JP2002208103A - 磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気ディスク装置

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JP2002208103A
JP2002208103A JP2001368958A JP2001368958A JP2002208103A JP 2002208103 A JP2002208103 A JP 2002208103A JP 2001368958 A JP2001368958 A JP 2001368958A JP 2001368958 A JP2001368958 A JP 2001368958A JP 2002208103 A JP2002208103 A JP 2002208103A
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magnetic disk
slider
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JP2001368958A
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English (en)
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Yoichiro Tanaka
陽一郎 田中
Kazuishi Tanimoto
一石 谷本
Kazuyuki Hikosaka
和志 彦坂
Yasuro Otsubo
康郎 大坪
Shigeru Hoshina
茂 保科
Hiroshi Ohashi
浩 大橋
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 垂直磁気記録方式の磁気ディスクを用いて高
密度記録が可能な磁気ディスク装置を提供する。 【解決手段】 磁気ヘッド301は記録用の軟磁性体ま
たは磁気シールド用軟磁性膜の近傍に配置された再生用
の磁気抵抗効果素子311を備え、磁気抵抗効果素子3
11の膜厚をTmとし、前記磁気抵抗効果素子311と
記録用の軟磁性体または磁気シールド用軟磁性膜との間
隔をgとし、記録最短波長をλminとしたとき、Tm
<λmin<Tm+gの関係を満たしており、磁気ディ
スク302の磁化記録層307は平均径が磁気抵抗効果
素子の膜厚Tmより小さい磁性結晶粒子で構成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスク装置
に係り、例えば垂直磁気記録方式の磁気ディスクを用い
る磁気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンピュータの分野においては、
ランダムアクセスの可能な大容量の外部記憶装置として
磁気ディスク装置が盛んに利用されている。そして、利
用の拡大に伴い、磁気ディスク装置には記憶容量の大容
量化および高記録密度化に対する要求がますます高まっ
ている。
【0003】磁気ディスク装置は、通常、非磁性基板上
に磁性層を設けてなる磁気ディスクを一本の回転軸に複
数枚積み重ねて取り付けるとともに、これらの磁気ディ
スクに対して記録再生を行う磁気ヘッドをアームに取り
付け、このアームをアクチュエータで駆動して磁気ヘッ
ドの位置決めを行うように構成されている。
【0004】このような構造の磁気ディスク装置にあっ
て、磁気ヘッドは、情報の記録再生を行う際に高速で回
転するディスク面には直接接触せず、僅かに浮上した状
態でディスク面の所望の位置にアクセスするように配置
される。そして、ディスク面の同心円状のトラックに対
して、磁気ヘッドによって信号が記録され、あるいは再
生される。
【0005】磁気ディスク装置において、記憶容量の大
容量化要求に答えるために、例えばディスクの線記録密
度、すなわちトラック方向の記録密度を向上させたり、
あるいはトラック密度を高めることによって記録密度を
向上させたりするなどの試みがなされている。さらに記
録密度を高めるため、近年、磁気ヘッドを極端に低浮上
させたり、あるいは磁気ディスクにほぼ接触させて記録
再生する接触記録の研究も盛んに行われている。
【0006】また、線記録密度を高める方法として、1
975年に垂直磁気記録方式が提案された。この垂直磁
気記録方式では、従来の面内方向に異方性をもつ面内磁
気記録方式に比べて、磁化転移部分での減磁界を原理上
非常に小さくでき、磁化転移幅を狭くできるので高密度
記録が可能となる。この垂直磁気記録方式において、短
冊状の軟磁性薄膜を用いた垂直磁気記録用の磁気ヘッド
を用いると、より垂直な方向の記録磁界が得られ。高密
度化に有効であることも知られている。また、垂直磁気
記録方式での記録および再生効率を上げ、より急峻な磁
化転移を形成するために、垂直磁気異方性の磁化記録層
の下に軟磁性裏打ち層を設けた垂直2層膜媒体構成の磁
気ディスクも提案されている。この磁気ディスクを用い
ると、磁気ヘッドと軟磁性裏打ち層との磁気的相互作用
により、磁気ヘッド先端での減磁界を減らすことがで
き、記録時により大きな発生磁界を得ることができる。
また再生にも同様に、磁気ヘッド先端での減磁界を小さ
くでき、実効透磁率を向上させることができるので媒体
からの磁束を効率よく磁気ヘッドに集束でき、大きな信
号を得ることができる。
【0007】最近では、垂直磁気記録方式を採用し、し
かも信号再生の感度を高めるために、磁気抵抗効果素子
(MR素子)を用いた能動型の磁気ヘッドが提案されて
いる。能動型の磁気ヘッドは、パーマロイなどの軟磁性
体からなるMR素子の電気抵抗が外部磁界によって変化
する性質を使い、記録媒体からの磁束を電気信号に変換
するようにしている。このMR素子を用いた磁気ヘッド
の再生感度は、抵抗変化を電圧変化に変換するために軟
磁性体に流すセンス電流の大きさに比例する。したがっ
て、磁気ヘッド・媒体間の相対速度が小さい場合でも大
きな出力が得られる。このため、大きな出力を生かし
て、トラック幅を狭くし、トラック密度を高めることが
可能となる。
【0008】ところで、垂直磁気記録方式を対象にした
MR素子内蔵の磁気ヘッドとしては、特公昭62−24
848公報や特公昭63−67250公報に示されてい
るように、記録用の単磁極膜に隣接し、かつ記録媒体に
対向する位置にMR素子を配置した構成のものが知られ
ている。
【0009】しかし、これらの磁気ヘッドでは、媒体と
の接触によってMR素子に摩耗が起きると、MR素子の
断面積が小さくなるために抵抗が増加し、再生出力が変
動する問題があった。
【0010】なお、摩耗対策として、特公昭53−25
488公報に示されているものでは、媒体に接する2つ
の軟磁性ヨークの間にヨークと並行にMR素子を橋上に
配置することによって、摩耗の影響を受けないようにし
ている。しかし、この磁気ヘッドでは、摩耗の影響は受
けないものの、記録時に発生する磁界の方向とMR素子
の膜面方向とが並行であるため、記録時にMR素子の膜
面方向に大きな記録磁界が印加され、MR素子の磁区構
造が乱されるという問題があった。また、この磁気ヘッ
ドでは、記録時にリング型ヘッドとして動作するため、
大きな面内方向の磁界を発生し、垂直磁気記録方式への
適用は困難であった。
【0011】また、記録磁界の影響を避けるために、記
録ヘッドと再生用MR素子とを離し設置することが考え
られるが、この場合には、特にディスク上の半径が小さ
いトラックで、記録ヘッドと再生ヘッドとの間の距離の
影響でトラックずれが生じてしまい、信号品質を著しく
劣化させる虞がある。
【0012】また、垂直磁気異方性の磁気記録層に信号
を記録再生するために、記録用の単磁極膜や磁気シール
ド膜に近接してMR素子を配置した構成を採用した場合
には、信号再生時にMR素子と記録用の単磁極膜や磁気
シールド膜とが磁気的に結合し、MR素子と隣接したこ
れらの軟磁性膜との間隔gとMR素子膜厚Tmとの和
(g+Tm)によって再生分解能が制限を受ける。この
ため、垂直磁気異方性の磁化記録層を用いた場合、磁化
記録層の優れた記録分解能にふさわしい高い再生分解能
が得られないという問題もあった。
【0013】また、大きな再生信号を得るためには、
0.1μm以下、望ましくは0.05μm以下の薄いM
R素子を使い、MR素子の抵抗値を大きくすることが必
要である。この場合には、MR素子の膜厚が垂直磁気異
方性の磁化記録層を構成している結晶の粒径とほぼ同じ
大きさとなり、分解能を十分高くできないばかりか、上
記結晶の粒径に起因するノイズが大きくなり、信号品質
を低下させてしまうという問題があった。
【0014】また、この種の磁気ディスク装置では、図
53に示すようにスライダ538の一部に磁気ヘッド5
39を組み込んだヘッドスライダが使用されている。こ
のヘッドスライダでは、2本の平行な平面で形成された
エアベアリング面540が磁気ディスク表面に対向し、
さらに磁気ヘッド539のギャップ部分541を磁気デ
ィスクの表面側に位置させて信号の記録再生を行う。
【0015】図54にはヘッドスライダの動作原理を説
明するための概念図が示されている。スライダ542
は、支持点543において図示しないジンバルスプリン
グ、サスペンションスプリングによってディスク面に垂
直な力(矢印544)および支持点を中心にしたモーメ
ント(矢印545)で支持拘束されている。磁気ヘッド
546はスライダ後端に設けられており、ギャップ54
7はスライダのエアベアリング面548の後端に位置し
て矢印549で示す方向に回転する磁気ディスク550
の表面に対向している。
【0016】ヘッドスライダ542は、回転する磁気デ
ィスク550の表面に粘性により連れ回る空気がエアベ
アリング面548と磁気ディスク550の表面との間で
発生する動圧と、ジンバルスプリング、サスペンション
スプリングによる支持拘束力とが釣り合った状態でディ
スク上を一定の間隙551でを保って浮上する。
【0017】この方式では、磁気ヘッドと磁気ディスク
との接触が回避され、磁気ヘッドおよび磁気ディスクの
