以下、本発明の第一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。
本実施形態に係るエレベータは、図1に示すように、建物に設けられた昇降路7内で昇降可能に設けられたかご1と、建物に固定され、昇降路7に沿って上下方向に延びるガイドレール(以下、かご用ガイドレールという)2と、かご用ガイドレール2に沿って移動可能に設けられ、上下方向と直交する横方向のかご1の移動を規制する案内部3(図2参照)とを備える。さらに、エレベータは、釣合い錘(所謂、カウンターウェイト)4と、釣合い錘4を案内する錘用ガイドレール5と、かご1と釣合い錘4とを連結するロープ6とを備える。
さらに、エレベータは、巻上機8と、該巻上機8を制御するための制御盤9と、エレベータの速度を調速するための調速機10とを備え、これらは、建物の屋上に設けられた機械室11内に配置される。また、エレベータは、昇降路7の下部に設けられた緩衝器12や、かご1のドアの開閉等を制御するかご制御装置23等を備える。また、エレベータは、かご1の横揺れを抑制するかご横揺れ抑制装置18を備える。
本実施形態において、かご用ガイドレール2は、かご1の横方向の両側に配置されている。すなわち、エレベータは、一対のかご用ガイドレール2,2を備える。各かご用ガイドレール2は、複数のレール部材を上下方向に一列に繋ぎ合わせて構成される。各レール部材は、断面形状及びサイズが共通する長尺状の鋼材で構成される。本実施形態において、レール部材は、断面T型をなすT型綱が採用されている。
これに伴い、かご用ガイドレール2の上下方向と直交する方向の断面形状(上下方向から見た断面形状)は、図3に示す如く、T字形状になっている。つまり、かご用ガイドレール2は、一定の幅を有する基部15と、該基部15の幅方向と交差する方向に突出する突出部16とを備える。
基部15は、建物の壁面などに支持される。突出部16は、上下方向に延びる帯板状をなし、長手方向と直交する幅方向の一方の端面が基部15に接続されている。これに伴い、突出部16の外面は、案内部3を案内する案内面17を構成する。本実施形態において、突出部16は、三つの案内面17…(17a,17b)を有する。具体的には、かご用ガイドレール2は、案内面17として、かご1に面対向する第一案内面17aと、該第一案内面17aに直交する一対の第二案内面17b,17bとを有する。第一案内面17aは、突出部16の幅方向の他方の端面であり、一対の第二案内面17b,17bは、突出部16の厚み方向の両面である。
案内部3は、図2に示す如く、かご1の両側に配置される一対のかご用ガイドレール2,2のそれぞれに対応して設けられる。本実施形態において、案内部3は、車輪と該車輪を回転自在に支持する車軸とを有するローラーガイドである。また、案内部3は、かご1の上側及び下側にそれぞれ設けられる。案内部3は、図3に示す如く、かご用ガイドレール2の複数の案内面17ごとに設けられる。具体的には、案内部3として、第一案内面17aに対応して設けられる第一案内部3aと、一対の第二案内面17b,17bのそれぞれに対応して設けられる一対の第二案内部3b,3bと、を備える。一対の第二案内部3b,3bは、それぞれ突出部16を挟んで線対称となるように配置されている。
図1に戻り、巻上機8には、かご1と釣合い錘4とを連結するロープ6が巻き掛けられている。これにより、巻上機8は、駆動することでロープ6を移動させ、かご1をかご用ガイドレール2に沿って昇降させるとともに、釣合い錘4を錘用ガイドレール5に沿って昇降させる。かご1は、ロープ6の一端に連結され、釣合い錘4は、ロープ6の他端に連結されている。これに伴い、巻上機8を駆動したときに、かご1と釣合い錘4とは、互いの進行方向を逆にして昇降する。これにより、巻上機8の負荷を低減し、小さな動力でかご1を昇降させることができる。調速機10は、かご1の昇降の速度が規定以上になったときに、かご1を停止させる。緩衝器12は、かご1に接触したときの衝撃を緩和する。
かご横揺れ抑制装置18は、図4に示すように、かご1に取り付けられ、案内部(ローラガイド)3をかご用ガイドレール2に押し付ける駆動部21と、昇降路7内における上下方向のかご1の位置を検出する位置検出部22と、昇降路7内における上下方向のかご1の位置、及び該かご1の位置におけるかご1の横方向の加速度を互いに関連づけて予め記憶した記憶部24aと、位置検出部22の検出したかご1の位置に基づき、かご1の通過しようとする位置に対応するかご1の位置におけるかご1の横方向の加速度を記憶部24aから抽出するとともに、位置検出部22によるかご1の位置の検出に応じて、かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力を、少なくとも抽出されたかご1の横方向の加速度に基づいて導出される押し付け力に調整するように駆動部21を制御する制御部24bとを備える。
また、かご横揺れ抑制装置18は、上下方向に対して直交する横方向におけるかご1の加速度を計測する加速度計測部25を備える。更に、かご横揺れ抑制装置18は、かご1の昇降速度を計測する速度計測部26を備える。
本実施形態に係る駆動部21は、図2に示すように、複数の案内部3…のうちのかご1の下側に設けられる案内部3のそれぞれに対応して設けられる。本実施形態において、案内部3は、図3に示す如く、かご用ガイドレール2の複数の案内面17のそれぞれに対応して複数設けられているため、駆動部21は、案内部3毎に設けられる。
