JP6568383B2 - 活性エネルギー線硬化性重合体組成物、それを用いた硬化膜、及び前記硬化膜を有する積層体 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性重合体組成物、それを用いた硬化膜、及び前記硬化膜を有する積層体 Download PDF

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Description

本発明は、ポリカーボネート骨格を有するポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと活性エネルギー線反応性モノマーとを含有する活性エネルギー線硬化性重合体組成物、この組成物への活性エネルギー線の照射により得られる硬化膜、及びこの硬化膜を有する積層体に関する。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、紫外線等の活性エネルギー線により短時間で重合し硬化する特性を持ち、一般的に透明性に優れ、硬化膜に強靭性、柔軟性、耐擦傷性、耐薬品性等の優れた特性を持たせることが可能である。この点から、プラスチックやガラスへのコーティング剤や、レンズの成型剤、封止剤、接着剤等の様々な分野に用いられている。
近年、電子ペーパーや携帯電話等の複雑な形状の基材への加工が求められており、高硬度で傷を防止することが可能でありながら、屈曲性のある硬化膜が必要になってきた。
特開2009−62499号公報(特許文献1)には、高硬度で屈曲性の高いハードコートフィルムを与える紫外線硬化型樹脂組成物として、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールと1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを反応させ、次いでペンタエリスリトールトリアクリレート及びテトラエステルアクリレートを反応させたウレタンアクリレートを含む紫外線硬化型樹脂組成物が開示されている。しかし、この紫外線硬化型樹脂組成物に紫外線を照射することによって得られる硬化膜は、高硬度であるが、屈曲性は不十分であるという問題があった。
一方、耐薬品性及び可とう性に優れた塗膜を与えるエネルギー線硬化型樹脂組成物として、特開2009−227915号公報(特許文献2)には、有機ポリイソシアネートと、脂環式構造を有するポリカーボネートポリオールと、分子内に一個以上の水酸基を含有する(メタ)アクリレートとを反応させて得られるウレタンアクリレートを含有するエネルギー線硬化型樹脂組成物が開示されている。しかし、このエネルギー線硬化型樹脂組成物を用いた塗料は、フィルム等に塗布した場合、屈曲性は良好であるが、硬度が不十分であり、表面が傷付きやすいという問題があった。
また、優れた耐汚染性及び硬度を有する硬化膜が得られる活性エネルギー線硬化性重合体組成物として、国際公開第2011−129377号(特許文献3)には、特定のポリカーボネートジオール、ポリイソシアネート、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、を含む原料の反応物であるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを含有する活性エネルギー線硬化性重合体組成物が開示されている。しかしながら、この活性エネルギー線硬化性重合体組成物に活性エネルギー線を照射してなる硬化膜は、硬度が十分ではなく、表面に傷が付きやすいという問題があった。
特開2009−62499号公報 特開2009−227915号公報 国際公開第2011−129377号
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、活性エネルギー線硬化後に、高硬度でありながら屈曲性に優れる硬化膜を形成することが可能な活性エネルギー線硬化性重合体組成物、及びこのような硬化膜を有する積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリカーボネート骨格を有する特定のポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと活性エネルギー線反応性モノマーとを特定の比率で含む活性エネルギー線硬化性重合体組成物を用いることによって、高硬度でありながら屈曲性に優れており、さらには基材に対する密着性が良好な硬化膜が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、下記一般式(A):
で表される繰り返し単位と下記一般式(B):
(式(B)中、Xはヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜15の2価の有機基を表す。)
で表される繰り返し単位とを含むポリカーボネートジオール、ポリイソシアネート、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含む原料の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと、(メタ)アクリルアミド類、単官能(メタ)アクリレート、及び多官能(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種の活性エネルギー線反応性モノマーとを含有する活性エネルギー線硬化性重合体組成物であって、
前記活性エネルギー線硬化性重合体組成物100質量%に対して、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを1質量%以上45質量%以下で含有し、前記活性エネルギー線反応性モノマーを55質量%以上99質量%以下で含有することを特徴とするものである。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、前記活性エネルギー線硬化性重合体組成物100質量%に対して、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを5質量%以上45質量%以下で含有し、前記活性エネルギー線反応性モノマーを55質量%以上95質量%以下で含有するものであることが好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記活性エネルギー線反応性モノマーとしては、分子内に環構造を有する単官能(メタ)アクリレート、及び多官能(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、前記ポリカーボネートジオールとしては、前記式(A)で表される繰り返し単位を10質量%以上含み、前記ポリカーボネートジオールの数平均分子量が500以上5,000以下であり、かつ1分子当りの平均水酸基数が2.2以下であるものが好ましい。本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、活性エネルギー線重合開始剤を更に含むことが好ましい。
本発明の硬化膜は、前記本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物に、活性エネルギー線を照射してなるものであり、本発明の積層体は、このような硬化膜からなる層を有するものである。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレートとの総称であり、アクリレート及びメタクリレートの一方又は両方を意味する。(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリル酸についても同様である。
本発明によれば、活性エネルギー線の照射によって、高硬度でありながら屈曲性に優れており、さらには基材に対する密着性が良好な硬化膜を形成することが可能な活性エネルギー線硬化性重合体組成物、及びこのような硬化膜を有する積層体を提供することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
<活性エネルギー線硬化性重合体組成物>
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、下記一般式(A)で表される繰り返し単位と下記一般式(B)で表される繰り返し単位とを含むポリカーボネートジオール、ポリイソシアネート、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含む原料の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと、活性エネルギー線反応性モノマーとを含有する活性エネルギー線硬化性重合体組成物であって、
前記活性エネルギー線硬化性重合体組成物100質量%に対して、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを1質量%以上45質量%以下で含有し、前記活性エネルギー線反応性モノマーを55質量%以上99質量%以下で含有するものである。
式(B)中、Xはヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜15の2価の有機基を表す。
〔ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー〕
本発明に用いられるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、前記一般式(A)で表される繰り返し単位と前記一般式(B)で表される繰り返し単位とを含むポリカーボネートジオール、ポリイソシアネート、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含む原料の反応物である。このようなポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。以下に、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの原料の各成分について説明する。
(ポリカーボネートジオール)
本発明に用いられるポリカーボネートジオールは、前記一般式(A)で表される繰り返し単位(以下「構造(A)」と略すこともある)と前記一般式(B)で表される繰り返し単位(以下「構造(B)」と略すこともある)とを含むものである。本発明に用いられるポリカーボネートジオールとしては、ジオールと炭酸ジエステルを原料とし、エステル交換触媒を用いて製造されるものが好ましい。
ジオールとしては、イソソルビド、及びその立体異性体であるイソマンニド、イソイディッドの1種以上と、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜15のジオールとが挙げられる。炭酸ジエステルとしては、例えばアルキルカーボネート、アリールカーボネート、及びアルキレンカーボネートが挙げられる。
エステル交換触媒としては、一般にエステル交換能があるとされている金属の単体や、水酸化物や塩等の金属化合物が挙げられる。中でも、周期表1族金属、周期表2族金属の酢酸塩や炭酸塩、水酸化物が好ましく、周期表2族金属を用いる触媒がより好ましい。ポリカーボネートジオール中には製造時に使用された触媒が残存することがあるが、その後のポリウレタン化反応を想定以上に促進したりする場合があり、触媒は残存しない方が好ましい。このような観点から、ポリカーボネートジオール中に残存する触媒量としては、触媒金属換算の含有量として100質量ppm以下が好ましい。触媒の残存量の下限値は小さいほどよいが、製法の簡略化の観点から0.1質量ppm以上としてもよい。
本発明に用いられるポリカーボネートジオールとしては、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの粘度が低く扱いやすいという観点や硬化物の機械的強度の観点から、数平均分子量が500以上5,000以下であるものが好ましい。また、前記ポリカーボネートジオールは、少なくともその分子鎖に2つの、好ましくは分子鎖の両末端にそれぞれに1つずつの水酸基を有している。このようなポリカーボネートジオールは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
{構造(A)}
本発明にかかる構造(A)の構造上の第1の特徴は、フラン環が2個縮環したフレキシビリティの小さな剛直な構造である点にあり、このため、本発明に用いられるポリカーボネートジオールでは、この構造(A)の部分において剛直性が発現される。また、第2の特徴は、カーボネート基が、メチレン基等の自由回転可能な基を介することなく、直接縮環フラン環に結合しているため、この部分においても自由度が低く、極めてリジッドな構造となっている点にある。また、第3の特徴として、密度が高い親水性のフラン環が2個配置されていることにあり、このため、水分子等の極性基との親和性があり、親水性が高いという特性を有する。
また、本発明に用いられるポリカーボネートジオールとしては、前記分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合が前記分子鎖の全末端数に対して5%以下であるものが好ましく、前記分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合が前記分子鎖の全末端数に対して5%以下であり、かつ、分子鎖の両末端の95%以上が水酸基であるものがより好ましい。ポリウレタン化反応の際はこの水酸基がポリイソシアネートと反応できる構造となっている。
構造(A)は、前記ポリカーボネートジオールにおいて連続していてもよいし、一定の間隔で存在していてもよいし、偏在していてもよい。前記ポリカーボネートジオールにおける前記構造(A)の含有量としては、前述した剛直性、親水性等の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上が特に好ましい。分子鎖中に構造(A)以外の他構造を導入することにより、前述した剛直性、親水性等によりもたらされる効果に加えて、ポリカーボネートジオールの規則性が乱されるため、融点及び粘度が低下し、ハンドリング性が良くなるという効果が得られる。
{構造(B)}
構造(B)を表す前記一般式(B)におけるXは、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜15の2価の基であり、直鎖又は分岐鎖の鎖状基、環状基、いずれの構造が含まれていてもよい。Xを構成する元素である炭素の数としては、10以下が好ましく、6以下がより好ましい。X中に含まれていてもよいヘテロ原子としては、例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられ、化学的な安定性から酸素原子が好ましい。Xの基の具体例としては、本発明に用いられるポリカーボネートジオールの製造時に、構造(B)を与える化合物として以下に例示する化合物を用いた場合に生成する基が挙げられ、下記の例示化合物のうち、好ましい化合物を反応して得られる基が好ましい。
構造(B)は、前記ポリカーボネートジオールにおいて連続していてもよいし、一定の間隔で存在していてもよいし、偏在していてもよい。前記ポリカーボネートジオールにおける前記構造(B)の含有量としては、ポリカーボネートジオールの規則性を乱し、融点及び粘度を低下させることによるハンドリング性良化の観点から、80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
{構造(A)と構造(B)の割合}
本発明に用いられるポリカーボネートジオールの分子鎖を構成する構造(A)と構造(B)の割合(以下「(A)/(B)比」と称す場合がある。)は、通常、モル比で構造(A)/構造(B)=99/1〜1/99である。分子鎖中に構造(B)を導入することによりポリカーボネートジオールの規則性が乱されるため、融点及び粘度が低下し、ハンドリング性が改良されるという効果が得られる。前述した剛直性、親水性等の本発明の効果をもたらすのは主として構造(A)の部分であり、本発明に用いられるポリカーボネートジオール中の構造(A)の割合が少なすぎると、その効果が十分得られない場合がある。A)/(B)比としては、99/1〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、70/30〜30/70が更に好ましい。
本発明に用いられるポリカーボネートジオールにおいて、分子鎖末端における構造(A)/構造(B)の割合、即ち、前記一般式(A)で表される構造と水素原子或いはアルキルオキシ基又はアリールオキシ基との組み合わせで分子鎖末端が形成されている部分と、前記一般式(B)で表される構造と水素原子或いはアルキルオキシ基又はアリールオキシ基との組み合わせで分子鎖末端が形成されている部分との割合(以下、この割合を「末端(A)/(B)比」と称す場合がある。)としては、95/5〜20/80が好ましく、90/10〜30/70がより好ましく、80/20〜40/60が更に好ましい。この分子鎖末端において、この範囲よりも構造(B)部分が多いと、硬度等設計した特性が得られない場合がある。
また、下記式(I)で求められる分子鎖末端の構造(A)の数と構造(B)の数との合計に対する分子鎖末端の構造(A)の割合と、全分子鎖中の構造(A)の数と構造(B)の数との合計に対する全分子鎖中の構造(A)の割合(以下、「末端(A)率(I)」と称す場合がある。)は、特に限定はされないが、通常1.1以上(好ましくは1.2以上、より好ましくは1.3以上、特に好ましくは1.4以上)であり、また、通常5.0以下(好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.9以下、特に好ましくは1.8以下)である。この末端(A)率(I)が前記下限未満になると、工業的に実施する上で、実用的なウレタン化反応速度が得られない場合があり、他方、前記上限を超えると、ウレタン化反応速度が速すぎることに起因してウレタン化反応が進みすぎて硬度等設計した物性が得られない場合がある。末端(A)率(I)は、構造(A)及び構造(B)の原料となるジオールの比や、触媒の種類や触媒量、反応最大温度、反応時間によって調整することができる。
{原料モノマー}
本発明に用いられるポリカーボネートジオールは、後述するように、ジオールと炭酸ジエステルを原料として製造されるものである。
(炭酸ジエステル)
使用可能な炭酸ジエステルとしては、本発明の効果を失わない限り限定はされないが、アルキルカーボネート、アリールカーボネート、又はアルキレンカーボネートが挙げられる。これらのうち、アリールカーボネートを使用すると速やかに反応が進行するという利点がある。しかしその一方で、アリールカーボネートを原料とすると沸点の高いフェノール類が副生するが、ポリカーボネートジオール生成物中のフェノール類の残留量は、より少ない方が好ましい。これは、フェノール類が1官能性化合物であり、ポリウレタン化の際の重合阻害因子となり得る上、刺激性物質でもあるためである。
本発明に用いられるポリカーボネートジオールの製造に用いることができる炭酸ジエステルのジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネートの具体例は以下の通りである。
ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、エチルイソブチルカーボネート等が挙げられ、中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートが好ましい。ジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジm−クレジルカーボネート等が挙げられ、中でも、ジフェニルカーボネートが好ましい。アルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、1,3−ペンチレンカーボネート、1,4−ペンチレンカーボネート、1,5−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、2,4−ペンチレンカーボネート、ネオペンチルカーボネート等が挙げられ、中でも、エチレンカーボネートが好ましい。これらは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらの中でもジアリールカーボネートが反応性に富み、工業的に製造する上で効率的であることから好ましく、中でも工業原料として容易にかつ安価に入手可能なジフェニルカーボネートがより好ましい。
(ジオール)
