以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る磁気記録再生装置の一部を例示する模式的平面図である。
図2は、第1の実施形態に係る磁気記録再生装置を例示する模式的斜視図である。
図3は、第1の実施形態に係る磁気記録再生装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図2に示すように、本実施形態に係る磁気記録再生装置150は、磁気記録媒体80と、記録部60と、再生部70と、を含む。記録部60及び再生部70は、磁気ヘッド50に含まれる。
磁気ヘッド50は、磁気記録媒体80(例えば磁気ディスクなど)に対向して配置される。磁気ヘッド50は、媒体対向面51(ABS:Air Bearing Surface)を有する。
磁気記録媒体80は、例えば媒体基板82と、媒体基板82の上に設けられた磁気記録層81と、を含む。磁気記録層81に複数の磁気記録要素84が設けられる。複数の磁気記録要素84のそれぞれは、例えば、1つ以上の結晶粒を含む。複数の磁気記録要素84のそれぞれは、1つ以上のパターニングされた磁性体を含んでも良い。磁気記録媒体80は、例えば、グラニュラ媒体を含む。磁気記録要素84の1つは、例えば、グラニュラ媒体の磁性粒子を含む。磁気記録媒体80は、媒体移動方向85に沿って、磁気ヘッド50に対して相対的に移動する。磁気記録媒体80は、例えば、ディスク状である。媒体移動方向85は、磁気記録媒体80と、磁気ヘッド50と、の間の相対的な移動方向に対応する。相対的な移動方向は、例えば、ディスク状の磁気記録媒体の円周方向である。
磁気ヘッド50の記録部60から印加される磁界により、複数の磁気記録要素84のそれぞれにおいて、磁化83が制御される。制御された磁化83が、情報となる。これにより情報の記録動作が実施される。
実施形態において、磁気記録媒体80は、垂直磁気記録媒体である。例えば、磁化83は、媒体基板82の表面と交差する。磁化83は、例えば、媒体基板82の表面に対して実質的に垂直である。磁化83は、例えば、上向き、または、下向きの2つの状態を有する。例えば、磁気記録媒体80から記録部60に向かう方向が、上向きである。例えば、記録部60から磁気記録媒体80に向かう方向が、下向きである。
この例では、記録部60は、磁極61と、記録コイル61aと、シールド63と、を含む。記録コイル61aにより磁極61から磁界(記録磁界)が生じる。記録磁界により、磁気記録要素84の磁化83が制御される。シールド63を設けることで、記録磁界の強度が高まり制御性が向上する。
一方、複数の磁気記録要素84に記録された情報(磁化83)が、再生部70により読み出される。これにより、再生動作が実施される。
この例では、再生部70は、再生素子71と、第1再生部シールド72aと、第2再生部シールド72bと、を含む。再生素子71は、これらのシールドの間に設けられる。再生素子71には、例えば、磁気抵抗効果を有する素子などが用いられる。
例えば、再生部70と記録部60とを結ぶ方向は、媒体移動方向85に沿っている。シールド63と磁極61とを結ぶ方向は、媒体移動方向85に沿っている。
磁気記録媒体80の特定の部分80pは、磁極61と対向した後に、シールド63と対向する。
磁気記録媒体80から記録部60に向かう方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して直交する1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。
磁気記録媒体80は、複数のトラック(例えば、第1トラックTr1及び第2トラックTr2など)を含む。複数のトラックのそれぞれは、複数の磁気記録要素84を含む。複数のトラックのそれぞれに含まれる複数の磁気記録要素84は、ダウントラック方向に沿って並ぶ。複数のトラックは、トラック幅方向に沿って並ぶ。
例えば、ダウントラック方向は、X軸方向に沿っている。ダウントラック方向は、媒体対向面51に対して平行である。ダウントラック方向は、磁極61からシールド63に向かう方向に沿っている。
トラック幅方向は、Y軸方向に沿っている。トラック幅方向は、媒体対向面51に対して平行である。トラック幅方向は、磁極61からシールド63に向かう方向に対して垂直である。
本実施形態においては、複数のトラックのそれぞれは、複数のサブトラックを含む。例えば、第1トラックTr1は、第1サブトラックTs1と、第2サブトラックTs2と、を含む。第2トラックTr2は、第3サブトラックTs3と、第4サブトラックTs4と、を含む。これらのトラックの例については、後述する。
磁気記録再生装置150においては、制御部55がさらに設けられている。制御部55は、記録部60の動作を制御する。制御部55は、例えば、磁気記録媒体80に記録される情報を入手し、磁気記録媒体80に設けられるトラックの磁気記録要素84のそれぞれの状態に関する情報を生成する。そして、制御部55は、生成した情報に基づいて、記録部60の動作を制御する。制御部55は、再生部70を制御しても良い。制御部55は、再生部70により読み出された情報を処理しても良い。
図3は、磁気ヘッド50を搭載するヘッドスライダを例示している。
磁気ヘッド50は、ヘッドスライダ3に搭載される。ヘッドスライダ3には、例えばAl2O3/TiCなどが用いられる。ヘッドスライダ3は、磁気記録媒体80の上を、浮上または接触しながら、磁気記録媒体80に対して相対的に運動する。
ヘッドスライダ3は、例えば、空気流入側3Aと空気流出側3Bとを有する。磁気ヘッド50は、ヘッドスライダ3の空気流出側3Bの側面などに配置される。これにより、ヘッドスライダ3に搭載された磁気ヘッド50は、磁気記録媒体80の上を浮上または接触しながら磁気記録媒体80に対して相対的に移動する。
本実施形態に係る磁気ヘッド50は、後述する瓦書き(SMR:Shingle Magnetic Recording)により、磁気記録媒体80に情報を記録しても良い。
図1は、磁気記録媒体80を例示している。
図1に示すように、磁気記録媒体80は、第1トラックTr1と、第2トラックTr2と、を含む。第1トラックTr1及び第2トラックTr2のそれぞれは、第1方向(例えばX軸方向)に延在する。
第1トラックTr1は、第1サブトラックTs1と、第2サブトラックTs2と、を含む。第1サブトラックTs1及び第2サブトラックTs2のそれぞれは、第1方向(例えば、X軸方向)に延在する。
第1サブトラックTs1は、複数の磁気記録要素84(複数の第1磁気記録要素84)を含む。複数の第1磁気記録要素84aのそれぞれの位置は、第1方向において異なる。例えば、複数の第1磁気記録要素84aは、第1方向に沿って並ぶ。
第2サブトラックTs2は、第2方向において第1サブトラックTs1と並ぶ。第2方向は、第1方向と交差する。この例では、第2方向は、Y軸方向である。第2サブトラックTs2は、複数の磁気記録要素84(複数の第2磁気記録要素84b)を含む。複数の第2磁気記録要素84bのそれぞれの位置は、第1方向において異なる。例えば、複数の第2磁気記録要素84bは、第1方向に沿って並ぶ。
第2トラックTr2は、第3サブトラックTs3と、第4サブトラックTs4と、を含む。第3サブトラックTs3及び第4サブトラックTs4のそれぞれは、X軸方向に延在する。
第3サブトラックTs3は、第2方向において、第2サブトラックTs2と並ぶ。第3サブトラックTs3は、複数の磁気記録要素84(複数の第3磁気記録要素84c)を含む。複数の第3磁気記録要素84cのそれぞれの位置は、第1方向において異なる。例えば、複数の第3磁気記録要素84cは、第1方向に沿って並ぶ。
第4サブトラックTs4は、第2方向において、第3サブトラックTs3と並ぶ。第4サブトラックTs4は、複数の磁気記録要素84(複数の第4磁気記録要素84d)を含む。複数の第4磁気記録要素84dのそれぞれの位置は、第1方向において異なる。例えば、複数の第4磁気記録要素84dは、第1方向に沿って並ぶ。
第1サブトラックTs1と第4サブトラックTs4との間に、第2サブトラックTs2が配置される。第2サブトラックTs2と第4サブトラックTs4との間に、第3サブトラックTs3が配置される。
複数のトラック(例えば、第1トラックTr1及び第2トラックTr2など)及び複数のサブトラック(例えば、第1〜第4サブトラックTs1〜Ts4など)の延びる方向に関する情報は、例えば、MFM(Magnetoc force Microscope:磁気力顕微鏡)などにより得られる。
