JP6573374B2 - 電界記録型磁気メモリ - Google Patents
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Description
[1]
1次元的に延在する第1の強磁性導電層、および、該第1の強磁性導電層の一方の面の少なくとも一部に積層された強磁性強誘電層を含む、記録媒体と、
強磁性強誘電層に電場を印加する、1対の書き込み用電極と、
記録媒体の長手方向に離隔して、第1の強磁性導電層に接して配設された、1対のビット移動用電極と、
第1の強磁性導電層の表面の一部に隣接して配設された非磁性層と、
該非磁性層の表面に配設され、該非磁性層を挟んで第1の強磁性導電層と向かい合う、第2の強磁性導電層と、
1対の書き込み用電極を介して強磁性強誘電層に電場を印加することにより、該電場の方向に対応して定まる方向の磁化を強磁性強誘電層に生じさせ、該強磁性強誘電層に生じた磁化によって第1の強磁性導電層に磁気情報を記録する、書き込み回路と、
1対のビット移動用電極を介して第1の強磁性導電層に電流を流すことにより、該第1の強磁性導電層中の磁壁を移動させる、ビット移動回路と、
第1の強磁性導電層と第2の強磁性導電層との間の電気抵抗に応じた信号を得る、読み取り回路とを有することを特徴とする、電界記録型磁気メモリ。
本発明において、「1対の書き込み用電極」の一方の電極は、「1対のビット移動用電極」の一方の電極と共通であってもよい。
第1の強磁性導電層が、L21型強磁性合金層、L10型強磁性合金層、およびD03型強磁性合金層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせである、[1]に記載の電界記録型磁気メモリ。
非磁性層が絶縁層である、[1]又は[2]に記載の電界記録型磁気メモリ。
第2の強磁性導電層が、ルチル型導電性強磁性酸化物層、L10型強磁性合金層、およびL21型強磁性合金層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせである、[1]〜[3]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
第2の強磁性導電層の表面に、固定磁性導電層が配設されており、
第2の強磁性導電層は、固定磁性導電層と非磁性層との間に挟まれており、
固定磁性導電層は、反強磁性導電層、もしくはL10型強磁性合金層、またはこれらの組み合わせである、[1]〜[4]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
書き込み回路が第1の強磁性導電層に磁気情報を記録する際に、第1の強磁性導電層の該磁気情報の書き込みが行われる領域を加熱する、熱アシスト手段をさらに有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
1対の書き込み用電極が、強磁性強誘電層および第1の強磁性導電層を、その積層方向に挟むように配置されている、[1]〜[6]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
第1の強磁性導電層が、下記組成式(1)で表されるL21型強磁性合金の層、下記組成式(2)で表されるL10型強磁性合金の層、および、下記組成式(3)で表されるD03型強磁性合金の層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせである、[1]〜[7]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
X2YZ (1)
(式(1)中、XはFe、Co、及びNiから選ばれる1種以上の元素であり;YはMn、Cr、V、及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;ZはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
Mn50GexGayAl50−x−y (2)
(式(2)中、xは0〜50の実数であり;yは0〜50の実数であり;x及びyはx+y≦50を満たす。)
X3Y (3)
(式(3)中、XはMn及びVから選ばれる1種以上の元素であり;YはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
前記強磁性強誘電層が、下記組成式(5)で表される強磁性強誘電材料を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
(Bi1−aXa)(Fe1−bMb)O3 (5)
(式(5)中、XはBa及びLaから選ばれる1種以上の元素であり;MはMn及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;a及びbは、0≦a≦0.8、且つ0≦b≦0.5を満たす実数である。)
第2の強磁性導電層が、組成式CrO2で表されるルチル型導電性強磁性酸化物の層、下記組成式(6)で表されるL10型強磁性合金の層、及び下記組成式(7)で表されるL21型強磁性合金の層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせである、[1]〜[9]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
