JP6575891B1 - デュアルイオンバッテリ - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 正極集電体とその上に配置された正極活物質とを含む正極と、
負極集電体とその上に配置された負極活物質とを含む負極と、
を有し、
前記正極活物質は黒鉛を含み、
前記負極活物質は陽イオンを吸蔵放出し得る金属酸化物を含み、
前記正極集電体及び前記負極集電体は、非晶質炭素被膜で被覆されたアルミニウム材からなる、デュアルイオンバッテリ。
[2] 前記正極集電体又は/及び前記負極集電体は、非晶質炭素被膜上に導電性炭素層が形成されている、[1]に記載のデュアルイオンバッテリ。
[3] 前記陽イオンがアルカリ土類金属であることを特徴とする
[1]又は[2]のいずれか一項に記載のデュアルイオンバッテリ。
[4] 前記陽イオンがリチウムであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のデュアルイオンバッテリ。
[5] 前記金属酸化物における金属はチタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、及びモリブデン(Mo)からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のデュアルイオンバッテリ。
[6] 前記負極活物質の単位重量当たりの容量は、前記正極活物質の単位重量当たりの容量よりも高いことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のデュアルイオンバッテリ。
本発明の一実施形態に係るデュアルイオンバッテリ(DIB)は、正極集電体とその上に配置された正極活物質とを含む正極と、負極集電体とその上に配置された負極活物質とを含む負極と、を有する。正極活物質は黒鉛を含み、負極活物質は陽イオンを吸蔵放出し得る金属酸化物を含む。正極集電体及び負極集電体は、非晶質炭素被膜で被覆されたアルミニウム材からなる。
しかし、今度はサイクル寿命特性が低下するという課題が現れた。この課題の原因は、負極にチタン酸リチウムなどの金属酸化物を用いると、活性炭を負極に用いた場合の電極電位が斜めに直線状に減少変化するのに比べて、チタン酸リチウムなどの金属酸化物の電位曲線が平坦になる。このため、負極にチタン酸リチウムなどの金属酸化物の電位曲線は、活性炭の電位曲線よりもより卑な電位でさらされる時間が長くなる。これによって、デュアルイオンバッテリの負極集電体が、従来のキャパシタの負極集電体より溶解し易くなる。この結果、高温耐久性能が低下したり、充放電サイクル寿命特性が低下した。この課題に対して、本発明の耐食性を高めた集電体を負極集電体に用いることで集電体の溶解を抑制できることを見出した。すなわち、充放電容量が活性炭よりも大きな負極活物質を用いることで、セルのエネルギー密度を向上できたが、負極集電体が溶解する影響が顕在化した。本発明の耐食性を高めた集電体を適用することでその課題を解決することができた。
本発明の一実施形態のデュアルイオンバッテリで用いる負極は、集電体(負極集電体)とその上に形成されている負極活物質層を含む。負極活物質層は、負極活物質とバインダーと導電材とを含む。
負極活物質層は、負極活物質とバインダーと導電材とを含む。
負極活物質層は主に、負極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電材を含むペースト状の負極材料を、負極集電体上に塗布し、乾燥して、形成することができる。
本実施形態のデュアルイオンバッテリで用いる負極は、さらにバインダーを含むことが好ましい。
バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、アクリル系、オレフィン系、カルボキシメチルセルロース(CMC)系、ゼラチンやキトサン、アルギン酸等の天然高分子の単独、もしくは2種類以上の混合系を用いることができる。
導電材としては、負極活物質層の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電材を用いることができる。例えば、カーボンブラック、炭素繊維(カーボンナノチューブ(CNT)、VGCF(登録商標)等を含み、カーボンナノチューブに限らない)等を用いることができる。
負極活物質としては、後述する電解液に含まれる電解質イオンである陽イオンを吸蔵し得る金属酸化物を含むものである。すなわち、陽イオンを可逆的に挿入脱離できる材料であれば用いることができる。陽イオンとしては、例えば、Li、Na、K等のアルカリ金属イオン、Mg、Ca等のアルカリ土類金属イオン等を用いることができる。
