以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、第1の実施形態における撮像素子100の上面を示す図である。また、図2は、図1におけるAA部分の断面を示す図である。撮像素子100は、固定プレート101、撮像チップ201、信号処理チップ203、FPC204、下部支持部208、上部支持部209、枠部材301、光学ローパスフィルター401、および光学ローパスフィルター402を備える。なお、図1においては、光学ローパスフィルター401、および光学ローパスフィルター402を省略する。
固定プレート101は、撮像チップ201を固定プレート101に接着する撮像チップ接着部102を有する。撮像チップ201は、撮像チップ接着部102を介して固定プレート101に載置されている。なお、本例では、固定プレート101の材料はアルミニウムであるが、必ずしもアルミニウム等の金属に限定されない。
撮像チップ201は、撮像チップ201の上面の中央部分において、複数の画素を有する撮像領域202を備える。当該中央部分は、例えば光軸103である。また、信号処理チップ203は、撮像領域202以外の領域において撮像チップ201と部分的に重ねられて配置される。本例の撮像チップ201は、その端部において信号処理チップ203と部分的に重ねられて、かつ、電気的に接続される。
撮像チップ201の上面には、撮像領域202に接してマイクロレンズ205が設けられる。なお、撮像チップ201の中央の位置は、撮像領域202に光を照射する光学系の光軸103の位置と一致してよい。
本例の撮像チップ接着部102は、撮像チップ201の固定プレート101に対向する面における略中央の一点を固定プレート101に接着固定する。撮像チップ201の中央の一点を接着固定することによって、撮像チップ201と他の部材との熱膨張係数の差に起因する撮像チップ201の反りを防止することができる。
撮像チップ201は、マイクロバンプ206を介して、信号処理チップ203と電気的に接続する。撮像チップ201と信号処理チップ203との間をマイクロバンプ206によって多点接続することにより、従来のバンプと比較してより多くの信号線(バス)により撮像チップ201と信号処理チップ203とを接続することができる。したがって、バス幅を広くすることができる。よって、撮像チップ201から信号処理チップ203へ高い伝送速度を実現することができる。
可撓性基板としてのFPC204は、バンプ207を介して信号処理チップ203に電気的に接続する。つまり、FPC204は、信号処理チップ203を介して撮像チップ201に電気的に接続する。FPC204は、信号処理チップ203のうち撮像チップ201と重ならない領域に接続される。FPC204は、信号処理チップ203の電気信号を、枠部材301の外にある外部回路へ送るための電気的経路となる。
FPC204は、撮像チップ201が配置される枠部材301の内側から枠部材301の外側に引き出される。FPC204の他端は、枠部材301の外部において、外部回路と電気的に接続される。また、FPC204は、固定プレート101と枠部材301との間において、可撓性基板固定部材としてのゴム枠304を用いて固定されている。
信号処理チップ203は、撮像チップ201から出力されるアナログ信号を受信して、当該アナログ信号を処理する信号処理回路を少なくとも含む。例えば、信号処理チップ203は、撮像チップ201から出力されるアナログ信号を受信してデジタル信号に変換するAD変換器を少なくとも含む。また、信号処理チップ203は、AD変換器に加えて、撮像チップで生成されたアナログ信号を読み出すための読み出し回路、読み出し回路を駆動するためのタイミング制御回路、および読み出した信号のノイズを除去するための除去信号回路等を有してもよい。
枠部材301は、撮像チップ201および信号処理チップ203を囲って設けられる。枠部材301は、固定プレート101の上面に設けられ、かつ、固定プレート101の上面と垂直な高さ方向において、撮像チップ201および信号処理チップ203の上面よりも高い位置まで設けられる。枠部材301の材料は、たとえば金属である。また、枠部材301の材料は、樹脂であってもよい。
枠部材301は、撮像チップ201または信号処理チップ203の上面よりも高い位置における内壁に、撮像チップ201が配置される枠部材301の内側から光軸103の方向に突出した庇部302を有する。庇部302は、撮像チップ201とは重ならないが、信号処理チップ203とは一部重なる位置まで突き出して形成される。
