JP6569554B2 - 薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents

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本発明は、一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼溜まり部に、溶鋼を供給して、T.Al量が0.005質量%以上の溶鋼を用いて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法に関するものである。
金属の薄肉鋳片を製造する方法として、内部に水冷構造を有する冷却ドラムを備え、回転する一対の冷却ドラム間に形成された溶鋼溜まり部に溶鋼を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させ、一対の冷却ドラムの外周面にそれぞれ形成された凝固シェル同士をドラムキス点で接合し、圧下して所定の厚さの薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置が提供されている。このような双ドラム式連続鋳造装置は、各種金属において適用されている。
上述の双ドラム式連続鋳造装置においては、一対の冷却ドラム間に形成された溶鋼溜まり部は、冷却ドラムの軸心に平行な長手方向(薄肉鋳片の幅方向)に延在する形状となり、溶鋼を冷却ドラムの長手方向に十分に行き渡るように供給する必要がある。
このため、例えば特許文献1−4に示すように、内ノズルと、底面に整流用耐火物が配設された外ノズルと、を有する浸漬ノズルが提案されている。ここで、整流用耐火物は、溶鋼流に圧損を加える構造とされており、内ノズルから外ノズル内に供給された溶鋼が、整流用耐火物の上面において冷却ドラムの軸心に平行な長手方向(薄肉鋳片の幅方向)に広がり、整流用耐火物の通過経路を通じて、外ノズルに設けられた吐出口から冷却ドラム周面に向けて供給される。すなわち、この浸漬ノズルにおいては、外ノズル内に溶鋼を一旦貯留した後、溶鋼溜まり部に対して溶鋼を供給する構造とされている。
Al脱酸した溶鋼を用いた場合には、溶鋼中に懸濁している固相のAlが整流用耐火物の通過経路内壁に付着・堆積し、整流用耐火物が閉塞しやすい傾向にあった。また、整流用耐火物の上に貯留された溶鋼の表面にAl被膜が形成され、このAl被膜によって整流用耐火物が閉塞するおそれがあった。このため、Al脱酸した溶鋼を用いて薄肉鋳片を鋳造する場合には、鋳造を長時間安定して行うことができないといった問題があった。
ここで、厚さ数十mm以上の鋳片を製造する一般的な連続鋳造においては、溶鋼にCaを添加することによって、高融点のAlを低融点のCaO−Al系酸化物に改質する方法が提案されている。
一般に、溶鋼中にCaを添加する場合には、取鍋やタンディッシュ内の溶鋼に対して、Caワイヤーを添加する方法や、Ca粉末をフラックスとともに添加する方法が実施されている。しかしながら、Caの固体を溶鋼に添加した場合には、溶鋼中でCaが急激に気化し、大きな気泡が急浮上することから、Caの添加歩留まりが低くなる。また、湯面が激しく揺れるため、歩留まりの変動も大きくなるほか、操業の安定性に欠ける。
このような欠点を改善し、Caを歩留り良く安定して添加させる手段として、特許文献5及び特許文献6には、Ca蒸気をキャリアガスとともに、浸漬ランスを用いてタンディッシュや鋳型内の溶鋼中に添加する方法が提案されている。
特開昭62−282753号公報 特開平07−068357号公報 特開平08−164450号公報 特開平09−225596号公報 特開2005−169404号公報 特開2005−219072号公報
ところで、特許文献5及び特許文献6に記載された方法を双ドラム式連続鋳造装置に適用しようとした場合、冷却ドラム間に形成された溶鋼溜まり部は非常に狭く溶鋼量が少ないことから、Ca気泡による湯面変動が非常に大きくなり、湯面レベルを安定に保つことが不可能である。そのため、タンディッシュ中の溶鋼に対してCa蒸気を供給することが現実的である。しかしながら、薄肉鋳片の鋳造を行う場合、一般的な連続鋳造に比べてスループット(単位時間当たりの鋳造量)が少ないので、タンディッシュ容量が小さく、溶鋼の浴深も浅くなる。このため、タンディッシュ中の溶鋼にCa蒸気を供給しても、Ca蒸気の気泡が短時間で浮上してしまい、溶鋼とCa蒸気との反応時間を確保できず、溶鋼中にCaを歩留り良く添加することができない。
