JP6570204B2 - 貼布剤用離型フィルム、及びそれを用いた経皮吸収貼布剤 - Google Patents

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本発明は、経皮吸収貼布剤に使用される貼布剤用離型フィルム、およびその貼布剤用離型フィルムを使用した経皮吸収貼布剤に関するものである。
さらに詳細には、経皮吸収貼布剤から剥離した後の貼布剤用離型フィルムを、誤って床等に落下させても、貼布剤用離型フィルムが落下していることを容易に視認できるとともに、落下した貼布剤用離型フィルムを拾い上げ易くした貼布剤用離型フィルムである。かつ、経皮吸収貼布剤を使用する時の作業性を落とすことなく、貼布剤用離型フィルムを廃棄する時の廃棄物量を減容でき、安価な貼布剤用離型フィルムを提供するものである。また、本発明は、該貼布剤用離型フィルムを使用した経皮吸収貼布剤を提供するものである。
従来より、経皮吸収貼布剤には、経皮吸収剤層(薬効成分を含有した粘着剤層)の保護のために、貼布剤用離型紙や貼布剤用離型フィルムが使用されている。貼布剤用離型紙の場合、経皮吸収剤への紙粉の混入が避けられないことや、経皮吸収剤の薬効成分を離型紙が吸着してしまう可能性があることなどから、近年は、貼布剤用離型紙から貼布剤用離型フィルムへの切り替えが進んでいる。
貼布剤用離型フィルムに関して、特許文献1には、基材のポリエチレンテレフタレートフィルムに、シリコーン処理した貼布剤用剥離フィルムが提案されている。また、特許文献2には、基材にポリエチレンナフタレートフィルムを用いた貼布剤用離型フィルムが提案されている。ところが、透明な樹脂フィルムを基材として用いた貼布剤用離型フィルムは、経皮吸収貼布剤から剥離した後に、その貼布剤用離型フィルムが床などに落ちていても視認されず、誤ってその貼布剤用離型フィルムを足で踏んだ時に、滑って不測の事故を起こす恐れがあるなどの問題点がある。
そのため、特許文献3には、基材が積層された構成であって、視認性付与機能を有する中間層を備えた貼布剤用離型フィルムが提案されている。視認性を有する中間層を設けたことにより、経皮吸収貼布剤から剥離した後に、その貼布剤用離型フィルムを床などに落とした場合にも、貼布剤用離型フィルムが落ちていることを視認できるが、貼布剤用離型フィルムの表面が平滑であったり、剥離剤塗工面が滑りやすかったりして、落ちている貼布剤用離型フィルムを拾い上げることが難しかった。特に、経皮吸収貼布剤を使用する頻度の高い高齢者や病弱な人にとっては、床面に落ちている貼布剤用離型フィルムを、前傾姿勢で拾い上げることが非常に難儀であるという問題があった。
一方、近年、ジェネリック医薬品の台頭や薬価の改定により、経皮吸収貼布剤の薬価が低下する傾向にあり、貼布剤用離型フィルムに対しても、より安価なものが求められている。また、社会全体として、自然環境に与える負荷を低減させることへの配慮が、重要な課題となってきている。貼布剤用離型フィルムは、経皮吸収貼布剤を使用する際に、剥がして廃棄される。そのため、自然環境面への配慮として、廃棄時のゴミの減容が重要になってきている。廃棄時のゴミの減容化および安価な貼布剤用離型フィルムを提供するために、貼布剤用離型フィルムに使用するフィルムの厚さを薄くする方策が考えられるが、この場合には、床面に落とした貼布剤用離型フィルムを拾い上げる際に、貼布剤用離型フィルムの厚みが薄いために、指でつまむことが難しく、拾い上げる困難さが更に増加することが問題になる。また、経皮吸収貼布剤から貼布剤用離型フィルムを剥がしにくくなるため、経皮吸収貼布剤の貼付操作性も悪化する問題があった。
