JP6569737B2 - ポリオレフィン分散液及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、ポリオレフィン分散液及びその製造方法に関する。
ポリオレフィン分散液は、紙、繊維、木材、金属、プラスチック等の基材の表面処理等に広く用いられている。ポリオレフィン分散液を基材の表面に付与した後、乾燥すると、基材の表面にポリオレフィン樹脂の薄膜が形成される。形成されたポリオレフィン樹脂の薄膜により、基材の表面に、耐水性、耐油性、耐薬品性、耐食性、ヒートシール性等の特性を付与することができる。
従来、ポリオレフィン分散液の分野では、分散媒として水を用いた水性ポリオレフィン分散液に関する発明が数多くなされている。
水性ポリオレフィン分散液の製造方法としては、分散剤及び界面活性剤を加えた水性媒体中にポリオレフィン樹脂を加えた後、ポリオレフィン樹脂の融点以上の温度に加温した状態でせん断力を加える方法(例えば、特許文献1参照)、塩基性物質を加えた水性媒体中にカルボキシ基又は酸無水物基を有するポリオレフィン樹脂を加えた後、ポリオレフィン樹脂の融点以上の温度に加温した状態でせん断力を加える方法(例えば、特許文献2参照)等が知られている。
特開昭58−206633号公報 特公昭58−42207号公報
しかし、水性ポリオレフィン分散液は、水を分散媒としているため、水での処理が好ましくない基材(水の濡れ性が低い基材、水に溶解する基材等)への適用が困難である。また、水性ポリオレフィン分散液は、例えば、水への溶解性が低い有機溶媒と混合することが困難である。
水での処理が好ましくない基材に対して適用可能とし、また、水への溶解性が低い有機溶媒等と混合可能とするため、水性ポリオレフィン分散液を用いて、主分散媒が有機溶媒であるポリオレフィン分散液を製造することが考えられる。しかし、本発明者らによる検討の結果、水性ポリオレフィン分散液に有機溶媒を添加した後、減圧濃縮又は遠心分離により水を除去する製造方法では、有機溶媒中でポリオレフィン粒子の一部が凝集し、分散安定性が低下することが明らかとなった。また、本発明者らによる検討の結果、水性ポリオレフィン分散液を乾燥させて得られたポリオレフィン粒子を有機溶媒中で再分散させる製造方法では、水性ポリオレフィン分散液を乾燥させる際にポリオレフィン粒子が凝集して大きな塊状粒子となるため、微細粒子の分散液が得られず、分散性に劣ることが明らかとなった。
本開示は、このような事情に鑑みなされたものであり、ポリオレフィン粒子の分散性及び分散安定性に優れる、主分散媒が有機溶媒であるポリオレフィン分散液及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> ポリオレフィン粒子と、主分散媒である有機溶媒と、酸性物質とを含有する、ポリオレフィン分散液。
<2> 前記ポリオレフィン粒子の平均粒径が0.1μm〜100μmである、<1>に記載のポリオレフィン分散液。
<3> 水の含有率が10質量%以下である、<1>又は<2>に記載のポリオレフィン分散液。
<4> 水性ポリオレフィン分散液に有機溶媒及び酸性物質を加えて混合液を調製する工程と、
前記混合液に脱水処理を施す工程とを有する、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のポリオレフィン分散液の製造方法。
本開示によれば、ポリオレフィン粒子の分散性及び分散安定性に優れる、主分散媒が有機溶媒であるポリオレフィン分散液及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を適用したポリオレフィン分散液及びその製造方法の実施形態の一例について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において分散液中の各成分の含有率は、分散液中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、分散液中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において分散液中の各成分の粒径は、分散液中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、分散液中に存在する当該複数種の物質の混合物についての値を意味する。
<ポリオレフィン分散液>
本実施形態のポリオレフィン分散液は、ポリオレフィン粒子と、主分散媒である有機溶媒と、酸性物質とを含有する。本実施形態のポリオレフィン分散液は、ポリオレフィン粒子の分散性及び分散安定性に優れる。