また、特許文献5及び特許文献6に記載された方法では、浸漬ランスを溶鋼内に浸漬させていることから、非浸漬部を通じて放熱が進行し、浸漬ランス出口近傍に地金が付着して、浸漬ランスを閉塞させてしまい、長時間安定して鋳造を行うことができないおそれがある。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、T.Al量が0.005質量%以上の溶鋼を用いて薄肉鋳片を製造する場合であっても、溶鋼中にCaを歩留り良くかつ安定して供給することができ、ノズル内に貯留された溶鋼中又は溶鋼表面に存在するAlを改質して低融点化することによりノズルにおける溶鋼の詰まりを抑制でき、安定して長時間鋳造することが可能な薄肉鋳片の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る薄肉鋳片の製造方法は、回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼溜まり部に溶鋼を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて、T.Al量が0.005質量%以上の溶鋼を用いて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、前記溶鋼溜まり部に前記溶鋼を供給する浸漬ノズルは、前記冷却ドラムの長手方向に沿った底面形状を有するとともに内部に整流用耐火物を備えた外ノズルと、この外ノズル内に溶鋼を供給する内ノズルと、を備え、前記内ノズルから供給された前記溶鋼が前記外ノズルの内部に貯留される構成とされており、前記内ノズルと前記外ノズルとの間の前記溶鋼上の閉空間に対してCa蒸気を供給するとともに前記閉空間内の雰囲気ガスを排気し、前記閉空間におけるCa蒸気分圧PCa(MPa)を溶鋼中のトータル酸素量[T.O](mass%)に対して、
Ca≧17.077×[T.O]−0.006
の関係となるように制御することを特徴としている。
この構成の薄肉鋳片の製造方法によれば、前記内ノズルと前記外ノズルとの間の前記溶鋼上の閉空間に対してCa蒸気を供給するとともに前記閉空間内の雰囲気ガスを排気しているので、前記閉空間内のCa蒸気分圧を安定して高く維持することができ、具体的には、前記閉空間におけるCa蒸気分圧PCa(MPa)を溶鋼中のトータル酸素量[T.O](mass%)に対して、PCa≧17.077×[T.O]−0.006の関係となるように制御することができる。これにより、溶鋼湯面とCa蒸気との接触面積及び時間が確保され、溶鋼とCa蒸気とが効率良く反応し、ノズル内に貯留された溶鋼中又は溶鋼表面のAlを低融点のCaO−Al系酸化物に改質することが可能となる。したがって、整流用耐火物における溶鋼の詰まりを抑制することができ、鋳造を長時間安定して行うことが可能となる。
さらに、前記閉空間内の雰囲気ガスを排気しているので、前記閉空間内の圧力変動を抑えることができ、湯面変動を抑制することができる。これにより、湯面レベルを制御する流量調整機構(例えば、ストッパー、スライディングノズル)の動作を安定させることができ、鋳造を安定して実施することができる。
また、Ca蒸気の供給口を溶鋼中に浸漬する必要がないので、Ca蒸気の供給口に鋼が凝固し付着して閉塞するおそれがなく、長時間安定して操業することができる。
ここで、本発明に係る薄肉鋳片の製造方法においては、不活性ガスからなるキャリアガスによって、前記閉空間に前記Ca蒸気を供給する構成とすることが好ましい。
この場合、キャリアガスによってCa蒸気を前記閉空間に確実に供給することができる。また、キャリアガスとCa蒸気の混合比を調整することで、前記閉空間におけるCa蒸気分圧を比較的容易に調整することが可能となる。