すなわち、本実施形態に係るかご横揺れ抑制装置18は、駆動部21として、第一案内部3aをかご用ガイドレール2(第一案内部3aと対向する第一案内面17a)に向けて推進させる第一の駆動部21aと、一対の第二案内部3b,3bのそれぞれをかご用ガイドレール2(第二案内部3bと対向する第二案内面17b)に向けて推進させる一対の第二の駆動部21b,21bとを備える。
本実施形態において、かご用ガイドレール2は、かご1の両側に設けられているため、図2に示す如く、第一の駆動部21a及び一対の第二の駆動部21b,21bは、一対のかご用ガイドレール2,2のそれぞれに対応して設けられる。
駆動部21は、案内部3を往復動させるアクチュエータである。各駆動部21は、案内部3を移動させようとする力により、案内部3に推進力を付与する。すなわち、駆動部21は、図3に示すように、かご用ガイドレール2の対向する案内面17と直交する方向に案内部3を推進させる。これにより、駆動部21は、案内部3を対向するかご用ガイドレール2の案内面17に押し付ける。
本実施形態においては、上述の如く、駆動部21として、第一の駆動部21a及び第二の駆動部21bが設けられ、案内面17として、第一案内面17a及び第二案内面17bが設けられ、案内部3として、第一案内部3a及び第二案内部3bが設けられている。そのため、第一の駆動部21aは、第一案内面17aと直交する方向に第一案内部3aを推進させ、第一案内部3aを対向する第一案内面17aに押し付ける。これに対し、第二の駆動部21bは、第二案内面17bと直交する方向に第二案内部3bを推進させ、第二案内部3bを対向する第二案内面17bに押し付ける。
位置検出部22は、図2に示すように、昇降路7の上下方向の位置(高さ)に関する情報を有し且つかご1の昇降範囲に設けられた被検出体22aと、該被検出体22aの情報(位置に関する情報)を取得する検出部22bとによって構成される。
本実施形態において、位置検出部22は、一対のガイドレール2,2のうちの一方のガイドレール2に対応して設けられる。
具体的には、被検出体22aは、一方のガイドレール2に取り付けられている。ここでは、被検出体22aは、昇降路7内の最上部から最下部まで設置されている。すなわち、被検出体22aは、最低階から最上階に亘って配置されている。被検出体22aは、長尺なテープであり、昇降路7における上下方向の位置(高さ)に関する情報を有する複数の二次元バーコードが長手方向に間隔をあけて印字されている。
検出部22bは、かご1に取り付けられている。検出部22bは、一方のガイドレール2に取り付けられた被検出体22aを検出可能な位置に配置される。本実施形態において、検出部22bは、被検出体22aの二次元バーコードを読み取る画像認識機能を有する。検出部22bは、被検出体22aの二次元バーコードを読み取ることにより、二次元バーコードから昇降路7における上下方向の位置に関する情報を取得する。
位置検出部22(検出部22b)は、図4に示す如く、取得した情報を制御部24bなどの外部に出力可能に構成されている。すなわち、位置検出部22(検出部22b)は、昇降路7における上下方向の位置に関する情報を外部に出力する。このように、位置検出部22は、検出部22bによる被検出体22aに対する検知を行うことで、昇降路7内における上下方向のかご1の位置(高さ)を検出する。
記憶部24aは、情報を書き換え可能又は書き込み可能な記憶装置であり、例えば、RAM、ROM、外部メモリ、ハードディスク装置等が採用される。
記憶部24aは、上述の如く、昇降路7内における上下方向のかご1の位置、及び該かご1の位置におけるかご1の横方向の加速度を互いに関連づけて記憶している。なお、以下の説明において、かご1の横方向の加速度に関し、「横方向の」という特定を省略して単にかご1の加速度ということとするが、「かご1の加速度」は、上下方向と直交する横方向の加速度を意味することには変わりはない。
ここで、記憶部24aに記憶される情報について説明する。昇降路7内における上下方向のかご1の位置は、かご1の昇降範囲内で上下方向に所定の間隔をあけて設定される複数の位置のそれぞれのことである。すなわち、昇降路7内における上下方向のかご1の位置は、基準となる位置(例えば、最下部の位置)から上下方向で距離を異にする複数の位置のそれぞれを意味する。本実施形態の位置検出部22において、検出部22bが被検出体22aに設けられた複数の二次元バーコードのそれぞれを検出するようになっているため、記憶部24aに記憶されるかご1の位置(複数の位置)は、被検出体22aの複数の二次元バーコードの位置と一致している。
記憶部24aに記憶されるかご1の加速度は、予め加速度計測部25で実測して取得したもので、かご1が最下階と最上階とを昇降する間における横方向(水平方向)の成分の加速度である。すなわち、記憶部24aに記憶されるかご1の加速度とは、昇降路7内における上下方向の複数の位置のそれぞれで予め測定されたかご1の加速度を意味する。
従って、記憶部24aは、設定された複数のかご1の位置のそれぞれに対して対応するかご1の加速度が関連づけられた状態で記憶している。
本実施形態において、かご1の加速度として、かご用ガイドレール2の延びる上下方向と直交する第一の方向の加速度と、上下方向及び第一の方向と直交する第二の方向の加速度とが記憶部24aに記憶されている。すなわち、かご1の加速度(記憶部24aに記憶したかご1の加速度)として、第一の駆動部21aを制御するために用いられるかご1の加速度(第一案内部3aが押し付けられる案内面17と直交する方向のかご1の加速度)と、第二の駆動部21bを制御するために用いられるかご1の加速度(第二案内部3bが押し付けられる案内面17と直交する方向のかご1の加速度)とが記憶部24aに記憶されている。