接触に起因する摩耗が防止されるという利点がある。し
かし磁気記録の観点からみると、磁気ヘッドと磁気ディ
スクとの間に間隙551があることから、記録・再生時
にロスが生じ、信号出力の低下を招くという問題があ
る。この問題は記録密度が高く、記録信号の波長が短い
場合や、磁化容易軸がディスク面に垂直となるいわゆる
垂直磁気記録方式の場合に顕著となり、記録密度を向上
させる上での大きな障壁のひとつになっている。
【0018】そこで、磁気ヘッドと磁気ディスクとの間
の間隙をできるだけ小さくし、実質的には両者が接触し
た状態で記録・再生を行う方式も提案されている。例え
ば特開平3−178017公報では、磁気ヘッドの形状
を針状とし、先端の磁気ヘッドの記録再生部を極軽荷重
でディスクに押し付ける方法を提案している。この方法
によれば、微小な荷重を微小な面積に加えることによ
り、磁気ディスクとの摺動によるヘッド摩耗量を実用上
問題のない範囲に抑えられるとしている。しかし、針状
のヘッドに一定の荷重を安定して加えることは簡単では
ない。
【0019】磁気ヘッドと磁気ディスクとの間の距離を
安定して小さくする方法としては、たとえば特開昭62
−3476公報に示されているように、大小2つの浮上
スライダを結合し、小さい方のスライダに磁気ヘッドを
搭載する方法が提案されている。しかし、この方法で
は、小さい方のスライダも浮上しており、磁気ヘッドと
磁気ディスクとの間の間隙を小さくするのに限界があ
り、磁気ヘッドと磁気ディスクとを接触させることが困
難である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、記録
用の磁極および再生用のMR素子と磁気ディスクとの磁
気的な結合を強めることができ、記録分解能と再生分解
能との両方を向上させることができる磁気ディスク装置
を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、軟磁性裏打ち層の上に垂直磁気異方性を
有する磁化記録層を設けてなる垂直磁気記録方式の磁気
ディスクと、この磁気ディスクへの情報記録および情報
読出しを行う磁気ヘッドとを備えてなる磁気ディスク装
置において、前記磁気ヘッドは記録用の軟磁性体または
磁気シールド用軟磁性膜の近傍に配置された再生用のM
R素子を備え前記MR素子の膜厚をTmとし、前記MR
素子と前記記録用の軟磁性体または磁気シールド用軟磁
性膜との間隔をgとし、記録最短波長をλmin とし
たとき、Tm<λmin <Tm+gの関係を満たして
おり、前記磁気ディスクの前記磁化記録層は平均径が前
記MR素子の膜厚Tmより小さい磁性結晶粒子で構成さ
れている。
【0022】本発明においては、磁気ディスク上の記録
トラック相互間に、実質的に有効な信号が存在しない無
信号領域を形成する手段を有することが望ましい。この
無信号領域は、例えば磁気ヘッドのサイドフリンジ磁界
を利用することにより形成できる。具体的には、磁気デ
ィスクが磁気ギャップを有するリング型記録ヘッドの場
合は、磁気ギャップのギャップ長をg[μm]、記録ト
ラック幅をTw[μm]、トラックピッチをTp[μ
m]、磁気ディスクの磁性層の保磁力をHc[Oe]と
したとき、g<(1500/Hc−Hc/4000π+
0.3)/(Hc/400π−1/2)、且つg≧(1
500/Hc−Hc/4000π+0.3−Tp+T
w)/(Hc/400π−1/2)なる条件を満たすこ
とにより無信号領域を形成できる。
【0023】また、磁気ディスクのうちの記録ヘッドが
記録トラック幅方向の端部がトレーリング側が狭いテー
パ状に構成された主磁極を有する垂直磁気記録用単磁極
ヘッドの場合、上記無信号領域は記録ヘッドの該テーパ
状の部分の記録トラック幅方向の寸法をp、前記トラッ
クピッチをTpとしたとき、0<p≦Tp−Twなる条
件を満たすことにより形成できる。
【0024】さらに、上記無信号領域は磁気ディスク自
体に形成することも可能であり、具体的には少なくとも
信号記録のための磁性層の無信号領域の飽和磁化および
保磁力の少なくとも一方を記録トラックの領域のそれよ
り小さくすることが実現することができる。
【0025】また、このように無信号領域を設ける場
合、磁気ディスク上の記録トラックの幅をTw、該記録
トラックのトラックピッチをTpとし、前記無信号領域
の幅をGとしたとき、G>Tp−Twなる条件を満たす
ことが望ましい。
【0026】また、本発明の磁気ディスク装置によれ
ば、MR素子の膜厚Tmと、MR素子と記録ヘッド用の
軟磁性体または磁気シールド用の軟磁性膜との間隔g
と、記録最短波長λminとの関係を、Tm<λmin
<Tm+gとし、加えて、MR素子の先端と記録媒体表
面との距離ds、記録媒体の保護膜厚dp、磁気記録層
厚dr、MR素子の膜厚Tmとが、ds+dp<Tm、
かつds+dp+dr<2Tmを満足する構造を採用す
ることにより、シールド型MRヘッドの再生分解能Tm
+gよりも高い分解能で信号を再生することが可能とな
る。特に、MR素子と裏打ち軟磁性層とを近づけること
によって静磁気的に結合させることができ、MR素子厚
Tmを分解能とする高分解能再生が可能となる。したが
って、シールド型MRヘッドでsin(k(Tm+
g))/k(Tm+g)によって表されるギャップによ
る損失が、上記条件を満足させることにより、sin
(kTm)/kTmに抑えることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態を説明する。
【0028】実施形態1
【0029】図1は本発明の一実施形態になる磁気ディ
スク装置の要部を一部切欠して示す斜視図である。
【0030】この磁気ディスク装置は、磁気ヘッド10
1と、垂直磁気記録方式の磁気ディスク102とを備え
ている。
【0031】磁気ヘッド101は、アーム103を介し
て磁気ディスク102に接触するように設けられてる。
この磁気ヘッド101は、図示しないアクチュエータに
より、磁気ディスク102に同心円状に形成された複数
のトラックの内の所望のトラック104上に位置決めさ
れる。
【0032】磁気ディスク102は、円板状に形成され
た非磁性体基板105の上に軟磁性裏打ち層106、垂
直磁気異方性の磁化記録層107を順次積層し、さらに
その上に保護膜108を形成した構造を有している。具
体的な例で説明すると、1.8インチ径で厚さ0.4m
mのガラス基板105の上に、アルゴンガス雰囲気中で
高周波スパッタ法によりCoZrNb微結晶からなる厚
さ0.1μmの軟磁性裏打ち層106を形成した。この
軟磁性裏打ち層106の面内方向保磁力(Hcs)は、
10Oeであった。さらにその上に、アルゴンガス雰囲
気中でのDCマグネトロンスパッタ法により、CoPt
からなる厚さ0.08μmの垂直磁気異方性磁化記録層
107を形成した、この磁化記録層107の垂直方向保
磁力(Hch)は、2200Oeであった。磁化記録層
107の上には、ヘッドの接触に対する耐久性を確保す
るために、プラズマCVD法により、ダイヤモンドライ
クカーボンからなる厚さ0.008μmの保護膜108
を形成した。磁気ディスク102は、このようにして形
成されたものである。
【0033】次に、磁気ヘッド101の構成を説明す
る。
【0034】図2は、磁気ヘッド101と磁気ディスク
102との間の相対移動方向に沿った、磁気ヘッド10
1の断面模式図である。図3は、同磁気ヘッド101の
部分透視斜視図である。
【0035】これらの図において、103はセラミック
ス製の針状アームを示している。針状アーム103の先
端部には、高周波スパッタ法により、CoFe高透磁率
材からなる主磁極109a,109bが形成されてい
る。これら主磁極109a,109bは、磁気ディスク
102の表面に対して垂直な方向に延設され、かつトラ
ック方向で互いに対面する2層構造で形成されている。
また、主磁極109a,109bは、それぞれの一端が
磁気ディスク102に対向する位置するように設けられ
ている。主磁極109a,109bのトラック方向の厚
さは0.3μmで、両者の間には、高周波スパッタ法に
より形成された厚さ0.01μmのTi製の非磁性中間
層110が介挿されている。主磁極109a,109b
の周囲には、絶縁材料111によって覆われた記録コイ
ル112が配置されている。この例の場合、記録コイル
112の巻き数は3ターンである。
【0036】主磁極109a,109bの他端、すなわ
ち磁気ディスク102に対向する先端とは反対側に位置
する後端部には、絶縁層113を介してパーマロイより
なるMR素子114が配置されている。MR素子114
は、その膜面が磁気ディスク102の表面と平行になる
ように配置され、主磁極109a,109bと磁気的に
結合している。MR素子114のトラック幅方向の両端
部には、2本の銅リード線115a,115bが接続さ
れており、この銅リード115a,115bを介してM
R素子114にトラック幅方向のセンス電流Isを流す
ことができるようになっている。記録および再生は、ヘ
ッド101と磁気ディスク102とが接触した状態で行
われる。
【0037】記録時には、信号に対応した記録電流を記
録コイル112に流すことにより、主磁極109a,1
09bを通り、かつ信号に対応した方向の強い磁束を発
生させる。このとき、主磁極109a,109bと磁気
ディスクの軟磁性層106との間の静磁気的な結合によ
り、両者に挾まれた磁化記録層107の内部には大きく
て鋭い分布の記録磁界が発生する。この記録磁界によっ
て、磁化記録層107は信号には対応した方向に磁化さ
れる。
【0038】図4には、ヘッド前面から0.01μm離
れた位置での記録磁界分布が示されている。主磁極10
9a,109bの先端(図では下端)と磁気ディスク1
02の保護膜108とを接触させても、表面粗さに起因
して、両者の間には約0.002μmの平均間隔が存在
する。また、保護膜108の膜厚は0.008μmであ
る。したがって、主磁極109a,109bの先端と磁
気ディスク102の磁化記録層107との間の距離、す
なわち、ヘッド/記録層間のスペーシング(d)は0.
