JP6573350B1 - 楽器用共鳴補助具及び楽器 - Google Patents

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Abstract

【課題】楽器に生じた振動を効果的に増幅すると同時に、それぞれの楽器が持ち合わせている音の独特な波形に変化を加えることにより、複雑で深みのある音色を実現することができる楽器用共鳴補助具を提供する。【解決手段】楽器における面状部分に取り付けて使用する楽器用共鳴補助具10を、楽器の面状部分に取り付けられる取付面11a1を有する楽器取付部11と、取付面11a1に対して非垂直な状態で楽器取付部11に支持された振動用傾斜アーム12と、振動用傾斜アーム12に取り付けられた重り13とを備えたものとした。振動用傾斜アーム12が取付面11a1に対して非垂直な状態で(傾斜して)設けられていることにより、取付面11a1に垂直な方向の振動も含めたあらゆる方向の振動が重り13の振動に変換されやすくなっている。【選択図】 図1

Description

本発明は、楽器に取り付けて使用する楽器用共鳴補助具と、この楽器用共鳴補助具を取り付けた楽器とに関する。
楽器は、それに生じた振動を音としていかに美しく響かせるかによってその価値が決まる。このため、楽器においては、それに生じた振動をいかに共鳴させるかが非常に重要となっている。
この点、特許文献1には、空気振動を増幅させるための機構を備えた横笛が提案されている。この横笛は、同文献の図1等に示されるように、歌口1と管頭2との間を占める管頭内空間3に、共鳴板5と振り子6とからなる波動増幅器を備えている。共鳴板5は、同文献の図4に示されるように、薄い板状のものとなっており、振り子6は、共鳴板5の略中央に一端を固定された支持棒の先に重りを付けたものとなっている。横笛の歌口1(同文献の図1)から息を吹き込んで横笛を鳴らすと、その振動が共鳴板5を介して振り子6に伝わり、振り子6が振動する。すると、横笛の管内気柱の振動が増幅され、豊かで味わい深い音色を出すことができるようになっている。
特開2016−105208号公報
ところが、特許文献1に記載の波動増幅器は、振動を増幅する点で、改善の余地が残るものであった。というのも、同文献の波動増幅器において高い増幅効果を得るためには、共鳴板5の振動が振り子6に効率的に伝わるか否かが重要になる。換言すると、共鳴板5の振動(共鳴板5における共鳴板5の板面に垂直な方向の振動)が、振り子6の支持棒の振動(支持棒における支持棒に垂直な方向の振動)に効率的に変換されるかが重要である。しかし、振り子6の支持棒は、同文献の図1に示されるように、共鳴板5の板面に対して垂直に設けられているため、共鳴板5の板面に垂直な方向の振動は、振り子6の支持棒の振動に変換されにくくなっている。したがって、同文献の波動増幅器における増幅効果は、限定的であると考えられるからである。
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、振動をより効果的に増幅することができ、より複雑で深みのある音色を実現することができる楽器用共鳴補助具を提供するものである。また、この楽器用共鳴補助具を取り付けた楽器を提供することも本発明の目的である。
上記課題は、
楽器における面状部分に取り付けて使用する楽器用共鳴補助具であって、
楽器の面状部分に取り付けられる取付面を有する楽器取付部と、
前記取付面に対して非垂直な状態で楽器取付部に支持された振動用傾斜アームと、
振動用傾斜アームに取り付けられた重りと、
を備えた
ことを特徴とする楽器用共鳴補助具
を提供することによって解決される。
ここで、「楽器における面状部分」とは、楽器の内部又は外部に設けられた平面状又は曲面状の部分のことを言う。以下においても同様とする。