庇部302は、四角枠の形状を有する。庇部302の入射光側に接して、光学ローパスフィルター401が載置される。光学ローパスフィルター401は、庇部302の四角枠の開口を封止する。
枠部材301は、ボス303を有する。ボス303は、枠部材301において固定プレート101と対向する下面から、固定プレート101の方向に突出して形成される。また、固定プレート101には、ボス303の端部が挿入される凹みを有する。ボス303はFPC204を貫通することにより、FPC204を固定する。なお、ボス303は、固定プレート101の上面に設けられてもよい。この場合、枠部材301の下面に凹みが形成される。
ゴム枠304は、固定プレート101と枠部材301との間に密着して、両者を封止する。ゴム枠304は、枠部材301とFPC204との間、およびFPC204と固定プレート101との間に設けられており、FPC204の両面を挟む。なお、ゴム枠304は、ゲル状の部材または接着剤であってもよい。
ゴム枠304は、固定プレート101と枠部材301との間において、少なくともFPC204が通過する位置に設けられている。ゴム枠304は、固定プレート101と枠部材301との間において、FPC204を挟み込みこんで圧接することにより、FPC204を枠部材301に対して固定する。
ゴム枠304は、固定プレート101と枠部材301との間において二重に設けられている。本例のゴム枠304は、ボス303に対して撮像チップ201の側に設けられた上部内周固定部材305および下部内周固定部材306、ならびに、ボス303に対して撮像チップ201とは反対側に設けられた上部外周固定部材307および下部外周固定部材308を有する。上部内周固定部材305および上部外周固定部材307は、ボス303を間に挟んで設けられている。
上部内周固定部材305および上部外周固定部材307は、枠部材301の溝に設けられている。また、下部内周固定部材306および下部外周固定部材308は、固定プレート101の溝に設けられている。枠部材301の溝は、枠部材301の一周に渡って配置されている。固定プレート101の溝も、枠部材301の溝に対応して、固定プレート101上において一周に渡って配置されている。
枠部材301の溝の深さは、FPC204が通過する位置とFPC204が通過しない位置とで異なる。FPC204が通過する位置では、ゴム枠304とFPC204などが密着する。一方、FPC204が通過しない位置では、上部内周固定部材305および上部外周固定部材307ならびに下部内周固定部材306および下部外周固定部材308がそれぞれ密着している。したがって、FPC204などの厚みに応じて、FPC204が通過する位置での枠部材301の溝の深さは、FPC204が通過しない位置での溝の深さよりも浅い。
上部内周固定部材305は、枠部材301とFPC204との間に設けられる。下部内周固定部材306は、FPC204と固定プレート101との間に設けられる。上部内周固定部材305および下部内周固定部材306は、ボス303に対して撮像チップ201の側に設けられており、FPC204を間に挟んで、FPC204を固定する。上部外周固定部材307は、枠部材301とFPC204との間に設けられる。下部外周固定部材308は、FPC204と固定プレート101との間に設けられる。上部外周固定部材307および下部外周固定部材308は、ボス303に対して撮像チップ201とは反対側に設けられており、FPC204を間に挟んで、FPC204を固定する。
本例では、各々のゴム枠304は、ゴム枠である。ゴム枠304がゴム枠である場合には、枠部材301を繰り返し着脱することができる。ゴム枠304は、固定プレート101と枠部材301との間を密着できればよい。本例では、非押圧下でのゴム枠304の断面形状は円形である。しかし、非押圧下でのゴム枠304の断面形状は、楕円または多角形であってもよい。
FPC204は、ボス303およびゴム枠304により固定されるので、枠部材301の外からFPC204にかかる応力は、枠部材301において遮断される。したがって、枠部材301より外からFPC204にかかる応力は、信号処理チップ203にまで伝わらない。例えば、FPC204が枠部材301の外において引っ張られても、その力はFPC204と信号処理チップ203の接続部分まで伝わらない。このため、撮像チップ201と信号処理チップ203との接続部分を保護できる。
FPC204は、室温において撓んだ状態で、信号処理チップ203およびゴム枠304において固定されている。本例のFPC204は、信号処理チップ203に接続するバンプ207ならびに上部内周固定部材305および下部内周固定部材306によりそれぞれ固定されている。FPC204は、撓んだ状態で、撮像チップ201の両側に備えられている。
