JP6566418B2 - 磁気記録用積層体及びそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
次に本発明における磁気記録用積層体と磁気記録媒体についての詳細な説明を下記に示す。
本発明の磁気記録用積層体はJIS X6302−2付属書「おもて面磁気ストライプ付き識別カード」に規定または準拠した磁気記録媒体に使用することが想定されているので、磁気記録用積層体の保磁力Hcは47.74〜55.70kA/m(600〜700Oe)の範囲であることが少なくとも必要であり、さらに本発明における磁気記録用積層体の残留磁束密度Brは0.125T(1250G)以上であることが必要である。磁気記録用積層体の残留磁束密度Brとはより具体的に説明すると磁場Hが0の時の磁気記録用積層体における磁気記録層の単位体積当たりの磁束の数を表す値であり、この値が大きければ磁気記録層の厚みが薄くても再生出力に影響する磁気記録層表面の磁束数が充分となるが、逆にこの値が小さいと磁気記録層表面の磁束数が少なくなる為に磁気記録層の厚みを増やして対応しなければならなくなり、結果的に磁気記録層の厚みの影響でスペーシングロスが発生して分解能が低下する問題が発生する。本発明者が検討した結果、磁気記録用積層体の残留磁束密度Brが0.125T(1250G)以上あれば、磁気記録用積層体を用いて作成した磁気記録媒体の磁気記録層の上部に意匠性を有した非磁性層を10μm以上設けても、再生出力や分解能といった電磁変換特性の低下が少なく、磁気記録媒体の読み取り性能に問題が発生しない事を確認した。
「各磁気特性の説明」
・最大磁場 Hm(Oe):試料に印加された最大の磁界。
(換算式)1(Oe)=103/4π(A/m)
・最大磁化 Mm(emu):MH曲線において、+Mmと−Mmの絶対値の平均。
(換算式) 1(emu)=10−3(A/m2)
・残留磁化 Mr(emu):MH曲線において+Mrと−Mrの絶対値の平均。
・残留磁束密度 Br(G):残留磁化Mrを単位体積当たりの量にて評価した値。
(計算式) Br(G)=4π×Mr(emu)/試料体積(cm3)
(換算式) 1(G)=10−4(T)
・保磁力 Hc(Oe):MH曲線において、+Hcと−Hcの絶対値の平均値。
・SFD:微分したMH曲線の半分の高さにおける幅(ΔH)を同一曲線上の保磁力の絶対値で除したもの。
(計算式)SFD=ΔH÷|−Hc|
・角型比 Rs:MH曲線において、(+Mr/+Mm)と(−Mr/−Mm)の平均値。
本発明の磁気記録用積層体はJIS X6302−2付属書「おもて面磁気ストライプ付き識別カード」に規定または準拠した磁気記録媒体に使用することが想定されているので、本発明における磁気記録用積層体を用いた磁気記録媒体の電磁変換特性である再生出力や分解能の性能値はJIS X6302−2付属書「おもて面磁気ストライプ付き識別カード」で規定されている規格値に入る事が必要であり、磁気記録積層体および磁気記録媒体を設計する際にはその点に充分注意して検討を行う必要がある。この付属書において再生出力に関しては「出力信号電圧」の項目において、分解能に関しては「分解能」の項目においてそれぞれ規定されており、その内容について下記で説明する。
<出力信号電圧(再生出力)>
「磁気ストライプの全トラック幅にわたり、8磁束反転/mmの密度で基準磁界の350〜500%の磁界を印加して方形波信号を記録する。これを再生したとき、その再生出力信号の平均せん頭電圧は、基準せん頭出力電圧の80%以上、且つ、130%以下でならなければならない。」