ここで、リチウムを用いた例を例示する。例えば、リチウムを挿入脱離できる金属酸化物を用いることができる。より具体的には、リチウムを含有する金属酸化物あるいはリチウムを含有しない金属酸化物を用いることができる。リチウムを挿入脱離できる金属酸化物の金属としては、周期律表の4、5、6周期の4、5、6族を用いることができる。具体的には、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)等の遷移金属を用いることが好ましい。リチウムを含有する金属酸化物としては、例えばリチウム含有チタン酸化物であるLi4Ti5O12やリチウム含有ニオブ酸化物であるLiNbO2、リチウム含有バナジウム酸化物であるLi1.1V0.9O2等を用いることができる。また、リチウムを含有しない金属酸化物としては、例えばTiO2、NbO2、V2O5等を用いることができる。
また、上記負極活物質の容量は、活性炭負極の実用容量(30mAh/g〜50mAh/g)よりも大きくなる。活性炭負極を用いた従来のハイブリッドキャパシタでは、その負極の容量が律速となるため、エネルギー密度を高めにくかった。しかし、本発明の負極活物質は活性炭に比べて容量が大きくなるため、本発明の負極活物質を用いることで、黒鉛正極の容量を高めることができる。その結果、本発明のデュアルイオンバッテリは高エネルギー密度化を図ることができる。
負極集電体は、非晶質炭素被膜で被覆されたアルミニウム材である。
アルミニウム材の形状としては、箔、シート、フィルム、メッシュなどの形態をとることができる。集電体としては、アルミニウム箔を好適に用いることができる。
また、アルミニウム材としてプレーンなものの他、後述するエッチドアルミニウムを用いてもよい。
エッチドアルミニウムは、エッチングによって粗面化処理されたものである。エッチングは一般的に塩酸等の酸溶液に浸漬(化学エッチング)したり、塩酸等の酸溶液中でアルミニウムを陽極として電解(電気化学エッチング)する方法等が用いられる。電気化学エッチングでは、電解の際の電流波形、溶液の組成、温度等によりエッチング形状が異なるので、デュアルイオンバッテリの性能の観点で選択できる。
アルミニウム材上の自然酸化膜は不動態膜であり、それ自体、電解液に浸食されにくいという利点がある一方、集電体の抵抗の増大につながるため、集電体の抵抗の低減の観点では、自然酸化膜がない方がよい。
導電性炭素層を備えることにより、非晶質炭素被膜にピンホールがある場合でも、そのピンホールを封孔して、アルミニウム材が電解液に接することを阻止して、電解液による集電体の腐食を防止することができる。
また、導電性炭素層を備えることにより、集電体を被覆する非晶質炭素被膜と負極活物質との接触抵抗を低減し、放電率を高め、出力特性を高めるとともに高温耐久性を高めることができる。
本発明の一実施形態のデュアルイオンバッテリで用いる正極は、集電体(正極集電体)とその上に形成されている正極活物質層を含む。正極活物質層は、正極活物質とバインダーと導電材とを含む。
正極活物質層は、正極活物質とバインダーと導電材とを含む。
正極活物質層は主に、正極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電材を含むペースト状の正極材料を、正極集電体上に塗布し、乾燥して、形成することができる。
正極のバインダー及び導電材は、上記負極のバインダー及び導電材と同様な類型のものを用いることができる。
正極活物質は、黒鉛を含むものである。黒鉛としては、人造黒鉛、天然黒鉛のいずれも用いることができる。また、天然黒鉛としては鱗片状のものと土状のものが知られている。天然黒鉛は、採掘した原鉱石を粉砕し、浮遊選鉱と呼ばれる選鉱を繰り返すことによって得られる。また、人造黒鉛は例えば、高温度によって炭素材料を焼成する黒鉛化工程を経て製造されるものである。より具体的には例えば、原料のコークスにピッチなどの結合剤を加えて成形し、1300℃付近まで加熱することで一次焼成し、次に一次焼成品をピッチ樹脂に含浸させ、さらに3000℃に近い高温で二次焼成することで得られる。また、黒鉛粒子表面を炭素でコーティングしているものも用いることができる。
正極集電体は、上記負極集電体と同様、非晶質炭素被膜で被覆されたアルミニウム材である。
導電性炭素層を備えることにより、非晶質炭素被膜にピンホールがある場合でも、そのピンホールを封孔して、アルミニウム材が電解液に接することを阻止して、電解液による集電体の腐食を防止することができる。
また、導電性炭素層を備えることにより、集電体を被覆する非晶質炭素被膜と正極活物質との接触抵抗を低減し、放電率を高め、出力特性を高めるとともに高温耐久性を高めることができる。
本実施形態のデュアルイオンバッテリで用いる電解液としては、例えば、有機溶媒に電解質を溶解した有機電解液を用いることができる。電解液としては、電極に挿入脱離可能な電解質イオンを含む。具体的には、リチウム塩等を用いることができる。