上述のように、本発明によれば、T.Al量が0.005質量%以上の溶鋼を用いて薄肉鋳片を製造する場合であっても、溶鋼中にCaを歩留り良くかつ安定して供給することができ、ノズル内に貯留された溶鋼中又は溶鋼表面に存在するAlを改質して低融点化することによりノズルにおける溶鋼の詰まりを抑制でき、安定して長時間鋳造することが可能な薄肉鋳片の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法に用いられる双ドラム式連続鋳造装置の一例を示す説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法に用いられる浸漬ノズルの概略説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法に用いられる他の浸漬ノズルの概略説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法に用いられる他の浸漬ノズルの概略説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法に用いられる他の浸漬ノズルの概略説明図である。 実施例においてノズル内の整流用耐火物への付着物の発生状況の評価結果を示すグラフである。 実施例において鋳造状況の評価結果を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態において製造される薄肉鋳片1は、T.Al量が0.005質量%以上のAl脱酸鋼からなるものとされている。なお、Caの活性を低下させる元素、例えばNi,Siを含有する鋼種の場合、Caの添加歩留まりが向上することになる。
また、本実施形態では、製造される薄肉鋳片1の幅が500mm以上2000mmの範囲内、厚さが1mm以上5mm以下の範囲内とされている。
次に、本実施形態である薄肉鋳片の製造方法に用いられる双ドラム式連続鋳造装置について、図1を用いて説明する。
図1に示す双ドラム式連続鋳造装置10は、一対の冷却ドラム11、11と、薄肉鋳片1を曲げるベンダーロール12、12と、薄肉鋳片1を支持するピンチロール13、13と、一対の冷却ドラム11、11の幅方向端部に配設されたサイド堰15と、これら一対の冷却ドラム11、11とサイド堰15とによって画成された溶鋼溜まり部16に供給される溶鋼3を保持するタンディッシュ18と、このタンディッシュ18から溶鋼溜まり部16へと溶鋼3を供給する浸漬ノズル20と、を備えている。
この双ドラム式連続鋳造装置10においては、溶鋼3が回転する冷却ドラム11,11に接触して冷却されることにより、冷却ドラム11,11の周面の上で凝固シェル5、5が成長し、一対の冷却ドラム11,11にそれぞれ形成された凝固シェル5、5同士がドラムキス点で圧着されることによって、所定厚みの薄肉鋳片1が鋳造される。
ここで、上述の浸漬ノズル20においては、図2に示すように、外ノズル21と、この外ノズル21の内部に挿入される内ノズル30と、を備えている。
外ノズル21は、図2に示すように、冷却ドラム11の軸心に平行な長手方向(薄肉鋳片の幅方向)に沿った底面形状を有する下部領域21aと、この下部領域21aの上方に位置する上部領域21bと、を備えている。
下部領域21aの長手方向側面には、溶鋼3の吐出口22が複数設けられている。また、下部領域21aの内部には、整流用耐火物として多孔質耐火物フィルター23が配設されている。圧損構造体である多孔質耐火物フィルター23が配設されることで、内ノズル30から供給された溶鋼3が耐火物フィルター23の上面で広がり、外ノズル21の内部に溶鋼3が一旦貯留されることになる。
ここで、外ノズル21の下部領域21aの長手方向長さ(冷却ドラム11の軸心に平行な長手方向に沿った方向の長さ)は、鋳造する薄肉鋳片1の幅の40〜80%の範囲内に設定されている。
内ノズル30は、図2に示すように、管状をなしており、外ノズル21の上部から挿入されている。
そして、この内ノズル30と外ノズル21とによって、外ノズル21内に貯留された溶鋼の上に閉空間40が画成される。
また、この浸漬ノズル20においては、上述の閉空間40にCa蒸気を供給するCa蒸気供給部41と、閉空間40内の雰囲気ガスを外部に排気する排気部42とが設けられている。