本発明の楽器用共鳴補助具は、重りを支持する振動用傾斜アームが、楽器取付部の取付面に対して傾斜していることに特徴がある。これにより、取付面に垂直な方向の振動も含めたあらゆる方向の振動が重りの振動に変換されやすくなり、振動をより効果的に増幅することができるようになっている。加えて、振動用傾斜アームを取付面に垂直に固定した場合に比べて、重りが複雑な振動をしやすくなり、より複雑な共鳴効果や残響効果によって、より複雑で深みのある音色を実現することもできる。すなわち、バイオリン等の楽器であって、工業的に大量生産されるものの発する音は、一定の規則正しい波形を有することが多いところ、本発明の楽器用共鳴補助具を取り付けることによって、音階、音律を損なうことなく、予測のつかない複雑な形状に波形を変えることができ、自然界で生じる音(例えば、滝の音や風の音等)のような心地よさを加えることができる。
本発明の楽器用共鳴補助具においては、楽器取付部を、前記取付面を有し、楽器の面状部分に取り付けられる取付基部と、前記取付面に略垂直な方向に進退可能に設けられた可動部材と、取付基部に対して可動部材を進退可能にガイドするためのガイド部材とを備えたものとし、振動用傾斜アームが可動部材に支持されるようにすると好ましい。というのも、楽器は、同一の材料を用いて同一の職人が製造したとしても、その音色や形状に微妙な差が出ることも多い繊細な道具であるところ、このように可動部材に振動用傾斜アームを支持させるようにすることで、振動用傾斜アームと重りの位置を、それぞれの楽器に合わせて調節することができるようになり、より効果的に振動を増幅することができるからである。
本発明の楽器用共鳴補助具においては、振動用傾斜アームを1本だけ設けるようにしてもよいが、振動用傾斜アームを複数本設けて、それぞれの振動用傾斜アームに重りを取り付けるようにすると好ましい。これにより、複数個の重りがそれぞれに異なった動きをして、より複雑な共鳴効果や残響効果を得ることができる。
上記のように振動用傾斜アームを複数本設ける場合には、複数本の振動用傾斜アームのうち、一の振動用傾斜アームが前記取付面に対して為す角度が、他の振動用傾斜アームが前記取付面に対して為す角度と異なるようにすると好ましい。これにより、複数個の重りがより複雑に異なった動きをしやすくなり、より複雑な共鳴効果や残響効果を得ることができる。
本発明の楽器用共鳴補助具は、これを取り付ける楽器の種類を特に限定されない。しかし、特に、空洞部を有する楽器において、その空洞部内に本発明の楽器用共鳴補助具を取り付けるようにすると好ましい。というのも、空洞部を有する楽器は、その空洞部内で音を響かせることが多いところ、この空洞部内に本発明の楽器用共鳴補助具を配することによって、より効果的に振動を増幅させることができるからである。加えて、楽器は、その外観の美しさも重要であるところ、空洞部内に本発明の楽器用共鳴補助具を取り付けるようにすれば、楽器の外観の美しさを損なうことなく、本発明の楽器用共鳴補助具を取り付けることができるからである。
以上のように、本発明によって、振動をより効果的に増幅することができ、より複雑で深みのある音色を実現することができる楽器用共鳴補助具を提供することが可能になる。また、この楽器用共鳴補助具を取り付けた楽器を提供することも可能になる。
本実施態様の楽器用共鳴補助具の斜視図である。 本実施態様の楽器用共鳴補助具を取り付けたバイオリンを、当該バイオリンの中心軸を含む平面で切断した断面図である。 本実施態様の楽器用共鳴補助具を、ガイド部材の中心線を含む平面で切断した断面図である。 振動用傾斜アームの根元側部分における断面形状の例を示した図である。 楽器用共鳴補助具の重りを取り外して示した図である。 他の実施態様の楽器用共鳴補助具を、ガイド部材の中心線を含む平面で切断した断面図である。