以下、本実施形態のポリオレフィン分散液が含有する成分について詳細に説明する。
(ポリオレフィン粒子)
本実施形態のポリオレフィン分散液は、ポリオレフィン粒子を含有する。ポリオレフィン粒子とは、分子中におけるオレフィン構造単位の割合が50質量%以上であるオレフィン重合体(ポリオレフィン樹脂)の粒子を意味する。ポリオレフィン粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリオレフィン粒子を2種以上用いる態様としては、例えば、同じ成分で平均粒径が異なるポリオレフィン粒子を2種以上用いる態様、平均粒径が同じで成分の異なるポリオレフィン粒子を2種以上用いる態様、並びに平均粒径及び成分の異なるポリオレフィン粒子を2種以上用いる態様が挙げられる。
ポリオレフィン粒子としては、特に制限されず、従来公知のポリオレフィン粒子を用いることができる。ポリオレフィン粒子を構成するポリオレフィン樹脂としては、例えば、未変性ポリオレフィン樹脂及び酸変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。
未変性ポリオレフィン樹脂としては、エチレン又はα−オレフィン(プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等)の単独重合体又は共重合体が挙げられる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられる。
また、未変性ポリオレフィン樹脂としては、エチレン及びα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも1種と共役ジエン又は非共役ジエンとのゴム状共重合体が挙げられる。具体的には、エチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂としては、カルボキシ基、酸無水物基等の酸基を有するポリオレフィン樹脂が挙げられる。具体的には、エチレン及びα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも1種とα,β−不飽和カルボン酸との共重合体、未変性ポリオレフィン樹脂にα,β−不飽和カルボン酸又はα,β−不飽和カルボン酸無水物をグラフトさせたポリオレフィン変性物等が挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸としては、モノカルボン酸及びジカルボン酸が挙げられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メザコン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の脂肪族カルボン酸;5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、その核メチル置換体、そのエンドメチレン基のハロゲン置換体などが挙げられる。なお、ジカルボン酸は酸無水物となっていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価は特に制限されない。酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価は、例えば、20mgKOH/g〜150mgKOH/gであることが好ましく、50mgKOH/g〜130mgKOH/gであることがより好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価が20mgKOH/g以上であると、酸変性の効果が得られ易くなる傾向にあり、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価が150mgKOH/g以下であると、後述する製造方法によりポリオレフィン分散液を製造する際に、酸変性ポリオレフィン樹脂が水に溶解し難くなる傾向にある。なお、酸価とは、試料1g当たりの中和に要する水酸化カリウムのmg数である。
未変性ポリオレフィン樹脂及び酸変性ポリオレフィン樹脂は、いずれか一方を単独で用いてもよく、両方を併用してもよい。未変性ポリオレフィン樹脂及び酸変性ポリオレフィン樹脂を併用する場合、未変性ポリオレフィン樹脂及び酸変性ポリオレフィン樹脂を溶融させ、十分に混合してポリオレフィン粒子を得ることが好ましい。