XY (6)
(式(6)中、XはFe及びCoから選ばれる1種以上の元素であり;YはPt、Pd、及びNiから選ばれる1種以上の元素である。)
X2YZ (7)
(式(7)中、XはFe、Co、及びNiから選ばれる1種以上の元素であり;YはMn、Cr、V、及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;ZはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
図1は、本発明の一の実施形態に係る電界記録型磁気メモリ100の構成を模式的に説明する図である。電界記録型磁気メモリ100は、1次元的に延在する第1の強磁性導電層11、および、第1の強磁性導電層11の一方の面に積層された強磁性強誘電層12を含む、記録媒体10と;強磁性強誘電層12に電場を印加する、1対の書き込み用電極21、22と;記録媒体10の長手方向に離隔して、第1の強磁性導電層11に接して配設された、1対のビット移動用電極31、32と;第1の強磁性導電層11の表面の一部に隣接して配設された非磁性層41と;非磁性層41の表面に配設され、非磁性層41を挟んで第1の強磁性導電層11と向かい合う、第2の強磁性導電層42と;1対の書き込み用電極21、22を介して強磁性強誘電層12に電場を印加することにより、該電場の方向に対応して定まる方向の磁化M0を強磁性強誘電層12に生じさせ、強磁性強誘電層12に生じた磁化M0によって第1の強磁性導電層11にM1の磁気情報を記録する、書き込み回路50と;1対のビット移動用電極31、32を介して第1の強磁性導電層11に電流を流すことにより、第1の強磁性導電層11中の磁壁13、13、…を移動させる、ビット移動回路60と;第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗に応じた信号を得る、読み取り回路70とを有している。電界記録型磁気メモリ100において、1対の書き込み用電極21、22は、強磁性強誘電層12および第1の強磁性導電層11を、その積層方向(図1における紙面上下方向)に挟むように配置されている。
第1の強磁性導電層11は、導電性を有する強磁性体の層であり、磁気情報が記録される層である。第1の強磁性導電層11は垂直磁気異方性を有しており、磁気情報は第1の強磁性導電層11の面に垂直な方向の磁化、すなわち図1の紙面上下方向の磁化として記録される。第1の強磁性導電層11のその磁化の向きが変わる位置には、磁壁13、13、…が形成されている。後述するように、ビット移動回路60が第1の強磁性導電層11に流す電流を制御することにより、磁壁13、13、…を所望の距離だけ移動させることができる。電界記録型磁気メモリ100において、第1の強磁性導電層11中の磁壁13、13、…を移動させることは、第1の強磁性導電層11中の記録ビットを移動させることと等価である。
また、第1の強磁性導電層11に記録された磁気情報を、第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間のトンネル磁気抵抗効果(TMR効果)または巨大磁気抵抗効果(GMR効果)を利用して読み出すにあたって、読み出しエラーを低減するためには、トンネル磁気抵抗比(TMR比)または巨大磁気抵抗効果(GMR効果)が大きいことが好ましい。第1の強磁性導電層11および第2の強磁性導電層42のスピン分極率が大きいほど、第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間のTMR比またはGMR比は大となる。よってこの点からも、第1の強磁性導電層11には、スピン分極率Pが大きい材料を用いることが好ましい。
これらの観点から、第1の強磁性導電層11は、L21型強磁性合金層、L10型強磁性合金層、およびD03型強磁性合金層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせであることが好ましい。より具体的には、第1の強磁性導電層11は、下記組成式(1)で表されるL21型強磁性合金の層、下記組成式(2)で表されるL10型強磁性合金の層、および、下記組成式(3)で表されるD03型強磁性合金の層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせであることが好ましい。
X2YZ (1)
(式(1)中、XはFe、Co、及びNiから選ばれる1種以上の元素であり;YはMn、Cr、V、及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;ZはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
Mn50GexGayAl50−x−y (2)
(式(2)中、xは0〜50の実数であり;yは0〜50の実数であり;x及びyはx+y≦50を満たす。)
X3Y (3)
(式(3)中、XはMn及びVから選ばれる1種以上の元素であり;YはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
第1の強磁性導電層11のスピン分極率Pをより大きくする観点からは、第1の強磁性導電層11はL21型強磁性合金層を含むことがより好ましく、より具体的には上記組成式(1)で表されるL21型強磁性合金の層を含むことが好ましい。
