22a,22bを介してコンバータ10の出力端に接続されると共に、コンデンサ20の両端に接続される。インバータ30は、コンデンサ20によって平滑された直流電圧を圧縮機8への交流電圧に変換して、圧縮機8の電動機7に印加する。電動機7に印加される電圧は、周波数及び電圧値が可変の3相交流電圧である。
インバータ30は、図2に示すように、インバータ主回路310と、駆動回路350とを備える。インバータ主回路310は、スイッチング素子311~316を備える。スイッチング素子311~316の各々には、還流用の整流素子321~326が逆並列接続されている。
インバータ主回路310において、スイッチング素子311~316としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などを想定しているが、スイッチングを行うことが可能な素子であれば、どのようなものを用いてもよい。なお、スイッチング素子311~316がMOSFETの場合、MOSFETは構造上、寄生ダイオードを有するため、還流用の整流素子321~326を逆並列接続しなくても同様の効果を得ることができる。
また、スイッチング素子311~316を形成する材料については、ケイ素(Si)だけでなく、ワイドバンドギャップ半導体である炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド等を用いてもよい。ワイドバンドギャップ半導体を用いてスイッチング素子311~316を形成することにより、損失をより少なくすることが可能となる。
駆動回路350は、制御装置100から出力されるPWM(Pulse Width Modulation)信号Sm1~Sm6に基づいて、駆動信号Sr1~Sr6を生成する。駆動回路350は、駆動信号Sr1~Sr6によってスイッチング素子311~316のオンオフを制御する。これにより、インバータ30は、周波数可変、且つ電圧可変の3相交流電圧を、出力線331~333を介して電動機7に印加することができる。
PWM信号Sm1~Sm6は、論理回路の信号レベル、例えば、0V~5Vの大きさを持つ信号である。PWM信号Sm1~Sm6は、制御装置100の接地電位を基準電位とする信号である。一方、駆動信号Sr1~Sr6は、スイッチング素子311~316を制御するのに必要な電圧レベル、例えば、-15V~+15Vの大きさを持つ信号である。駆動信号Sr1~Sr6は、それぞれ対応するスイッチング素子の負側の端子、即ちエミッタ端子の電位を基準電位とする信号である。
電圧検出部82は、コンデンサ20の両端電圧を検出することで母線電圧Vdcを検出する。母線電圧Vdcは、直流母線22a,22b間の電圧である。電圧検出部82は、例えば直列接続された抵抗で分圧する分圧回路を備える。電圧検出部82は、検出した母線電圧Vdcを、分圧回路を用いて制御装置100での処理に適した電圧、例えば5V以下の電圧に変換し、アナログ信号である電圧検出信号として制御装置100に出力する。電圧検出部82から制御装置100に出力される電圧検出信号は、制御装置100内の図示しないAD(Analog to Digital)変換部によってアナログ信号からデジタル信号に変換され、制御装置100での内部処理に用いられる。
電流検出部83は、交流電源1とコンバータ10との間に流れる電流である電源電流Iinを検出する。電流検出部83は、検出した電源電流Iinを、アナログ信号である電流検出信号として制御装置100に出力する。電流検出部83から制御装置100に出力される電流検出信号は、制御装置100内の図示しないAD変換部によってアナログ信号からデジタル信号に変換され、制御装置100での内部処理に用いられる。
電流検出部84は、直流母線22bに挿入されたシャント抵抗を備える。電流検出部84は、シャント抵抗を用いて、コンデンサ出力電流idcを検出する。コンデンサ出力電流idcは、インバータ30への入力電流、即ちコンデンサ20からインバータ30に出力される電流である。電流検出部84は、検出したコンデンサ出力電流idcを、アナログ信号である電流検出信号として制御装置100に出力する。電流検出部84から制御装置100に出力される電流検出信号は、制御装置100内の図示しないAD変換部によってアナログ信号からデジタル信号に変換され、制御装置100での内部処理に用いられる。
制御装置100は、前述したPWM信号Sm1~Sm6を生成してインバータ30の動作を制御する。具体的に、制御装置100は、PWM信号Sm1~Sm6に基づいて、インバータ30の出力電圧の角周波数ωe及び電圧値を変化させる。
インバータ30の出力電圧の角周波数ωeは、電動機7の電気角での回転角速度を定めるものである。本稿では、この回転角速度も同じ符号ωeで表すことにする。電動機7の機械角での回転角速度ωmは、電動機7の電気角での回転角速度ωeを極対数Pで割ったものに等しい。従って、電動機7の機械角での回転角速度ωmと、インバータ30の出力電圧の角周波数ωeとの間には、以下の(1)式で表される関係がある。なお、本稿では、回転角速度を単に「回転速度」と称し、角周波数を単に「周波数」と称することがある。
ωm=ωe/P …(1)
次に、電動機駆動装置50における振動抑制制御及びその必要性について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、実施の形態1に係る電動機駆動装置50における振動抑制制御無しのときの動作の状態を示す図である。図4は、実施の形態1に係る電動機駆動装置50における振動抑制制御有りのときの動作の状態を示す図である。
電動機駆動装置50の適用例が、例えば空気調和機である場合、圧縮機8の振動を低減するために、電動機7のトルク脈動を補償して、電動機7の回転速度変動が小さくなるように制御することが行われる。電動機7の回転速度変動が小さくなると、圧縮機8の振動が小さくなる。このため、回転速度変動を小さくする制御は、一般的に「振動抑制制御」と呼ばれる。
図3及び図4には、圧縮機8がシングルロータリ圧縮機である場合の電動機7の機械角1回転における圧縮機8の負荷トルク、電動機7の出力トルク、電動機7の回転速度、及び制御装置100におけるトルク電流補償値の関係が示されている。図3は、制御装置100が電動機7の出力トルクを一定に制御した状態を示している。一方、図4は、制御装置100が、電動機7の出力トルクを圧縮機8の負荷トルクに一致させるようにトルク電流補償値を制御して回転速度を一定に制御した状態を示している。
図3から分かるように、制御装置100が電動機7の出力トルクを一定に制御すると、電動機7の出力トルクと圧縮機8の負荷トルクとの差で回転速度が変動する。回転速度が変動すると、圧縮機8で振動、騒音などが発生する。回転速度の変動が極端に大きくなると、電動機7が脱調し、停止する可能性がある。
そのため、実施の形態1に係る制御装置100には、電動機7の出力トルクを圧縮機8の負荷トルクに一致させるように制御する振動抑制制御の機能が具備されている。振動抑制制御の詳細については、後述する。