また、各位置におけるかご1の加速度(記憶部24aに記憶したかご1の加速度)として、かご1が最下階側から最上階側に向けて上昇するときに発生する加速度と、かご1が最上階側から最下階側に向けて下降するときに発生する加速度とが設定されている。
制御部24bは、位置検出部22の検出したかご1の位置に基づき、かご1の通過しようとする位置に対応するかご1の位置におけるかご1の加速度を記憶部24aから抽出するとともに、位置検出部22によるかご1の位置の検出に応じて、かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力を、少なくとも抽出されたかご1の加速度に基づいて導出される押し付け力に調整するように駆動部21を制御する。すなわち、制御部24bは、駆動部21(かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力)をフィードフォワード制御するようになっている。なお、かご1の加速度に基づいて導出される押し付け力とは、かご1の加速度から直接導出される力と所定の押し付け力(かご用ガイドレール2に対して案内部3が常時作用させる押し付け力(O以上の力))とを合計した力である。
また、本実施形態の制御部24bは、位置検出部22によるかご1の位置の検出に応じて、かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力を、抽出したかご1の加速度に基づいて導出される押し付け力と、加速度計測部25によって計測された加速度から導出される力とを合計した合算押し付け力に調整するように駆動部21を制御する。すなわち、制御部24bは、駆動部21(かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力)をフィードバック制御するようにもなっている。
本実施形態において、制御部24bにおける駆動部21の制御パターンには、二種類あり、上述のフィードバック制御のみの第一制御パターンと、上述のフィードフォワード制御に上述のフィードバック制御を組み合わせる第二制御パターンとが設定される。
ここで、制御部24bについて、具体的に説明すると、制御部24bは、図4に示すように、位置検出部22の検出結果に基づいて記憶部24aからかご1の加速度を抽出する加速度読出部30と、駆動部21の駆動によって得られる案内部3の推進力が加速度読出部30によって抽出されたかご1の加速度に基づいて導出される力となる案内部3の推進量(移動量)を制御指令電圧に変換するFF制御部31とを備える。
また、制御部24bは、駆動部21の駆動によって得られる案内部3の推進力が加速度計測部25から計測されたかご1の加速度から導出される力になる案内部3の推進量(移動量)を制御指令電圧に変換するFB制御部32と、FF制御部31から出力された制御指令電圧に、FB制御部32から出力された制御指令電圧を加算する加算器33と、を備える。
また、制御部24bは、加算部33からの制御指令電圧(案内部3の推進量と対応する制御指令電圧)を、該制御指令電圧に対応する推進量で案内部3を駆動部21によって推進させる制御信号に変換する変換部34を備える。さらに、制御部24bは、かご1の昇降速度が所定の速度以上であるか否かを判定する昇降速度判定部35を備える。さらに、制御部24bは、昇降路7内における上下方向のかご1の位置と関連付けてかご1の加速度を記憶部24aに記憶させる加速度記憶処理部36を備える。
変換部34は、加算部33からの制御指令電圧(案内部3の推進量と対応する制御指令電圧)と、該制御指令電圧に対応する推進量で案内部3を駆動部21によって推進させる制御信号とを対応付けて記憶する信号変換記憶部を備える(図示しない)。
変換部34は、加算器33を介したFF制御部31からの制御指令電圧、又は、加算器33を介したFF制御部31及びFB制御部32との加算結果の制御指令電圧に対応する制御信号を信号変換記憶部から抽出し、駆動部21に出力する。駆動部21は、この変換部34からの制御信号に基づいて、案内部3を所定の推進力を発揮させる推進量で推進させる。
昇降速度判定部35は、かご1の昇降速度が所定の速度以上であるとき、第二制御パターンで駆動部21を制御すると判断する一方、かご1の昇降速度が所定の速度未満のとき、第一制御パターンで駆動部21を制御すると判断する。つまり、制御部24bは、駆動部21の制御パターンを判定するための閾値として所定の速度を記憶している。
昇降速度判定部35は、かご1の昇降速度を閾値と比較し、かご1の昇降速度が所定の速度以上であると判定したとき、FF制御部31にフィードフォワード制御を開始する旨の信号(FF制御信号)を出力し、かご1の昇降速度が所定の速度未満であると判定したとき、FF制御部31にフィードフォワード制御を停止させるべく、FF制御信号の出力を停止する。
加速度記憶処理部36は、位置検出部22による検出で得られる昇降路7内における上下方向のかご1の位置と対応する上下方向のかご1の位置に関連付けられて記憶部24aに記憶されたかご1の加速度を、加速度計測部25による検出で得られたかご1の加速度に書き換えるように構成されている。
本実施形態に係る加速度記憶処理部36は、かご1の昇降を制御するエレベータ制御装置40に接続されており、該エレベータ制御装置40からかご1の昇降状態(上昇、下降)に関する情報を取得する。また、加速度記憶処理部36は、かご1の昇降状態に関する情報に加え、位置検出部22による検出で得られる昇降路7内における上下方向のかご1の位置、速度計測部26により得られるかご1の昇降速度、及び加速度計測部25により得られるかご1の加速度を取得する。