このように、本実施形態においては、1つのトラックに複数のサブトラックが設けられる。1つのトラック中において、サブトラックどうしの間の距離は、狭い。サブトラックどうしの間の距離は、トラックどうしの間の距離よりも短い。
例えば、第2サブトラックTs2と第3サブトラックTs3との間の距離wtは、第1サブトラックTs1と第2サブトラックTs2との間の距離ws1よりも長い。距離wtは、第3サブトラックTs3と第4サブトラックTs4との間の距離ws2よりも長い。距離ws1及び距離ws2は、実質的に零でも良い。すなわち、第1サブトラックTs1は、第2サブトラックTs2と接しても良い。第3サブトラックTs3は、第4サブトラックTs4と接しても良い。
サブトラックのそれぞれのY軸方向の長さ(第1〜第4長さw1〜w4)は、距離wtよりも長い。
例えば、第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aは、第1要素E1、第2要素E2、第5要素E5及び第7要素E7などを含む。第2要素E2は、第1方向(X軸方向)において第1要素E1の隣に設けられる。第5要素E5と第2要素E2との間に第1要素E1が設けられる。第1要素E1は、第1方向において第5要素E5の隣に設けられる。第7要素E7と第1要素E1との間に第5要素E5が設けられる。第5要素E5は、第1方向において第7要素E7の隣に設けられる。
第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bは、第3要素E3、第4要素E4、第6要素E6及び第8要素E8などを含む。第3要素E3は、第2方向(Y軸方向)において、第1要素E1の隣に設けられる。第4要素E4は、第1方向(X軸方向)において第3要素E3の隣に設けられる。第4要素E4は、第2方向において第2要素E2の隣に設けられる。第6要素E6は、第2方向において第5要素E5の隣に設けられる。第3要素E3は、第1方向において第6要素E6の隣に設けられる。第8要素E8は、第2方向において第7要素E7の隣に設けられる。第6要素E6は、第1方向において第8要素の隣に設けられる。
Y軸方向で並ぶ2つ磁気記録要素84(例えば第1磁気記録要素84aの1つと第2磁気記録要素84bの1つ)が、1つの記録シンボルを形成する。第1要素E1及び第3要素E3が第1記録シンボルRb1を形成する。第2要素E2及び第4要素E4が第2記録シンボルRb2を形成する。第5要素E5及び第6要素E6が第3記録シンボルRb3を形成する。第7要素E7及び第8要素E8が第4記録シンボルRb4を形成する。第1トラックTr1に設けられる複数の記録シンボルに情報が記録(記憶)される。
一方、第3サブトラックTs3の複数の第3磁気記録要素84cは、例えば、第9要素E9と、第10要素E10と、を含む。第10要素E10は、第1方向(X軸方向)において第9要素E9の隣に設けられる。
第4サブトラックTs4の複数の第4磁気記録要素84dは、第11要素E11と、第12要素E12と、を含む。例えば、第11要素E11は、第2方向(Y軸方向)において第9要素E9の隣に設けられる。第12要素E12は、第1方向において第11要素E11の隣に設けられる。第12要素E12は、第2方向において第10要素E10の隣に設けられる。
第9要素E9及び第11要素E11が第5記録シンボルRb5を形成する。第10要素E10及び第12要素E12が第6記録シンボルRb6を形成する。第2トラックTr2に設けられる複数の記録シンボルに情報が記録(記憶)される。
第1サブトラックTs1の第2方向(Y軸方向)の長さw1は、5ナノメートル以上40ナノメートル以下である。第2サブトラックの第2方向(Y軸方向)の長さw2は、5ナノメートル以上40ナノメートル以下である。他のサブトラックも同様である。サブトラックの第2方向の長さが5ナノメートル未満の場合には、例えば、サブトラックの第2方向の長さが磁気記録媒体80に含まれる結晶粒の大きさよりも短くなり、十分なSNRが得られない場合がある。サブトラックの第2方向の長さが40ナノメートルよりも長いと、記録密度が低い。
第1サブトラックTs1と第2サブトラックTs2との間の間隔(すなわち、距離ws1)は、第1サブトラックTs1の第2方向の長さw1の1/10以下であり、第2サブトラックTs2の第2方向の長さw2の1/10以下である。距離ws1が短くなることで、第1記録シンボルRb1の第2方向の長さが縮小できる。これにより、記録密度が向上できる。
サブトラック(例えば第1サブトラックTs1)の複数の磁気記録要素84(例えば第1磁気記録要素84a)のそれぞれの第1方向(X軸方向)の長さLは、5ナノメートル以上20ナノメートル以下である。長さLが5ナノメートル未満のときは、例えば、サブトラックの第1方向の長さが磁気記録媒体80に含まれる結晶粒の大きさよりも短くなり、十分なSNRが得られない場合がある。長さLを5ナノメートル以上とすることで、安定した記録・再生ができる。長さLが20ナノメートルを超えると、記録密度が低い。
記録部60は、第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aのそれぞれの磁化、及び、第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bのそれぞれの磁化を制御して、第1サブトラックTs1及び第2サブトラックTs2に情報を記録する。すなわち、第1トラックTr1に情報が記録される。
さらに、記録部60は、第3サブトラックTs3の複数の第3磁気記録要素84cのそれぞれの磁化、及び、第4サブトラックTs4の複数の第4磁気記録要素84dのそれぞれの磁化を制御して、第3サブトラックTs3及び第4サブトラックTs4に情報を記録する。すなわち、第2トラックTr2に情報が記録される。
再生部70は、第1トラックTr1及び第2トラックTr2のそれぞれに記録された情報を再生する。このとき、再生部70は、トラックのそれぞれに含まれる2つのサブトラックの状態を実質的に同時に検出する。例えば、再生部70の再生素子71は、第1サブトラックTs1と、第2サブトラックTs2と、第1サブトラックTs1と第2サブトラックTs2との間の境界Bs1と、に同時に対向する。
再生部70の再生素子71の第2方向(Y軸方向)の長さLrは、第1サブトラックTs1の第2方向の長さw1よりも長く、第2サブトラックTs2の第2方向の長さw2よりも長い。長さLrは、長さw1、長さw2及び距離ws1の合計の0.4倍以上1倍以下である。長さLrが、長さw1、長さw2及び距離ws1の合計の0.4倍未満の場合、記録時・再生時のヘッドのふらつきにより、記録シンボルが0の場合の再生レベルが大きく変化し、十分なSNRが得られない場合がある。長さLrを、長さw1、長さw2及び距離ws1の合計の0.4倍以上とすることで、安定した再生ができる。長さLrが、長さw1、長さw2及び距離ws1の合計の1倍を超えると、例えば、第1トラックTr1と第2トラックTr2との間の媒体磁化がノイズとして検出され、十分なSNRが得られない場合がある。再生部70(再生素子71)は、第1トラックTr1と第2トラックTr2とに同時に対向しない。長さLrは、第1トラックTr1と第2トラックTr2との間の距離(第2サブトラックTs2と第3サブトラックTs3との間の距離wt)よりも長い。
第1トラックTr1に記録された情報を再生する場合には、以下が行われる。
再生部70は、第1サブトラックTs1、第2サブトラックTs2、及び、第1サブトラックTs1と第2サブトラックTs2との間の境界Bs1に対向しつつ、第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aのそれぞれの磁化、及び、第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bのそれぞれの磁化に応じた値を第1方向(X軸方向)に沿って検出する。これにより、再生部70は、記録された情報を読み出す。
例えば、再生部70の再生素子71が、第1サブトラックTs1、第2サブトラックTs2、及び、境界Bs1に対向した状態で、再生素子71が、第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aのそれぞれの磁化、及び、第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bのそれぞれの磁化に応じた値を第1方向(X軸方向)に沿って順次検出する。例えば、これらの磁化の状態に応じて、再生素子71の電気抵抗が変化する。すなわち、再生部70は、これらの磁化に応じた値を、第1方向に沿って順次読み出す。