※本発明において電磁変換特性のひとつとして記述している「再生出力」とは「再生出力信号の電圧値」を意味している。「おもて面磁気ストライプ付き識別カード」の「再生出力」について「再生出力信号の平均せん頭電圧」を用いて規定したものが、JIS X6302−2付属書の「おもて面磁気ストライプ付き識別カード」の中の「出力信号電圧」の規定である。「出力信号電圧」の規定は、対象となる磁気記録媒体に特定の条件で磁気情報を記録し、それを磁気ヘッドによって読み取り再生した時の再生出力信号の平均せん頭電圧が、基準となる磁気記録媒体の再生時の再生出力信号のせん頭出力電圧の80〜130%の範囲に入るように規格化したものである。スペーシングロスなどが発生した場合にはこの再生出力信号の平均せん頭電圧が低下してしまい読み取りが困難になる問題が発生する。
<分解能>
「基準磁界の350〜500%の磁界を印加して方形波信号を記録した時、20磁束反転/mmの記録密度における再生ヘッド出力信号の平均せん頭電圧は、8磁束反転/mmの記録密度における再生ヘッド出力信号の平均せん頭電圧の70%以上でなければならない。」
次に本発明における磁気記録用積層体の各構成体についての詳細説明を下記に示す。
本発明における磁気記録用積層体に用いられるフィルム基材は特に限定はされず、従来公知の材料を適宜選択して用いることが出来る。このようなフィルム基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリイミドフィルム、アラミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等が挙げられるが、適度な耐熱性と強度を有するPETフィルムを使うことが最も好ましい。これらのフィルム基材の厚みは特に限定されず、使用用途に応じて強度、耐熱性、熱伝導性等が適切になるように材料に応じて適宜選択すればよいが、その厚みは12〜50μmである事が好ましく、さらに熱伝導性が良好であるという理由から12〜38μmの範囲がより好ましい。
本発明における磁気記録用積層体の剥離層は、転写型磁気記録用積層体の転写工程の際にフィルム基材から磁気記録カード用基材のオーバーシート等へ磁気記録層を適切に転写させる為に必要な層である。その主原料は特に限定されず、各種公知の原料を使用することが可能であるが、アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコン系樹脂といった熱溶融時に強い接着性を発現せず、離型性に優れた熱可塑性樹脂を使用することがより好ましい。
本発明における磁気記録用積層体の磁気記録層は、少なくともバインダー樹脂と各種磁性粉を主原料とし、副原料として、各種エラストマー、各種界面活性剤、各種可塑剤、各種架橋剤、有機無機の各種フィラーなどを適宜必要に応じて添加してもよい。本発明におけるバインダー樹脂成分としては、各種公知の樹脂を使用することが可能であり、例えばポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられるが、特に磁性粉の分散性や耐候性などの面からポリ塩化ビニル樹脂や塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂などのポリ塩化ビニル系樹脂をバインダー樹脂の主成分として使用することが好ましい。なお前記バインダー樹脂は単独もしくは複数を混合して使用しても良い。
「混合磁性粉末のBET比表面積の計算式」
混合磁性粉末のBET比表面積(m2/g)=((コバルト被着針状酸化鉄粉末のBET比表面積(m2/g)×コバルト被着針状酸化鉄粉末の添加量(g))+(バリウムフェライト系六方晶フェライト粉末のBET比表面積(m2/g)×バリウムフェライト系六方晶フェライト粉末の添加量(g)))÷(コバルト被着針状酸化鉄粉末の添加量(g)+バリウムフェライト系六方晶フェライト粉末の添加量(g))