強磁性強誘電層12は、外部電場によって分極が誘起され、分極によって磁化が誘起される性質を有する強磁性強誘電性材料の層である。一対の書き込み用電極21、22を介して強磁性強誘電層12に電場が印加されると、強磁性強誘電層12には電場に沿った分極(図1中の白抜き矢印P0)が誘起されると同時に、電場の方向に対応して定まる方向の磁化(図1中の矢印M0)が誘起される。第1の強磁性導電層11は強磁性強誘電層12と磁気的に結合しているので、強磁性強誘電層12に生じた磁化M0により、該磁化M0に対応する向きの磁化M1が第1の強磁性導電層11に磁気情報として記録される。
(AxB1−x)l(MyN1−y)mOn (4)
(式(4)式中、A及びBは、それぞれ独立に、Bi、La、Tb、Pb、Y、Cr、Co、Ba、Lu、Yb又はEuを表し;M及びNは、それぞれ独立に、Fe、Mn、Ni、Ti、Cr、Co又はVを表し;xは0〜1の実数を表し;yは0〜1の実数を表し;lは1〜3の整数を表し;mは1〜3の整数を表し;nは3〜6の整数を表す。)
一般式(4)で表され強磁性強誘電性を示し得る材料としては、例えばTbMnO3、TbMn2O5、YMnO3、EuTiO3、CoCr2O4、Cr2O3、BiMn0.5Ni0.5O3、BiFe0.5Cr0.5O3、La0.1Bi0.9MnO3、La1−xBixNi0.5Mn0.5O3、Bi1−xBaxFeO3等を挙げることができる。
(Bi1−aXa)(Fe1−bMb)O3 (5)
(式(5)中、XはBa及びLaから選ばれる1種以上の元素であり;MはMn及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;a及びbは、0≦a≦0.8、且つ0≦b≦0.5を満たす実数である。ただしa及びbの少なくとも一方は0でない。)
式(5)において、a及びbは、0<a≦0.8、且つ0<b≦0.5を満たすことが好ましく、0<a≦0.8、0<b≦0.5、且つ0.01≦a+b≦1.3を満たすことがより好ましい。
誘電性材料として知られているBiFeO3中のBiの一部を上記所定の元素Xで、Feの一部を上記所定の元素Mで置換することにより、好ましい強磁性および誘電性が発現する。このとき置換率a及びbが上記範囲内であることにより、電界記録型磁気メモリ100の動作に特に適した強磁性および強誘電性が同時に発現する。
このような材料としては、例えば、Bi(FeMn)O系の材料、(BiBa)FeO系の材料、(BiBaLa)(FeMn)O系の材料、(BiBaLa)(FeMnTi)O系の材料、(BiLa)FeO系の材料等を挙げることができる。より具体的には、Bi(Fe0.95Mn0.05)O3、(Bi0.8Ba0.2)FeO3、(Bi0.5Ba0.3La0.2)FeO3、(Bi0.7La0.3)(Fe0.7Mn0.3)O3、(Bi0.5Ba0.3La0.2)(Fe0.7Mn0.1Ti0.2)O3等を挙げることができる。
非磁性層41は、常磁性体または反磁性体の層である。磁気抵抗変化率を高める観点から、非磁性層41は電気絶縁層であることが好ましい。非磁性層41を構成する材料としては、例えば、MgO、Al2O3、SiO2、TiO2、AlN、Si3N4、Cr2O3等を好ましく挙げることができる。尚、Cu、Ag、Cr等の導電性材料でもよい。
第2の強磁性導電層42は、固定された磁化(図1中の矢印M2)を有する強磁性導電層であり、第1の強磁性導電層11とともにトンネル又は巨大磁気抵抗素子の強磁性電極対を構成する。第2の強磁性導電層42は、該トンネル又は巨大磁気抵抗素子における固定磁性層として作用する。第2の強磁性導電層42が有する磁化は、第1の強磁性導電層11に記録される磁化の向きと平行または反平行な成分を有している。
XY (6)
(式(6)中、XはFe及びCoから選ばれる1種以上の元素であり;YはPt、Pd、及びNiから選ばれる1種以上の元素である。)
X2YZ (7)
(式(7)中、XはFe、Co、及びNiから選ばれる1種以上の元素であり;YはMn、Cr、V、及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;ZはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
これらの中でも、1層でスピン分極率と磁気異方性とを同時に大きくすることが可能である点で、組成式CrO2で表されるルチル型導電性強磁性酸化物の層を第2の強磁性導電層42として特に好ましく採用できる。
1対の書き込み用電極21、22及び1対のビット移動用電極31、32を構成する材料としては、電極材料として公知の導電性材料を特に制限なく用いることができる。ただし非磁性の導電性材料であることが好ましい。
書き込み回路50は、1対の書き込み用電極21、22に接続されており、1対の書き込み用電極21、22を介して強磁性強誘電層12に電場を印加する。強磁性強誘電層12には、印加された電場の方向に対応して定まる方向(図1においては電場と平行な方向)の磁化が生じる。強磁性強誘電層12に生じた磁化によって第1の強磁性導電層11に磁気情報が記録される。強磁性強誘電層12に生じる磁化の方向は強磁性強誘電層12に印加される電場の極性によって定まる。書き込み回路50は、所望の方向の磁化が第1の強磁性導電層11に記録されるように、1対の書き込み用電極21、22に印加する電位差の極性を制御する。