例えば、第2トラックTr2に記録された情報を再生する場合には、以下が行われる。 再生部70(再生素子71)は、第3サブトラックTs3、第4サブトラックTs4、及び、第3サブトラックTs3と第4サブトラックTs4との間の境界Bs2に対向しつつ、第3サブトラックTs3の複数の第3磁気記録要素84cのそれぞれの磁化、及び、第4サブトラックTs4の複数の第4磁気記録要素84dのそれぞれの磁化に応じた値を、第1方向に沿って検出して、第2トラックTr2に記録された情報を読み出す。
本実施形態においては、複数のトラック(第1トラックTr1及び第2トラックTr2など)のそれぞれには、例えば、3値の情報が記録され、その情報が再生される。例えば、第1記録シンボルRb1、第2記録シンボルRb2、第3記録シンボルRb3、第4記録シンボルRb4、第5記録シンボルRb5、及び、第6記録シンボルRb6のそれぞれに、3値の情報が記録される。
1つの記録シンボルに含まれる2つの磁気記録要素84のそれぞれの磁化の状態により、3値の状態が形成される。
図4(a)〜図4(p)は、第1の実施形態に係る磁気記録再生装置の一部を例示する模式的平面図である。
これらの図は、記録シンボルの磁化の状態を例示している。図4(a)〜図4(d)は、第1記録シンボルRb1に対応する。図4(e)〜図4(h)は、第2記録シンボルRb2に対応する。図4(i)〜図4(l)は、第3記録シンボルRb3に対応する。図4(m)〜図4(p)は、第4記録シンボルRb4に対応する。
図4(a)に示すように、第1記録シンボルRb1において、第1要素E1の磁化が第1状態St1であり、第3要素E3の磁化が第1状態St1である。第1状態St1においては、例えば、磁化は、上向き及び下向きの一方である。このときに、第1記録シンボルRb1に記録された情報を、第1値とする。第1値は、例えば”+1”である。
図4(d)に示すように、第1要素E1の磁化が第2状態St2であり、第3要素E3の磁化が第2状態St2である。第2状態St2においては、例えば、磁化は、上向き及び下向きの他方ある。このときに、第1記録シンボルRb1に記録された情報を、第2値とする。第2値は、例えば”−1”である。
図4(b)に示すように、第1要素E1の磁化が第1状態St1であり、第3要素E3の磁化が第2状態St2である。このときに、第1記録シンボルRb1に記録された情報は、第3値とする。第3値は、例えば”0”である。
図4(c)に示すように、第1要素E1の磁化が第2状態St2であり、第3要素E3の磁化が第1状態St1である。このときに、第1記録シンボルRb1に記録された情報は、第3値である。このように、図4(b)及び図4(c)の両方の状態が、第3値(”0”)に対応する。図4(b)の状態を、状態S12とする。図4(c)の状態を状態S21とする。
他の記録シンボルにおいても、同様の状態が形成される。
図4(e)に示すように、第2記録シンボルRb2において、第2要素E2の磁化が第1状態St1であり第4要素E4の磁化が第1状態St1である。このときに、第2記録シンボルRb2に記録された情報は、第1値(例えば”+1”)である。
図4(h)に示すように、第2要素E2の磁化が第2状態St2であり第4要素E4の磁化が第2状態St2である。このときに、第2記録シンボルRb2に記録された情報は、第2値(例えば”−1”)である。
図4(f)に示すように、第2要素E2の磁化が第1状態St1であり第4要素E4の磁化が第2状態St2である。このときに、第2記録シンボルRb2に記録された情報は、第3値(例えば”0”)である。
図4(g)に示すように、第2要素E2の磁化が第2状態St2であり第4要素E4の磁化が第1状態St1である。このときに、第2記録シンボルRb2に記録された情報は、第3値(例えば”0”)である。
図4(i)に示すように、第3記録シンボルRb3において、第5要素E5の磁化及び第6要素E6の磁化が第1状態St1であるときに、第3記録シンボルRb3に記録された情報は、第1値(例えば”+1”)である。そして、第5要素E5の磁化及び第6要素E6の磁化が第2状態St2であるときに、第2値(例えば”−1”)である(図4(l)参照)。第5要素E5及び第6要素E6において、磁化の状態が互いに異なるときに、第3値(例えば”0”)である(図4(j)及び図4(k)参照)。
図4(m)に示すように、第4記録シンボルRb4において、第7要素E7の磁化及び第8要素E8の磁化が第1状態St1であるときに、第1値(例えば、”+1”)である。そして、第7要素E7の磁化及び第8要素E8の磁化が第2状態St2であるときに、第2値(例えば”−1”)である(図4(p)参照)。第7要素E7の磁化が第2状態St2であり第8要素E8の磁化が第1状態St1であるときに、第4記録シンボルRb4に記録された情報は、第3値(例えば”0”)である(図4(o)参照)。第7要素E7の磁化が第1状態St1であり第8要素E8の磁化が第2状態St2であるときに、第4記録シンボルRb4に記録された情報は、第3値(例えば”0”)である(図4(n)参照)。
このように、実施形態においては、記録シンボルに含まれる2つの要素の両方が第1状態St1のときに、第1値(例えば”+1”)とする、両方が第2状態St2のときに第2値(例えば”−1”)とする。そして、2つの要素が互いに異なる状態のときに、第3値(例えば”0”)とする。このように、実施形態においては、3値の情報が記録・再生される。
このとき、第3値においては、例えば、図4(b)に示す状態S12、及び、図4(c)に示す状態S21の、2つの状態が含まれる。例えば、第3値を記録する際に、状態S12を形成しても良く、状態S21を形成しても良い。
図1に示す例においては、第3記録シンボルRb3は、第1値(”+1”)である。そして、第1記録シンボルRb1は、第3値(”0”)であり、第2記録シンボルRb2も、第3値である。この例では、第1記録シンボルRb1において、第1要素E1は第1状態St1であり、第3要素E3は第2状態St2である。すなわち、第1記録シンボルRb1には、図4(b)に示す状態S12が設けられている。一方、第2記録シンボルRb2において、第2要素E2は第2状態St2であり、第4要素E4は第1状態St1である。すなわち、第2記録シンボルRb2には、図4(c)に示す状態S21が設けられている。
このように、例えば、第3値を記録する際に、状態S12を形成しても良く、状態S21を形成しても良いが、実施形態においては、第3値を記録する際に、互いに異なる状態を有しX軸方向に隣り合う2つの記録シンボルの組みを少なくとも1つ設ける。この少なくとも1つの組みにおいては、X軸方向に隣り合う2つの磁気記録要素84における状態が互いに異なる。
例えば、第3値を記録する際に、図4(b)の状態S12だけを形成するのはない。そして、第3値を記録する際に、図4(c)の状態S21だけを形成するのはない。
例えば、第1値、第2値及び第3値のそれぞれが、記録する情報に応じて、記録トラックに設けられる。第1値及び第2値のそれぞれに対応する磁気記録要素84の磁化は、記録する情報に応じて決定される。一方、第3値に対応する磁気記録要素84の磁化の状態は、図4(b)の状態S12または図4(c)の状態S21であり、選択できる。実施形態においては、図4(b)の状態S12が長い区間に渡って連続しないようにする。または、図4(c)の状態S21が長い区間に渡って連続しないようにする。
これにより、以下に説明するように、安定した磁気記録再生が可能となる。
以下、実施形態に係る構成を創出する基となった実験結果について説明する。
図5(a)〜図5(f)は、磁気記録再生装置の特性を例示する模式図である。
図5(a)、図5(c)及び図5(e)は、異なる情報が記録された、第1サブトラックTs1及び第2サブトラックTs2の状態を例示している。1つの磁気記録要素84のY軸方向の長さ(第1長さw1及び第2長さw2のそれぞれに対応、図1参照)は、60nmである。1つの磁気記録要素84のX軸方向の長さL(図1参照)は、12nmである。再生素子71の第2方向(Y軸方向)の長さLr(図1参照)は、50nmである。
図5(a)の例において、記録された情報においては、第1値(例えば”+1”)と、第2値(例えば”−1”)と、が、X軸方向に並ぶ2つの磁気記録要素84ごとに、交互に並ぶ。
図5(c)及び図5(e)の例において、記録された情報は、第1値(例えば”+1”)と、第3値(例えば”0”)が、X軸方向に並ぶ2つの磁気記録要素84ごとに、交互に並ぶ。