そして、加速度記憶処理部36は、昇降路7内における上下方向のかご1の位置、かご1の昇降状態及び昇降速度と関連付けられたかご1の加速度を記憶部24aに記憶する。昇降路7内における上下方向のかご1の位置、かご1の昇降状態及び昇降速度に関連付けて記憶するかご1の加速度が記憶部24aに既に記憶されている場合、加速度記憶処理部36は、昇降路7内における上下方向のかご1の位置、かご1の昇降状態及び昇降速度に関連付けられて記憶部24aに記憶されたかご1の加速度を、加速度計測部25による検出で得られたかご1の加速度に書き換える。
加速度記憶処理部36は、かご1の横揺れが発生しているときに、加速度計測部25が計測した加速度を記憶部24aに記憶する。
具体的には、加速度記憶処理部36は、かご1の加速度を取得するために、加速度計測部25が計測した通常運転前の試運転中のかご1の加速度を記憶部24aに記憶する。これに伴い、制御部24bは、かご1の横揺れが規制されていない状態でのかご1の加速度を加速度計測部25が計測できるように、試運転では駆動部21を駆動しないように制御し、該制御部24bに接続されたエレベータ制御装置40(かご1の昇降を制御するエレベータ制御装置40)が使用者や荷物が乗っていない状態でかご1を昇降させる。制御部24bには、エレベータ制御装置40からのかご1が上昇中である旨の情報及びかご1が下降中である旨の情報が入力される。
上記構成の記憶部24a及び制御部24bは、かご1に取り付けられた駆動部21の制御を行うためのものであるため、駆動部21とともにかご1に取り付けられている。本実施形態において、記憶部24a及び制御部24bは、かご1の上部に取り付けられたかご制御装置23内に配置される(図2参照)。
加速度計測部25は、かご1の横揺れ(横方向に振動)に伴って生じるかご1の加速度(水平加速度)を計測する。本実施形態において、加速度計測部25は、加速度センサである。加速度計測部25は、昇降中のかご1の加速度として、第一案内部3aが押し付けられる第一案内面17aと直交する方向のかご1の加速度と、第二案内部3bが押し付けられる第二案内面17bと直交する方向のかご1の加速度とを測定する。
加速度計測部25は、一対のガイドレール2,2のそれぞれに対応して一対設けられている。一対の加速度計測部25のそれぞれにより計測された加速度は、位置検出部22から検出された昇降路7内における上下方向のかご1の位置(複数箇所のそれぞれ)での加速度とされる。
速度計測部26は、巻上機8に取り付けられたエンコーダであり、ロープ6を移動速度からかご1の昇降速度を計測する。速度計測部26は、かご1の昇降速度を昇降速度判定部35や加速度読出部30などに出力可能に構成されている。
次に、上記構成のかご横揺れ抑制装置18によるかご横揺れ抑制方法(エレベータ用のかご横揺れ抑制方法)について、図4及び図5を参照しつつ詳細に説明する。
上記構成のかご横揺れ抑制装置18(かご横揺れ抑制方法)は、昇降路7内における上下方向のかご1の位置を位置検出部22によって検出するかご位置検出工程と、昇降路7内における上下方向のかご1の位置、及び該かご1の位置におけるかご1の加速度を互いに関連づけて予め記憶した記憶部24aから、かご位置検出工程によって検出されたかご1の位置と対応するかご1の位置におけるかご1の加速度を抽出する加速度抽出工程と、位置検出部22によるかご1の位置の検出に応じて、かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力を、少なくとも加速度抽出工程で抽出されたかご1の加速度に基づいて導出される押し付け力に調整するように駆動部21を制御する制御工程とを備える。
具体的に説明する。エレベータは、かご1の加速度を計測するためにかご1を昇降する試運転と、該試運転時に計測したかご1の加速度に基づいて駆動部21を制御し、かご1の横揺れが抑制された状態でかご1を昇降させる通常運転とを行う。
試運転において、かご1が昇降し始めると、図4に示すように、制御部24bの加速度記憶処理部36は、エレベータ制御装置40からかご1の昇降状態を取得する。そして、位置検出部22は、昇降路7内における上下方向のかご1の位置の検出を開始する。速度計測部26は、かご1の昇降速度の計測を開始する。加速度計測部25は、かご1の加速度の計測を開始する。
加速度記憶処理部36は、エレベータ制御装置40から取得したかご1の昇降状態と、位置検出部22の昇降路7内における上下方向のかご1の位置の検出結果と、速度計測部26のかご1の昇降速度の計測結果と、加速度計測部25のかご1の加速度の計測結果とを取得し、記憶部24aに記憶する。記憶部24aは、昇降路7内における上下方向のかご1の位置と、かご1の昇降状態と、かご1の昇降速度と、かご1の加速度とを対応付けて記憶する。そして、かご1の加速度の計測は、かご1が停止するまで繰り返される。
他方、通常運転において、かご1が昇降し始めると、位置検出部22は、昇降路7内における上下方向のかご1の位置の検出を開始する。速度計測部26は、かご1の昇降速度の計測を開始する。そして、位置検出部22は、昇降路7内における上下方向のかご1の位置を検出すると、同時に制御部24bの加速度読出部30に昇降路7内における上下方向のかご1の位置の計測結果を送信する。