本実施形態では、図2に示すように、Ca蒸気供給部41が、外ノズル21の上部領域21bに配設され、外ノズル21内に貯留された溶鋼3に対してCa蒸気を吹き付ける方向に配置されている。また、排気部42も、外ノズル21の上部領域21bに配設されており、上述のCa蒸気供給部41よりも上方に配置されている。
次に、上述した双ドラム式連続鋳造装置10を用いた本実施形態である薄肉鋳片の製造方法について説明する。
一対の冷却ドラム11、11とサイド堰15によって形成された溶鋼溜まり部16に、タンディッシュ18から浸漬ノズル20を介して溶鋼3を供給するとともに、一対の冷却ドラム11、11を回転方向Rに向けて、すなわち、一対の冷却ドラム11、11同士が近接する領域が薄肉鋳片1の引抜方向(図1においては下方向)に向かうように、それぞれの冷却ドラム11、11を回転させる。
すると、冷却ドラム11の周面には、凝固シェル5が形成される。そして、冷却ドラム11の周面の上で凝固シェル5が成長し、一対の冷却ドラム11、11にそれぞれ形成された凝固シェル5、5同士がドラムキス点で圧着されることにより、所定厚みの薄肉鋳片1が鋳造される。
ここで、本実施形態においては、Ca蒸気供給部41より、閉空間40に対してCa蒸気を供給するとともに排気部42から閉空間40内の雰囲気ガスを外部に排気することにより、閉空間40におけるCa蒸気分圧PCa(MPa)を制御する。具体的には、タンディッシュ18内の溶鋼3のトータル酸素量[T.O](mass%)を測定し、このトータル酸素量[T.O](mass%)に対して、
Ca≧17.077×[T.O]−0.006
の関係となるように、Ca蒸気分圧PCa(MPa)を制御する。なお、Ca蒸気分圧PCa(MPa)の上限は、雰囲気ガスのすべてをCa蒸気とした場合の大気圧0.101MPaとなる。
この式は以下のようにして求めた。
まず、ノズル閉塞を引き起こすAlをCaO−Al系の低融点酸化物に改質して、閉塞を防止するために必要な溶鋼中Ca量[Ca](mass%)を熱力学計算によって求めた。ここで、Al量は[T.O](mass%)を指標として、
[Ca]≧a[T.O]+b(a、bは定数) ・・・(1)
の形で表わすことができる。[T.O]が高いほど、すなわちAlが多いほど、[Ca]を高くする必要がある。また、一般に溶鋼中の[Ca]とCa蒸気分圧PCaとの関係は、
[Ca]=cPCa+d(c、dは定数) ・・・(2)
の形で示される。両式を整理して、
Ca≧e[T.O]+f(e、fは定数) ・・・(3)
が導かれる。この式は、[T.O]が高く、すなわちAlが多いほど、ノズル閉塞を防止するためにはCa蒸気分圧を高くする必要があることを示している。定数e,fは実験結果に合わせ込んで決定した。
本実施形態では、固体Caを密閉容器に装入し、外部から電気ヒータにより加熱することでCa蒸気を発生させる構成とされている。密閉容器内部の温度を常時測定し、加熱温度を制御することにより、Ca蒸気の発生量を安定して制御することが可能となる。
このようにして得られたCa蒸気を不活性ガスからなるキャリアガスとともに閉空間40へと供給する。このとき、Caの加熱温度とキャリアガス流量を調整することにより、閉空間40のCa蒸気分圧を調整することが可能となる。ここで、キャリアガスとして使用される不活性ガスとして、例えば、Ar、N、及び、これらの混合ガス等を用いることができる。
そして、閉空間40のCa蒸気分圧が調整されることで、外ノズル21内に貯留された溶鋼3の上にCa蒸気が存在することになり、このCa蒸気と溶鋼3とが反応し、溶鋼3中に存在するAl又は溶鋼3の表面に形成されたAl被膜が、低融点のCaO−Al系酸化物に改質される。
以上のような構成とされた本実施形態である薄肉鋳片1の製造方法においては、内ノズル30と外ノズル21とによって画成された閉空間40に、Ca蒸気供給部41を介してCa蒸気を供給するとともに排気部42から閉空間40内の雰囲気ガスを外部に排気することにより、閉空間40のCa蒸気分圧を調整しているので、外ノズル21の内部に貯留された溶鋼3とCa蒸気とが効率良く接触して反応し、溶鋼3中又は溶鋼3表面に存在するAlを低融点のCaO−Al系酸化物に改質することができる。具体的には、本実施形態では、閉空間におけるCa蒸気分圧PCa(MPa)を、溶鋼中のトータル酸素量[T.O](mass%)に対して、
