JP6574076B1 - サーチュイン遺伝子発現増加剤及び細胞周期正常化剤 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、モリンガ葉のエタノール抽出物から、クロロフィルを実質的に除去することにより、SIRT-1遺伝子の発現効果を向上出来ること及び細胞周期を正常化出来ることについては、全く知られていない。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1] クロロフィルを実質的に含まないモリンガ葉のエタノール抽出物を含むことを特徴とするSIRT-1(サーチュイン-1)遺伝子発現増加剤。
[2] クロロフィルを実質的に含まないモリンガ葉のエタノール抽出物を含むことを特徴とする細胞周期正常化剤。
[3] モリンガ葉をダイヤイオンHP20で精製する工程を含む、前記[1]又は[2]のいずれかに記載の剤の精製方法。
[4] モリンガ葉のエタノール抽出物を含み、クロロフィルを実質的に含まないことを特徴とするSIRT-1(サーチュイン-1)遺伝子発現増加剤。
また、本発明の剤又は本発明の剤を含む化粧品を動物へ投与することによって、肌のたるみ、しわ、しみ等の予防若しくは改善、衰えた表皮及び/又は真皮のターンオーバー促進、肌の保湿又は美白効果等を得ることも出来る。
本発明において、モリンガは、ケシ目ワサビノキ科に属する植物のうち、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)を用いることが好ましく、これは、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)とも呼ばれる。あるいは、モリンガ・ドロウハルディ(Moringa drouhardii)等の、ワサビノキ科に属する他の植物を用いてもよい。
モリンガ葉のエタノール抽出物は、モリンガ葉又はモリンガ葉に何らかの処理、例えば、モリンガ葉を粉砕、破砕、摩砕、乾燥、殺菌処理したものをエタノールで抽出したものが挙げられるが、これらに限定されない。
また、抽出に用いるエタノールは、実質的に不純物を含まないものである。好ましい抽出温度は、15〜30度である。また、好ましい抽出時間は、0.5〜1.5時間である。
クロロフィルは、通常、上記モリンガ葉又はモリンガ葉のエタノール抽出物中に一定の含有割合で含まれる。
しかしながら、本発明においては、剤に含まれるモリンガ葉のエタノール抽出物がクロロフィルを実質的に含まない、あるいは、剤に含まれるモリンガ葉のエタノール抽出物からクロロフィルが実質的に除去されていることを必須の特徴とする。
ここで、本発明において、「クロロフィルを実質的に含まない」又は「クロロフィルが実質的に除去されている」とは、本発明の剤に含まれるモリンガ葉のエタノール抽出物におけるクロロフィル量が、100%エタノール抽出物と比較して、好ましくは、0.00001〜10質量%以下、より好ましくは、検出限界以下含まれることであり、なお、さらに好ましくは、本発明の剤におけるクロロフィル量が、100%エタノール抽出物と比較して、0.00001〜10質量%以下、最も好ましくは、検出限界以下含まれることであるが、これらに限定されない。
なお、クロロフィルの除去は、モリンガ葉のエタノール抽出物を精製することにより行われることが好ましい。このような精製の方法としては、ダイヤイオンHP20を用いる方法を好適に用いることが出来る。HP20は、モリンガ葉のエタノール抽出物100gに対し、10g〜500g用いることが好ましく、さらに好ましくは、50g〜200g、最も好ましくは、75〜150g用いることが出来るが、これらに限定されない。なお、モリンガ葉のエタノール抽出物とHP20は、モリンガ葉のエタノール抽出物に対するHP20が好ましくは、1:0.1〜5、さらに好ましくは1:0.5〜2、最も好ましくは1:0.75〜1.5で用いることが出来るが、これらに限定されない。
また、本発明で使用されるモリンガ葉のエタノール抽出物を含む剤の状態は、例えば、液体状、固体状(粉末状、顆粒状、細粒状等)、ゲル状その他の状態のいずれであってもよい。また、本発明で使用されるモリンガ葉のエタノール抽出物を含有する剤におけるモリンガ葉のエタノール抽出物の含有割合は、剤全体に対して、0.0001%〜100%である。本発明で使用されるモリンガ葉のエタノール抽出物の濃度は、例えば、1μg/mL〜1g/mL程度である。
本発明の剤のSIRT-1遺伝子発現増加効果は、例えば、SIRT-1遺伝子の発現に関与するmRNAの量に関して、モリンガ葉のエタノール抽出物を添加した群が、非添加群と比較して、高いことにより確認することができる。
さらに、本発明の剤による効果を受けた線維芽細胞の増殖率は、本発明の剤による効果を受けていない線維芽細胞の増殖率を上回ることが好ましく、モリンガ葉のエタノール抽出物の濃度等にもよるが、具体的には、101%〜300%等であってもよいが、好ましくは150〜250%程度である。
モリンガの葉を乾燥させた後、粉砕して、100〜200メッシュの篩を通過する大きさのモリンガ葉の粉砕物を得た。当該モリンガ葉の粉砕物(9kg)の重量に対して30倍容量の100%エタノールを加え、室温(25度)の条件下で1時間抽出した。吸引濾過を行い、残渣を除去した溶液を、エバポレーターを用いて5倍濃縮し、モリンガ葉のエタノール粗抽出物(クロロフィル未除去)を得た(50kg)。