ポリオレフィン分散液中におけるポリオレフィン粒子の平均粒径は、分散性等の観点から、0.1μm〜100μmであることが好ましく、0.5μm〜50μmであることがより好ましく、0.5μm〜25μmであることが更に好ましい。
ポリオレフィン粒子の平均粒径は、例えば、以下のようにして測定される。まず、ポリオレフィン分散液をガラス基材上に塗布し、分散媒を除去して厚さ10μmの塗膜を形成する。この塗膜を、走査型電子顕微鏡を用いてポリオレフィン粒子が100個〜150個程度観察できる倍率で観察し、任意に選択した100個のポリオレフィン粒子の長軸方向の長さを算術平均化した値を、ポリオレフィン粒子の平均粒径とする。ポリオレフィン粒子の長軸方向の長さとは、走査型電子顕微鏡を用いて観察されるポリオレフィン粒子の2次元画像において、ポリオレフィン粒子の外周に外接する2本の平行な接線間の距離が最大となるときの接線間の距離を意味する。
ポリオレフィン分散液中におけるポリオレフィン粒子の含有率は、例えば、1質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜40質量%であることがより好ましく、10質量%〜30質量%であることが更に好ましい。
(有機溶媒)
本実施形態のポリオレフィン分散液は、主分散媒として有機溶媒を含有する。主分散媒とは、分散媒の全量に対して90質量%以上含有する分散媒を意味する。有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶媒としては、ポリオレフィン粒子が溶解しないものであれば特に制限されない。有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル溶剤;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の窒素原子含有溶剤;ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤などが挙げられる。これらの中で、ポリオレフィン粒子の溶解性、有機溶媒の揮発性等の観点から、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
ポリオレフィン分散液中における有機溶媒の含有率は、例えば、40質量%〜90質量%であることが好ましく、45質量%〜85質量%であることがより好ましく、50質量%〜80質量%であることが更に好ましい。
なお、本実施形態のポリオレフィン分散液は、用途に応じて、分散媒として水を含有していてもよい。但し、水での処理が好ましくない基材に対して適用可能とし、また、水への溶解性が低い有機溶媒等と混合可能とする観点から、水の含有率は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。
(酸性物質)
本実施形態のポリオレフィン分散液は、酸性物質を含有する。酸性物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸性物質としては、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸等の無機酸;酢酸、乳酸、グルコール酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸等の有機酸が挙げられる。酸性物質の含有率を低減する観点から、酸性物質としては無機酸が好ましい。
ポリオレフィン分散液中における酸性物質の含有率は、ポリオレフィン分散液が目的のpHとなるように調整される。
ポリオレフィン分散液のpHは、ポリオレフィン分散液に水を加えた後、pHメータで測定できる。水/有機溶媒の質量比が10/90〜30/70となるように水を加えた後のポリオレフィン分散液のpHは、例えば、1.0〜7.0であることが好ましく、2.0〜6.0であることがより好ましく、3.0〜5.0であることが更に好ましい。ポリオレフィン分散液のpHが1.0以上であると、使用時の安全性及び他の組成物等との混和性が向上する傾向にあり、ポリオレフィン分散液のpHが7.0以下であると、ポリオレフィン粒子の分散性が向上する傾向にある。
(その他の成分)
本実施形態のポリオレフィン分散液は、必要に応じて、その他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、増粘剤、防腐剤、界面活性剤、高分子安定化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機又は有機フィラー、難燃剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ポリオレフィン分散液の用途)