FPC204が固定される位置のうち少なくとも二か所において、固定プレート101に対する垂直方向の高さは異なる。本例では、バンプ207によりFPC204が固定される位置と、上部内周固定部材305および下部内周固定部材306とによりFPC204が固定される位置との、固定プレート101に対する垂直方向の高さは異なる。FPC204は、撓んだ形状で固定されているので、熱膨張等により信号処理チップ203の位置が変化する場合であっても、信号処理チップ203の動きを制約しない。FPC204は、撮像素子100の使用温度の使用の範囲内において、撓んだ状態を維持できるように配置されてよい。
光学ローパスフィルター401は、撮像チップ201の側に突出して設けられた庇部302に接して設けられる。本例の光学ローパスフィルター401は、入射光側に位相板を有する水晶板である。光学ローパスフィルター401は、光学ローパスフィルター401を固定する接着部材404を介して、庇部302と固定される。固定プレート101、ゴム枠304、枠部材301、光学ローパスフィルター401を固定する接着部材404および光学ローパスフィルター401によって密封空間が形成される。
光学ローパスフィルター402は、シール部405を介して、枠部材301の最上部に固定される。本例の光学ローパスフィルター402は、入射光側に赤外線カットフィルムを有する水晶板である。本例の光学ローパスフィルター402は、その縁部において、圧電素子403を有する。圧電素子403は、光学ローパスフィルター402を振動させて、光学ローパスフィルター402の表面に付着したゴミを除去する。圧電素子403が発生する振動を抑制しないように、シール部405には柔軟性のある材料を用いてよい。
下部支持部208は、FPC204と固定プレート101との間に設けられる。本例の下部支持部208は、FPC204のうち、バンプ207と接続する領域の下側に設けられる。本明細書において、支持とは、ある物体の位置変化を許容しつつ、かつその物体を支えることをいう。ただし、支える方向は下側から支えることに限定されない。本例では、下部支持部208は、固定プレート101上において信号処理チップ203およびFPC204を支持する。
下部支持部208は、上下方向及び固定プレート101の上面と平行な方向に弾性を有する支持部材である。下部支持部208は、弾性の復元力により信号処理チップ203を支持する。例えば、下部支持部208は、スポンジ状の支持部材である。下部支持部208は、弾性を有しているので、信号処理チップ203およびFPC204を支持しつつ、かつ、柔軟に変形することができる。下部支持部208は、固定プレート101の水平方向および垂直方向において、柔軟に変形することができる。したがって、下部支持部208は、固定プレート101の水平方向および垂直方向において信号処理チップ203およびFPC204を可動とする。なお、本明細書において、水平方向とは、固定プレート101の上面に平行である方向をいい、垂直方向とは固定プレート101の上面に垂直である方向をいう。
上部支持部209は、下部支持部208と同様に弾性を有する。上部支持部209は、庇部302と信号処理チップ203の間に設けられている。上部支持部209は、弾性の復元力により、信号処理チップ203を支持する。
下部支持部208および上部支持部209は、熱導伝性を有する。例えば、下部支持部208は、スポンジ状の材料の表面に導伝性シートを巻いた支持部材である。導伝性シートの熱伝導性は良いので、下部支持部208の熱伝導率は、表面に導伝性シートを巻かない場合と比較して熱伝導性が向上する。したがって、下部支持部208および上部支持部209は、信号処理チップ203が発生した熱を固定プレート101および枠部材301へ放熱することができる。
撮像チップ201および信号処理チップ203は、通電時に発熱して、固定プレート101の水平方向に熱膨張する場合がある。この場合、信号処理チップ203は、撮像チップ201および自身の熱膨張に伴い、固定プレート101の水平方向に移動する。
本例では、信号処理チップ203は、下部支持部208および上部支持部209に支持されているので、固定プレート101の水平方向に移動することができる。したがって、信号処理チップ203は、撮像チップ201の熱膨張に応じて位置を変えることができる。それゆえ、撮像チップ201および信号処理チップ203が熱膨張した場合であっても、マイクロバンプ206を用いた撮像チップ201と信号処理チップ203との電気的接続の信頼性を確保することができる。