一方、ジオールのうち、本発明に用いられるポリカーボネートジオールに含まれる構造(A)と構造(B)を与えるジオールの具体例を以下に示す。
(構造(A)の原料ジオール)
構造(A)を与える原料ジオールとしては、イソソルビド、及びその立体異性体であるイソマンニド、イソイディッド等が挙げられ、これらは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。中でもソルビトールの脱水反応で容易に得られ、工業的な量で市販もされているイソソルビドが好ましい。
(構造(B)の原料ジオール)
構造(B)を与える原料ジオールとしては、前記のヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜15のジオール類が挙げられ、炭素数2〜10のジオール類が好ましい。例えば、
エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の直鎖炭化水素の末端ジオール類;
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のエーテル基を有する鎖状のジオール類;
ビスヒドロキシエチルチオエーテル等のチオエーテルジオール類;
2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ペンチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ペンチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,9,9−テトラメチル−1,10−デカンジオール等の分岐鎖を有するジオール類;
1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4−ジシクロヘキシルジメチルメタンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,4−ジヒドロキシエチルシクロヘキサン、4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキサノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2,2’−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン)、ノルボルナン−2,3−ジメタノール等の脂環式構造を有するジオール類;
2,5−ビス(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン、3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(cas番号:1455−42−1)、2−(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(cas番号:59802−10−7)等のヘテロ原子を環内にもつ環状基を含むジオール類;
ジエタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン等の含窒素ジオール類;
ビス(ヒドロキシエチル)スルフィド等の含硫黄ジオール類が挙げられる。これらのジオール類は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
これらのジオール類のうち、工業的な入手性、得られるポリカーボネートジオール及び活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化して得られる硬化物の物性が優れることから、直鎖炭化水素の末端ジオール類としてはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール等が好ましく、エーテル基を有する鎖状のジオール類としてはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が好ましく、分岐鎖を有するジオール類としては、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール等が好ましく、脂環式構造を有するジオール類としては1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4−ジシクロヘキシルジメチルメタンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキサノール、ノルボルナン−2,3−ジメタノール等が好ましく、ヘテロ原子を環内にもつ環状基を含むジオール類としては3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(cas番号:1455−42−1)、2−(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(cas番号:59802−10−7)等が好ましい。これらの中でも、得られる硬化膜の機械的強度及び工業的な入手性の観点から、炭素数4〜6のジオール類がより好ましく、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールや3−メチル−1,5−ペンタンジオールが特により好ましい。
(構造(A)用ジオール)
本発明に用いられるポリカーボネートジオールの特徴は構造(A)と構造(B)とを含むことにあるが、この構造(A)を与える前述のジオール類(以下「構造(A)用ジオール」と称す場合がある。)は、不安定な場合があり、保存や使用する際には注意を要する。例えば、イソソルビドは酸素が存在すると徐々に酸化されるので、保管や製造時の取り扱いの際には、酸素による分解を防ぐため、脱酸素剤を用いたり、窒素雰囲気下にしたりすることが肝要である。また、水分が混入しないようにすることも必要である。イソソルビドが酸化されると、ギ酸をはじめとする分解物が発生する。例えば、これら分解物を含むイソソルビドを用いてポリカーボネートジオールを製造すると、得られるポリカーボネートジオールに着色が発生したり、物性が著しく劣化する場合がある。また、重合反応に影響を与え、目的の分子量の重合体が得られない場合がある。
これらの対策としては公知の文献に記載の方法を任意に採用することができる。例えば、特開2009−161745号公報には、ポリカーボネートを製造する際に使用するイソソルビド等の原料ジヒドロキシ化合物中に含まれる好ましいギ酸の量が規定されており、規定量以下のジヒドロキシ化合物を用いると物性の良いポリカーボネートが得られるとしている。本発明に用いられるポリカーボネートジオールを製造する場合にも同様の事が言え、使用する構造(A)用ジオール中に含まれるギ酸の量としては、20ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、5ppm以下が更に好ましい。下限としては特に限定はされないが、1ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましい。
また、これら構造(A)用ジオールは酸化的に劣化するとギ酸等の酸性物質を生成することからpHが下がる傾向がある。従って使用可能な構造(A)用ジオールの評価にpHを指標とすることもできる。pHは例えば、国際公開第09/057609号に記載の方法、すなわち原料ジオールの40%水溶液としてpHメーターで測定する方法が採用できる。本発明に用いられるポリカーボネートジオールを製造するために必要な構造(A)用ジオールの40%水溶液のpHは、通常pH3以上(好ましくはpH4以上、更に好ましくはpH5以上)であり、また、通常pH11以下(好ましくはpH10以下)である。
構造(A)用ジオールが酸化劣化すると、過酸化物を生じる。この過酸化物は、本発明に用いられるポリカーボネートジオールを製造する際や、ウレタン化反応の際の着色の原因になることがあるので、より少ない方が好ましい。構造(A)用ジオール中の過酸化物の量は、構造(A)用ジオール質量に対して、10ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、3ppm以下が更に好ましく、1ppm以下が特に好ましい。下限としては特に限定はされないが、0.01ppm以上が好ましい。
構造(A)用ジオール中に周期表1族金属及び/又は周期表2族金属化合物が含有されると、ポリカーボネート化反応の際、さらには得られたポリカーボネートジオールをポリウレタン化する際の反応速度に影響を与えてしまう場合がある。そのため、構造(A)用ジオール中の周期表1族金属及び/又は周期表2族金属化合物の含有量としては、少ない方が好ましく、構造(A)用ジオール質量に対しての金属の質量割合として、10ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、3ppm以下が更に好ましく、1ppm以下が特に好ましく、周期表1族金属及び/又は周期表2族金属化合物を全く含まない(0ppm)ことが最も好ましい。
構造(A)用ジオール中に塩化物イオンや臭化物イオン等のハロゲン成分が含有されると、ポリカーボネート化反応の際、さらには得られたポリカーボネートジオールをポリウレタン化する際の反応に影響を与えたり、着色の原因となる場合があるため、その含有量は少ない方が好ましい。構造(A)用ジオール中のハロゲン成分の含有量としては、構造(A)用ジオールの質量に対してハロゲン量として10ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、1ppm以下が特に好ましい。
酸化等により劣化したり、或いは上記不純物を含む構造(A)用ジオールは、例えば、蒸留等により精製することができるため、重合に使用する前に蒸留して上記した範囲となったものを使用することが可能である。蒸留後再び酸化劣化するのを防ぐためには安定剤を添加することも有効である。具体的な安定剤としては通常一般に有機化合物の酸化防止剤として使用されているものであれば制限なく使用することが可能であり、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学製、商品名:Sumilizer(登録商標)GS)等のフェノール系安定化剤、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(住友化学製、商品名Sumilizer(登録商標)GP)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系安定化剤が例として挙げられる。
{分子量・分子量分布}
前記ポリカーボネートジオールの数平均分子量としては、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの適当な粘度による良好な作業性や、活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化して得られる硬化物の機械的強度及び耐汚染性の観点から、500以上が好ましく、800以上がより好ましく、1,000以上が更に好ましく、また、5,000以下が好ましく、3,000以下がより好ましく、2,000以下が更に好ましく、1,500以下が特に好ましい。前記ポリカーボネートジオールの数平均分子量が小さくなるにつれて、前記作業性が向上し、前記硬化物の機械的強度、耐汚染性が向上する傾向がある。また、前記ポリカーボネートジオールの数平均分子量が大きくなるにつれて、前記硬化物の三次元加工時の変形に追従可能な柔軟性が向上する傾向がある。
本発明に用いられるポリカーボネートジオールの分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、通常1.5以上(好ましくは2.0以上)であり、また、通常3.5以下(好ましくは3.0以下)である。分子量分布が前記下限未満のポリカーボネートジオールを製造しようとすると、オリゴマーを除く等の高度な精製操作が必要になる場合があり、分子量分布が前記上限を超えると、このポリカーボネートジオールを用いて製造した活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化して得られる硬化物の物性が、低温で硬くなる、伸びが悪くなる等、悪化する傾向がある。ここで、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量であり、通常ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定で求めることができる。
{分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合・水酸基価}
本発明に用いられるポリカーボネートジオールは基本的にポリマーの末端構造は水酸基である。しかしながら、ジオールと炭酸ジエステルとの反応で得られるポリカーボネートジオール生成物中には、不純物として一部ポリマー末端が水酸基ではない構造のものが存在する場合がある。その構造の具体例としては、分子鎖末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基のものであり、多くは炭酸ジエステル由来の構造である。例えば、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを使用した場合はアリールオキシ基としてフェノキシ基(PhO−)、ジメチルカーボネートを使用した場合はアルキルオキシ基としてメトキシ基(MeO−)、ジエチルカーボネートを使用した場合はエトキシ基(EtO−)、エチレンカーボネートを使用した場合はヒドロキシエトキシ基(HOCHCHO−)が末端基として残存する場合がある(ここで、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。)。
本発明において、ポリカーボネートジオール生成物中に含まれる分子鎖末端がアルキルオキシ基ないしアリールオキシ基となっている構造の割合は、その末端基の数として全末端数の5モル%以下が好ましく、3モル%以下がより好ましく、1モル%以下が特に好ましい。この分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合の下限としては特に制限はないが、0.01モル%以上が好ましく、0.001モル%以上がより好ましく、0モル%以上が最も好ましい。アルキルオキシ基ないしアリールオキシ末端基の割合が大きいと、ポリウレタン化反応を行なう際に重合度が上がらない等の問題が生じる場合がある。本発明に用いられるポリカーボネートジオールは、上述のように分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合が前記範囲内にあり、分子鎖の両末端基は基本的には水酸基であり、ポリウレタン化反応の際はこの水酸基がイソシアネートと反応できる構造となっている。
前記ポリカーボネートジオールの水酸基価(OH価)としては、活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化して得られる硬化物の機械的強度及び耐汚染性の観点から、20mgKOH/g以上が好ましく、35mgKOH/g以上がより好ましく、55mgKOH/g以上が更に好ましく、75mgKOH/g以上が特に好ましい。また、同様の観点から、250mgKOH/g以下が好ましく、150mgKOH/g以下がより好ましい。前記ポリカーボネートジオールの水酸基価が小さくなると、前記硬化物の三次元加工時の変形に追従可能な柔軟性が向上する傾向がある。前記ポリカーボネートジオールの水酸基価が大きくなると、前記硬化物の機械的強度、耐汚染性が向上する傾向がある。なお、ポリカーボネートジオールの水酸基価(OH価)は、後述する方法によって測定することができる。
前記ポリカーボネートジオールの1分子当りの平均水酸基数としては、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー製造時におけるゲル化抑制の観点から、2.2以下が好ましく、2.1以下がより好ましい。前記ポリカーボネートジオールの1分子当りの平均水酸基数が前記上限を超えると、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー製造時にゲル化し、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーのみならず反応容器も損傷する可能性が生じ、また、得られた活性エネルギー線硬化性重合体組成物はゲルを含むこと及び粘度が高いことに起因して塗布性が悪くなるため好ましくない。また、前記ポリカーボネートジオールの1分子当りの平均水酸基数の下限としては特に限定はされないが、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの分子量を目的の範囲とし、前記オリゴマーを含有する活性エネルギー線硬化性重合体組成物から得られた硬化膜を三次元加工特性と耐汚染性とのバランスに優れたものとするという観点から、1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、1.8以上が更に好ましい。前記ポリカーボネートジオールの1分子当りの平均水酸基数が前記下限値未満では、ジイソシアネートとの反応で分子量が高くなりづらい傾向があり、目的の分子量のポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーとすることができず、前記オリゴマーを含有する活性エネルギー線硬化性重合体組成物から得られた硬化膜を三次元加工特性と耐汚染性とのバランスに優れたものとできない可能性が生じる。すなわち、前記ポリカーボネートジオールの1分子当りの平均水酸基数としては、2.0±0.2以内が好ましく、2.0±0.1以内がより好ましく、2.0が最も好ましい。なお、ポリカーボネートジオールの1分子当りの平均水酸基数は、後述する方法によって得られた数平均分子量及び水酸基価から算出することができる。
{エーテル構造}
本発明に用いられるポリカーボネートジオールは、カーボネート基により原料ジオールが重合した構造が基本となっている。しかしながら、製造方法によっては、一部前述の構造(A)及び(B)以外のエーテル構造となったものが混入する場合があり、その存在量が多くなると耐候性や耐熱性が低下することがあるので、構造(A)及び(B)以外のエーテル構造の割合が過度に多くならないように製造することが望ましい。ポリカーボネートジオール中の構造(A)及び(B)以外のエーテル構造を低減して、耐候性、耐熱性等の特性を確保する点において、本発明に用いられるポリカーボネートジオールの分子鎖中に含まれる構造(A)及び(B)以外のエーテル結合とカーボネート結合の比としては、モル比で2/98以下が好ましく、1/99以下がより好ましく、0.5/99.5以下が特に好ましい。
{粘度・溶媒溶解性}
本発明に用いられるポリカーボネートジオールは、室温付近で通常、液状からワックス状の白濁固体という性状を呈しているが、加温することにより粘度を低下させることができ、ハンドリングしやすくなる。また、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系の溶媒、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒に溶解させることも可能で、移送や反応が行いやすくなる場合もある。本発明に用いられるポリカーボネートジオールの性状は上述したように通常室温で液状〜白色ワックス状固体であり、温度によりその性状は異なる。例えば粘度で表すと、本発明に用いられるポリカーボネートジオールの40℃における粘度としては、0.1Pa・s以上が好ましく、1Pa・s以上がより好ましく、5Pa・s以上が更に好ましく、また、108Pa・s以下が好ましく、107Pa・s以下がより好ましく、106Pa・s以下が特に好ましい。
{APHA値}
本発明に用いられるポリカーボネートジオールの色は、得られるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの色相に影響を与えない範囲が好ましく、着色の程度をハーゼン色数(JIS K0071−1に準拠)で表した場合の値(以下「APHA値」と表記する。)としては特に限定はされないが、100以下が好ましく、50以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。
{不純物フェノール類含有量}