有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2等が挙げられる。
また、高温耐久性能や充放電サイクル特性、入出力特性等を高めるために、電解液に添加剤を用いてもよい。
本実施形態のデュアルイオンバッテリで用いるセパレータとしては、正極と負極の短絡防止や電解液保液性の確保等の理由から、セルロース系の紙状セパレータや、ガラス繊維セパレータ、ポリエチレンやポリプロピレンの微多孔膜等が好適である。
「チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)の合成」
平均粒径が3μmのアナターゼ型酸化チタンと水酸化リチウムをチタンとリチウムの化学量論比が5:4モルになるように秤量し、るつぼに入れ、電気式雰囲気炉に投入し、大気中700℃で10時間焼成してチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)を得た。
「バナジウム酸リチウム(Li1.1V0.9O2)の合成」
V2O5とLi2CO3をバナジウムとリチウムの化学量論比が0.9:1.1モルになるように秤量し、るつぼに入れ、電気式雰囲気炉に入れ、アルゴンフロー(500ml/分)中で1100℃で5時間焼成してバナジウム酸リチウム(Li1.1V0.9O2)を得た。
<集電体の作製>
「DLCコーティングしたアルミニウム箔の作製」
DLCコーティングしたアルミニウム箔(以下、「DLCコートアルミニウム箔」ということがある)は、非晶質炭素被膜で被覆されたアルミニウム材に相当する。DLCコートアルミニウム箔の製造法としては、純度99.99%のアルミニウム箔(株式会社UACJ製箔製、厚さ20μm)に対して、アルゴンスパッタリングでアルミニウム箔表面の自然酸化膜を除去した後、そのアルミニウム表面近傍にメタン、アセチレン及び窒素の混合ガス中で放電プラズマを発生させ、アルミニウム材に負のバイアス電圧を印加することによりDLC膜を生成させた。ここで、DLCをコーティング(被覆)したアルミニウム箔上のDLC膜の厚みを、ブルカー(BRUKER)社製触針式表面形状測定器DektakXTを用いて計測したところ、160nmであった。
得られたDLCコートアルミニウム箔(厚さ20μm、DLC膜厚160nm)上に、スクリーン印刷機を用いて、日本黒鉛工業株式会社製の黒鉛製導電性ペースト(商品名:バニーハイトT−602U、セルロース系樹脂バインダー、水溶液)を塗布することで導電性炭素層を形成した後、100℃で20分間熱風乾燥機中で乾燥させ、正極集電体及び負極集電体である、導電性炭素層を被覆したDLCコートアルミニウム箔を得た。導電性炭素層の厚みをマイクロメーターを用いて計測したところ、3μmであった。
負極活物質として合成1で得られたチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、アセチレンブラック(導電材)、ポリフッ化ビニリデン(有機溶剤系バインダー)を、重量パーセント濃度(wt%)の比率が80:10:10となるように秤量し、N−メチルピロリドン(有機溶剤)で溶解混合することで得たペーストを、得られた負極集電体上に、ドクターブレードを用いて塗布し、本実施例の負極を得た。マイクロメーターを用いて負極の厚みを計測したところ、60μmであった。
正極活物質としてイメリス・ジーシー・ジャパン株式会社製黒鉛(商品名:KS−6、平均粒径6μm)、アセチレンブラック(導電材)、ポリフッ化ビニリデン(有機溶剤系バインダー)を、重量パーセント濃度(wt%)の比率が80:10:10となるように秤量し、N−メチルピロリドン(有機溶剤)で溶解混合することで得たペーストを、得られた正極集電体上に、ドクターブレードを用いて塗布し、本実施例の正極を得た。マイクロメーターを用いて正極の厚みを計測したところ、80μmであった。
得られた正極を直径16mm、得られた負極を直径14mmの円板状に打ち抜いたものを150℃で24時間真空乾燥した後、アルゴングローブボックスへ移動した。乾燥後の正極と負極を、ニッポン高度紙工業株式会社製紙セパレータ(商品名:TF40−30)を介して積層し、電解質に1MのLiBF4(四フッ化ホウ酸リチウム)、溶媒にプロピレンカーボネートを用いた電解液を0.1mL加えて、アルゴングローブボックス中で2032型コインセルを作製した。
負極集電体としてDLCコートアルミニウム箔(厚さ20μm、DLC膜厚160nm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でコインセルを作製した。
正極集電体としてDLCコートアルミニウム箔(厚さ20μm、DLC膜厚160nm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でコインセルを作製した。