本実施形態のポリオレフィン分散液は、主分散媒が有機溶媒であるため、水での処理が好ましくない基材(水の濡れ性が低い基材、水に溶解する基材等)の表面にポリオレフィン樹脂の薄膜を形成する際に用いることができる。また、本実施形態のポリオレフィン分散液は、水への溶解性が低い有機溶媒等と混合することが可能である。例えば、リチウム二次電池の電極を作製する際に、本実施形態のポリオレフィン分散液と、電極活物質、結着材、有機溶媒等とを混合し、電極合材ペーストを調製することが可能である。
<ポリオレフィン分散液の製造方法>
本実施形態のポリオレフィン分散液の製造方法(以下、単に「本実施形態の製造方法」という。)は、前述した本実施形態のポリオレフィン分散液の製造方法であり、水性ポリオレフィン分散液に有機溶媒及び酸性物質を加えて混合液を調製する工程(以下、「混合工程」ともいう。)と、混合液に脱水処理を施す工程(以下、「脱水工程」ともいう。)とを有する。
水性ポリオレフィン分散液は、市販品を使用してもよく、常法に従って製造してもよい。水性ポリオレフィン分散液の市販品としては、三井化学(株)製のケミパールW100、ケミパールW200、ケミパールW300、ケミパールW308、ケミパールW310、ケミパールW400、ケミパールW401、ケミパールW4005、ケミパールW410、ケミパールW500、ケミパールWF640、ケミパールW700、ケミパールW800、ケミパールW900、ケミパールWH201、ケミパールWP100等が挙げられる。
以下、水性ポリオレフィン分散液の製造方法の一例について説明し、次いで、本実施形態の製造方法の詳細について説明する。なお、本実施形態の製造方法で使用可能な水性ポリオレフィン分散液は、以下の例に限定されるものではない。
(水性ポリオレフィン分散液)
水性ポリオレフィン分散液は、例えば、耐圧容器に、界面活性剤及び塩基性物質からなる群より選択される少なくとも1種と、分散媒である水とを加え、用いるポリオレフィン樹脂の融点以上の温度に加熱した後、十分に撹拌しながら溶融状態のポリオレフィン樹脂を少量ずつ滴下することで得られる。
分散媒の撹拌には、大きなせん断力を生ずる高性能分散手段(コロイドミル、ホモミキサ等)を用いることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂の融点は、例えば、示差走査熱量計を用いて、温度関数として不活性ガス中におけるポリオレフィン樹脂の比熱容量を測定後、吸熱ピーク温度から算出できる。
界面活性剤としては、ポリオレフィン粒子を分散できるものであれば特に制限されず、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が用いられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。陰イオン性界面活性剤の具体例としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、メチルタウリル酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩等が挙げられる。陽イオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン等が挙げられる。
界面活性剤を用いる場合、界面活性剤の添加量は、ポリオレフィン樹脂の組成、ポリオレフィン樹脂の量、添加する界面活性剤の種類等に応じて、適切な量に調整することが好ましい。界面活性剤の添加量が必要量の下限値以上であると、ポリオレフィン粒子の表面が十分に親水化され、ポリオレフィン粒子の分散性が向上する傾向にある。一方、界面活性剤の添加量が必要量の上限値以下であると、ポリオレフィン粒子の表面に形成された親水性層に界面活性剤の親水基が吸着して表面の一部が疎水化することが抑えられ、ポリオレフィン粒子の分散性が向上する傾向にある。