01μmである。
【0039】信号再生時には、磁気ディスク102の磁
化転移点(magnetization revers
al point)が主磁極109a,109bの前面
を通過する際に、一方の主磁極からMR素子114を経
由して他方の主磁極へと流れる磁束が変化し、この磁束
の変化はMR素子114の電気抵抗を急峻に変化させ
る。
【0040】上記の信号再生時に、MR素子114の内
部を流れる磁束の変化を図5に示す。磁化転移点が主磁
極109a,109bの前面にさしかかると、それぞれ
の主磁極を通る磁束量が増大し始め、一定の値にまで増
大する。このとき、主磁極109a,109bの間には
一定の距離があるため、それぞれを流れる磁束が増大し
始める時点が異なる。その結果、主磁極109a,10
9bのそれぞれを流れる磁束量の差は、磁化転移点が非
磁性中間層110の前面にきた時点で最大となる。MR
素子114を通過する磁束の量は、二つの主磁極109
a,109bを通る磁束量の差である。したがって磁化
転移点が非磁性中間層110の前面にきた時点でMR素
子の内部を通る磁束量は最大になる。MR素子114の
電気抵抗は、その内部を通る磁束量によって変化するの
で、MR素子114に一定のセンス電流Isを流してお
けば、磁束量が最大になった時点での再生信号電圧を得
ることができる。
【0041】図6から図8には、データ検出のために微
分した再生信号波形が示されている。再生波形のゼロク
ロス点がデータ検出点であり、その傾きが大きいほど、
対雑音比(S/N比)に優れている。図6から図8は、
主磁極109a,109bのトラック方向の厚みがそれ
ぞれ0.3μm,0.5μm,0.1μmのとき微分再
生信号である。これらの図を比較すれば明らかなよう
に、主磁極109a,109bの厚みを変えても、ゼロ
クロス近傍の傾きやその幅は変化しない。したがって、
この範囲では分解能やS/N比は主磁極の厚みに依存し
ないことが判る。
【0042】図9には、主磁極109a,109bのト
ラック方向の厚みをさらに大きい範囲で変えたときの、
ゼロクロスの傾きの変化が示されている。この結果から
明らかなように、主磁極の厚みが0.05μm以上であ
れば、のゼロクロスの傾きは主磁極の厚みに依存しなく
なる。
【0043】図10には、比磁性中間層110の厚みを
0.1μmにしたときの微分再生信号が示されている。
図から明らかなように、この場合には、ゼロクロス点の
傾きが小さくなっている。
【0044】図11には、非磁性中間層110の厚みを
広範囲に変化させたときの、ゼロクロス点の傾きの変化
が示されている。非磁性中間層110の厚みを小さくす
るほどゼロクロス点の傾きが大きくなり、大きなS/N
が得られることが判る。
【0045】以上述べたように、この実施形態の磁気デ
ィスク装置に組み込まれた磁気ヘッド101では、記録
感度と、再生分解能および再生感度とを独立して制御す
ることが可能である。したがって、高い記録能力と高い
再生分解能とを両立させることができる。また、この磁
気ヘッドは記録部および再生部が一体化されたヘッド構
造であるため、記録中心と再生中心がサブミクロン程度
しか離れていない。したがってヨーク角の付いた状態で
もオフトラックの発生を抑えることが可能であり、磁気
ディスクの狭トラック化にも充分対応することが可能で
ある。したがって、磁気ディスク装置の記録密度と信頼
性を高めることができる。
【0046】さらに、磁気ヘッド101と磁気ディスク
102とを接触させて走行させることにより、スペーシ
ング損失を小さくでき、高い記録密度での信号の記録お
よび再生が可能となる。加えて、MR素子114の摩耗
やセンス電流のリークが発生しないため、接触記録であ
るにもかかわらず、MR素子内蔵ヘッドの信頼性を著し
く高めることができる。
【0047】さらに、信号記録時の磁界の方向がMR素
子114に直交するような構造であるため、記録磁界に
よってMR素子114の磁区変化は生じない。したがっ
て、ノイズの少ない安定した信号再生が可能となり、装
置の信頼性を向上させることができる。
【0048】実施形態2
【0049】図12には、本発明の別の実施形態になる
磁気ディスク装置の要部が、ヘッドと磁気ディスクとの
相対移動方向に沿った断面図として模式的に示されてい
る。
【0050】垂直磁気記録方式の磁気ディスク216
は、次のようにして製造されたものである。まず、2.
5インチ径で厚さ0.635mmのガラス基板217の
上に、アルゴンガス雰囲気中でのDCマグネトロンスパ
ッタ法により、厚さ0.12μmのFeSiからなる軟
磁性裏打ち層218を形成する。その上に、厚さ0.0
4μmのスパッタカーボン中間層219を介して、アル
ゴンガス雰囲気中でのDCマグネトロンスパッタ法によ
り、厚さ0.1μmのCoCr垂直磁気異方性層(磁化
記録層)220を形成する。さらにその上に、ヘッドの
接触に対する耐久性を確保するために、RFスパッタ法
により、SiN膜からなる厚さ0.005μmの保護膜
221を形成する。軟磁性裏打ち層218の面内方向保
磁力(Hcs)は60Oeであり、磁化記録層220の
垂直方向保磁力(Hch)は1600Oeである。
【0051】磁気ディスク216への信号の記録および
再生を行うための磁気ヘッド222は、次のように構成
されている。SiCセラミックス製の針状アーム223
の先端部に、高周波スパッタ法により形成された、Fe
Si高透磁率材よりなる主磁極224a,224bが設
けられている。これら主磁極224a,224bは、ト
ラック方向に互いに対面しており、かつそそれぞれの一
端部は磁気ディスク216と対向して配置されている。
主磁極224a,224bのトラック方向の厚さは、
0.1μmである。二つの主磁極224a,224bの
間には、高周波スパッタ法によりSiO2からなる非磁
性中心間層225が形成されている。該非磁性中間層2
25の厚さは、磁気ディスク216に近接する部分で
0.02μmである。主磁極224aと針状アーム22
3sの間には、絶縁材料235によって覆われた記録コ
イル226が配置されている。この例の場合、記録コイ
ル226の巻き数はハーフターン(0.5ターン)であ
る。
【0052】主磁極224a,224bおよび非磁性中
間層225は、磁気ディスク216に対向する先端部と
は反対側の後端部において湾曲しており、その先端の端
面と後端の端面とは90°の角度をなしている。後端部
の端面には、絶縁層227を介してパーマロイ層228
/Cu層229/パーマロイ層230/FeMn層23
1の積層膜からなるスピンバルブ素子232が配置され
ている。
【0053】スピンバルブ素子232は、主磁極224
a,224bと磁気的に結合されている。また、スピン
バルブ素子232の図中上下方向の端部には、2本の銅
リード線233a,233bが接続されている。これら
銅リード線233a,233bを介して、スピンバルブ
素子232の上下方向にセンス電流Isが流される。パ
ーマロイ層230の磁化方向は、反強磁性FeMn層2
31との交換結合によって一定方向に固定される。これ
に対して、パーマロイ層228の磁化方向は、磁気ディ
スク216から主磁極224a,224bを通して磁気
バルブ素子232に与えられる磁束によって変化し得
る。スピンバルブ素子232の電気抵抗は、パーマロイ
層230の磁化の向きと、パーマロイ層228の磁化の
向きとの相対的な関係によって変化する。実際は、スピ
ンドルバルブ素子232の電気抵抗は、二つのパーマロ
イ層の磁化の向きが並行の場合に抵抗値が最小となり、
反並行の場合に最大となる。したがって、スピンバルブ
素子232は、実施形態1におけるMR素子と同じ作用
を奏する。記録および再生は、磁気ヘッド222と磁気
ディスク216とが接触した状態で行われる。
【0054】この実施形態においても、スピンバルブ素
子232は磁気ディスク216の表面には接触しない。
また、主磁極224a,224bにより発生する磁界
は、スピンバルブ素子232の表面に対して直交する。
従って、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0055】実施形態3
【0056】図13には、本発明の第3の実施形態にな
る磁気ディスク装置の要部が、図12と同様の断面図と
して模式的に示されている。
【0057】本実施形態の磁気ディスク装置も、磁気ヘ
ッド301と磁気ディスク302とを備えている。
【0058】磁気ヘッド301は、垂直磁気記録方式の
磁気ディスク302に情報を記録し記録された情報を再
生するためのヘッドであり、磁化信号を再生するための
MR素子を具備している。磁気ヘッド301は、アーム
303を介して磁気ディスク302に接触するように設
けられている。また、磁気ディスク302は同心円状の
複数のトラックが形成されており、磁気ヘッド301
は、図示しないアクチュエータによって所望のトラック
上に位置決めされる。
【0059】磁気ディスク302は、円板状の非磁性体
基板305の上に、軟磁性裏打ち層306、垂直磁気異
方性を有する磁化記録層307を順次積層し、さらにそ
の上に保護膜308が形成することにより製造されてい
る。具体的には、1.8インチ径で厚さ0.4mmのガ
ラス基板305の上に、アルゴンガス雰囲気中での高周
波スパッタ法によりCoZrNb微結晶からなる厚さ
(db)が0.2,μmの軟磁性裏打ち層306を形成
される。その上に、アルゴンガス雰囲気中でのDCマグ
ネトロンスパッタ法により、厚さ(dr)が0.07μ
mのCoPtからなる垂直磁気異方性を有する磁化記録
層307が形成される。該磁化記録層7の上にさらにヘ
ッドの接触に対する耐久性と絶縁性を確保するためにR
Fスパッタ法によりZrO2、からなる厚さ(dp)が
0.01μmの保護膜308が形成される。
【0060】上記の磁気ディスク302において、軟磁
性裏打ち層306の面内方向保磁力(Hcs)は5Oe
であり、その飽和磁束密度(Bsb)は1100Gであ
った。一方、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し
た結果、磁化記録層307の平均結晶粒径は0.015
μm、すなわち膜厚の約1/5であった。また、磁化記
録層307垂直方向磁気異方性定数は2.5×105
J/m3 以上であり、垂直方向保磁力(Hch)は2
500Oe、飽和磁化(Isr)は10000Gであっ
た。軟磁性裏打ち層306の膜厚(db)と飽和磁束密
度(Bsb)との積(db・Bsb)は2200Gμ
m、磁化記録層307の膜厚(dr)と飽和磁化Isr
との積(dr・Isr)は700Gμmであった。した
がって、上記磁気ディスク302は、Bsb・db>I
sr・drの関係を満足している。この関係を満足する
磁気ディスクでは、軟磁性裏打ち層306が飽和し難い
ため、磁気ヘッドとの磁気的結合が強くなる効果が得ら
れる。
【0061】磁気ヘッド301は次のように構成されて
いる。
【0062】図中、303はセラミックス製の針状アー
ムを示している。針状アーム303の端部には、DCス
パッタによりCoZrNb高透磁率材よりなる厚さ0.
5μmの磁気シールド膜309が形成されている。磁気
シールド膜309外側には、厚さ0.2μmの非磁性絶
縁層310を介して、MR素子311がイオンビームス
パッタ法により形成されている。
【0063】MR素子311はNiFe合金からなり、
その膜厚Tmは0.08μm、高さは6μmである。す
なわち、MR素子311の膜厚Tmは、磁化記録層30
7の平均結晶粒径0.015μmよりも十分に大きい。
また、磁気シールド膜309とMR素子311との間隔
gは、非磁性絶縁層310の膜厚と同じ0.2μmであ
る。
【0064】MR素子311の外面側(すなわち、図で
は左側面)には、非磁性絶縁層312、磁気シールド膜
313および非磁性絶縁層314が形成されている。磁
気シールド膜313とMR素子311との間隔gは、
0.2μmである。
【0065】非磁性絶縁層314の図中左側面は平滑加
工されており、この平滑加工された側面には、記録用の
種磁極315が形成されている。主磁極315は、高周
波マグネトロンスパッタ法で作成された厚さTr=0.