制御部24bは、図4及び図5に示す如く、エレベータ制御装置40からかご1の昇降状態を取得し、位置検出部22の検出結果に基づき昇降路7内における上下方向のかご1の位置及びかご1の昇降速度を取得する(ステップS1)と、昇降速度判定部35は、かご1の昇降速度が所定の速度(閾値)以上であるか判定する(ステップS2)。かご1の昇降速度が所定の速度(閾値)未満である場合(ステップS2でNO)、昇降速度判定部35は、FF制御信号をFF制御部31に送信しない。よって、駆動部21の制御パターンは、第一制御パターンが選択される。つまり、昇降速度判定部35は、FF制御部31を動作させず、制御部24bは、FB制御部32のみでかご1の横揺れを抑制する(ステップS6)。
かご1の昇降速度が所定の速度(閾値)以上である場合(ステップS2でYES)、昇降速度判定部35は、FF制御信号をFF制御部31に送信する。よって、駆動部21の制御パターンは、第二制御パターンが選択される。つまり、昇降速度判定部35は、FF制御部31を動作させる。昇降速度判定部35は、フィードフォワード制御するかご1の昇降区間を通過するタイミングを算出する(ステップS3)。昇降速度判定部35は、かご1の加速度を読み出すタイミングで読出信号を加速度読出部30に出力する。
加速度読出部30は、かご1の加速度を記憶部24aから抽出し、FF制御部31に入力する(ステップS4)。FF制御部31は、記憶部24aに記憶されたかご1の加速度に基づいて導出される押し付け力が推進力となる案内部3の推進量を算出し、該案内部3の推進量を制御指令電圧に変換する(ステップS5)。
一方、FB制御部32は、加速度計測部25のかご1の加速度の計測結果に基づくフィードバック制御するために、加速度計測部25の計測によって得られたかご1の加速度から導出される力が推進力となる案内部3の推進量を算出し、該推進量を制御指令電圧に変換する。そして、加算器33は、FF制御部31が出力した制御指令電圧の値に、FB制御部32が出力した制御指令電圧の値を加算する。駆動部21は、加算器33から出力された制御指令電圧に基づいて案内部3を駆動する(ステップS6)。
制御部24bは、かご1の昇降速度が所定の速度(閾値)未満となるまで(ステップS2でNO)、第二制御パターンで駆動部21を制御する。また、かご1が着床停止すると(ステップS7でYES)、制御部24bは、駆動部21の制御を終了する。
以上のように、制御部24bは、位置検出部22の検知結果と記憶部24aに記憶させた情報を基にして、昇降路7内で昇降するかご1が通過しようとする位置に到達する前に、かご1が通過しようとする位置と対応する昇降路7内の上下方向の位置におけるかご1の加速度を予め抽出し、通過しようとしていた位置に対するかご1の到達に合わせて駆動部21を制御する。
これに伴い、駆動部21によってかご用ガイドレール2に対する押し付け力が調整される案内部3は、現実のかご1の位置に応じた押し付け力をかご用ガイドレール2に作用させる。その結果、昇降中のかご1の横揺れによる横方向の力が、かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力の反力の一部又は全部(少なくともかご1の加速度から導出される押し付け力の反力)と相殺され、かご1の横揺れが現実に即して規制される。
なお、かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力について、特に言及しなかったが、かご1の横揺れによる加速度から直接導出される押し付け力の反力と、かご1の横揺れによって生じる力とは、逆向きで且つ同じ大きさであり、完全に相殺することになるため、かご1の加速度に基づいて導出される押し付け力が、かご1の加速度から直接導出される押し付け力に対して所定の押し付け力が加算されたものである場合、案内部3はかご用ガイドレール2に対して常時所定の押し付け力(設定した押し付け力)で押し付けられた状態になる。
従って、かご用ガイドレール2に対して案内部3を圧接状態で保つ場合、かご1の加速度に基づいて導出される押し付け力は、かご1の加速度から直接導出される押し付け力に対して所定の押し付け力(0より大きな値)が加算されたものとされればよい。一方、かご用ガイドレール2に対して案内部3が接触する程度に保つ(圧力をかける必要がない)場合、かご1の加速度に基づいて導出される押し付け力は、かご1の加速度から直接導出される押し付け力に対して所定の押し付け力(0)が加算されたものとされればよい。
また、制御部24bは、かご1の昇降速度が所定の速度のときに、駆動部21を制御して、かご1の横揺れを抑制する。一般的に、使用者のかご1の横揺れの感じ方は、かご1の昇降速度が遅いときよりも速いときの方が感じやすくなる。結果として、かご1の昇降速度が使用者に違和感を覚えさせる所定の速度でも、使用者に与える違和感を最小限に抑えることができる。
さらに、制御部24bは、記憶部24aに記憶されたかご1の加速度を加速度計測部25により計測されたかご1の加速度に書き換えるため、記憶部24aに記憶されるかご1の加速度は、現実のかご1の横揺れに即したものとなる。従って、エレベータを構成する各装置の経年劣化や使用状況等によってかご1の横揺れの態様が変わっても、制御部24bが現実のかご1の横揺れに即したかご1の加速度を抽出し、それを基に駆動部21を制御することになるため、かご1の横揺れが現実に即して規制される。
本実施形態に係るかご横揺れ抑制装置18は、各装置の経年劣化や使用状況の変化等によって、かご1の横揺れの態様に変化が生じても、そのかご1の横揺れを確実に規制することができる。