本発明に用いられるポリカーボネートジオール中に含まれるフェノール類の含有量としては特に限定はされないが、少ない方が好ましく、0.1質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましく、0.001質量%以下が更に好ましい。これは、フェノール類が1官能性化合物であり、ポリウレタン化の際の重合阻害因子となる可能性がある上、刺激性物質であるためである。
{不純物炭酸ジエステル含有量}
本発明に用いられるポリカーボネートジオール生成物中には、製造時の原料として使用した炭酸ジエステルが残存することがあるが、本発明に用いられるポリカーボネートジオール中の炭酸ジエステルの残存量としては特に限定はされないが、少ない方が好ましく、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。ポリカーボネートジオールの炭酸ジエステル含有量が多すぎると、ポリウレタン化の際の反応を阻害する場合がある。一方、その下限としては特に制限はないが、0.1質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0質量%以上が特に好ましい。
{不純物ジオール含有量}
本発明に用いられるポリカーボネートジオールには、製造時に使用した原料ジオールが残存する場合がある。本発明に用いられるポリカーボネートジオール中の原料ジオールの残存量としては特に限定はされないが、少ない方が好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が一層好ましく、0.1質量%以下が特に好ましく、0.05質量%以下が最も好ましい。また原料ジオールとしてイソソルビド、イソマンニド、及びイソイディッドから選ばれる少なくとも1種のジオール(以下、「イソソルビド類」と略記することがある)を用いた場合には、ポリカーボネートジオール中のイソソルビド類の残存量としては少ない方が好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が更により好ましく、0.1質量%以下が特に好ましく、0.01質量%以下が最も好ましい。ポリカーボネートジオール中の原料ジオールの残存量が多いと、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーとした際のソフトセグメント部位の分子長が不足する場合がある。
なお、ポリカーボネートジオールの原料であったジオールはポリカーボネートジオール生成物のNMR測定又は生成物に含まれる未反応ジオールのNMR測定やGC及びLC測定で特定することができ、炭酸ジエステルは未反応物が生成物に残っている場合はNMR測定やGC及びLC測定から特定することができる。また、炭酸ジエステルが反応した際に副生するアルコール成分等の不純物を生成物のNMR測定やGC及びLC測定で特定することから原料であった炭酸ジエステルの構造を推定することもできる。
{不純物エステル交換触媒含有量}
本発明に用いられるポリカーボネートジオールを製造する場合には、後述するように、重合を促進するために必要に応じてエステル交換触媒を用いることが可能である。その場合、得られたポリカーボネートジオール中にその触媒が残存することがあるが、過度に多くの触媒が残存するとポリウレタン化反応の際に反応の制御が困難となり、ポリウレタン化反応を想定以上に促進してゲル化してしまい、均一なポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが得られない場合があり、残存しない方が好ましい。ポリカーボネートジオール中に残存する触媒量としては特に限定はされないが、このポリカーボネートジオールから均質なポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを得る観点から、触媒金属換算の含有量として100質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましく、30質量ppm以下が更に好ましく、10質量ppm以下が特に好ましい。残存する金属の種類としては、後述のエステル交換能を有する触媒活性成分の金属が挙げられる。また、ポリカーボネートジオール中に残存する触媒量の下限としては特に限定はされないが、触媒金属換算の含有量として5質量ppmが好ましく、1質量ppmがより好ましく、0.1質量ppmが更に好ましく、0.01質量ppmが特に好ましい。通常、ポリカーボネートジオールを製造する際に使用した触媒を、製造後に除去することが難しく、残存する触媒量を後述する使用量の下限値未満にすることが困難な場合が多い。ポリカーボネートジオール中における前記触媒の量は製造時に用いる触媒の使用量、又は生成物の濾過等による触媒単離や水等の溶媒を用いた触媒抽出等によって調整することができる。
{不純物環状カーボネート含有量}
ポリカーボネートジオール生成物中には、製造の際に副生した環状のカーボネートが含まれることがある。例えば原料ジオールに1,3−プロパンジオールを用いた場合、1,3−ジオキサン−2−オンもしくはさらにこれらが2分子ないしそれ以上で環状カーボネートとなったもの等が環状化合物として生成してポリカーボネートジオール中に含まれる場合がある。これらの化合物は、ポリウレタン化反応においては副反応をもたらす可能性のある不純物であるので製造の段階でなるべく除去しておくのが望ましい。本発明に用いられるポリカーボネートジオール中に含まれるこれら不純物環状カーボネートの含有量としては特に限定はされないが、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。
{ウレタン化反応速度}
本発明に用いられるポリカーボネートジオールのウレタン化反応における反応速度は、下記の方法に従って、残存NCO%から求めることができる。すなわち、反応中の組成物0.2gを三角フラスコに採取し、0.1Nジブチルアミンを10ml配合し、溶解させる。次いでブロモフェノールブルー液を数滴加え、0.1N塩酸エタノール溶液で滴定し、下記式により残存NCO%を求める。
NCO%=(a−b)×0.42×f/x
(式中、a:反応前の組成物を滴定した場合の0.1N塩酸エタノール液の滴定量、b:反応中の組成物を滴定した場合の0.1N塩酸エタノール液の滴定量、f:0.1N塩酸エタノール液のファクター、x:サンプリング量)
得られた残存NCO%から下記式により反応率を求める。
反応率(%)=(d−c)/(d−e)×100
(式中、c:反応中の残存NCO%、d:反応前の残存NCO%、e:反応後の残存NCO%)。
{ポリカーボネートジオールの製造方法}
本発明に用いられるポリカーボネートジオールは、前述の構造(A)を与えるイソソルビドに代表される原料ジオールと、前述の構造(B)を与える原料ジオール等のジオール類と、前述の炭酸ジエステルとを、必要に応じてエステル交換触媒を用いてエステル交換させることにより製造することができる。例えば、(i)イソソルビド、イソマンニド、及びイソイディッドから選ばれる少なくとも1種のジオール、(ii)ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜15のジオール、及び(iii)炭酸ジエステルを、エステル交換触媒存在下に反応させて製造することができる。以下にその製造方法について述べる。
(エステル交換触媒)
エステル交換触媒として利用できる金属は、一般にエステル交換能があるとされている金属であれば制限なく用いることができる。触媒金属の例を挙げると、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の周期表1族金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2族金属;チタン、ジルコニウム等の周期表4族金属;ハフニウム等の周期表5族金属;コバルト等の周期表9族金属;亜鉛等の周期表12族金属;アルミニウム等の周期表13族金属;ゲルマニウム、スズ、鉛等の周期表14族金属;アンチモン、ビスマス等の周期表15族金属;ランタン、セリウム、ユーロピウム、イッテルビウム等ランタナイド系金属等が挙げられる。これらのうち、エステル交換反応速度を高めるという観点から、周期表1族金属、周期表2族金属、周期表4族金属、周期表5族金属、周期表9族金属、周期表12金属、周期表13族金属、周期表14族金属が好ましく、周期表1族金属、周期表2族金属がより好ましく、周期表2族金属が更に好ましい。周期表1族金属の中でも、リチウム、カリウム、ナトリウムが好ましく、リチウム、ナトリウムがより好ましく、ナトリウムが更に好ましい。周期表2族金属の中でも、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましく、カルシウム、マグネシウムがより好ましく、マグネシウムが更に好ましい。これらの金属は金属の単体として使用される場合と、水酸化物や塩等の金属化合物として使用される場合がある。塩として使用される場合の塩の例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物塩;酢酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等のカルボン酸塩;メタンスルホン酸やトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸塩;燐酸塩や燐酸水素塩、燐酸二水素塩等の燐含有の塩;アセチルアセトナート塩等が挙げられる。触媒金属は、さらにメトキシドやエトキシドの様なアルコキシドとして用いることもできる。
これらのうち、周期表1族金属、周期表2族金属、周期表4族金属、周期表5族金属、周期表9族金属、周期表12金属、周期表13族金属、周期表14族金属の酢酸塩や硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、アルコキシドが好ましく、周期表1族金属又は周期表2族金属の酢酸塩や炭酸塩、水酸化物がより好ましく、周期表2族金属の酢酸塩が更に好ましい。これらの金属、及び金属化合物は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
エステル交換触媒の周期表1族金属を用いた化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二リチウム、フェニルリン酸二ナトリウム;ビスフェノールAの二ナトリウム塩、二カリウム塩、二セシウム塩、二リチウム塩;フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が挙げられる。
周期表2族金属を用いた化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が挙げられる。
周期表4族金属、12族金属、14族金属を用いた化合物としては、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のチタンアルコキシド;四塩化チタン等のチタンのハロゲン化物;酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛の塩;塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド等のスズ化合物;ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド等のジルコニウム化合物;酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)、塩化鉛(IV)等の鉛化合物等が挙げられる。
{原料等の使用割合}
本発明に用いられるポリカーボネートジオールの製造において、炭酸ジエステルの使用量としては特に限定はされないが、ジオール類の合計1モルに対するモル比で、0.50以上が好ましく、0.70以上がより好ましく、0.80以上が更に好ましく、0.90以上が更により好ましく、0.95以上が特に好ましく、0.98以上が最も好ましく、また、1.20以下が好ましく、1.15以下がより好ましく、1.10以下が更に好ましい。炭酸ジエステルの使用量が前記下限未満では、所定の分子量まで重合が進行しない場合があり、前記上限を超えると、得られるポリカーボネートジオールの末端基が水酸基でないものの割合が増加する、又は、分子量が所定の範囲とならず本発明に用いられるポリカーボネートジオールを製造できない場合がある。
本発明に用いられるポリカーボネートジオールの製造において、構造(A)を与える原料ジオールの使用量と、構造(B)を与える原料ジオールの使用量の割合(以下「原料(A)/原料(B)比」と称す場合がある。)は、通常、モル比で、構造(A)を与える原料ジオール/構造(B)を与える原料ジオール=99/1〜1/99である。分子鎖中に構造(B)を導入することによりポリカーボネートジオールの規則性が乱されるため、融点及び粘度が低下し、ハンドリング性が改良されるという効果が得られる。前述した剛直性、親水性等の効果をもたらすのは主として構造(A)の部分であり、本発明に用いられるポリカーボネートジオール中の構造(A)の割合が少なすぎるとその効果が十分得られない場合がある。原料(A)/原料(B)比としては、99/1〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、70/30〜30/70が更に好ましい。
本発明に用いられるポリカーボネートジオールを製造するにあたって、エステル交換触媒を用いる場合、その使用量の上限としては、得られるポリカーボネートジオール中に残存しても性能に影響の生じない量が好ましく、原料ジオールの質量に対する金属換算の質量比として、500ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましく、50ppm以下が更に好ましく、また、下限としては、十分な重合活性が得られる量が好ましく、0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、1ppm以上が更に好ましい。
{反応条件等}
反応原料の仕込み方法は、特に制限はなく、ジオールと炭酸エステルと触媒の全量を同時に仕込み、反応に供する方法や、炭酸エステルが固体の場合まず炭酸エステルを仕込んで加温、溶融させておき、後からジオールと触媒を添加する方法、逆にジオールを先に仕込んでおいて溶融させ、ここへ炭酸エステルと触媒を投入する方法、ジオールの一部と炭酸エステル類又はクロロ炭酸エステル類を反応させてジオールのジエステル炭酸塩誘導体を合成した後に残りのジオールと反応させる方法等、自由にその方法は選択できる。本発明に用いられるポリカーボネートジオールにおいて分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合を前記範囲内とするために、使用するジオールの一部を反応の最後に添加する方法を採用することも可能である。その際に最後に添加するジオールの量は、仕込むべきジオール量の通常は20%以下(好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下)であり、また、通常0.1%以上(好ましくは0.5%以上、更に好ましくは1.0%以上)である。
エステル交換反応の際の反応温度は、実用的な反応速度が得られる温度であれば任意に採用することができる。その温度は特に限定されないが、通常70℃以上(好ましくは100℃以上、より好ましくは130℃以上)であり、また、通常250℃以下(好ましくは230℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは180℃以下、特に好ましくは170℃以下、最も好ましくは165℃以下)である。反応温度が前記上限を超えると、得られるポリカーボネートジオールが着色したり、エーテル構造が生成したり、前記末端(A)率(I)が大きくなりすぎたりするため、ポリカーボネートジオールを原料として活性エネルギー線硬化物を製造する際に所望の物性の発現が不十分となる等の品質上の問題が生じる場合がある。
反応は常圧で行なうこともできるが、エステル交換反応は平衡反応であり、生成する軽沸成分を系外に留去することで反応を生成系に偏らせることができる。従って、通常、反応後半には減圧条件を採用して軽沸成分を留去しながら反応させることが好ましい。或いは、反応の途中から徐々に圧力を下げて生成する軽沸成分を留去しながら反応させていくことも可能である。特に反応の終期において減圧度を高めて反応を行うと、副生したモノアルコール、フェノール類、さらには環状カーボネート等を留去することができるので好ましい。この際の反応終了時の反応圧力は、特に限定はされないが、通常10kPa以下(好ましくは5kPa以下、より好ましくは1kPa以下)である。これら軽沸成分の留出を効果的に行うために、反応系へ窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを少量通じながら該反応を行うこともできる。
エステル交換反応の際に低沸の炭酸エステルやジオールを使用する場合は、反応初期は炭酸エステルやジオールの沸点近辺で反応を行い、反応が進行するにつれて、徐々に温度を上げて、更に反応を進行させる、という方法も採用可能である。この場合、反応初期に未反応の炭酸エステルの留去を防ぐことができるので好ましい。さらに、これら反応初期における原料の留去を防ぐ意味で反応器に還流管をつけて、炭酸エステルとジオールを還流させながら反応を行うことも可能である。この場合、仕込んだ原料が失われず試剤の量比を正確に合わせることができるので好ましい。
重合反応は、生成するポリカーボネートジオールの分子量を測定しながら行い、目的の分子量となったところで終了する。重合に必要な反応時間は、使用するジオール、炭酸エステル、触媒の使用の有無、種類により大きく異なるので一概に規定することはできないが、所定の分子量に達するのに必要な反応時間は、通常50時間以下(好ましくは20時間以下、更に好ましくは10時間以下)である。
前述したように、重合反応の際に触媒を用いた場合、通常得られたポリカーボネートジオールには触媒が残存し、金属触媒の残存で、ポリウレタン化反応を行う際に反応の制御ができなくなる場合がある。この残存触媒の影響を抑制するために、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルの例えばリン系化合物を添加してもよい。さらには添加後、後述のように加熱処理すると、エステル交換触媒を効率的に不活性化することができる。エステル交換触媒の不活性化に使用されるリン系化合物としては、例えば、リン酸、亜リン酸等の無機リン酸や、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、亜リン酸トリフェニル等の有機リン酸エステル等が挙げられる。これらは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記リン系化合物の使用量としては特に限定はされないが、前述したように、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルであればよく、具体的には、使用されたエステル交換触媒1モルに対して、5モル以下が好ましく、2モル以下がより好ましく、また、0.8モル以上が好ましく、1.0モル以上がより好ましい。リン系化合物の使用量が前記下限未満になると、前記反応生成物中のエステル交換触媒の失活が十分でなく、得られたポリカーボネートジオールを例えばポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー製造用原料として使用する時、該ポリカーボネートジオールのイソシアネート基に対する反応性を十分に低下させることができない場合がある。また、リン系化合物の使用量が前記上限を超えると、得られたポリカーボネートジオールが着色してしまう可能性がある。
リン系化合物を添加することによるエステル交換触媒の不活性化は、室温でも行うことができるが、加温処理するとより効率的である。この加熱処理の温度としては特に限定はないが、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましく、また、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上が更に好ましい。加熱処理の温度が前記下限未満になると、エステル交換触媒の失活に時間がかかり効率的でなく、また失活の程度も不十分な場合がある。一方、加熱処理の温度が前記上限を超えると、得られたポリカーボネートジオールが着色することがある。リン系化合物と反応させる時間は特に限定するものではないが、通常1〜5時間である。
{精製}