次に、制御装置100の構成について説明する。図5は、実施の形態1に係る電力変換装置2が備える制御装置100の構成例を示すブロック図である。制御装置100は、運転制御部102と、インバータ制御部110とを備える。また、インバータ制御部110は、電流復元部111と、3相2相変換部112と、γ軸電流指令値生成部113と、電圧指令値演算部115と、電気位相演算部116と、2相3相変換部117と、PWM信号生成部118とを備える。
運転制御部102は、外部から指令情報Qeを受ける。運転制御部102は、指令情報Qeに基づいて、周波数指令値ωe*を生成する。周波数指令値ωe*は、以下の(2)式に示すように、電動機7の機械角での回転速度の指令値である回転速度指令値ωm*に極対数Pを乗算することで求めることができる。
ωe*=ωm*×P …(2)
制御装置100は、冷凍サイクル適用機器としての空気調和機を制御する場合、指令情報Qeに基づいて、空気調和機の各部の動作を制御する。指令情報Qeは、例えば、図示しない温度センサで検出された温度、図示しない操作部であるリモコンから指示される設定温度を示す情報、運転モードの選択情報、運転開始及び運転終了の指示情報などである。運転モードとは、例えば、暖房、冷房、除湿などである。
また、運転制御部102は、電圧指令値演算部115から周波数指令値変更フラグωe*_c_flagを受ける。周波数指令値変更フラグωe*_c_flagは、論理値であり、周波数指令値ωe*の変更の要否を示す情報が付されたフラグである。運転制御部102は、周波数指令値変更フラグωe*_c_flagの値に応じて、要すれば、指令情報Qeに基づいて生成した周波数指令値ωe*の値を変更する。周波数指令値変更フラグωe*_c_flagの詳細、及び周波数指令値ωe*の値をどのように変更するかについては、後述する。
電流復元部111は、電流検出部84で検出されたコンデンサ出力電流idcに基づいて、電動機7に流れる相電流iu,iv,iwを復元する。電流復元部111は、電流検出部84で検出されたコンデンサ出力電流idcの検出値を、PWM信号生成部118で生成されたPWM信号Sm1~Sm6に基づいて定められるタイミングでサンプリングすることによって、相電流iu,iv,iwを復元することができる。なお、出力線331~333に電流検出器を設け、相電流iu,iv,iwを直接検出して3相2相変換部112に入力してもよい。この構成の場合、電流復元部111は不要である。
3相2相変換部112は、電流復元部111で復元された相電流iu,iv,iwを、後述する電気位相演算部116で生成された電気位相θeを用いて、励磁電流であるγ軸電流iγ、及びトルク電流であるδ軸電流iδ、即ちγ-δ軸の電流値に変換する。
γ軸電流指令値生成部113は、δ軸電流iδに基づいて、励磁電流指令値であるγ軸電流指令値iγ*を生成する。より詳細に説明すると、γ軸電流指令値生成部113は、δ軸電流iδに基づいて、電動機7の出力トルクが設定値以上もしくは最大値となる電流位相角を求め、求めた電流位相角に基づいて、γ軸電流指令値iγ*を演算する。なお、電動機7の出力トルクに代えて、電動機7に流れる電動機電流を用いてもよい。この場合、電動機7に流れる電動機電流が設定値以下もしくは最小値となる電流位相角に基づいて、γ軸電流指令値iγ*が演算される。
また、図5では、δ軸電流iδに基づいてγ軸電流指令値iγ*を求める構成が示されているが、この構成に限定されない。δ軸電流iδに代え、γ軸電流iγに基づいてγ軸電流指令値iγ*を求めてもよい。また、γ軸電流指令値生成部113は、弱め磁束制御によってγ軸電流指令値iγ*を決定してもよい。
電圧指令値演算部115は、運転制御部102から取得した周波数指令値ωe*と、3相2相変換部112から取得したγ軸電流iγ及びδ軸電流iδと、γ軸電流指令値生成部113から取得したγ軸電流指令値iγ*とに基づいて、γ軸電圧指令値Vγ*及びδ軸電圧指令値Vδ*を生成する。また、電圧指令値演算部115は、γ軸電圧指令値Vγ*と、δ軸電圧指令値Vδ*と、γ軸電流iγと、δ軸電流iδとに基づいて、周波数推定値ωestを推定する。更に、電圧指令値演算部115は、γ軸電流iγと、δ軸電流iδと、電流検出部83から取得した電源電流Iinとに基づいて、前述した周波数指令値変更フラグωe*_c_flagを生成する。
電気位相演算部116は、電圧指令値演算部115から取得した周波数推定値ωestを積分することで、電気位相θeを演算する。
2相3相変換部117は、電圧指令値演算部115から取得したγ軸電圧指令値Vγ*及びδ軸電圧指令値Vδ*、即ち2相座標系の電圧指令値を、電気位相演算部116から取得した電気位相θeを用いて、3相座標系の出力電圧指令値である3相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換する。
PWM信号生成部118は、2相3相変換部117から取得した3相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*と、電圧検出部82で検出された母線電圧Vdcとを比較することによって、PWM信号Sm1~Sm6を生成する。なお、PWM信号生成部118は、PWM信号Sm1~Sm6を出力しないようにすることによって、電動機7を停止させることも可能である。
次に、前述した振動抑制制御の実施時において、電源高調波が増加する理由について説明する。図6は、一般的な振動抑制制御の実施時に電源高調波が増加する理由の説明に供する図である。
まず、負荷が、例えばシングルロータリ圧縮機、スクロール圧縮機、ツインロータリ圧縮機といったトルク脈動を有する負荷である場合、振動抑制制御が行われる。一般的な振動抑制制御では、電動機7の出力トルクが圧縮機8のトルク脈動に追従するようにトルク電流補償値を発生させてインバータ30を制御することが行われる。しかしながら、この制御を単純に行うと、[発明が解決しようとする課題]の項においても説明したように、電源電流Iinがその極性の正と負との間でアンバランス状態となり、電源高調波が増加して、電源高調波の一部の次数成分が規格値を超えてしまうという問題が生ずる。
図6には、上段部から順に、電源電圧Vin、電源電流Iin及びコンデンサ出力電流idcの波形が示されている。図6の横軸は時間を表している。
図6の中段部には、電源電流Iinにおける正側の波形のピーク値と負側の波形のピーク値とが異なる様子、即ち電源電流Iinの極性の正負間でピーク値がアンバランスとなる状態が示されている。このようなアンバランスが生じると、下段部に示されるように、コンデンサ出力電流idcに脈動が生ずる。これにより、電源電流Iinには、多くの高調波成分が含まれるようになる。
上述したように、電動機7のトルク脈動を補償する振動抑制制御を実施すると、電源高調波の一部の次数成分が規格値を超えるおそがある。そこで、実施の形態1に係る電力変換装置2が備える制御装置100は、振動抑制制御の実施時に電源高調波の次数成分が規格値を超えないように電力変換装置2を動作させる制御を行う。
次に、振動抑制制御の実施時に問題となる電源高調波の周波数成分について説明する。まず、電源電流Iinにおける支配的な交流成分を列挙すると、以下の通りである。
・電源1f、電源3f、電源5f
・電源1f-{電源1f-|電源1f-駆動周波数|}…(3-1)
・電源1f+{電源1f-|電源1f-駆動周波数|}…(3-2)
・電源3f-{電源1f-|電源1f-駆動周波数|}…(3-3)