塩基性物質としては、水中で塩基として作用する物質が用いられる。塩基性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アンモニウム化合物、アミン化合物;アルカリ金属の酸化物、水酸化物、弱酸塩、水素化物等のアルカリ金属化合物;アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、弱酸塩、水素化物等のアルカリ土類金属化合物;アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシドなどが挙げられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の具体例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。アンモニウム化合物又はアミン化合物の具体例としては、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドラジン水和物等の無機アミン、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミン等の有機アミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム化合物、水酸化アンモニウム等が挙げられる。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の具体例としては、酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム、酸化カリウム、過酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。
塩基性物質を用いる場合、塩基性物質の添加量は、ポリオレフィン樹脂の組成、ポリオレフィン樹脂の量、添加する塩基性物質の種類等に応じて、適切な量に調整することが好ましい。例えば、ポリオレフィン樹脂がカルボキシ基又は酸無水物基を有する場合、塩基性物質の添加量は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシ基1化学当量に対して、0.2化学当量以上であることが好ましく、0.3化学当量〜1.0化学当量であることがより好ましい。なお、酸無水物基はカルボキシ基2個と数える。塩基性物質の添加量がポリオレフィン樹脂中のカルボキシ基1化学当量に対して0.2化学当量以上であると、得られるポリオレフィン樹脂の平均粒径が小さくなる傾向にある。一方、塩基性物質の添加量がポリオレフィン樹脂中のカルボキシ基1化学当量に対して1.0化学当量以下であると、使用時の安全性及び他の組成物等との混和性が向上する傾向にある。
水性ポリオレフィン分散液が塩基性物質を含有する場合、水性ポリオレフィン分散液のpHは、例えば、7.0〜14.0であり、7.5〜12.0であることが好ましい。
水性ポリオレフィン分散液中におけるポリオレフィン粒子の平均粒径は、分散性等の観点から0.1μm〜100μmであることが好ましく、0.5μm〜50μmであることがより好ましく、0.5μm〜25μmであることが更に好ましい。
ポリオレフィン粒子の平均粒径は、例えば、以下のようにして測定される。まず、水性ポリオレフィン分散液をガラス基材上に塗布し、水を除去して厚さ10μmの塗膜を形成する。この塗膜を、走査型電子顕微鏡を用いてポリオレフィン粒子が100個〜150個程度観察できる倍率で観察し、任意に選択した100個のポリオレフィン粒子の長軸方向の長さを算術平均化した値を、ポリオレフィン粒子の平均粒径とする。
(ポリオレフィン分散液の製造方法)
水性ポリオレフィン分散液に有機溶媒及び酸性物質を加えて混合液を調製し(混合工程)、混合液に脱水処理を施す(脱水工程)ことで、主分散媒が有機溶媒であるポリオレフィン分散液が得られる。水性ポリオレフィン分散液中においてポリオレフィン粒子は、界面活性剤及び塩基性物質の少なくとも一方の作用により表面が親水性になることで、良好な分散性及び分散安定性を保持している。有機溶媒及び酸性物質を添加することにより、粒子表面を疎水性に改質することで、有機溶媒中で良好な分散性及び分散安定性を示すポリオレフィン分散液が得られる。
以下、本実施形態の製造方法の各工程について詳細に説明する。
[混合工程]
混合工程では、水性ポリオレフィン分散液に有機溶媒及び酸性物質を加えて混合液を調製する。
本実施形態においては、単粒子の状態を保持したまま、すなわち粒子相互の凝集を起こさないで、分散媒を有機溶媒に置換する処理を施すことが好ましい。有機溶媒の急激な添加は、粒子相互の凝集を引き起こし易いため、水性ポリオレフィン分散液に有機溶媒を添加する際には、水性ポリオレフィン分散液を撹拌しながら、有機溶媒を少量ずつ添加することが好ましい。その際、水で希釈した有機溶媒を使用することがより好ましい。
また、水性ポリオレフィン分散液に酸性物質を添加する際には、粒子相互の凝集を抑える観点から、水性ポリオレフィン分散液を撹拌しながら、酸性物質を少量ずつ添加することが好ましい。その際、水又は有機溶媒で希釈した酸性物質を使用することがより好ましい。