反応後は、前記のポリカーボネートジオール生成物中の末端構造がアルキルオキシ基である不純物、アリールオキシ基である不純物、フェノール類、原料ジオールや炭酸エステル、副生する軽沸の環状カーボネート、さらには添加した触媒等を除去する目的で精製を行うことができる。その際の精製は軽沸化合物については、蒸留で留去する方法が採用できる。蒸留の具体的な方法としては減圧蒸留、水蒸気蒸留、薄膜蒸留等、特にその形態に制限はなく、任意の方法を採用することが可能である。また、水溶性の不純物を除くために水、アルカリ性水、酸性水、キレート剤溶解溶液等で洗浄してもよい。その場合、水に溶解させる化合物は任意に選択できる。
(ポリイソシアネート)
本発明に用いられるポリイソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基及びイソシアネート基を含む置換基の一方又は両方(「イソシアネート基類」とも言う)を有する化合物である。ポリイソシアネートは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、1種のポリイソシアネートにおいて、イソシアネート基類は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
イソシアネート基を含む置換基としては、例えば1個以上のイソシアネート基を含む、炭素数1〜5のアルキル基、アルケニル基、又はアルコキシル基が挙げられる。イソシアネート基を含む置換基としての前記アルキル基等の炭素数としては1〜3がより好ましい。
ポリイソシアネートの数平均分子量としては、活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化して得られる硬化物としての強度と弾性率とのバランスの観点から、100以上が好ましく、150以上がより好ましく、また、1,000以下が好ましく、500以下がより好ましい。ポリイソシアネートの数平均分子量は、単独の単量体からなるポリイソシアネートの場合には化学式からの計算値、2種以上の単量体からなるポリイソシアネートの場合にはNCO%からの計算値によって求めることができる。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式構造を有するポリイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートは、脂肪族構造とそれに結合する2以上のイソシアネート基類とを有する化合物である。脂肪族ポリイソシアネートは、活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化して得られる硬化物の耐候性を高め、かつ屈曲性を付与する観点から好ましい。脂肪族ポリイソシアネートにおける脂肪族構造としては特に限定はされないが、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキレン基が好ましい。このような脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート及びダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、及び、トリス(イソシアネートヘキシル)イソシアヌレート等の脂肪族トリイソシアネートが挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
本発明に用いられるポリイソシアネートとしては、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化して得られる硬化物の機械的強度、耐汚染性の点から、脂環式構造を有するポリイソシアネートを含むものが好ましい。脂環式構造を有するポリイソシアネートは、脂環式構造とそれに結合する2以上のイソシアネート基類とを有する化合物である。脂環式構造を有するポリイソシアネートにおける脂環式構造としては特に限定はされないが、炭素数3〜6のシクロアルキレン基が好ましい。脂環式構造を有するポリイソシアネートとしては、例えば、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式構造を有するジイソシアネート、及び、トリス(イソシアネートイソホロン)イソシアヌレート等の脂環式構造を有するトリイソシアネートが挙げられる。これらの脂環式構造を有するポリイソシアネートのうち、活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化して得られる硬化物の強度、密着性を高める観点や、経時での着色も少なく、透明性を必要とする材料に好適に用いることができるという観点から、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートシクロヘキシル)メタン、及び、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
芳香族ポリイソシアネートは、芳香族構造とそれに結合する2以上のイソシアネート基類とを有する化合物である。芳香族ポリイソシアネートにおける芳香族構造としては特に限定はされないが、炭素数6〜13の2価の芳香族基が好ましい。このような芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、フェニレンジイソシアネート及びm−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。これらの芳香族ポリイソシアネートのうち、活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化して得られる硬化物の機械的強度を高める観点から、トリレンジイソシアネート及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)
本発明に用いられるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、1個以上の水酸基と1個以上の(メタ)アクリロイル基と炭素数1〜30の炭化水素基とを有する化合物である。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応物、グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコールのモノ(メタ)アクリレート体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基と水酸基との間に炭素数が2〜4のアルキレン基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、得られる硬化膜の機械的強度の観点から特に好ましい。前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの分子量としては、40以上が好ましく、80以上がより好ましく、また、得られる硬化膜の機械的強度の観点から、800以下が好ましく、400以下がより好ましい。なお、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが前記の付加反応体や重合体である場合には、前記分子量は数平均分子量である。
(その他の成分)
本発明に用いられるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、その原料に、本発明の効果が得られる範囲において、他の成分を更に含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば、前記構造(A)及び前記構造(B)を含むポリカーボネートジオールを除く他のポリオール、及び鎖延長剤が挙げられる。
前記構造(A)及び前記構造(B)を含むポリカーボネートジオールを除く他のポリオールは、2個以上の水酸基を有する化合物(ただし、前記構造(A)及び前記構造(B)を含むポリカーボネートジオールを除く)である。このような他のポリオールとしては、前記構造(A)及び前記構造(B)を含むポリカーボネートジオールを除く数平均分子量が500を超える高分子量ポリオール、前記構造(A)及び前記構造(B)を含むポリカーボネートジオールを除く数平均分子量が500以下の低分子量ポリオールが挙げられる。
前記数平均分子量が500を超える高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルエステルジオール、前記構造(A)及び前記構造(B)を含むポリカーボネートジオール以外の他のポリカーボネートジオール、ポリオレフィンポリオール、及びシリコンポリオールが挙げられる。また、前記数平均分子量が500以下の低分子量ポリオールとしては、例えば、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、芳香族系ジオール等が挙げられる。このような高分子量ポリオール及び低分子量ポリオールは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記ポリエーテルジオールとしては、環状エーテルを開環重合して得られる化合物が挙げられ、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
前記ポリエステルジオールとしては、ジカルボン酸又はその無水物と低分子量ジオールとの重縮合によって得られる化合物が挙げられ、例えばポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、及びポリブチレンセバケートが挙げられる。また、前記ポリエステルジオールとしては、ラクトンの低分子量ジオールとの開環重合によって得られる化合物が挙げられ、例えばポリカプロラクトン、及びポリメチルバレロラクトンが挙げられる。なお、前記ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、及びフタル酸が挙げられ、ジカルボン酸の無水物としては、例えばこれらの無水物が挙げられ、前記低分子量ジオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、及びビスヒドロキシエトキシベンゼンが挙げられる。
前記ポリエーテルエステルジオールとしては、前記ポリエステルジオールに環状エーテルを開環重合した化合物や、前記ポリエーテルジオールと前記ジカルボン酸とを重縮合した化合物が挙げられ、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートが挙げられる。
前記他のポリカーボネートジオールとしては、例えば、前記低分子量ジオールとアルキレンカーボネート又はジアルキルカーボネートとから脱グリコール又は脱アルコールによって得られるポリブチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等及びこれらの共重合体が挙げられる。
前記ポリオレフィンポリオールは、2個以上の水酸基を有するポレオレフィンである。前記ポリオレフィンポリオールは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。前記ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、及びポリイソプレンポリオールが挙げられる。
前記シリコンポリオールは、2個以上の水酸基を有するシリコーンである。前記シリコンポリオールは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。前記シリコンポリオールとしては、例えばポリジメチルシロキサンポリオールが挙げられる。
これらの高分子量ポリオールの中でも、活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化して得られる硬化物の耐候性及び機械的強度の観点から、前記他のポリカーボネートジオールが好ましい。前記他のポリカーボネートジオールは、数平均分子量が小さくなるにつれて、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの粘度が著しく増加することなく作業性が良好であり、また、活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化して得られる硬化物の機械的強度、耐汚染性が向上する傾向がある。このような観点から、前記他のポリカーボネートジオールの数平均分子量としては、10,000以下が好ましく、5,000以下がより好ましく、2,000以下が更に好ましい。
また、前記脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等が挙げられる。
前記脂環式ジオールとしては、シクロプロパンジオール、シクロプロパンジメタノール、シクロプロパンジエタノール、シクロプロパンジプロパノール、シクロプロパンジブタノール、シクロペンタンジオール、シクロペンタンジメタノール、シクロペンタンジエタノール、シクロペンタンジプロパノール、シクロペンタンジブタノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、シクロヘキサンジプロパノール、シクロヘキサンジブタノール、シクロヘキセンジオール、シクロヘキセンジメタノール、シクロヘキセンジエタノール、シクロヘキセンジプロパノール、シクロヘキセンジブタノール、シクロヘキサジエンジオール、シクロヘキサジエンジメタノール、シクロヘキサジエンジエタノール、シクロヘキサジエンジプロパノール、シクロヘキサジエンジブタノール、水添ビスフェノールA、トリシクロデカンジオール、アダマンチルジオール等が挙げられる。
前記芳香族系ジオールとしては、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノール−A等が挙げられる。
また、N−メチルジエタノールアミン等のジアルカノールアミン;ペンタエリスリトール;ソルビトール;マンニトール;グリセリン;トリメチロールプロパン等もその他の成分として使用することができる。
これら低分子量ポリオールの中でも、得られる硬化膜の耐候性の観点から、脂肪族ジオールや脂環式ジオールが好ましい。また、硬化物の機械的強度が求められる用途では、前記低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等の水酸基間の炭素数が1〜4のポリオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等の、2つの水酸基が脂環式構造を挟んで対称な位置に存在している脂環式ポリオールが特に好ましい。
前記低分子量ポリオールの数平均分子量としては、活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化して得られる硬化物としての伸度と弾性率とのバランスの観点から、50以上が好ましく、また、250以下が好ましく、150以下がより好ましい。
前記鎖延長剤は、イソシアネート基と反応する2個以上の活性水素を有する化合物である。鎖延長剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。このような鎖延長剤としては数平均分子量500以下の低分子量ジアミン化合物等が挙げられ、例えば、2,4−もしくは2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン;エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン等の脂肪族ジアミン;及び、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDA)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン(水添MDA)、イソプロピリデンシクロヘキシル−4,4’−ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリシクロデカンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。これらの中でも、得られる硬化物の物性のバランスが好ましい観点、及び、工業的に安価に多量に入手が可能な観点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジヒドロキシエチルシクロヘキサン、エチレンジアミン、1,3−アミノプロパン等が好ましい。
{分子量測定法}
前記構造(A)及び前記構造(B)を含むポリカーボネートジオール等の前述の原料化合物の分子量又は数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラム(以下、GPCと略す)において分子量分布を有するポリオール以外の化合物については、化学式から分子量を算出したり、GPCによって数平均分子量を求めたりすることができる。また、GPCにおいて分子量分布を有するポリオールについては、その数平均分子量はOH価により求めることができる。
{GPCによる数平均分子量の算出}
GPC(東ソー社製「HLC−8120GPC」)を用いて、溶媒としてテトラヒドロフラン、標準サンプルとしてポリスチレン、カラムとしてTSK gel superH1000+H2000+H3000を使用して、送液速度0.5cm/分、カラムオーブン温度40℃にて、数平均分子量を測定する。
{ポリイソシアネートの数平均分子量のNCO%による算出}
三角フラスコにポリイソシアネート1gと0.5モル/リットルのジブチルアミントルエン溶液20mLを入れ、アセトン100mLで希釈した後に25℃で30分間反応させる。その後、0.5モル/リットルの塩酸水溶液で滴定する。また、三角フラスコにポリイソシアネートを入れなかった以外は上記と同様に滴定を行い、ブランクを求める。そして、以下の式によりNCO%及び数平均分子量を算出する。
NCO%={(B1−A1)×0.5×42.02}/(1×1000)×100
A1:ポリイソシアネート含有溶液の滴定に要した塩酸水溶液の量(ml)
B1:ポリイソシアネートを含有しないブランク溶液の滴定に要した塩酸水溶液の量(ml)
ポリイソシアネートの数平均分子量=(42.02/NCO%)×NCO基の数。
なお、前記の式において、「NCO基の数」とは、1分子のポリイソシアネートに含まれるNCO基の数である。
{ポリオールの数平均分子量のOH価による算出}
三角フラスコにポリオール2gと0.5モル/リットルの無水フタル酸ピリジン溶液を入れ、100℃で2時間反応させた後にアセトン150mLで希釈する。その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。また、三角フラスコにポリオールを入れなかった以外は上記と同様に滴定を行い、ブランクを求める。そして、以下の式によりOH価及び数平均分子量を算出する。
OH価={(B2−A2)×0.5×56.11×1000}/(2×1000)
A2:ポリオール含有溶液の滴定に要した水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)
B2:ポリオールを含有しないブランク溶液の滴定に要した水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)
ポリオールの数平均分子量={(56.11×1000)/OH価}×官能基の数
なお、前記の式において、「官能基の数」とは、1分子のポリオールに含まれるOH基の数である。
(ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー)
本発明に用いられるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーにおける全イソシアネート基の量と水酸基及びアミノ基等のイソシアネート基と反応する全官能基の量は、通常、理論的に当モルであり、モル%で表される。
すなわち、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーにおける前記ポリイソシアネート、ポリカーボネートジオール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びその他の原料化合物の使用量は、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーにおける全イソシアネート基の量とそれと反応する全官能基の量とが当モル、又はイソシアネート基に対する官能基のモル%で50〜200モル%になる量である。
ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを製造するときは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの使用量を、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、前記ポリカーボネートジオール、前記高分子量ポリオール、前記低分子量ポリオール、及び鎖延長剤等のイソシアネートと反応する官能基を含む化合物の総使用量に対して、通常10モル%以上(好ましくは15モル%以上、更に好ましくは25モル%以上)、また、通常70モル%以下(好ましくは50モル%以下)とする。この割合に応じて、得られるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの分子量を制御することができる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの割合が多くなるにつれて、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの分子量は小さくなる傾向となり、割合が少なくなるにつれて、分子量は大きくなる傾向となる。
前記ポリカーボネートジオールと前記高分子量ポリオールとの総使用量に対する前記ポリカーボネートジオールの使用量としては、硬化物の硬度及び耐汚染性が良好となるという観点から、25モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、70モル%以上が更に好ましい。
また、前記ポリカーボネートジオールと前記高分子量ポリオールと前記低分子量ポリオールとの総使用量に対する前記ポリカーボネートジオールの使用量としては、硬化物の伸度、耐候性が向上するという観点から、25モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、70モル%以上が更に好ましい。
さらに、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが鎖延長剤を含む反応物の場合には、前記ポリカーボネートジオール、前記高分子量ポリオール、及び前記低分子量ポリオールの全ポリオールと鎖延長剤とを合わせた化合物の総使用量に対する全ポリオールの使用量としては、液安定性が向上するという観点から、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上が更に好ましく、95モル%以上が特に好ましい。
{ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造方法}
本発明に用いられるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、前記ポリイソシアネートに、前記構造(A)及び前記構造(B)を含む前記ポリカーボネートジオールと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを付加反応させることにより製造することができる。ここで、前記他のポリオール、及び前記鎖延長剤等を原料に併用するときは、本発明に用いられるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、前記ポリイソシアネートに、前述のそれ以外の他の原料化合物を付加反応させることにより製造することができる。これらの付加反応は、公知の何れの方法でも行うことができる。このような方法としては、例えば、以下の(1)〜(3)の方法が挙げられる。
(1)前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート以外の成分を、イソシアネート基が過剰となるような条件下で反応させたイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た後、このイソシアネート末端ウレタンプレポリマーと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させるプレポリマー法。
(2)全成分を同時に一括添加して反応させるワンショット法。
(3)前記ポリイソシアネートと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを先に反応させ、分子中に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを同時に有するウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを合成した後、得られたプレポリマーに、それら以外の原料成分を反応させる方法。
これらのうち、(1)の方法によれば、前記ウレタンプレポリマーが前記ポリイソシアネートと前記ポリカーボネートジオールとをウレタン化反応させてなり、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとをウレタン化反応させてなる構造を有することから、分子量が制御可能で両末端にアクリロイル基が導入可能である。このような観点から、(1)の方法が好ましい。
ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時において、粘度の調整を目的に溶剤を使用することができる。溶剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよく、本発明の効果が得られる範囲において公知の溶剤のいずれも使用することができる。このような溶剤としては、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、ノナン、オクタン、イソオクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン等の芳香族系炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒;シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ジメチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒が挙げられる。これらの溶剤のうち、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンが好ましい。溶剤は、通常、活性エネルギー線硬化性重合体組成物100質量部に対して300質量部未満で使用可能である。
ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時において、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー及びその原料の総含有量としては、反応速度が高くなり、製造効率が向上するという観点から、総量に対して20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。なお、この総含有量の上限は100質量%である。
ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時においては、反応速度が高くなり、製造効率が向上するという観点から、反応温度は通常20℃以上(好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上)である。また、アロハナート化反応等の副反応が起きにくくなるという観点から、反応温度は通常120℃以下(好ましくは100℃以下)である。また、反応液に溶剤が入っている場合にはその溶媒の沸点以下が好ましく、(メタ)アクリレートが入っている場合には(メタ)アクリロイル基の反応防止の観点から70℃以下が好ましい。反応時間は通常5〜20時間程度である。
ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時における付加反応触媒としては、本発明の効果が得られる範囲から選ぶことができ、例えばジブチルスズラウレート、ジブチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクトエート、ビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)、ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、チタンテトラ(アセチルアセトナート)、ジオクタノキシチタンジオクタネート、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等に代表される公知のウレタン重合触媒が挙げられる。付加反応触媒は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらの付加反応触媒のうち、環境適応性及び触媒活性、保存安定性の観点から、ビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)が好ましい。
ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時に、反応液に(メタ)アクリロイル基が入っている場合には、重合禁止剤を併用することができる。このような重合禁止剤としては、本発明の効果が得られる範囲から選ぶことができ、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエン等のフェノール類、フェノチアジン、ジフェニルアミン等のアミン類、ジブチルジチオカルバミン酸、銅等の銅塩、酢酸マンガン等のマンガン塩、ニトロ化合物、ニトロソ化合物等が挙げられる。重合禁止剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらの重合禁止剤のうち、フェノール類が好ましい。
また、各原料成分の仕込み比は、上述の本発明に用いられるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの組成と実質的に同等(好ましくは同一)である。
〔活性エネルギー線反応性モノマー〕
本発明においては、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの親疎水性や、得られる組成物を硬化物とした際の硬化物の硬度、伸度等の物性を調整すること等を目的として、活性エネルギー線反応性モノマーを使用する。このような活性エネルギー線反応性モノマーとしては、例えば芳香族ビニル系モノマー類、ビニルエステルモノマー類、ビニルエーテル類、アリル化合物類、(メタ)アクリルアミド類、及び(メタ)アクリレート類が挙げられ、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ジアリルフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物類;アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メチレンビスアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−i−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルフォリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸−2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル等の単官能(メタ)アクリレート;及び、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸−1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(n=3〜16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1−メチルブチレングリコール)(n=5〜20)、ジ(メタ)アクリル酸−1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸ジシクロペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビルフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエポキシジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの活性エネルギー線反応性モノマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、特に、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物に塗布性が要求される用途では、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸イソボルニルの分子内に環構造を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく、一方、得られる硬化物の機械的強度が求められる用途では、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
(活性エネルギー線硬化性重合体組成物)
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの配合量は、組成物100質量%に対して、1質量%以上45質量%以下であり、組成物の粘度調整及び硬化物の硬度、伸度等の物性調整の観点から、5質量%以上45質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上30質量%以下であることが更に好ましい。また、前記活性エネルギー線反応性モノマーの配合量は、組成物100質量%に対して、55質量%以上99質量%以下であり、組成物の粘度調整及び硬化物の硬度、伸度等の物性調整の観点から、55質量%以上95質量%以下であることが好ましく、60質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上85質量%以下であることが更に好ましい。
(活性エネルギー線硬化性重合体組成物の製造方法)
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと、前記活性エネルギー線反応性モノマーとを配合することにより製造することができる。前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは前述のように(1)〜(3)の方法で製造することができる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、前記活性エネルギー線反応性モノマーの存在下で、前記ポリイソシアネートに前記ポリカーボネートジオールと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを付加反応させることにより製造することもできる。このような方法としては、例えば、以下の(4)〜(6)の方法が挙げられる。
(4)活性エネルギー線反応性モノマーの存在下に、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート以外の成分を、イソシアネート基が過剰となるような条件下で反応させたイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た後、このイソシアネート末端ウレタンプレポリマーと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させるプレポリマー法。
(5)活性エネルギー線反応性モノマーの存在下に、全成分を同時に一括添加して反応させるワンショット法。
(6)活性エネルギー線反応性モノマーの存在下に、前記ポリイソシアネートと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを先に反応させ、分子中に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを同時に有するウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを合成した後、得られたプレポリマーに、それら以外の原料成分を反応させる方法。
(4)〜(6)の方法においては、活性エネルギー線反応性モノマーはイソシアネート基と反応しうる官能基を有していないことが好ましい。
これらのうち、(4)の方法によれば、前記ウレタンプレポリマーが前記ポリイソシアネートと前記ポリカーボネートジオールとをウレタン化反応させてなり、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとをウレタン化反応させてなる構造を有することから、分子量が制御可能で両末端にアクリロイル基が導入可能である。このような観点から、(4)の方法が好ましい。
従って、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、(1)の方法で製造したウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと前記活性エネルギー線反応性モノマーとを配合することにより製造すること、或いは、イソシアネート基と反応しうる官能基を有していない活性エネルギー線反応性モノマーの存在下に、(4)の方法で製造することが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、本発明の効果が得られる範囲において、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー及び活性エネルギー線反応性モノマー以外の他の成分をさらに含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば、活性エネルギー線硬化性オリゴマー、重合開始剤、光増感剤、添加剤、及び溶剤が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと活性エネルギー線反応性モノマーの含有量としては、硬化性が良好となり、硬化物とした際の機械的強度が高くなりすぎることなく、三次元加工適性が向上するという観点から、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと活性エネルギー線反応性モノマーとを含む活性エネルギー線反応性成分の総量100質量%に対して、40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。なお、この含有量の上限は100質量%である。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと活性エネルギー線反応性モノマーの含有量は、伸度及び造膜性の点では多い方が好ましく、また、一方、低粘度化の点では、少ない方が好ましい。このような観点から、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと活性エネルギー線反応性モノマーの含有量としては、前記活性エネルギー線反応性成分に加えて他の成分を含む全成分の総量100質量%に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。なお、この含有量の上限は100質量%(好ましくは、それ以下)である。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと活性エネルギー線反応性モノマーとを含む前記活性エネルギー線反応性成分の総量の含有量としては、組成物としての硬化速度及び表面硬化性に優れ、タックが残らない等の面から、組成物100質量%に対して、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上が特に好ましい。なお、この含有量の上限は100質量%である。
前記活性エネルギー線硬化性オリゴマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。前記活性エネルギー線硬化性オリゴマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、アクリル(メタ)アクリレート系オリゴマー、エステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、エーテル(メタ)アクリレート系オリゴマー、前記構造(A)及び前記構造(B)を含むポリカーボネートジオール以外のポリカーボネートポリオール、エステル系ポリオール及びエーテル系ポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールとポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを含む原料の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが挙げられる。このような活性エネルギー線硬化性オリゴマーは、得られる硬化物の硬度、伸度等の物性に影響を与えない程度に配合することができる。