図5(c)においては、第1サブトラックTs1においては、磁気記録要素84(第1磁気記録要素84a)の全てが、第1状態St1である。第2サブトラックTs2において、第1状態St1と第2状態St2とが、X軸方向に並ぶ2つの磁気記録要素84(第2磁気記録要素84b)ごとに、交互に並ぶ。第3値は、状態S12により形成されている。
一方、図5(e)においては、第1サブトラックTs1において、第1状態St1と第2状態St2とが、X軸方向に並ぶ2つの磁気記録要素84(第1磁気記録要素84a)ごとに、交互に並ぶ。第2サブトラックTs2においては、磁気記録要素84(第2磁気記録要素84b)の全てが、第1状態St1である。第3値は、状態S21により形成されている。
このように、第1値と第3値がX軸方向に並ぶ2つの磁気記録要素84ごとに交互に変化する場合に、図5(c)及び図5(e)の2つの状態で記録することができる。
図5(b)、図5(d)及び図5(f)は、それぞれ、図5(a)、図5(c)及び図5(e)に対応しており、再生出力の測定結果を例示するグラフ図である。
この測定においては、再生素子71と、これらのサブトラックとが、Y軸方向の1つの位置において、X軸方向に沿って相対的に移動する。X軸方向の相対的な移動に伴って、出力信号は、”+1”と”−1”とに対応して、振動する。例えば、トラック中の”+1”に対応するX軸方向の位置では、再生信号の電圧は高い。一方、例えば、トラック中の”−1”に対応するX軸方向の位置では、再生信号の電圧は低い。このように、X軸方向に沿った1回の相対的な移動において、所定の振幅の信号が得られる。この振幅を評価パラメータとする。そして、このようなX軸方向に沿った1回の相対的な移動を、Y軸方向の位置を変更して、複数回実施する。これにより、Y軸方向の異なる複数の位置において、信号の振幅のそれぞれの値が得られる。
図5(b)、図5(d)及び図5(f)において、横軸は、Y軸方向の位置Py(μm)である。縦軸は、出力信号の振幅Asg(任意単位)である。位置Pyが0の位置(基準位置)は、第1サブトラックTs1と第2サブトラックTs2との間の境界Bs1に対応する。
図5(b)に例示するように、第1値と第2値がX軸方向に交互に並ぶ記録状態において、基準位置(位置Pyが0、境界Bs1の位置)において、振幅Asgは最大となる。すなわち、境界Bs1の位置において、”+1”と”−1”とにそれぞれ対応する再生信号において、最大の振幅が得られる。位置Pyが基準位置から離れると、振幅Asgは減少する。この例では、基準位置における振幅Asgは、約2800(任意単位)である。
一方、図5(d)に示すように、図5(c)に対応する記録状態のとき、振幅Asgのピーク位置は、基準位置からシフトしている。すなわち、振幅Asgは、基準位置に対して非対称である。この例では、シフトの方向は、負の方向である。基準位置における振幅は、約3000(任意単位)である。
図5(f)に示すように、図5(e)に対応する記録状態のときも、振幅Asgのピーク位置は、基準位置からシフトしている。振幅Asgは、基準位置に対して非対称である。この例では、シフトの方向は、正であり、図5(d)の例とは、逆である。基準位置における振幅は、約1300(任意単位)である。
このように、第3値に対応する2種類の記録状態(図5(c)及び図5(e)の例)において、異なる特性が得られる。
発明者は、この実験の実施の前においては、第3値の記録シンボルにおいては、図5(c)の場合も、図5(e)の場合も、振幅Asgは、基準位置に対して対称であると予想していた。そして、基準位置における振幅Asgは、第1値に対応する振幅Asgである約2800の1/2であると予想していた。すなわち、第3値に対応する2種類の記録状態において、同じ再生結果が得られると予想していた。
しかしながら、実験結果は、その予想とは異なっていた。すなわち、図5(c)に例示した記録状態と、図5(e)に例示した記録状態と、で、異なる振幅Asgが得られた。すなわち、第3値に対応する2種類の記録状態において、オントラックの振幅Asgがアンバランスになる。
この現象の原因は、以下である可能性がある。
図5(c)の例では、連続して第1状態St1である第1サブトラックTs1からの磁界が、第2サブトラックTs2に回り込み、第2サブトラックTs2の第2状態St2の第2磁気記録要素84bの磁化に影響を与えると考えられる。一方、図5(c)の例では、連続して第1状態St1である第2サブトラックTs2からの磁界が、第1サブトラックTs1に回り込み、第1サブトラックTs1の第2状態St2の第1磁気記録要素84aの磁化に影響を与えると考えられる。
さらに、第3値を形成する状態S12において、第1サブトラックTs1と第2サブトラックTs2とにより、Y軸方向の磁界(回り込み磁界)が形成される。そして、第3値を形成する状態S21においても、第1サブトラックTs1と第2サブトラックTs2とにより、Y軸方向の磁界が形成される。そして、形成されるY軸方向の磁界(回り込み磁界)の方向は、状態S12と状態S21とで異なる。すなわち、Y軸方向の磁界の方向が逆になる。
このようなY軸方向の成分を有する磁界が、再生素子71の再生信号に影響を与えると考えられる。すなわち、再生素子71には、2つのサブトラックのそれぞれの磁気記録要素84の磁化による磁界が加わる他に、上記のY軸方向の磁界(回り込み磁界)も加わる。これにより、状態S12と状態S21とで異なる出力信号が得られると、考えられる。
図6(a)〜図6(d)は、磁気記録再生装置の特性を例示する模式的斜視図である。 これらの図は、磁気記録媒体80に記録された情報を再生部70の再生素子71で再生する際の特性を例示している。図6(a)は、図5(c)に例示された”0”(状態S12)に対応する。図6(b)は、図5(c)に例示された”+1”に対応する。図6(c)は、図5(e)に例示された”0”(状態S21)に対応する。図6(d)は、図5(e)に例示された”+1”に対応する。
これらの図に示すように、再生素子は、第1磁性層71aと、第2磁性層71bと、中間層71cと、を含む。第1磁性層71aは、X軸方向において、第2磁性層71bと離間する。例えば、第1磁性層71aの磁化71amは、可変である。例えば、第1磁性層71aは、磁化自由層である。例えば、第2磁性層71bの磁化71bmは、固定されている。例えば、第2磁性層71bは、磁化固定層である。両方の磁化が可変でも良い。中間層71cは、例えば非磁性である。
例えば、第2磁性層71bの磁化71bmは、Z軸方向に固定されている。再生素子71に磁気記録媒体80からの磁界(媒体磁界)が加わっていないときに、第1磁性層71aの磁化71amは、Z軸方向と交差する方向(この例ではY軸方向)に沿っている。
図6(b)及び図6(d)に示すように、磁気記録媒体80の第1サブトラックTs1及び第2サブトラックTs2が、第1状態St1であるとき、Z軸方向に沿った媒体磁界が、第1磁性層71aに加わる。これにより、第1磁性層71aの磁化71amは、Z軸方向に向かって回転する。これにより、”+1”(第1値)が読み出される。
一方、図6(a)に示すように、状態S12の”0”である場合、第1サブトラックTs1から第2サブトラックTs2に向かう方向の成分を有する媒体磁界が生じる。これにより、例えば、第1磁性層71aの磁化71amは、Z−Y平面内で回転する。この例では、第1磁性層71aの磁化71amの矢印の先が、第1サブトラックTs1に近づくように回転する。
図6(c)に示すように、状態S21の”0”である場合、第2サブトラックTs2から第1サブトラックTs1に向かう方向の成分を有する媒体磁界が生じる。これにより、例えば、第1磁性層71aの磁化71amは、Z−Y平面内で回転する。この例では、第1磁性層71aの磁化71amの矢印の先が、第1サブトラックTs1から離れるように回転する。
図6(a)における磁化71amの矢印の回転方向と、図6(c)における磁化71amの矢印の回転方向と、は、互いに逆である。
図6(a)に示した磁化71amの方向と、図6(b)に示した磁化71amの方向と、の間の角度は、図6(c)に示した磁化71amの方向と、図6(d)に示した磁化71amの方向と、の間の角度は、よりも大きい。これにより、図5(c)に対応する図5(d)の非対称な特性が得られ、図5(e)に対応する図5(f)の非対称な特性が得られたと考えられる。
さらに、再生素子71に磁気記録媒体80からの磁界(媒体磁界)が加わっていないときに、第1磁性層71aの磁化71amが、Y軸方向に対して傾斜している場合もある。このような場合に、Y軸方向に沿う成分の媒体磁界が第1磁性層71aに加わると、非対称な特性が生じると考えられる。