・電源3f+{電源1f-|電源1f-駆動周波数|}…(3-4)
・電源5f-{電源1f-|電源1f-駆動周波数|}…(3-5)
・電源5f+{電源1f-|電源1f-駆動周波数|}…(3-6)
・電源1f-{電源1f-|電源1f-駆動周波数×2|}…(3-7)
・電源1f+{電源1f-|電源1f-駆動周波数×2|}…(3-8)
・電源3f-{電源1f-|電源1f-駆動周波数×2|}…(3-9)
・電源3f+{電源1f-|電源1f-駆動周波数×2|}…(3-10)
・電源5f-{電源1f-|電源1f-駆動周波数×2|}…(3-11)
・電源5f+{電源1f-|電源1f-駆動周波数×2|}…(3-12)
上記において、駆動周波数は、電動機7の機械角での回転速度に対応する周波数である。駆動周波数は、制御装置100によって制御される電動機7の機械角周波数と同義である。なお、機械角周波数の単位を「Hz」とし、電動機7の機械角での回転速度の単位を「rps」とするとき、両者の値は等しくなる。
また、上記において、「電源1f」は、電源周波数の1倍、即ち電源周波数と同じ周波数の成分である。また、「電源3f」は電源周波数の3倍の成分であり、「電源5f」は電源周波数の5倍の成分である。また、上記(3-1)~(3-12)式の各周波数成分は、各々の演算式に従って演算される周波数成分である。例えば、上記(3-1)式は、電源1fから駆動周波数を引いた値の絶対値を電源1fから引き、その引き算の値を更に電源1fから引くことで求めた周波数成分である。なお、上記では、電源1f、電源3f及び電源5fに関係する交流成分のみを示しているが、これらは支配的な交流成分の一例であり、これらの例に限定されない。
図7には、電源電流Iinにおける支配的な周波数成分のうちで、振動抑制制御の実施時において問題となる電源高調波の周波数成分が次数ごとに区分されて示されている。即ち、図7は、実施の形態1における振動抑制制御の実施時において問題となる電源高調波の周波数成分を示す図である。
図7において、表側には、電動機7の回転速度が5[rps]刻みで0から100[rps]まで記載され、表頭には、2次から6次までの電源高調波の次数成分が記載されている。なお、電源周波数は50「Hz」としている。また、各n次(nは2以上の整数)の次数成分は、(n-1).5次~n.5次までの11個の高調波成分を含むものとして示されている。例えばn=2、即ち2次の場合、(n-1).5次~n.5次に対応する周波数は、1.5次(75[Hz])、1.6次(80[Hz])、…、2.0次(100[Hz])、…、2.4次(120[Hz])、及び2.5次(125[Hz])の11個の高調波成分である。
ここで、図7の表の数値の意味について説明する。図7には、回転速度30[rps]の2次成分として、数値列“80,120(90,110)”が記載されている。括弧が付されていない数値は、駆動周波数×1、即ち駆動周波数の1倍の周波数によって生じる成分であり、括弧が付されている数値は、駆動周波数×2、即ち駆動周波数の2倍の周波数によって生じる成分であることを示している。なお、駆動周波数の2倍の周波数によって生じる成分は、駆動周波数の1倍の周波数によって生じる成分に比べて小さい。
上記の数値列において、数値“80”は、上記の(3-2)式によって生じる成分である。具体的に、電源1f=50[Hz]、駆動周波数(=回転速度)=30[Hz]の値を上記(3-2)式に代入すると、50+{50-|50-30|}=80[Hz]が得られる。また、数値“120”は、上記の(3-3)式によって生じる成分である。具体的に、電源3f=150[Hz]、駆動周波数=30[Hz]の値を上記(3-3)式に代入すると、150-{50-|50-30|}=120[Hz]が得られる。また、括弧内の数値“90”は、上記の(3-8)式によって生じる成分である。具体的に、電源1f=50[Hz]、駆動周波数×2=60[Hz]の値を上記(3-8)式に代入すると、50+{50-|50-60|}=90[Hz]が得られる。また、括弧内の数値“110”は、上記の(3-9)式によって生じる成分である。具体的に、電源3f=150[Hz]、駆動周波数×2=60[Hz]の値を上記(3-9)式に代入すると、150-{50-|50-60|}=110[Hz]が得られる。他の表中の成分も同様に説明できる。
圧縮機8が、例えばシングルロータリ圧縮機である場合、前述したように機械角1周期中に1回の脈動が起きる。このようなシングルロータリ圧縮機の場合、0~25[rps]のような低速域において振動抑制制御を行う場合、電動機7の回転速度が瞬間的に0[rps]まで低下するおそれがあり、このような低速域での運転は困難である。なお、低速域では電源電流Iinの大きさ自体が小さいので、電源高調波の次数成分が電源高調波の規格値を超えることは殆どないと考えてよい。
また、25~40[rps]の中速域では、振動抑制制御を行いつつ、電動機7の回転速度の維持が可能であるが、電源電流Iinは低速域に比べて大きくなる。図7の表中の30,35[rps]における回転速度の2次から6次の成分を見ると、電源電流Iinの支配的な成分が偶数次に偏っていることが分かる。即ち、電動機7の回転速度が30,35[rps]である場合、偶数次の高調波成分が厳しくなることが分かる。なお、電源周波数が50[Hz]である場合において、30,35[rps]の回転速度は、電源周波数の0.6次、0.7次に相当する。
また、電源周波数の倍数成分である50,100,150[Hz]に近い周波数成分ほど、電源高調波の大きさは小さくなる。一方、電動機7の回転速度が電源周波数の倍数成分の中間である25,75[rps]の場合、電源高調波の大きさは奇数次及び偶数次共に大きくなり、電源高調波の次数成分が電源高調波規格値を超えるおそれがある。25,75[rps]の回転速度は、電源周波数の0.5次、1.5次に相当する。
また、図7の表中の65,70[rps]の回転速度に着目すると、30,35[rps]の回転速度と同様に、電源電流Iinの支配的な成分が偶数次に偏っている。即ち、電動機7の回転速度が65,70[rps]である場合も、偶数次の高調波成分が厳しくなることが分かる。65,70[rps]の回転速度は、電源周波数の1.3次、1.4次に相当する。
また、図7の表中の80,85[rps]の回転速度に着目すると、電源電流Iinの支配的な成分が偶数次ではなく奇数次に偏っていることが示されている。80,85[rps]の回転速度は、電源周波数の1.6次、1.7次に相当する。
以上のことから、電源電流Iinの高調波の次数成分が電源高調波規格を満たすように電動機駆動装置50を運転させたい場合、以下の駆動周波数を回避して運転する手法が考えられる。
<回避すべき駆動周波数>
・電源周波数の0.5~0.8次、及び1.3~1.7次
例えば、電源周波数が50[Hz]である場合、電源周波数の0.5~0.8次、及び1.3~1.7次は、25~40[Hz]、及び65~85[Hz]に対応する。また、電源周波数が60[Hz]である場合、電源周波数の0.5~0.8次、及び1.3~1.7次は、30~48[Hz]、及び78~102[Hz]に対応する。
なお、上記で示した電源周波数の範囲については、より厳密的な意味を持たせるため、本稿の後半部において、具体的なシミュレーション結果と共に、回避すべき駆動周波数の好ましい範囲を提示する。
