しかしながら、ステッピングモータのステップ数をカウントすることによって、ステージの位置および姿勢を特定する場合、ステッピングモータとステージとの間で生じるギア同士のバックラッシュなどの機械的な誤差が生じたり、ステッピングモータが脱調したりすることにより、ステージの制御上の位置および姿勢とステージの実際の位置および姿勢とに差がでてしまう。このため、ステージの正確な位置および姿勢を特定することができない。また、エンコーダのパルス数をカウントすることによって、ステージの位置および姿勢を特定する場合、エンコーダとコントローラ部分とを配線で接続する必要がある。このため、ステージの可動部分が可動した際に生じる応力に耐え得る配線を用いたり、配線とステージとが干渉しないようなレイアウトにしたりする必要があり、構造が複雑化する。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ステージの正確な位置および姿勢を確実に特定することが可能なステージ機構をシンプルな構造で実現することである。
本発明に係るステージ機構は、ベースと、相互に異なる複数のマーカーが設けられ、前記ベースに移動自在に支持されたステージと、前記ステージを駆動するステージ移動装置と、前記ステージの上方に設けられ、前記ステージを撮影する少なくとも2つの撮影装置と、前記各撮影装置によって撮影された前記ステージの画像から前記各マーカーを検出し、前記検出された各マーカーに基づいて、前記ステージの位置および姿勢を特定する制御装置と、を備え、前記各撮影装置から前記ステージを見たときに、前記各マーカーの位置は、前記ステージの位置および姿勢によって異なる。
本発明のステージ機構によれば、制御装置は、各撮影装置によって撮影されたステージの画像からステージに設けられた各マーカーを検出し、検出された各マーカーに基づいて、ステージの位置および姿勢を特定する。各撮影装置から見える各マーカーの位置は、ステージの位置および姿勢によって異なるため、各撮影装置によって撮影されたステージの画像中の各マーカーの位置によって、ステージの位置および姿勢が一義的に決定される。撮影装置によって撮影された各マーカーの画像は、実際のステージに設けられたマーカーの画像であるため、制御装置は、該マーカーの位置からステージの正確な位置および姿勢を確実に特定することができる。このように、本発明によれば、ステージの可動部分にエンコーダを用いなくとも、簡単な構造によってステージの正確な位置および姿勢を確実に特定することができる。また、例えばステッピングモータを用いてステージを可動する場合に、ステッピングモータとステージとの間で生じるギア同士のバックラッシュなどの機械的な誤差が生じたり、ステッピングモータが脱調したりしたとしても、ステージの正確な位置および姿勢を確実に特定することができる。
本発明の一態様によれば、前記制御装置は、前記撮影された前記ステージの画像から前記各マーカーを検出する検出部と、前記検出された各マーカーの中心点の座標である第1の座標を求める座標検出部と、前記求められた第1の座標を前記ステージが原点位置に配置されているときの前記各マーカーの中心点の座標である第2の座標に変換するための変換行列を算出する算出部と、前記算出された変換行列に基づいて、前記ステージの位置および姿勢を特定する特定部と、を備えている。
上記態様によれば、各撮影装置によって撮影されたステージの画像中の各マーカーの中心点の座標に基づいて、ステージの位置および姿勢が一義的に決定される。
本発明の一態様によれば、前記ステージ移動装置は、昇降自在な第1〜第6のガイド部と、それぞれ第1〜第6のガイド部を昇降させる第1〜第6のアクチュエータと、一端部が第1自在継手を介して前記ステージに接続され、他端部が第2自在継手を介してそれぞれ第1〜第6のガイド部に接続された第1〜第6のロッドと、を備える。
上記態様によれば、ステージ移動装置は、第1〜第6のガイド部を適宜に昇降させることにより、ステージをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸回り、Y軸回り、およびZ軸回りに移動させることができる。X軸方向に移動可能なアクチュエータ付テーブルと、Y軸方向に移動可能なアクチュエータ付テーブルと、Z軸方向に移動可能なアクチュエータ付テーブルと、X軸回りに回転可能なアクチュエータ付テーブルと、Y軸周りに回転可能なアクチュエータ付テーブルと、Z軸周りに回転可能なアクチュエータ付テーブルとを組み合わせたステージ移動装置に比べて、アクチュエータの出力を抑えることができる。また、小型のアクチュエータを利用可能なので、ステージ移動装置を小型化することができる。また、ステージ移動装置はステージを6自由度で駆動し、ステージの位置および姿勢を自在に変更することができるため、ステージの位置および姿勢の組み合わせがより複雑化するが、制御装置は、ステージに設けられたマーカーに基づいて、XYZ軸上のステージの正確な位置および姿勢を確実に特定することができる。
本発明の一態様によれば、前記制御装置は、前記特定部によって特定された前記ステージの位置および姿勢と、前記第1〜第6のアクチュエータの回転角度から導かれる前記ステージの制御上の位置および姿勢とが一致しているか否かを判断する判断部と、前記判断部により、前記特定部によって特定された前記ステージの位置および姿勢と、前記第1〜第6のアクチュエータの回転角度から導かれる前記ステージの制御上の位置および姿勢とが異なると判断されると、前記第1〜第6のアクチュエータの回転角度から導かれる前記ステージの制御上の位置および姿勢が、前記特定部によって特定された前記ステージの位置および姿勢となるように、前記第1〜第6のアクチュエータの回転角度を補正する補正部を備えている。
アクチュエータが例えばステッピングモータから構成されている場合、ステッピングモータが脱調したときに、ステージの制御上の位置および姿勢とステージの実際の位置および姿勢とに差がでることがある。しかし、上記態様によれば、ステッピングモータが脱調した場合であっても、ステージの正確な位置および姿勢を特定できると共に、補正部によって、ステッピングモータの脱調を補正することができる。