そして、Y軸方向に沿う成分の媒体磁界は、同じ状態の磁気記録要素84が連続すると、強くなると考えられる。
このように、一方のサブトラックに存在する連続する同じ状態の磁気記録要素84による磁界が、磁界の回り込みにより、他方のサブトラックの磁気記録要素84の磁化に影響を与える可能性がある。さらに、形成されるY軸方向の磁界が再生素子71の特性に影響を与える可能性もある。
連続する同じ状態の磁気記録要素84の数が大きいと、これらの影響が大きくなり、基準位置における振幅Asgの変動が大きくなると考えられる。同じ状態が連続して続いたときに、隣接サブトラック間での影響により、ノイズが生じることになる。同じ状態が連続して続いたときに生じるノイズを、便宜的に中間値ノイズと言うことにする。
これより、図5(d)及び図5(f)に例示した2つの記録状態の差異が生じると考えられる。これらの2つの記録状態において、異なる振幅Asgが得られるため、第3値の検出の精度が低下する。誤再生の可能性がある。第3値に対応する2種類の記録状態において、再生時の振幅の差が小さくなることが好ましい。すなわち、中間値ノイズを抑制することが好ましい。
本実施形態は、上記の実験により新たに見いだされた課題を解決する。
すなわち、第3値に対応する複数の磁気記録要素84において、図4(b)に示す状態S12が長い区間に渡って連続しないようにする。または、図4(c)に示す状態S21が長い区間に渡って連続しないようにする。
例えば、図1について説明したように、連続して第3値が記録される第1記録シンボルRb1と第2記録シンボルRb2において、記録状態を変更する。例えば、第1記録シンボルRb1に第3値を記録する際に、第1要素E1の磁化を第1状態St1とし、第3要素E3の磁化を第2状態St2とする。そして、第2記録シンボルRb2に第3値を記録する際に、第2要素E2の磁化を第2状態St2とし、第4要素E4の磁化を第1状態St1とする。これにより、同じ状態が連続して並ぶ磁気記録要素84の数を少なくすることができる。これにより、中間値ノイズを抑制できる。安定した磁気記録が可能になる。
このように、本実施形態に係る磁気記録再生装置150及び磁気記録方法(磁気記録パターン)においては、上記の実験結果に基づいて新たに見いだされた知見とそれに基づいて新たに見いだされた課題に基づいている。
本実施形態に係る記録パターンは、例えば、制御部55による記録部60の制御により行われる。
例えば、本実施形態において、記録部60を制御する制御部55が設けられている。第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aの1つについて、第2方向(Y軸方向)においての隣の第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bの1つが存在する。第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aのその1つと、第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bのその1つと、が、第1方向(X軸方向)に並ぶ複数の記録シンボルの1つを形成する。
このとき、制御部55は、記録部60が、複数の記録シンボルのその1つに第3値を記録する場合に、以下を行う。第1サブトラックTs1において、連続する複数の第1磁気記録要素84aのそれぞれの磁化が同じ状態である数が少なくなるように、複数の記録シンボルのその1つに含まれる第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aのその1つの磁化を、第1状態St1または第2状態St2にさせる。
さらに、制御部55は、記録部60が、複数の記録シンボルのその1つに第3値を記録する場合に、以下を行う。第2サブトラックTs2において、連続する複数の第2磁気記録要素84bのそれぞれの磁化が同じ状態である数が少なくなるように、複数の記録シンボルのその1つに含まれる第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bのその1つの磁化を、第1状態St1または第2状態St2にさせる。
これにより、同じ状態が連続して並ぶ磁気記録要素84の数が小さくできる。これにより、連続して同じ状態である1つのサブトラックからの磁界が、隣のサブトラックに回り込むことが抑制できる。これにより、一方のサブトラックに存在する連続する同じ状態の磁気記録要素84による磁界が、他方のサブトラックの磁気記録要素84の磁化に影響を与えることが抑制できる。これにより、中間値ノイズを抑制できる。
実施形態において、サブトラックに含まれる磁気記録要素84のそれぞれの状態は、書き込まれる情報により変化する。書き込まれる情報が第1値または第2値である場合には、磁気記録要素84の状態は、決定される。一方、書き込まれる情報が第3値である場合には、2種類の状態(状態S12及び状態S21)のうちの1方が選択される。
図1に例示したように、書き込まれる情報が第3値である記録シンボルが連続する場合に、第1記録シンボルRb1では状態S21とし、第2記録シンボルRb2では状態S12とする。
一方、図1の例では、第4記録シンボルRb4が、状態S21の第3値であり、第3記録シンボルRb3が第1値である。このとき、連続する第8要素E8及び第6要素E6は、第1状態St1である。一方、第7要素E7は第2状態St2であり、第5要素E5は第1状態St1である。すなわち、第4記録シンボルRb4及び第3記録シンボルRb3において、第1サブトラックTs1においては、第1状態St1と第2状態St2との間で切り替わる。一方、第2サブトラックTs2においては、第1状態St1が連続する。この場合に、第1記録シンボルRb1に第3値を書き込む場合に、状態S12及び状態S21の一方を採用することが可能である。
このとき、本実施形態においては、第3値を書き込む第1記録シンボルRb1において、状態S21ではなく、状態S12を適用する。これにより、第4記録シンボルRb4、第3記録シンボルRb3及び第1記録シンボルRb1において、第2サブトラックTs2において、第1状態St1が連続する磁気記録要素84の数が2となる。もし、第3値を書き込む第1記録シンボルRb1において、状態S21を採用すると、第2サブトラックTs2において、第1状態St1が連続する磁気記録要素84の数が3となる。連続する磁気記録要素84の数を小さくすることで、中間値ノイズを抑制できる。
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る磁気記録再生装置の一部を例示する模式的平面図である。
図7に示すように、本実施形態においては、連続して同じ状態が続く磁気記録要素84の数を4以下とする。これにより、ノイズパワー比Rnpを低くすることができる。これにより、以下に説明するように、安定した磁気記録再生が可能になる。
以下、本実施形態に係る構成を創出する基となった実験結果について説明する。
図8(a)〜図8(f)は、磁気記録再生装置における記録状態を例示する模式的平面図である。
図8(a)〜図8(f)は、実験に用いた6種類の記録パターンを示している。図8(a)に示すように、記録パターン0Tにおいては、第1値と、第2値と、が交互に記録される。この場合、第1サブトラックTs1及び第2サブトラックTs2のそれぞれにおいて、第1状態St1と第2状態St2とが、X軸方向に沿って交互に並ぶ。
図8(b)〜図8(f)の記録パターンにおいて、第2サブトラックTs2においては、第1状態St1と第2状態St2との組みが、X軸方向に沿って交互に並ぶ。
そして、図8(b)に示すように、記録パターン1Tにおいては、第1サブトラックTs1において、第1状態St1と第2状態St2とが、X軸方向に沿って交互に並ぶ。図8(c)に示すように、記録パターン2Tにおいては、第1サブトラックTs1において、2つの第1状態St1と2つの第2状態St2との組みが、X軸方向に沿って交互に並ぶ。図8(d)に示すように、記録パターン3Tにおいては、第1サブトラックTs1において、3つの第1状態St1と3つの第2状態St2との組みが、X軸方向に沿って交互に並ぶ。図8(e)に示すように、記録パターン4Tにおいては、第1サブトラックTs1において、4つの第1状態St1と4つの第2状態St2との組みが、X軸方向に沿って交互に並ぶ。図8(f)に示すように、記録パターン8Tにおいては、第1サブトラックTs1において、8個の第1状態St1と8個の第2状態St2との組みが、X軸方向に沿って交互に並ぶ。