上記では、予め定めた駆動周波数を回避することで、電源電流Iinの高調波の次数成分が電源高調波規格を満たすようにする手法について説明したが、他の手法も考えられる。例えば、電源電流Iinの高調波の次数成分が電源高調波規格を満たしていなければ、駆動周波数を変更する制御も考えられる。以下、この手法について、詳細に説明する。
まず、図8は、実施の形態1に係る制御装置100が備える電圧指令値演算部115の構成例を示すブロック図である。図8に示すように、電圧指令値演算部115は、周波数推定部501と、減算部502,509,510と、速度制御部503と、振動抑制制御部800と、電源高調波規格適合判定部506と、γ軸電流制御部511と、δ軸電流制御部512とを備えている。
周波数推定部501は、γ軸電流iγと、δ軸電流iδと、γ軸電圧指令値Vγ*と、δ軸電圧指令値Vδ*とに基づいて、電動機7に印加される電圧の周波数を推定し、推定した周波数を周波数推定値ωestとして出力する。
減算部502は、周波数指令値ωe*に対する、周波数推定部501で推定された周波数推定値ωestとの差分(ωe*-ωest)を算出する。
速度制御部503は、回転座標系におけるトルク電流指令値であるδ軸電流指令値iδ*を生成する。より詳細に説明すると、速度制御部503は、減算部502で算出された差分(ωe*-ωest)に対して、比例積分演算、即ちPI(Proportional Integral)制御を行って、差分(ωe*-ωest)をゼロに近付けるδ軸電流指令値iδ*を演算する。
振動抑制制御部800は、速度制御部503から取得したδ軸電流指令値iδ*と、周波数推定部501から取得した周波数推定値ωestとに基づいて、負荷である圧縮機8の振動を抑制する振動抑制制御を行う。この機能を実現するため、振動抑制制御部800は、δ軸電流指令値生成部504と、補償値演算部505とを備えている。
補償値演算部505は、周波数推定値ωestに基づいて、振動抑制制御の補償値であるδ軸電流補償値iδ_trq*を生成する。具体的には、補償値演算部505は、電動機7の出力トルクが圧縮機8の負荷トルクの周期的変動に追従するようにδ軸電流補償値iδ_trq*を生成する。δ軸電流補償値iδ_trq*は、周波数推定値ωestの脈動成分、特に周波数がωmnである脈動成分を抑制するための制御量の成分である。ここで、「周波数推定値ωestの脈動成分、特に周波数がωmnである脈動成分」とは、周波数推定値ωestを表す値である直流量の脈動成分、特に脈動周波数がωmnである脈動成分を意味する。なお、mは直流量に関係するパラメータであり、nは電動機7が駆動する負荷である圧縮機8を示すパラメータである。nについては、例えば、圧縮機8がシングルロータリ圧縮機である場合は1とし、ツインロータリ圧縮機である場合は2とする。このnは3以上であってもよい。なお、本稿では、δ軸電流補償値iδ_trq*を「トルク電流補償値」又は単に「補償値」と呼ぶことがある。
δ軸電流指令値生成部504は、δ軸電流指令値iδ*と、δ軸電流補償値iδ_trq*とに基づいて、δ軸電流指令値iδ**を生成する。δ軸電流指令値iδ**は、δ軸電流補償値iδ_trq*によって補償されたトルク電流指令値である。なお、本稿において、δ軸電流指令値iδ*及びδ軸電流指令値iδ**を符号無しで区別する場合には、δ軸電流指令値iδ*を「第1のδ軸電流指令値」と呼び、δ軸電流指令値iδ**を「第2のδ軸電流指令値」と呼ぶ。
電源高調波規格適合判定部506は、γ軸電流iγと、δ軸電流iδと、γ軸電圧指令値Vγ*と、δ軸電圧指令値Vδ*と、電源電流Iinとに基づいて、周波数指令値変更フラグωe*_c_flagを生成する。前述したように、周波数指令値変更フラグωe*_c_flagは、周波数指令値ωe*の変更の要否を示す情報が付されたフラグである。なお、本稿では、「電源高調波規格適合判定部」を、単に「適合判定部」と呼び、周波数指令値変更フラグωe*_c_flagを、単に「フラグ」と呼ぶことがある。
減算部509は、γ軸電流指令値iγ*に対するγ軸電流iγの差分(iγ*-iγ)を算出する。減算部510は、δ軸電流指令値iδ**に対するδ軸電流iδの差分(iδ**-iδ)を算出する。
γ軸電流制御部511は、減算部509で算出された差分(iγ*-iγ)に対して比例積分演算を行って、差分(iγ*-iγ)をゼロに近付けるγ軸電圧指令値Vγ*を生成する。γ軸電流制御部511は、このようなγ軸電圧指令値Vγ*を生成することで、γ軸電流iγをγ軸電流指令値iγ*に一致させる制御を行う。
δ軸電流制御部512は、減算部510で算出された差分(iδ**-iδ)に対して比例積分演算を行って、差分(iδ**-iδ)をゼロに近付けるδ軸電圧指令値Vδ*を生成する。δ軸電流制御部512は、このようなδ軸電圧指令値Vδ*を生成することで、δ軸電流iδをδ軸電流指令値iδ**に一致させる制御を行う。前述したように、δ軸電流制御部512に入力されるδ軸電流指令値iδ**には、補償値演算部505から取得したδ軸電流補償値iδ_trq*が含まれている。従って、δ軸電流制御部512が、δ軸電流補償値iδ_trq*に基づいて生成したδ軸電圧指令値Vδ*に基づいてインバータ30を制御することで、コンデンサ出力電流idcの脈動を抑制することができる。
次に、補償値演算部505の構成について説明する。図9は、実施の形態1に係る電圧指令値演算部115が備える補償値演算部505の構成例を示すブロック図である。補償値演算部505は、演算部550と、余弦演算部551と、正弦演算部552と、乗算部553,554と、ローパスフィルタ555,556と、減算部557,558と、周波数制御部559,560と、乗算部561,562と、加算部563とを備える。
演算部550は、周波数推定値ωestを積分し、極対数Pで除算することによって電動機7の回転位置を示す機械角位相θmnを算出する。余弦演算部551は、機械角位相θmnに基づいて、余弦値cosθmnを算出する。正弦演算部552は、機械角位相θmnに基づいて、正弦値sinθmnを算出する。
乗算部553は、周波数推定値ωestに余弦値cosθmnを乗算し、周波数推定値ωestの余弦成分ωest・cosθmnを算出する。乗算部554は、周波数推定値ωestに正弦値sinθmnを乗算し、周波数推定値ωestの正弦成分ωest・sinθmnを算出する。乗算部553,554で算出される余弦成分ωest・cosθmn及び正弦成分ωest・sinθmnには、周波数がωmnである脈動成分の他、周波数がωmnより高い周波数の脈動成分、即ち高調波成分が含まれている。
ローパスフィルタ555,556は、伝達関数が1/(1+s・Tf)で表される一次遅れフィルタである。ここで、sはラプラス演算子である。Tfは時定数であり、周波数ωmnよりも高い周波数の脈動成分を除去するように定められる。なお、「除去」には、脈動成分の一部が減衰、即ち低減される場合が含まれるものとする。時定数Tfについては、速度指令値に基づいて運転制御部102で設定され、運転制御部102がローパスフィルタ555,556に通知してもよいし、ローパスフィルタ555,556が保持していてもよい。ローパスフィルタ555,556については、一次遅れフィルタは一例であって、移動平均フィルタなどであってもよいし、高周波側の脈動成分を除去できればフィルタの種類は限定されない。