具体的に説明すると、制御部24bは、かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力を、位置検出部22によって検出されたかご1の位置と対応する上下方向の位置に関連付けられて記憶部24aに記憶されたかご1の加速度に基づいて導出される押し付け力に調整するように駆動部21を制御する。
この状態においては、記憶部24aに記憶させた情報を基に駆動部21が制御されるため、かご1の横揺れの態様が記憶部24aに情報を記憶した時点と変わりがなければ、かご横揺れ抑制装置18は、昇降中のかご1が横揺れすることのない状態にする。
しかし、エレベータは、各装置の経年劣化や使用状況の変化等によって、かご1の横揺れの態様に変化が生じることがあり、記憶部24aに記憶したかご1の横揺れによる横方向の加速度と、現実のかご1の横揺れによる横方向の加速度とが相違することがあり、記憶部24aに記憶したかご1の横揺れによる横方向の加速度を基に導出される押し付け力で案内部3をかご用ガイドレール2に押し付けると、かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力に過不足が生じ、かご1の横揺れが十分に規制されないことがある。
本実施形態に係るかご横揺れ抑制装置18によれば、制御部24bが記憶部24aに記憶されたかご1の加速度に基づいて導出される押し付け力で案内部3がかご用ガイドレール2に押し付けられているときに、加速度計測部25がかご1の加速度を計測するため、この計測結果は、記憶部24aに記憶したかご1の横揺れによる横方向の加速度と現実のかご1の横揺れによる横方向の加速度との差(変化した加速度)となる。
したがって、制御部24bが、位置検出部22によるかご1の位置の検出に応じて、かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力を、抽出したかご1の加速度に基づいて導出される押し付け力と、加速度計測部25によって計測された加速度にから導出される力とを合計した合算押し付け力に調整するように駆動部21を制御することで、かご1の揺れの態様の変化を加味した押し付け力で案内部3がかご用ガイドレール2に押し付けられることになる。
すなわち、制御部24bは、現実のかご1の加速度と記憶部24aに記憶されたかご1の加速度との差分を補正値として加味して駆動部21を制御するため、経年劣化や使用状況の変化等によって、かご1の横揺れの態様に変化が生じても、かご1の横揺れが現実に即して規制される。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。なお、本実施形態には、第一実施形態で説明した構成と同一の構成が含まれている。これに伴い、第一実施形態で説明した構成と同一の構成又は相当する構成については、第一実施形態と同一の符号を付すこととする。また、第一実施形態で説明した構成と同一の構成については第一実施形態を参照してここでの説明は繰り返さず、ここでは第一実施形態で説明した構成と異なる点にのみ説明することとする。
記憶部24aは、かご1の出発階及び行先階の少なくともいずれか一方を異にするかご1の昇降パターンを複数記憶するとともに、各昇降パターンでかご1を昇降させたときの、昇降路7内の上下方向の所定の位置におけるかご1の昇降速度を複数記憶している。これに伴い、記憶部24aは、昇降路7内における上下方向のかご1の位置、及び該かご1の位置におけるかご1の加速度を昇降パターン毎に記憶している。すなわち、記憶部24aは、複数の昇降パターンのそれぞれの情報として、昇降路7内における上下方向のかご1の位置、及び該かご1の位置におけるかご1の加速度を互いに関連づけて予め記憶している。
ここで、記憶部24aに記憶される情報について説明する。複数の昇降パターンは、かご1の出発階及び行先階を異にするかご1の移動パターンである。かごの昇降速度は、複数の昇降パターンでかごを実際に昇降させ、各昇降パターンにおいて、昇降路7内における上下方向の所定の位置で予め実測されたかごの移動速度である。かごの昇降速度は、対応する昇降パターンと関連付けられている。
このように、複数の昇降パターンが記憶部24aに記憶させる情報として設定されるに伴い、本実施形態においては、各昇降パターンに対応する情報としてかご1の位置及びかご1の加速度が関連付けられている。具体的には、複数の昇降パターンでかごを実際に昇降させ、各昇降パターンにおいて、昇降路7内における上下方向のかご1の位置で予めかご1の加速度を実測し、実測で得られたかご1の加速度及びその加速度を実測したかご1の位置が、加速度を実測した昇降パターンに関連づけられた情報(記憶部24aに記憶させる情報)とされている。
制御部24bは、位置検出部22の検出したかご1の位置及び速度計測部26の計測したかご1の昇降速度に基づき、記憶部24aから昇降パターンを抽出する。また、制御部24bは、位置検出部22の検出したかご1の位置及び抽出された昇降パターンに基づき、位置検出部22によって検出されたかご1の位置と対応するかご1の位置におけるかご1の加速度を記憶部24aから抽出するとともに、位置検出部22によるかご1の位置の検出に応じて、かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力を、抽出したかご1の加速度に基づいて導出される押し付け力に調整するように駆動部21を制御する。
本実施形態において、制御部24bは、フィードフォワード制御にフィードバック制御を組み合わせた第二制御パターンで駆動部21を制御する。