本発明における磁気記録用積層体は、磁気記録カードなどの基材である樹脂製のシートに熱転写されて使用される転写型磁気記録用積層体と、磁気記録通帳などの基材である布クロスに貼付されて使用される貼付型磁気記録用積層体の大きく2つ種類の磁気記録用積層体に分けられる。2つの種類の磁気記録用積層体に共通している点としては、磁気記録用積層体を用いて磁気記録媒体に磁気記録層を設ける場合に、磁気記録層が各種磁気記録媒体の基材上に少なくとも接着層を介して設けられている点である。
次に意匠性を有した非磁性層について詳しく説明する。本発明における磁気記録用積層体は「おもて面磁気ストライプ付き識別カード」やそれに準拠した磁気記録媒体に使用される事を想定されており、より具体的には磁気記録カードのおもて面や磁気記録通帳の表紙に使用される事が想定されており、そのような磁気記録カードのおもて面や磁気記録通帳の表紙はデザインや意匠性を満たす為に企業のイメージカラーやロゴやキャラクターなどの装飾が行われることが多い。
次に本発明における意匠性を有した非磁性層の各層についての詳細説明を下記に示す。
本発明における隠蔽層は特に限定はされないが、下地の色を隠蔽することが要求品質の最大の課題である為に、光を透過させない性能を有している必要がある。このような層としては一般的には金属蒸着膜や金属粉分散体を分散させた塗料を用いる事が多い。金属蒸着膜としてはアルミニウム、錫、金、銀などの金属を用いる事が可能で、一般的にはアルミニウムを用いることが多い。金属粉分散体を使用する場合はアルミペーストを用いる事が多い。一般的に金属蒸着膜のほうが金属分散体よりもより薄膜でより光の透過性が低い為にスペーシングロス対策としては金属蒸着膜を使用することが好ましいが、生産性やコスト的な問題で金属分散体を用いた塗料からなる隠蔽層と酸化チタンなどの公知の無機顔料等を用いた白色隠蔽層を重ねて使用することによって隠蔽層を形成する方法が一般的に多く用いられている。本発明において隠蔽層の形成方法に関しては特に限定はされず、金属蒸着やオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷など各種公知の印刷方法などを使用してよい。また隠蔽層は1層もしくは複数の層から構成してもよく、その総厚みは性能を満たす限り可能な限り薄ければよく特に限定はされないが、0.1〜16.0μmの範囲である事が好ましく、さらには5.0〜12.0μmの範囲であることがより好ましい。
印刷層は、磁気記録カードや磁気記録通帳などの意匠性を満たす為に、企業のイメージカラーやロゴやキャラクターなどの装飾が行われる層である。印刷層は1層でも構わないし、複数層からなる事もある。印刷層の印刷方法は特に限定されず、各種印刷インキを用いてオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷など各種公知の印刷方法によって適宜選択して形成すればよい。印刷層の厚みは要求品質によって変わる為に特に限定はされないが、その厚みは0.5〜10.0μmの範囲である事が好ましい。
クリア層は、印刷層さらには磁気記録層を物理的に保護するための層であり、耐久性があるだけでなく印刷層の意匠性を損なわないように透明性も必要であり、さらには熱プレス成型に対する適応性も必要である。そのようなクリア層の原料としては、アクリル系樹脂、PMMA系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、セルロース系樹脂やそれらの混合物などが挙げられるがこれに限定されない。また耐熱環境保存性能や表面の滑り性を上げる為に必要に応じて各種無機有機フィラーや滑剤や高級脂肪酸やワックス類を添加してもよい。さらに、前記樹脂原料に各種官能基を持たせた上で各種公知の架橋剤を添加することによってクリア層の耐久性を向上させてもよい。クリア層の形成方法は特に限定されず、各種公知の塗装方法を用いて適宜選択して形成すればよい。クリア層の厚みは要求品質によって変わる為に特に限定はされないが、その厚みは0.5〜5.0μmの範囲である事が好ましい。