本発明の一態様によれば、前記ステージは、その下面に設けられた第1導通部材を備え、前記ステージ移動装置は、前記第1導通部材と接触可能に構成され、前記第1〜第6のロッドにそれぞれ設けられた複数の第2導通部材を備え、前記制御装置は、前記第1導通部材と前記複数の第2導通部材の少なくとも一つとが接触したことを検知する検知部と、前記検知部により、前記第1導通部材と前記第2導通部材とが接触したことが検知されると、前記ステージの移動を停止する第1停止部と、を備えている。
ステージと第1〜第6のロッドとを備えるパラレルメカニズムのステージ移動装置では、ステージが特異点に陥らないように動作計画を立てるが、ステッピングモータの脱調や機構上の誤差等によって、動作計画に反してステージが特異点に陥ることがある。ステージが特異点に陥ってしまうと、ステージの動作が正常に行われなくなる。上記態様によれば、第1停止部は、検知部によって第1導通部材と第2導通部材とが接触したことが検知されると、ステージの移動を停止する。このため、作業者はステージが特異点に陥ったことを認識することができる。なお、特異点とは、ステージが所定の位置に移動したとき、または、ステージが所定の姿勢となったときに、ステージの動作が正常に行われなくなる点である。
本発明の一態様によれば、前記第1〜第6のロッドの少なくともいずれかと前記ステージとが平行になったときに、前記第1導通部材と前記第2導通部材とが接触する。
ステージと第1〜第6のロッドとを備えるパラレルメカニズムのステージ移動装置では、各ロッドの少なくともいずれかとステージとが平行になったときに、ステージは特異点に陥る。上記態様によれば、第1〜第6のロッドの少なくともいずれかとステージとが平行になったときに、第1停止部がステージの移動を停止するため、作業者はステージが特異点に陥ったことを認識することができる。
本発明の一態様によれば、前記第1〜第6のロッドの少なくともいずれかと前記ステージとが平行となる前に、前記第1導通部材と前記第2導通部材とが接触する。
上記態様によれば、第1〜第6のロッドの少なくともいずれかとステージとが平行になる前に、第1停止部がステージの移動を停止するため、ステージが特異点に陥ることを未然に防止することができる。
本発明の一態様によれば、前記ステージは、三次元物体が載置される載置部と、前記載置部の外方に配置され、前記複数のマーカーが設けられた外縁部と、を備えている。
上記態様によれば、複数のマーカーは載置部の外方に配置された外縁部に設けられているため、ステージの載置部上に三次元物体が載置されている場合であっても、各撮影装置によって撮影されたステージの画像から各マーカーが容易に検出される。
本発明の一態様によれば、前記撮影装置は、受像部を備え、前記受像部の中心位置と前記ステージの上面の中心位置とを結ぶ直線と、水平面とのなす角度は、前記ステージの位置に関わらず前記ステージが最も大きく傾いたときの前記ステージの上面と水平面とのなす角度よりも大きい。
上記態様によれば、ステージが大きく傾いた場合であっても、各撮影装置によって撮影されたステージの画像から各マーカーが容易に検出される。
本発明の一態様によれば、3つの前記撮影装置を備え、前記各撮影装置は、前記ステージが原点位置に配置されているときの前記ステージの上面の中心位置を中心とする仮想円の周方向に等間隔に配置されている。
上記態様によれば、各撮影装置によって撮影されたステージの画像から各マーカーが容易に検出される。
本発明の一態様によれば、前記撮影装置は、前記ステージ上に配置された三次元物体を撮影し、前記制御装置は、前記撮影装置によって撮影された三次元物体の画像に基づいて、前記ステージ上に配置された三次元物体の表面形状を特定する形状特定部を備えている。
上記態様によれば、ステージ上に配置された三次元物体の表面形状が取得される。また、ステージを任意の位置および姿勢にすることによって、三次元物体の測定が多角的に行われるため、三次元物体の表面形状の測定精度が向上する。さらに、ステージ機構の他に別に設けられたスキャナーを用意する必要がない。
本発明の一態様によれば、前記ステージ上に配置された三次元物体に水平方向のグレイコードパターンおよび垂直方向のグレイコードパターンを投影する投影装置を備え、前記撮影装置は、前記投影装置から前記三次元物体に投影された水平方向のグレイコードパターンおよび垂直方向のグレイコードパターンを撮影し、前記形状特定部は、前記撮影装置によって撮影された水平方向のグレイコードパターンの画像および垂直方向のグレイコードパターンの画像に基づいて、前記三次元物体の三次元座標を演算することによって、前記三次元物体の表面形状を特定する。
上記態様によれば、三次元物体の表面形状の測定精度がより高くなる。
本発明の一態様によれば、前記制御装置は、前記ステージ上に前記三次元物体を配置した状態で前記ステージを駆動するときに、前記三次元物体が前記ベースに接触するか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部により、前記三次元物体が前記ベースに接触すると判定されると、前記ステージの移動を停止する第2停止部と、を備えている。
上記態様によれば、第1判定部により、ステージ上に配置された三次元物体がベースに接触すると判定されると、第2停止部は、ステージの移動を停止する。このため、ステージ上に配置された三次元物体とベースとの接触を未然に防止することができる。
本発明に係る三次元造形装置は、樹脂材料を硬化して所定の断面形状の樹脂を順次積層することにより造形物を三次元造形する三次元造形装置であって、前記ステージ機構と、前記ベースの上方に配置され、樹脂材料を吐出するノズルを備えた造形ヘッドと、を備え、前記ノズルから吐出される前記樹脂材料は、前記ステージの上面で保持され、前記制御装置は、前記特定された三次元物体の表面形状に基づいて前記ステージ上に造形物を三次元造形するときに、前記造形物が前記ベースに接触するか否かを前記造形物の三次元造形を開始する前に判定する第2判定部と、前記第2判定部により、前記造形物が前記ベースに接触すると判定されると、前記造形物の造形中に前記造形物が前記ベースに接触することを作業者に通知する通知部と、を備えている。
