JP6574973B1 - 金属表面処理用樹脂エマルション、金属表面処理剤、表面処理金属材及びその製造方法、並びに樹脂エマルションの製造方法 - Google Patents

金属表面処理用樹脂エマルション、金属表面処理剤、表面処理金属材及びその製造方法、並びに樹脂エマルションの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属表面処理剤に用いることによって、金属基材の表面に、良好に密着し、かつ、良好な耐食性及び塗膜密着性を付与する皮膜を形成することが可能となる金属表面処理用樹脂材料を提供する。【解決手段】コア層の表面に、片末端にヒドロキシ基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分が重合したシェル層を含むコア−シェル型の樹脂粒子を含有し、前記樹脂粒子のレーザー回折・散乱法による平均粒子径DAと、動的光散乱法による平均粒子径DBとの比DA/DBが、0.90以下である、金属表面処理用樹脂エマルションを提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、金属表面処理用樹脂エマルション及びその製造方法、並びに金属表面処理用樹脂エマルションを含有する金属表面処理剤及びそれを用いて得られる表面処理金属材に関する。
亜鉛系めっき鋼材及びアルミニウム系金属材等の金属材は、例えば家電製品、建材、及び自動車等の様々な用途に広く使用されている。それら金属材は、大気中の酸素及び水分、並びに水分中に含まれるイオン等によって酸化され、腐食を生じる。このような腐食を防止するために、金属材の表面に、クロム酸クロメート処理及びリン酸クロメート処理等のクロメート処理を施すことが行われている。このクロメート処理では、金属材の表面に、クロム酸塩を含有する処理液を接触させてクロメート皮膜を形成することにより、良好な耐食性や、金属材に塗装される塗料との良好な密着性(塗膜密着性)等の機能を金属材に付与することができる。
しかし、クロメート処理には、6価クロムを含有する処理液が使用されることもあり、廃水処理に手間やコストがかかるという懸念がある。また、6価クロムを含有する処理液を用いるクロメート処理によって形成された皮膜中にも6価クロムが含まれる場合があり、環境面や安全面での懸念がある。それゆえ、クロムを含有しない、いわゆるクロムフリーの金属表面処理剤によって、クロメート処理による皮膜と同等の耐食性を有する皮膜を形成することが可能な技術が、今日まで種々提案されている。
例えば、特許文献1では、水溶液中でTi、Zr、又はAlを含むカチオンとなる化合物と、水溶液中でTi、Zr、Si、B、又はAlを含むアニオンとなるフッ素含有化合物とを特定の割合で含有し、有機樹脂を実質的に含有しない、無機系クロムフリー金属表面処理剤が提案されている。また、特許文献2では、バナジウム化合物(A)と、Co、Ni、Zn、Mg、Al、Ca、Sr、Ba、及びLiのうちの少なくとも1種の金属を含む金属化合物(B)とを含有する、クロムフリーの金属表面処理剤が提案されている。さらに、特許文献3では、水溶液中で、ZrO2+を放出するZr化合物及びTiO2+を放出するTi化合物のうちの1種以上の4族遷移金属化合物(a)と、水酸基及びカルボキシル基等の官能基を同一分子内に2個以上有する有機化合物(b)とを含有する金属表面処理剤が提案されている。
特開2012−017524号公報 特開2004−183015号公報 特開2013−023705号公報
しかし、本発明者らの検討の結果、特許文献1に開示されたような金属表面処理剤を用いて形成された無機系皮膜は、金属材や、それに設けられる塗膜との密着性が、実用レベルにはあったが、十分に高いレベルにあるとはいえないことが分かった。また、特許文献2及び3にそれぞれ開示されたような金属表面処理剤を用いて形成された皮膜は、密着性は良好であるが、耐食性が十分に高いレベルにあるとはいえないことが分かった。
上述の検討等を経て、本発明者らは、従来のクロムフリーの金属表面処理剤では、金属基材への密着性(基材密着性)、耐食性、及び塗膜密着性のすべての性能について、クロメート処理と同等以上とするには未だ不十分であるとの認識をもつに至った。
そこで本発明は、金属表面処理剤に用いることによって、金属基材の表面に、良好に密着し、かつ、良好な耐食性及び塗膜密着性を付与する皮膜を形成することが可能となる金属表面処理用樹脂材料を提供しようとするものである。
本発明によれば、樹脂粒子のコア層の表面に、片末端にヒドロキシ基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分が重合したシェル層を含むコア−シェル型の樹脂粒子を含有し、前記樹脂粒子のレーザー回折・散乱法による平均粒子径Dと、動的光散乱法による平均粒子径Dとの比D/Dが、0.90以下である、金属表面処理用樹脂エマルションが提供される。
本発明によれば、金属表面処理剤に用いることによって、金属基材の表面に、良好に密着し、かつ、良好な耐食性及び塗膜密着性を付与する皮膜を形成することが可能となる金属表面処理用樹脂材料を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
<金属表面処理用樹脂エマルション>
本発明の一実施形態の金属表面処理用樹脂エマルション(以下、単に「エマルション」及び「樹脂エマルション」と記載することがある。)は、コア−シェル型の樹脂粒子を含有する。この樹脂粒子は、コア層の表面に、片末端にヒドロキシ基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分が重合したシェル層を含む。そして、その樹脂粒子のレーザー回折・散乱法による平均粒子径Dと、動的光散乱法による平均粒子径Dとの比D/Dは、0.90以下である。以下、「片末端にヒドロキシ基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル」を、「OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル」及び「特定の単量体」と記載することがある。
本開示において、「(メタ)アクリル」との文言には、「アクリル」及び「メタクリル」の両方の文言が含まれることを意味する。また、同様に、「(メタ)アクリレート」との文言には、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方の文言が含まれることを意味する。
本開示において、樹脂粒子のレーザー回折・散乱法による平均粒子径Dは、レーザー回折・散乱法によって測定される体積基準の粒度分布における累積50%となる粒子径(D50)を意味する。レーザー回折・散乱法では、分散された粒子試料中をレーザー光が通過する際に散乱する光の強度の角度依存性を測定することで、粒子径を測定する。大きな粒子の場合、レーザー光に対して小さい角度で光が散乱し、小さい粒子の場合は大きな角度までほぼ同じ強度で光が散乱する。その後、角度ごとのデータを解析し、フランホーファ回折理論やミー散乱理論等を使用して、回折・散乱パターンを作り出している粒子径を計算する。
本開示において、樹脂粒子の動的光散乱法による平均粒子径Dは、動的光散乱法によって測定される、キュムラント法解析の平均粒子径を意味する。溶液や懸濁液中でブラウン運動をしている粒子にレーザー光を照射すると、粒子からの散乱光には拡散係数に応じた揺らぎが生じる。大きな粒子は動きが遅いので散乱光強度の揺らぎは緩やかであり、一方、小さな粒子は動きが速いので散乱光強度の揺らぎは急激に変化する。動的光散乱法では、この拡散係数を反映した散乱光の揺らぎを検出し、キュムラント法解析等を利用して粒子径を測定する。
本開示におけるコア−シェル型の樹脂粒子には、コア層とシェル層とが相溶してそれらの境界を区別し得ない程度に均質な構造のものや、それらが完全には相溶せずに不均質に形成されるコア・シェル複合構造やミクロドメイン構造のものも含まれる。これらの構造の中でも、樹脂粒子は、コア・シェル複合構造であることが好ましい。コア・シェル複合構造においては、コア層の表面がシェル層によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア層の表面は、シェル層によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、部分的にコア層が露出した形態であってもよい。
本発明者らは、コア層の表面に、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(特定の単量体)を含む単量体成分が重合して形成されたシェル層を含む樹脂粒子の場合、そのD/Dが0.90以下となる傾向にあることを見出した。そして、特定の単量体を含む単量体成分がコア層の表面に重合したシェル層(以下、「特定のシェル層」と記載することがある。)を含むことでD/Dが0.90以下である樹脂粒子を含有するエマルションは、金属表面処理に有効に利用し得るものであることが分かった。すなわち、上記特定のシェル層を含む樹脂粒子を含有するエマルションを用いることによって、金属基材の表面に、良好に密着し、かつ、良好な耐食性及び塗膜密着性を付与する皮膜を形成可能な金属表面処理剤を得ることができる。この効果は、エマルション中の樹脂粒子のシェル層にOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルが使用されたことにより、それに由来するヒドロキシ基及びポリアルキレングリコール鎖が、樹脂粒子の表面側に存在することによるものと考えられる。
一方、上記特定のシェル層を含む樹脂粒子と比べて、上記特定のシェル層を含まないこと以外は同等程度の樹脂粒子(以下、「比較樹脂粒子」と記載することがある。)の場合、その比較樹脂粒子のD/Dは、0.90を超える傾向にある。例えば、上記特定のシェル層を含む樹脂粒子と比べて、シェル層を有しないこと以外はほぼ同等である比較樹脂粒子(そのコア層のみの樹脂粒子に特定の単量体を使用した樹脂粒子を含む);及び特定の単量体を使用せずにシェル層を形成したこと以外はほぼ同等であるコア−シェル型の比較樹脂粒子の場合には、D/Dが0.90を超える傾向にある。このような比較樹脂粒子含有エマルションを用いた場合には、金属表面処理に有効に利用し得るといえるほどの効果は得られない。
OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分がコア層の表面に重合したシェル層を含む樹脂粒子のD/Dが0.90以下である傾向となる理由については、次のように考えられる。レーザー回折・散乱法では、上述の通り、分散された粒子試料をレーザー光が通過する際に散乱する光の強度の角度変化を測定する。このことから、上記特定のシェル層は、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定に用いられるレーザー光が透過する性質を有すると考えられ、その結果、コア層のみの粒子径が測定される傾向にあると考えられる。一方、動的光散乱法では、上述の通り、粒子のブラウン運動の速度に対応した揺らぎを観測するため、上記特定のシェル層を含めた粒子径が測定される傾向にあると考えられる。これらのことから、上記特定のシェル層を含む樹脂粒子のレーザー回折・散乱法による平均粒子径Dと、動的光散乱法による平均粒子径Dとの比D/Dは0.90以下となる傾向にあると考えられる。
上記D/Dは、金属表面処理にさらに有効に利用し得る樹脂エマルションが得られやすい観点から、0.90未満であることが好ましく、0.88以下であることがより好ましく、0.86以下であることがさらに好ましい。また、D/Dの下限は特に制限されないが、0.20以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましく、0.30以上であることがさらに好ましい。