本発明の磁気記録用積層体に用いるフィルム基材として、厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を用いる事とした。このフィルム基材上に下記に示す剥離層、磁気記録層、接着層を順次設けて転写型磁気記録用積層体を作成した。
前記PETフィルムの一方の面に下記に示す転写型磁気記録積層体に用いられる剥離層用塗料をグラビア塗装機にて塗布し、乾燥して厚み0.2μmの剥離層を形成した。
成分 質量%
・セルロース系樹脂(融点160℃) 10.0
・MEK 90.0
本発明の実施例及び比較例及び参考例の磁気記録層に使用する磁気記録層用塗料配合の詳細を下記に示す。各磁気記録層用塗料は、ダイコーティングによって剥離層の上部に塗装され、永久磁石によって磁性粉を配向させた後に乾燥される。磁気記録層の厚みに関しては後述する各実施例及び比較例の詳細を示した表1の条件に従った。
成分 質量%
・コバルト被着針状酸化鉄粉末A 16.0
(保磁力:650Oe、平均粒子径:0.40μm、BET比表面積:30.0m2/g)
・バリウムフェライト系六方晶フェライト粉末A 24.0
(保磁力:680Oe、平均粒子径:0.80μm、BET比表面積:5.5m2/g)
・ポリ塩化ビニル系樹脂 5.0
・ポリウレタン系樹脂 4.0
・イソシアネート系架橋剤 1.0
・トルエン 20.0
・MEK 20.0
・シクロヘキサノン 10.0
成分 質量%
・コバルト被着針状酸化鉄粉末A 28.0
(保磁力:650Oe、平均粒子径:0.40μm、BET比表面積:30.0m2/g)
・バリウムフェライト系六方晶フェライト粉末A 12.0
(保磁力:680Oe、平均粒子径:0.80μm、BET比表面積:5.5m2/g)
・ポリ塩化ビニル系樹脂 5.0
・ポリウレタン系樹脂 4.0
・イソシアネート系架橋剤 1.0
・トルエン 20.0
・MEK 20.0
・シクロヘキサノン 10.0
成分 質量%
・コバルト被着針状酸化鉄粉末A 4.0
(保磁力:650Oe、平均粒子径:0.40μm、BET比表面積:30.0m2/g)
・バリウムフェライト系六方晶フェライト粉末A 36.0
(保磁力:680Oe、平均粒子径:0.80μm、BET比表面積:5.5m2/g)
・ポリ塩化ビニル系樹脂 5.0
・ポリウレタン系樹脂 4.0
・イソシアネート系架橋剤 1.0
・トルエン 20.0
・MEK 20.0
・シクロヘキサノン 10.0
成分 質量%
・コバルト被着針状酸化鉄粉末A 32.0
(保磁力:650Oe、平均粒子径:0.40μm、BET比表面積:30.0m2/g)
・バリウムフェライト系六方晶フェライト粉末A 8.0
(保磁力:680Oe、平均粒子径:0.80μm、BET比表面積:5.5m2/g)
・ポリ塩化ビニル系樹脂 5.0
・ポリウレタン系樹脂 4.0
・イソシアネート系架橋剤 1.0
・トルエン 20.0
・MEK 20.0
・シクロヘキサノン 10.0
成分 質量%
・コバルト被着針状酸化鉄粉末B 16.0
(保磁力:720Oe、平均粒子径:0.50μm、BET比表面積:28.0m2/g)
・バリウムフェライト系六方晶フェライト粉末A 24.0
(保磁力:680Oe、平均粒子径:0.80μm、BET比表面積:5.5m2/g)
・ポリ塩化ビニル系樹脂 5.0
・ポリウレタン系樹脂 4.0
・イソシアネート系架橋剤 1.0
・トルエン 20.0
・MEK 20.0
・シクロヘキサノン 10.0
成分 質量%
・コバルト被着針状酸化鉄粉末A 40.0
(保磁力:650Oe、平均粒子径:0.40μm、BET比表面積:30.0m2/g)
・ポリ塩化ビニル系樹脂 5.0
・ポリウレタン系樹脂 4.0
・イソシアネート系架橋剤 1.0
・トルエン 20.0
・MEK 20.0
・シクロヘキサノン 10.0
成分 質量%
・バリウムフェライト系六方晶フェライト粉末A 40.0