有機溶媒及び酸性物質は、いずれか一方を先に添加してもよく、両方を同時に添加してもよい。粒子相互の凝集を抑える観点から、有機溶媒を添加した後に酸性物質を添加することが好ましい。
前述したとおり、水性ポリオレフィン分散液は、界面活性剤及び塩基性物質の少なくとも一方の添加効果によりポリオレフィン粒子の表面を親水化することで、水中でポリオレフィン粒子を分散させている。そのため、分散媒を有機溶媒に置換する場合、粒子表面の親水性により、有機溶媒中で粒子相互の凝集を起こす傾向にある。本実施形態では、酸性物質を添加し、界面活性剤及び塩基性物質の少なくとも一方の添加効果により親水化しているポリオレフィン粒子表面を疎水性に改質することで、有機溶媒中におけるポリオレフィン粒子相互の凝集を抑制することができる。
混合液のpHは、例えば、1.0〜7.0であることが好ましく、2.0〜6.0であることがより好ましく、3.0〜5.0であることが更に好ましい。混合液のpHが1.0以上であると、使用時の安全性及び他の組成物等との混和性が向上する傾向にあり、混合液のpHが7.0以下であると、脱水工程後におけるポリオレフィン粒子の分散性が向上する傾向にある。
[脱水工程]
脱水工程では、混合液に脱水処理を施し、本実施形態のポリオレフィン分散液を得る。
混合液から水を除去する方法としては、例えば、混合液を減圧下で加熱して水を除去する方法、混合液に脱水剤を添加して水を除去する方法、及び混合液に遠心処理を施して水相と有機溶媒相とに分離した後に水相を除去する方法が挙げられる。
混合液を減圧下で加熱して水を除去する方法を適用する場合、加熱温度は、ポリオレフィン粒子の融点未満であれば特に制限されない。加熱温度をポリオレフィン粒子の融点未満とすることで、粒子同士の結合による分散性の低下が抑えられる傾向にある。減圧度は、特定の範囲に制限されない。
なお、混合液を減圧下で加熱して水を除去する場合、水と共沸し易い有機溶媒を必要に応じて添加してもよい。有機溶媒を追加する時期及び回数は制限されない。
混合液に脱水剤を添加して水を除去する方法を適用する場合、脱水剤の種類は特に制限されない。脱水剤としては、シリカゲル、活性アルミナ、モレキュラシーブ、イオン交換樹脂等が挙げられ、混合液中における有機溶媒、界面活性剤、塩基性物質、酸性物質等の種類を考慮し、適切な種類を選択することが好ましい。なお、脱水剤は、減圧乾燥してから使用することが好ましい。
混合液に遠心処理を施して水相と有機溶媒相とに分離した後に水相を除去する方法を適用する場合、遠心条件は、例えば、1000G〜10000Gで5分間〜15分間が好ましく、1500G〜7000Gで7分間〜15分間がより好ましく、2500G〜4000Gで7分間〜10分間が更に好ましい。遠心条件を1000G以上とすることで、分離効率が向上する傾向にあり、遠心条件を10000G以下とすることで、ポリオレフィン粒子の凝集が抑えられる傾向にある。
なお、最適な遠心条件は、ポリオレフィン粒子の種類、ポリオレフィン粒子の平均粒径、ポリオレフィン粒子の含有率、水と有機溶剤との質量比等により変化するため、適宜調整することが好ましい。
脱水工程後に得られるポリオレフィン分散液のpHは、ポリオレフィン分散液に水を加えた後、pHメータで測定できる。水/有機溶媒の質量比が10/90〜30/70となるように水を加えた後のポリオレフィン分散液のpHは、例えば、1.0〜7.0であることが好ましく、2.0〜6.0であることがより好ましく、3.0〜5.0であることが更に好ましい。ポリオレフィン分散液のpHが1.0以上であると、使用時の安全性及び他の組成物等との混和性が向上する傾向にあり、ポリオレフィン分散液のpHが7.0以下であると、ポリオレフィン粒子の分散性が向上する傾向にある。
[その他の工程]
本実施形態の製造方法は、水性ポリオレフィン分散液中のポリオレフィン粒子の表面を親水性から疎水性に変化させる他の工程を更に有していてもよい。
水性ポリオレフィン分散液中のポリオレフィン粒子の表面を親水性から疎水性に変化させる他の工程としては、特開2011−202072号公報、特開2007−177009号公報等に記載されている工程が挙げられる。具体的には、半透析膜又は適切な細孔を有する膜を使用し、水性ポリオレフィン分散液中の水溶解性成分を膜外の水中へ溶出させる工程;水性ポリオレフィン分散液をイオン交換樹脂層に通して親水イオン性物質を除去する工程;水性ポリオレフィン分散液に水可溶性塩類を添加して塩析することによりポリオレフィン粒子の非イオン性吸着層を脱着した後、水性ポリオレフィン分散液を適切な細孔を有する膜等に通して親水性物質を除去する工程;水性ポリオレフィン分散液に、一級〜三級脂肪族アミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アミド結合アミン、アジピン酸系ポリエステル、トリメリット酸トリアルキルと直鎖アルキルベンゼンスルホン酸との塩等の疎水化剤を添加する工程等が挙げられる。