図3は、図2におけるFPC部分の拡大図である。aa面は、信号処理チップ203とFPC204との第一の重なり面である。bb面は、FPC204と下部内周固定部材306との第二の重なり面である。aa面とbb面とは略平行である。さらに、固定プレート101に対する垂直方向の高さは、aa面とbb面とで異なる。当該構成において、FPC204は撓みを有した状たで固定される。
FPC204の撓み量は、撮像チップ201および信号処理チップ203の熱変形による変位量ならびに信号処理チップ203が撮像チップ201の変位に追従したことによる変位量の和よりも十分に大きい。なお、撓み量とは、FPC204の二辺を固定して平面状にした場合の二辺の間の長さと、当該2つの固定点の直線距離との差分のことをいう。
枠部材301および固定プレート101は、ゴム枠304が設けられる位置にゴム枠304の断面形状に応じた凹部を有する。本例では、枠部材301は、固定プレート101と対向する下面に、上部内周固定部材305および上部外周固定部材307の断面形状に応じて窪んだ溝を有する。さらに、固定プレート101は、枠部材301と対向する上面に、下部内周固定部材306および下部外周固定部材308の断面形状に応じて窪んだ溝を有する。ゴム枠304は、各溝に配置されることにより、枠部材301および固定プレート101に対する相対位置が安定する。したがって、ゴム枠304によりFPC204を固定することが容易になる。
枠部材301とFPC204との間および固定プレート101とFPC204との間には、それぞれ応力緩和部材506および応力緩和部材508が備えられる。応力緩和部材506および応力緩和部材508は、枠部材301および固定プレート101からFPC204への圧縮応力を緩和して、FPC204内の電気配線が断線することを防ぐ。また、応力緩和部材は、枠部材301とFPC204との間およびFPC204と固定プレート101との間の少なくともいずれか一方に備えられもてよい。
マイクロバンプ206は、撮像チップ201の表面に備えられたパッド210と信号処理チップ203の表面に備えられたパッド211とを電気的に接続する。パッド210とパッド211の間には、アンダーフィル212が設けられる。アンダーフィル212は、例えば、エポキシ樹脂を主剤とする樹脂である。アンダーフィル212は、撮像チップ201および信号処理チップ203の間、ならびに、パッド210およびパッド211の間を物理的に固着する。
撮像チップ201と信号処理チップ203とがアンダーフィルで固定されていても、FPC204が引っ張られるような場合に生じた応力が撮像チップ201と信号処理チップ203との接着部分にかかると、撮像チップ201とFPC204との電気的接続および信頼性が低下する。しかし、撮像素子100によれば、固定プレート101と枠部材301との間においてゴム枠304によりFPC204は固定されているので、FPC204に生じた応力を遮断することができる。
バンプ207は、信号処理チップ203表面に備えられたパッド213とFPC204を電気的に接続する。バンプ207は、例えば、Auバンプである。
図4は、図3におけるBB断面部分の上面を示す図である。FPC204が枠部材301を横切る方向を第一の方向とし、第一の方向に対して垂直であって、固定プレート101の表面と平行な方向を第二の方向とする。
FPC204は、撮像チップ201および信号処理チップ203が配置される枠部材301の内側から、枠部材301の内部を経て、枠部材301の外側に引き出される。
FPC204は、第二の方向に突出する凸部214を有している。この凸部214は、枠部材301内部を通過するFPC204の部分に設けられ、枠部材301の第二の方向における凹部309とはめ合う。本例では、FPC204は、第二の方向において対向する辺から各々逆側に突出する一対の凸部214を有する。一対の凸部214は、第二の方向において枠部材301の一対の凹部309とはめ合う。FPC204の凸部214は、枠部材301の凹部309とはめ合うので、枠部材301の内部において位置決めが容易になる。また、第二の方向において一対の凸部214および一対の凹部309がはめ合うので、FPC204を固定する強度が増す。
FPC204は、穴部215を有している。また、固定プレート101および枠部材301の一方には、穴部215を貫通するボス303が備えられている。第一の方向において穴部215の長さは、ボス303の直径よりも大きい。また、第二の方向においても、穴部215の長さは、ボス303の長さよりも大きくてよい。つまり、穴部215はボス303に対して遊びを有する。したがって、FPC204の位置をボス303に対して微調整することができる。