本発明の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本実施態様の楽器用共鳴補助具10の斜視図である。本発明の楽器用共鳴補助具10は、図1に示すように、楽器取付部11と、楽器取付部11に支持された振動用傾斜アーム12と、振動用傾斜アーム12に取り付けられた重り13とを備えたものとなっている。この楽器用共鳴補助具10を、楽器における面状部分に楽器取付部11で取り付けると、その楽器に生じた振動を増幅することができ、複雑で深みのある音色を実現することができる。
図2は、本実施態様の楽器用共鳴補助具10を取り付けたバイオリン90を、当該バイオリン90の中心軸を含む平面で切断した断面図である。以下、楽器用共鳴補助具10によって振動が増幅される機構を、図2に示すように、バイオリン90に楽器用共鳴補助具10を取り付ける場合を例に挙げて説明する。図2に示す例においては、楽器用共鳴補助具10を、バイオリン90の共鳴胴91内部における表板92の裏面に取り付けている。このバイオリン90の弦93を弓で擦ると、弦93に発生した振動が表板92に伝わる。すると、表板92の振動が楽器用共鳴補助具10の楽器取付部11を介して振動用傾斜アーム12に伝わり、重り13が振動する。振動用傾斜アーム12は、後で詳しく説明するように、細長い棒状に形成されているため、楽器取付部11から受け取った振動を増幅して重り13に伝えることができる。そして、重り13が振動すると、その周囲の空気も振動し、バイオリン90の共鳴胴91内部の空気振動が増幅される。加えて、重り13の振動は、振動用傾斜アーム12及び楽器取付部11を介して表板92にも伝わり、表板92が長時間振動し続けるようになる。これにより、増幅された残響効果を長く得ることができ、複雑で深みのある音が出るようになっている。
すなわち、楽器用共鳴補助具10を取り付けた楽器の音色は、その楽器で音を鳴らした際(楽器に振動を生じさせた際)に、その振動によって、楽器用共鳴補助具10の重り13がどのように振動するか(どのような方向、振幅及び長さで振動するか)によって左右される。この点、本実施態様の楽器用共鳴補助具10においては、重り13を効果的に振動させるための種々の工夫が凝らされている。以下、本実施態様の楽器用共鳴補助具10の構造について詳しく説明する。
図3は、本実施態様の楽器用共鳴補助具10を、ガイド部材11bの中心線を含む平面で切断した断面図である。本実施態様の楽器用共鳴補助具10においては、図1に示すように、楽器取付部11が、取付基部11aと、ガイド部材11bと、可動部材11cとで構成されており、振動用傾斜アーム12は、このうち可動部材11cに支持されている。取付基部11aは、図3に示すように、その底部に取付面11aを有しており、この取付面11aで楽器の面状部分に取り付けることができるようになっている。ガイド部材11bは、その一端が取付基部11aに固定された柱状に形成されている。可動部材11cは、ガイド部材11bに取り付けられており、ガイド部材11bに対する取付位置を移動させることができるようになっている。このガイド部材11b及び可動部材11cが設けられている理由については、後で詳しく説明する。
本実施態様においては、図1に示すように、振動用傾斜アーム12として、第一アーム12a、第二アーム12b、第三アーム12c、第四アーム12d及び第五アーム12eの5本のアームを設けている。それぞれの振動用傾斜アーム12は、細長い棒状に形成されており、重り13を1つずつ取り付けられている。
振動用傾斜アーム12は、図3に示すように、その一端を可動部材11cに固定されており、取付基部11aの取付面11aに対して非垂直な状態で支持されている。このように、振動用傾斜アーム12が取付面11aに対して傾斜して設けられていることで、既に述べたように、取付面11aに垂直な方向の振動も含めたあらゆる方向の振動が重り13の振動に変換されやすくなっている。