なお、工程数の増加を抑え、また、不純物の混入を防止する観点から、本実施形態の製造方法は、上記の他の工程を有しないことが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
十分に乾燥させた1Lのナス型フラスコに、ケミパールW310(水性ポリオレフィン分散液、製品名、三井化学(株)製、固形分濃度:40質量%、ポリオレフィン粒子の密度:0.97g/cm、ポリオレフィン粒子の融点:132℃、ポリオレフィン粒子の平均粒径:9.5μm、三井化学(株)カタログ値)30g及び精製水60gを仕込み、撹拌しながらメタノール(和光純薬工業(株)製)36gを加え、5分間撹拌した。次いで、N−メチル−2−ピロリドン(有機溶媒、和光純薬工業(株)製、特級)60gを加え、更に5分間撹拌した。次いで、撹拌しながら塩酸(酸性物質、0.5M HCl、和光純薬工業(株)製、容量分析用)6.0gを加え、更に5分間撹拌した後、エバポレータを用いて、分散液の固形分濃度が17質量%になるまで70℃で減圧濃縮し、ポリオレフィン分散液を得た。
<実施例2>
水性ポリオレフィン分散液として、ケミパールW310の代わりにケミパールW308(水性ポリオレフィン分散液、製品名、三井化学(株)製、固形分濃度:40質量%、ポリオレフィン粒子の密度:0.97g/cm、ポリオレフィン粒子の融点:132℃、ポリオレフィン粒子の平均粒径:6.0μm、三井化学(株)カタログ値)を用い、塩酸の量を7.2gとした以外は実施例1と同様の方法で、ポリオレフィン分散液を得た。
<実施例3>
水性ポリオレフィン分散液として、ケミパールW310の代わりにケミパールW300(水性ポリオレフィン分散液、製品名、三井化学(株)製、固形分濃度:40質量%、ポリオレフィン粒子の密度:0.97g/cm、ポリオレフィン粒子の融点:132℃、ポリオレフィン粒子の平均粒径:3.0μm、三井化学(株)カタログ値)を用い、塩酸の量を9.0gとした以外は実施例1と同様の方法で、ポリオレフィン分散液を得た。
<実施例4>
水性ポリオレフィン分散液として、ケミパールW310の代わりにケミパールW900(水性ポリオレフィン分散液、製品名、三井化学(株)製、固形分濃度:40質量%、ポリオレフィン粒子の密度:0.97g/cm、ポリオレフィン粒子の融点:132℃、ポリオレフィン粒子の平均粒径:0.6μm、三井化学(株)カタログ値)を用い、塩酸の量を14.4gとした以外は実施例1と同様の方法で、ポリオレフィン分散液を得た。
<実施例5>
水性ポリオレフィン分散液として、ケミパールW310の代わりにケミパールW410(水性ポリオレフィン分散液、製品名、三井化学(株)製、固形分濃度:40質量%、ポリオレフィン粒子の密度:0.92g/cm、ポリオレフィン粒子の融点:110℃、ポリオレフィン粒子の平均粒径:9.5μm、三井化学(株)カタログ値)を用いた以外は実施例1と同様の方法で、ポリオレフィン分散液を得た。
<実施例6>
水性ポリオレフィン分散液として、ケミパールW310の代わりにケミパールW401(水性ポリオレフィン分散液、製品名、三井化学(株)製、固形分濃度:40質量%、ポリオレフィン粒子の密度:0.92g/cm、ポリオレフィン粒子の融点:110℃、ポリオレフィン粒子の平均粒径:1.0μm、三井化学(株)カタログ値)を用い、塩酸の量を9.0gとした以外は実施例1と同様の方法で、ポリオレフィン分散液を得た。
<実施例7>
水性ポリオレフィン分散液として、ケミパールW310の代わりにケミパールW4005(水性ポリオレフィン分散液、製品名、三井化学(株)製、固形分濃度:40質量%、ポリオレフィン粒子の密度:0.92g/cm、ポリオレフィン粒子の融点:110℃、ポリオレフィン粒子の平均粒径:0.6μm、三井化学(株)カタログ値)を用い、塩酸の量を14.4gとした以外は実施例1と同様の方法で、ポリオレフィン分散液を得た。
<実施例8>
水性ポリオレフィン分散液として、ケミパールW310の代わりにケミパールWP100(水性ポリオレフィン分散液、製品名、三井化学(株)製、固形分濃度:40質量%、ポリオレフィン粒子の密度:0.90g/cm、ポリオレフィン粒子の融点:148℃、ポリオレフィン粒子の平均粒径:1.0μm、三井化学(株)カタログ値)を用い、塩酸の量を13.8gとした以外は実施例1と同様の方法で、ポリオレフィン分散液を得た。