FPC204の凸部214と枠部材301の凹部309との間には間隙500が形成される。間隙500は、FPC204の一対の凸部214と枠部材301の一対の凹部309との間にそれぞれ設けられている。本例では、間隙500は、第一の方向と平行である第一方向間隙501、ボス303に対して撮像チップ201側に設けられており第二の方向と平行である第二間隙502、およびボス303に対して撮像チップ201側とは反対側に設けられており第二の方向と平行である第二間隙504を含む。
ゴム枠304は、FPC204の凸部214と枠部材301の凹部309との間隙500であって、第二の方向に平行な方向に形成されている間隙500を覆う。本例では、ゴム枠304のうち上部内周固定部材305は、第二の方向と平行である第二間隙502を覆う。また、上部外周固定部材307は、第二の方向と平行である第二間隙504を覆う。同様に、ゴム枠304のうち下部内周固定部材306は第二の方向と平行である第二間隙502を覆い、かつ、下部外周固定部材308は第二の方向と平行である第二間隙504を覆ってよい。
本例では、第二間隙502の幅503は、枠部材301と固定プレート101との間で圧着された時のゴム枠304の上部内周固定部材305の幅315よりも小さい。また、第二間隙504の幅505は、枠部材301と固定プレート101との間で圧着された時のゴム枠304の上部外周固定部材307の幅317よりも小さい。
枠部材301と固定プレート101との間で圧着された時の上部内周固定部材305の幅315は、第二間隙502の幅503のうち最も狭い幅よりも大きい。より好ましくは、枠部材301と固定プレート101との間で圧着された時の上部内周固定部材305の幅315は、第二間隙502の幅503のうち最も広い幅よりも大きい。
上述のように、第二間隙502および第二間隙504は、ゴム枠304により封止される。したがって、枠部材301の内側に配置されている撮像チップ201および信号処理チップ203を密封することができる。その際、ゴム枠304は、FPC204を固定する。
応力緩和部材506は、FPC204に接して設けられる。図4では、FPC204に対して枠部材301の側に設けられる応力緩和部材506を点線で示す。応力緩和部材506は、ボス303が貫通する部分に穴部507を有する。応力緩和部材506の穴部507の形状は、FPC204の穴部215の形状と同一であってよい。また、FPC204に対して、応力緩和部材506と反対側に応力緩和部材508を設けてもよい。その場合、応力緩和部材508も、応力緩和部材506の穴部507と同様の穴部を有する。
図5は、図3におけるB‐B断面部分の上面を示す図である。断面の位置を特定することが容易になるように、図4とは別途の図面とした。以降、図5におけるC‐C断面図を図6に、D‐D断面図を図7に、E‐E断面図を図8に、また、F‐F断面図を図9にそれぞれ示す。
図6は、図5におけるC‐C部分の断面を示す図である。ただし、上部内周固定部材305、上部外周固定部材307、応力緩和部材506および応力緩和部材506の下のFPC204はそれぞれ接触させたままで、枠部材301を固定プレート101から矢印方向に離した状態を示す図である。
枠部材301および固定プレート101は、FPC204が通過する位置に応力緩和部材506および応力緩和部材508の厚みに応じた凹部318および凹部319をそれぞれ有する。枠部材301の凹部318において、上部内周固定部材305および上部外周固定部材307は、応力緩和部材506に密着する。また、固定プレート101の凹部319において、下部内周固定部材306および下部外周固定部材308は、応力緩和部材508に密着する。
固定プレート101と枠部材301とが圧着されている状態では、上部内周固定部材305および上部外周固定部材307は、FPC204および応力緩和部材506の形状に応じて変形する。それゆえ、上部内周固定部材305および上部外周固定部材307は、FPC204および応力緩和部材506に密着することができる。
ボス303は、FPC204の穴部215、応力緩和部材506の穴部507、および応力緩和部材508の穴部509を貫通している。穴部215、穴部507および穴部509の断面積は、ボス303の断面積よりも大きい。
図7は、図5におけるD‐D部分の断面を示す図である。なお、D−D部分断面は、枠部材301の外側から内側を見た断面図である。また、当該断面図は、枠部材301、上部内周固定部材305、応力緩和部材506およびFPC204は接触させたままで、枠部材301を固定プレート101から矢印方向に離した状態を示す断面図である。