Ca≧17.077×[T.O]−0.006
の関係となるように制御しているので、Alを改質するのに十分なCa量を確保することができ、適確に溶鋼3中又は溶鋼3表面に存在するAlを低融点のCaO−Al系酸化物に改質することができる。
これにより、多孔質耐火物フィルター23(整流用耐火物)における溶鋼の詰まりを抑制することができ、鋳造を長時間安定して行うことが可能となる。
また、Ca蒸気供給部41が溶鋼3中に浸漬されていないので、Ca蒸気供給部41に地金が付着して操業中に閉塞するおそれがなく、長時間安定して操業を行うことが可能となる。
さらに、外ノズル21に、閉空間40の雰囲気ガスを排出する排気部42が配設されているので、閉空間40内の圧力変動を抑えることができ、湯面変動を抑制することができる。これにより、湯面レベルを制御する流量調整機構の動作を安定させることができ、鋳造を安定して実施することができる。
さらに、本実施形態においては、不活性ガスからなるキャリアガスによって、閉空間40にCa蒸気を供給する構成としていることから、Ca蒸気を閉空間40に確実に供給することができる。また、キャリアガスとCa蒸気の混合比を調整することで、閉空間40におけるCa蒸気分圧を比較的容易に調整することが可能となる。
具体的には、固体Caを加熱してCa蒸気を発生させる際の加熱温度とキャリアガス流量とを調整しているので、閉空間40のCa蒸気分圧を精度良く制御することが可能となる。
また、本実施形態においては、Ca蒸気供給部41が、外ノズル21の上部領域21bに配置され、外ノズル21内に貯留された溶鋼3に対してCa蒸気を吹き付けるように構成されているので、鋳造初期において閉空間40のCa蒸気分圧が十分に高くなっていない非定常部であっても、溶鋼3とCa蒸気とを反応させることができ、早期に溶鋼3中のCa含有量を上昇させることが可能となり、溶鋼3中に存在するAlを適確に改質することができる。
以上、本発明の実施形態である本実施形態である薄肉鋳片1の製造方法について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、図1に示すように、ベンダーロール及びピンチロールを配設した双ドラム式連続鋳造装置を例に挙げて説明したが、これらのロール等の配置に限定はなく、適宜設計変更してもよい。
また、本実施形態では、図2に示すように、Ca蒸気供給部41及び排気部42を外ノズル21に配設したものとして説明したがこれに限定されることはない。
例えば、図3に示すように、Ca蒸気供給部41を外ノズル21に配設し、排気部42を内ノズル30に配設したものであってもよい。また、図4に示すように、Ca蒸気供給部41を内ノズル30に配設し、排気部42を外ノズル21に配設したものであってもよい。さらに、図5に示すように、Ca蒸気供給部41及び排気部42を内ノズル30に配設したものであってもよい。なお、内ノズル30の内部は、溶鋼3によって充満しておらず空隙が形成されているので、内ノズル30にCa蒸気供給部41や排気部42を配設しても、閉空間40にCa蒸気を供給することや閉空間40の雰囲気ガスを外部に排出することは可能である。
また、整流用耐火物として多孔質耐火物フィルターを用いたものとして説明したが、これに限定されることはなく、圧損を生じさせて溶鋼を広げて一旦貯留できる構造のものであればよい。
例えば、特許文献1に記載されたように、圧損が0.1kg/mm以上となる多孔質耐火物フィルターであってもよい。
また、特許文献2に記載されたように、多数の貫通孔を有する構造の整流用耐火物であって、貫通孔の孔径が2〜30mm、孔面積率が10〜30%とされたものであってもよい。
さらに、特許文献3に記載されたように、溶融金属通過厚みが30mm以上である孔径6〜20pores per inchの耐火物製フィルターまたは孔径が3〜10mm、孔面積率10〜25%の貫通孔を有する耐火物であってもよい。
また、特許文献4に記載されたように、多数の貫通孔を有する構造の整流用耐火物であって、端部と中央部と異なる孔径の貫通孔を配設したものであってもよい。
以下に、本発明の効果を確認すべく、実施した実験結果について説明する。