上記態様によれば、三次元造形したい造形物について、三次元造形装置で三次元造形をすることができない場合は、通知部が予めその旨を作業者に通知する。このため、作業者は、動作計画の修正等を行うことができる。
本発明によれば、ステージの正確な位置および姿勢を確実に特定することが可能なステージ機構をシンプルな構造で実現することができる。
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る三次元造形装置10は、ステージ機構30を備えている。3次元造形装置10は、樹脂材料を硬化して所定の断面形状の樹脂を順次積層することにより造形物を三次元造形する。樹脂材料としては、熱可塑性樹脂および光硬化性樹脂等が挙げられる。以下の説明では、熱可塑性樹脂を用いる三次元造形装置10がステージ機構30を備える場合を例に説明するが、本発明の適用対象をかかる種類の装置および樹脂材料に限定することを意図したものではない。
以下の説明において、特に断らない限り、図1の左、右、上、下をそれぞれ三次元造形装置10の左、右、上、下とする。図2の左、右、上、下をそれぞれ三次元造形装置10の前、後、左、右とする。図面中の符号F、Rr、L、R、Up、Dnは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。図面中の符号Xは、X軸を示し、左右方向を表す。図面中の符号Yは、Y軸を示し、前後方向を表す。図面中の符号Zは、Z軸を示し、上下方向を表す。符合θX、θY、θZは、それぞれX軸回り、Y軸回り、Z軸回りの回転方向を表す。本実施形態では、X軸、Y軸、Z軸は、いずれか一つの軸が他の二つの軸に対して直交するように設定されている。ただし、X軸、Y軸、Z軸は、いずれか一つの軸が他の二つの軸に対して交差するように設定されていればよい。また、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、三次元造形装置10の設置態様を何ら限定するものではない。
図1に示すように、三次元造形装置10は、ステージ機構30と、ホルダ15と、造形ヘッド20と、を備えている。
図1に示すように、ステージ機構30は、ベース40と、ステージ50と、ステージ移動装置60と、撮影装置としてのカメラ70A、70B、70Cと、制御装置としてのマイクロコンピュータ75と、を備えている。なお、マイクロコンピュータ75は、三次元造形装置10が備えていてもよい。
図1に示すように、ベース40は、第1ベース42と、6つの支柱44と、第2ベース46とを備えている。第1ベース42は、円板状に形成されている。支柱44は、第1ベース42から上方に延びている。第2ベース46は、円板状に形成されている。第2ベース46は、第1ベース42の上方に配置されている。第2ベース46は、6つの支柱44の上に配置されている。第1ベース42の直径と、第2ベース46の直径は実質的に同一である。図2に示すように、第2ベース46には、開口47が形成されている。
図1に示すように、ステージ50は、ベース40に移動自在に支持されている。ステージ50は、造形ヘッド20の下方に配置されている。ステージ50は、第1ベース42の上方かつ第2ベース46の下方に配置されている。ステージ50は、後述する造形ヘッド20のノズル22から吐出された樹脂材料を保持する。樹脂材料は、ステージ50の上面50Uで保持される。三次元造形物はステージ50の上面50Uで造形される。ステージ50には、三次元物体を配置することができる。
図3に示すように、ステージ50は、円板状に形成されている。ステージ50は、載置部52と外縁部54とを備えている。載置部52には、ノズル22から樹脂材料が吐出される。載置部52は、樹脂材料を保持する。載置部52には、三次元物体が載置される。外縁部54は、載置部52の外方に配置されている。外縁部54は、載置部52の外周に沿って配置されている。外縁部54は、載置部52を囲う。
ステージ50には、相互に異なる16個のマーカー56A〜56Pが設けられている。マーカー56A〜56Pは、円の内部に1〜16の数字がそれぞれ描かれた形状を有している。マーカー56A〜56Pは、ステージ50の上面50Uに設けられている。マーカー56A〜56Pは、外縁部54に設けられている。マーカー56A〜56Pは、外縁部54の周方向に等間隔で設けられている。マーカー56A〜56P同士の間隔は、等間隔に限定されず任意である。マーカー56A〜56Pの形状は予めマイクロコンピュータ75に記憶されている。マーカー56A〜56Pは、各カメラ70A〜70Cからステージ50を見たときに、ステージ50の位置および姿勢によって異なる。即ち、各カメラ70A〜70Cからステージ50を見たときに、マーカー56A〜56Pの位置は、ステージ50の位置および姿勢によって異なる。なお、本実施形態では、ステージ50には16個のマーカー56A〜56Pが設けられているが、マーカーの数は16個に限定されない。マーカー56A〜56Pは、円の内部に1〜16の数字がそれぞれ描かれた形状であるが、相互に異なっている限り、円でなくてもよいし、数字でなくてもよい。
図4に示すように、ステージ50は、第1導通部材58を備えている。第1導通部材58は、ステージ50の下面50Bに設けられている。第1導通部材58は、後述する各第1自在継手63Aの外方に設けられている。第1導通部材58は、第1自在継手63Aを囲う。第1導通部材58は、円環状に形成されている。