上述の通り、エマルションにおける樹脂粒子のシェル層を形成する単量体成分には、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルが必須として用いられる。シェル層を形成する単量体成分には、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルの1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。したがって、エマルションにおける樹脂粒子のシェル層は、1種又は2種以上のOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む。本明細書において、「構造単位」とは、重合体を構成する単量体単位を意味する。単量体に由来する構造単位としては、例えば、単量体における重合性不飽和結合が開裂して単結合(−C−C−)となった構造単位等を挙げることができる。
OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルとしては、樹脂粒子のD/Dが0.90以下となる関係を満たして、上述した効果がより奏されやすいように、以下の一般式(1)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 0006574973
一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。また、m及びnはそれぞれ独立に2〜4の整数を表し、x+yは2〜20の数を表す。
一般式(1)中、x及びyは、x+yが2〜20の数を表す範囲において、それぞれ独立に0〜20の数をとることができる。例えば、x及びyのいずれか一方が0である場合、いずれか他方は2〜20の数を表す。x+yは、2〜18の数であることがより好ましく、2〜15の数であることがさらに好ましい。
一般式(1)において、x及びyは、それぞれ、それらで括られた括弧内部分のアルキレンオキサイド鎖((CHO、(CHO)の付加モル数を表し、そのアルキレンオキサイド鎖におけるアルキレン基の炭素数はm及びnで表される2〜4の整数である。したがって、一般式(1)中のmとnとが同一の整数である場合、付加モル数xで表されるアルキレンオキサイド鎖と、付加モル数yで表されるアルキレンオキサイド鎖とは、同一の構造となる。そのため、その場合、一般式(1)で表される化合物は、x及びyのいずれか一方を0として表すことができ、例えばyを0とすると、下記一般式(1−1)で表すことができる。
Figure 0006574973
一般式(1−1)中、R及びmはそれぞれ一般式(1)中のR及びmと同義であり、xは2〜20の数を表す。
一般式(1)で表されるOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリルレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上をOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルとして用いることができる。また、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルとしては、市販品を用いることができる。
ポリエチレングリコールモノアクリレート(上記一般式(1)及び(1−1)中のR=H、m=n=2)の市販品としては、例えば、日油社製の商品名で、ブレンマー(登録商標)シリーズのAE−90U(一般式(1)中のx+y(一般式(1−1)中のx)≒2)、AE−200(一般式(1)中のx+y(一般式(1−1)中のx)≒4.5)、及びAE−400(一般式(1)中のx+y(一般式(1−1)中のx)≒10)等を挙げることができる。
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(上記一般式(1)及び(1−1)中のR=CH、m=n=2)の市販品としては、例えば、日油社製の商品名で、ブレンマー(登録商標)シリーズのPE−90(一般式(1)中のx+y(一般式(1−1)中のx)≒2)、PE−200(一般式(1)中のx+y(一般式(1−1)中のx)≒4.5)、及びPE−350(一般式(1)中のx+y(一般式(1−1)中のx)≒8)等、並びに日本乳化剤社製の商品名で、MA−50A、MA−80A、及びMA−100A等を挙げることができる。
ポリプロピレングリコールモノアクリレート(上記一般式(1)及び(1−1)中のR=H、m=n=3)の市販品としては、例えば、日油社製の商品名で、ブレンマー(登録商標)シリーズのAP−200(一般式(1)中のx+y(一般式(1−1)中のx)≒3.5)、AP−400(一般式(1)中のx+y(一般式(1−1)中のx)≒6)、AP−550(一般式(1)中のx+y(一般式(1−1)中のx)≒9)、及びAP−800(一般式(1)中のx+y(一般式(1−1)中のx)≒13)等を挙げることができる。
また、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(上記一般式(1)及び(1−1)中のR=CH、m=n=3)の市販品としては、例えば、日油社製の商品名で、ブレンマー(登録商標)シリーズの、PP−1000(一般式(1)中のx+y(一般式(1−1)中のx)≒4〜6)、PP−500(一般式(1)中のx+y(一般式(1−1)中のx)≒4.5)、及びPP−800(一般式(1)中のx+y(一般式(1−1)中のx)≒8)等を挙げることができる。
さらに、ポリエチレングリコールモノメタクリレート及びポリプロピレングリコールモノメタクリレート以外のポリアルキレングリコールモノメタクリレート(上記一般式(1)及び(1−1)中のR=CH)の市販品としては、例えば、日油社製の商品名で、ブレンマー(登録商標)シリーズの50PEP−300(一般式(1)中のm=2、x≒3.5、n=3、y≒2.5)、70PEP−350B(一般式(1)中のm=2、x≒5、n=3、y≒2)、55PET−800(一般式(1)中のm=2、x≒10、n=4、y≒5)、及び10PPB−500B(一般式(1)中のm=3、x=1、n=4、y≒6)等を挙げることができる。
樹脂粒子のD/Dが0.90以下となる関係を満たして、上述した効果がより奏されやすいように、次のような樹脂粒子も好ましい。すなわち、コア層を形成する単量体成分が重合したコア粒子(コア層)の表面に、樹脂粒子を形成する全単量体中、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを0.1〜20質量%含む単量体成分が重合したシェル層を含む樹脂粒子が好ましい。この樹脂粒子におけるコア層及びシェル層を得る際の重合反応は、エマルションに通常含有される水等の水性媒体中で行われることが好ましいが、それに限定されない。例えば、水性媒体とは別途に製造された樹脂粒子を、強制乳化や自己乳化等の方法によって後乳化させることで、エマルションを得ることもできる。樹脂エマルションが容易に得られる生産性の観点から、水性媒体中でコア層を形成する単量体成分が重合したコア粒子の表面に、上記特定量のOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体成分が重合したシェル層を含む樹脂粒子がより好ましい。
具体的には、水性媒体中でコア層を形成する単量体成分を乳化重合させて得られるコア粒子の表面に、上記特定量のOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分を乳化重合させてシェル層を形成させた樹脂粒子がさらに好ましい。この際のコア粒子(コア層)は、水性媒体、及びコア層を形成する単量体成分等を含有する単量体乳化物(プレエマルション)を用いて乳化重合されたものが好ましい。この重合物(コア粒子)は、例えば、水性媒体に、上記プレエマルションと、重合開始剤とをそれぞれ滴下することで製造することができる。また、シェル層は、例えば、コア粒子を含有する水性媒体に、上記特定量のOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体成分、又はその単量体成分及び水性媒体を含有する単量体乳化物(プレエマルション)を添加して乳化重合させることで形成することができる。
上述の通り、樹脂エマルションは、水性媒体を含有することができる。水性媒体としては、水が好適であり、水のみを使用してもよいし、水と有機溶剤との混合媒体を使用してもよい。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチルカルビトール、及びN−メチルピロリドン等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、有機溶剤の1種又は2種以上を使用してもよい。水性媒体としては、水を主成分として用いることが好ましく、水性媒体の全質量を基準として、水を50〜100質量%用いることがより好ましい。
ここで、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルに代えて、末端にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルをシェル層の形成に用いた場合には、金属表面処理に有効に利用し得る効果が得られない。それに対して、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(特定の単量体)をシェル層の形成に用いた場合には、上述の通り、金属表面処理に有効に利用し得る効果が得られる理由は、次のように考えられる。上記特定の単量体は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の末端にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとは異なり、分子構造内にポリアルキレングリコール鎖を有する。このOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(これを含む単量体成分)を樹脂粒子のコア層を構成する粒子(コア粒子)の表面に乳化重合させる際に、上記ポリアルキレングリコール鎖が親水基として働くと考えられる。その際、その親水基がコア粒子表面に効率よく配向し、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルにおける片末端のヒドロキシ基が粒子表面に出ている状態になったと考えられ、それにより、上述した効果が得られると考えられる。
樹脂エマルションにおいては、エマルション中の樹脂粒子のD/Dが0.90以下となりやすく、かつ、上述した効果が得られやすくなる観点から、シェル層に用いる上記特定の単量体を以下に述べるような量で使用することが好ましい。樹脂粒子を形成する単量体成分中のOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルの含有量(この特定の単量体に由来する構造単位の樹脂粒子中の含有割合)は、コア層及びシェル層を含む樹脂粒子を形成する単量体成分の全質量を基準として、0.1〜20質量%であることが好ましい。この含有量は、0.2〜18質量%であることがより好ましく、0.5〜15質量%であることがさらに好ましい。