正極集電体及び負極集電体としてDLCコートアルミニウム箔(厚さ20μm、DLC膜厚160nm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でコインセルを作製した。
正極集電体及び負極集電体である導電性炭素層を被覆したDLCコートアルミニウム箔を作製する際、DLC膜厚100nmのDLCコートアルミニウム箔を用いた以外は、実施例1と同様の方法でコインセルを作製した。
負極集電体としてプレーンのアルミニウム箔(株式会社UACJ製箔製、厚さ20μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でコインセルを作製した。
負極活物質として株式会社クラレ製活性炭YP−50Fを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でコインセルを作製した。
得られた実施例1と比較例2のセルについて、株式会社ナガノ製充放電試験装置BTS2004を用いて、25℃の恒温槽中で、0.4mA/cm2の電流密度、3.5Vの電圧で定電流定電圧充電を行ない、その後、定電流(電流密度0.4mA/cm2)の放電電流値で2.0Vまで放電を行なう充放電試験を行なった。2.0Vまで放電した時間と放電電流の積により、放電容量を算出した。また、エネルギー量(Wh)は放電時の平均電圧と放電容量の積により算出した。その結果を表1に示す。表1においては、実施例1のエネルギー量を比較例2で規格化した値を示した。この際、比較例2の結果を100として規格化した。
得られた実施例1〜実施例5、比較例1のセルについて、株式会社ナガノ製充放電試験装置BTS2004を用いて、25℃の恒温槽中で、0.4mA/cm2の電流密度、3.5Vの電圧で定電流定電圧充電を行ない、その後、電流密度0.4mA/cm2の放電電流値で2.0Vまで放電を行なう充放電試験を行い、定電流定電圧連続充電試験前の放電容量を計測した。
次に充放電試験装置BTS2004を用いて、60℃の恒温槽中で、電流密度0.4mA/cm2、電圧3.5Vで連続充電試験(定電流定電圧連続充電試験)を行なった。具体的には、充電の途中、所定の時間で充電を止め、恒温槽の温度を25℃に変更し、5時間経過後、上記と同様に0.4mA/cm2の電流密度、3.5Vの電圧で定電流定電圧充電を行ない、その後、電流密度0.4mA/cm2の放電電流値で2.0Vまで放電を行なう充放電試験を5回行うことで放電容量を得た。その後、恒温槽の温度を60℃に戻し、5時間経過後、連続充電試験を再開し、連続充電試験時間の総計が2000時間になるまで試験を実施した。
2000時間での放電容量維持率(%)は、試験開始前の放電容量を100とし、試験開始後、2000時間経過後の放電容量を、その100の放電容量に対する割合で示したものである。60℃耐久性は、この60℃、2000時間での放電容量維持率を用いて評価した。その結果を表1に示す。表1においては、実施例1〜5の放電容量維持率(%)を比較例1で規格化した値を示した。この際、比較例1の結果を100として規格化した。
実施例2の放電容量維持率は比較例1の放電容量維持率の22倍であり、大きな60℃耐久性を示した。この大きな効果は、負極集電体のアルミニウム箔がDLCコートを有することによるものである。
後述の実施例1では、DLCコートアルミニウム箔のDLCコート(被膜)上にさらに導電性炭素層が形成されている。実施例2よりも大きい効果が確認された。アルミニウム箔又はその酸化物と直接に接触せず、炭素質の膜や層を介してアルミニウム箔上に形成した場合、同様に、大きい効果が観測されることがわかった。すなわち、負極活物質であるチタン酸リチウムの導電性が低いため、集電体との界面に導電性炭素層を形成したことによって界面抵抗が下がった効果と考えられる。本発明の導電性炭素層を形成したDLCコートアルミニウム箔の効果は負極に対してより有効であることを示す。
また、後述の実施例6などでも、数倍の改善効果が観測されたことから、それらの相互作用の大きさは、負極活物質としての金属酸化物の種類に依存する可能性がある。
実施例1の放電容量維持率は実施例2の放電容量維持率の1.14倍であり、さらに60℃耐久性を向上させることができた。この効果は、負極集電体のDLCコートアルミニウム箔のDLCコート(被膜)上に導電性炭素層が形成されていることによるものである。
実施例2の放電容量維持率は実施例4の放電容量維持率の1.26倍であり、60℃耐久性を向上させることができた。この効果は、正極集電体のDLCコートアルミニウム箔のDLCコート(被膜)上に導電性炭素層が形成されていることによるものである。