前記重合開始剤は、主に、紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射で進行する重合反応の開始効率を向上させる等の目的で用いられる。このような活性エネルギー線重合開始剤としては、光によりラジカルを発生する性質を有する化合物である光ラジカル重合開始剤が一般的であり、本発明の効果が得られる範囲で公知の何れの光ラジカル重合開始剤でも使用可能である。重合開始剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。さらに、光ラジカル重合開始剤と光増感剤とを併用してもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、及び2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンが挙げられる。
これらの中で、硬化速度が速く架橋密度を十分に上昇できる点から、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、及び、2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及び2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物に、ラジカル重合性基と共にエポキシ基等のカチオン重合性基を有する化合物が含まれる場合は、重合開始剤として、上記した光ラジカル重合開始剤と共に光カチオン重合開始剤が含まれていてもよい。光カチオン重合開始剤も、本発明の効果が得られる範囲で公知の何れのものも可能である。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物におけるこれらの光重合開始剤の含有量としては、開始剤分解物による機械的強度の低下が起こり難いという観点から、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
前記光増感剤は、重合開始剤と同じ目的で用いることができる。光増感剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。本発明の効果が得られる範囲で公知の光増感剤のいずれをも使用することができる。このような光増感剤としては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、及び4−ジメチルアミノアセトフェノンが挙げられる。本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記光増感剤の含有量としては、架橋密度低下による機械的強度の低下が起こり難いという観点から、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
前記添加剤は、本発明の効果が得られる範囲において、同様の用途に用いられる組成物に添加される種々の材料を添加剤として用いることができる。添加剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。このような添加剤としては、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、雲母、酸化亜鉛、酸化チタン、マイカ、タルク、カオリン、金属酸化物、金属繊維、鉄、鉛、金属粉等のフィラー類;炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料類(フィラー類、炭素材料類を総称して「無機成分」と称することがある);酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、HALS、耐指紋剤、表面親水化剤、帯電防止剤、滑り性付与剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤等の改質剤類;顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類;及び、モノマー又は/及びそのオリゴマー、又は無機成分の合成に必要な硬化剤、触媒、硬化促進剤類等が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記添加剤の含有量としては、架橋密度低下による機械的強度の低下が起こり難いという観点から、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
前記溶剤は、例えば本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物の塗膜を形成するためのコーティング方式に応じて、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物の粘度の調整を目的に使用することができる。溶剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよく、本発明の効果が得られる範囲において公知の溶剤のいずれも使用することができる。このような溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール、イソブタノール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンが好ましい。溶剤は、通常、活性エネルギー線硬化性重合体組成物100質量部に対して400質量部未満で使用可能である。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物に、前述の添加剤等の任意成分を含有させる方法としては、特に限定はなく、従来公知の混合、分散方法等が挙げられる。なお、前記任意成分をより確実に分散させるためには、分散機を用いて分散処理を行うことが好ましい。具体的には、例えば、二本ロール、三本ロール、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、遊星式攪拌機、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ニーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等で処理する方法が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物の粘度は、該組成物の用途や使用態様等に応じて適宜調節し得るが、E型粘度計(ローター1°34’×R24)における25℃での粘度が、取り扱い性、塗工性、成形性、立体造形性等の観点から、10mPa・s以上であることが好ましく、100mPa・s以上であることがより好ましく、また、100,000mPa・s以下であることが好ましく、50,000mPa・s以下であることがより好ましい。活性エネルギー線硬化性重合体組成物の粘度の調節は、例えばポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと活性エネルギー線反応性モノマーの含有量や、前記の任意成分の種類や、その配合割合等によって調整することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物の塗工方法としては、バーコーター法、アプリケーター法、カーテンフローコーター法、ロールコーター法、スプレー法、グラビアコーター法、コンマコーター法、リバースロールコーター法、リップコーター法、ダイコーター法、スロットダイコーター法、エアーナイフコーター法、ディップコーター法等の公知の方法を適用可能であるが、その中でもバーコーター法及びグラビアコーター法が好ましい。
<硬化膜及び積層体>
このような本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物からなる塗膜に活性エネルギー線を照射することによって、本発明の硬化膜を得ることができる。上記組成物を硬化させる際に使用する活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等が挙げられる。装置コストや生産性の観点から、電子線又は紫外線を利用することが好ましく、光源としては、電子線照射装置、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、太陽光等が適している。
活性エネルギー線の照射量は、活性エネルギー線の種類に応じて適宜に選ぶことができ、例えば、電子線照射で硬化する場合には、その照射量としては1〜10Mradが好ましい。また、紫外線照射の場合は50〜1,000mJ/cmが好ましい。硬化時の雰囲気は、空気、窒素やアルゴン等の不活性ガスでもよい。また、フィルムやガラスと金属金型との間の密閉空間で照射してもよい。
本発明の硬化膜の膜厚としては、目的とされる用途に応じて適宜決められるが、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μmで以上が特に好ましく、また、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下が特に好ましく、20μm以下が最も好ましい。膜厚が前記下限以上になると、三次元加工後の意匠性や機能性の発現が良好となり、また、前記上限以下になると、内部硬化性、三次元加工適性が良好となる。
また、本発明の積層体は、このような本発明の硬化膜からなる層を備えるものである。例えば、基材と、この基材上に配置された本発明の硬化膜からなる層を有する積層体が挙げられる。本発明の積層体においては、基材と本発明の硬化膜からなる層との間に、基材及び本発明の硬化膜以外の層が配置されていてもよいし、基材と本発明の硬化膜からなる層との積層体の外側に、基材及び本発明の硬化膜以外の層が配置されていてもよい。また、本発明の積層体は、基材や本発明の硬化膜からなる層を複数有していてもよい。
本発明の積層体の製造方法としては、全ての層を未硬化の状態で積層した後に活性エネルギー線で硬化する方法、下層を活性エネルギー線で硬化或いは半硬化させた後に上層を塗布し、再度活性エネルギー線で硬化する方法、それぞれの層を離型フィルムやベースフィルムに塗布した後、未硬化或いは半硬化の状態で層同士を貼り合わせる方法等の公知の方法を適用可能であるが、層間の密着性を高める観点から、未硬化の状態で積層した後に活性エネルギー線で硬化する方法が好ましい。未硬化の状態で積層する方法としては、下層を塗布した後に上層を重ねて塗布する逐次塗布や、多重スリットから同時に二層以上の層を重ねて塗布する同時多層塗布等の公知の方法を適用可能であるが、この限りではない。
前記基材としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリエステル等のポリオレフィン、ナイロン、ポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂等の種々のプラスチック、又は金属で形成された板等の種々の形状の物品が挙げられる。
本発明の硬化膜は、高硬度であるため、耐すりキズ性が良好でありながら、屈曲性が良好であるため、各種基材への皮膜として用いた本発明の積層体は、意匠性及び表面保護性に優れたものとなる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、計算網目架橋点間分子量を考慮すれば、三次元加工適性と耐汚染性とのバランスに優れる硬化膜を得ることができる。例えば、得られる硬化膜の三次元加工適性が良好となり、三次元加工適性と耐汚染性とのバランスに優れるという観点から、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物の計算網目架橋点間分子量としては、500以上が好ましく、800以上がより好ましく、1,000以上が更に好ましい。また、得られる硬化膜の耐汚染性が良好となり、三次元加工適性と耐汚染性とのバランスに優れるという観点から、前記計算網目架橋点間分子量としては、10,000以下が好ましく、8,000以下がより好ましく、6,000以下が更に好ましく、4,000以下が特に好ましく、3,000以下が最も好ましい。これは、三次元加工適性と耐汚染性が網目構造における架橋点間の距離に依存しており、この距離が長くなると柔軟で伸びやすい構造となり三次元加工適性に優れ、この距離が短くなると網目構造が強固な構造となり耐汚染性に優れるからであると推定される。
本明細書において、組成物の計算網目架橋点間分子量は、全組成物中の網目構造を形成する活性エネルギー線反応基(以下、「架橋点」と称する場合がある)の間の分子量の平均値を表す。この計算網目架橋点間分子量は、網目構造形成時の網目面積と相関があり、計算網目架橋点間分子量が大きいほど架橋密度が小さくなる。活性エネルギー線硬化による反応では、活性エネルギー線反応基を一個のみ有する化合物(以下、「単官能化合物」と称する場合がある)が反応した場合には線状高分子になり、一方で活性エネルギー線反応基を二個以上有する化合物(以下、「多官能化合物」と称する場合がある)が反応した場合に網目構造を形成する。
よって、ここで多官能化合物が有する活性エネルギー線反応基が架橋点であって、計算網目架橋点間分子量の算出は架橋点を有する多官能化合物が中心となり、単官能化合物は多官能化合物が有する架橋点間の分子量を伸長する効果があるものとして扱い、計算網目架橋点間分子量の算出を行う。また、計算網目架橋点間分子量の算出は、全ての活性エネルギー線反応基が同じ反応性を有し、且つ活性エネルギー線照射により全ての活性エネルギー線反応基が反応するものと仮定した上で行う。
1種の多官能化合物のみが反応するような多官能化合物単一系組成物では、多官能化合物が有する活性エネルギー線反応基一個当りの平均分子量の2倍が計算網目架橋点間分子量となる。例えば、分子量1,000の二官能性化合物では(1000/2)×2=1000、分子量300の三官能性化合物では(300/3)×2=200となる。
複数種の多官能化合物が反応するような多官能化合物混合系組成物では、組成物中に含まれる全活性エネルギー線反応基数に対する上記単一系の各々の計算網目架橋点間分子量の平均値が組成物の計算網目架橋点間分子量となる。例えば、分子量1,000の二官能性化合物4モルと分子量300の三官能性化合物4モルとの混合物からなる組成物では、組成物中の全活性エネルギー線反応基数は2×4+3×4=20個となり、組成物の計算網目架橋点間分子量は{(1000/2)×8+(300/3)×12}×2/20=520となる。
組成物中に単官能化合物を含む場合は、計算上、多官能化合物の活性エネルギー線反応基(つまり架橋点)にそれぞれ当モルずつ、且つ架橋点に単官能化合物が連結して形成された分子鎖の中央に位置するように反応すると仮定すると、1個の架橋点における単官能化合物による分子鎖の伸長分は、単官能化合物の総分子量を組成物中の多官能化合物の全活性エネルギー線反応基数で除した値の半分となる。ここで、計算網目架橋点間分子量は架橋点1個当り平均分子量の2倍であると考える為、多官能化合物において算出した計算網目架橋点間分子量に対して単官能化合物により伸長された分は、単官能化合物の総分子量を組成物中の多官能化合物の全活性エネルギー線反応基数で除した値となる。
例えば、分子量100の単官能化合物40モルと分子量1,000の2官能性化合物4モルとの混合物からなる組成物では、多官能化合物の活性エネルギー線反応基数は2×4=8個となるので、計算網目架橋点間分子量中の単官能化合物による伸長分は100×40/8=500となる。すなわち、組成物の計算網目架橋間分子量は1000+500=1500となる。
上記のことから、分子量Wの単官能性化合物Mモルと、分子量Wのf官能性化合物Mモルと、分子量Wのf官能性化合物Mモルとの混合物では、組成物の計算網目架橋点間分子量は下記式で表せる。
{用途}
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、多様な特性を発現させることができ、エラストマー、塗料、繊維、接着剤、床材、シーラント、医療用材料、人工皮革、コーティング剤等に広く用いることができる。特に、人工皮革、合成皮革、接着剤、医療用材料、床材、コーティング剤等の用途に、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物を用いると、耐摩擦性、耐ブロッキング性に優れるため、引っ掻き等による傷がつきにくく、摩擦による劣化の少ないという良好な表面特性を付与することができる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、熱可塑性エラストマーとしての用途にも適用できる。例えば、食品、医療分野で用いる空圧機器、塗装装置、分析機器、理化学機器、定量ポンプ、水処理機器、産業用ロボット等におけるチューブやホース類、スパイラルチューブ、消防ホース等に使用できる。また、丸ベルト、Vべルト、平ベルト等のベルトとして、各種伝動機構、紡績機械、荷造り機器、印刷機械等に用いられる。また、履物のヒールトップや靴底、カップリング、パッキング、ポールジョイント、ブッシュ、歯車、ロール等の機器部品、スポーツ用品、レジャー用品、時計のベルト等に使用できる。さらに自動車部品としては、オイルストッパー、ギアボックス、スペーサー、シャーシー部品、内装品、タイヤチェーン代替品等が挙げられる。また、キーボードフィルム、自動車用フィルム等のフィルム、カールコード、ケーブルシース、ベロー、搬送ベルト、フレキシブルコンテナー、バインダー、合成皮革、ディピンイング製品、接着剤等に使用できる。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、楽器、仏壇、家具、化粧合板、スポーツ用品等の木材製品に適用できる。また、自動車補修用にも使用できる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、例えば、プラスチックバンパー用塗料、ストリッパブルペイント、磁気テープ用コーティング剤、床タイル、床材、紙、木目印刷フィルム等のオーバープリントワニス、木材用ワニス、高加工用コイルコート、光ファイバー保護コーティング、ソルダーレジスト、金属印刷用トップコート、蒸着用ベースコート、食品缶用ホワイトコート等に適用できる。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、接着剤として、食品包装、靴、履物、磁気テープバインダー、化粧紙、木材、構造部材、液晶パネル内部のOCR材料等に適用できる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、鉄、銅、アルミニウム、フェライト、メッキ鋼板等の金属材料、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂等の樹脂材料、ガラス、セラミック等の無機材料を効率良く接着することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、バインダーとして、磁気記録媒体、インキ、鋳物、焼成煉瓦、グラフト材、マイクロカプセル、粒状肥料、粒状農薬、ポリマーセメントモルタル、レジンモルタル、ゴムチップバインダー、再生フォーム、ガラス繊維サイジング等に使用可能である。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、繊維加工剤の成分として、防縮加工、防皺加工、撥水加工等に使用できる。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、シーラント・コーキングとして、コンクリート打ち壁、誘発目地、サッシ周り、壁式PC目地、ALC目地、ボード類目地、複合ガラス用シーラント、断熱サッシシーラント、自動車用シーラント等に使用できる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、医療用材料としての使用が可能であり、血液適合材料として、チューブ、カテーテル、人工心臓、人工血管、人工弁等、また、使い捨て素材としてカテーテル、チューブ、バッグ、手術用手袋、人工腎臓ポッティング材料等に使用できる。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、UV硬化型塗料、電子線硬化型塗料、フレキソ印刷版用の感光性樹脂組成物、光硬化型の光ファイバー被覆材組成物等の原料として用いることができる。