ビット移動回路60は、1対のビット移動用電極31、32に接続されている。ビット移動回路60は、1対のビット移動用電極31、32を介して第1の強磁性導電層11に電流を流すことにより、スピン注入磁化反転によって第1の強磁性導電層11中の磁壁13、13、…を移動させる。ビット移動回路60が第1の強磁性導電層11に流す電流は、第1の強磁性導電層11中の電流密度が、第1の強磁性導電層11においてスピン注入磁化反転が起きる臨界電流密度を超えるように制御される。磁壁13、13…が移動する距離は、第1の強磁性導電層11中を流れた電荷の量に比例する。ビット移動回路60は、移動させるべきビット数に対応する距離を第1の強磁性導電層11中の磁壁13、13、…が移動するように、第1の強磁性導電層11に注入する電荷の量を制御する。
読み取り回路70は、第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗に応じた信号を得る回路である。読み取り回路70は、第2の強磁性導電層42と、第1の強磁性導電層11に接して配設された他の電極(ここでは書き込み用電極21)とに接続されている。トンネル又は巨大磁気抵抗効果により、第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗は、第1の強磁性導電層11のうち第2の強磁性導電層42が非磁性層41を介して向かい合う磁区の磁化Mrの向きと、第2の強磁性導電層42の磁化M2の向きとの関係に依存して変化する。すなわち、第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗は、磁化Mrと磁化M2とが平行であるときに最小となり、磁化Mrが磁化M2と反平行であるときに最大となる。第2の強磁性導電層42の磁化M2は、第1の強磁性導電層11に記録される磁化と平行または反平行な成分を必ず有しているので、第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗は、磁化Mrの方向に依存して変化することになる。したがって第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗に応じた信号を得ることにより、第1の強磁性導電層11のうち第2の強磁性導電層42が非磁性層41を挟んで向かい合う磁区に磁化Mrとして記録された情報を読み出すことができる。読み取り回路70が第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗に応じた信号を得るために第2の強磁性導電層42と他の電極(書き込み用電極21)との間に流す電流(センス電流)は、第1の強磁性導電層11中の電流密度が、第1の強磁性導電層11においてスピン注入磁化反転が起きる臨界電流密度未満となるように制御される。
本発明に関する上記説明では、非磁性層41および第2の強磁性導電層42を有する形態の電界記録型磁気メモリ100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。非磁性層および第2の強磁性導電層に加えて、第2の強磁性導電層の表面に配設された固定磁性導電層をさらに有する形態の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。図2は、そのような他の一の実施形態に係る電界記録型磁気メモリ1100を模式的に説明する図であって、図1に対応する図である。図2において、図1に既に表れた要素と同一の要素には図1における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
電界記録型磁気メモリ1100は、非磁性層41および第2の強磁性導電層42に加えて固定磁性導電層43をさらに有する点において、電界記録型磁気メモリ100と異なっている。固定磁性導電層43は、第2の強磁性導電層42の表面に配設されており、第2の強磁性導電層42を挟んで非磁性層41と向かい合っている。電界記録型磁気メモリ1100において、読み取り回路70は、固定磁性導電層43と、第1の強磁性導電層11に接して配設された他の電極(ここでは書き込み用電極21)とに接続されている。
本発明に関する上記説明では、第1の強磁性導電層11の一方の面の全部に強磁性強誘電層12が積層された形態の電界記録型磁気メモリ100、1100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、第1の強磁性導電層の一方の面の一部のみに強磁性強誘電層が積層された形態の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。また本発明に関する上記説明では、読み取り回路70が、第2の強磁性導電層42(又は固定磁性導電層43)と、書き込み用電極21とに接続されている形態の電界記録型磁気メモリ100、1100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、第1の強磁性導電層に接して配設された他の電極を別途有し、当該他の電極と第2の強磁性導電層(または固定磁性導電層)とに読み取り回路が接続されている形態の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。図3は、そのような他の一の実施形態に係る電界記録型磁気メモリ2100を模式的に説明する図であって、図1に対応する図である。図3において、図1〜2に既に表れた要素と同一の要素には図1〜2における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