振動用傾斜アーム12は、取付面11aに対して非垂直となっていればよく、取付面11aに対してどの程度傾斜して設けるかは特に限定されない。しかし、振動用傾斜アーム12を、取付面11aに対して垂直に近い状態で設けた場合には、取付面11aに垂直な方向の振動が重り13に伝わりにくくなるおそれがある。このため、振動用傾斜アーム12が取付面11aに対して為す角度θ(図3を参照)は、85°以下となるようにすると好ましい。角度θは、80°以下とするとより好ましい。角度θは、0°であってもよい。すなわち、振動用傾斜アーム12は、取付面11aに対して平行に設けることもできる。
振動用傾斜アーム12は、楽器取付部11から受け取った振動を増幅して重り13を振動させることができるようになっていれば、その具体的な形状を特に限定されない。本実施態様においては、図1に示すように、振動用傾斜アーム12を直線状の細長い棒状に形成しているが、振動用傾斜アーム12は、湾曲又は屈曲した棒状とすることもできる。
本実施態様においては、図3の拡大図に示すように、振動用傾斜アーム12の先端側部分12fと根元側部分12gとで、振動用傾斜アーム12の外面形状が異なっている。すなわち、振動用傾斜アーム12の先端側部分12fにおいては、振動用傾斜アーム12の外面にネジ山12hが設けられているが、根元側部分12gにおいては、振動用傾斜アーム12の外面にネジ山は設けられていない。先端側部分12fにネジ山12hが設けられている理由については、後で詳しく説明する。
図4は、振動用傾斜アーム12の根元側部分12gにおける断面形状の例を示した図である。振動用傾斜アーム12の断面形状は、先端側部分12fにおいては、ネジ山12hを有する都合上、略円形状となっている。一方、根元側部分12gにおける振動用傾斜アーム12の断面形状は、特に限定されない。根元側部分12gにおける振動用傾斜アーム12の断面形状は、円形状とすることもできるが、円以外の形状(非円形状)となるようにすると好ましい。具体的には、楕円形状や多角形状(三角形状や四角形状等)とすると好ましい。というのも、本発明者が見出したところによると、振動用傾斜アーム12の根元側部分12gにおける断面形状を非円形状とした場合には、円形状とした場合と比較して、振動用傾斜アーム12の振動(重り13の振動)が長く続きやすく、美しい残響効果を長く得られやすくなるからである。図4に、振動用傾斜アーム12の根元側部分12gにおける断面形状の例を示す。
振動用傾斜アーム12の材料は、所望の剛性を有するものであれば、特に限定されない。振動用傾斜アーム12は、金属や、竹や、樹脂や、木等で形成することができる。本実施態様においては、振動用傾斜アーム12を金属製としている。本実施態様においては、上述したように、振動用傾斜アーム12を可動部材11cに固定しているが、ガイド部材11bや可動部材11cを設けず、振動用傾斜アーム12を取付基部11aに直接固定するようにしてもよい。
振動用傾斜アーム12は、一つの楽器用共鳴補助具10に1本だけ設けるようにしてもよいが、複数本設けるようにすると、それぞれの振動用傾斜アーム12に取り付けられた重り13がそれぞれ独立に振動することによって、楽器の音色をより複雑で深みのあるものとすることができる。振動用傾斜アーム12の本数は特に限定されないが、あまり多くなりすぎると、重り13同士がぶつかってしまうおそれがある。また、楽器用共鳴補助具10の構造が複雑化し、製造時の手間やコストがかさむおそれもある。このため、振動用傾斜アーム12の本数は、10本以下とすると好ましく、8本以下とするとより好ましい。本実施態様においては、上述したように、5本の振動用傾斜アーム12を設けている。
振動用傾斜アーム12を複数本設ける場合において、振動用傾斜アーム12が取付面11aに対して為す角度θは、すべての振動用傾斜アーム12について同じにしてもよい。しかし、本実施態様においては、一の振動用傾斜アーム12が取付面11aに対して為す角度が、他の振動用傾斜アーム12が取付面11aに対して為す角度と異なるようにしている。具体的には、例えば、図3に示すように、第一アーム12aが取付面11aに対して為す角度θと、第三アーム12cが取付面11aに対して為す角度θとが異なるようにしている。これにより、第一アーム12aに取り付けた重り13と第三アーム12cに取り付けた重り13とが、より複雑に異なった動きをするようにして、楽器の音色をより複雑で深みのあるものとすることができる。