ローパスフィルタ555は、余弦成分ωest・cosθmnに対してローパスフィルタリングを行なって、周波数ωmnよりも高い周波数の脈動成分を除去し、低周波数成分ωest_cを出力する。低周波数成分ωest_cは、周波数推定値ωestの脈動成分のうち、周波数がωmnである余弦成分を表す直流量である。
ローパスフィルタ556は、正弦成分ωest・sinθmnに対してローパスフィルタリングを行なって、周波数ωmnよりも高い周波数の脈動成分を除去し、低周波数成分ωest_sを出力する。低周波数成分ωest_sは、周波数推定値ωestの脈動成分のうち、周波数がωmnである正弦成分を表す直流量である。
減算部557は、ローパスフィルタ555から出力された低周波数成分ωest_cとゼロとの差分(ωest_c-0)を算出する。減算部558は、ローパスフィルタ556から出力された低周波数成分ωest_sとゼロとの差分(ωest_s-0)を算出する。
周波数制御部559は、減算部557で算出された差分(ωest_c-0)に対して比例積分演算を行って、差分(ωest_c-0)をゼロに近付ける電流指令値の余弦成分iδ_trq_cを算出する。周波数制御部559は、このようにして余弦成分iδ_trq_cを生成することで、低周波数成分ωest_cをゼロに一致させるための制御を行う。
周波数制御部560は、減算部558で算出された差分(ωest_s-0)に対して比例積分演算を行って、差分(ωest_s-0)をゼロに近付ける電流指令値の正弦成分iδ_trq_sを算出する。周波数制御部560は、このようにして正弦成分iδ_trq_sを生成することで、低周波数成分ωest_sをゼロに一致させるための制御を行う。
乗算部561は、周波数制御部559から出力された余弦成分iδ_trq_cに余弦値cosθmnを乗算してiδ_trq_c・cosθmnを生成する。iδ_trq_c・cosθmnは、周波数n・ωestを持つ交流成分である。
乗算部562は、周波数制御部560から出力された正弦成分iδ_trq_sに正弦値sinθmnを乗算してiδ_trq_s・sinθmnを生成する。iδ_trq_s・sinθmnは、周波数n・ωestを持つ交流成分である。
加算部563は、乗算部561から出力されたiδ_trq_c・cosθmnと、乗算部562から出力されたiδ_trq_s・sinθmnとの和を求める。補償値演算部505は、加算部563で求められたものを、δ軸電流補償値iδ_trq*として出力する。
次に、電源高調波規格適合判定部506の構成について説明する。図10は、実施の形態1に係る電圧指令値演算部115が備える電源高調波規格適合判定部506の構成例を示すブロック図である。電源高調波規格適合判定部506は、電源高調波規格値演算部701と、次数成分演算部702と、判定部703とを備える。
電源高調波規格値演算部701は、γ軸電流iγと、δ軸電流iδと、γ軸電圧指令値Vγ*と、δ軸電圧指令値Vδ*とに基づいて、電源高調波規格値Iin_lim_nを演算する。電源高調波規格値Iin_lim_nは、ある特定の周波数成分が電源高調波規格を満たしているかを判定するための閾値である。電源高調波規格値Iin_lim_nは、判定部703に入力される。
次数成分演算部702は、電流検出部83から取得した電源電流Iinに基づいて、電源電流Iinに含まれる特定の次数の高調波成分である次数成分Iin_nを演算する。次数成分演算部702が演算する次数成分Iin_nは、電源高調波規格値演算部701が演算する電源高調波規格値Iin_lim_nと比較するためのものであり、それぞれの高調波成分の次数は同じである。次数成分Iin_nは、判定部703に入力される。
図11は、実施の形態1に係る判定部703の動作説明に供するフローチャートである。判定部703は、電源高調波規格値演算部701から電源高調波規格値Iin_lim_nを受領し、次数成分演算部702から次数成分Iin_nを受領する(ステップS11)。判定部703は、1又は複数の特定の次数成分Iin_nと、対応する電源高調波規格値Iin_lim_nとを比較し(ステップS12)、1又は複数の特定の次数成分Iin_nに対し、全ての次数成分Iin_nにおいて、Iin_n<Iin_lim_nが成り立つか否かを判定する(ステップS13)。全ての次数成分Iin_nにおいて、Iin_n<Iin_lim_nが成り立つ場合(ステップS13,Yes)、電源高調波規格値演算部701は、周波数指令値変更フラグωe*_c_flagに論理値0を設定し(ステップS14)、設定した周波数指令値変更フラグωe*_c_flagを出力する(ステップS16)。一方、全ての次数成分Iin_nにおいて、Iin_n<Iin_lim_nが成り立たない場合(ステップS13,No)、即ち少なくとも1つの次数成分Iin_nにおいて、Iin_n≧Iin_lim_nが成り立つ場合には、周波数指令値変更フラグωe*_c_flagに論理値1を設定し(ステップS15)、設定した周波数指令値変更フラグωe*_c_flagを出力する(ステップS16)。ここでの論理値1は、周波数指令値ωe*の変更を指示する情報である。
なお、図11のフローでは、全ての次数成分Iin_nにおいて、Iin_n<Iin_lim_nが成り立つ場合には論理値0を設定し、少なくとも1つの次数成分Iin_nにおいて、in_lim_n≧Iin_lim_nが成り立つ場合には論理値1を設定しているが、この処理に限定されない。全ての次数成分Iin_nにおいて、Iin_n<Iin_lim_nが成り立つ場合には論理値1を設定し、少なくとも1つの次数成分Iin_nにおいて、in_n≧Iin_lim_nが成り立つ場合には論理値0を設定してもよい。即ち、両者を識別できるのであれば、どのような論理値を設定してもよい。
次に、電源高調波規格値演算部701について説明する。図12は、実施の形態1に係る電源高調波規格適合判定部506が備える電源高調波規格値演算部701の構成例を示すブロック図である。電源高調波規格値演算部701は、電動機電力演算部751と、電流高調波限度値演算部752と、係数乗算部753とを備える。
まず、電動機電力演算部751は、以下の(4)式を用いて電動機電力Wを演算する。
W=Vγ*・iγ+Vδ*・iδ …(4)
電流高調波限度値演算部752は、電動機電力Wに基づいて電流高調波限度値を演算する。係数乗算部753は、電流高調波限度値演算部752が演算した電流高調波限度値に対して、どの程度のマージンを見込んだ値とするかを決める係数K1を乗算する。係数乗算部753による演算結果は、前述した電源高調波規格値Iin_lim_nとして出力される。