(保磁力:680Oe、平均粒子径:0.80μm、BET比表面積:5.5m2/g)
・ポリ塩化ビニル系樹脂 5.0
・ポリウレタン系樹脂 4.0
・イソシアネート系架橋剤 1.0
・トルエン 20.0
・MEK 20.0
・シクロヘキサノン 10.0
成分 質量%
・コバルト被着針状酸化鉄粉末A 16.0
(保磁力:650Oe、平均粒子径:0.40μm、BET比表面積:30.0m2/g)
・バリウムフェライト系六方晶フェライト粉末B 24.0
(保磁力:900Oe、平均粒子径:0.50μm、BET比表面積:5.0m2/g)
・ポリ塩化ビニル系樹脂 5.0
・ポリウレタン系樹脂 4.0
・イソシアネート系架橋剤 1.0
・トルエン 20.0
・MEK 20.0
・シクロヘキサノン 10.0
本発明の実施例及び比較例及び参考例に使用する接着層用塗料配合の詳細を下記に示す。接着層は磁気記録用積層体の磁気記録層の上部に設けられる。本発明において下記接着層用塗料配合を前記磁気記録層の上部に乾燥後の膜厚で1.0μmになるようにグラビア塗装及び乾燥を行い、接着層を形成した。
成分 質量%
・ポリエステル系樹脂 9.0
・シリカ 1.0
・トルエン 45.0
・MEK 45.0
前記塗料配合を用いて本発明の実施例及び比較例及び参考例で使用する各種磁気記録用積層体を作成し、作成した磁気記録用積層体の保磁力Hc、残留磁束密度Br、SFDなどの各種磁気特性については、前述した理研電子株式会社製の振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定を行った。なお測定の際の最大印加磁場は159.2kA/m(2000Oe)とした。
作成した前記各種磁気記録用積層体を用いて、最初に意匠性を有した非磁性層が設けられていない磁気記録カードを作成する。本発明の実施例及び比較例及び参考例においては厚み100μmのPVC樹脂製のオーバーシートに前記磁気記録用積層体の磁気記録層を熱転写し、前記オーバーシートと同じ厚みのPVC樹脂製のオーバーシートの間に厚み280μmのPVC樹脂製のコアシートを2枚挟んだ後に、それを熱プレス成型して磁気記録カードを作成した。
本発明の実施例及び比較例及び参考例に使用する隠蔽層用塗料配合の詳細を下記に示す。隠蔽層は前記磁気記録カードの磁気記録層が設けられた面の上部に隠蔽層用塗料配合Aによる隠蔽層Aをグラビア印刷及び乾燥を行い、さらにその上部に隠蔽層用塗料配合Bによる隠蔽層Bをグラビア印刷して乾燥を行った。隠蔽層の各層の厚みに関しては後述する各実施例及び比較例及び参考例の詳細を示した表1の条件に従った。
成分 質量%
・アルミニウム粉末 30.0
・塩化ビニルー酢酸ビニル共重合樹脂 15.0
・トルエン 30.0
・MEK 20.0
・酢酸エチル 5.0
成分 質量%
・酸化チタン 30.0
・塩化ビニルー酢酸ビニル共重合樹脂 15.0
・トルエン 30.0
・MEK 20.0
・酢酸エチル 5.0
本発明の実施例及び比較例及び参考例に使用するクリア層用塗料配合の詳細を下記に示す。クリア層は隠蔽層の上部にグラビア印刷及び乾燥を行うことによって形成される。クリア層の厚みに関しては後述する各実施例及び比較例の詳細を示した表1の条件に従った。
成分 質量%
・変性アクリル系樹脂 18.0
・シリカ 6.0
・イソシアネート系架橋剤 1.0
・トルエン 37.5
・MEK 37.5
作成した磁気記録カードの電磁変換特性と磁気記録層の印刷適性に関して下記に示す方法によって評価を行った。