また、エマルション中の樹脂粒子は、コア層の表面にOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分が重合したシェル層を含むが、その特定の単量体とともに他の単量体が、シェル層を形成する単量体成分に用いられていてもよい。シェル層を形成する単量体成分に用いられてもよい他の単量体としては、後述するコア層を形成する単量体成分として用いることが可能な単量体を挙げることができ、その1種又は2種以上が用いられてもよい。シェル層を形成する単量体成分中のOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルの含有量(この特定の単量体に由来する構造単位のシェル層中の含有割合)は、シェル層を形成する単量体成分の全質量を基準として、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。この含有量の上限は特に制限されず、100質量%であってもよい。
さらに、コア層を形成する単量体成分と、シェル層を形成する単量体成分との質量比率は、コア層/シェル層で表して、70/30〜99.9/0.1であることが好ましく、80/20〜99.8/0.2であることがより好ましく、85/15〜99.5/0.5であることがさらに好ましい。
次に、エマルションにおける樹脂粒子のコア層の形成に用いることが可能な単量体に関して、金属表面処理に有効に利用し得る樹脂エマルションが得られやすい観点から、好ましい構成等を説明する。なお、前述の通り、樹脂粒子のシェル層を形成する単量体成分には、前述のOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルのほか、以下に述べるコア層の形成に用いることが可能な単量体の1種又は2種以上が用いられてもよい。
コア層を形成する単量体成分には、重合性不飽和結合を有する単量体(以下、「重合性単量体」と記載することがある。)のうちの1種又は2種以上を用いることができる。コア層は、好ましくは2種以上の重合性単量体の共重合体であるが、1種の重合性単量体の単独重合体であってもよい。本明細書においては、単独重合体及び共重合体を区別することなく単に「重合体」と記載することがある。
コア層の形成に好適な重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。コア層を形成する単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましく、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。したがって、コア層は、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、及び(メタ)アクリル酸アリールエステル、並びにそれら以外の他の(メタ)アクリル酸エステル等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上を用いることができる。これらのなかでも、コア層を形成する単量体成分は、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びベヘニル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;並びにシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を用いることができる。これらのなかでも、炭素原子数が1〜18(より好ましくは1〜12)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、及び(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、及びナフチルメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、及びナフチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
他の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリルレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;2−クロロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、及びパーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のハロゲン原子を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、及び3−(ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル;カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及びカルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル;グリシジル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、及び3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体;2−スルホエチル(メタ)アクリレート、及び3−スルホプロピル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基を有する(メタ)アクリレート;2−(ホスホノオキシ)エチル(メタ)アクリレート等のリン酸基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸2−イソシアナトエチル等のイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート;メトキシポリエチエレングリコール(メタ)アクリレート、及びフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキル基又はアリール基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
コア層を形成する単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステルとともに、それと共重合可能な単量体として、(メタ)アクリル酸エステル以外の他の重合性単量体を含むことが好ましく、コア層は、他の重合性単量体に由来する構造単位を含むことが好ましい。
コア層を形成する単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他の重合性単量体として、不飽和カルボン酸系単量体をさらに含むことがより好ましく、コア層は、不飽和カルボン酸系単量体に由来する構造単位をさらに含むことがより好ましい。本開示において、不飽和カルボン酸系単量体には、不飽和カルボン酸、並びにその無水物及びモノエステルが含まれる。
不飽和カルボン酸系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、及びシトラコン酸等の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、及び無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸の無水物;マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、及びイタコン酸モノブチルエステル等の不飽和カルボン酸のモノエステルを挙げることができる。これらの不飽和カルボン酸系単量体のうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
コア層を形成する単量体成分中の不飽和カルボン酸系単量体の含有量(コア層中の不飽和カルボン酸系単量体に由来する構造単位の含有割合)は、コア層を形成する単量体成分の全質量を基準として、1〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることがさらに好ましい。
コア層を形成する単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他の重合性単量体として、窒素原子を有する不飽和単量体及びスチレン系単量体の少なくとも一方をさらに含むことがより好ましく、コア層は、窒素原子を有する不飽和単量体及びスチレン系単量体の少なくとも一方に由来する構造単位をさらに含むことがより好ましい。このような構成により、エマルションにおける樹脂粒子の耐食性及び耐溶剤性を高めやすくすることができる。
窒素原子を有する不飽和単量体としては、例えば、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のシアノ基を有する不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−[2−ジメチルアミノエチル](メタ)アクリルアミド、N−[3−ジメチルアミノプロピル](メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、4−アクリロイルモルホリン、及び4−メタクリロイルモルホリン等のアクリルアミド系単量体;N−ビニルアセトアミド、及びN−ビニル−N−メチルアセトアミド等のビニル基を有するアセトアミド系単量体;N−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニル−2−オキサゾリン、及び2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等のビニル基を有する含窒素複素環式化合物等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらのなかでも、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが好ましい。
コア層を形成する単量体成分に、窒素原子を有する不飽和単量体を用いる場合、コア層を形成する単量体成分中の窒素原子を有する不飽和単量体の含有量(コア層中の窒素原子を有する不飽和単量体に由来する構造単位の含有割合)は、コア層を形成する単量体成分の全質量を基準として、1〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましい。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−,p−メチルスチレン、o−,m−,p−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、o−,m−,p−ヒドロキシスチレン、o−,m−,p−メトキシスチレン、o−,m−,p−エトキシスチレン、o−,m−,p−クロロスチレン、o−,m−,p−ブロモスチレン、o−,m−,p−フルオロスチレン、及びo−,m−,p−クロロメチルスチレン等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらのなかでも、スチレンが好ましい。
コア層を形成する単量体成分に、スチレン系単量体を用いる場合、コア層を形成する単量体成分中のスチレン系単量体の含有量(コア層中のスチレン系単量体に由来する構造単位の含有割合)は、コア層を形成する単量体成分の全質量を基準として、1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、1〜30質量%であることがさらに好ましい。