次に、電流高調波限度値演算部752による具体的な演算例を説明する。図13は、実施の形態1に係る電源高調波規格値演算部701が備える電流高調波限度値演算部752の演算処理の説明に供する図である。図13には、JIS_C_61000-3-2に規定されている600W超の空気調和機に適用する限度値の計算手順を示す表が示されている。具体的に、図13の左側には、3次~39次までの奇数次高調波の最大許容高調波電流の計算式と、2次~40次までの偶数次高調波の最大許容高調波電流の計算式とが示されている。例えば、5次の最大許容高調波電流は、上記(4)式を用いて演算した電動機電力Wを“1.14+0.00070(W-600)”の式に代入して電流高調波限度値を計算する。なお、式中の数値“1.14”については、機器の定格電圧に基づき、右側の枠内に示されている換算式を用いて換算する。計算例が示されているように、定格電圧が100Vである場合には“1.14”に代えて“2.62”を使用し、定格電圧が200Vである場合には“1.14”に代えて“1.31”を使用する。また、定格電圧が200V、230V、240Vの場合には、“1.14”をそのまま使用する。
なお、図13は一例であり、電流高調波限度値の演算はこの例に限定されない。γ軸電圧指令値Vγ*及びδ軸電圧指令値Vδ*に代えて、d軸電圧指令値Vd*、q軸電圧指令値Vq*、d軸電流id及びq軸電流iqを用いて演算してもよい。また、電動機電力演算部751と電流高調波限度値演算部752との間にLPF(Low Pass Filter)を入れ、電動機電力Wの演算値に含まれる高調波を除去してから、上述した演算を行ってもよい。また、図13では、2次~40次までの高調波成分の演算を行っているが、これらの高調波成分に加え、40次を超える高調波成分の演算を行ってもよい。
次に、次数成分演算部702について説明する。図14は、実施の形態1に係る電源高調波規格適合判定部506が備える次数成分演算部702の構成例を示すブロック図である。次数成分演算部702は、第1の演算ブロック702-1と、第2の演算ブロック702-2とを備える。
第1の演算ブロック702-1は、電源電流Iinに基づいて、(n-1).5次~n.5次(nは2以上の整数)の実効値Iin_xを演算する。例えばn=3、即ち3次の高調波成分の場合、(n-1).5次~n.5次の高調波成分は、2.5次、2.6次、…、3.0次、…、3.4次、及び3.5次の11個の高調波成分である。第1の演算ブロック702-1では、高調波成分の周波数に同期した位相角θxの余弦値cosθx及び正弦値sinθxが電源電流Iinの検出値に乗算され、ローパスフィルタを通すことで直交成分Iin_c,Iin_sが演算される。更に、直交成分Iin_c,Iin_sの2乗平方根が演算され、1/√2を乗算することで、(n-1).5次~n.5次の実効値Iin_xが演算される。
第2の演算ブロック702-2では、(n-1).5次~n.5次の各々の実効値Iin_xが2乗され、それらの2乗値を加算した加算値の平方根を演算することで、次数成分Iin_nが演算される。なお、加算処理においては、11個の高調波成分の両端に位置する(n-1).5次及びn.5次の成分は、隣接する次数間で重複するため、1/2を乗算してから加算される。
なお、図14の演算例は一例であり、次数成分Iin_nの演算はこの例に限定されない。各次の高調波成分を更に細かく区分して演算してもよい。また、電流高調波限度値の演算と同様に、40次を超える高調波成分の演算を行ってもよい。
次に、運転制御部102について説明する。図15は、実施の形態1に係る制御装置100が備える運転制御部102の構成例を示すブロック図である。運転制御部102は、周波数指令決定部760を備える。周波数指令決定部760は、周波数指令値変更フラグωe*_c_flagの値に応じて、要すれば周波数指令値ωe*を変更する制御を行う。
図16は、実施の形態1に係る周波数指令決定部760の動作説明に供するフローチャートである。周波数指令決定部760は、電圧指令値演算部115から周波数指令値変更フラグωe*_c_flagを受領する(ステップS21)。周波数指令決定部760は、周波数指令値変更フラグωe*_c_flagの内容を確認する(ステップS22)。周波数指令値変更フラグωe*_c_flagが論理値1である場合(ステップS22,Yes)、周波数指令決定部760は、周波数指令値ωe*を変更する(ステップS23)。一方、周波数指令値変更フラグωe*_c_flagが論理値1ではない場合(ステップS22,No)、即ち周波数指令値変更フラグωe*_c_flagが論理値0である場合、周波数指令決定部760は、周波数指令値ωe*を変更せず、現在の周波数指令値ωe*を維持する(ステップS24)。周波数指令決定部760は、ステップS23で変更された周波数指令値ωe*、又はステップS24で維持された周波数指令値ωe*を電圧指令値演算部115に出力する(ステップS25)。
なお、ステップS23において、周波数指令値ωe*の変更には、どのような手法が用いられてもよい。例えば、予め設定されたステップ幅で周波数指令値ωe*を変更してもよい。但し、前述した回避すべき駆動周波数の範囲内での運転が継続しないように、周波数指令値ωe*を変更すべきことは言うまでも無い。
次に、速度制御部503及びδ軸電流指令値生成部504について説明する。図17は、実施の形態1に係る電圧指令値演算部115が備える速度制御部503及びδ軸電流指令値生成部504の構成例を示すブロック図である。なお、図17では、前段の減算部502も含めている。
速度制御部503は、前述した回転座標系におけるδ軸電流指令値iδ*を生成する。具体的に、速度制御部503は、比例制御部611と、積分制御部612と、加算部613と、を備える。比例制御部611は、減算部502から取得した、周波数指令値ωe*と周波数推定値ωestとの差分(ωe*-ωest)に対して比例制御を行い、比例項iδ_p*を出力する。積分制御部612は、減算部502から取得した、周波数指令値ωe*と周波数推定値ωestとの差分(ωe*-ωest)に対して積分制御を行い、積分項iδ_i*を出力する。加算部613は、比例制御部611から取得した比例項iδ_p*と、積分制御部612から取得した積分項iδ_i*とを加算して、δ軸電流指令値iδ*を生成する。
また、δ軸電流指令値生成部504は、制限部504aと、振動抑制部504bと、を備える。
制限部504aは、記憶部631と、選択部632と、リミッタ633と、を備える。記憶部631は、リミッタ値iδ_lim1,iδ_lim2を記憶している。即ち、制限部504aは、リミッタ値iδ_lim1,iδ_lim2を有している。選択部632は、記憶部631に記憶されているリミッタ値iδ_lim1,iδ_lim2の何れかを選択し、リミッタ値iδ_limとする。リミッタ633は、速度制御部503で生成されたδ軸電流指令値iδ*に対して、リミッタ値iδ_limで制限したものをδ軸電流指令値iδ_lim*として出力する。
リミッタ値iδ_lim1は、電動機7の回転速度が低速領域の場合において、電動機7の電流値に基づいて制限をかけることを想定したものである。このリミッタ値iδ_lim1は、電動機7の相電流に対する電流制限値、及びγ軸電流iγに基づいて規定することができる。また、リミッタ値iδ_lim2は、電動機7の回転速度が中高速領域の場合において、電動機7の電圧値に基づいて制限をかけることを想定したものである。リミッタ値iδ_lim2は、γδ軸電圧の制限値、回転座標系のγ軸及びδ軸インダクタンス、γ軸電流iγ、電動機7のγδ軸磁束鎖交数及び角周波数ωeに基づいて規定することができる。