電界記録型磁気メモリ2100は、記録媒体10に代えて記録媒体2010を有している。記録媒体2010は、第1の強磁性導電層11の一方の面の全部に積層された強磁性強誘電層12に代えて、第1の強磁性導電層11の一方の面の一部のみに積層された強磁性強誘電層12’を有する点において、記録媒体10と異なっている。強磁性強誘電層12’を構成する材料は、強磁性強誘電層12と同様である。電界記録型磁気メモリ2100において、1対の書き込み用電極21、22は、強磁性強誘電層12’および第1の強磁性導電層11を、その積層方向(図3における紙面上下方向)に挟むように配置されている。
電界記録型磁気メモリ2100において、読み取り回路70は、第2の強磁性導電層42と、読み取り用カウンター電極45とに接続されている。読み取り用カウンター電極45は、第1の強磁性導電層11に接して配設されており、非磁性層41及び第1の強磁性導電層11を挟んで第2の強磁性導電層42と向かい合っている。読み取り用カウンター電極45を構成する材料としては、電極材料として公知の導電性材料を特に制限なく用いることができる。ただし非磁性の導電性材料であることが好ましい。
本発明に関する上記説明では、書き込み回路50が第1の強磁性導電層11に書き込むべき磁化が、書き込みが行われる領域に既に存在する磁化と逆向きである場合に、電場によって強磁性強誘電層12に誘起される磁化のみによって第1の強磁性導電層11の磁化を反転させる形態の電界記録型磁気メモリ100、1100、2100を例示したが、磁化の書き込みに電流磁界を用いない限り、本発明は当該形態に限定されない。例えば、書き込み回路が第1の強磁性導電層に磁気情報を記録する際に、第1の強磁性導電層の該磁気情報の書き込みが行われる領域を加熱する、熱アシスト手段をさらに有する形態の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。図4は、そのような他の一の実施形態に係る電界記録型磁気メモリ3100を模式的に説明する図であって、図1に対応する図である。図4において、図1〜3に既に表れた要素と同一の要素には図1〜3における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
電界記録型磁気メモリ3100は、熱アシスト手段81をさらに有し、且つ、書き込み用電極21に代えて書き込み用電極21’を有する点において、電界記録型磁気メモリ100と異なっている。熱アシスト手段81は書き込み回路50に接続されており、書き込み動作に同期してレーザーを第1の強磁性導電層11の書き込みが行われる領域に照射することにより、当該領域を加熱する。書き込み用電極21’は、熱アシスト手段81から照射されるレーザーを第1の強磁性導電層11の表面に通すための貫通孔21’aが設けられている点において、書き込み用電極21と異なっている。
本発明に関する上記説明では、熱アシスト手段81が記録媒体10の第1の強磁性導電層11の側から第1の強磁性導電層11にレーザーを照射する形態の電界記録型磁気メモリ3100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、熱アシスト手段81が記録媒体10の強磁性強誘電層12の側から第1の強磁性導電層11にレーザーを照射する形態の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。図5は、そのような他の一の実施形態に係る電界記録型磁気メモリ4100を模式的に説明する図であって、図4に対応する図である。図5において、図1〜4に既に表れた要素と同一の要素には図1〜4における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
10、2010 記録媒体
11 第1の強磁性導電層
12 強磁性強誘電層
13 磁壁
21、22、21’、22’ 書き込み用電極
21’a、22’a 貫通孔
31、32 ビット移動用電極
41 非磁性層
42 第2の強磁性導電層
43 固定磁性導電層
45 読み取り用カウンター電極
50 書き込み回路
60 ビット移動回路
70 読み取り回路
Claims (10)
- 1次元的に延在する第1の強磁性導電層、および、該第1の強磁性導電層の一方の面の少なくとも一部に積層された、強磁性強誘電性材料の層である強磁性強誘電層を含む、記録媒体と、
前記強磁性強誘電層に電場を印加する、1対の書き込み用電極と、
前記記録媒体の長手方向に離隔して、前記第1の強磁性導電層に接して配設された、1対のビット移動用電極と、
前記第1の強磁性導電層の表面の一部に隣接して配設された非磁性層と、
該非磁性層の表面に配設され、該非磁性層を挟んで前記第1の強磁性導電層と向かい合う、第2の強磁性導電層と、
前記1対の書き込み用電極を介して前記強磁性強誘電層に電場を印加することにより、該電場の方向に対応して定まる方向の磁化を前記強磁性強誘電層に生じさせ、該強磁性強誘電層に生じた磁化によって電流磁界を用いることなく前記第1の強磁性導電層に磁気情報を記録する、書き込み回路と、