図1に示すように、ステージ移動装置60は、ベース40に配置されている。ステージ移動装置60は、ステージ50を6自由度で駆動する。ステージ移動装置60は、ステージ50を並進3自由度および回転3自由度で駆動する。すなわち、ステージ移動装置60は、ステージ50をX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に並進移動させるとともに、X軸回り、Y軸回り、およびZ軸回りに回転移動させるように構成されている。
図1に示すように、ステージ移動装置60は、6自由度パラレルリンク機構によって構成されている。ステージ移動装置60は、ステージ50に連結された6本のロッド62と、それぞれロッド62に連結され、支柱44に沿って昇降自在な6つのガイド部64(図1では2つのみ図示している)と、ガイド部64を昇降させる6つのアクチュエータ65(図1では2つのみ図示している)とを備えている。ロッド62、ガイド部64、およびアクチュエータ65は、ベース40に配置されている。ロッド62は、その一端62Aに第1自在継手63Aを備えている。ロッド62は、その他端62Bに第2自在継手63Bを備えている。第1自在継手63Aは、ステージ50を支持する。第1自在継手63Aは、ロッド62の一端62Aとステージ50とを連結している。
ガイド部64は、支柱44にスライド自在に係合したスライダにより構成されている。図1に示すように、第2自在継手63Bは、ガイド部64に接続されている。第2自在継手63Bは、ロッド62の他端62Bとガイド部64とを連結している。支柱44には溝が形成されており、この溝の内方には、上下に延びるボールねじ66が配置されている。ボールねじ66の上端部には、ボールねじ66を回転させるアクチュエータ65が配置されている。アクチュエータ65の種類は何ら限定されないが、例えば、サーボモータを用いることができる。ガイド部64には、上下に延びる図示しないねじ孔が形成されている。ガイド部64のねじ孔にはボールねじ66が挿入されており、ガイド部64のねじ孔は、ボールねじ66と噛み合っている。そのため、ボールねじ66が回転するとガイド部64は上昇し、ボールねじ66が逆回転するとガイド部64は下降する。ガイド部64が昇降することにより、ロッド62が移動する。
各アクチュエータ65は独立して動作可能であり、各アクチュエータ65は各ロッド62を相互に独立して移動させる。アクチュエータ65は、マイクロコンピュータ75に制御される。6本のロッド62が相互に独立して移動することにより、ステージ50は、ベース40内において、X軸方向の並進移動、Y軸方向の並進移動、Z軸方向の並進移動、X軸回りの回転移動、Y軸回りの回転移動、およびZ軸回りの回転移動が可能である。6本のロッド62が相互に独立して移動することにより、ステージ50の位置および姿勢を自由に設定することができる。
図1に示すように、ステージ移動装置60は、複数の第2導通部材68を備えている。第2導通部材68は、6本のロッド62にそれぞれ設けられている。第2導通部材68は、ロッド62の全周に亘って形成されている。図4に示すように、第2導通部材68は、ステージ50の下面50Bに設けられた第1導通部材58と接触可能に構成されている。
図5に示すように、ステージ移動装置60が通常に作動しているとき、第1導通部材58と第2導通部材68とは接触しない。図6に示すように、6本のロッド62の少なくともいずれかとステージ50とが平行になったときに、第1導通部材58と第2導通部材68とが接触する。第1導通部材58と第2導通部材68とが接触すると通電し、マイクロコンピュータ75が該電流を検知する。第1導通部材58と第2導通部材68とが接触したとき、マイクロコンピュータ75は、ステージ50の移動を停止する。
図1に示すように、カメラ70A〜70Cは、ステージ50を撮影する。カメラ70A〜70Cによって撮影されたステージ50の画像は、マイクロコンピュータ75に出力される。カメラ70A〜70Cは、ステージ50を撮影することが可能な位置に配置されている。カメラ70A〜70Cは、ベース40に配置されている。カメラ70A〜70Cは、ステージ50の上方に配置されている。カメラ70A〜70Cは、第2ベース46の下面46Bに配置されている。カメラ70A〜70Cは、ノズル22の下端22Bより上方に配置されている。図7に示すように、カメラ70A〜70Cは、ステージ50が原点位置に配置されているときのステージ50の上面50Uの中心位置P0を中心とする仮想円C1の周方向に等間隔に配置されている。なお、カメラ70A〜70Cの配置は上記態様に限定されない。本実施形態では、ステージ機構30は、撮影装置として3つのカメラ70A〜70Cを備えていたが、カメラは2つもしくは4つ以上でもよい。
図8に示すように、カメラ70A〜70Cは、それぞれ受像部としてのレンズ72A〜72Cを備えている。レンズ72Aの中心位置73Aとステージ50の上面50Uの中心位置P0とを結ぶ直線L1と、水平面とのなす角度αは、ステージ50が最も大きく傾いたときのステージ50の上面50Uと水平面とのなす角度θ0よりも大きい。すなわち、カメラ70Aは、角度αが角度θ0よりも大きくなる位置に配置されている。レンズ72Bの中心位置73Bと中心位置P0とを結ぶ直線L2と、水平面とのなす角度βは、角度θ0よりも大きい。すなわち、カメラ70Bは、角度βが角度θ0よりも大きくなる位置に配置されている。レンズ72Cの中心位置73Cと中心位置P0とを結ぶ直線L3と、水平面とのなす角度γは、角度θ0よりも大きい。すなわち、カメラ70Cは、角度γが角度θ0よりも大きくなる位置に配置されている。なお、上述した例では、ステージ50が原点位置に配置されている場合について説明しているが、ステージ50の位置に関わらず(即ちステージ50がその可動領域のいかなる位置に配置されていても)カメラ70Aは、角度αが角度θ0よりも大きくなる位置に配置されている。カメラ70Bおよびカメラ70Cについても同様である。また、本実施形態では、カメラ70A〜70Cは、受像部としてレンズ72A〜72Cを備えているが、受像部はレンズに限定されない。図8において、説明の便宜上、造形ヘッド20およびノズル22等の図示を省略している。