すなわち、これらの記録パターン1T〜8Tにおいては、連続して同じ状態が続く磁気記録要素84の数が異なっている。
これらの6種類の記録パターン(記録パターン0T、1T〜8T)において、基準位置(第1サブトラックTs1と第2サブトラックTs2との間の境界Bs1の位置)における振幅Asgが求められる。このとき、記録パターン0Tにおいて、基準位置における振幅Asgを基準振幅Asg0とする。そして、記録パターン1T〜8Tのそれぞれにおいて基準位置における振幅Asgの基準振幅Asg0に対する比(Asg/Asg0)をノイズパワー比とする。
図9は、磁気記録再生装置の特性を示すグラフ図である。
図9は、磁気記録媒体80の磁気記録要素84への記録状態(記録パターン)を変えたときのノイズの変化を例示するグラフ図である。横軸は、モノトーン記録密度Rd1(kFCI、キロFCI)である。モノトーン記録密度Rd1は、記録されたパターン(記録パターン1T、2T、3T、4T及び8Tなど)により変化する。図9には、5種類の記録パターン(記録パターン1T、2T、3T、4T、8T)の値が示されている。単位FCIは、flax change per inchである。縦軸は、ノイズパワー比Rnp(相対値)である。
図9に示すように、モノトーン記録密度Rd1が上昇すると、ノイズパワー比Rnpは低下する。例えば、記録パターン1T、2T、3T及び4Tにおいては、ノイズパワー比Rnpは、0.5以下である。すなわち、これらの記録パターンにおける振幅Asgは、記録パターン0Tの時の基準振幅Asg0の1/2以下となる。これに対して、記録パターン8Tにおいては、ノイズパワー比Rnpは約0.65である。連続して同じ状態が続く磁気記録要素84の数が4を超えると、ノイズパワー比Rnpが急激に増大する。
このことから、連続して同じ状態が続く磁気記録要素84の数は4以下であることが好ましい。これにより、ノイズパワー比Rnpを低くすることができる。安定した磁気記録再生が可能になる。
すなわち、図7に示すように、本実施形態に係る磁気記録再生装置151においては、第1サブトラックTs1において、同じ状態の磁化を有し連続する複数の第1磁気記録要素84aの数は、4以下である。そして、第2サブトラックTs2において、同じ状態の磁化を有し連続する複数の第2磁気記録要素84bの数は、4以下である。
磁気記録再生装置151も、磁気記録再生装置150と同様に、磁気記録媒体80と、記録部60と、再生部70と、を含む。
この場合も、図7に示すように、この磁気記録媒体80は、第1トラックTr1を含む。第1トラックTr1は、第1方向(X軸方向)に延びる第1サブトラックTs1と、第1方向に延び第1方向と交差する第2方向(Y軸方向)において第1サブトラックTs1と並ぶ第2サブトラックと、を含む。第1サブトラックTs1は、複数の第1磁気記録要素84aを含む。第2サブトラックTs2は、複数の第2磁気記録要素84bを含む。
第2方向において複数の第1磁気記録要素84aの1つの隣の複数の第2磁気記録要素84bの1つと、複数の第1磁気記録要素84aの上記の1つと、が、第1方向に並ぶ複数の記録シンボル(第1〜第4記録シンボルRb1〜Rb4など)の1つを形成する。
記録部60は、第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aのそれぞれの磁化、及び、第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bのそれぞれの磁化を制御して、第1サブトラックTs1及び第2サブトラックTs2に情報を記録する。
再生部70は、第1サブトラックTs1、第2サブトラックTs2、及び、第1サブトラックTs1と第2サブトラックTs2との間の境界Bs1に対向しつつ、第1サブトラックTs1及び第2サブトラックTs2に記録された情報を読み出す。例えば、再生部70は、第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aのそれぞれの磁化、及び、第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bのそれぞれの磁化に応じた値を、例えば、第1方向に沿って検出して、第1サブトラックTs1及び第2サブトラックTs2に記録された情報を読み出す。
複数の記録シンボルの上記の1つに含まれる第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aの上記の1つは第1磁化を有し、複数の記録シンボルの上記の1つに含まれる第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bの上記の1つは第2磁化を有する。
このとき、第1磁化が第1状態St1であり、第2磁化が第1状態St1であるときに、複数の記録シンボルの上記の1つに記録された情報は、第1値(例えば”+1”)である。第1磁化が第2状態St2であり、第2磁化が第2状態St2であるときに、複数の記録シンボルの上記の1つに記録された情報は、第2値(例えば”−1”)である。そして、第1磁化が第1状態St1であり第2磁化が第2状態St2であるとき、または、第1磁化が第2状態St2であり第2磁化が第1状態St1であるときに、複数の記録シンボルの上記の1つに記録された情報は、第3値(例えば”0”)である。
このような構成において、連続して同じ状態が続く磁気記録要素84の数を4以下とすることで、安定した磁気記録再生が可能になる。
そして、この例においても、図7に示すように、磁気記録媒体80は、第2トラックTr2をさらに含んでも良い。第2トラックTr2は、第3サブトラックTs3と、第4サブトラックTs4と、を含む。第3サブトラックTs3は、第1方向に延び、複数の第3磁気記録要素84cを含む。第3サブトラックTs3は、第2方向において第2サブトラックTs2と並ぶ。第4サブトラックTs4は、第1方向に延び、複数の第4磁気記録要素84dを含む。第4サブトラックTs4は、第2方向において第3サブトラックTs3と並ぶ。
第1サブトラックTs1と第4サブトラックTs4との間に、第2サブトラックTs2が配置される。第2サブトラックTs2と第4サブトラックTs4との間に、第3サブトラックTs3が配置される。第2方向において第3サブトラックTs3の複数の第3磁気記録要素84cの1つの隣の、第4サブトラックTs4の複数の第4磁気記録要素84dの1つと、第3サブトラックTs3の複数の第3磁気記録要素84cの上記の1つと、が、第1方向に並ぶ複数の記録シンボル(第5記録シンボルRb5及び第6記録シンボルRb6など)の別の1つを形成する。
第2サブトラックTs2と第3サブトラックTs3との間の距離wtは、第1サブトラックTs1と第2サブトラックTs2との間の距離ws1よりも長く、第3サブトラックと第4サブトラックとの間の距離ws2よりも長い。
記録部60は、第3サブトラックTs3の複数の第3磁気記録要素84cのそれぞれの磁化、及び、第4サブトラックTs4の複数の第4磁気記録要素84dのそれぞれの磁化を制御して、第3サブトラックTs3及び第4サブトラックTs4に情報を記録する。
再生部70は、第3サブトラックTs3、第4サブトラックTs4、及び、第3サブトラックTs3と第4サブトラックTs4との間の境界Bs2に対向しつつ、第3サブトラックTs3及び第4サブトラックTs4に記録された情報を読み出す。再生部70は、第3サブトラックTs3の複数の第3磁気記録要素84cのそれぞれの磁化、及び、第4サブトラックTs4の複数の第4磁気記録要素84dのそれぞれの磁化を、例えば、第1方向に沿って、検出して、第3サブトラックTs3及び第4サブトラックTs4に記録された情報を読み出す。
例えば、複数の記録シンボルの上記の1つに含まれる第3サブトラックTs3の複数の第3磁気記録要素84cの上記の1つは、第3磁化を有する。複数の記録シンボルの上記の1つに含まれる第4サブトラックTs4の複数の第4磁気記録要素84dの上記の1つは、第4磁化を有する。
このとき、第3磁化が第1状態St1であり、第4磁化が第1状態St1であるときに、複数の記録シンボルの上記の別の1つに記録された情報は、第1値である。
第3磁化が第2状態St2であり、第4磁化が第2状態St2であるときに、複数の記録シンボルの上記の別の1つに記録された情報は、第2値である。
第3磁化が第1状態St1であり第4磁化が第2状態St2であるとき、または、第3磁化が第2状態St2であり第4磁化が第1状態St1であるときに、複数の記録シンボルの上記の別の1つに記録された情報は、第3値である。