図8は、図5におけるE‐E部分の断面を示す図である。なお、当該断面図は、枠部材301の内側から外側を見た断面図である。また、当該断面図は、上部内周固定部材305および下部内周固定部材306を間に挟んで、固定プレート101と枠部材301とを密着させた状態を示す断面図である。
上部内周固定部材305および下部内周固定部材306は、FPC204を間に挟んで、FPC204を密着固定する。また、上部内周固定部材305および下部内周固定部材306は、FPC204を密着固定していない領域において、互いに密着している。したがって、上部内周固定部材305および下部内周固定部材306は、FPC204を固定して、かつ、固定プレート101と枠部材301との間の隙間をなくす。
図9は、図5におけるF‐F部分の断面を示す図である。なお、当該断面図は、上部内周固定部材305および下部内周固定部材306を間に挟んで、固定プレート101と枠部材301とを密着させた状態を示す断面図である。なお、固定プレート101と枠部材301とを密着時において、ゴム枠304は、枠部材301とFPC204との間隙500(特に、第二間隙502および第二間隙504)がある部分および当該間隙が無い部分において形状が異なる。第二間隙502および第二間隙504に対応したFPC固定部材の形状を図面手前に、当該間隙が無い部分に対応したFPC固定部材の形状を図面奥にそれぞれ示す。
図面手前に見える上部内周固定部材305および下部内周固定部材306の一部分は、応力緩和部材506および応力緩和部材508にそれぞれ密着する。加えて、図面手前に見える上部内周固定部材305および下部内周固定部材306の他の部分は、互いに密着する。したがって、図面手前に見える上部内周固定部材305および下部内周固定部材306により、枠部材301とFPC204との内側の間隙およびFPC204と固定プレート101との内側の間隙はそれぞれ塞がれる。
図面奥に見える上部内周固定部材305および下部内周固定部材306一部分は、応力緩和部材506および応力緩和部材508にそれぞれ密着する。加えて、図面奥に見える上部内周固定部材305および下部内周固定部材306の他の部分は、FPC204に密着する。当該図面奥の様子は、図6のC−C断面と同じ状況となる。なお、図面奥に見える上部外周固定部材307および下部外周固定部材308についても同様である。
FPC204はゴム枠304により密着固定されるので、FPC204にかかる応力は、固定プレート101および枠部材301の間において密着固定される。したがって、枠部材301の外部からFPC204にかかる応力は、固定プレート101および枠部材301の間において遮断される。加えて、固定プレート101および枠部材301の間において、枠部材301の外部からのゴミ等の侵入も遮断される。
図10は、第2の実施形態における撮像素子110の断面を示す図である。当該断面において、撮像素子110は、固定プレート101上に載置される。撮像素子110は、撮像チップ201、FPC204、枠部材301、光学ローパスフィルター401、および402光学ローパスフィルター402を備える。以下、第1の実施形態と異なる点について述べる。
本例では、撮像チップ216は、画素が形成されている撮像領域217を有する。また、撮像チップ216は、撮像領域217に隣接して信号処理回路218を有する。すなわち、撮像チップ216には、撮像領域217および信号処理回路218が一体形成されている。信号処理回路218は、第1の施形態における信号処理チップ203と同様の処理を行う。
FPC204は、撮像領域217が設けられていない領域に設けられている。つまり、FPC204は、撮像チップ201において撮像領域217が設けられていない領域であって、撮像チップ信号処理回路218が形成されている領域に接して設けられる。FPC204は、バンプ207を介して撮像チップ信号処理回路218に電気的に接続される。
cc面は、撮像チップ216とFPC204との第一重なり面である。dd面は、FPC204と下部内周固定部材306との第二重なり面である。ここで、cc面とdd面とは、略平行である。さらに、固定プレート101に対する垂直方向の高さは、cc面とdd面とで異なる。当該構成において、FPC204は撓みを有した状態で固定される。
FPC204はゴム枠304により密着固定されるので、FPC204にかかる応力は、固定プレート101および枠部材301の間において密着固定される。したがって、枠部材301の外部からFPC204にかかる応力は、固定プレート101および枠部材301の間において遮断される。加えて、固定プレート101および枠部材301の間において、枠部材301の外部からのゴミ等の侵入も遮断される。