上述した他の重合性単量体としては、前述の不飽和カルボン酸系単量体、窒素原子を有する不飽和単量体、及びスチレン系単量体以外に、例えば、ビニル系単量体、不飽和アルコール、ビニルエーテル系単量体、ビニルエステル系単量体、エポキシ基を有する不飽和単量体、及びスルホン酸基を有する不飽和単量体等を用いることも可能である。
ビニル系単量体としては、例えば、塩化ビニル及びフッ化ビニル等が挙げられる。不飽和アルコールとしては、例えば、ビニルアルコール及びアリルアルコール等が挙げられる。ビニルエーテル系単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、及びジエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。ビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、及びバーサチック酸ビニル等が挙げられる。エポキシ基を有する不飽和単量体としては、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。スルホン酸基を有する不飽和単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、及び2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
さらに、樹脂粒子を形成する単量体成分には、前述の重合性単量体として、架橋剤としての機能を有し得る単量体(架橋性単量体)を用いることも可能である。架橋性単量体には、重合性不飽和結合を2以上有する単量体を用いることができる。架橋性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレ-ト、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びグリセリンジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン;並びにジアリルフタレート等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、架橋性単量体としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を挙げることもでき、それらの1種又は2種以上を用いることが可能である。
コア層を形成する単量体成分は、上述した(メタ)アクリル酸エステルを主成分として含むことが好ましい。ここで、「主成分」とは、コア層を形成する単量体成分中に占める当該主成分となる単量体の総割合が、コア層を形成する単量体成分中に占める他の単量体の総割合よりも多いことを意味する。コア層を形成する単量体成分中の(メタ)アクリル酸エステルの含有量(コア層中の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位の含有割合)は、コア層を形成する単量体成分の全質量を基準として、50質量%以上であることが好ましい。
コア層を形成する単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステルのなかでも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含むことがより好ましい。コア層を形成する単量体成分中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量(コア層中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位の含有割合)は、コア層を形成する単量体成分の全質量を基準として、60〜99質量%であることが好ましく、70〜98質量%であることがより好ましく、80〜97質量%であることがさらに好ましい。
次に、樹脂エマルションの物性等に関して、金属表面処理に有効に利用し得る観点から、好ましい構成等を説明する。
エマルションにおける樹脂粒子の動的光散乱法による平均粒子径Dは、25〜1000nmであることが好ましく、40〜500nmであることがより好ましく、50〜300nmであることがさらに好ましい。樹脂粒子のレーザー回折・散乱法による平均粒子径Dは、Dに対する比(D/D)が0.90以下である条件において、20〜900nmであることが好ましく、35〜450nmであることがより好ましく、45〜270nmであることがさらに好ましい。前述の通り、平均粒子径Dは、レーザー回折・散乱法を利用した粒度分布測定装置を用いて、D50として測定することができる。また、平均粒子径Dは、動的光散乱法を利用した粒度分布測定装置を用いて、キュムラント法解析により、測定することができる。
エマルションにおける樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、例えば、−20〜120℃であることが好ましく、−20〜100℃であることが好ましく、−10〜80℃であることがさらに好ましい。本明細書において、樹脂粒子のTgは、樹脂粒子が単独重合体である場合には、示差走査熱量測定(DSC)による値である。また、樹脂粒子が共重合体である場合には、そのTgは、上記単独重合体のTgを用いて、以下のFOX式(2)から求められる理論値である。
1/Tg=W/Tg+W/Tg+・・・W/Tg ・・・(2)
上記式(2)中、Tgは、n種の単量体成分(単量体1〜n)の共重合体のガラス転移温度(K)を表す。W、W、・・・Wは、n種の単量体成分の総量に対する各単量体(1、2、・・・n)の質量分率を表し、Tg、Tg、・・・Tgは、各単量体(1、2、・・・n)の単独重合体のガラス転移温度(K)を表す。例えば、後述する実施例及び比較例で使用した単量体を例に挙げると、その単量体の単独重合体のガラス転移温度は次の通りであり、それらの値を後述する実施例で製造したエマルションにおける樹脂粒子のTgの算出に用いた。
メチルメタクリレート(MMA):105℃
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
メタクリル酸(MAA):185℃
スチレン(ST):100℃
アクリロニトリル(AN):105℃
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA):55℃
2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA):−15℃
商品名「ブレンマーPE−90」:−49℃
商品名「ブレンマーPE−200」:−53℃
商品名「ブレンマーPE−350」:−58℃
商品名「MA−50A」:−53℃
商品名「MA−80A」:−57℃
商品名「MA−100A」:−60℃
商品名「ブレンマーAE−200」:−54℃
商品名「ブレンマーAE−400」:−64℃
商品名「ブレンマーPP−500」:−57℃
商品名「ブレンマーPP−1000」:−49℃
商品名「ブレンマーAP−400」:−59℃
樹脂エマルションの不揮発分(固形分)やエマルション中の樹脂粒子の含有量は、樹脂エマルションの全質量を基準として、10〜80質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることがさらに好ましい。固形分が上記範囲内である樹脂エマルションを用いることにより、塗工性や作業性の良好な金属表面処理剤が得られやすくなる。本明細書において、エマルションの不揮発分(固形分)は、JIS K6828−1:2003の規定に準じて測定される値をとることができる。
樹脂エマルションの最低造膜温度(MFT)は、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、60℃以下であることがさらに好ましく、これらの範囲の下限は、例えば0℃以上であってもよい。MFTが上記範囲内である樹脂エマルションを用いることにより、基材密着性や塗膜密着性が良好な皮膜を形成可能な金属表面処理剤が得られやすくなる。この樹脂エマルションは、そのエマルションにおける樹脂粒子と比べて前述の特定のシェル層を含まないこと以外は同等程度の比較樹脂粒子含有エマルションと比較して、MFTが低い値となる傾向があり、造膜性も良好である。本明細書において、樹脂エマルションのMFTは、JIS K6828−2:2003の規定に準じて測定される値をとることができる。
樹脂エマルションの25℃における粘度は、樹脂エマルションを用いた金属表面処理剤の塗工方法に応じて、その金属表面処理剤の粘度を適宜調整できることから、特に限定されない。例えば、樹脂エマルションの25℃における粘度は、5〜10000mPa・sの範囲内とすることができ、好ましくは6〜5000mPa・s、さらに好ましくは6〜2000mPa・sの範囲内とすることができる。本明細書において、樹脂エマルションの25℃における粘度は、JIS K7117−1:1999の規定に準じて、ブルックフィールド形回転粘度計(B形)を用いて測定される値をとることができる。
樹脂エマルションの酸価は、0〜40mgKOH/g程度であることが好ましい。先述したように、エマルションにおける樹脂粒子(好ましくはコア層)を形成する単量体成分に、不飽和カルボン酸系単量体等のカルボキシ基を有する単量体を用いることも好ましいことから、樹脂エマルションの酸価は、1〜30mgKOH/gであることがより好ましい。樹脂エマルションのイオン性に関しては、特に限定されず、カチオン性、アニオン性、及びノニオン性のいずれのイオン性でもよい。
(金属表面処理用樹脂エマルションの製造方法)
上述した金属表面処理用樹脂エマルションは、以下に述べる本発明の一実施形態の金属表面処理用樹脂エマルションの製造方法(以下、単に「樹脂エマルションの製造方法」と記載することがある。)によって製造されることが好ましい。なお、この樹脂エマルションの製造方法において用いられる単量体や水性媒体等は、前述の本発明の一実施形態の樹脂エマルションの説明で挙げたものと同様に説明されるものである。
本発明の一実施形態の樹脂エマルションの製造方法は、コア層及びシェル層を含むコア−シェル型の樹脂粒子を含有する樹脂エマルションの製造方法であって、以下に述べる第1の重合工程と、その第1の重合工程に続けて行う第2の重合工程とを含む。
第1の重合工程は、コア層を形成する単量体成分を乳化重合させる工程である。この第1の重合工程により、まず、コア層を構成する粒子(コア粒子)を得る。コア層を形成する単量体成分には、前述の本発明の一実施形態の樹脂エマルションの説明で挙げた単量体を用いることができる。具体的には、水性媒体(好ましくは水)中で、重合開始剤及び界面活性剤(乳化剤)等の存在下、コア層を形成する単量体成分を乳化重合させて、コア粒子を得ることが好ましい。
第1の重合工程における乳化重合の方法としては、水性媒体、コア粒子(コア層)を形成する単量体成分、重合開始剤、及び界面活性剤等を一括混合して乳化重合を行う方法;水性媒体、上記単量体成分、及び界面活性剤を含有する単量体乳化物(プレエマルション)を用いて乳化重合を行う方法等を採ることができる。これらのなかでも、プレエマルションを用いて乳化重合を行う方法が好ましい。より具体的には、水性媒体、上記単量体成分、及び界面活性剤を予め混合して調製したプレエマルションと、重合開始剤とをそれぞれ、別途用意された水性媒体に滴下し、その水性媒体中で単量体成分を乳化重合させて、コア粒子を得ることがより好ましい。
第2の重合工程では、上述の第1の重合工程に続けて、片末端にヒドロキシ基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分を、第1の重合工程における反応系に添加して乳化重合させる。この第2の重合工程により、第1の重合工程で得られたコア粒子の表面に、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(特定の単量体)を含む単量体成分が重合したシェル層を形成することができる。そのシェル層及びコア層を含むことにより、レーザー回折・散乱法による平均粒子径Dと、動的光散乱法による平均粒子径Dとの比D/Dが0.90以下である樹脂粒子を含有するエマルションを製造することができる。