実施例3の放電容量維持率は実施例4の放電容量維持率の1.31倍であり、60℃耐久性を向上させることができた。この効果は、負極集電体のDLCコートアルミニウム箔のDLCコート(被膜)上に導電性炭素層が形成されていることによるものである。すなわち、負極活物質であるチタン酸リチウムの導電性が低いため、集電体との界面に導電性炭素層を形成したことによって界面抵抗が下がった効果と考えられる。本発明の導電性炭素層を形成したDLCコートアルミニウム箔の効果は負極に対してより有効であることを示す。
実施例1の放電容量維持率は実施例5の放電容量維持率の1.35倍であり、60℃耐久性を向上させることができた。この効果は、DLCコート(被膜)の厚さの違いによるものである。
負極活物質としてLiNbO2を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でコインセルを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。
負極活物質として合成2で得られたLi1.1V0.9O2を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でコインセルを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。
負極活物質としてアナターゼ型TiO2を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でコインセルを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。
負極活物質としてV2O5を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でコインセルを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。
負極集電体としてプレーンのアルミニウム箔(株式会社UACJ製箔製、厚さ20μm)を用いたこと以外は、実施例6と同様の方法でコインセルを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。
負極集電体としてプレーンのアルミニウム箔(株式会社UACJ製箔製、厚さ20μm)を用いたこと以外は、実施例7と同様の方法でコインセルを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。
負極集電体としてプレーンのアルミニウム箔(株式会社UACJ製箔製、厚さ20μm)を用いたこと以外は、実施例8と同様の方法でコインセルを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。
負極集電体としてプレーンのアルミニウム箔(株式会社UACJ製箔製、厚さ20μm)を用いたこと以外は、実施例9と同様の方法でコインセルを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。
実施例6〜9の放電容量維持率はそれぞれ、比較例3〜6のそれぞれの放電容量維持率の2.5倍、3.3倍、2.85倍、1.75倍であった。このような大きな効果は、負極集電体のアルミニウム箔がDLCコート(被膜)及び導電性炭素層を有することによるものである。また、本発明に係るどの負極活物質を用いても本発明の効果が得られることがわかった。
Claims (6)
- 正極集電体とその上に配置された正極活物質とを含む正極と、
負極集電体とその上に配置された負極活物質とを含む負極と、
を有し、
前記正極活物質は黒鉛を含み、
前記負極活物質は陽イオンを吸蔵放出し得る金属酸化物を含み、
前記正極集電体及び前記負極集電体は、非晶質炭素被膜で被覆されたアルミニウム材からなる、デュアルイオンバッテリ。 - 前記正極集電体又は/及び前記負極集電体は、非晶質炭素被膜上に導電性炭素層が形成されている、請求項1に記載のデュアルイオンバッテリ。
- 前記陽イオンがアルカリ金属又はアルカリ土類金属であることを特徴とする
請求項1又は2のいずれか一項に記載のデュアルイオンバッテリ。 - 前記陽イオンがリチウムであることを特徴とする
請求項1〜3のいずれか一項に記載のデュアルイオンバッテリ。 - 前記金属酸化物における金属はチタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、及びモリブデン(Mo)からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする
請求項1〜4のいずれか一項に記載のデュアルイオンバッテリ。 - 前記負極活物質の単位重量当たりの容量は、前記正極活物質の単位重量当たりの容量よりも高いことを特徴とする
請求項1〜5のいずれか一項に記載のデュアルイオンバッテリ。
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