図11は、第3の施形態における撮像素子120の断面を示す図である。当該断面において、撮像素子120は、固定プレート104の表面に撮像チップ201、信号処理チップ203、FPC204、下部支持部208、上部支持部209、枠部材301、光学ローパスフィルター401、および光学ローパスフィルター402を備える。以下、第1の実施形態と異なる点について述べる。
撮像素子120は、撮像チップ201近傍において支持突起105を有する固定プレート101上に載置される。信号処理チップ203は、撮像領域202以外の領域において撮像チップ201と部分的に重ねられて配置される。ただし、本例の信号処理チップ203の端部は、撮像チップ201の固定プレート101と向き合う面に部分的に重ねられている。
信号処理チップ203はマイクロバンプ206を介して撮像チップ201と電気的に接続して、バンプ207を介してFPC204と電気的に接続する点は第1の実施例と同じである。ただし、本例では、信号処理チップ203は、撮像チップ201よりも固定プレート101に近い位置に設けられている。それゆえ、信号処理チップ203は、下部支持部208に支持されており、一方で、FPC204は上部支持部209に支持されている。
信号処理チップ203の撮像チップ201およびFPC204に対する位置関係は、第1の実施例と異なる。しかし、FPC204は撓みを有した状たで固定される点は同じである。本例では、FPC204と信号処理チップ203との第一重なり面、ならびに、FPC204と上部内周固定部材305および下部内周固定部材306との第二重なり面は、略平行であり、かつ、固定プレート101に対する垂直方向の高さは異なる。当該構成において、FPC204は撓みを有した状たで固定される。
図12は、第4の実施形態における撮像素子100を備える一眼レフカメラ600の断面図である。一眼レフカメラ600は、レンズユニット700およびカメラボディ800を備える。カメラボディ800には、レンズユニット700が装着される。レンズユニット700は、その鏡筒内に、光軸103に沿って配列された光学系を備え、入射する被写体光束をカメラボディ800の撮像素子100へ導く。
カメラボディ800は、レンズマウント750に結合されるボディマウント860の後方にメインミラー872およびサブミラー874を備える。メインミラー872は、レンズユニット700から入射した被写体光束に斜設される斜設位置と、被写体光束から退避する退避位置との間で回動可能に軸支される。サブミラー874は、メインミラー872に対して回動可能に軸支される。
メインミラー872が斜設位置にある場合、レンズユニット700を通じて入射した被写体光束の多くはメインミラー872に反射されてピント板852に導かれる。ピント板852は、撮像チップ201の受光面と共役な位置に配されて、レンズユニット700の光学系が形成した被写体像を可視化する。ピント板852に形成された被写体像は、ペンタプリズム854およびファインダ光学系856を通じてファインダ850から観察される。斜設位置にあるメインミラー872に入射した被写体光束の一部は、メインミラー872のハーフミラー領域を透過しサブミラー874に入射する。サブミラー874は、ハーフミラー領域から入射した光束の一部を、合焦光学系880に向かって反射する。合焦光学系880は、入射光束の一部を焦点検出センサ882に導く。
ピント板852、ペンタプリズム854、メインミラー872、サブミラー874は、構造体としてのミラーボックス870に支持される。ミラーボックス870は、撮像素子100に取り付けられる。メインミラー872およびサブミラー874が退避位置に退避し、シャッタユニット840の先幕および後幕が開状態となれば、レンズユニット700を透過する被写体光束は、撮像チップ201の受光面に到達する。
撮像素子100の後方には、ボディ基板820および背面表示部834が順次配置される。液晶パネル等が採用される背面表示部834は、カメラボディ800の背面に現れる。ボディ基板820には、CPU822、画像処理ASIC824等の電子回路が実装される。撮像チップ201の出力は、フレキシブル基板を介して画像処理ASIC824へ引き渡される。
上述の実施形態においては、撮像装置として一眼レフカメラ600を例に説明したが、カメラボディ800を撮像装置と捉えても良い。また、撮像装置は、ミラーユニットを備えるレンズ交換式カメラに限らず、ミラーユニットを持たないレンズ交換式カメラ、ミラーユニットの有無に関わらずレンズ一体式カメラであっても良い。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。