樹脂粒子のD/Dが0.90以下となる関係を満たしやすい観点から、シェル層の形成には、樹脂粒子を形成する全単量体中、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを0.1〜20質量%使用することが好ましい。この特定の単量体の使用量は、0.2〜18質量%であることがより好ましく、0.5〜15質量%であることがさらに好ましい。
第2の重合工程における乳化重合の方法としては、第1の重合工程の反応系における、コア粒子を含有する水性媒体(コア粒子エマルション)に、シェル層を形成する、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分を添加して、乳化重合を行う方法が好ましい。具体的には、第1の重合工程で乳化重合している反応系における上記コア粒子エマルションに、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分を滴下して乳化重合させ、コア粒子の表面にシェル層を形成することがより好ましい。上記コア粒子エマルションに、シェル層を形成する単量体成分を添加する際には、その単量体成分、水性媒体、及び界面活性剤を予め混合して調製した単量体乳化物(プレエマルション)を添加してもよく、また、重合開始剤をさらに添加してもよい。
より具体的には、第1の重合工程における乳化重合が完全に完結する前に、第1の重合工程で乳化重合している反応系における上記コア粒子エマルションに、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分を滴下して乳化重合させることがさらに好ましい。第1の重合工程における乳化重合が完全に完結する前としては、例えば、第1の重合工程を前述のプレエマルションを用いて行う場合、水性媒体に、コア層を形成する単量体成分等を含有するプレエマルションと、重合開始剤をそれぞれ滴下し終えた後、0〜60分(より好ましくは0〜30分)の間隔を置いてから、シェル層を形成する単量体成分の滴下を行うのが良い。
第1の重合工程及び第2の重合工程における乳化重合を行う際の重合温度及び重合時間等の重合条件や、使用する重合開始剤及び界面活性剤等の種類及び使用量等は、従来公知の乳化重合と同様の範囲内で適宜決めることができる。第1の重合工程における重合温度と、第2の重合工程における重合温度とは、第1の重合工程に続けて第2の重合工程を行うことから、同じ温度としてもよく、別々の温度としてもよい。
例えば、重合温度及び重合時間等の重合条件は、使用する単量体、及び重合開始剤等の種類並びにそれらの使用量等に応じて、適宜決めることができる。例えば、重合温度は、20〜100℃程度の範囲が好ましく、より好ましくは40〜90℃程度の範囲であり、また、重合時間は、1〜15時間程度の範囲が好ましい。さらに、上述の単量体成分やプレエマルション、重合開始剤等の添加(滴下)方法も特に限定されず、例えば、一括添加法、連続添加法、及び多段添加法等の方法を採ることができ、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩、有機過酸化物、及び過酸化水素等の過酸化物、並びにアゾ化合物等を挙げることができ、1種又は2種以上の重合開始剤を用いることができる。また、過酸化物と併用したレドックス重合開始剤や、重合促進剤として、1種又は2種以上の還元剤を用いることもできる。
過硫酸塩の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウム等を挙げることができる。有機過酸化物の具体例としては、過酸化ベンゾイル及びジラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルクミルパーオキサイド及びジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシラウレート及びt−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類、クメンハイドロパーオキサイド及びt−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類等を挙げることができる。アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、及び4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等を挙げることができる。還元剤の具体例としては、アスコルビン酸及びその塩、酒石酸及びその塩、亜硫酸及びその塩、重亜硫酸及びその塩、チオ硫酸及びその塩、並びに鉄(II)塩等を挙げることができる。
乳化重合を行う際には、樹脂粒子の分子量を調整する目的で、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、ヘキシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、オクチルメルカプタン、及びt−,又はn−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類等を用いることができる。
前述の通り、乳化重合を行う際には、界面活性剤(乳化剤)を使用することができる。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等を挙げることができ、1種又は2種以上の界面活性剤を用いることができる。また、反応性界面活性剤を用いることもできる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム;並びにポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム等の反応性アニオン性界面活性剤等を挙げることができる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、及びポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン誘導体;並びにエーテルサルフェート型ノニオン性界面活性剤及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテル等の反応性ノニオン性界面活性剤等を挙げることができる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド;セチルトリメチルアンモニウムクロライド;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等のアルキル4級アンモニウム塩界面活性剤等を挙げることができる。
樹脂エマルションを製造する際には、単量体成分を重合させて樹脂粒子を得た後、中和剤により、中和することが好ましい。樹脂粒子がカルボキシ基を有する場合、そのカルボキシ基を塩基性の中和剤で中和することが好ましい。中和により、樹脂エマルションが安定化されることになる。中和剤としては、特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム及び炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、及びジエチレントリアミン等の有機アミン類等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。また、これらの中和剤の水溶液を用いることが好ましい。
なお、樹脂エマルションは、前述の樹脂粒子を1種又は2種以上含有してもよく、また、必要に応じて、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、顔料及び染料等の着色剤、金属化合物、溶剤、可塑剤、分散剤、界面活性剤、発泡剤、滑剤、ゲル化剤、造膜助剤、凍結防止剤、架橋剤、pH調整剤、粘度調整剤、防腐剤、防黴剤、殺菌剤、防錆剤、難燃剤、湿潤剤、消泡剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤等を挙げることができる。
以上の通り、本発明の一実施形態の金属表面処理用樹脂エマルションは、コア層の表面にOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分が重合したシェル層を含み、上記D/Dが0.90以下である樹脂粒子を含有する。そのため、この金属表面処理用樹脂エマルションを用いることによって、金属基材の表面に、良好に密着し、かつ、良好な耐食性及び塗膜密着性を付与する皮膜を形成可能な金属表面処理剤を得ることができる。よって、この樹脂エマルションを用いることによって、6価クロムを使用するクロメート処理の代替として、クロムフリーで環境負荷の小さい金属表面処理剤が得られる。
<金属表面処理剤及び表面処理金属材>
上述の通り、本発明の一実施形態の金属表面処理剤(以下、単に「金属表面処理剤」と記載することがある。)は、前述の本発明の一実施形態の金属表面処理用樹脂エマルションを含有する。そのため、この金属表面処理剤によれば、金属基材の表面に、良好に密着し、かつ、良好な耐食性及び塗膜密着性を付与する皮膜を形成することができ、その金属表面処理剤で形成された皮膜を金属基材の表面に備える表面処理金属材を得ることができる。よって、6価クロムを使用するクロメート処理に代替するような、クロムフリーで環境負荷が小さく、経済性にも優れた金属表面処理剤として期待できる。
金属表面処理剤によって処理される対象となる金属基材としては、特に限定されず、例えば、各種鉄鋼材、及びアルミニウム系金属等を挙げることができる。金属基材のなかでも、上述した効果がより奏されやすいことから、亜鉛系めっき鋼材、及びアルミニウム系金属材が好適であり、亜鉛系めっき鋼材がより好適である。したがって、金属表面処理剤は、亜鉛系めっき鋼材又はアルミニウム系金属材に用いられることが好ましく、亜鉛系めっき鋼材に用いられることがより好ましい。
また、亜鉛系めっき鋼材、及びアルミニウム系金属材は、板材(それぞれ亜鉛系めっき鋼板、及びアルミニウム系金属板)であることが好ましい。亜鉛系めっき鋼材におけるめっき方法としては、溶融めっき及び電気めっきが挙げられる。亜鉛系めっき鋼材としては、例えば、電気亜鉛めっき鋼材、電気亜鉛−ニッケル合金めっき鋼材、溶融亜鉛めっき鋼材、溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼材、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼材、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム−シリコン合金めっき鋼材、及び合金化溶融めっき鋼材等を挙げることができる。また、アルミニウム系金属材としては、純アルミニウム材(工業用純アルミニウム)や、Alを主成分(例えば80質量%以上)として含有するアルミニウム基合金材等を挙げることができる。
金属表面処理剤は、耐食性が良好な皮膜を形成可能であることから、その皮膜上にさらに上塗り剤(塗料)による塗膜が設けられることを要しないが、塗膜密着性が良好な皮膜をも形成可能であることから、上塗り剤による塗膜が設けられる金属基材に適用されることがより好ましい。したがって、金属表面処理剤は、金属基材上に上塗り剤による塗膜を形成する前に使用されることがより好ましく、金属基材上に上塗り剤を塗工する前に使用される下塗り剤として、より好適に使用され得る。