これらの中でも、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物、硬化膜及び積層体は、折り曲げ可能なフィルム等のフレキシブル材料にコーティング剤として使用することが好ましく、例えば、携帯電話、モニター、タブレット等のタッチパネル等の電子機器やメガネレンズ等の光学機器に有効に適用することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、これを硬化させて硬化膜とした場合、硬度に優れる硬化膜を与えることができ、該硬化膜を各種基材への被膜として用いることで表面保護性を付与することができる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、計算網目架橋点間分子量を考慮すれば、三次元加工時の変形に追従可能な柔軟性、破断伸度、機械的強度、耐汚染性、及び硬度を同時に兼ね備える硬化膜を与えることができる。また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、一層塗布により簡便に薄膜状の樹脂シートを製造することが可能となることが期待される。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、「%」は、特に限定しない限り、「質量%」を示す。また、各物性の測定方法を以下に示す。
〔ポリカーボネートジオールの物性〕
<水酸基価及び数平均分子量>
無水フタル酸14gをピリジン100mlに溶解させ、フタル化剤を調製した。このフタル化剤5mlにポリカーボネートジオールを1.50〜1.60g溶かし、100℃で1時間反応させた。この反応液を室温に冷却した後にTHF/HO(75/25)混合溶媒25mlで希釈した。この液を、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定し、変曲点を検出するまでに用いた水酸化ナトリウム水溶液の量を求めた(本試験)。また、フタル化剤5mlをTHF/HO(75/25)混合溶媒25mLで希釈した溶液についても同様の滴定(空試験)を行った。
得られた水酸化ナトリウム水溶液の容量から下記式により水酸基価を求めた。
水酸基価(mg−KOH/g)={56.1×(B−A)×f}/S
A:本試験の滴定に要した1N水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)
B:空試験の滴定に要した1N水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)
f:1N水酸化ナトリウム水溶液の力価
S:試料(g)
また、求めた水酸基価から下記式により数平均分子量を算出した。
ジオールの数平均分子量={(56.1×1000)/OH価}×官能基の数
なお、前記の式において、「官能基の数」とは、1分子のポリオールに含まれるOH基の数である。
<(A)/(B)比・末端(A)/(B)比・末端(A)率(I)>
生成物をCDClに溶解して400MHz H−NMR(BRUKER製AVANCE400)を測定し、その積分値より算出した。具体的な算出方法を以下に記載する。すなわち、NMRチャート上の下記ケミカルシフトの積分値からそれぞれの比率を求めた。なお、ケミカルシフト値は組成により若干異なる場合があるので、その場合は積分値の取り方を適宜変更する場合がある。
δ5.22〜4.98ppmの積分値=a
δ4.79〜4.61ppmの積分値=b
δ4.61〜4.47ppmの積分値=c
δ3.68〜3.51ppmの積分値=d
δ2.73〜2.66ppmの積分値=e
δ1.52〜1.30ppmの積分値=f
分子鎖末端の構造(A)は2種の異性体であり、それぞれを「(A)末端1」、「(A)末端2」とする。また、末端以外のポリカーボネートジオール中の(A)由来構造部分を「(A)中」とする。同様に(B)に関して、「(B)末端」「(B)中」とする。それぞれのプロトン数を考慮し、以下の式によりそれぞれの数を計算した。
(A)末端1=b−e
(A)中=c−(A)末端1
(A)末端2=a−(A)末端1−(A)中×2
(B)末端=(d−e−(A)末端1)÷2
(B)中=(f−(B)末端×4)÷4
前記式(I)に記載された分子鎖中の各構造式の数は以下で表される。
分子鎖末端の構造(A)の数=(A)末端1+(A)末端2
分子鎖末端の構造(A)と構造(B)の数の合計=(A)末端1+(A)末端2+(B)末端
分子鎖中の構造(A)の数=(A)末端1+(A)末端2+(A)中
分子鎖中の構造(A)と構造(B)の数の合計=(A)末端1+(A)末端2+(A)中+(B)末端+(B)中
上記値を式(I)に当てはめることにより、末端(A)率(I)を求めた。
<末端フェノキシド量、エーテル結合量、原料ジオール量、フェノール量>
生成物をCDClに溶解して400MHz H−NMR(BRUKER製AVANCE400)を測定し、各成分のシグナルの積分値より算出した。その際の検出限界は、サンプル全体の質量に対する末端フェノキシドの質量として200ppm、エーテル基の質量として500ppm、原料ジオール又はフェノールの質量として、フェノールは100ppm、イソソルビドは0.1質量%、o−ジクロロベンゼンとして200ppmである。また、末端フェノキシドの割合は、末端フェノキシドの1プロトン分の積分値と末端全体(分子鎖末端の構造(A)、分子鎖末端の構造(B)及び末端フェノキシドの3つの構造の合計)の1プロトン分の積分値の比から求めており、末端フェノキシドの検出限界は末端全体に対して0.05%である。
<炭酸ジエステル残量>
炭酸ジエステル(ジフェニルカーボネート)残存量をGPCによる定量分析にて以下の条件で測定した。
(分析条件)
カラム:Tskgel G2000H XL7.8mmI.D×30cmL 4本
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
RI検出器:RID−10A(島津製作所)。
<1分子当りの平均水酸基数>
下記の計算式により算出した。
1分子辺りの平均水酸基数
=[(数平均分子量)×(水酸基価)]/[1000×(KOHの分子量)]
なお、数平均分子量としては下記のH−NMRでの測定値を、水酸基価としては前述の滴定での算出値を用いた。
<数平均分子量>
数平均分子量(Mn)は、生成物をCDClに溶解して400MHzにてH−NMR(BRUKER製AVANCE400)を測定、その積分値より算出した。
<分子量分布Mw/Mn>
分子量分布は下記条件によるGPC測定によりポリスチレン換算Mn、Mw値を求め、算出した。
装置 :東ソー社製 Tosoh 8020
カラム :PLgel 3um MIXED−E(7.5mmI.D.×30cmL
×2本)
溶離液 :THF(テトラヒドロフラン)
流速 :0.5mL/min
カラム温度:40℃
RI検出器:RI(装置 Tosoh 8020内蔵)。
<粘度>
生成物を50℃に加熱した後、E型粘度計(BROOKFIELD製DV−II+Pro、コーン:CPE−52)を用いて測定した。
〔ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの物性〕
<残存NCO>
反応中の組成物0.2gを三角フラスコに採取し、0.1Nジブチルアミンを10ml配合し、溶解させた。次いでブロモフェノールブルー液を数滴加え、0.1N塩酸エタノール溶液で滴定し、下記式により残存NCO%を求めた。
NCO%=(a−b)×0.42×f/x
a:反応前の組成物を滴定した場合の0.1N塩酸エタノール液の滴定量
b:反応中の組成物を滴定した場合の0.1N塩酸エタノール液の滴定量
f:0.1N塩酸エタノール液のファクター
x:サンプリング量。
<数平均分子量>
ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリイソシアネート、ポリカーボネートジオール、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの三種の成分を構成単位として含んでいる。これらの構成単位は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーにおいて、各成分の分子量が保たれたまま形成されていることから、以下の実施例及び比較例では、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを生成するまでの各成分のモル比と各成分の分子量との積の合計によってポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの平均分子量を算出した。
<計算網目架橋点間分子量>
計算網目架橋点間分子量は、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーのプレポリマーにおけるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに対する反応基がプレポリマーの両末端のイソシアネート基であり、プレポリマーの両末端にウレタン結合で結合したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがラジカル重合で付加することから、組成物中のウレタンアクリレート系オリゴマーの架橋点は、ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの両末端に位置する(メタ)アクリロイル基となり、よって、得られた活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、前述した二官能(多官能)化合物単一系組成物となることから、下記の式から求めた。
〔硬化膜の特性〕
<引張破断伸度、引張破断強度、引張弾性率>
得られた硬化膜Aを幅1cmに切断し、卓上型引張り強度試験機(型番:オートグラフAG−IS、島津製作所製)を用いて、温度20℃、湿度60%、引張速度20mm/分、チャック間距離50mmの条件で引張試験を行い、硬化膜の引張破断伸度、引張破断強度、引張弾性率を測定した。
なお、引張破断伸度が大きいほど、伸びがあり、基材への追従性が良好な硬化膜であることを意味する。また、引張破断強度が大きいほど、割れにくい硬化膜であることを意味する。さらに、引張弾性率が大きいほど、変形しにくい硬化膜であることを意味する。
<成膜性>
得られた硬化膜Aの表面を目視で観察し、下記基準で評価した。
A:硬化膜に割れがなく、クラックも入っていない。
B:硬化膜に割れはないが、クラックが入っている。
C:硬化膜にクラックが入っており、割れている部分もある。
<鉛筆硬度>
アクリル樹脂板上に作製した硬化膜Bについて、JIS K 5600−5−4:1999と同等の方法(手かき法)により鉛筆硬度を測定した。
<密着性>
各樹脂板上に作製した硬化膜Bについて、JIS K 5600−5−6と同等の方法により100個の升目についてクロスカット塗膜の剥離の有無を観察し、下記基準で評価した。
A:クロスカット塗膜の残留が99枚以上。
B:クロスカット塗膜の残留が81〜98枚。
C:クロスカット塗膜の残留が50〜80枚。
D:クロスカット塗膜の残留が50枚以下。
<屈曲性>
各直径の棒に硬化膜Cを巻きつけ、硬化膜の割れの有無を観察し、下記基準で評価した。
A:φ2mmの棒に巻きつけた場合でも硬化膜が割れない。
B:φ4mmでは割れなかったが、φ2mmの棒に巻きつけた場合に硬化膜が割れた。
C:φ6mmでは割れなかったが、φ4mmの棒に巻きつけた場合に硬化膜が割れた。
D:φ6mmの棒に巻きつけた場合に硬化膜が割れた。
また、実施例及び比較例で使用した原料を以下に示す。
(1)ポリカーボネートジオール
(PCD1)原料ジオールとしてイソソルビドと1,6−ヘキサンジオールとを用いたポリカーボネートジオール(数平均分子量:880、OH価:127)
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた1Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:218.5g、イソソルビド:264.4g、ジフェニルカーボネート:620.0g、酢酸マグネシウム4水和物:4.7mgを入れ、窒素ガス置換した。内温160℃まで昇温して内容物を加熱溶解し、1時間反応させた。その後、2時間かけて圧力を0.27kPaまで下げつつ、フェノール及び未反応のジオールを留出させ除きながら反応させた。次に160℃、0.27kPaで1.5時間窒素ガスバブリングを行い、フェノール及び未反応のジオールを留出させて除去した。更に110℃で圧力を0.27kPaに保持したまま窒素ガスで4時間バブリングし、フェノールを除去した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は520.5gであった。
このポリカーボネートジオール生成物中に含まれるポリカーボネートジオールの水酸基価は127、この水酸基価から求めた数平均分子量(Mn)は880、(A)/(B)比(イソソルビド/1,6−ヘキサンジオール)は49/51、末端(A)/(B)比(末端のイソソルビド/1,6−ヘキサンジオール比)は60/40であり、前記(I)で算出される末端(A)率(I)は1.22であった。
得られたポリカーボネートジオール生成物の性状は常温で透明固体であった。また、原料ジオールであるイソソルビドの含有量は2.0質量%、フェノール含有量は0.06質量%、フェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存炭酸ジフェニルは定量限界以下(0.01質量%以下)であった。さらに、1分子当りの平均水酸基数は2.0であった。
(PCD2)原料ジオールとしてイソソルビドと1,6−ヘキサンジオールとを用いたポリカーボネートジオール(数平均分子量:900、OH価:125)
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:202.4g、イソソルビド:750.9g、ジフェニルカーボネート:1046.8g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:8.7mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:73mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げ、130℃、5.33kPaで240分間、フェノールを留出させ除きながら反応させた。そして、120分かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、80分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジオールを留出させ除きながら反応させた。最後に160℃、0.40kPaで40分間、フェノール及び未反応のジオールを留出させ除去した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は989.2gであった。さらに、得られたポリカーボネートジオール生成物を20g/minの流量で薄膜蒸留(温度:180〜200℃、圧力:0.027kPa)を行った。
この薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物中に含まれるポリカーボネートジオールの水酸基価は125、この水酸基価から求めた数平均分子量(Mn)は900、(A)/(B)比(イソソルビド/1,6−ヘキサンジオール)は76/24、末端(A)/(B)比(末端のイソソルビド/1,6−ヘキサンジオール比)は91/9であり、前記(I)で算出される末端(A)率(I)は1.20であった。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の性状は常温で淡黄色固体であった。また、原料ジオールであるイソソルビドの含有量は2.5質量%で、フェノール含有量やフェノキシド末端となったポリマー、イソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存炭酸ジフェニルは定量限界以下(0.01質量%以下)であった。さらに、1分子当りの平均水酸基数は2.0であった。
(PCD3)原料ジオールとしてイソソルビドと1,6−ヘキサンジオールとを用いたポリカーボネートジオール(数平均分子量:2100、OH価:53.5)
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた1Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:293.9g、イソソルビド:121.2g、ジフェニルカーボネート:658.2g、酢酸マグネシウム4水和物:4.3mgを入れ、窒素ガスで置換した。内温160℃まで昇温して内容物を加熱溶解し、60分間反応させた。その後、2時間かけて圧力を0.27kPaまで下げつつ、フェノール及び未反応のジオールを留出させ除きながら反応させた。次に180℃、2.7kPaで15分間窒素ガスバブリングを行い、フェノール及び未反応のジオールを留出させ除きながら反応させた。更にo−ジクロロベンゼンを400g加えた後、130℃で圧力を0.27kPaに保持したまま5時間反応させ、その後2.7kPaに保持したまま窒素ガスにて13時間バブリングし、フェノールを除きながらポリカーボネートジオールの重合度を上げる反応を行った。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は454.2gであった。
このポリカーボネートジオール生成物中に含まれるポリカーボネートジオールの水酸基価は53.5、この水酸基価から求めた数平均分子量(Mn)は2,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.96、(A)/(B)比(イソソルビド/1,6−ヘキサンジオール)は24/76、末端(A)/(B)比(末端のイソソルビド/1,6−ヘキサンジオール比)は62/38であり、前記(I)で算出される末端(A)率(I)は2.58であった。
得られたポリカーボネートジオール生成物の性状は常温で粘性液体であり、流動性が認められた。また、粘度(50℃)は24Pa・sであった。また、原料ジオールであるイソソルビドの含有量は0.5質量%で、フェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマー、フェノール及びo−ジクロロベンゼンは検出されなかった。残存炭酸ジフェニルは定量限界以下(0.01質量%以下)であった。さらに、1分子当りの平均水酸基数は2.0であった。
(PCD4)原料ジオールとして3−メチル−1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを9/1(モル比)で用いたポリカーボネートポリオール(数平均分子量:976、平均水酸基価:115mgKOH/g、商品名クラレポリオールC−1090、株式会社クラレ社製)
(PCD5)原料ポリオールとして1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールを3/1(モル比)で用いたポリカーボネートポリオール(数平均分子量:920、平均水酸基価:125mgKOH/g、脂環式構造の割合:43質量%、商品名:UM−CARB90(3/1)、宇部興産社製)
(PCD6)原料ジオールとして1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いたポリカーボネートポリオール(数平均分子量:1002、平均水酸基価:112mgKOH/g、商品名:ETENACOLL UC−100、宇部興産社製)。
(2)ポリエーテルポリオール
(P1)2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(分子量:160、商品名:BEPD、PERSTORP社製)
(3)有機ポリイソシアネート
(IS1)イソホロンジイソシアネート(分子量:222、商品名:VESTANAT IPDI、デグサ社製)
(IS2)4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(分子量:262、商品名:デスモジュールW、住友バイエルウレタン社製)