そして、本実施形態において、以下のようにする。第3サブトラックTs3において、同じ状態の磁化を有し連続する複数の第3磁気記録要素84cの数は、4以下である。第4サブトラックTs4において、同じ状態の磁化を有し連続する複数の第4磁気記録要素84dの数は、4以下である。これにより、ノイズパワー比Rnpを低くすることができる。これにより、第2トラックTr2においても、安定した磁気記録再生が可能になる。
本実施形態において、1つの記録シンボルにおいて、2つの要素の両方が第1状態St1のときに”+1”とし、2つの要素の両方が第2状態St2のときに”−1”としても良い。逆に、1つの記録シンボルにおいて、2つの要素の両方が第1状態St1のときに”−1”とし、2つの要素の両方が第2状態St2のときに”+1”としても良い。この2種類の対応関係を、複数の記録シンボルの単位で、入れ替えても良い。この制御は、制御部55で実施できる。
実施形態において、磁気記録媒体80に形成される磁化の状態は、書き込まれる情報に依存する。このため、書き込まれる情報によっては、同じ状態の磁化を有し連続する複数の磁気記録要素84の数が大きくなる場合がある。このとき、上記の2種類の対応関係を、複数の記録シンボルの単位で、入れ替えても良い。これにより、同じ状態の磁化を有し連続する複数の磁気記録要素84の数を小さくすることができる。
第2の実施形態に係る構成を、第1の実施形態に係る構成と組み合わせて実施しても良い。すなわち、連続して同じ状態が続く磁気記録要素84の数を4以下とすることは、互いに隣り合う記録シンボル(第1記録シンボルRb1及び第2記録シンボルRb2)において、状態を変更する(状態S21及び状態S21を入れ替える)ことと、同時に行っても良い。
図10は、実施形態に係る磁気記録再生装置を例示する模式的平面図である。
図10は、書き込み動作における記録部60の位置の例を示している。
図10に示す例では、上記の第1及び第2の実施形態において、磁気記録媒体80への情報の記録が、瓦書き(SMR)により行われる。図10には、記録部60に含まれる磁極61の磁気記録媒体80に対向する部分61pの形状が模式的に描かれている。
磁極61の磁気記録媒体80に対向する部分61pの第2方向(Y軸方向)の長さLwは、第1サブトラックTs1の第2方向の長さ(第1長さw1)よりも長い。長さLwは、第2サブトラックTs2の第2方向の長さ(第2長さw2)よりも長い。例えば、長さLwは、第1長さw1の1.2倍以上2倍以下である。長さLwは、第2長さw2の1.2倍以上2倍以下である。
瓦書きにおいては、記録部60(磁極61)と磁気記録媒体80との間の第2方向(Y軸方向)における相対的な位置が、シフトされて記録が行われる。シフトの量(長さ)は、サブトラックのY軸方向の長さである。例えば、シフトの量(長さ)は、1つのトラックの幅(第1長さw1、第2長さw2及び距離ws1の合計)の1/2である。
例えば、1回目の記録において、記録部60(磁極61)の1つの端のY軸方向の相対的な位置が、第1サブトラックTs1の1つの端のY軸方向の位置に対応する。その後、記録部60(磁極61)のY軸方向の相対的な位置がシフトされる。2回目の記録において、記録部60(磁極61)の1つの端のY軸方向の相対的な位置が、第2サブトラックTs2の1つの端のY軸方向の位置に対応する。
瓦書きにおいては、磁気記録媒体80の1つの領域において、複数回、情報の記録が行われる。例えば、第2サブトラックTs2の少なくとも一部において、第1サブトラックTs1の書き込みの際に、磁化が変化させられる。そして、第2サブトラックTs2において、第2サブトラックTs2の書き込みの際に、磁化が変化させられる。
このように、記録部60は、第1サブトラックTs1及び第2サブトラックTs2に瓦書きにより情報を記録しても良い。瓦書きにより、高密度の記録が可能になる。
(第3の実施形態)
本実施形態は、磁気記録再生方法に係る。本実施形態の方法は、第1の実施形態に関して説明した磁気記録再生装置150における動作に対応する。
本方法は、以下を含む。
本方法では、第1トラックTr1を含む磁気記録媒体に情報を書き込む。第1トラックTr1は、第1方向に延びる第1サブトラックTs1と、第1方向に延び第1方向と交差する第2方向において第1サブトラックTs1と並ぶ第2サブトラックTs2と、を含む。第1サブトラックTs1は、複数の第1磁気記録要素84aを含む。第2サブトラックTs2は、複数の第2磁気記録要素84bを含む。この情報の書き込みにおいては、第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aのそれぞれの磁化、及び、第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bのそれぞれの磁化を制御して、第1サブトラックTs1及び第2サブトラックTs2に情報を記録する。
さらに、再生部70で第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aのそれぞれの磁化、及び、第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bのそれぞれの磁化に応じた値を、例えば、第1方向に沿って、検出して、記録された情報を読み出す。再生部70は、第1サブトラックTs1、第2サブトラックTs2、及び、第1サブトラックTs1と第2サブトラックTs2との間の境界Bs1に対向する。
第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aは、第1要素E1と、第1方向において第1要素E1の隣の第2要素E2と、を含む。第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bは、第2方向において第1要素E1の隣の第3要素E3と、第1方向において第3要素E3の隣であり第2方向において第2要素E2の隣の第4要素E4と、を含む。第1要素E1及び第3要素E3が第1記録シンボルRb1を形成する。第2要素E2及び第4要素E4が第2記録シンボルRb2を形成する。
第1記録シンボルRb1に記録する情報が第1値であるときに、第1要素E1の磁化を第1状態St1とし第3要素E3の磁化を第1状態St1とする。第1記録シンボルRb1に記録する情報が第2値であるときに、第1要素E1の磁化を第2状態St2とし第3要素E3の磁化を第2状態St2とする。第1記録シンボルRb1に記録する情報が第3値であるときに、第1要素E1の磁化を第1状態St1とし第3要素E3の磁化を第2状態St2とする。第2記録シンボルRb2に記録する情報が第3値であるときに、第2要素E2の磁化を第2状態St2にし第4要素E4の磁化を第1状態St1にする。
すなわち、X軸方向において互いに隣の2つの記録シンボルの両方に第3値を書き込む際に、異なる状態(状態S12及び状態S21のいずれか)を用いる。これにより、安定した磁気記録再生が可能な磁気記録再生方法が提供できる。
(第4の実施形態)
本実施形態は、磁気記録再生方法に係る。本実施形態の方法は、第2の実施形態に関して説明した磁気記録再生装置151における動作に対応する。
本方法は、以下を含む。
本方法では、第1トラックTr1を含む磁気記録媒体80に情報を書き込む。第1トラックTr1は、第1方向に延びる第1サブトラックTs1と、第1方向に延び第1方向と交差する第2方向において第1サブトラックTs1と並ぶ第2サブトラックTs2と、を含む。第1サブトラックTs1は、複数の第1磁気記録要素84aを含む。第2サブトラックTs2は、複数の第2磁気記録要素84bを含む。この情報の書き込みにおいては、第2方向において複数の第1磁気記録要素84aの1つの隣の、複数の第2磁気記録要素84bの1つと、複数の第1磁気記録要素84aの上記の1つと、が、第1方向に並ぶ複数の記録シンボルの1つを形成する。第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aのそれぞれの磁化、及び、第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bのそれぞれの磁化を制御して、第1サブトラックTs1及び第2サブトラックTs2に情報を記録する。
さらに、再生部70で第1サブトラックTs1及び第2サブトラックTs2に記録された情報を読み出す。再生部70で第1サブトラックTs1の複数の第1磁気記録要素84aのそれぞれの磁化、及び、第2サブトラックTs2の複数の第2磁気記録要素84bのそれぞれの磁化に対応する値を、例えば、第1方向に沿って、検出して、第1サブトラックTs1及び第2サブトラックTs2に記録された情報を読み出す。再生部70は、第1サブトラックTs1、第2サブトラックTs2、及び、第1サブトラックTs1と第2サブトラックTs2との間の境界Bs1に対向する。