5μmのFeSi薄膜からなっている。主磁極315の
中央には、突起が形成されている。この突起によって、
絶縁材料317で覆われた記録コイル316により発生
された記録磁束は、効率良く主磁極つ315を貫通する
ことができる。
【0066】信号再生用のMR素子311の先端(図中
では下端)は、磁気ヘッドの下端に露出している。しか
し、磁気ディスクの保護膜308とMR素子311との
間の距離(ds)は、これらの表面粗さに起因して、両
者を接触させた場合でも平均で約0.01μmである。
また、既述したように、保護膜308の厚さ(dp)は
0.01μmである。したがって、MR素子311の先
端と磁化記録層307との間の距離(ds+dp)は
0.02μmである。その結果、ヘッド/媒体スペーシ
ング(ds+dp)と、MR素子311の膜厚(Tm=
0.08μm)および磁化記録層307の膜厚(dr=
0.07μm)とは、次式の関係を満たしている。
【0067】 ds+dp<Tm, かつ ds+dp+dr<2Tm
【0068】主磁極315の先端と保護膜308との距
離(dsw)も、同様に0.01μmであるから、記録
用主磁極315の先端と磁化記録層307との距離(d
sw+dp)も、0.02μmである。したがって、ヘ
ッド/媒体スペーシング(dsw+dp)と、主磁極3
15の膜厚(Tr=0.5μm)とは次式の関係を満足
している。
【0069】2(dsw+dp)<Tr
【0070】上記実施形態の磁気ディスク装置におい
て、信号記録時には、記録コイル316に記録電流を流
すことによって主磁極315に強い磁束を発生させる。
このとき、主磁極315と磁気ディスクのCoZrNb
軟磁性裏打ち層306との間の静磁気的な結合により、
両者に挾まれたCoPt磁化記録層307の内部には、
大きくて鋭い分布の記録磁界が発生する。その結果、磁
化記録層307はこの記録磁界に対応した方向に磁化さ
れる。
【0071】一方、信号再生時には、MR素子311の
前面を磁気ディスク302の磁化転移点が通過する際
に、磁化記録層307からMR素子311に流れる磁束
量が変化し、その電気抵抗を急峻に変化させる。MR素
子311に一定のセンス電流を流すことにより、この抵
抗変化を電圧変化に変換し、再生信号電圧を得ることが
できる。
【0072】図14には、ヘッド/媒体スペーシング
(ds+dp)をかえた場合に、パルス幅(PW50)
が変化する様子が示されている。なお、パルス幅PW5
0は、MR素子311の出力電圧をV(x)としたと
き、その微分信号(dV(x)/dx)の半値幅で定義
される。
【0073】図14から明らかなように、ヘッド/媒体
スペーシング(ds+dp)がMR素子311の膜厚
(Tm)に比べて大きいとき、PW50は、分解能がT
m+gで規定される曲線に漸近する。既述したように、
gは、MR素子311と磁気シールド309との間の間
隔である。これに対して、スペーシング(ds+dp)
がTmに比べて小さいときには、PW50は、分解能が
Tmで規定される曲線に漸近する。この結果は、次のこ
とを意味している。
【0074】すなわち、上記実施形態の磁気ディスク装
置では、スペーシング(ds+dp)をMR素子311
の膜厚(Tm)に比べて十分小さい場合には、MR素子
311と磁気シールド膜309との間隔gにはほぼ無関
係に、MR素子311の膜厚(Tm)のみで分解能が決
まる。したがって、最短記録波長λmin がTm+g
より短い信号であっても再生することが可能となる。
【0075】なお、面内記録媒体とシールド型MRヘッ
ドとの組合せでは、ds+dpを小さくしても、再生分
解能はTm+gよりも高くはなり得ない。これに対し
て、軟磁性裏打ち層306と垂直磁気異方性の磁化記録
層307と有する磁気ディスク302と、シールド型M
Rヘッドのとを組合せた場合には、ds+dpをTmに
比べて十分小さくすることによって、再生分解能を最大
Tm/(Tm+g)倍にまで高めることができる。
【0076】図15は、記録用主磁極315の厚さ(T
r)を変えたときに、再生パルス幅(PW50)が変化
する様子を示している。図から明らかなように、主磁極
315の厚さ(Tr)がスペーシング(dsw+dp)
の2倍よりも小さくなると、急激にパルス幅(PW5
0)が増加し、分解能が低下する。これは、主磁極31
5が薄くなり過ぎると、主磁極が発生する記録磁界の傾
きが小さくなり、磁化転移幅が広がってしまうためであ
る。従って、2(dsw+dp)<Trの条件を満足す
ることによって、より高密度の記録が可能となる。な
お、この関係は、実施形態1および実施形態2の磁気デ
ィスク装置でも同様である。
【0077】実施形態4
【0078】図16には、本発明の第4の実施形態に係
る磁気ディスク装置の要部が、図12と同様の断面図と
して模式的に示されている。
【0079】垂直磁気記録方式の磁気ディスク418
は、次のようにして製造されたものである。まず、2.
5インチ径の厚さ0.635mmのガラス基板419の
上に、アルゴンガス雰囲気中でのDCマグネトロンスパ
ッタ法により、FeSiからなる厚さ(db)が0.1
2μmの軟磁性裏打ち層420を形成する。その上に、
アルゴンガス雰囲気中でのDCマグネトロンスパッタ法
により、厚さ(dr)が0.1μmのCoPt0からな
る垂直磁気異方性の磁化記録層421が形成する。さら
にこの上に、ヘッドの接触に対する耐久性と絶縁性を確
保するために、RFスパッタ法により、SiN2 膜か
らなる厚さ(dp)が0.005μmの保護膜422を
形成する。
【0080】上記の磁気ディスク419において、軟磁
性裏打ち層420の面内方向磁力(Hcs)は6Oe
で、飽和磁束密度(Bsb)は1500Gであった。ま
た、CoPtOからなる垂直磁気異方性の磁化記録層4
21の特性について、その垂直方向保持力(Hch)は
1600Oe、飽和磁化(Isr)は9000G、結晶
の平均粒径は0.01、μmであった。この実施形態の
磁気ディスクもBsb・db>Isr・drの関係を満
足している。
【0081】磁気ヘッド423は次のように構成されて
いる。
【0082】なすわち、図中、424はSiCセラミッ
クス製の針状アームを示している。この針状アーム42
4端部には、高周波スパッタ法により、FeSi高透磁
率材からなる主磁極425が形成されている。主磁極4
25のトラック方向の厚さ(Tr)は0.1μmで飽和
磁束密度(BsA)は18000Gである。主磁極42
5の図中左側面には、絶縁材料426によって覆われた
記録コイル427が配置されている。この例の場合、記
録コイル427の巻き数は1ターンである。
【0083】絶縁材料426の図中左側面は機械研磨に
よって平坦に加工されており、この加工面には、NiF
e合金よりなるMR素子428が形成されている。MR
素子428の膜厚(Tm)は0.06μm、高さ4μm
である。また、MR素子428と主磁極425との間隔
(g)は、磁気ディスク418と対向する端部付近にお
いて、0.3μmである。MR素子428の図中左側面
側には、非磁性絶縁層429が形成されている。
【0084】この場合、信号再生用のMR素子428の
先端(図中下端)と磁気ディスク418の保護膜422
との距離(ds)は、両者を接触させても表面粗さのた
めにゼロにはならず、平均で約0.01μmである。し
たがってMR素子428の先端と磁気ディスク418の
磁化記録層421との間の距離、つまりヘッド/媒体間
スペーシングは、ds+dp=0.015μmである。
したがってスペーシング(ds+dp)、MR素子42
8の膜厚(Tm)および磁化記録層421の膜厚(d
r)は、次式の関係を満足している。
【0085】ds+dp<Tm,および ds+dp+
dr<2Tm
【0086】また、記録用の主磁極425の先端と(図
中下端)と保護膜422との間の距離(dsw)も、d
sと同じく0.01μmである。したがって、主磁極4
25の先端と磁化記録層421との間の距離、すなわち
ヘッド・媒体間スペーシング(dsw+dp)も、(d
s+dp)と同じく0.015μmである。また、既述
したように、主磁極425のトラック方向の厚さ(T
r)は0.1μmである。その結果、スペーシング(d
sw+dp)と主磁極425の膜厚(Tr)とは次式で
示す関係を満足している。
【0087】2(dsw+dp)<Tr
【0088】上記構成からなる磁気ディスク装置におい
て、実施形態3と同様に、優れた記録および再生分解能
を発揮させることができる。
【0089】実施形態5
【0090】図17(a)〜17(c)には、本発明の
磁気ディスク装置に組み込まれたスライダヘッド機構の
例が示されている。図17(a)は側面図、図17
(b)は底面図、図17(c)は接触摺動子の部分を拡
大して示す断面図である。
【0091】図中501は、バネ性のある板状の部材で
構成される支持部材を示している。この支持部材501
の一端には、接触摺動子502が設けられている。接触
摺動子502には、たとえば薄膜技術を用いて形成され
た電磁変換部をもつ磁気ヘッドが搭載されている。支持
部材501の他端504は、浮上スライダ505に接合
されている。
【0092】図17(a)に示されるように、磁気ヘッ
ドを搭載した接触摺動子502の摺動面507は、浮上
スライダ505のエアベアリング面506よりも508
で示す突出量だけ僅かに突出している。
【0093】浮上スライダ505は、図18に示される
ように、ジンバルスプリング510サスペンションアー
ム509a,サンペンションスプリング509bを介し
て、磁気ヘッドを磁気ディスクのトラック上に位置決め
するためのアクチュエータアーム512に固定されてい
る。
【0094】浮上スライダ505は、サスペンションス
プリング509bにより、ピボット511を介して、一
定のバネ力で磁気ディスク513の表面に押し付けられ
る。浮上スライダ505はピボット511を中心に回転
するが、この回転はジンバルスプリング510により制
限される。
【0095】磁気ディスク513が矢印514で示す方
向に転回すると、周囲の空気がその粘性によりディスク