特開平6−256178号公報 特開平9−263532号公報 特開2000−290174号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、経皮吸収貼布剤を使用する時に、貼布剤用離型フィルムを落とした場合であっても、視認性が良く、拾い上げ易い貼布剤用離型フィルムを提供するもので、かつ、経皮吸収貼布剤を使用する時の貼付操作性も従来の貼布剤用離型フィルムと遜色なく、従来の貼布剤用離型フィルムよりもコスト的に安価であり、貼布剤用離型フィルムを廃棄した際の廃棄物を減容できる貼布剤用離型フィルムを提供することを課題とする。また、該貼布剤用離型フィルムを使用した経皮吸収貼布剤を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、経皮吸収貼布剤に貼合する貼布剤用離型フィルムであって、基材フィルムの片面に離型処理が施され、離型剤層が積層されており、前記基材フィルムの反対側の面の、少なくとも1カ所の縁部に、または全周(4つの縁部)に、パターン化し樹脂コート層が積層されてり、前記樹脂コート層のパターンが、(A)ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ニトロセルロース(硝化綿)からなる群から選択された1種以上の樹脂と、(B)顔料、染料、色素、金属微粒子、金属酸化物粒子、樹脂微粒子、天然鉱物の微粒子、カーボンブラック、ガラスビーズからなる群から選択された1種以上と、を含有する樹脂組成物を塗布して形成された薄膜の樹脂コート層のパターンであることを特徴とする貼布剤用離型フィルムを提供する。
また前記基材フィルムが、ポリエステルフィルムであり、前記離型処理の離型剤が、シリコーン系離型剤であることが好ましい。
また、本発明は、前記の貼布剤用離型フィルムを使用した経皮吸収貼布剤を提供する。
本発明によれば、経皮吸収貼布剤を使用する時に、経皮吸収貼布剤から剥離した貼布剤用離型フィルムを、床面に落とした場合であっても、視認性が良く、指につまんで拾い上げ易い貼布剤用離型フィルムが提供できる。かつ、経皮吸収貼布剤を使用する時の貼付操作性も、従来の貼布剤用離型フィルムと遜色なく、従来の貼布剤用離型フィルムよりもコスト的に安価であり、貼布剤用離型フィルムを廃棄した際の廃棄物を減容できる貼布剤用離型フィルムを提供できる。
また、本発明は、該貼布剤用離型フィルムを使用した経皮吸収貼布剤を提供することができる。
本発明の貼布剤用離型フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の貼布剤用離型フィルムを使用した経皮吸収貼布剤の一例を模式的に示す、(a)平面図、及び(b)断面図である。 本発明の貼布剤用離型フィルムの一例を模式的に示す平面図である。 本発明の貼布剤用離型フィルムの、他の一例を模式的に示す平面図である。 本発明の貼布剤用離型フィルムの、他の一例を模式的に示す平面図である。 本発明の貼布剤用離型フィルムの、他の一例を模式的に示す平面図である。 本発明の貼布剤用離型フィルムの、他の一例を模式的に示す平面図である。
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の貼布剤用離型フィルムの一例を模式的に示す断面図であって、基材フィルム1の片面に、離型剤層2を形成し、経皮吸収貼布剤の形態にした時に貼布剤用離型フィルムの縁部の少なくとも一カ所に、厚さが他の部分よりも厚くなるように、貼布剤用離型フィルムの離型処理され離型剤層が積層された面(以下、離型処理面という)に対して反対側の面に、樹脂コート層3を設けた貼布剤用離型フィルム10である。図2はその貼布剤用離型フィルム10を用いた経皮吸収貼布剤11の一例である。
本発明に用いられる基材フィルム1としては、好適には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムが用いられる。ポリエステルフィルムのほか、必要な強度や適度なコシを有し、かつ、薬剤吸着などが少ないものであれば、他のプラスチックフィルムも使用可能である。基材フィルム1は、無延伸フィルムであっても、一軸または二軸延伸されたフィルムであってもよい。
基材フィルム1の厚みは、特に限定はないが、例えば、12〜188μm程度の厚みが好ましく、25〜75μm程度の厚みであれば取り扱い易く、より好ましい。必要に応じて、基材フィルム1の表面に、コロナ放電による表面改質、アンカーコート剤の塗布などの易接着処理を施してもよい。
また、必要に応じて基材フィルムの片面もしくは両面に、商品名や使用方法、注意事項などを記載するため、印刷層を設けても良い。