金属表面処理剤による皮膜上に設けられ得る上塗り剤としては、特に限定されず、例えば、樹脂を予め溶解した溶剤系塗料、及び樹脂を分散させた水系塗料等を挙げることができる。これら塗料における樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、及びメラミン樹脂等を挙げることができる。これらのなかでも、アルキド樹脂及びメラミン樹脂が好ましく、上塗り剤としては、アルキド樹脂及びメラミン樹脂を含むアルキド・メラミン樹脂塗料がさらに好ましい。金属表面処理剤に含有されている前述の樹脂エマルションは、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分が重合したシェル層を含む樹脂粒子を含有するため、その特定のシェル層におけるヒドロキシ基が上記上塗り剤中のメラミン樹脂と反応することで、塗膜密着性がさらに良好になると考えられる。
金属表面処理剤は、前述の本発明の一実施形態の樹脂エマルションのほかに、その樹脂エマルションとは別に前述のシランカップリング剤及び各種添加剤等を含有してもよく、また、水に分散した形態の金属ゾル、他のカップリング剤、ワックス、及び潤滑剤等を含有してもよい。金属ゾルとしては、例えば、シリカゾル(コロイダルシリカ)、アルミナゾル、及びジルコニアゾル等が挙げられる。潤滑剤としては、例えば、例えばポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス等が挙げられる。
本発明の一実施形態の表面処理金属材は、上述の金属表面処理剤で表面処理された金属材である。すなわち、この表面処理金属材は、上述の金属基材と、その金属基材の表面に設けられた皮膜とを備えており、その皮膜が上述の金属表面処理剤で形成されたものである。この表面処理金属材は、金属基材の表面に金属表面処理剤を塗工し、乾燥させて、皮膜を形成することで得られる。金属基材の表面に金属表面処理剤を塗工する前には、前処理工程として、水、酸、及びアルカリ等を用いて、金属基材の表面を洗浄及び脱脂処理し、金属基材の表面に付着した油分及び汚れ等を除去することが好ましい。
金属基材の表面への金属表面処理剤の塗工方法としては、特に限定されず、例えば、ロールコート法、バーコート法、スクリーンコート法、ダイコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ブレードコート法、スプレーコート法、及びディップコート法等を挙げることができる。塗工された金属表面処理剤を乾燥させる際の温度としては、200〜280℃であることが好ましく、220〜260℃であることがより好ましい。表面処理金属材が備える、金属表面処理剤による皮膜の厚さとしては、1〜5μm程度が好ましい。
表面処理金属材は、金属表面処理剤で形成された皮膜により耐食性が良好であることから、その皮膜に上塗り剤(塗料)による塗膜が設けられていなくてもよいが、その皮膜により塗膜密着性も良好であることから、皮膜上に上塗り剤による塗膜が設けられていることが好ましい。表面処理金属材における皮膜上にさらに上塗り剤による塗膜が設けられていることにより、表面処理金属材の耐食性をより高めることが可能である。
以上の通り、本発明の一実施形態の表面処理金属材は、金属基材の表面に良好に密着した、塗膜密着性が良好な皮膜を備えるため、耐食性が良好であり、また、その皮膜上に上塗り剤により塗膜を設けることで耐食性がより良好となり得る。そのため、この表面処理金属材は、例えば、建材、家電製品の部品、並びに自動車の車体及び部品等の様々な分野に広く利用され得る。
以上詳述したように、本発明の一実施形態の金属表面処理用樹脂エマルション、金属表面処理剤、表面処理金属材、金属表面処理用樹脂エマルションの製造方法は、以下のような構成をとることが可能である。
[1]樹脂粒子のコア層の表面に、片末端にヒドロキシ基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分が重合したシェル層を含むコア−シェル型の樹脂粒子を含有し、前記樹脂粒子のレーザー回折・散乱法による平均粒子径Dと、動的光散乱法による平均粒子径Dとの比D/Dが、0.90以下である、金属表面処理用樹脂エマルション。
[2]前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルは、上記一般式(1)で表される化合物を含む前記[1]に記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
[3]前記樹脂粒子を形成する単量体成分中の前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、前記樹脂粒子を形成する単量体成分の全質量を基準として、0.1〜20質量%である前記[1]又は[2]に記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
[4]前記シェル層を形成する単量体成分中の前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、前記シェル層を形成する単量体成分の全質量を基準として、20質量%以上である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
[5]前記コア層を形成する単量体成分と、前記シェル層を形成する単量体成分との質量比率が、前記コア層/前記シェル層で表して、70/30〜99.9/0.1である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
[6]前記コア層を形成する単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステルを含む前記[1]〜[5]のいずれかに記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
[7]前記コア層を形成する単量体成分は、前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体として、不飽和カルボン酸系単量体をさらに含む前記[6]に記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
[8]前記コア層を形成する単量体成分は、前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体として、窒素原子を有する不飽和単量体及びスチレン系単量体の少なくとも一方をさらに含む前記[6]又は[7]に記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
[9]前記[1]〜[8]のいずれかに記載の金属表面処理用樹脂エマルションを含有する金属表面処理剤。
[10]亜鉛系めっき鋼材又はアルミニウム系金属材に用いられる前記[9]に記載の金属表面処理剤。
[11]金属基材上に上塗り剤による塗膜を形成する前に使用される前記[9]又は[10]に記載の金属表面処理剤。
[12]金属基材と、前記金属基材の表面に設けられた、前記[9]〜[11]のいずれかに記載の金属表面処理剤で形成された皮膜とを備える表面処理金属材。
[13]コア層及びシェル層を含むコア−シェル型の樹脂粒子を含有する樹脂エマルションの製造方法であって、前記コア層を形成する単量体成分を乳化重合させて前記コア層を構成するコア粒子を得る第1の重合工程と、前記第1の重合工程に続けて、片末端にヒドロキシ基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分を、前記第1の重合工程における反応系に添加して乳化重合させ、前記シェル層を前記コア粒子の表面に形成し、レーザー回折・散乱法による平均粒子径Dと、動的光散乱法による平均粒子径Dとの比D/Dが0.90以下である前記樹脂粒子を含有する樹脂エマルションを製造する第2の重合工程と、を含む、金属表面処理用樹脂エマルションの製造方法。
以下、実施例及び比較例を挙げて、前述の一実施形態のさらなる具体例を説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。なお、以下の文中、「部」及び「%」の記載は、特に断りのない限り質量基準(それぞれ「質量部」及び「質量%」との記載)である。
<樹脂エマルションの製造>
以下の実施例では、上記一般式(1)(一般式(1−1))で表される化合物として、下記表1に示すOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)〜(k)を使用した。そして、その特定の単量体を含む単量体成分がコア層の表面に重合したシェル層を含む樹脂粒子を含有するエマルションを製造した。
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(実施例1)
(プレエマルションの準備)
コア層を形成する単量体成分として、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)127.5部、メチルメタクリレート(MMA)372.5部、及びメタクリル酸(MAA)22.5部からなる単量体混合物を用いた。この単量体混合物に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム型アニオン性界面活性剤(商品名「アクアロンKH−1025」、第一工業製薬社製)15部と、エーテルサルフェート型ノニオン性界面活性剤(商品名「アデカリアソープER−10」、ADEKA社製)5部と、イオン交換水250部とを加えて混合し、乳化した単量体乳化物(コア層形成用プレエマルション)を準備した。
(第1の重合工程)
温度計、撹拌機、滴下装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応装置の反応槽に、イオン交換水500部を入れ、窒素を封入して内温を80℃まで昇温させた。そして、その温度に保ちながら、先に準備したコア層形成用プレエマルションと、重合開始剤としての5%濃度の過硫酸カリウム水溶液20部とを並行して反応槽内に連続的に2時間かけて滴下し、乳化重合を行った。
(第2の重合工程)
上記第1の重合工程に続けて、その第1の重合工程におけるコア層形成用プレエマルション及び重合開始剤の滴下が終了した後、15分間の間隔を置いてから、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)10.0部を15分かけて上記反応槽内に滴下した。その後、反応槽内を80℃で2時間熟成して、乳化重合を終了させ、室温(23℃)まで冷却し、反応槽内に25%アンモニア水8.0部を添加して、反応槽内の液を中和した。反応槽内の液のpH及び固形分を調整した後、120メッシュのろ布を用いてろ過した。このようにして、2EHA、MMA、及びMAAを含む単量体成分が重合したコア層と、コア層の表面にOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)が重合したシェル層とを含む樹脂粒子を含有する、実施例1の樹脂エマルションを得た。
(実施例2〜11)