(IS3)ヘキサメチレンジイソシアネート(分子量:168、商品名:HDI、日本ポリウレタン工業社製)
(IS4)4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(分子量:250、商品名:ポリメリックMDI、ダウケミカルカンパニー)
(IS5)1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(分子量:194、東京化成工業社製)
(4)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
(HA1)2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量:116、商品名:アクリル酸2−ヒドロキシエチル、日本触媒社製)
(HA2)2−ヒドロキシエチルメタクリレート(分子量:130、商品名:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、日本触媒社製)
(HA3)ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量279、ケン化価602.7、商品名:NKエステル A−TMM−3、新中村化学社製)
(5)活性エネルギー線反応性モノマー
(E1)ペンタエリスリトールトリアクリレート(商品名:NKエステル A−TMM−3、新中村化学社製)
(E2)トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:TMPTA、ダイセルオルニクス社製)
(E3)アクリル酸イソボニル(商品名:IBXA、大阪有機化学社製)
(E4)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:DPHA、ダイセルオルニクス社製)。
(実施例1)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素/酸素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにポリカーボネートジオール(PCD1、数平均分子量:880、OH価:127)を56.6g、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート(IS1、数平均分子量:222)を28.5g、メチルエチルケトンを23.6g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.009gを加え、80〜90℃でポリカーボネートジオールを反応させた。反応の終了はNCO%を測定することにより確認した。
反応終了後、60℃まで冷却した後、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(商品名:ヒドロキノンモノメチルエーテル、ナカライテスク社製)0.096g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.05g、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとして2−ヒドロキシエチルアクリレート(HA1、数平均分子量:116)14.9gを滴下して80〜90℃でヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させて、ポリカーボネートジオールとポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの比率(モル比)が1:2:2であるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを得た。反応の終了はNCO%を測定することにより確認した。得られたポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量及び計算網目架橋点間分子量を表1に示す。
得られたポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーに、活性エネルギー線反応性モノマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(E1)と、光重合開始剤としてイルガキュア184(BASFジャパン製)と、酢酸エチルとを配合して有効成分量(触媒と溶媒以外の成分量)を40%に調整した活性エネルギー線硬化性重合体組成物を得た。ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと活性エネルギー線反応性モノマーとの比率(質量比)は45/55となるように配合した。光重合開始剤は有効成分100質量部に対して2質量部となるように配合した。
次いで、ポリプロピレンフィルム製の箱の中に、上記で得られた活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化膜厚が400μmになるように流し込み、熱風乾燥機を用いて60℃×120分間乾燥した。その後、紫外線照射装置(EYE GRANDAGE ECS−301、アイグラフィックス社製、光源:メタルハライド)を用い、500mJ/cmを照射し、硬化膜Aを作製した。
また、上記で得られた活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化膜厚が20μmになるように表1に示す各種樹脂板に塗工した。熱風乾燥機を用いて60℃×10分間乾燥した。その後、紫外線照射装置(EYE GRANDAGE ECS−301、アイグラフィックス社製、光源:メタルハライド)を用い、500mJ/cmを照射し、硬化膜Bを作製した。
さらに、上記で得られた活性エネルギー線硬化性重合体組成物を硬化膜厚が20μmになるようにポリエステルフィルムに塗工した。熱風乾燥機を用いて60℃×10分間乾燥した。その後、紫外線照射装置(EYE GRANDAGE ECS−301、アイグラフィックス社製、光源:メタルハライド)を用い、500mJ/cmを照射し、硬化膜Cを作製した。
得られた硬化膜Aについて、引張り破断伸度、引張り破断強度、引張り弾性率、成膜性を測定した結果、硬化膜Bについて、鉛筆硬度(アクリル樹脂板上に作製した硬化膜のみ)、密着性を測定した結果、並びに硬化膜Cについて、屈曲性を測定した結果を表1に示す。
(実施例2〜20)
各実施例において、ポリカーボネートジオール、ポリイソシアネート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、活性エネルギー線反応性モノマーを、表1〜4に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを得た。得られたポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量及び計算網目架橋点間分子量を表1〜4に示す。次に、各実施例で得られたポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを用いた以外は、実施例1と同様にして有効成分量(触媒と溶媒以外の成分量)を40%に調整した活性エネルギー線硬化性重合体組成物を得た。次いで、各実施例で得られた活性エネルギー線硬化性重合体組成物を使用して実施例1と同様に硬化膜A〜Cを作製した。各実施例で得られた硬化膜Aについて、引張り破断伸度、引張り破断強度、引張り弾性率、成膜性を測定した結果、各実施例で得られた硬化膜Bについて、鉛筆硬度(アクリル樹脂板上に作製した硬化膜のみ)、密着性を測定した結果、並びに各実施例で得られた硬化膜Cについて、屈曲性を測定した結果を表1〜4に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にして得られたポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーに、光重合開始剤としてイルガキュア184(BASFジャパン製)と、酢酸エチルとを配合して有効成分量(触媒と溶媒以外の成分量)を40%に調整した活性エネルギー線硬化性重合体組成物を得た。光重合開始剤は有効成分100質量部に対して2質量部となるように配合した。次いで、得られた活性エネルギー線硬化性重合体組成物を使用して実施例1と同様に硬化膜A〜Cを作製した。得られた硬化膜Aについて、引張り破断伸度、引張り破断強度、引張り弾性率、成膜性を測定した結果、硬化膜Bについて、鉛筆硬度(アクリル樹脂板上に作製した硬化膜のみ)、密着性を測定した結果、並びに硬化膜Cについて、屈曲性を測定した結果を表5に示す。
(比較例2〜5)
各比較例において、ポリカーボネートジオール、ポリイソシアネート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、活性エネルギー線反応性モノマーを、表5に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを得た。得られたポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量及び計算網目架橋点間分子量を表5に示す。次に、各比較例で得られたポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを用いた以外は、実施例1と同様にして有効成分量(触媒と溶媒以外の成分量)を40%に調整した活性エネルギー線硬化性重合体組成物を得た。次いで、各比較例で得られた活性エネルギー線硬化性重合体組成物を使用して実施例1と同様に硬化膜A〜Cを作製した。各比較例で得られた硬化膜Aについて、引張り破断伸度、引張り破断強度、引張り弾性率、成膜性を測定した結果、各比較例で得られた硬化膜Bについて、鉛筆硬度(アクリル樹脂板上に作製した硬化膜のみ)、密着性を測定した結果、並びに各比較例で得られた硬化膜Cについて、屈曲性を測定した結果を表5に示す。
(比較例6)
ポリカーボネートジオール(PCD1)の代わりにポリエーテルポリオール(P1、数平均分子量:160)を用い、ポリイソシアネート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを、表6に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを得た。得られたポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量及び計算網目架橋点間分子量を表6に示す。次に、このポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを用いた以外は、比較例1と同様にして有効成分量(触媒と溶媒以外の成分量)を40%に調整した活性エネルギー線硬化性重合体組成物を得た。次いで、得られた活性エネルギー線硬化性重合体組成物を使用して実施例1と同様に硬化膜A〜Cを作製した。得られた硬化膜Aについて、引張り破断伸度、引張り破断強度、引張り弾性率、成膜性を測定した結果、硬化膜Bについて、鉛筆硬度(アクリル樹脂板上に作製した硬化膜のみ)、密着性を測定した結果、並びに硬化膜Cについて、屈曲性を測定した結果を表6に示す。
(比較例7)
ポリカーボネートジオール(PCD1)の代わりにポリエーテルポリオール(P1、数平均分子量:160)を用い、ポリイソシアネート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを、表6に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを得た。得られたポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量及び計算網目架橋点間分子量を表6に示す。次に、このポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを用いた以外は、実施例1と同様にして有効成分量(触媒と溶媒以外の成分量)を40%に調整した活性エネルギー線硬化性重合体組成物を得た。次いで、得られた活性エネルギー線硬化性重合体組成物を使用して実施例1と同様に硬化膜A〜Cを作製した。得られた硬化膜Aについて、引張り破断伸度、引張り破断強度、引張り弾性率、成膜性を測定した結果、硬化膜Bについて、鉛筆硬度(アクリル樹脂板上に作製した硬化膜のみ)、密着性を測定した結果、並びに硬化膜Cについて、屈曲性を測定した結果を表6に示す。
(比較例8)
ポリカーボネートジオール(PCD1)の代わりにポリカーボネートジオール(PCD6、数平均分子量:1002)を用い、ポリイソシアネート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを、表6に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを得た。得られたポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量及び計算網目架橋点間分子量を表6に示す。次に、このポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを用いた以外は、比較例1と同様にして有効成分量(触媒と溶媒以外の成分量)を40%に調整した活性エネルギー線硬化性重合体組成物を得た。次いで、得られた活性エネルギー線硬化性重合体組成物を使用して実施例1と同様に硬化膜A〜Cを作製した。得られた硬化膜Aについて、引張り破断伸度、引張り破断強度、引張り弾性率、成膜性を測定した結果、硬化膜Bについて、鉛筆硬度(アクリル樹脂板上に作製した硬化膜のみ)、密着性を測定した結果、並びに硬化膜Cについて、屈曲性を測定した結果を表6に示す。
(比較例9)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素/酸素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、活性エネルギー線反応性モノマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(E1)と、光重合開始剤としてイルガキュア184(BASFジャパン製)と、酢酸エチルとを配合して有効成分量(触媒と溶媒以外の成分量)を40%に調整した活性エネルギー線硬化性重合体組成物を得た。光重合開始剤は有効成分100質量部に対して2質量部となるように配合した。次いで、得られた活性エネルギー線硬化性重合体組成物を使用して実施例1と同様に硬化膜A〜Cを作製した。得られた硬化膜Aについて、引張り破断伸度、引張り破断強度、引張り弾性率、成膜性を測定した結果、硬化膜Bについて、鉛筆硬度(アクリル樹脂板上に作製した硬化膜のみ)、密着性を測定した結果、並びに硬化膜Cについて、屈曲性を測定した結果を表6に示す。
表1〜4に示した結果から明らかなように、本発明にかかるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを1質量%以上45質量%以下と活性エネルギー線反応性モノマーを55質量%以上99質量%以下で含有する本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物を用いて作製した本発明の硬化膜(実施例1〜20)は、高硬度でありながら屈曲性に優れており、さらには基材に対して良好な密着性を有するものであった。
一方、表5〜6に示した結果から明らかなように、前記活性エネルギー線反応性モノマーの含有量が50質量%以下の活性エネルギー線硬化性重合体組成物を用いて作製した硬化膜(比較例1〜3)は、硬度に劣るものであった。また、本発明にかかるポリカーボネートジオール以外のポリカーボネートジオールを用いた場合(比較例4〜5、8)には、得られる硬化膜は硬度に劣るものであり、原料ジオールとして3−メチル−1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを用いた場合(比較例4)及び1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールを用いた場合(比較例5)には、得られる硬化膜はポリエステルに対する密着性に劣るものであり、原料ジオールとして1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いた場合(比較例8)には、得られる硬化膜は屈曲性に劣るものであった。また、本発明にかかるポリカーボネートジオールの代わりにポリエーテルポリオールを用いた場合(比較例6〜7)には、得られる硬化膜は屈曲性に劣るものであり、さらに、前記活性エネルギー線反応性モノマーを含有しない場合(比較例6)には、得られる硬化膜はポリエステルに対する密着性に劣るものであった。また、本発明にかかるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを含有しない場合(比較例9)には、得られる硬化膜は成膜性及び屈曲性に劣るものであった。
以上説明したように、本発明によれば、活性エネルギー線の照射によって、高硬度でありながら屈曲性に優れており、さらには基材に対する密着性が良好な硬化膜を得ることが可能となる。
したがって、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、電子機器や光学機器に用いられるフレキシブル材料のコーティング剤等として有用である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(A):
    で表される繰り返し単位と下記一般式(B):
    (式(B)中、Xはヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜15の2価の有機基を表す。)
    で表される繰り返し単位とを含むポリカーボネートジオール、ポリイソシアネート、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含む原料の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと、(メタ)アクリルアミド類、単官能(メタ)アクリレート、及び多官能(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種の活性エネルギー線反応性モノマーとを含有する活性エネルギー線硬化性重合体組成物であって、
    前記活性エネルギー線硬化性重合体組成物100質量%に対して、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを1質量%以上45質量%以下で含有し、前記活性エネルギー線反応性モノマーを55質量%以上99質量%以下で含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性重合体組成物。
  2. 前記活性エネルギー線硬化性重合体組成物100質量%に対して、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを5質量%以上45質量%以下で含有し、前記活性エネルギー線反応性モノマーを55質量%以上95質量%以下で含有することを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性重合体組成物。
  3. 前記活性エネルギー線反応性モノマーが、分子内に環構造を有する単官能(メタ)アクリレート、及び多官能(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性重合体組成物。
  4. 前記ポリカーボネートジオールが、前記式(A)で表される繰り返し単位を10質量%以上含み、前記ポリカーボネートジオールの数平均分子量が500以上5,000以下であり、かつ1分子当りの平均水酸基数が2.2以下であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性重合体組成物。
  5. 活性エネルギー線重合開始剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性重合体組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性重合体組成物に、活性エネルギー線を照射してなることを特徴とする硬化膜。
  7. 請求項6に記載の硬化膜からなる層を有することを特徴とする積層体。
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