振動用傾斜アーム12を複数本設ける場合においては、全ての振動用傾斜アーム12を同じ長さとすることもできるが、複数本の振動用傾斜アーム12のうち、一の振動用傾斜アーム12の長さと、他の振動用アームの長さとが異なるようにすると好ましい。これにより、それぞれの振動用傾斜アーム12に取り付けられた重り13がより複雑に異なった動きをするようにすることができる。
本実施態様においては、それぞれの振動用傾斜アーム12に重り13を1個ずつ取り付けている。しかし、一本の振動用傾斜アーム12に複数個の重り13を取り付けるようにしてもよい。振動用傾斜アーム12を複数本設ける場合や、一本だけ設けた振動用傾斜アーム12に複数個の重り13を取り付ける場合等、一つの楽器用共鳴補助具10に複数個の重り13を備える場合には、全ての重り13が同じ重さとなるようにしてもよいが、一の重り13の重さと、他の重り13の重さとが異なるようにすると好ましい。これにより、それぞれの重り13がより複雑に異なった動きをするようにすることができる。
重り13の形状は、特に限定されないが、本実施態様においては、図1に示すように、重り13を略円柱状に形成している。重り13は、楕円柱状や、多角柱状としてもよい。あるいは、重り13として、市販の金属ナット等を流用することもできる。重り13を振動用傾斜アーム12に対してどのように取り付けるかについても特に限定されないが、本実施態様においては、図3の拡大図に示すように、重り13にネジ穴13aを設けており、後で詳しく説明するように、このネジ穴13aに振動用傾斜アーム12の先端側部分12fを螺合させることによって重り13を振動用傾斜アーム12に対して取り付けている。
図5は、楽器用共鳴補助具10の重り13を取り外して示した図である。図5(a)は、重り13全体の斜視図であり、図5(b)は、重り13を図5(a)のA−A線で切断した断面図である。本実施態様においては、図1に示すように、振動用傾斜アーム12が重り13の重心を通るようにしている。しかし、図5に示すように、振動用傾斜アーム12の通り道であるネジ穴13aが、重り13の重心以外の箇所を通るようにすることも好ましい。換言すると、重り13が、偏心した状態で振動用傾斜アーム12に取り付けられるようにすると好ましい。これにより、重り13の重みが振動用傾斜アーム12に対してより不均一にかかりやすくして、重り13がより複雑に振動するようにすることができる。
重り13を柱状に形成する場合において、重り13の厚みをどの程度にするかは、重り13の材質や振動用傾斜アーム12の材質及び太さ等によっても異なり、特に限定されない。しかし、重り13の幅W(図5(b)を参照。重り13を円柱状とする場合には、その底面の直径のこと。重り13を円柱以外の柱状とする場合には、底面の最長幅のこと。以下同じ。)に対して、厚みTを大きくしすぎると、図5に示すように振動用傾斜アーム12に対して重り13を偏心させて取り付けるようにした場合に、その効果が得られにくくなるおそれがある。このため、重り13の幅Wに対する厚みTの比T/Wは、2.0以下とすると好ましく、1.0以下とするとより好ましい。一方、重り13の厚みTを小さくしすぎると、重り13の重さを確保しにくくなり、重り13が振動しにくくなるおそれがある。このため、比T/Wは、0.2以上とすると好ましく、0.4以上とするとより好ましい。本実施態様のように、振動用傾斜アーム12として、細い金属線や竹等、振動に反応しやすいものを採用する場合には、比T/Wを0.5程度とすることが好ましい。
重り13は、所望の重さを実現可能であれば、その素材を特に限定されない。重り13は、例えば、金属、ゴム、樹脂、竹、木、繊維、ガラス、陶器等で形成することができる。本実施態様においては、重り13を金属製としている。