ステージ機構30では、ステージ50を駆動させるのに先立って、カメラ70A〜70C自体のキャリブレーション(以下、「カメラのキャリブレーション」と適宜に称する。)が行われる。カメラのキャリブレーションでは、カメラ70A〜70Cの焦点距離、画像中心座標、せん断係数およびレンズ歪みなどを表す内部パラメータと、カメラ70A〜70Cが配置された三次元空間上における位置や向きを表す外部パラメータが算出される。なお、カメラのキャリブレーションの具体的な方法については、従来公知の方法を用いることができるため、その詳細な説明は省略することとする。
図1に示すように、ホルダ15は、ベース40の上方に配置されている。ホルダ15は、第2ベース46の上に配置されている。ホルダ15は、第2ベース46の開口47を跨ぐように配置されている。図2に示すように、ホルダ15は、造形ヘッド20を支持する第1壁13および第2壁14を備えている。第1壁13と第2壁14との間には、造形ヘッド20が配置されている。
図1に示すように、造形ヘッド20は、ベース40の上方に配置されている。造形ヘッド20は、ホルダ15に固定されている。造形ヘッド20は、樹脂材料を吐出するノズル22を備えている。図2に示すように、ノズル22は、平面視で第2ベース46の開口47と重なる。
図1に示すように、三次元造形装置10は、樹脂材料26を収容するタンク24を備えている。タンク24は、ベース40の上方に配置されている。タンク24は、ホルダ15に配置されている。タンク24は、交換可能である。タンク24内の樹脂材料26は造形ヘッド20に供給される。図2に示すように、ホルダ15には、モータ28が配置されている。モータ28を駆動させることによって、ギア27が駆動され、タンク24内の樹脂材料26が造形ヘッド20に供給される。モータ28は、マイクロコンピュータ75により制御される。
マイクロコンピュータ75は、各カメラ70A〜70Cによって撮影されたステージ50の画像からマーカー56A〜56Pを検出する。マイクロコンピュータ75は、検出されたマーカー56A〜56Pに基づいて、ステージ50の位置および姿勢を特定する。マイクロコンピュータ75は、ステージ機構30に通信可能に接続されている。ステージ機構30は、マイクロコンピュータ75に常時接続されていてもよく、適宜に接続されていてもよい。また、ステージ機構30とマイクロコンピュータ75との接続は、有線による接続に限らず、無線による接続であってもよい。マイクロコンピュータ75には、中央演算処理装置(以下、CPUという)と、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えた公知のマイクロコンピュータを利用することができる。
図9に示すように、マイクロコンピュータ75は、記憶部78と、検出部80と、座標検出部82と、算出部84と、特定部86と、判断部88と、補正部90と、検知部92と、第1停止部94と、を備えている。
記憶部78は、カメラ70A〜70Cによって撮影されたステージ50の画像などの各種の情報を記憶する。記憶部78は、マーカー56A〜56Pと同じ形状の各テンプレート画像を予め記憶している。記憶部78は、ステージ50が原点位置に配置されているときのマーカー56A〜56Pの中心点の座標(三次元座標)を予め記憶している。記憶部78は、ベース40の形状情報(即ち支柱44等の三次元座標)を予め記憶している。
検出部80は、カメラ70A〜70Cによって撮影されたステージ50の各画像(以下、「撮影画像」と適宜に称する。)からマーカー56A〜56Pを検出する。より詳細には、検出部80は、各撮影画像上において、記憶部78に記憶された各テンプレート画像と一致するマーカーを検出する。以下の説明では、カメラ70A〜70Cによって撮影された撮影画像からマーカー56Aの中心点56AC(図3参照)の座標である第1の座標を求める場合を例に説明する。また、撮影画像の処理については、カメラ70Aによって撮影された撮影画像32(図10参照)を例に説明するが、カメラ70Bによって撮影された撮影画像およびカメラ70Cによって撮影された撮影画像についても同様の処理を行う。なお、マーカー56B〜56Pについても同様の方法で、各マーカー56B〜56Pの第1の座標を求めることができる。なお、検出部80は、マーカー56A〜56Pのうち少なくとも3点を検出するとよい。図10に示すように、検出部80は、撮影画像32上において、記憶部78に記憶されたテンプレート画像と一致するマーカー56Aを検出する。
座標検出部82は、従来公知の方法によって、検出部80によって検出されたマーカー56Aの中心点56AC(図3参照)の座標である第1の座標を求める。図11に示すように、座標検出部82は、撮影画像32(図10参照)から、マーカー56Aの外形57A以外の画素55A(ここでは数字の1)を消去したグレースケール画像を作成する。座標検出部82は、作成されたグレースケール画像の二値化を行う。即ち、座標検出部82は、所定の閾値以上のグレー値を「白」、所定の閾値より小さなグレー値を「黒」とした差分二値画像を作成する。図12に示すように、座標検出部82は、作成された差分二値画像の細線化処理を行って、細線化された点の集合体57AXを取得する。図13に示すように、座標検出部82は、円の最小二乗法によって、細線化された点の集合体57AXの中心点56ACの座標を求める。座標検出部82は、各カメラ70A〜70Cによって撮影された撮影画像中の中心点56ACの座標の視差に基づいて、マーカー56Aの中心点56ACの座標である第1の座標MRを求める。
算出部84は、変換行列HR2P(4×4行列)を算出する。変換行列HR2Pは、下記の(1)式に示すように、求められた第1の座標MRを、ステージ50が原点位置に配置されているときの各マーカー56A〜56Pの中心点の座標である第2の座標MPに変換するための座標変換行列である。変換行列HR2Pは、下記の(2)式に示すように、回転行列R(3×3行列)と並進行列t(3×1行列)とを含む。ここで、回転行列Rは、3×3の回転行列であり要素数は9であるが、回転行列Rは、3次元行列r=[rx,ry,rz]Tで表され、自由度は3である。並進行列tの自由度は3である。(1)式中、Tは転置を表す。