実施例及び比較例及び参考例で作成した評価用の磁気記録カードの電磁変換特性については、ケンプラス社製のSV−3000を用いて測定を行った。再生出力信号については測定対象の磁気カードに対して8磁束反転/mmの密度で磁気情報を記録した後にSV−3000を用いて再生出力信号を測定し、基準カードの再生出力信号のせん頭電圧を100%とした時の測定対象の磁気カードの再生出力信号の平均せん頭電圧の大きさを%で算出した。また分解能に関しては前記再生出力信号の測定の際と同じ条件で測定対象となる磁気カードに対して8磁束反転/mmの密度で磁気情報を記録した後に再生出力信号の平均せん頭電圧を測定し、次に測定対象となる磁気カードに対して磁気情報密度以外の記録条件は同一で20磁束反転/mmの密度で磁気情報を記録した後に再生出力信号の平均せん頭電圧を測定し、8磁束反転/mmの記録密度の再生出力信号の平均せん頭電圧値を100%とした時の20磁束反転/mmの記録密度の再生出力信号の平均せん頭電圧値の大きさを%で算出した。
実施例及び比較例及び参考例で作成した評価用の磁気記録カードに関して以下の基準で分類を行い、磁気記録層の印刷適性に関して評価を行った。
A・・・目視で見て磁気記録層と磁気記録層がない部分の境界線が全く分からない。
B・・・目視で見て磁気記録層と磁気記録層がない部分の境界線がわずかに視認できる。
C・・・目視で見て磁気記録層と磁気記録層がない部分の境界線がはっきり視認できる。
2;磁気記録層
3;接着層
4;転写型磁気記録用積層体
5;磁気記録用積層体の転写部位
6;剥離層
7;隠蔽層
8;印刷層
9;意匠性を有した非磁性層
10;オーバーシートa(PVC樹脂)
11;オーバーシートb(PVC樹脂)
12;コアシートa(PVC樹脂)
13;コアシートb(PVC樹脂)
14;磁気記録カード用基材(PVC樹脂)
15;磁気記録カード
16;隠蔽層
17;印刷層
18;クリア層
19;貼付型磁気記録用積層体
20;接着層
21;クリア層
22;磁気記録預金通帳用基材(布クロス)
23;磁気記録預金通帳(布クロス)
Claims (5)
- フィルム基材上に少なくとも磁気記録層を設けた磁気記録用積層体において、磁気記録層の厚みが5〜15μmの範囲であって、磁気記録層が保磁力Hc47.74〜55.70kA/m(600〜700Oe)のコバルト被着針状酸化鉄粉末と保磁力Hc47.74〜55.70kA/m(600〜700Oe)のバリウムフェライト系六方晶フェライト粉末を質量比で70:30〜10:90の割合で含有し、磁気記録層に含まれるコバルト被着針状酸化鉄粉末とバリウムフェライト系六方晶フェライト粉末の各々のBET比表面積(JIS Z8830)から算出された混合磁性粉末のBET比表面積が5.0〜25.0m 2 /gの範囲であって、磁気記録用積層体の保磁力Hcが47.74〜55.70kA/m(600〜700Oe)の範囲で、且つ磁気記録用積層体の残留磁束密度Brが0.125T(1250G)以上0.200T(2000G)以下である磁気記録用積層体。
- 磁気記録用積層体のJIS X6302−6付属書に記載のSFD(switching field by derivative)が0.01〜0.45の範囲である請求項1に記載の磁気記録用積層体。
- 磁気記録用積層体が、磁気記録用積層体のフィルム基材の磁気記録層の設けられた面の最上部に接着層を設けた事を特徴とする転写型磁気記録用積層体である請求項1または請求項2に記載の磁気記録用積層体。
- 磁気記録用積層体が、磁気記録用積層体のフィルム基材の磁気記録層が設けられた面の他方の面の最上部に接着層を設けた事を特徴とする貼付型磁気記録用積層体である請求項1または請求項2に記載の磁気記録用積層体。
- 請求項3または請求項4に記載のいずれかの磁気記録用積層体を用い、非磁性基材上に少なくとも接着層を介して磁気記録層を設けた磁気記録媒体であり、JIS X6302−2付属書の「おもて面磁気ストライプ付き識別カード」に規定されている再生出力信号の平均せん頭電圧が基準せん頭出力電圧の80%以上130%以下であり、且つ分解能が70%以上である磁気記録媒体。
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