60t溶解炉で表1及び表2に示す組成の各種溶鋼を溶製し、成分調整を行った後、図1に示す双ドラム式連続鋳造装置を用いて下記の条件で薄肉鋳片を製造した。
タンディッシュ容量:5t
冷却ドラムの直径:1200mm
鋳造幅:800mm
鋳造雰囲気:Ar
鋳造厚み:2.5mm
単位時間当たりの鋳造量:1.1t/分
Caを加熱してCa蒸気を発生させて、表3及び表4に示すキャリアガスと混合し、外ノズルと内ノズルとの間の閉空間に吹き込んだ。Ca加熱温度を調整し、キャリアガス流量を1〜20NL/分(大気圧、室温での流量)の範囲で変更し、閉空間内のCa蒸気分圧を調整した。Ca蒸気及びキャリアガスは、外ノズルの上部に設けられた供給孔から溶鋼湯面に向けて吹き込んだ。また、外ノズルの上部に直径5mmの排気配管を接続し、閉空間の雰囲気ガスを排出し、閉空間内部を大気圧に維持した。
ここで、タンディッシュ内の溶鋼から測定試料を採取し、溶鋼のトータル酸素量[T.O](mass%)を測定した。本発明例では、下記式を満足するようにCa蒸気分圧制御した。
Ca≧17.077×[T.O]−0.006
(Ca蒸気分圧)
鋳造時、あるいはガス温度が鋳造時と同等の条件(鋳造準備時又は鋳造前後)に、閉空間内の雰囲気ガスを採取する。このCa蒸気を含む雰囲気ガスと、Ca蒸気を含まない条件でキャリアガスのみの、同一体積を採取し、室温まで冷却した後、両者の体積比を測定する。高温でガス化したCa蒸気は、室温では微粒子に凝縮するので、両者の体積の差をCa蒸気体積の差とみなすことができる。気体の体積は温度低下に伴い減少するため、室温での体積は、高温時の体積と異なるが、Ca蒸気分圧は、雰囲気ガス中の体積分率にほぼ比例するとみなすことができるので、室温におけるCa蒸気を含む雰囲気ガスとCa蒸気を含まないキャリアガスとの体積比が分かれば、閉空間におけるCa蒸気分圧を求めることが可能となる。
(鋳造後のノズル内整流用耐火物における介在物の付着状況)
鋳造後の整流用耐火物を上面から観察して介在物の付着面積率を測定し、付着物が無い場合を「0」、付着面積率が1/4以下の場合を「1」、2/4以下を「2」、3/4以下を「3」、3/4超えの場合を「4」と評価した。
(鋳造状況の評価)
溶鋼60tonの鋳造状況を(1)ノズル閉塞傾向なく全量を完鋳した場合「完鋳(閉塞傾向なし)」、(2)ノズル閉塞傾向が見られたが全量を完鋳した場合「完鋳(閉塞傾向あり)」、(3)ノズル閉塞が生じたため鋳造を中断した場合「中断」、に3区分して評価した。
閉塞傾向の有無は以下の基準で判断した。溶鋼は、タンディッシュの底部に装着されたスライディングノズル(以下、SNと記載)で流量を調整されてノズルに供給される。このSNが全閉している時の開度を0、全開時を100として、SNの開度が鋳造中にモニターされている。鋳造開始直後は冷却ドラム間の湯面を所定レベルに上げるために開度は大きい(初期非定常部)。その後、湯面レベル上昇につれて徐々に開度は低下し、湯面レベルが所定レベルに達すれば、SNの開度は安定する。ノズル閉塞が発生しない場合は(数秒から数十秒の変動を除いて平均的には)開度を保ったまま鋳造が進行する。そして、鋳造末期に取鍋内溶鋼をタンディッシュ内に注入し終わった後は、タンディッシュ内の溶鋼湯面が低下して溶鋼静圧が減少するので、所定量の溶鋼を供給するために、不可避的にSNの開度は上昇する(末期非定常部)。
ここで、初期および末期の非定常部を除いた期間にノズル閉塞が発生すれば、冷却ドラム間の湯面を所定レベルに保つために、SN開度は上昇する。ノズル閉塞が顕著な場合は、SNが全開しても溶鋼供給が追い付かなくなるので鋳造を中断せざるを得ない。このように、ノズル閉塞とSN開度には相関がある。今回の実施例では、初期非定常部終了後のSN開度(初期開度)は45〜55であった。そして、末期の非定常状態になる前に、平均のSN開度が初期開度より5以上増加した場合を「閉塞傾向あり」と判断した。閉塞傾向が鋳造末期近くで生じた場合は、完鋳することができ、この状態を「完鋳(閉塞傾向あり)」と評価した。閉塞傾向が早期に現れて完鋳出来なかった場合は「中断」と評価した。閉塞傾向がなかった場合は当然、完鋳し「完鋳(閉塞傾向なし)」と評価した。
Figure 0006569554
Figure 0006569554
Figure 0006569554