具体的には、下記の(3)式にn組のMRおよびMPを当てはめて、MRとMPとの差が最小化するようなHR2Pを、非線形最小二乗法(Levenberg-Marquardt法)により求める。このとき、Rについて最適化の対象となる要素は、rx、ryおよびrzの3つであるため、下記の(4)式で表されるロドリゲス(Rodrigues)の公式により、rx、ryおよびrzをRに変換する。(4)式中、Iは3×3の単位行列である。
特定部86は、求められた変換行列HR2Pに基づいて、ステージ50の位置および姿勢を特定する。即ち、特定部86は、ステージ50が原点位置に配置されているときの各マーカー56A〜56Pの中心点の座標である第2の座標MPから、求められた変換行列HR2P(回転行列Rおよび並進行列t)だけ移動した位置および姿勢が、現在のステージ50の位置および姿勢であると特定することができる。
判断部88は、特定部86によって特定されたステージ50の位置および姿勢(以下、「実際の位置」と適宜に称する。)と、第1〜第6のアクチュエータ65の回転角度から導かれるステージ50の制御上の位置および姿勢(以下、「制御上の位置」と適宜に称する。)とが一致しているか否かを判断する。第1〜第6のアクチュエータ65の回転角度に関する情報は、判断部88へと常時出力される。判断部88により、実際の位置と、制御上の位置とが異なると判断されると、判断部88は、補正部90に信号を出力する。なお、ステージ50の制御上の位置および姿勢は、アクチュエータ65のステップ数から導いてもよい。
補正部90は、判断部88から信号を受信したとき、すなわち、特定部86によって特定されたステージ50の位置および姿勢と、第1〜第6のアクチュエータ65の回転角度から導かれるステージ50の制御上の位置および姿勢とが異なると判断部88により判断されると、第1〜第6のアクチュエータ65の回転角度から導かれるステージ50の制御上の位置および姿勢が、特定部86によって特定されたステージ50の位置および姿勢となるように第1〜第6のアクチュエータ65の回転角度を補正する。
検知部92は、ステージ50の下面50Bに設けられた第1導通部材58と各ロッド62に設けられた複数の第2導通部材68の少なくとも一つとが接触したことを検知する。検知部92は、第1導通部材58と第2導通部材68とが接触したときに流れる電流を検知するように構成されている。検知部92は、第1導通部材58と第2導通部材68とが接触したことを検知すると、第1停止部94に信号を出力する。
第1停止部94は、検知部92から信号を受信したとき、すなわち、第1導通部材58と第2導通部材68とが接触したことが検知部92により検知されると、ステージ50の移動を停止する。第1停止部94は、第1〜第6のアクチュエータ65の動作を停止させる。これにより、ステージ50の移動も停止される。
以上のように、ステージ機構30によれば、マイクロコンピュータ75は、各カメラ70A〜70Cによって撮影されたステージ50の画像からステージ50に設けられた各マーカー56A〜56Pを検出し、検出された各マーカー56A〜56Pに基づいて、ステージ50の位置および姿勢を特定する。各カメラ70A〜70Cから見える各マーカー56A〜56Pの位置は、ステージ50の位置および姿勢によって異なるため、各カメラ70A〜70Cによって撮影されたステージ50の画像中の各マーカー56A〜56Pの位置によって、ステージ50の位置および姿勢が一義的に決定される。カメラ70A〜70Cによって撮影された各マーカー56A〜56Pの画像は、実際のステージ50に設けられたマーカー56A〜56Pの画像であるため、マイクロコンピュータ75は、該マーカー56A〜56Pの位置からステージ50の正確な位置および姿勢を確実に特定することができる。このように、ステージ50の可動部分にエンコーダを用いなくとも、簡単な構造によってステージ50の正確な位置および姿勢を確実に特定することができる。また、例えばステッピングモータを用いてステージ50を可動する場合に、ステッピングモータとステージ50との間で生じるギア同士のバックラッシュなどの機械的な誤差が生じたり、ステッピングモータが脱調したりしたとしても、ステージ50の正確な位置および姿勢を確実に特定することができる。
本実施形態のステージ機構30によれば、図9に示すように、マイクロコンピュータ75は、座標検出部82によって求められた第1の座標MRをステージ50が原点位置に配置されているときの各マーカー56A〜56Pの中心点の座標である第2の座標MPに変換するための変換行列HR2Pを算出する算出部84と、算出された変換行列HR2Pに基づいて、ステージ50の位置および姿勢を特定する特定部86と、を備えている。このため、各カメラ70A〜70Cによって撮影されたステージ50の画像中の各マーカー56A〜56Pの中心点の座標に基づいて、ステージ50の位置および姿勢が一義的に決定される。
本実施形態のステージ機構30によれば、図1に示すように、ステージ移動装置60は、第1〜第6のガイド部64を適宜に昇降させることにより、ステージ50をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸回り、Y軸回り、およびZ軸回りに移動させることができる。X軸方向に移動可能なアクチュエータ付テーブルと、Y軸方向に移動可能なアクチュエータ付テーブルと、Z軸方向に移動可能なアクチュエータ付テーブルと、X軸回りに回転可能なアクチュエータ付テーブルと、Y軸周りに回転可能なアクチュエータ付テーブルと、Z軸周りに回転可能なアクチュエータ付テーブルとを組み合わせたステージ移動装置に比べて、アクチュエータ65の出力を抑えることができる。また、小型のアクチュエータを利用可能なので、ステージ移動装置60を小型化することができる。また、ステージ移動装置60はステージ50を6自由度で駆動し、ステージ50の位置および姿勢を自在に変更することができるため、ステージ50の位置および姿勢の組み合わせがより複雑化するが、マイクロコンピュータ75は、ステージ50に設けられたマーカー56A〜56Pに基づいて、XYZ軸上のステージ50の正確な位置および姿勢を確実に特定することができる。