当該得られたエタノール粗抽出物を、ダイヤイオンHP20(三菱ケミカル社、45kg)を用いて1時間、室温(25度)で吸着させることにより精製し、クロロフィルを実質的に除去した(49.5kg)。その後吸引濾過を行い、吸着剤を除去した溶液を、エバポレーターを用いて濃縮し、モリンガ葉のエタノール抽出物を得た(162g)。クロロフィル含有量は精製前の粗抽出物に対して10%以下であった。
クロロフィルを除去しないことを除いては、上記製造例1と同じ方法により、モリンガ葉のエタノール粗抽出物(729g)を得た(比較例1)。
さらに、クロロフィルを除去しないこと及び抽出溶媒として100%エタノールの代わりに50%エタノール(エタノール:水=1:1)を用いたことを除いては、上記製造例1と同じ方法により、モリンガ葉のエタノール粗抽出物(1890g)を得た。クロロフィル含有量は100%エタノール粗抽出物に対して10%以下であった(比較例2)。
さらに、ダイヤイオンHP20を用いる代わりに、低分子選択的吸着活性炭(商品名:白鷺C、社名:大阪ガスケミカル社)を用いたことを除いては、上記製造例1と同じ方法により、モリンガ葉のエタノール抽出物(45g)を得た。クロロフィル含有量は100%エタノール粗抽出物に対して10%以下であった(比較例3)。
さらに、ダイヤイオンHP20を用いる代わりに、高分子選択的吸着活性炭(商品名:カルボラフィン、社名:大阪ガスケミカル社)を用いたことを除いては、上記製造例1と同じ方法により、モリンガ葉のエタノール抽出物(45g)を得た。クロロフィル含有量は100%エタノール粗抽出物に対して10%以下であった(比較例4)。
ヒト皮膚由来繊維芽細胞株Hs68(JCRB No.IFO50350)を、10%FBS、1%Penicillin−Streptomycin solutionを含むDMEM(high glucose)培養液を用いて、37℃、5%CO2−95%airの下でサブコンフルエントになるまで培養した後、細胞剥離液(Accutase(登録商標))で処理して細胞を集めた。集めた細胞を、上記DMEM培養液に懸濁して細胞懸濁液(6×104個/mL)を調製した。この細胞懸濁液を24穴プレートに500μLずつ播種し、37℃、5%CO2−95%airの下で前培養した。
24時間後、無血清培地(1%Penicillin−Streptomycin solutionを含むDMEM(high glucose))で2回洗浄後、無血清培地を500μLずつ添加し、培養した。
さらに、上記24時間培養後の培地を、各サンプル(製造例1及び比較例1〜4で得られたモリンガ葉のエタノール抽出物又はモリンガ葉のエタノール抽出物)それぞれ500μg/mL又はいずれのサンプルも溶解していない無血清培地(Control、以下「モリンガ非添加群」とも呼ぶ)(500μL)に交換し、更に20時間培養した。
上記20時間培養後、各サンプルの培養液全量を除き、速やかに細胞を0.4mLのISOGEN−II(ニッポンジーン)に溶解し、製造会社が推奨するプロトコルに従ってtotal RNAを精製した。これを鋳型とし、SYBR Premix EX Taq(TaKaRa)及びLightCycler 480(Roche)を用いて、それぞれ製造会社が推奨するプロトコルに従ってreal−time PCRを行った。この際使用したプライマー配列を下記の表1に示した。なお、β−アクチンは、内在性コントロールとして用いた。
ヒト皮膚由来繊維芽細胞株Hs68(JCRB No.IFO50350)を、10%FBS、1%Penicillin−Streptomycin solutionを含むDMEM(high glucose)培養液を用いて、37℃、5%CO2−95%airの下でサブコンフルエントになるまで培養した後、トリプシン処理により細胞を集めた。集めた細胞を、上記DMEM培養液に懸濁して細胞懸濁液(1×105個/mL)を調製した。この細胞懸濁液を24穴プレートに500μLずつ及び96穴プレートに100μLずつ播種し、37℃、5%CO2−95%airの下で前培養した。24時間後、0.1mMピオシアニン及びサンプルを溶解した上記DMEM培養液に交換し、更に48時間培養した。
なお、本試験例で用いたピオシアニンは、細胞内において、活性酸素を発生するラジカル発生剤としての働きをするものであり、本試験例及び以降の試験例において、細胞老化モデルを構築する役割を担う。
図2から明らかなように、本発明のモリンガのエタノール抽出物とピオシアニンを添加したもの(図2の左下図及び右下図)は、ピオシアニンのみ添加したもの(図2の右上図)に比べ、明らかに、黒色(濃色)の面積が多いため、G2期及びM期の細胞が多く、細胞周期が正常に機能していることがわかる。
Claims (3)
- クロロフィルを実質的に含まないモリンガ葉のエタノール抽出物を含むこと、およびSIRT-1(サーチュイン-1)遺伝子発現の増加が皮膚細胞で起こることを特徴とするSIRT-1(サーチュイン-1)遺伝子発現増加剤。
- クロロフィルを実質的に含まないモリンガ葉のエタノール抽出物を含むこと、および細胞周期の正常化が皮膚細胞で起こることを特徴とする細胞周期正常化剤。
- モリンガ葉をエタノールで抽出する工程、および
モリンガ葉のエタノール抽出物をダイヤイオンHP20で精製する工程を含む、請求項1又は2に記載の剤の精製方法。
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