本実施態様においては、図1に示すように、可動部材11cを略円柱状に形成しており、5本の振動用傾斜アーム12を可動部材11cの外周面に放射状に取り付けている。しかし、可動部材11cの形状や、複数本の振動用傾斜アーム12を可動部材11cにどのように取り付けるかについては、これに限定されない。例えば、可動部材11cを、取付基部11aの取付面11aに略平行に配された棒状部材とし、複数の振動用傾斜アーム12を、その棒状部材の長手方向に並べて配するようにしてもよい。
ところで、既に述べたように、楽器は、同じ職人が同じ材料を用いて製作したものであっても、その細部構造や音の響き方に一つ一つ個性が出るものである。また、「良い音色」を一義的に定義することは難しく、人によって好みが分かれるところである。このため、本実施態様においては、楽器の個性や、その楽器を演奏する人の好みに合わせて、楽器用共鳴補助具10を細かく調節することができるようにしている。
具体的には、振動用傾斜アーム12を支持する可動部材11cを、取付基部11aに対して進退させることができるようにしている。すなわち、図3に示すように、ガイド部材11bの外周面にはネジ山11bが設けられており、可動部材11cの略中央部分にはネジ穴11cが設けられていて、可動部材11cがガイド部材11bに螺合された状態となっている。可動部材11cをガイド部材11bに対して回転させると、ガイド部材11b上における可動部材11cの位置を移動させることができる。ガイド部材11bは、取付基部11aの取付面11aに対して略垂直に設けられているため、可動部材11cをガイド部材11b上で移動させることで、可動部材11cを取付面11aに対して略垂直な方向に進退させることができる。これにより、楽器の面状部分に対する振動用傾斜アーム12の位置を変化させて、重り13が所望の態様で振動するように調節することができるようになっている。
ここで、可動部材11cの位置を調節した後にも可動部材11cがガイド部材11b上を移動可能なままとした場合には、楽器に振動が加わること等によって可動部材11cの位置が変わってしまい、再度調整を行わなければならなくなるおそれがある。このため、本発明においては、調整後の可動部材11cをガイド部材11bに対して動かないようにすることができる可動部材固定機構を設けることが好ましい。このような機構としては、例えば、ネジ穴11c部分にいわゆる「緩まないネジ」の構造を採用することが考えられる。あるいは、ガイド部材11bの外周面に固定することができるストッパ部材を別に用意し、これをガイド部材11bにおける可動部材11cの両脇に取り付けることによって、可動部材11cがそれ以上進退移動できないようにしてもよい。
可動部材11cがガイド部材11b上を移動できるようにするための構造は、上記の螺合構造に限定されない。例えば、ガイド部材11bにレール溝を形成し、そのレール溝に係合可能なレール用突起を可動部材11cに設けて、レール用突起がレール溝内を移動することによって、可動部材11cがガイド部材11b上を移動できるようにしてもよい。あるいは、可動部材11cを、弾性材料で形成された筒状部材とし、その筒状部材の内周寸法が、ガイド部材11bの外周寸法と略一致するようにすることもできる。この場合には、ガイド部材11bの外周壁と可動部材11cの内周壁との間に比較的大きな摩擦力が生じるため、可動部材11cをガイド部材11b上で移動させる際には一定以上の力を加える必要がある反面、可動部材固定機構を設けなくとも、この摩擦力によって可動部材11cがガイド部材11bに対して動かないようにすることができる。