本発明の離型剤層2として用いられる離型剤は、シリコーン系離型剤が好適である。シリコーン系離型剤のほか、適度な剥離性能を有し、かつ、薬剤や経皮吸収剤の粘着層の粘着性に悪影響を及ぼさないものであれば、他の離型剤も使用可能である。
離型剤の硬化タイプは、特に制限されない。付加反応型や縮合反応型などの加熱硬化タイプでも良いし、紫外線硬化タイプや電子線硬化タイプのいずれでも良い。離型剤の塗布は、公知の方法で行なえばよく、特に限定されるものではないが、メイヤバー工法、グラビア工法、リバースロール工法、エアーナイフ工法、多段ロール工法などが挙げられる。
本発明では、貼布剤用離型フィルムを、床面に落とした際の視認性向上、および床面に落とした貼布剤用離型フィルムを拾い上げる際の、作業性が良好な貼布剤用離型フィルムを得るために、経皮吸収貼布剤の形態にした時に貼布剤用離型フィルムの縁部の少なくとも一カ所に、かつ、厚さが他の部分よりも厚くなるように、貼布剤用離型フィルムの離型処理面に対して反対側の面に、視認性のある樹脂コート層を設けたことを特徴とする。
当該樹脂コート層を設けたことで、貼布剤用離型フィルムを、床面に落とした際の視認性向上、および床面に落とした貼布剤用離型フィルムを拾い上げる際の、作業性が良好なるばかりでなく、経皮吸収貼布剤を使用する時の作業性も改善する。そのため、比較的に腰の弱い、厚さが従来品と比較して薄い基材フィルムを使用した場合でも、経皮吸収貼布剤を使用する時の作業性を落とすことがなく、かつ、貼布剤用離型フィルムを、床面に落とした際の視認性向上、および床面に落とした貼布剤用離型フィルムを拾い上げる際の作業性が良好となる。その結果、経皮吸収貼布剤を使用する時の作業性の点から、貼布剤用離型フィルムの厚みを薄くすることが難かった従来品よりも、厚さが薄い貼布剤用離型フィルムも使用できる。また、貼布剤用離型フィルムを廃棄する時の、ゴミの減容および貼布剤用離型フィルム自体のコスト低減を図ることができる。
樹脂コート層3に用いられる樹脂としては、基材フィルム1との密着性が良好で、かつ、耐摩耗性など耐久性に優れる樹脂が良い。樹脂コート層3は、視認性の可能な樹脂が良く、このような樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ニトロセルロース(硝化綿)、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。樹脂コート層3に用いる樹脂は、1種でも2種以上でもよい。
樹脂コート層3には、視認性を向上させるため、色素、顔料、染料、金属微粒子、金属酸化物粒子、樹脂微粒子、天然鉱物の微粒子、カーボンブラック、ガラスビーズ、などの着色材や、着色材の分散性を高める分散剤、耐久性を高めるための架橋剤などを添加しても良い。着色材、分散剤、架橋剤等の添加は、それぞれ1種でも2種以上でもよい。
また、印刷等別の方法で基材フィルム1に視認性を付与する場合においては、樹脂自体に視認性がない樹脂コート層3も使用できる。貼布剤用離型フィルムの意匠性を高めるために、印刷等で基材フィルム1に意匠性を付け、樹脂コート層3に透明樹脂を用いて、貼布剤用離型フィルムの拾い上げ性や、経皮吸収貼布剤を使用する時の作業性の改善を行ってもよい。
樹脂コート層は、貼布剤用離型フィルムの離型処理面に対して反対側の面(背面)に、経皮吸収貼布剤の形態にした時に、貼布剤用離型フィルムの縁部の少なくとも一カ所に設ける。経皮吸収貼布剤の形態にした時の貼布剤用離型フィルムの縁部に樹脂コート層を設けることで、貼布剤用離型フィルムの拾い上げ性が向上する。貼布剤用離型フィルムが床等に離型処理面を下にして落ちた場合には、縁部の樹脂コート層に指が掛りやすくなることから拾い上げ性が向上し、反対に離型処理面を上にして落ちた場合には、貼布剤用離型フィルムが樹脂コート層を施していない部分で浮き、手で掴みやすくなる。貼布剤用離型フィルムの落ち方に関係なく拾い上げ性が向上する。
また、経皮吸収貼布剤の形態にした時の貼布剤用離型フィルムの縁部に樹脂コート層を設けることで、貼布剤用離型フィルムの縁部のフィルムのコシが硬くなるため、経皮吸収貼布剤を使用する時に貼布剤用離型フィルムが剥がし易くなり、経皮吸収貼布剤を使用する時(貼付時)の作業性も改善することとなる。