表面に随伴され、空気の流れが生じる。この空気流れに
より、ディスク513の表面と浮上スライダ505のエ
アベアリング面506との間に動圧が発生し、浮上スラ
イダ505にはディスク面から離れる方向の浮力が加わ
る。この浮力によって、浮上スライダ505は磁気ディ
スク面から浮上する。このとき、浮上スライダは、空気
流による浮力と前述したサスペンションスプリング50
9bよる押し付け力とが釣り合った位置で、一定の浮上
量を保って浮上する。接触摺動子502の摺動面507
がエアベアリング面506から突出する突出量508
を、浮上スライダ505の浮上量より大きく設定すれ
ば、磁気ディスク513が回転して浮上スライダ505
が浮上している場合にも、磁気ヘッド部分をディスク表
面に押し付けることができる。
【0096】図19に、磁気ヘッドを搭載する接触摺動
子および支持部材の構造と、その作成方法の一定を示
す。
【0097】シリコン基板515の端面に、矢印516
の方向からの薄膜形成技術を用いて磁気ヘッド517を
形成する。次いで、磁気ヘッド517がディスクに接す
る面518を研磨により平滑にして、シリコン基板と磁
気ヘッド部分との間の段差を取り除く。その後、シリコ
ン基板515をエッチングして、図中で斜線で示した部
分519をエッチングで取り除くことにより、板バネと
して機能する支持部材520を形成する。支持部材52
0のバネ定数は、エッチングの量519により決定する
ことができる。支持部材520の非エッチング面に金属
薄膜を蒸着し、これをパターンニングすることにより、
磁気ヘッド517に対する電気的接続を行うための配線
パターンを形成することが可能である。このようにして
作成された磁気ヘッド517および支持部材520を、
図17(c)に示したように、浮上スライダ505の取
付け部504に接合する。図には示されていないが、上
記と同様の方法で、浮上スライダ502にも金属配線パ
ターンが形成されている。したがって、浮上スライダ側
の導体と、支持部材520に形成された配線パターンと
を、両者の端子間にワイヤボンディングを施すことによ
り接続すれば、磁気ヘッドに対する電源配線を形成する
ことができる。
【0098】磁気ヘッドを搭載した接触摺動子および支
持部材の構造、並びにその作成方法の他の例が図20に
示されている。この例では、シリンコ基板521上に薄
膜形成技術を用いて矢印522方向から磁気ヘッド52
3を形成し、その後にシリコン基板の不要部分524を
エッチングにより取り除き、板バネ部分525を形成す
る。
【0099】上記の各例では、いずれもシリコン基板上
に磁気ヘッドを設ける構成としているが、シリコン基板
の代わりにアルミナ基板を用いることも可能である。
【0100】磁気ヘッドを搭載した摺動子部分および支
持部材の構造、並びにその作成方法のさらに別の例が図
21に示されている。この例では、たとえばポリイミド
のフィルムのようなプラスチックフィルム526を支持
部材に用い、その上に矢印527の方向から磁気ヘッド
528を薄膜形成技術により形成する。このようなプラ
スチックフィルム526は、適切な厚さであればフィル
ム自体が十分な可撓性をもっているため、先の例のよう
な支持部材を形成するためのエッチング工程が不要とな
る。またプラスチックフィルム526を支持部材に用い
ると、プラスチックの機械的振動に対する減衰率が大き
いので、磁気ディスクとの接触部分で生じる摩擦力に起
因した外乱等を抑圧できるという優れた特性が得られ
る。
【0101】磁気ヘッドを接触摺動子に搭載することに
より、磁気ヘッドを磁気ディスクに接触させた状態で情
報の記録および再生を行う方式は、磁気ディスクの磁性
体の磁化容易軸がディスク面に平行ないわゆる面内磁気
記録方式にも適用できるし、磁気ディスクの磁性体の磁
化容易軸がディスク面に垂直ないわゆる垂直磁気記録方
式にも適用できる。また、磁気ヘッドの構成は、磁極と
コイルから構成される記録・再生ヘッドからなるいわゆ
る従来型のヘッドの構成であってもよいし、磁極とコイ
ルからなる記録ヘッドとMR素子を用いた再生ヘッドを
組み合わせたいわゆるMRヘッド型のヘッド構成であっ
てもよい。
【0102】図17に示される実施形態において、磁気
ヘッドを搭載した接触摺動子502を支持する支持部材
501は、浮上スライダ505の先端側(紙面左側)に
固定端を設け、スライダ505の後端側(紙面右側)に
磁気ヘッド部分502が位置するように取り付けられて
いる。しかし、図22に示すように、支持部材529の
固定端530を浮上スライダ505の後端側とし、磁気
ヘッド部分が浮上スライダ505の先端側に位置するよ
うに取り付けることも可能である。
【0103】接触摺動子の設置方法としては、図23
(a),(b)に示すように、浮上スライダ531のエ
アベアリング面532の一部分に凹部533を設け、こ
の凹部533内に、磁気ヘッドを搭載した接触摺動子5
34を設けることも可能である。
【0104】接触摺動子を設置する他の態様として、図
24(a),(b)に示す例が挙げられる。この例で
は、浮上スライダ535の後端側に支持部材536の固
定端537を設け、この固定端537に対して支持部材
536の一端が接合される。この場合、支持部材536
は、磁気ヘッドを搭載した接触摺動子538が浮上スラ
イダ535の後端よりもさらに後になるように、取り付
けられる。
【0105】接触摺動子の取り付け位置に関しては、デ
ィスクとの接触点を、図18に示した浮上スライダを支
持するピボット点よりも前方に位置させるのが望まし
い。これにより、磁気ヘッドをディスク面に押し付ける
ことにより発生するピボットを中心とする回転モーメン
トと、磁気ヘッド部分に生じる摩擦力により発生するピ
ボットを中心とするモーメントとを、互いに相殺させる
ことができる。このようにすることによって、浮上スラ
イダの浮上姿勢の安定性をさらに向上させることが可能
となる。
【0106】接触摺動子は前述の如く支持部材のバネ作
用により、ディスク表面に押し付けられる。したがっ
て、接触摺動子に搭載された磁気ヘッドがディスク表面
に押し付けられる荷重の大きさは、支持部材の変形量に
依存する。その結果、図25に示すように、接触摺動子
603部分をある一定の負荷でディスク表面601に押
し付けるためには、支持部材602を所定量だけ変化さ
せる必要がある。この変形量が大きくなると、接触摺動
子の摺動面604とディスク表面との間の密着度が低下
し、磁気ヘッドをディスク面に確実に接触させることが
困難になるという問題が生じる。この問題を解決するた
めには、支持部材602をあらかじめ図26(a)に示
すように変形させておくのが好ましい。これにより図2
6(b)に示すように、接触摺動子603に所定の荷重
が加えられたときに、接触摺動子603の摺動面604
とディスク面とを平行に保ち、摺動面604とディスク
との密着性を向上させることができる。支持部材602
を予め図26(a)のように変形させる手段としては、
支持部材602の片面に、たとえば金属を蒸着すること
により支持部材602を反らせる方法や、支持部材60
2上にレーザ光を照射することにより永久的な熱歪みを
生じさせ、支持部材を変形させる方法等が考えられる。
【0107】接触摺動子を支持部材の変形によってディ
スク表面に押し付けたときに、接触摺動子の摺動面とデ
ィスク面との密着性を向上させる他の方法としては、図
27(a)に示すように、支持部材607の一部分に薄
肉部分608を形成することが挙げられる。この場合、
荷重を加えて接触摺動子605の摺動面606をディス
ク表面609に接触させると、図27(b)に示すよう
に、薄肉部分608が集中的に変形する。その結果、こ
の薄肉部分608をヒンジとするリンクに類似した機構
が働き、その作用によって摺動面606とディスク表面
609とを平行に保つことができる。
【0108】接触摺動子に搭載された磁気ヘッド部とデ
ィスク面とを確実に接触させるためには、上記の方法以
外に、図28に示す手段を用いてもよい。この例では、
接触摺動子610上の最もディスク面611に強く接触
する部分に、磁気ヘッド612の感応部分613を位置
させている。図30では、接触摺動子の前縁に磁気ヘッ
ド部612を構成している。しかし、磁気ヘッド部61
2の位置は、接触摺動子610の前縁に限定されるもの
ではない。
【0109】板バネ作用をもった支持部材の平面形状
は、上記で述べたような帯状に限定されず、図29
(a),(b)に示すように三角形状とすることができ
る。図中621は三角形状の支持部材、622は磁気ヘ
ッドが搭載された接触摺動子、623は固定部、624
は浮上スライダもしくはトラック位置決め機構である。
【0110】接触摺動子622の摺動部に荷重が加わっ
たときに、支持部材621の断面に作用する最大垂直応
力の大きさは、固定部分623が最大で、先端に近づく
ほど小さくなる。したがって、支持部材621の形状
が、先の例のように幅が均一な帯状の場合には、先端部
分では曲げに対して必要以上の強度を持つことになる。
これにたいし、支持部材621の平面形状を図31のよ
うな三角形状にすると、支持部材621の断面に作用す
る最大垂直応力を全ての位置で等しくすることができ
る。また、先端部分の過剰な材料を取り除くことができ
るから、支持部材621の軽量化を図ることができる。
支持部材621の平面形状が帯状の場合と、三角形状の
場合とを比較すると、両者の取り付け部分623に生じ
る最大応力の値が等しくなるように設計したときに、三
角形状の場合には、上下方向の荷重に対する支持部材6
21の上下方向の変形を帯状の場合の1.5倍とするこ
とができる。これは、接触摺動子622の位置が上下方
向に変化したときに、接触摺動子622に加わる荷重の
変化が2/3に減少することを意味する。したがって、
支持部材621の平面形状を三角形とすることにより、
ヘッドの寸法や取付け位置の誤差に対する許容度を大き
くできる効果が得られる。一方、支持部材621の先端
の上下方向での変位量が等しくなるように設計すると、
三角形状の支持部材621においては、支持部材の固定
部分623の幅を、帯状の支持部材の場合に比べて1.