なお、リミッタ値iδ_lim1,iδ_lim2の算出式は公知であり、ここでの更なる説明は割愛する。また、制限部504aは、リミッタ値iδ_lim1,iδ_lim2について、自身で演算して求めたものを記憶部631に記憶させてもよいし、外部、例えば、運転制御部102から取得して記憶部631に記憶させてもよい。
振動抑制部504bは、δ軸電流指令値iδ_lim*、リミッタ値iδ_lim及びδ軸電流補償値iδ_trq*を用いて、δ軸電流指令値iδ**を生成する。具体的に、振動抑制部504bは、減算部641と、リミッタ643と、加算部644とを備える。
減算部641は、制限部504aから取得したリミッタ値iδ_limとδ軸電流指令値iδ_lim*との差分を算出し、δ軸電流補償値iδ_trq*に対するリミッタ値iδ_trq_limを算出する。
リミッタ643は、δ軸電流補償値iδ_trq*に対して、リミッタ値iδ_trq_limで制限したものをリミッタ後のδ軸電流補償値iδ_trq_lim*として出力する。加算部644は、δ軸電流指令値iδ_lim*と、リミッタ後のδ軸電流補償値iδ_trq_lim*とを加算して、δ軸電流指令値Iδ**を生成する。
図17に示す例では、δ軸電流指令値生成部504は、前端に制限部504aを設け、後段に振動抑制部504bを設けている。これにより、δ軸電流指令値生成部504は、速度指令に追従できる分のδ軸電流指令を確保しつつ、余っている分を振動抑制制御のδ軸電流指令に使うことができる。
図18は、実施の形態1に係る速度制御部503及び制限部504aの動作説明に供するフローチャートである。速度制御部503は、周波数指令値ωe*と周波数推定値ωestとの差分(ωe*-ωest)からδ軸電流指令値iδ*を生成する(ステップS31)。制限部504aは、リミッタ値iδ_limがδ軸電流指令値iδ*より小さい場合(ステップS32,No)、積分制御部612の積分項iδ_i*を低減させる(ステップS33)。具体的に、制限部504aのリミッタ633は、「iδ_i*=iδ_lim-iδ_p*」、即ち積分項iδ_i*の値をiδ_lim-iδ_p*にすることを速度制御部503の積分制御部612に指示する。一方、リミッタ値iδ_limがδ軸電流指令値iδ*以上の場合(ステップS32:Yes)、制限部504aのリミッタ633は、積分制御部612には指示をせず、速度制御部503から出力されるδ軸電流指令値iδ*を、リミッタ後のδ軸電流指令値iδ_lim*として、出力する(ステップS34)。
図19は、実施の形態1に係る電動機駆動装置50において振動抑制制御を最大限に働かせたときに発生し得る電源高調波の偶数次の次数成分を規格値と比較したシミュレーション結果を示す図である。具体的に、図19には、上段側から順に、2次高調波成分、4次高調波成分及び6次高調波成分の振幅値と、対応する規格値とが示されている。図19の横軸は回転速度を表している。規格値は、4次高調波成分における20[rps]の回転速度を基準値、即ち“1”としている。また、4次高調波成分における他の回転速度の規格値、並びに、2次高調波成分及び6次高調波成分の規格値は、この基準値を基準にした値としている。このため、縦軸の数値は、各々の高調波成分ごとに異なっている。
図19の各波形から理解できるように、次数成分が規格値を超えるのは、4次高調波が最も厳しい条件となる。そこで、図19の中段部の波形に着目し、次数成分が規格値を超える回転速度をそれぞれA,B,C,Dとする。これらの値は、図19にも示すように、以下の値となる。
A=27[rps]=0.54次
B=37[rps]=0.74次
C=63[rps]=1.26次
D=78[rps]=1.56次
これらの数値は、図7の表に基づいて説明した数値と若干異なるが、ほぼ同等の値である。本稿では、次数成分が規格値を超えるのを確実に回避できるように、回避すべき駆動周波数の好ましい範囲は、以下の範囲とする。
<回避すべき駆動周波数>
・電源周波数の0.5~0.75次、及び1.25~1.6次
以上説明したように、実施の形態1に係る電力変換装置によれば、負荷の振動を抑制する振動抑制制御の実施時に、電動機は、電動機の駆動周波数が、継続的に電源電圧の周波数である電源周波数の0.5から0.75次、及び1.25から1.6次の範囲内とはならないように駆動される。これにより、電力変換装置は、電動機のトルク脈動を補償しつつ、電源高調波の次数成分が規格値を超えないように電動機を動作させることが可能となる。
また、実施の形態1に係る電力変換装置によれば、制御装置は、電動機の駆動周波数が電源周波数の0.5から0.75次、又は1.25から1.6次の範囲内となる場合には、駆動周波数がそれらの範囲外の値となるように、駆動周波数に対応する周波数指令値を変更する。これにより、電源高調波の次数成分が規格値を超えない制御を確実に実施することが可能となる。
また、実施の形態1に係る電力変換装置によれば、電源高調波規格への適合が制御装置の自動的な制御によって実施されるので、コンバータ及びコンバータ周辺の回路定数に関する調整が簡易になり、安価で信頼性が高く、開発負荷の小さい電動機駆動装置を得ることが可能となる。
更に、実施の形態1に係る電力変換装置によれば、電源高調波の低減により、電源力率も上昇するので、無駄な電流を流す必要がなくなる。これにより、コンバータ側の効率を上昇させることができ、且つインバータ及び電動機側に流す電流もより小さくできるので、効率の高い電動機駆動装置を得ることが可能となる。
なお、上記の制御において、振動抑制制御を行う振動抑制制御部は、交流電源とコンバータとの間に流れる電源電流が電源高調波規格を満たしているかを判定したフラグを生成する適合判定部と、フラグの値に応じて、要すれば周波数指令値を変更する運転制御部と、を備えた構成とすることができる。
上記の制御におけるフラグは、電源電流の特定の次数成分が電源高調波規格を満たしているかを判定するための閾値である電源高調波規格値と、電源電流に基づいて演算される高調波の次数成分との比較結果に基づいて生成されることでよい。このフラグには、少なくとも1つの次数成分が電源高調波規格値を超えた場合に、周波数指令値の変更を指示する情報が付されることでよい。このようなフラグを用いれば、運転制御部において、周波数指令値の変更の可否を容易に判断することができる。
次に、電力変換装置2が備える制御装置100のハードウェア構成について説明する。図20は、実施の形態1に係る電力変換装置2が備える制御装置100を実現するハードウェア構成の一例を示す図である。制御装置100は、プロセッサ201及びメモリ202により実現される。
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)、又はシステムLSI(Large Scale Integration)である。メモリ202は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)といった不揮発性又は揮発性の半導体メモリを例示できる。またメモリ202は、これらに限定されず、磁気ディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、又はDVD(Digital Versatile Disc)でもよい。
実施の形態2.