実施例2〜11では、実施例1で使用したOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)を、それぞれOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(b)〜(k)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜11の樹脂エマルションを製造した。このようにして、2EHA、MMA、及びMAAを含む単量体成分が重合したコア層と、コア層の表面にOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(b)〜(k)のいずれかが重合したシェル層とを含む樹脂粒子を含有するエマルション(実施例2〜11の樹脂エマルション)を得た。
(実施例12〜15)
実施例12〜15では、実施例1の樹脂エマルションの製造において、第2の重合工程で使用したOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)の使用量を、後記表2(表2−2)に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例12〜15の樹脂エマルションを製造した。このようにして、実施例1の樹脂エマルションにおける樹脂粒子と比較して、コア層を形成する単量体成分とシェル層を形成する単量体成分との質量比率が異なる樹脂粒子を含有するエマルション(実施例12〜15の樹脂エマルション)を得た。
(実施例16及び17)
実施例16及び17では、実施例1の樹脂エマルションの製造において、第1の重合工程で使用したコア層形成用プレエマルションにおける単量体混合物の組成を、後記表2(表2−2)に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例16及び17の樹脂エマルションを製造した。具体的には、実施例16では、コア層を形成する単量体成分として、2EHA127.5部、MMA297.5部、スチレン(ST)75.0部、及びMAA22.5部からなる単量体混合物を用いた。このようにして、2EHA、MMA、ST、及びMAAを含む単量体成分が重合したコア層と、コア層の表面にOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)が重合したシェル層とを含む樹脂粒子を含有する、実施例16の樹脂エマルションを得た。また、実施例17では、コア層を形成する単量体成分として、2EHA127.5部、MMA297.5部、アクリロニトリル(AN)75.0部、及びMAA22.5部からなる単量体混合物を用いた。このようにして、2EHA、MMA、AN、及びMAAを含む単量体成分が重合したコア層と、コア層の表面にOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)が重合したシェル層とを含む樹脂粒子を含有する、実施例17の樹脂エマルションを得た。
(実施例18)
実施例18では、実施例1の樹脂エマルションの製造において、第1の重合工程で使用したコア層形成用プレエマルションにおける単量体混合物の組成と、第2の重合工程で使用した単量体成分を、後記表2(表2−2)に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例18の樹脂エマルションを製造した。具体的には、第1の重合工程では、コア層を形成する単量体成分として、2EHA120.0部、MMA348.0部、及びMAA22.5部からなる単量体混合物を用いた。また、第2の重合工程では、シェル層を形成する単量体成分として、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)10.0部、2EHA7.5部、及びMMA24.5部からなる単量体混合物を用いた。このようにして、2EHA、MMA、及びMAAを含む単量体成分が重合したコア層と、コア層の表面に、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)、2EHA、及びMMAを含む単量体成分が重合したシェル層とを含む樹脂粒子を含有する、実施例18の樹脂エマルションを得た。
(実施例19及び20)
実施例1の樹脂エマルションの製造において、第1の重合工程で使用したコア層形成用プレエマルションにおける単量体混合物の組成を、後記表2(表2−3)に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例19及び20の樹脂エマルションを製造した。具体的には、実施例19では、コア層を形成する単量体成分として、2EHA85.0部、MMA415.0部、及びMAA22.5部からなる単量体混合物を用いた。また、実施例20では、コア層を形成する単量体成分として、2EHA240.0部、MMA260.0部、及びMAA22.5部からなる単量体混合物を用いた。このようにして、2EHA、MMA、及びMAAを含む単量体成分が重合したコア層と、コア層の表面にOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)が重合したシェル層とを含む樹脂粒子を含有する、実施例19及び20の樹脂エマルションを得た。
(実施例21)
実施例1の樹脂エマルションの製造において、第1の重合工程で使用したコア層形成用プレエマルションにおける単量体混合物の組成を、後記表2(表2−3)に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例21の樹脂エマルションを製造した。具体的には、コア層を形成する単量体成分として、2EHA127.5部、MMA297.5部、ST37.5部、AN37.5部、及びMAA22.5部からなる単量体混合物を用いた。このようにして、2EHA、MMA、ST、AN、及びMAAを含む単量体成分が重合したコア層と、コア層の表面にOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)が重合したシェル層とを含む樹脂粒子を含有する、実施例21の樹脂エマルションを得た。
(実施例22)
実施例1の樹脂エマルションの製造において、第1の重合工程で使用したコア層形成用プレエマルションにおける単量体混合物の組成と、第2の重合工程で使用した単量体成分を、後記表2(表2−3)に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例22の樹脂エマルションを製造した。具体的には、第1の重合工程では、コア層を形成する単量体成分として、2EHA120.0部、MMA273.0部、ST37.5部、AN37.5部、及びMAA22.5部からなる単量体混合物を用いた。また、第2の重合工程では、シェル層を形成する単量体成分として、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)10.0部、2EHA7.5部、及びMMA24.5部からなる単量体混合物を用いた。このようにして、2EHA、MMA、ST、AN、及びMAAを含む単量体成分が重合したコア層と、コア層の表面に、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)、2EHA、及びMMAを含む単量体成分が重合したシェル層とを含む樹脂粒子を含有する、実施例22の樹脂エマルションを得た。
(比較例1)
比較例1では、実施例1の樹脂エマルションの製造における第2の重合工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の樹脂エマルションを製造した。このようにして、2EHA、MMA、及びMAAを含む単量体成分が重合した樹脂粒子を含有する、比較例1の樹脂エマルションを得た。
(比較例2)
比較例2では、実施例1で使用したOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)を、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の樹脂エマルションを製造した。このようにして、2EHA、MMA、及びMAAを含む単量体成分が重合したコア層と、コア層の表面に2HEMAが重合したシェル層とを含む樹脂粒子を含有するエマルション(比較例2の樹脂エマルション)を得た。
(比較例3)
比較例3では、実施例1で使用したOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)を、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の樹脂エマルションを製造した。このようにして、2EHA、MMA、及びMAAを含む単量体成分が重合したコア層と、コア層の表面に2HEAが重合したシェル層とを含む樹脂粒子を含有するエマルション(比較例3の樹脂エマルション)を得た。
(比較例4)
比較例4では、実施例1の樹脂エマルションの製造における第2の重合工程を行わなかったこと、及びその代わりに第1の重合工程で使用したコア層形成用プレエマルションにおける単量体混合物の組成に、さらにOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)10.0部を加えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の樹脂エマルションを製造した。このようにして、2EHA、MMA、MAA、及びOH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル(a)を含む単量体成分が重合した樹脂粒子を含有する、比較例4の樹脂エマルションを得た。
<樹脂エマルションの物性の測定>
各実施例及び比較例で得られた樹脂エマルションについて、以下の物性を測定した。その結果を後記表2(表2−1〜2−3)に示す。
(樹脂エマルションの固形分)
JIS K6828−1:2003の規定に準じて、各樹脂エマルションの固形分(%)を測定した。
(樹脂エマルションの粘度)
JIS K7117−1:1999の規定に準じて、各樹脂エマルションの25℃における粘度(mPa・s)を測定した。
(樹脂エマルションの最低造膜温度)
造膜試験機(井元製作所社製)を用いて、JIS K6828−2:2003の規定に準じて、各樹脂エマルションの最低造膜温度(℃)を測定した。
(平均粒子径D及びD、並びにそれらの比D/D
各樹脂エマルション中の樹脂粒子について、レーザー回折・散乱法を利用した粒度分布測定装置(商品名「レーザー回折式ナノ粒子径分布測定装置 SALD−7100」、島津製作所社製)を用いて、屈折率が1.45−1.00iのときの体積基準の粒度分布における累積50%となる粒子径(D50;nm)を測定した。
また、各樹脂エマルション中の樹脂粒子について、動的光散乱法を利用した粒度分布測定装置(商品名「濃厚系粒径アナライザー FPAR−1000」、大塚電子社製)にて濃厚系プローブを用いて、キュムラント法解析により平均粒子径(nm)を測定した。
そして、平均粒子径D及びDの値を用いて、それらの比(D/D)を算出した。
(接触角)
各実施例及び比較例で得られた樹脂エマルションを用いて接触角測定用試料を作製し、各樹脂エマルションの濡れ性の指標として、接触角を測定した。具体的には、樹脂エマルション100部に、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート7部を撹拌しながら添加し、1日養生してサンプル液を得た。得られたサンプル液を、ポリメタクリル酸メチル樹脂板(PMMA板)に50μm厚/wetで塗布し、100℃で10分間乾燥させた後、温度23℃及び相対湿度65%RHの環境下で1日間置いた。このようにして、PMMA板上にサンプル液の皮膜が形成された接触角測定用試料を作製した。そして、接触角計(商品名「全自動接触角計 DMo−701」)を用いて、接触角測定用試料における皮膜に対して、水滴を滴下して30秒経過したときの接触角(°)を測定した。