5倍広くすることができる。その結果、支持部材621
に磁気ヘッドとの間の接続配線を設ける場合に、該配線
の接続端子を設けるスペースを広くできる。したがって
磁気ヘッドと浮上スライダ624との間に電気的接続を
行うための、ワイヤボンディング等を容易化できる利点
がある。
【0111】さらに、図30(a),(b)に示すよう
に、板バネ作用をもった支持部材の形状をV字状とする
こともできる。図中、625はV字状の支持部材、62
6は磁気ヘッド搭載した接触摺動子、627は固定部
分、628は浮上スライダもしくはトラック位置決め機
構である。支持部材の厚さが同一であるとすると、縦方
向の剛性が等しくなるように設計したとき、V字形の支
持部材625の場合は、1本の帯状の支持部材を用いた
場合に比べて水平方向の剛性が高くなる。したがって、
磁気ディスクに対するトラック方向での位置決め精度を
向上できるという利点が得られる。
【0112】支持部材の形状に関する幾つかの例を説明
したが、支持部材の形状はこれらの例に限定されるもの
ではない。支持部材の曲げ剛性、ねじり剛性を最適化す
るために、上記例意外の形状をとることも可能である。
【0113】上記のように、本実施形態では、電磁変換
部分をもつ磁気ヘッドを接触摺動子に搭載し、この接触
摺動子を支持部材を介して浮上スライダに接合し、支持
部材のバネ力により磁気ヘッドおよび接触摺動子をディ
スク面に押し付けている。したがって、浮上スライダが
ディスク表面から浮上している状態でも、磁気ヘッドを
ディスク表面に接触させ、磁気ヘッドを磁気ディスクに
接触させた状態で信号の記録・再生を行うことが可能と
なる。
【0114】以上の実施形態では、磁気ヘッドを搭載し
た接触摺動子を、これとは別に作製された支持部材を介
し浮上スライダに接合する構造とした例について説明し
た。しかし、例えば薄膜形成技術とエッチング技術とを
組合せることにより、支持部材と接触摺動子の両者を、
浮上スライダーと一体に形成することも可能である。
【0115】図31(a),(b)および図32には、
接触摺動子および支持部材の両者を、浮上スライダと一
体に形成した例が示されている。
【0116】図31(a)(b)の例では、同図(a)
に示されるように、例えばシリコン基板640上に薄膜
形成技術により磁気ヘッド部分を作成した後、不要部分
をエッチングすることにより、同図(b)に示されるよ
うに、浮上スライダ部分641、支持部材部分642、
接触摺動子部分643を形成している。
【0117】図32の例では、図31(a)(b)の場
合よりも薄い基板を用いる。この基板上に磁気ヘッド部
分を作成した後、エッチングを行うことにより、浮上ス
ライダ部分644、支持部材部分645、接触摺動子部
分646を形成する。続いて、浮上スライダ部分644
を、別途製作したスライダブロック647に接合する。
この例では、薄い基板が用いられるので、図31(a)
(b)の場合に比べてエッチング量が少なくてすむ利点
がある。
【0118】実施形態6
【0119】実施形態5に於いては、磁気ヘッドを搭載
した接触摺動子を、弾性を有する支持部材を介して浮上
スライダに取付け、磁気ヘッド部分が磁気ディスク表面
に接触した状態で記録再生を行う磁気ディスク装置につ
いて説明した。
【0120】しかし、図33に示すように、磁気ヘッド
を含む接触摺動子701を、弾性を有する支持部材70
2を介して、浮上スライダではなく、磁気ヘッドのトラ
ック位置決め機構703に直接取付けた構造を採用する
ことも可能である。この場合にも、磁気ヘッド部分が磁
気ディスク表面704に接触した状態で、記録再生を行
うことができる。
【0121】図33に示される例と、実施形態5に示し
た例とに共通な点は、磁気ヘッドを含む接触摺動子が弾
性をもつ支持部材に支持され、この摺動子が磁気ディス
ク表面に接触した状態で摺動することである。
【0122】これら構造に共通の問題点としては、図3
4(a),(b)に示されるように、支持部材の固定端
705と磁気ディスク表面706との間の距離h(図で
は707で示される)が変化した場合に、ヘッドを搭載
した接触摺動子の摺動面と、磁気ディスク表面との間の
角度θ(708)が変化してしまうことが挙げられる。
このように角度θが変化すると、良好な記録特性および
再生特性を期待きないことになる。
【0123】そこで、この問題を解決するために、本実
施形態では、図35(a)(b)に示すように、2本の
親ビーム710と1本の子ビーム711とからなる折り
返し構造を具備した支持部材709を用いている。な
お、親ビーム710の基端部は、固定端712に固定さ
れており、子ビーム711の先端には磁気ヘッドを含む
接触摺動子713が設けられている。
【0124】図36(a)(b)は、この折り返しビー
ムの構造を有する支持部材709動作を模式的に示して
いる。図36(a)は、ディスク表面714と支持部材
709の固定端712との距離が大きい場合を示し、図
36(b)はディスク表面714と支持部材709の固
定端712との距離が小さい場合を示している。
【0125】図36(a)の場合は、親ビーム710お
よび子ビーム711の変形がいずれも小さく、接触摺動
子717の摺動面719はディスク面714と正常に接
触している。これに対して、図36(b)の場合には、
接触摺動子713がディスク表面714によって押し上
げられ、親ビーム710および子ビーム711は図示の
ように変形する。しかし、親ビーム710および子ビー
ム711のそれぞれの長さおよび曲げ剛性を適当に選ぶ
ことにより、親ビーム710の撓み角と子ビーム711
の撓み角とを相殺することができるので、この場合にも
接触摺動子731の摺動面719をディスク面714に
正常に接触させることができる。したがってディスク表
面714と支持部材709の固定端712との距離が変
化した場合であっても、ディスク表面714と接触摺動
子の摺動面719とのなす角度θ(この場合は0度)を
一定に保つことが可能となる。
【0126】図37を参照して、親ビーム710の撓み
角と、子ビーム711の撓み角との関係を説明する。親
ビーム710の一端は固定端712に拘束されており、
他端には子ビーム711が連結されている。子ビーム7
11の自由端には、図では省略されているが、磁気ヘッ
ドを含む接触摺動子が設けられており、該自由端には磁
気ヘッドのディスクへの押し付け反力が加わる。
【0127】ここでは、親ビーム710の長さをL1、
断面2次モーメントI1、ヤング率をE1とし、子ビー
ム711の長さをL2、断面2次モーメントをI2、ヤ
ング率E2、押し付け力の大きさをWとして説明する。
【0128】親ビーム710の先端の傾きi1 は、先
端に加わる荷重とモーメントにより、 i1 =(W
L1 2 )/(2E1 I1 )−(WL1 L2
)/(E1 I1 )となる。親ビーム710と子ビ
ーム711の長さの関係をL2=L1 /4とすると、
i1 =(WL1 2 )/(4E1 I1 )とな
る。
【0129】これに対して、子ビームの傾きの大きさi
1は、i2 =WL2 2 /2E2 I2 =WL1
2 /32E2 I2 となる。
【0130】親ビーム710の傾きの大きさi1 を、
子ビーム711の傾きの大きさi2で相殺するには、i
1=i2になることが必要である。そこで、i1=i2
とおくと、親ビーム710と子ビーム711の曲げ剛性
の比が、 E1 I1 /E2 I2 =8の場合に
両ビームの傾きが相殺されることが判る。親ビーム71
0と子ビーム711の材質が同じであるとすると、上式
の関係は、 I1/I2 =8 と書くことができ
る。
【0131】以上の結論として、親ビーム710の長さ
(L1 )と子ビーム711の長さ(L2 )との関係
が、L1 /I2 =4の場合には、両者の断面の形状
および寸法を適当に選んで、両者の断面2次モーメント
の比をI1 /I2 =8にすることにより、接触摺動
子713の摺動面719とディスク表面714とのなす
角度θを、ビームの上下方向の変位によらず一定に保つ
ことが可能となる。
【0132】例えば、両ビーム710,711の断面形
状を長方形とし、また両ビームの厚さを同じとすると、
親ビーム710の幅が子ビーム711の幅の8倍の場合
に、傾きが0となる。なお、図37を用いて説明した例
では、親ビーム710を1本として扱っているが、親ビ
ーム710を図35のように2本に分割した場合におい
て同様の関係が得られることは明らかである。
【0133】上記実施形態では、親ビーム710の取付
け位置とディスクの表面714との間の距離が変化して
も、子ビーム711の先端の傾き角が変化しない場合に
ついて説明した。しかし、親ビーム710および子ビー
ム711の長さと剛性とを適当に選択することにより、
親ビーム710の取付け位置とディスク表面714との
距離の変化に対応して、子ビーム711の先端の傾き角
の変化を自由に設定することもできる。
【0134】上記実施形態では、支持部材709におけ
るビーム710,711の折り返し方向を、ディスクの
接線方向に一致させることにより、接触摺動子713の
摺動面719とディスク表面714との間の、ディスク
の接線方向に沿う角度θの変化を制御している。しか
し、ビーム710,711の折り返し方向をディスクの
半径方向と一致させることにより、接触摺動子713の
ディスクの半径方向に沿った傾きを制御してもよい。さ
らにまた、図38に示すように、ディスクの接線方向に
折り返された一対のビーム721,723と、ディスク
の半径方向に折り返された一対のビーム対722,72
4とを組合わせた支持部材725を用いることにより、
接触摺動子713の両方向での傾きを制御することがで
きる。すなわち、ビーム721の傾きとビーム723の
傾きとが等しく、ビーム722の傾きとビーム724の
傾きとが等しくなるように設計することによって、接触
摺動子713二方向の傾き変化を相殺することができ
る。
【0135】図39〜図43には、磁気ヘッドに搭載さ
れたMR素子にセンス電流Isを供給する経路の模式図
が示されている。
【0136】図39において、801は磁気ディスクを
示し、802は磁気ディスク801の表面に対して垂直
となるように配置された、信号再生用のMR素子を示し
ている。この例では、導電性軟磁性材で形成されたリタ
ーンヨーク803〜MR素子802〜導電性非磁性体8
04〜導電性軟磁性材で形成されたリターンヨーク80
5の経路で、センス電流Isが供給される。
【0137】図40に示す例では、導電性軟磁性材で形
成されたリターンヨーク806〜MR素子807〜導電
性非磁性体808〜記録用主磁極809〜記録側のリタ
ーンヨーク810の経路で、センス電流Is が供給さ
れる。なお、811は記録コイルを示している。
【0138】図41(a),(b)に示す例では、導電
性軟磁性材で形成されたリターンヨーク813〜MR素
子814〜導電性非磁性体815〜導電性軟磁性材で形
成されたリターンヨーク816の経路で、センス電流I
sが供給された。なお、817も、リターンヨークを示
している。
【0139】図42に示す例では、導電性軟磁性材で形
成された磁気シールド818〜導電性非磁性体819〜
MR素子820〜導電性非磁性体821〜導電性軟磁性
材で形成された磁気シールド822の経路で、センス電
流Is が供給される。
【0140】図43に示す例では、導電性軟磁性材で形
成された磁気シールド823〜導電性非磁性体824〜
MR素子825〜導電性非磁性体826〜導電性軟磁性
材で形成された磁気シールド827の経路で、センス電
流Isが供給される。
【0141】上記のように、図39〜図43の何れの例
においても、磁気シールドやリターンヨーク等のよう