本実施態様の楽器用共鳴補助具10においては、可動部材11cの位置を調節できることに加えて、振動用傾斜アーム12上における重り13の位置も調節することができるようになっている。具体的には、図3の拡大図に示すように、重り13に設けられたネジ穴13aに、振動用傾斜アーム12の先端側部分12fにおける外面に設けられたネジ山12hが螺合された状態となっている。これにより、重り13を振動用傾斜アーム12に対して回転させることで、ガイド部材11b及び可動部材11cの場合と同様に、振動用傾斜アーム12上における重り13の位置を移動させて、重り13が所望の態様で振動するように調節することができるようになっている。
重り13を振動用傾斜アーム12上で移動可能とする場合にも、可動部材11をガイド部材11b上で移動可能とする場合と同様、調整後の重り13が振動用傾斜アーム12に対して動かないようにすることができる重り固定機構を設けることが好ましい。このような重り固定機構としては、可動部材固定機構の例として挙げた構成と同様の構成を採用することができる。
重り13を振動用傾斜アーム12上で移動可能とするための機構は、上記の螺合構造に限定されない。この機構としては、可動部材11cをガイド部材11b上で移動可能とするための機構として例示した構成と同様の構成を採用することができる。また、振動用傾斜アーム12上における重り13の位置を調節する必要がない場合等には、このような機構自体を設けず、重り13を振動用傾斜アーム12に対して始めから固定して取り付けるようにしてもよい。
図6は、他の実施態様の楽器用共鳴補助具10を、ガイド部材11bの中心線を含む平面で切断した断面図である。以上で説明した図1〜図3に示す実施形態においては、振動用傾斜アーム12が、取付面11aから遠ざかる向きに突出して設けられていた。換言すると、振動用傾斜アーム12の先端側部分12fと根元側部分12gとのうち、根元側部分12gの方が取付面11aに近くなっていた(以下、このような振動用傾斜アーム12を「離反型アーム」と呼ぶことがある。)。しかし、本発明の楽器用共鳴補助具10においては、図6に示すように、振動用傾斜アーム12を、取付面11aに近付く向きに突出して設けることもできる。換言すると、振動用傾斜アーム12の先端側部分12fと根元側部分12gとのうち、先端側部分12fの方が取付面11aに近くなるようにすることもできる(以下、このような振動用傾斜アーム12を「接近型アーム」と呼ぶことがある。)。一つの楽器用共鳴補助具10に複数の振動用傾斜アーム12を設ける場合には、離反型アームと接近型アームとを混在させてもよい。
楽器用共鳴補助具10は、これを取り付ける楽器の種類を特に限定されず、面状部分を有する楽器であれば、どのような楽器にでも取り付けることができる。このような楽器としては、例えば、弦楽器や、管楽器や、打楽器等が挙げられる。より具体的には、弦楽器としては、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、ピアノ、ギター、ウクレレ、マンドリン、三味線、琵琶、胡弓、胡琴、琴、ハープ等が例示される。管楽器としては、篠笛、龍笛、神楽笛、能管、尺八、フルート、ピッコロ、クラリネット、オーボエ、ファゴット、トランペット、コルネット、トロンボーン、ホルン、サクソフォン、ユーフォニアム、チューバ、リコーダー、パイプオルガン等が例示される。打楽器としては、各種太鼓、ティンパニ、ドラム、タンバリン、シロフォン、マリンバ、メタロフォン等が例示される。
楽器用共鳴補助具10を、楽器におけるどの部分に取り付けるかは、楽器の種類によっても異なり、特に限定されない。楽器用共鳴補助具10は、その楽器における良く振動する部分に取り付けることが好ましい。例えば、バイオリン等の共鳴胴を有する楽器においては、共鳴胴内に楽器用共鳴補助具10を取り付けると好ましい。一方、ピアノ等の共鳴板を有する楽器においては、共鳴板に楽器用共鳴補助具10を取り付けると好ましい。管楽器については、管の内部に楽器用共鳴補助具10を取り付けることが好ましいが、ベルを有する金管楽器や木管楽器においては、特に、そのベル内に楽器用共鳴補助具10を取り付けることが好ましい。楽器用共鳴補助具10は、一つの楽器に対して一つだけ取り付けてもよいし、複数個取り付けてもよい。