樹脂コート層3の最適な厚さは、使用する樹脂の滑り性や樹脂を塗布する面積、使用する基材フィルム1の種類、厚さなどにより異なる。樹脂コート層3の厚さは、使用する樹脂、フィルムに合わせれば良いが、通常1〜50μm、より好ましくは2〜20μmが良い。樹脂コート層が1μm未満では、貼布剤用離型フィルムの拾い上げ性および経皮吸収貼布剤を使用する時(貼付時)の作業性が悪く、50μmを越える厚さでは、貼布剤用離型フィルムをロール状にした時に、貼布剤用離型フィルムの変形やロールの巻ズレの原因となる。また、経皮吸収貼布剤にした時のハンドリング性が低下する虞がある。
樹脂コート層は、所定の滑り性の範囲にあるものが望ましい。すなわち、ポリエステルフィルムに、樹脂コート層を形成するための樹脂組成物をベタで塗工したサンプルのJIS K7125に準じた樹脂コート層表面同志の動摩擦係数が0.1〜0.8の範囲にある樹脂を用いることが望ましい。動摩擦係数が0.1未満の樹脂を使用すると、貼布剤用離型フィルムを拾い上げる時に滑りやすく、指が引っ掛かりにくくなる。また、経皮吸収貼布剤を重ねる際に、滑りすぎて作業性が悪くなる。一方、動摩擦係数が0.8を越える樹脂を使用すると、外装袋から経皮吸収貼布剤を取り出し難くなる。
基材フィルム1への樹脂コート層3の塗布は、公知の方法で行なえばよく、特に限定されるものではないが、グラビア工法、スクリーン印刷法、インクシェットプリント法、凸版印刷法などが挙げられる。ロール状態の貼布剤用離型フィルムに、ロール ツー ロールで樹脂コート層を塗布する方法でも、シート状態で塗布する方法でもどちらでもよい。塗布により樹脂コート層を形成するときに用いる樹脂組成物は、1種以上の樹脂を含有し、適宜、着色材、分散剤、架橋剤等を添加したものを用いることができる。
樹脂コート層3は、基材フィルムの背面のうち、縁部以外の箇所に樹脂コート層を設けてもよく、背面の全面に樹脂コート層を設けてもよい。図1以外の例として、図3〜7が挙げられる。図3では、対向する2つの縁部に樹脂コート層3を設けている。図4では、離型フィルムの全周(4つの縁部)に樹脂コート層3を設けている。図5や図6では、離型フィルムに設けた切り込み12に沿った箇所にも樹脂コート層3を設けている。図7は、矩形状の貼布剤用離型フィルム10を円形の経皮吸収貼布剤11に使用した例である。基材フィルム1の表面では、縁部の樹脂コート層3と、その樹脂コート層3が形成されていない部分(中央部)との間に段差がある。図2(b)の断面図では、この段差を垂直な側面として図示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、樹脂コート層3との段差が傾斜面等であってもよい。
貼布剤用離型フィルム10において樹脂コート層3が形成される箇所は、経皮吸収貼布剤11の端部(エッジ部分)の一部または全部に対応する箇所を含むことが好ましい。図4の場合、経皮吸収貼布剤11の端部(エッジ部分)の全部(全周)に対応して、基材フィルム1の各辺に樹脂コート層3が形成されている。
本発明の貼布剤用離型フィルムを使用した経皮吸収貼布剤11は、貼布剤用離型フィルム10の離型剤層2が経皮吸収貼布剤11の経皮吸収剤層の粘着面に貼合されたものである。経皮吸収貼布剤11の構成は特に限定されないが、例えば支持体4の片面に経皮吸収剤層(薬効成分を含有した粘着剤層5)が積層された構成が挙げられる。
経皮吸収貼布剤11の支持体4は、経皮吸収貼布剤を使用する時に、薬効成分を含有した粘着剤層5の支持体となるもので、使用方法に合わせて選定すれば良く、特に限定されるものではない。従来から、経皮吸収貼布剤の用途に使用されている基布を、好適に用いることができる。具体的には、ポリオレフィンフィルム、塩化ビニルフィルム、不織布、などが使用できる。
経皮吸収貼布剤11の粘着剤層5には、経皮吸収貼布剤に一般的に使用される粘着剤を使用して良い。具体的には、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤などの粘着剤に薬効成分を混合した粘着剤で、形態としてはホットメルトタイプ、溶剤タイプ、エマルジョンタイプ等がある。