複数の記録シンボルの上記の1つに含まれる複数の第1磁気記録要素84aの上記の1つは第1磁化を有する。複数の記録シンボルの上記の1つに含まれる複数の第2磁気記録要素84bの上記の1つは、第2磁化を有する。
複数の記録シンボルの上記の1つに記録する情報が第1値であるときに、第1磁化を第1状態St1とし第2磁化を第1状態St1とする。複数の記録シンボルの上記の1つに記録する情報が第2値であるときに、第1磁化を第2状態St2とし第2磁化を第2状態St2とする。複数の記録シンボルの上記の1つに記録する情報が第3値であるときに、第1磁化を第1状態St1としつつ第2磁化を第2状態St2とする、または、第1磁化を第2状態St2としつつ第2磁化を第1状態St1とする。
第1サブトラックTs1において、同じ状態の磁化を有し連続する複数の第1磁気記録要素84aの数は、4以下である。第2サブトラックTs2において、同じ状態の磁化を有し連続する複数の第2磁気記録要素84bの数は、4以下である。
これにより、ノイズパワー比Rnpを低くすることができる。安定した磁気記録再生が可能な磁気記録再生方法を提供することができる。
以下、実施形態に係る磁気記録再生装置の構成の例について説明する。以下では、磁気記録再生装置150について説明する。この説明は、磁気記録再生装置151にも適用される。
図11は、実施形態に係る磁気記録再生装置を例示する模式的斜視図である。
図12(a)及び図12(b)は、実施形態に係る磁気記録再生装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図11に示すように、実施形態に係る磁気記録再生装置150は、ロータリーアクチュエータを用いた形式の装置である。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ4に装着され、駆動装置制御部からの制御信号に応答するモータにより矢印Aの方向に回転する。本実施形態に係る磁気記録再生装置150は、複数の記録用媒体ディスク180を備えても良い。磁気記録再生装置150は、記録媒体181を含んでもよい。例えば、磁気記録再生装置150は、ハイブリッドHDD(Hard Disk Drive)である。記録媒体181は、例えば、SSD(Solid State Drive)である。記録媒体181には、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが用いられる。
記録用媒体ディスク180に格納する情報の記録再生を行うヘッドスライダ3は、既に説明したような構成を有し、薄膜状のサスペンション154の先端に取り付けられている。ここで、ヘッドスライダ3の先端付近に、例えば、既に説明した実施形態に係る磁気ヘッドのいずれかが搭載される。
記録用媒体ディスク180が回転すると、サスペンション154による押し付け圧力とヘッドスライダ3の媒体対向面(ABS)で発生する圧力とがつりあい、ヘッドスライダ3の媒体対向面は、記録用媒体ディスク180の表面から所定の浮上量をもって保持される。なお、ヘッドスライダ3が記録用媒体ディスク180と接触するいわゆる「接触走行型」としても良い。
サスペンション154は、駆動コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータアーム155の一端に接続されている。アクチュエータアーム155の他端には、リニアモータの一種であるボイスコイルモータ156が設けられている。ボイスコイルモータ156は、アクチュエータアーム155のボビン部に巻き上げられた駆動コイルと、このコイルを挟み込むように対向して配置された永久磁石及び対向ヨークからなる磁気回路とを含むことができる。サスペンション154は、一端と他端とを有し、磁気ヘッドは、サスペンション154の一端に搭載され、アクチュエータアーム155は、サスペンション154の他端に接続されている。
アクチュエータアーム155は、軸受部157の上下2箇所に設けられたボールベアリングによって保持され、ボイスコイルモータ156により回転摺動が自在にできるようになっている。その結果、磁気ヘッドを記録用媒体ディスク180の任意の位置に移動可能となる。
図12(a)は、磁気記録再生装置の一部の構成を例示しており、ヘッドスタックアセンブリ160の拡大斜視図である。
また、図12(b)は、ヘッドスタックアセンブリ160の一部となる磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ:HGA)158を例示する斜視図である。
図12(a)に示すように、ヘッドスタックアセンブリ160は、軸受部157と、この軸受部157から延出したヘッドジンバルアセンブリ158と、軸受部157からHGAと反対方向に延出していると共にボイスコイルモータのコイル162を支持した支持フレーム161と、を有している。
図12(b)に示したように、ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延出したアクチュエータアーム155と、アクチュエータアーム155から延出したサスペンション154と、を有している。
サスペンション154の先端には、ヘッドスライダ3が取り付けられている。そして、ヘッドスライダ3には、実施形態に係る磁気ヘッドのいずれかが搭載される。
すなわち、実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ)158は、実施形態に係る磁気ヘッドと、磁気ヘッドが搭載されたヘッドスライダ3と、ヘッドスライダ3を一端に搭載するサスペンション154と、サスペンション154の他端に接続されたアクチュエータアーム155と、を備える。
サスペンション154は、信号の書き込み及び読み取り用、浮上量調整のためのヒーター用、及び、例えばスピントルク発振子用などのためのリード線(図示しない)を有する。これらのリード線と、ヘッドスライダ3に組み込まれた磁気ヘッドの各電極と、が電気的に接続される。
また、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の書き込みと読み出しを行う信号処理部190が設けられる。信号処理部190は、例えば、図11に例示した磁気記録再生装置150の図面中の背面側に設けられる。信号処理部190の入出力線は、ヘッドジンバルアセンブリ158の電極パッドに接続され、磁気ヘッドと電気的に結合される。
このように、本実施形態に係る磁気記録再生装置150は、磁気記録媒体と、上記の実施形態に係る磁気ヘッドと、磁気記録媒体と磁気ヘッドとを離間させ、または、接触させた状態で相対的に移動可能とした可動部と、磁気ヘッドを磁気記録媒体の所定記録位置に位置合わせする位置制御部と、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の書き込みと読み出しを行う信号処理部と、を備える。
すなわち、上記の磁気記録媒体として、記録用媒体ディスク180が用いられる。
上記の可動部は、ヘッドスライダ3を含むことができる。
また、上記の位置制御部は、ヘッドジンバルアセンブリ158を含むことができる。
このように、本実施形態に係る磁気記録再生装置150は、磁気記録媒体と、実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリと、磁気ヘッドアセンブリに搭載された磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の書き込みと読み出しを行う信号処理部と、を備える。
実施形態によれば、安定した磁気記録再生が可能な磁気記録再生装置及び磁気記録再生方法が提供される。
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気記録再生装置に含まれる磁気記録媒体、記録部、再生部及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気記録再生装置及び磁気記録再生方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気記録再生装置及び磁気記録再生方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。