図2に示す例においては、楽器用共鳴補助具10を、バイオリン90の表板92の裏面にしっかりと固定して取り付けている。すなわち、接着剤や金具やビス等を用いて、楽器取付部11の取付面11aを表板92の裏面に直接固定している(以下、このような取付方法のことを、「本取付」と呼ぶことがある。)。このようにすることで、バイオリン90に多少の衝撃が加わったとしても、容易には楽器用共鳴補助具10の位置がずれることや、楽器用共鳴補助具10が表板92から外れてしまうことがないようにしている。
一方、本発明の楽器用共鳴補助具10は、楽器における面状部分に対して着脱可能な状態で取り付けることもできる。具体的には、例えば、楽器取付部11における取付面11a又はその内側に磁石を取り付けておき、楽器における面状部分に磁石に引き寄せられる種類の金属板を取り付けることで、楽器用共鳴補助具10を容易に着脱可能な状態で楽器の面状部分に取り付けることができる。これにより、既存の楽器に本発明の楽器用共鳴補助具10を試し付けして、その音色の変化を体験することができる。また、本取付を行う際に、楽器の音色を確認しながら楽器用共鳴補助具10を取り付ける位置を調節することもできる。
10 楽器用共鳴補助具
11 楽器取付部
11a 取付基部
11a 取付面
11b ガイド部材
11b ネジ山
11c 可動部材
11c ネジ穴
12 振動用傾斜アーム
12a 第一アーム
12b 第二アーム
12c 第三アーム
12d 第四アーム
12e 第五アーム
12f 先端側部分
12g 根元側部分
12h ネジ山
13 重り
13a ネジ穴
90 バイオリン
91 共鳴胴
92 表板
93 弦

Claims (5)

  1. 楽器における面状部分に取り付けて使用する楽器用共鳴補助具であって、
    楽器の面状部分に取り付けられる取付面を有する楽器取付部と、
    前記取付面に対して非垂直な状態で楽器取付部に支持された振動用傾斜アームと、
    振動用傾斜アームに取り付けられた重りと、
    を備え
    楽器取付部が、
    前記取付面を有し、楽器の面状部分に取り付けられる取付基部と、
    前記取付面に略垂直な方向に進退可能に設けられた可動部材と、
    取付基部に対して可動部材を進退可能にガイドするためのガイド部材と
    を備えるとともに、
    振動用傾斜アームが可動部材に支持された
    ことを特徴とする楽器用共鳴補助具。
  2. 楽器における面状部分に取り付けて使用する楽器用共鳴補助具であって、
    楽器の面状部分に取り付けられる取付面を有する楽器取付部と、
    前記取付面に対して非垂直な状態で楽器取付部に支持された複数本の振動用傾斜アームと、
    それぞれの振動用傾斜アームに取り付けられた重りと、
    を備え
    複数本の振動用傾斜アームのうち、一の振動用傾斜アームが前記取付面に対して為す角度が、他の振動用傾斜アームが前記取付面に対して為す角度と異なる
    ことを特徴とする楽器用共鳴補助具。
  3. 楽器における面状部分に取り付けて使用する楽器用共鳴補助具であって、
    楽器の面状部分に取り付けられる取付面を有する楽器取付部と、
    前記取付面に対して非垂直な状態で楽器取付部に支持されるとともに、前記取付面に垂直な方向から見て互いに異なる向きに配された複数本の棒状の振動用傾斜アームと、
    それぞれの振動用傾斜アームに取り付けられた重りと、
    を備えた
    ことを特徴とする楽器用共鳴補助具。
  4. 請求項1〜いずれか記載の楽器用共鳴補助具を取り付けた楽器。
  5. 空洞部を有し、その空洞部内に請求項1〜3いずれか記載の楽器用共鳴補助具が取り付けられた楽器。
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