次に、実施例により、本発明をさらに説明する。
(実施例1の貼布剤用離型フィルム)
厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、離型剤として付加反応型シリコーン(東レ・ダウコーニング社製SRX−211 100重量部に対して、白金触媒SRX−212キャタリスト 0.6重量部になるように配合したもの)を乾燥後の厚さが0.1μmになるように塗布・乾燥させて、貼布剤用離型フィルムを作製した。得られた貼布剤用離型フィルムを、縦15cm、横12cmになるようにカットした。樹脂コート層として、アクリル系ハードコート剤(東洋インキ社製リオデュラスLCH)に青色顔料を添加したものを、貼布剤用離型フィルムの離型処理面に対して反対側の面の上部端部と下部端部の両方に、縦3cm、横12cmの大きさで、乾燥後の厚さが4μmとなるように、スクリーン印刷を行い、その後、紫外線を照射することにより樹脂コート層を硬化させ、貼布剤用離型フィルムを作製した。
(実施例2の貼布剤用離型フィルム)
樹脂コート層として、青色スクリーンインキ(十条ケミカル社製PET#9085)を、貼布剤用離型フィルムの離型処理面に対して反対側の面の上部端部と下部端部の両方に、縦3cm、横12cmの大きさで、乾燥後の厚さが4μmとなるように、スクリーン印刷を行い、その後、乾燥することにより樹脂コート層を硬化させた以外は、実施例1と同様にして、貼布剤用離型フィルムを作製した。
(実施例3の貼布剤用離型フィルム)
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚さを38μmにした以外は、実施例2と同様にして、貼布剤用離型フィルムを作製した。
(比較例1の貼布剤用離型フィルム)
貼布剤用離型フィルムの、離型処理面に対して反対側の面に樹脂コート層を施さなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の貼布剤用離型フィルムを作製した。
(比較例2の貼布剤用離型フィルム)
樹脂を施す場所および大きさを、貼布剤用離型フィルムの中央部に縦3cm、横8cmとした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の貼布剤用離型フィルムを作製した。
(比較例3の貼布剤用離型フィルム)
樹脂コート層として、ウレタン系樹脂(大同化成工業社製UN1175 100重量部に対して日本ポリウレタン工業社製硬化剤 コロネートHX 2重量部添加)に青色顔料を添加したものを、貼布剤用離型フィルムの離型処理面に対して反対側の面の上部端部と下部端部の両方に、縦3cm、横12cmの大きさで、乾燥後の厚さが4μmとなるように、スクリーン印刷を行い、その後、乾燥することにより、樹脂コート層を硬化させた以外は、実施例1と同様にして、貼布剤用離型フィルムを作製した。
(樹脂コート層の動摩擦係数の測定)
厚さ75μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに、貼布剤用離型フィルムの樹脂コート層を作製するときに用いた樹脂組成物をベタで塗布、乾燥・硬化して、樹脂コート層を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムを作製する。得られたサンプルの、樹脂コート層を塗布した面同志の動摩擦係数を、JIS K7125に準じた方法により測定する。ただし、樹脂コート層を設けていない比較例1の場合は、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム自体をサンプルとし、そのフィルム表面同志の動摩擦係数を測定した。
(貼布剤用離型フィルムの拾い上げ性)
得られた貼布剤用離型フィルムを、ガラス板およびアクリル板の上に、離型処理面が上になるように置く。ポリエチレン製手袋(アズワン社製サニメント手袋エンボスタイプ)を3枚重ねて手に付け、手袋をした手で、置いてある貼布剤用離型フィルムを、拾い上げた際の拾い上げに掛った時間を測定する。5回測定した平均値を、拾い上げ時間とした。同様に、離型処理面が下になるように置いた貼布剤用離型フィルムの、拾い上げ時間も測定した。