本実施形態のステージ機構30によれば、図9に示すように、マイクロコンピュータ75は、補正部90を備えている。アクチュエータ65が例えばステッピングモータから構成されている場合、ステッピングモータが脱調したときに、ステージ50の制御上の位置および姿勢とステージ50の実際の位置および姿勢とに差がでることがある。しかし、上記態様によれば、ステッピングモータが脱調した場合であっても、ステージ50の正確な位置および姿勢を特定できると共に、補正部90によって、ステッピングモータの脱調を補正することができる。
本実施形態のステージ機構30によれば、図9に示すように、第1停止部94は、第1導通部材58(図4参照)と第2導通部材68(図4参照)とが接触したことが検知されると、ステージ50の移動を停止する。このため、作業者はステージ50が特異点に陥ったことを認識することができる。
本実施形態のステージ機構30によれば、図9に示すように、第1〜第6のロッド62の少なくともいずれかとステージ50とが平行になったときに、第1停止部94がステージ50の移動を停止する。このため、作業者はステージ50が特異点に陥ったことを認識することができる。
本実施形態のステージ機構30によれば、図3に示すように、複数のマーカー56A〜56Pは、載置部52の外方に配置された外縁部54に設けられている。このため、ステージ50の載置部52上に三次元物体が載置されている場合であっても、各カメラ70A〜70Cによって撮影されたステージ50の画像から各マーカー56A〜56Pが容易に検出される。
本実施形態のステージ機構30によれば、図8に示すように、直線L1と、水平面とのなす角度αは、ステージ50が最も大きく傾いたときのステージ50の上面50Uと水平面とのなす角度θ0よりも大きい。このため、ステージ50が大きく傾いた場合であっても、カメラ70Aによって撮影されたステージ50の画像から各マーカー56A〜56Pが容易に検出される。
本実施形態のステージ機構30によれば、図7に示すように、カメラ70A〜70Cは、ステージ50が原点位置に配置されているときのステージ50の上面50Uの中心位置P0を中心とする仮想円C1の周方向に等間隔に配置されている。このため、各カメラ70A〜70Cによって撮影されたステージ50の画像から各マーカー56A〜56Pが容易に検出される。
<第2実施形態>
図14は、第2実施形態に係るステージ機構30を備えた三次元造形装置10を示す側面図である。図15は、第2実施形態に係るステージ機構30の主要要素のブロック図である。
図14に示すように、ステージ機構30は、投影装置としてのプロジェクタ18を備えている。プロジェクタ18は、マイクロコンピュータ75に制御される。ステージ50上には三次元物体12が配置されている。三次元物体12としては、例えば加工対象物が挙げられる。プロジェクタ18は、ステージ50上に配置された三次元物体12に水平方向のグレイコードパターンおよび垂直方向のグレイコードパターンを投影する。水平方向のグレイコードパターンおよび垂直方向のグレイコードパターンは、例えば8ビットである。
カメラ70A〜70Cは、三次元物体12に投影された水平方向のグレイコードパターンおよび垂直方向のグレイコードパターンを撮影する。撮影された各画像は、後述の形状特定部96(図15参照)に出力される。
図15に示すように、マイクロコンピュータ75は、形状特定部96と、第1判定部98と、第2停止部100とを備えている。
形状特定部96は、カメラ70A〜70Cによって撮影された水平方向のグレイコードパターンの画像および垂直方向のグレイコードパターンの画像に基づいて、三次元物体12の三次元座標を演算することによって、三次元物体12の表面形状を特定する。
具体的には、撮影された各画像は、形状特定部96において、カメラ70A〜70Cの内部パラメータでレンズ歪みの補正がなされる。形状特定部96は、補正された各画像から二値画像を作成する。形状特定部96は、作成された二値画像から、縦方向にコード値が変化する空間コード画像A(即ち縦方向に0〜255に輝度値が変化するグレースケール画像)と、横方向にコード値が変化する空間コード画像B(即ち横方向に0〜255に輝度値が変化するグレースケール画像)を作成する。
形状特定部96は、空間コード画像Aおよび空間コード画像Bから、空間コード境界線の交点座標(u,v)をサブピクセル精度で求める。形状特定部96は、この交点座標(u,v)を、ワールド空間上での座標値に変換する。即ち、形状特定部96は、下記の(5)式に示すように、交点座標(u,v)を正規化画像座標系(f=1)の値(x,y)に変換する。そして、形状特定部96は、下記の(6)式に示すように、(x,y)をワールド座標系の値(X,Y,Z)に変換する。式(5)中、A−1はカメラの内部パラメータであり、3×3の行列である。式(6)中、Re2wは、正規化画像座標系からワールド座標系へ変換するための回転行列である。Te2wは、正規化画像座標系からワールド座標系へ変換するための並進行列である。
変換されたワールド座標系の値(X,Y,Z)は、三次元物体12の三次元座標である。形状特定部96は、特定部86によって特定されたステージ50の位置および姿勢の情報に基づいて、任意の位置および姿勢のステージ50において求められた三次元物体12の三次元座標を組み合わせることによって、三次元物体12の表面形状を特定する。なお、こうした空間コード画像におけるコード値のサブピクセル精度での三次元物体12の三次元座標を算出する方法については、従来から公知の技術(例えば、特許4917351号公報を参照する。)を用いるため、その詳細な説明は省略する。