図21は、実施の形態2に係る冷凍サイクル適用機器900の構成例を示す図である。実施の形態2に係る冷凍サイクル適用機器900は、実施の形態1で説明した電力変換装置2を備える。実施の形態2に係る冷凍サイクル適用機器900は、空気調和機、冷蔵庫、冷凍庫、ヒートポンプ給湯器といった冷凍サイクルを備える製品に適用することが可能である。なお、図21において、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素には、実施の形態1と同一の符号を付している。
冷凍サイクル適用機器900は、実施の形態1における電動機7を内蔵した圧縮機901と、四方弁902と、室内熱交換器906と、膨張弁908と、室外熱交換器910とが冷媒配管912を介して取り付けられている。
圧縮機901の内部には、冷媒を圧縮する圧縮機構904と、圧縮機構904を動作させる電動機7とが設けられている。
冷凍サイクル適用機器900は、四方弁902の切替動作により暖房運転又は冷房運転をすることができる。圧縮機構904は、可変速制御される電動機7によって駆動される。
暖房運転時には、実線矢印で示すように、冷媒が圧縮機構904で加圧されて送り出され、四方弁902、室内熱交換器906、膨張弁908、室外熱交換器910及び四方弁902を通って圧縮機構904に戻る。
冷房運転時には、破線矢印で示すように、冷媒が圧縮機構904で加圧されて送り出され、四方弁902、室外熱交換器910、膨張弁908、室内熱交換器906及び四方弁902を通って圧縮機構904に戻る。
暖房運転時には、室内熱交換器906が凝縮器として作用して熱放出を行い、室外熱交換器910が蒸発器として作用して熱吸収を行う。冷房運転時には、室外熱交換器910が凝縮器として作用して熱放出を行い、室内熱交換器906が蒸発器として作用し、熱吸収を行う。膨張弁908は、冷媒を減圧して膨張させる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 交流電源、2 電力変換装置、4 リアクタ、7 電動機、8 圧縮機、10 コンバータ、20 コンデンサ、22a,22b 直流母線、30 インバータ、50 電動機駆動装置、82 電圧検出部、83,84 電流検出部、100 制御装置、102 運転制御部、110 インバータ制御部、111 電流復元部、112 3相2相変換部、113 γ軸電流指令値生成部、115 電圧指令値演算部、116 電気位相演算部、117 2相3相変換部、118 PWM信号生成部、201 プロセッサ、202 メモリ、310 インバータ主回路、311~316 スイッチング素子、321~326 整流素子、331~333 出力線、350 駆動回路、501 周波数推定部、502,509,510,557,558,641 減算部、503 速度制御部、504 δ軸電流指令値生成部、504a 制限部、504b 振動抑制部、505 補償値演算部、506 電源高調波規格適合判定部、631 記憶部、632 選択部、633,643 リミッタ、511 γ軸電流制御部、512 δ軸電流制御部、550 演算部、551 余弦演算部、552 正弦演算部、553,554,561,562 乗算部、555,556 ローパスフィルタ、559,560 周波数制御部、563,613,644 加算部、611 比例制御部、612 積分制御部、701 電源高調波規格値演算部、702 次数成分演算部、702-1 第1の演算ブロック、702-2 第2の演算ブロック、703 判定部、751 電動機電力演算部、752 電流高調波限度値演算部、753 係数乗算部、760 周波数指令決定部、800 振動抑制制御部、900 冷凍サイクル適用機器、901 圧縮機、902 四方弁、904 圧縮機構、906 室内熱交換器、908 膨張弁、910 室外熱交換器、912 冷媒配管、D1,D2,D3,D4 ダイオード。

Claims (6)

  1. 負荷を駆動する電動機に交流電力を供給する電力変換装置であって、
    交流電源から印加される電源電圧を整流するコンバータと、
    前記コンバータの出力端に接続されるインバータと、
    を備え、
    前記電動機は、前記負荷の振動を抑制する振動抑制制御の実施時に、前記電動機の駆動周波数が、継続的に前記電源電圧の周波数である電源周波数の0.5から0.75次、及び1.25から1.6次の範囲内とはならないように駆動される
    電力変換装置。
  2. 前記インバータの動作を制御する制御装置を備え、
    前記制御装置は、前記駆動周波数が前記電源周波数の0.5から0.75次、又は1.25から1.6次の範囲内となる場合には、前記駆動周波数がそれらの範囲外の値となるように前記駆動周波数に対応する周波数指令値を変更する
    請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記制御装置は、
    前記振動抑制制御を行う振動抑制制御部と、
    前記交流電源と前記コンバータとの間に流れる電源電流が電源高調波規格を満たしているかを判定したフラグを生成する適合判定部と、
    前記フラグの値に応じて、要すれば前記周波数指令値を変更する運転制御部と、
    を備える請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記フラグは、前記電源電流の特定の次数成分が電源高調波規格を満たしているかを判定するための閾値である電源高調波規格値と、前記電源電流に基づいて演算される高調波の次数成分との比較結果に基づいて生成され、
    少なくとも1つの前記次数成分が前記電源高調波規格値を超えた場合、前記フラグには、前記周波数指令値の変更を指示する情報が付される
    請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 請求項1から4の何れか1項に記載の電力変換装置を備える電動機駆動装置。
  6. 請求項1から4の何れか1項に記載の電力変換装置を備える冷凍サイクル適用機器。
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