<比較例1>
酸性物質を使用しない以外は実施例1と同様の方法で、ポリオレフィン分散液を得た。
<比較例2>
酸性物質を使用しない以外は実施例4と同様の方法で、ポリオレフィン分散液を得た。
<評価>
(1)ポリオレフィン分散液の固形分濃度の測定
実施例1〜8及び比較例1〜2で得られたポリオレフィン分散液をアルミシャーレ上に5g秤量した後、160℃に設定した送風型乾燥機を用いて、2時間乾燥した。乾燥後の質量を測定し、下式(1)を用いてポリオレフィン分散液の固形分濃度を求めた。結果を表1に示す。
固形分濃度(質量%)=(乾燥後の質量/乾燥前の質量)×100・・・式(1)
(2)分散性の評価
実施例1〜8及び比較例1〜2で得られたポリオレフィン分散液をスライドガラス上に滴下した後、カバーガラスで蓋をし、倍率1000倍の光学顕微鏡((株)キーエンス製、DISIRAL MICROSCOPE SYSTEM)を用いてポリオレフィン粒子の分散性を観察した。ポリオレフィン粒子が観察部全体に孤立で存在している状態をA、複数のポリオレフィン粒子が凝集し、疎密の分布がある状態をBとして、分散性を評価した。結果を表1に示す。
(3)分散安定性の評価
実施例1〜8及び比較例1〜2で得られたポリオレフィン分散液を静置し、1日(24時間)経過後及び7日経過後におけるポリオレフィン粒子の分散状態を目視で観察した。ポリオレフィン粒子が液全体に分散している状態をA、ポリオレフィン粒子が液の上層又は下層に分離している状態をBとして、分散安定性を評価した。結果を表1に示す。
(4)ポリオレフィン分散液の含水率の測定
実施例1〜8及び比較例1〜2で得られたポリオレフィン分散液について、水分計(京都電子工業(株)製、MKC−610DT)を用いて、カールフィッシャー法(電気量滴定法)により含水率を測定した。結果を表1に示す。
(5)ポリオレフィン分散液中のポリオレフィン粒子の平均粒径の測定
実施例1〜8及び比較例1〜2で得られたポリオレフィン分散液をスライドガラス上に塗布し、80℃に設定した送風型乾燥機で3時間乾燥して厚さ10μmの塗膜を形成した。この塗膜を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、S−4800)を用いて、加速電圧5kVの条件で、ポリオレフィン粒子が100個〜150個程度観察できる倍率で観察し、任意に選択した100個のポリオレフィン粒子の長軸方向の長さを算術平均化した値を、ポリオレフィン粒子の平均粒径とした。結果を表1に示す。
(6)ポリオレフィン分散液のpHの測定
実施例1〜8及び比較例1〜2で得られたポリオレフィン分散液を5g秤量した後、純水1.3gを加え、全体が均一になるまで十分に撹拌した。その後、pHメータ((株)堀場製作所製、twin pH)を用いて、ポリオレフィン分散液の25℃におけるpHを測定した。結果を表1に示す。
表1から分かるように、水性ポリオレフィン分散液に有機溶媒及び酸性物質を加えた後、脱水処理を施して得られた実施例1〜8のポリオレフィン分散液は、ポリオレフィン粒子の分散性及び分散安定性に優れていた。
一方、酸性物質を使用せず、水性ポリオレフィン分散液に有機溶媒を加えた後、脱水処理を施して得られた比較例1〜2のポリオレフィン分散液は、実施例1〜8のポリオレフィン分散液と比較して、分散安定性に劣っていた。
2015年9月30日に出願された日本出願2015−194311の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (4)

  1. pHが7.5〜12.0の水性ポリオレフィン分散液に有機溶媒及び酸性物質を加えて混合液を調製する工程と、
    前記混合液に脱水処理を施す工程とを有し、
    前記脱水処理後の混合液のpHが2.0〜6.0となるように、前記酸性物質を加える、ポリオレフィン分散液の製造方法。
  2. ポリオレフィン粒子と、主分散媒である有機溶媒と、酸性物質とを含有し、請求項1に記載の製造方法により得られるポリオレフィン分散液。
  3. 前記ポリオレフィン粒子の平均粒径が0.1μm〜100μmである、請求項に記載のポリオレフィン分散液。
  4. 水の含有率が10質量%以下である、請求項又は請求項に記載のポリオレフィン分散液。
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