な、MR素子に近接して配置される導電性軟磁性体を通
してセンス電流Isが供給される。したがって、MR素
子と磁気シールド等との間の微小隙間に、センス電流供
給用のリードを設ける必要がなくなるので、MR素子と
磁気シールドとの間の間隔を小さくし、この間隔で決ま
る分解能を向上させることが可能となる。また、MC素
子と磁気シールドとの間の間隔を小さくできる結果、再
生効率を向上させることができる。また、MR素子で発
生した熱は、導電性非磁性体を経由して、磁気シールド
やリターンヨークに効率よく伝えられる。したがって、
良好な熱放散性を得ることができ、熱によるMR素子の
特性変化や損傷を防ぐこともできる。
【0142】実施形態7
【0143】図44には、本発明の別の実施形態になる
磁気ディスク装置の要部が、磁気ヘッド901と磁気デ
ィスク902との相対移動方向に沿った断面図として模
式的に示されている。
【0144】図中、903はセラミック製の針状アーム
であり、その先端部に磁気ヘッドの電磁変換部分が搭載
されている。アーム903の先端には、CoFe系合金
からなる軟磁性の主磁極904a,904bが形成され
ている。これら主磁極904a,904bは、磁気ディ
スク902の表面に対して垂直な方向に延設されてい
る。また、主磁極904a,904bはトラック方向で
互いに対面し、両者の間にはSiO2からなる非磁性中
間層905が介在されている。主磁極904a,904
bのトラック方向の厚さは、それぞれ0.25μm,
0.3μmであり、非磁性中間層905の厚さは0.0
3μmである。また主磁極904a,904bの高さ
は、0.5μmである。
【0145】主磁極904a,904bは、それぞれの
一端が磁気ディスク102に対向する位置するように設
けられている。主磁極904a,904bの他端には、
絶縁層906を介して、MR素子907が設けられてい
る。MR素子907は、その膜面が磁気ディスク902
の表面と平行になるように、すなわち、主磁極904
a,904bの延設方向に対して直交するように配置さ
れ、主磁極904a,904bと磁気的に結合してい
る。MR素子907のトラック幅方向の両端部には、2
本の銅リード線908a,908bが接続されており、
これら銅リード線を介して、MR素子907にトラック
幅方向のセンス電流Isを流すことができるようになっ
ている。MR素子907の上には、AL2 O3 から
なる絶縁層909を介して、CoZr系アモルファス合
金からなるリターン磁極910が設けられており、該リ
ターン磁極910は主磁極904a,904bと磁気的
に結合している。リターン磁極910には3ターンの記
録コイル911が巻回されている。この記録コイル91
1に記録電流を流すことによって、リターン磁極910
およびこれに磁気的に結合した主磁極904a,904
bを介して、磁気ディスク902の垂直記録層912に
対して記録磁界を印加する。主磁極904a,904b
は、磁気ディスク902の軟磁性裏打ち層913と磁気
的に結合している。この軟磁性裏打ち層913によっ
て、記録および再生の効率が向上される。なお、磁気ヘ
ッド901による記録および再生は、ヘッド901と磁
気ディスク902とが接触した状態で行われる。
【0146】上記実施形態は、記録コイル911を主磁
極904a,904bではなく、主磁極の上に設けたリ
ターン磁極910に巻回している点において、実施形態
1とは異なっている。その結果、記録コイル911の寸
法および巻線数とは無関係に、一対の主磁極904a、
904bの高さを低くすることが可能となるので、再生
効率を向上することができる。逆の観点からいうと、一
対の主磁極904a,904bを高くすることなく、記
録コイルの寸法および巻線数を増大できるので、高い再
生効率を維持したまま、より強い記録磁界を印加するこ
とができる。
【0147】実施形態8
【0148】図45には、本発明の別の実施形態になる
磁気ディスク装置の要部が、磁気ヘッド901と磁気デ
ィスク902との相対移動方向に沿った断面図として模
式的に示されている。なお、図では省略してあるが、磁
気ヘッド901は、先の実施形態で述べたと同じく、セ
ラミック製の針状アームの先端に形成されている。ま
た、図では、各部材間に介在する絶縁層が省略されてい
る。
【0149】図中セラミック製の針状アームの先端部に
は、FeN系合金からなる軟磁性の主磁極920a,9
20bが形成されている。これら主磁極920a,92
0bは、磁気ディスク902の表面に対して垂直な方向
に延設されている。また、主磁極920a,920bは
トラック方向で互いに対面し、両者の間には非磁性中間
層905が介在されている。また、主磁極920a,9
20bは、それぞれの一端が磁気ディスク902に対向
する位置するように設けられており、磁気ディスク90
2から離れるに伴って湾曲している。主磁極920a,
920bの他端には、その端綿と平行に配置されたMR
素子923が、絶縁層922を介して設けられている。
MR素子923の上端および下端には、2本の銅リード
線924a,924bが接続されており、これら銅リー
ド線を介して、MR素子923にセンス電流Isが流さ
れるようになっている。非磁性中間層921は、MR素
子923に近付くに伴って厚さが増大するように形成さ
れている。具体的には、磁気ディスク902に対向する
一端部での厚さは0.04μmであるが、MR素子92
3に対向する他端での厚さは0.2μmである。
【0150】MR素子923に対して平行に隣接するよ
うに、絶縁層を介して、U字型のリターン磁極924が
配置されている。また、このリターン磁極924に囲ま
れるように、記録コイル925が設けられている。リタ
ーン磁極924の平行に伸びる二つのアームのうち、M
R素子924と対向するアームは、主磁極920a,9
20bと磁気的に結合する。その結果、磁気ディスク9
02に対して効率よく記録磁界を印加することができ
る。一方、リターン電極924の他方のアームは、磁気
ディスク902の軟磁性裏打ち層912と磁気的に結合
している。その結果、記録コイル925による磁束を効
率よく導くことが可能である。
【0151】この実施形態においても、実施形態7と同
様の効果を得ることができる。
【0152】実施形態9
【0153】図46には、本発明の別の実施形態になる
プレーナー型磁気ヘッド930が、該磁気ヘッドと磁気
ディスク902との相対移動方向に沿った断面図として
模式的に示されている。なお、図48においては、各部
材間に介在する絶縁層が省略されている。
【0154】この実施形態のプレーナー型磁気ヘッド9
30は、薄膜プロセスによって製造されている。すなわ
ち、薄膜プロセスを用いることにより、ヘッド基板93
1の上に、まずリターン磁極932a,932b,93
2cおよび記録コイル933を順次形成する。続いて、
絶縁材料を介してMR素子934、絶縁層935、主磁
極936a,936bおよび非磁性中間層937を形成
する。
【0155】上記のようなプレーナ型磁気ヘッド903
は、薄膜プロセスを用いることによって著しく薄く製造
できる利点がある。
【0156】また、この実施形態においても、実施形態
7と同様の効果を得ることができる。
【0157】実施形態10
【0158】図47には、本発明の別の実施形態になる
磁気ヘッド940が、該磁気ヘッドと磁気ディスク90
2との相対移動方向に沿った断面図として模式的に示さ
れている。なお、この図では、各部材間に介在する絶縁
層が省略されている。
【0159】この実施形態の磁気ヘッド940は、図示
しない非磁性中間層を介して形成された、二つの主磁極
941a,941bを有する。二つの主磁極941a,
941bの一端部は、磁気ディスク902と対向するよ
うに配置され、この一端部の近傍でのみ相互に重なるよ
うに形成されている。主磁極941a,941bの他端
部には、絶縁層924を介してMR素子943が設けら
れている。さらに、主磁極941a,941bの上に
は、図示しない絶縁層を介して、J字型のリターン磁極
944が配置されている。このリターン磁極944は主
磁極941a,941bと磁気的に結合されており、か
つ記録コイル945が巻回されている。記録コイルの巻
き数は1ターンである。
【0160】この実施形態においても、実施形態7と同
様の効果を得ることができる。
【0161】実施形態11
【0162】この実施形態の磁気記録再生装置は、図3
に示したのと同じMRヘッドを具備している。したがっ
て、実施形態1で説明したように、二つの主磁極109
a,109bを通る磁束量の差をMR素子114で検知
することにより、信号の再生が行われる。
【0163】加えて、この実施形態の磁気ディスク装置
には、図48のブロックダイアグラムに示す再生信号処
理回路が含まれている。同図において、1001は磁気
ディスク、1002は記録/再生ヘッド、1003は記
録アンプ、1004は再生プリアンプ、1005は微分
回路、1006は検出回路、1007はプリコーダであ
る。この処理回路の特徴は、微分回路1005およびプ
リコーダ1007が具備されている点にある。微分回路
1005は、MRヘッドの出力を時間パラメータで微分
する回路である。この微分回路は、図5に示したMR素
子を鎖交する再生磁束密度の変化を、図6に示した再生
電圧信号に変換する。プリコーダ1007は、再生ヘッ
ド1002および微分回路1005を通過する際の伝達
関数Gによって隣接ビット間に生じる干渉を、排除する
ための復元回路である。すなわち、プリコーダ1007
は伝達関数Gの逆関数G−1にしたがった処理を行う。
【0164】図49は、入力データが記録再生チャンネ
ルを通過する際のデータ干渉の様子と、プリコーダによ
るデータ復元の様子を示している。この例は、ビット間
隔(B)と、一対の主磁極109a,109bの厚さ
(Tr)とが下記の関係にある場合のデータの流れを示
している。
【0165】B<Tr<3B入力から微分回路1005
を通過するまでの伝達関数は1+D+D2 +D3であ
り、プリコーダ1007の伝達関数は(1+D+D2
+D3 )−1である。
【0166】この例では、検出回路1006の後にプリ
コーダ1007が配置されている。しかし、エラーの伝
搬を防ぐために、記録再生チャンネルの初段、すなわ
ち、入力の最初にプリコーダを配置してもよい。
【0167】実施形態12
【0168】図50は、図3と同様の差動型MRヘッド
であり、一対の主磁極1011a,1011bと、その
上端に配置されたMR素子114とを具備している。ヘ
ッドの相対移動方向の上流側、すなわちリーディング側
の主磁極1011a,1011bは、その一方の側端部
が他の主磁極1011bの側端を越えて、△Wだけ延設
されている。その結果、トレーリング側の主磁極101
1bの幅をWとしたとき、主磁極1011aの幅はW+
△Wである。それ以外の構成は、図5に示したMRヘッ
ドと同じである。
【0169】図50のMRヘッドは、図51に示したよ
うに、そのヘッドギャップ面が磁気ディスクのトラック
1012に対して角度θだけ傾くように配置される。そ
の結果、主磁極1011aの側端部は、主磁極1011
bの側端を越えて△Wだけ、傾きθとは逆方向に延出す
る。しだがって、主磁極1011bの厚さをTr1と
し、ギャップ長をgとしたとき、△Wを好ましくは(T
r1+g)tanθ以上とすることにより、一対の主磁
極が再生すべき磁化転移1013の直上を確実に通過す
るようにすることができる。これにより、位相ズレおよ
び再生時のオフセットを生じることなく、正確な再生が
可能となる。
【0170】実施形態13
【0171】この実施形態では、図16に示したと同様
に、主磁極に隣接してMRヘッドが配置された磁気ヘッ