前記1対のビット移動用電極を介して前記第1の強磁性導電層に電流を流すことにより、該第1の強磁性導電層中の磁壁を移動させる、ビット移動回路と、
前記第1の強磁性導電層と前記第2の強磁性導電層との間の電気抵抗に応じた信号を得る、読み取り回路と
を有することを特徴とする、電界記録型磁気メモリ。 - 前記第1の強磁性導電層が、L21型強磁性合金層、L10型強磁性合金層、およびD03型強磁性合金層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせである、請求項1に記載の電界記録型磁気メモリ。
- 前記非磁性層が絶縁層である、請求項1又は2に記載の電界記録型磁気メモリ。
- 前記第2の強磁性導電層が、ルチル型導電性強磁性酸化物層、L10型強磁性合金層、およびL21型強磁性合金層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせである、請求項1〜3のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
- 前記第2の強磁性導電層の表面に、固定磁性導電層が配設されており、
前記第2の強磁性導電層は、前記固定磁性導電層と前記非磁性層との間に挟まれており、
前記固定磁性導電層は、反強磁性導電層、もしくはL10型強磁性合金層、またはこれらの組み合わせである、
請求項1〜4のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。 - 前記書き込み回路が前記第1の強磁性導電層に磁気情報を記録する際に、前記第1の強磁性導電層の該磁気情報の書き込みが行われる領域を加熱する、熱アシスト手段をさらに有する、
請求項1〜5のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。 - 前記1対の書き込み用電極が、非磁性の導電性材料からなり、且つ、前記強磁性強誘電層および前記第1の強磁性導電層を、前記強磁性強誘電層および前記第1の強磁性導電層の積層方向に挟むように配置されている、請求項1〜6のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
- 前記第1の強磁性導電層が、下記組成式(1)で表されるL21型強磁性合金の層、下記組成式(2)で表されるL10型強磁性合金の層、および、下記組成式(3)で表されるD03型強磁性合金の層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせである、請求項1〜7のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
X2YZ (1)
(式(1)中、XはFe、Co、及びNiから選ばれる1種以上の元素であり;YはMn、Cr、V、及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;ZはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
Mn50GexGayAl50−x−y (2)
(式(2)中、xは0〜50の実数であり;yは0〜50の実数であり;x及びyはx+y≦50を満たす。)
X3Y (3)
(式(3)中、XはMn及びVから選ばれる1種以上の元素であり;YはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。) - 前記強磁性強誘電層が、下記組成式(5)で表される強磁性強誘電材料を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
(Bi1−aXa)(Fe1−bMb)O3 (5)
(式(5)中、XはBa及びLaから選ばれる1種以上の元素であり;MはMn及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;a及びbは、0≦a≦0.8、且つ0≦b≦0.5を満たす実数であり、a及びbの少なくとも一方は0でない。) - 前記第2の強磁性導電層が、組成式CrO2で表されるルチル型導電性強磁性酸化物の層、下記組成式(6)で表されるL10型強磁性合金の層、及び下記組成式(7)で表されるL21型強磁性合金の層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせである、請求項1〜9のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
XY (6)
(式(6)中、XはFe及びCoから選ばれる1種以上の元素であり;YはPt、Pd、及びNiから選ばれる1種以上の元素である。)
X2YZ (7)
(式(7)中、XはFe、Co、及びNiから選ばれる1種以上の元素であり;YはMn、Cr、V、及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;ZはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
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