第1判定部98は、ステージ50上に三次元物体12を配置した状態でステージ50を駆動するときに、三次元物体12がベース40に接触するか否かを判定する。即ち、第1判定部98は、ステージ移動装置60によってステージ50が駆動されるとき、特定部86によって特定されたステージ50の位置および姿勢の情報と、形状特定部96によって特定された三次元物体12の表面形状の情報とに基づいて、ステージ50上の三次元物体12の位置を把握する。そして、第1判定部98は、把握された三次元物体12の位置と、記憶部78に予め記憶されているベース40の形状の情報とに基づいて、三次元物体12がベース40に接触するか否かを常に判定する。第1判定部98により、三次元物体12がベース40に接触すると判定されると、第1判定部98は、第2停止部100に信号を出力する。
第2停止部100は、第1判定部98から信号を受信したとき、すなわち、第1判定部98により、三次元物体12がベース40に接触すると判定されると、各アクチュエータ65の動作を停止させる。これにより、ステージ50の駆動も停止される。
上述した実施形態では、カメラ70A〜70Cは、プロジェクタ18から三次元物体12に投影された水平方向のグレイコードパターンおよび垂直方向のグレイコードパターンを撮影し、形状特定部96は、撮影された画像に基づいて、三次元物体12の表面形状を特定していたが、これに限定されない。例えば、カメラ70A〜70Cは、三次元物体12を撮影し、形状特定部96は、該撮影された三次元物体12の画像に基づいて、三次元物体12の三次元座標を演算することによって、三次元物体12の表面形状を特定してもよい。この場合、ステージ機構30は、プロジェクタ18を備えていなくてもよい。
本実施形態のステージ機構30によれば、形状特定部96によって、ステージ50上に配置された三次元物体12の表面形状が取得される。また、ステージ50を任意の位置および姿勢にすることによって、三次元物体12の測定が多角的に行われるため、三次元物体12の表面形状の測定精度が向上する。さらに、ステージ機構30の他に別に設けられたスキャナーを用意する必要がない。
本実施形態のステージ機構30によれば、形状特定部96は、カメラ70A〜70Cによって撮影された水平方向のグレイコードパターンの画像および垂直方向のグレイコードパターンの画像に基づいて、三次元物体12の三次元座標を演算することによって、三次元物体12の表面形状を特定する。これにより、三次元物体12の表面形状の測定精度がより高くなる。
本実施形態のステージ機構30によれば、第1判定部98により、ステージ50上に配置された三次元物体12がベース40に接触すると判定されると、第2停止部100は、ステージ50の移動を停止する。このため、ステージ50上に配置された三次元物体12とベース40との接触を未然に防止することができる。
<第3実施形態>
図16は、第3実施形態に係るステージ機構30の主要要素のブロック図である。図16に示すように、マイクロコンピュータ75は、形状特定部96と、第2判定部102と、通知部104とをさらに備えている。
第2判定部102は、形状特定部96によって特定された三次元物体12の表面形状に基づいてステージ50上に造形物を三次元造形するときに、造形途中の造形物がベース40に接触するか否かを予め判定する。即ち、第2判定部102は、まず、形状特定部96によって特定された三次元物体12の表面形状に基づいてステージ50上に造形物を三次元造形している途中のステージ50の位置および姿勢を求める。次に、第2判定部102は、造形ヘッド20のノズル22(図1参照)から樹脂材料26がステージ50に吐出されることによって、ステージ50上に造形物が三次元造形されるとき、造形物を三次元造形している途中のステージ50の位置および姿勢の情報と、形状特定部96によって特定された三次元物体12の表面形状の情報とに基づいて、三次元造形中のステージ50の各位置および姿勢における造形物の位置を把握する。そして、第2判定部102は、把握された造形物の位置と、記憶部78に予め記憶されているベース40の形状の情報とに基づいて、造形物がベース40に接触するか否かを、造形物の三次元造形を開始する前に判定する。第2判定部102により、造形物がベース40に接触すると判定されると、第2判定部102は、通知部104に信号を出力する。
通知部104は、第2判定部102から信号を受信したとき、すなわち、第2判定部102により、造形物がベース40に接触すると判定されると、造形物の三次元造形中に造形物がベース40に接触することを作業者に通知する。なお、通知方法は特に限定されず、例えば、視覚的な表示、音声等による通知が挙げられる。本実施形態では、表示装置106を通じて視覚的に作業者に対する通知を行う。
本実施形態のステージ機構30によれば、三次元造形したい造形物について、第2判定部102により三次元造形装置10で三次元造形をすることができないと判定される場合は、通知部104が予めその旨を作業者に通知する。このため、作業者は、動作計画の修正等を行うことができる。
上述の実施形態では、6本のロッド62の少なくともいずれかとステージ50とが平行になったときに、第1導通部材58と第2導通部材68とが接触するように構成されていたが、これに限定されない。図17に示すように、6本のロッド62の少なくともいずれかとステージ50とが平行となる前に、第1導通部材58と第2導通部材68とが接触するようにしてもよい。ステージ50とロッド62とのなす角度θが、例えば5°以上15°以下のときに、第1導通部材58と第2導通部材68とが接触するようにしてもよい。
本実施形態のステージ機構30によれば、図17に示すように、第1〜第6のロッド62の少なくともいずれかとステージ50とが平行になる前に、第1停止部94(図9参照)がステージ50の移動を停止する。このため、ステージ50が特異点に陥ることを未然に防止することができる。