なお、第一実施形態では、制御部24bが昇降速度判定部35を備えていたが、本実施形態に係る制御部24bは、昇降速度判定部35を備えていない。このため、FF制御部31は、昇降速度判定部35からのFF制御信号の有無に関係なく、昇降路7内における上下方向のかご1の位置及びかご1の昇降速度に基づいて加速度読出部30から出力されるかご1の加速度に基づいて動作する。
次に、かご横揺れ抑制装置18によるかご横揺れ抑制方法(エレベータ用のかご横揺れ抑制方法)について説明する。かご1が昇降し始めると、図6に示す如く、位置検出部22は、昇降路7内における上下方向のかご1の位置の検出を開始する。速度計測部26は、かご1の昇降速度の計測を開始する。そして、位置検出部22は、昇降路7内における上下方向のかご1の位置を検出すると、同時に制御部24bの加速度読出部30に上下方向のかご1の位置の計測結果を送信する。
制御部24bは、エレベータ制御装置40からかご1の昇降状態を取得し、位置検出部22の検出結果に基づき昇降路7内における上下方向のかご1の位置及びかご1の昇降速度を取得する(ステップS101)と、位置検出部22の検出結果及び速度計測部26の計測結果を基に昇降パターンを特定する(ステップS102)。
加速度読出部30は、位置検出部22の検出結果及び速度計測部26の計測結果を基に特定される昇降パターンにおける昇降路7内における上下方向のかご1の位置と対応する昇降路7内における上下方向の位置に関連付けられたかご1の加速度を記憶部24aから抽出し、FF制御部31に入力する(ステップS103)。FF制御部31は、記憶部24aに記憶されたかご1の加速度に基づいて導出される押し付け力が推進力となる案内部3の推進量を算出し、該案内部3の推進量を制御指令電圧に変換する(ステップS104)。
一方、FB制御部32は、加速度計測部25のかご1の加速度の計測結果に基づくフィードバック制御するために、加速度計測部25の計測によって得られたかご1の加速度から導出される力が推進力となる案内部3の推進量を算出し、該推進量を制御指令電圧に変換する。そして、加算器33は、FF制御部31が出力した制御指令電圧の値に、FB制御部32が出力した制御指令電圧の値を加算する。駆動部21は、加算器33から出力された制御指令電圧に基づいて案内部3を駆動する(ステップS105)。
制御部24bは、かご1が昇降している間、第二制御パターンで駆動部21を制御する。また、かご1が着床停止すると(ステップS106でYES)、制御部24bは、駆動部21の制御を終了する。
以上のように、本実施形態に係るかご横揺れ抑制装置18によれば、かご1の昇降パターンを考慮した上で、かご1の横揺れを規制できる。
具体的に説明する。通常、かご1の出発階や行先階は、使用者の希望する乗降階によって異なる。そのため、エレベータには、かご1の出発階及び行先階の組み合わせを異にした複数の昇降パターンがある。各昇降パターンは、かご1の出発階や行先階が異なるため、かご1の昇降距離も異なる。その結果、複数の昇降パターンのそれぞれは、昇降するかご1の運動状態(加速状態や定速状態等)が異なり、かご1が昇降路内における上下方向の同一位置を通過するときの横揺れの状態も異なる。
しかし、本実施形態に係るかご横揺れ抑制装置18によれば、制御部24bが、位置検出部22の検出結果、速度計測部26の計測結果、及び記憶部24aに記憶させた情報を基にかご1の昇降パターンを抽出(特定)した上で、位置検出部22の検知結果、抽出した昇降パターン、及び記憶部24aに記憶させた情報を基にして、特定された昇降パターンで昇降路7内を昇降するかご1が通過しようとする位置に到達する前に、かご1が通過しようとする位置と対応する昇降路7内の上下方向の位置におけるかご1の加速度を予め抽出し、通過しようとしていた位置に対するかご1の到達に合わせて駆動部21を制御する。
これに伴い、駆動部21によってかご用ガイドレール2に対する押し付け力が調整される案内部3が、現実のかご1の昇降パターン及び現実のかご1の位置に応じた押し付け力をかご用ガイドレール2に作用させる。その結果、昇降中のかご1の横揺れによる横方向の力が、かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力の反力の一部又は全部(少なくともかご1の加速度から導出される押し付け力の反力)と相殺され、かご1の横揺れが現実に即して規制される。
なお、本実施形態においても、かご用ガイドレール2に対して案内部3を圧接状態で保つ場合、かご1の加速度に基づいて導出される押し付け力は、かご1の加速度から直接導出される押し付け力に対して所定の押し付け力(0より大きな値)が加算されたものとされればよい。一方、かご用ガイドレール2に対して案内部3が接触する程度に保つ(圧力をかける必要がない)場合、かご1の加速度に基づいて導出される押し付け力は、かご1の加速度から直接導出される押し付け力に対して所定の押し付け力(0)が加算されたものとされればよい。
なお、本発明は、上記第一及び第二実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記第一及び第二実施形態において、建物の屋上に設けられた機械室に巻上機8等を配置するエレベータについて説明したが、これに限定されない。例えば、かご横揺れ抑制装置18は、機械室を有していない、いわゆるマシンルームレスタイプのエレベータに採用されてもよい。
上記第一及び第二実施形態において、案内部3としてローラーガイドを採用したが、これに限定されない。例えば、案内部3は、ガイドレール2の案内面17上を上下方向にスライドするスライディングガイドであってもよい。