Figure 0006569554
No.1〜24は本発明条件を満たした本発明例であり、Ca蒸気分圧を、上記式を満たす条件に制御することで、溶鋼中のAl及び溶鋼表面のAl被膜がCaO−Al系酸化物に改質されており、整流用耐火物の介在物付着面積率が2/4以下に抑制されていたために、閉塞傾向がなく、溶鋼全量を完鋳できた。
一方、No.31〜43は本発明の条件を外れた比較例である。
No.31及び43は、Ca蒸気及びキャリアガスを、タンディッシュの溶鋼中に浸漬したランスを用いて吹き込んだため、Caの添加歩留まりが低く、溶鋼中のAl及び溶鋼表面のAl被膜がCaO−Al系酸化物に十分に改質されなかったため、整流用耐火物の介在物付着面積率が3/4を超えており、閉塞のため溶鋼全量を鋳造することが出来ずに中断した。
No.32〜42は、Ca蒸気分圧が上記式を満たさなかったため、溶鋼中Caの含有量は、溶鋼中のAl及び溶鋼表面のAl被膜をCaO−Al系酸化物に改質するためには不十分であった。このため、整流用耐火物の介在物付着面積率が2/4を超えており、溶鋼全量を完鋳出来た場合でも閉塞傾向が現れて不安定な操業であった。あるいは、閉塞のため溶鋼全量を鋳造することができずに鋳造を中断した。
ここで、溶鋼中のトータル酸素量[T.O](mass%)をX軸、Ca蒸気分圧(MPa)をY軸とし、付着物の発生状況をプロットした結果を図6に示す。なお、タンディッシュ内にCa蒸気を吹き込んだNo.31、43のデータは除いた。図6における点線は、下記の式(1)を示す。
Ca=17.077×[T.O]−0.006・・・(1)
式(1)の点線よりも上側の領域においては、付着物の発生が抑制されていることが確認される。一方、式(1)の点線よりも下側の領域においては、付着物が多く発生していることが確認される。
ここで、溶鋼中のトータル酸素量[T.O](mass%)をX軸、Ca蒸気分圧(MPa)をY軸とし、鋳造状況をプロットした結果を図7に示す。なお、タンディッシュ内にCa蒸気を吹き込んだNo.31、43のデータは除いた。図7における点線は、上記の式(1)を示す。
式(1)の点線よりも上側の領域においては、閉塞傾向がなく完鋳可能であった。一方、式(1)の点線よりも下側の領域においては、完鋳しても閉塞傾向があり、さらに、全量を鋳造できず鋳造中断した。
以上の結果から、溶鋼中のT.O量に応じて、閉空間におけるCa蒸気分圧を調整することで、ノズルの閉塞が抑制され、長時間安定して鋳造することができることが確認された。
1 薄肉鋳片
3 溶鋼
20 浸漬ノズル
21 外ノズル
23 多孔質耐火物フィルター(整流用耐火物)
30 内ノズル
40 閉空間

Claims (2)

  1. 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼溜まり部に溶鋼を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて、T.Al量が0.005質量%以上の溶鋼を用いて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、
    前記溶鋼溜まり部に前記溶鋼を供給する浸漬ノズルは、前記冷却ドラムの長手方向に沿った底面形状を有するとともに内部に整流用耐火物を備えた外ノズルと、この外ノズル内に溶鋼を供給する内ノズルと、を備え、前記内ノズルから供給された前記溶鋼が前記外ノズルの内部に貯留される構成とされており、
    前記内ノズルと前記外ノズルとの間の前記溶鋼上の閉空間に対してCa蒸気を供給するとともに前記閉空間内の雰囲気ガスを排気し、前記閉空間におけるCa蒸気分圧PCa(MPa)を溶鋼中のトータル酸素量[T.O](mass%)に対して、
    Ca≧17.077×[T.O]−0.006
    の関係となるように制御することを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
  2. 不活性ガスからなるキャリアガスによって、前記閉空間に前記Ca蒸気を供給することを特徴とする請求項1に記載の薄肉鋳片の製造方法。
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