<評価>
各実施例及び比較例で得られた樹脂エマルションを用いて金属表面処理剤(評価用処理剤)を調製し、その評価用処理剤を金属基材に塗工して皮膜を形成することで得られた表面処理金属板(評価用金属板)を用いて、耐食性、基材密着性、及び塗膜密着性を評価した。その結果を後記表2(表2−1〜2−3)に示す。これらの評価に用いた評価用処理剤及び評価用金属板の作製方法、並びに各評価方法について、以下に説明する。
(金属表面処理剤の調製)
各実施例及び比較例で得られた樹脂エマルションについて、評価用の金属表面処理剤(評価用処理剤)を調製した。具体的には、樹脂エマルション75部に、コロイダルシリカ(商品名「アデライトAT−20N」、ADEKA社製)20部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート5.25部、及びポリオレフィンワックス(商品名「ハイワックス100P」、三井化学社製)5部を撹拌しながら添加した。それらの混合物にイオン交換水を加えて固形分を調整し、固形分10%の評価用処理剤を調製した。
(表面処理金属板の作製)
金属基材(試験板)として、溶融亜鉛めっき鋼板(GI;サイズ200mm×300mm×厚さ0.8mm、目付量(g/m)=60/60)とアルミニウム板(Al;サイズ150mm×70mm×厚さ1.0mmを用いた。これらの試験板の前処理として、2%アルカリ脱脂剤水溶液(商品名「サーフクリーナー 53NF」、日本ペイント・サーフケミカルズ社製)中に試験板を60℃で2分間浸漬した後、水洗及び乾燥して、脱脂処理を行った。脱脂処理した試験板の表面に、バーコーターを用いて、上記評価用処理剤を塗工し、240℃で10秒間乾燥した。このようにして、金属基材(GI又はAl)の表面に、各樹脂エマルションを用いた金属表面処理剤(評価用処理剤)による皮膜(厚さ2〜3μm)が形成された表面処理金属板(評価用金属板)を得た。
(基材密着性)
上記評価用金属板における上記皮膜について、碁盤目テープ試験(旧JIS K5400−8.5)を行った。具体的には、評価用金属板に、皮膜を貫通して金属基材の表面に達する切り傷を、1mm間隔で縦及び横に各11本入れて計100マス(1マスは1mm角)の碁盤目状に付け、その碁盤目部分にセロハンテープを圧着した。その後、セロハンテープの端を45°の角度で一気に引き剥がし、100個のマスのうちの金属基材の表面に残ったマスの数により、以下の評価基準にしたがって、基材密着性を評価した。
A:金属基材に残ったマスの数が100個であった。
B:金属基材に残ったマスの数が90個以上100個未満であった。
C:金属基材に残ったマスの数が70個以上90個未満であった。
D:金属基材に残ったマスの数が70個未満であった。
(耐食性)
上記評価用金属板を用いて、JIS Z2371:2015に規定の塩水噴霧試験を360時間行い、評価用金属板における上記皮膜が設けられた側の表面の白錆発生状況を観察し、以下の評価基準にしたがって、耐食性を評価した。
A:白錆発生が評価用金属板の表面の全面積に対して3%未満であった。
B:白錆発生が評価用金属板の表面の全面積に対して3%以上10%未満であった。
C:白錆発生が評価用金属板の表面の全面積に対して10%以上30%未満であった。
D:白錆発生が評価用金属板の表面の全面積に対して30%以上であった。
(塗膜密着性)
上記評価用金属板における皮膜に、上塗り剤としてアルキド・メラミン樹脂塗料(低温短時間で焼付け可能であり、鉛及びクロム等の重金属を非含有のもの)を刷毛で塗布し、125℃で20分間焼き付け、乾燥膜厚が25μmの塗膜を形成した。塗膜を形成してから24時間経過後に、塗膜が設けられた評価用金属板を沸騰水に2時間浸漬した。その後、24時間養生してから、塗膜の剥離の様子を目視にて観察することにより、以下の評価基準にしたがって、塗膜密着性を評価した。
A:皮膜表面の全面積に対する塗膜の剥離面積が0%であった。
B:皮膜表面の全面積に対する塗膜の剥離面積が0%を超えて1%未満であった。
C:皮膜表面の全面積に対する塗膜の剥離面積が1%以上10%未満であった。
D:皮膜表面の全面積に対する塗膜の剥離面積が10%以上であった。
(耐溶剤性)
上記評価用金属板をラビングテスター(型式「IMC−15CE」、井元製作所社製)に設置後、エタノールを含浸させた脱脂錦(25mm×25mm)を、評価用金属板の皮膜に対して500gの荷重で50回(往復:摺動距離60mm)摺った。皮膜における摺った痕跡を目視にて観察し、以下の評価基準にしたがって、耐溶剤性を評価した。
A:皮膜の真上及び斜めから見ても、痕跡が見えなかった。
B:皮膜の真上から見ると痕跡が見えなかったが、斜めから見ると痕跡が見えた。
C:皮膜の真上及び斜めのいずれから見ても、明らかに痕跡が見えた。
D:皮膜が剥離していた。
Figure 0006574973
Figure 0006574973
Figure 0006574973
以上の通り、各実施例では、コア層の表面に、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分が重合したシェル層(特定のシェル層)を含む樹脂粒子を含有するエマルションを得た。それらの実施例で得られた樹脂エマルションはいずれも、レーザー回折・散乱法による平均粒子径Dと動的光散乱法による平均粒子径Dとの比D/Dが0.90以下である樹脂粒子を含有するものであることが確認された。そして、この実施例で得られた樹脂エマルションを用いることによって、金属基材の表面に、良好に密着し、かつ、良好な耐食性及び塗膜密着性を付与する皮膜を形成する金属表面処理剤が得られることが認められた。また、その金属表面処理剤を用いることによって、良好な耐食性及び塗膜密着性が付与された表面処理金属材が得られることが認められた。
一方、各比較例では、実施例で得られたエマルションにおける樹脂粒子と比べて、前述の特定のシェル層を含まないこと以外は同等程度の比較樹脂粒子を含有するエマルションを製造した。それらの比較例で得られた樹脂エマルションはいずれも、上記D/Dが0.90超である樹脂粒子を含有するものであることが確認された。そして、この比較例で得られた樹脂エマルションを用いた金属表面処理剤は、金属基材への密着性が不十分であり、かつ、金属基材に対して、十分な耐食性及び塗膜密着性を付与し得るものではなかったことが確認された。
以上の結果から、コア層の表面に、OH末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分が重合したシェル層を含むとともに上記D/Dが0.90以下である樹脂粒子を含有するエマルションは、金属表面処理に有効に利用し得るものであることが認められた。
また、実施例で得られた樹脂エマルションは、比較例で得られた樹脂エマルションに比べて、最低造膜温度(MFT)が低い値となる傾向が認められ、造膜性にも優れていた。

Claims (14)

  1. 樹脂粒子のコア層の表面に、片末端にヒドロキシ基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分が重合したシェル層を含むコア−シェル型の樹脂粒子を含有し、
    前記樹脂粒子のレーザー回折・散乱法による平均粒子径Dと、動的光散乱法による平均粒子径Dとの比D/Dが、0.90以下である、金属表面処理用樹脂エマルション。
  2. 前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルは、下記一般式(1)で表される化合物を含む請求項1に記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
    Figure 0006574973
    (前記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、m及びnはそれぞれ独立に2〜4の整数を表し、x+yは2〜20の数を表す。)
  3. 前記樹脂粒子を形成する単量体成分中の前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、前記樹脂粒子を形成する単量体成分の全質量を基準として、0.1〜20質量%である請求項1又は2に記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
  4. 前記シェル層を形成する単量体成分中の前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、前記シェル層を形成する単量体成分の全質量を基準として、20質量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
  5. 前記コア層を形成する単量体成分と、前記シェル層を形成する単量体成分との質量比率が、前記コア層/前記シェル層で表して、70/30〜99.9/0.1である請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
  6. 前記コア層を形成する単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステルを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
  7. 前記コア層を形成する単量体成分は、前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体として、不飽和カルボン酸系単量体をさらに含む請求項6に記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
  8. 前記コア層を形成する単量体成分は、前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体として、窒素原子を有する不飽和単量体及びスチレン系単量体の少なくとも一方をさらに含む請求項6又は7に記載の金属表面処理用樹脂エマルション。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属表面処理用樹脂エマルションを含有する金属表面処理剤。
  10. 亜鉛系めっき鋼材又はアルミニウム系金属材に用いられる請求項9に記載の金属表面処理剤。
  11. 金属基材上に上塗り剤による塗膜を形成する前に使用される請求項9又は10に記載の金属表面処理剤。
  12. 金属基材と、前記金属基材の表面に設けられた、請求項9〜11のいずれか1項に記載の金属表面処理剤からなる皮膜とを備える表面処理金属材。
  13. 金属基材の表面に、請求項9〜11のいずれか1項に記載の金属表面処理剤を塗工し、乾燥させて皮膜を形成する表面処理金属材の製造方法。
  14. 金属表面処理に用いられる樹脂エマルションを製造する方法であって、
    前記樹脂エマルションとして、コア層及びシェル層を含むコア−シェル型の樹脂粒子を含有する前記樹脂エマルションを製造するにあたり、
    前記コア層を形成する単量体成分を乳化重合させて前記コア層を構成するコア粒子を得る第1の重合工程と、
    前記第1の重合工程に続けて、片末端にヒドロキシ基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分を、前記第1の重合工程における反応系に添加して乳化重合させ、前記シェル層を前記コア粒子の表面に形成し、レーザー回折・散乱法による平均粒子径Dと、動的光散乱法による平均粒子径Dとの比D/Dが0.90以下である前記樹脂粒子を含有する前記樹脂エマルションを製造する第2の重合工程と、を含む、樹脂エマルションの製造方法。
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