上記第一及び第二実施形態において、特に言及しなかったが、案内部3は、かご1に直接固定されてもよいし、かご1の振動を減衰する減衰装置を介してかご1に固定されていてもよい。この場合のかご1の横揺れとは、減衰装置により減衰された後のかご1の横揺れのことである。つまり、かご横揺れ抑制装置18は、減衰装置と組み合わせて使用することができる。
上記第一及び第二実施形態において、駆動部21は、かご1の下部に位置する案内部3のそれぞれに対応して設けられたが、これに限定されない。例えば、駆動部21は、かご1に設けられるすべての案内部3のそれぞれに対応して設けられていてもよい。また、駆動部21は、かご1の上部に位置する案内部3のそれぞれに対応して設けられていてもよい。
上記第一及び第二実施形態において、位置検出部22は、複数の二次元バーコードが印字された長尺状のテープからなる被検出体22aと該被検出体22aを読み取る検出部22bとで構成されが、これに限定されない。例えば、位置検出部は、磁気式センサや光学式センサ、超音波センサなどであってもよい。
上記第一及び第二実施形態において、速度計測部26が制御部から独立したものであったが、これに限定されない。例えば、制御部24bがかご1の昇降速度を計測する速度計測部26としての機能を備えてもよい。具体的には、制御部24bは、位置検出部22によるかご1の位置の結果を基づいてかご1の移動距離を算出するとともに、かご1が算出された移動距離を移動する時間を計測し、これらに基づいてかご1の昇降速度を算出するようにして、速度計測部26の機能を兼ね備えてもよい。
上記第一及び第二実施形態において、加速度計測部25として加速度センサが採用されたが、これに限定されない。例えば、加速度計測部は、ジャイロセンサであってもよい。
上記第一及び第二実施形態において、記憶部24aに記憶させたかご1の加速度は、かご横揺れ抑制装置18の加速度計測部25によって実測したものであったが、これに限定されない。例えば、記憶部24aに記憶させたかご1の加速度は、かご横揺れ抑制装置18とは別個独立した測定装置をかご1に搭載し、これによって計測したものであってもよい。この場合においても、かご1の加速度は、かご1の通常運転前に計測されて記憶部24aに記憶されることは勿論である。
上記第一及び第二実施形態において、記憶部24aに記憶させたかご1の加速度は、通常運転前の試運転時に実測(計測)したものであったが、これに限定されない。例えば、記憶部24aに記憶させたかご1の加速度は、エレベータの定期点検時に計測したものであってもよい。
上記第一及び第二実施形態において、記憶部24aに記憶されたかご1の加速度を、加速度計測部25が通常運転中に連続的に計測したかご1の加速度に書き換えるようにしたが、これに限定されない。例えば、記憶部24aに記憶されたかご1の加速度は、加速度計測部25が通常運転中に断続的(例えば、一定時間毎)に計測したかご1の加速度に書き換えるようにしてもよい。このようにしても、記憶部24aに記憶されたかご1の加速度が現実に即したものになるため、これを基に制御部24bが駆動部21を制御することで、かご1の横揺れを現実に即して規制することができる。
上記第一及び第二実施形態において、駆動部21の制御パターンを、条件によって、第一制御パターン(フィードフォワード制御のみを行うパターン)又は第二制御パターン(フィードフォワード制御とフィードバック制御をと組み合わせたパターン)にするようにしたが、これに限定されない。例えば、駆動部21の制御パターンは、第一制御パターンのみだけであってもよい。すなわち、制御部24bは、駆動部21に対してフィードフォワード制御のみを行うものであってもよい。
上記第一及び第二実施形態において、制御部24bがかご1の加速度に基づいて導出される押し付け力と対応する案内部3の推進量を算出するようにしたが、これに限定されない。例えば、がご1の加速度に基づいて導出される押し付け力を発揮し得る駆動部21における案内部3の推進量を予め記憶部24aに記憶しておき、記憶部24aにかご1の加速度が記憶させたときに、そのかご1の加速度と案内部3の推進量とを関連付けるようにし、制御部24bが、通常運転時に記憶部24aに記憶させた案内部3の推進量を基に駆動部21を制御するようにしてもよい。
上記第一及び第二実施形態において、制御部24bがエレベータ制御装置40からの制御信号によりかご1の昇降状態を判定するようにしたが、これに限定されない。例えば、制御部24bが位置検出部22の検出結果(かご1の位置)に基づいてかご1の昇降状態を判定してもよい。
上記第一及び第二実施形態において、昇降路7内における上下方向のかご1の位置、かご1の昇降状態、及びかご1の昇降速度、かご1の加速度が記憶部24aに記憶され、位置検出部22の検出によって得られたかご1の位置、判定結果であるかご1の昇降状態等と対応関係のある情報と関連付けられたかご1の加速度を記憶部24aから抽出し、それに基づいて駆動部21を制御したが、これに限定されない。
すなわち、記憶部24aは、少なくともかご1の位置及び該かご1の位置におけるかご1の加速度を関連付けて記憶し、制御部24bは、位置検出部22の検出したかご1の位置に基づき、対応するかご1の位置におけるかご1の加速度を記憶部24bから抽出するとともに、位置検出部22によるかご1の位置の検出に応じて、かご用ガイドレール2に対する案内部3の押し付け力を、少なくとも抽出されたかご1の加速度に基づいて導出される押し付け力に調整するように駆動部21を制御すればよい。