ドが用いられている。この磁気ヘッドは、図52に示す
ように、MR再生ヘッド1014の面が記録トラック1
016の幅方向に対して角度θだけ傾くように配置され
る。図示のように、MRヘッド1014と記録ヘッド1
015とは、幅方向にずらして配置されている。このと
き、記録ヘッドの両側端を基準としたMRヘッド101
4の側端のずれ量△W1,△W2は、以下のように設定
される。 <ヘッドの相対移動方向が図中の矢印Aの場合>
【0172】△W1:(g+tr)tanθ以上
【0173】△W2:g・sinθ以上、かつ(g+t
r)sinθ以下 <ヘッドの相対移動方向が図中の矢印Bの場合>
【0174】△W1:g・tanθ以上
【0175】△W2:g・sinθ以上
【0176】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
MR素子の膜厚Tmと、MR素子と記録ヘッド用の軟磁
性体または磁気シールド用の軟磁性膜との間隔gと、記
録最短波長λminとの関係をTm<λmin <Tm
+gとしているので、高い分解能で信号を再生すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る磁気ディスク
装置の部分断面斜視図。
【図2】 同装置の要部断面模式図。
【図3】 同装置に組込まれた磁気ヘッドの概略斜視
図。
【図4】 同磁気ヘッドの記録磁界分布を示す図。
【図5】 同磁気ヘッドにおけるMR素子内の磁束の変
化を示す図。
【図6】 同磁気ヘッドの再生信号波形図。
【図7】 同磁気ヘッドの再生信号波形図。
【図8】 同磁気ヘッドの再生信号波形図。
【図9】 同磁気ヘッドにおけるゼロクロスの傾きと主
磁極の厚みとの関係を示す図。
【図10】 同磁気ヘッドにおける主磁極を厚くしたと
きの再生信号波形図。
【図11】 同磁気ヘッドにおいてゼロクロスの傾きと
非磁性中間層の厚みとの関係を示す図。
【図12】 本発明の第2の実施形態に係る磁気ディス
ク装置の要部断面模式図。
【図13】 本発明の第3の実施形態に係る磁気ディス
ク装置の要部断面模式図。
【図14】 同装置における再生信号パルス幅とヘッド
・媒体間スペーシングとの関係を示す図。
【図15】 同装置における再生信号パルス幅と記録用
主磁極の厚みとの関係を示す図。
【図16】 本発明の第4の実施形態に係る磁気ディス
ク装置の要部断面模式図。
【図17】 本発明の第5の実施形態に係る磁気ディス
ク装置に組込まれたスライダヘッドの側面図、正面図お
よび一部拡大断面図。
【図18】 スライダの支持構成を示す側面図。
【図19】 磁気ヘッドを搭載する摺動子の製作方法の
一例を説明するための図。
【図20】 磁気ヘッドを搭載する摺動子の製作方法の
別の例を説明するための図。
【図21】 磁気ヘッドを搭載する摺動子の製作方法の
さらに別の例を説明するための図。
【図22】 スライダと摺動子と磁気ヘッドとの組合わ
せの別の例を示す側面図。
【図23】 スライダと摺動子と磁気ヘッドとの組合わ
せのさらに別の例を示す正面図および側面図。
【図24】 スライダと摺動子と磁気ヘッドとの組合わ
せのさらに異なる例を示す正面図および側面図。
【図25】 摺動子先端の磁気ヘッド部とディスク表面
との接触状態を示す概念図。
【図26】 摺動子先端の磁気ヘッド部とディスク表面
との接触状態の改善方法と効果とを示す概念図。
【図27】 摺動子先端の磁気ヘッド部とディスク表面
との接触状態の別の改善方法と効果とを示す概念図。
【図28】 摺動子先端の磁気ヘッド部とディスク表面
との接触状態のさらに別の改善方法を示す概念図。
【図29】 磁気ヘッドを搭載する摺動子の別の例を示
す図。
【図30】 磁気ヘッドを搭載する摺動子のさらに別の
例を示す図。
【図31】 浮上スライダと弾性体と摺動子との製作方
法の別の例を説明するための図。
【図32】 浮上スライダと弾性体と摺動子との製作方
法のさらに別の例を説明するための図。
【図33】 摺動子に搭載された磁気ヘッドを磁気ディ
スク表面に接触させる方式の問題点を説明するための
図。
【図34】 摺動子の搭載された磁気ヘッドを磁気ディ
スク表面に接触させる方式の問題点を説明するための
図。
【図35】 本発明の第6の実施形態に係る磁気ディス
ク装置に組込まれた磁気ヘッド周辺を示す図。
【図36】 同実施形態の動作を説明するための図。
【図37】 同実施形態の動作原理を説明するための
図。
【図38】 折り返しビームを有する支持体の他の例を
示す平面図。
【図39】 MR素子にセンス電流を供給する経路の第
1の例を示す模式図。
【図40】 MR素子にセンス電流を供給する経路の第
2の例を示す模式図。
【図41】 MR素子にセンス電流を供給する経路の第
3の例を示す図。
【図42】 MR素子にセンス電流を供給する経路の第
4の例を示す模式図。
【図43】 MR素子にセンス電流を供給する経路の第
5の例を示す模式図。
【図44】 本発明の別の実施形態による磁気ディスク
装置の要部を概略的に示した模式図。
【図45】 本発明の実施形態8を説明するための図。
【図46】 本発明の実施形態9を説明するための図。
【図47】 本発明の実施形態10を説明するための
図。
【図48】 本発明の実施形態11を説明するための
図。
【図49】 本発明の実施形態11を説明するための
図。
【図50】 本発明の実施形態12を説明するための
図。
【図51】 本発明の実施形態12を説明するための
図。
【図52】 本発明の実施形態13を説明するための
図。
【図53】 従来例を説明するための図。
【図54】 従来例を説明するための図。
【符号の説明】
101,222,301,423,502…磁気ヘッド 102,216,302,418,531,801…磁
気ディスク 103,223,303,424,512…アーム 104…トラック 105,217,305,419…ガラス基板 106,218,306,420…軟磁性裏打ち層 107,220,307,421…垂直磁化異方性の磁
化記録層 110,225…非磁性中間層 108,221,308,412…保護膜 109a,109b,224a,224b,315,4
25…主磁極 112,226,316,427…コイル 114,232,311,428,802,807,8
14,820,825…磁気抵抗効果素子(MR素子) 115a,115b,233a,233b…銅リード 309,313…磁気シールド膜 534,536,605,610,643,646,7
01,713…摺動子 641,644…スライダ 501,602,621,625,642,645,7
02,709…支持部材710…親ビーム 711…子ビーム 803,805,806,810,813,816,8
17,…リターンヨーク 804,808,815,821,826,…導電性非
磁性体 818,822,823,827…磁気シールド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/39 G11B 5/39 5/64 5/64 5/65 5/65 5/667 5/667 21/21 21/21 D (72)発明者 彦坂 和志 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 大坪 康郎 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 保科 茂 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 大橋 浩 東京都青梅市末広町2丁目9番地 株式会 社東芝青梅工場内 Fターム(参考) 5D006 BB07 CA03 CA05 DA03 DA08 EA03 FA09 5D033 AA05 BA07 BA13 BB03 BB14 CA01 5D034 AA05 BA03 BA18 BB01 CA06 5D059 AA01 BA01 CA08 DA26 EA02 5D091 AA08 CC02 CC11 CC12 DD03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟磁性裏打ち層の上に垂直磁気異方性を
    有する磁化記録層を設けてなる垂直磁気記録方式の磁気
    ディスクと、この磁気ディスクへの情報記録および情報
    読出しを行う磁気ヘッドとを備えてなる磁気ディスク装
    置において、 前記磁気ヘッドは記録用の軟磁性体または磁気シールド
    用軟磁性膜の近傍に配置された再生用の磁気抵抗効果素
    子を備え、前記磁気抵抗効果素子の膜厚をTmとし、前
    記磁気抵抗効果素子と前記記録用の軟磁性体または磁気
    シールド用軟磁性膜との間隔をgとし、記録最短波長を
    λmin としたとき、Tm<λmin<Tm+gの関
    係を満たしており、前記磁気ディスクの前記磁化記録層
    は平均径が前記磁気抵抗効果素子の膜厚Tmより小さい
    磁性結晶粒子で構成されていることを特徴とする磁気デ
    ィスク装置。
  2. 【請求項2】 前記磁気ディスクは、軟磁性裏打ち層と
    その上に積層された磁化記録層を有するものであり、軟
    磁性裏打ち層の飽和磁束密度をBsb、膜厚をdb、磁
    化記録層を膜厚をdr、飽和磁化をIsrとしたとき、
    Bsb・db>Isr・drを満足することを特徴とす
    る請求項1記載の磁気ディスク装置。
  3. 【請求項3】 前記磁気ヘッドは記録用主磁極を有する
    垂直磁気記録ヘッドであり、かつ前記磁気ディスクは軟
    磁性裏打ち層とその上に積層された磁化記録層を有する
    ものであり、前記主磁極の厚さをTr、前記主磁極の先
    端と前記磁化記録層との距離をdsw+dpとしたと
    き、2(dsw+dp)<Trを満足することを特徴と
    する請求項1記載の磁気ディスク装置。
  4. 【請求項4】 前記磁気ディスク上の記録トラック相互
    間に、実質的に有効な信号が存在しない無信号領域を形
    成する手段を有することを特徴とする請求項1記載の磁
    気ディスク装置。
  5. 【請求項5】 前記磁気ディスク上の記録トラックの幅
    をTw、該記録トラックのトラックピッチをTpとし、
    前記無信号領域の幅をGとしたとき、 G>Tp−Tw なる条件を満たすことを特徴とする請求項4に記載の磁
    気ディスク装置。
  6. 【請求項6】 前記磁気ヘッドは前記磁気ディスク表面
    に、バネ性を有する支持部材のバネ力によって接触する
    ように接触摺動子に搭載され、この接触摺動子は磁気ヘ
    ッドの位置決め機構に含まれる適切な固定端に連結され
    ていることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク装
    置。
  7. 【請求項7】 前記支持部材は、前記固定端から一方向
    に延設された第1ビームと、この第1ビームの先端から
    第1ビームとは逆方向に延設された第2ビームとを含む
    折り返し構造を有しており、この第2ビームの先端に前
    記接触摺動子が設けられている請求項6記載の磁気ディ
    スク装置。
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JP2006018988A (ja) * 2004-06-30 2006-01-19 Seagate Technology Llc サイド・トラック消去を減少させる記録ヘッド

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