(経皮吸収貼布剤を使用する時の作業性)
得られた貼布剤用離型フィルムの、離型処理面に市販の経皮吸収貼布剤(久光製薬社製フェイタス(登録商標)3.5αLから貼布剤用離型フィルムを除去した膏体)を、2kgゴムローラーを用いて、気泡の入らないように貼合する。その後、23℃、50%RHの環境下に24時間放置後、手で経皮吸収貼布剤を貼布剤用離型フィルムから剥離する際の、作業のしやすさを官能検査した。
(経皮吸収貼布剤の取り出し性)
得られた貼布剤用離型フィルムの離型処理面に、市販の経皮吸収貼布剤(久光製薬社製フェイタス(登録商標)3.5αLから貼布剤用離型フィルムを除去した膏体)を、2kgゴムローラーを用いて、気泡の入らないように貼合する。できたサンプルを外装袋(ポリエステルフィルム/アルミ箔/ポリエチレンの積層フィルムからなる外装袋)の中に入れ、23℃、50%RHの環境下に24時間放置する。その後、サンプルを外装袋から取り出す際の、作業性を官能検査した。
Figure 0006570204
(評価結果)
評価結果を表1に示す。
表1の試験結果から、本件実施例1〜3はいずれも、貼布剤用離型フィルムの拾い上げ性および経皮吸収貼布剤の使用時の作業性が良好であった。かつ、実施例3のように、貼布剤用離型フィルムに使用するフィルムの厚さが薄いものでも、作業性は殆ど変わらない結果となった。このことから、作業性を低下させることなしに、廃棄時のゴミの減容、貼布剤用離型フィルムのコストダウンを図ることが可能となる。
一方、貼布剤用離型フィルムの離型処理面に対して反対側の面に、樹脂コート層を施さなかった比較例1や、樹脂コート層を離型フィルムの縁部に設けなかった比較例2では、貼布剤用離型フィルムの拾い上げ性および経皮吸収貼布剤の使用時の作業性が不良となった。また、動摩擦係数の大きい樹脂コート層を用いた比較例3でも、貼布剤用離型フィルムの拾い上げ性および経皮吸収貼布剤の外装袋からの取り出し時の作業性は良くなかった。
本発明は、経皮吸収貼布剤を使用する時に、貼布剤用離型フィルムを、床面に落とした場合であっても、視認性が良く、拾い上げ易い貼布剤用離型フィルムが提供できる。かつ、経皮吸収貼布剤を使用する時の貼付操作性も、従来の貼布剤用離型フィルムと遜色なく、従来の貼布剤用離型フィルムよりもコスト的に安価である。また、本発明は、貼布剤用離型フィルムを廃棄した際の、廃棄物を減容できる貼布剤用離型フィルムを提供できる。また、本発明は、該貼布剤用離型フィルムを使用した経皮吸収貼布剤を提供できる。
1…基材フィルム、2…離型剤層、3…樹脂コート層(樹脂コート処理した部分)、4…支持体、5…粘着剤層、10…貼布剤用離型フィルム、11…経皮吸収貼布剤、12…切り込み。

Claims (3)

  1. 経皮吸収貼布剤に貼合する貼布剤用離型フィルムであって、基材フィルムの片面に離型処理が施され、離型剤層が積層されており、前記基材フィルムの反対側の面の、少なくとも1カ所の縁部に、または全周(4つの縁部)に、パターン化した樹脂コート層が積層されてなり、
    前記樹脂コート層のパターンが、
    (A)ポリエステル樹脂、アクリル樹脂エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ニトロセルロース(硝化綿)からなる群から選択された1種以上の樹脂と、
    (B)顔料、染料、色素、金属微粒子、金属酸化物粒子、樹脂微粒子、天然鉱物の微粒子、カーボンブラック、ガラスビーズからなる群から選択された1種以上と、
    を含有する樹脂組成物を塗布して形成された薄膜の樹脂コート層のパターンであることを特徴とする貼布剤用離型フィルム。
  2. 前記基材フィルムが、ポリエステルフィルムであり、前記離型処理の離型剤が、シリコーン系離型剤であることを特徴とする請求項1に記載の貼布剤用離型フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載の貼布剤用離型フィルムを使用した経皮吸収貼布剤。
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