JP6566039B2 - 電力伝送システム、及び、送電器 - Google Patents

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Description

本発明は、電力伝送システム、及び、送電器に関する。
従来より、複数台の電子機器に対して無接点充電方式による一括充電が可能な一括充電部を有する無接点充電装置であって、前記電子機器毎にその機器情報を取得する取得手段と、この取得手段によって取得された機器情報に基づいて前記電子機器が一括充電に対応しているか否かを判別する判別手段と備えることを特徴とする無接点充電装置がある。
この判別手段によって前記複数台の電子機器の全てが一括充電に対応していると判別された場合に一括充電を行う充電制御手段と、前記判別手段によって、前記複数台の電子機器のうち、少なくともいずれかの電子機器が一括充電に対応していないと判別された場合に、その電子機器を特定して通知する第1の通知手段とをさらに備える。
また、前記取得手段は、前記電子機器の機器情報として、電子機器毎にその受信機能の受信感度を更に取得する。前記充電制御手段は、前記複数台の電子機器の全てが一括充電に対応していると判別された場合に一括充電を行うと共に、前記取得手段によって取得された受信感度に基づいて前記一括充電部の充電速度を決定するようにしたことを特徴とする(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−120361号公報
ところで、従来の無接点充電装置は、受信感度に基づいて前記一括充電部の充電速度を決定するため、受信感度によっては、充電速度が遅くなる場合があり、効率的に充電を行うことができない場合があった。
そこで、効率的に受電器を充電できる、電力伝送システム、及び、送電器を提供することを目的とする。
本発明の実施の形態の電力伝送システムは、送電器と、前記送電器から磁界共鳴又は電界共鳴によって電力を同時に受電する複数の受電器とを含む、電力伝送システムであって、前記複数の受電器は、それぞれ、二次側共振コイルと、前記二次側共振コイルで受電する電力量を調整する調整部と、前記送電器と通信を行う受電側通信部とを含み、前記送電器は、前記複数の受電器の複数の前記二次側共振コイルに、磁界共鳴又は電界共鳴によって電力を送電する一次側共振コイルと、前記複数の受電器と通信可能な送電側通信部と、前記複数の受電器の各々から受信する定格電力と受電電力に関する電力データに基づき、受電電力が過剰な受電器と、受電電力が不足している受電器とが存在するかどうかを判定する判定部と、前記判定部によって受電電力が過剰な受電器と、受電電力が不足している受電器とが存在すると判定されると、前記受電電力が過剰な受電器に、前記調整部で前記電力量を低下させる指令を前記送電側通信部を介して送信する、指令出力部とを含む。
効率的に受電器を充電できる、電力伝送システム、及び、送電器を提供することができる。
電力伝送システムを示す図である。 送電器から電子機器に磁界共鳴によって電力を伝送する状態を示す図である。 送電器から電子機器に磁界共鳴によって電力を伝送する状態を示す図である。 実施の形態の受電器と送電装置を示す図である。 実施の形態の電力伝送システムを用いた送電装置と電子機器を示す図である。 受電器のデューティ比と受電効率の関係を表す図である。 受電器おけるPWM駆動パターンのデューティ比と受電電力との関係を示す図である。 受電器の制御部の構成を示す図である。 受電器のメモリに格納されるデータを示す図である。 電力データと過剰度合データのデータ構造を示す図である。 受電器のメモリに格納する調整指令のデータ構造を示す図である。 送電器の制御部の構成を示す図である。 実施の形態1の電力伝送システムの送電器と受電器が実行する処理を示すフローチャートである。 実施の形態1の電力伝送システム及び送電器による受電器の受電電力の調整の様子を示す図である。 実施の形態1の電力伝送システム及び送電器による受電器の受電電力の調整の様子を示す図である。 実施の形態1の電力伝送システム及び送電器による受電器の受電電力の調整の様子を示す図である。 実施の形態1の電力伝送システム及び送電器による受電器の受電電力の調整の様子を示す図である。 実施の形態1の第1変形例の受電器を示す図である。 実施の形態1の第2変形例の受電器と送電装置を示す図である。 実施の形態1の第2変形例の受電器の制御部の内部構成を示す図である。 実施の形態1の第2変形例の受電器のキャパシタ及び調整部における電流経路を示す図である。 実施の形態1の第2変形例の受電器の二次側共振コイルに生じる交流電圧と、駆動信号に含まれる2つのクロックを示す図である。 駆動信号の位相差に対する受電効率の特性を示すシミュレーション結果を示す図である。 駆動信号の位相差と、2つの受電器の受電効率との関係を示す図である。 実施の形態1の第3変形例の磁界共鳴型の電力伝送システムの概要を示す図である。 電力伝送システムの周波数依存性を示す図である。 コイルの共振周波数をスイープする方法を説明する図である。 実施の形態1の第3変形例の電力伝送システムの制御部の構成の例を示す図である。 実施の形態1の第3変形例の受電器のブリッジ型平衡回路の回路構成を示す図である。 実施の形態1の第3変形例の受電器のブリッジ型平衡回路を駆動する制御信号の波形を示す図である。 実施の形態1の第3変形例の受電器のブリッジ型平衡回路を駆動する制御信号の波形を示す図である。 実施の形態1の第3変形例の受電器のブリッジ型平衡回路を駆動する制御信号の波形を示す図である。 実施の形態2の送電器と受電器が実行する処理を示すフローチャートである。 実施の形態2の電力伝送システム及び送電器による受電器の受電電力の調整の様子を示す図である。 実施の形態3の送電器と受電器が実行する処理を示すフローチャートである。 実施の形態3の電力伝送システム及び送電器による受電器の受電電力の調整の様子を示す図である。
以下、本発明の電力伝送システム、及び、送電器を適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
本発明の受電器、及び、電力伝送システムを適用した実施の形態1乃至3について説明する前に、図1乃至図3を用いて、実施の形態1乃至3の受電器、及び、電力伝送システムの前提技術について説明する。
図1は、電力伝送システム50を示す図である。
図1に示すように、電力伝送システム50は、交流電源1、一次側(送電側)の送電器10、及び二次側(受電側)の受電器20を含む。電力伝送システム50は、送電器10及び受電器20を複数含んでもよい。
送電器10は、一次側コイル11と一次側共振コイル12を有する。受電器20は、二次側共振コイル21と二次側コイル22を有する。二次側コイル22には負荷装置30が接続される。
図1に示すように、送電器10及び受電器20は、一次側共振コイル(LC共振器)12と二次側共振コイル(LC共振器)21の間の磁界共鳴(磁界共振)により、送電器10から受電器20へエネルギー(電力)の伝送を行う。ここで、一次側共振コイル12から二次側共振コイル21への電力伝送は、磁界共鳴だけでなく電界共鳴(電界共振)等も可能であるが、以下の説明では、主として磁界共鳴を例として説明する。
また、実施の形態1では、一例として、交流電源1が出力する交流電圧の周波数が6.78MHzであり、一次側共振コイル12と二次側共振コイル21の共振周波数が6.78MHzである場合について説明する。
なお、一次側コイル11から一次側共振コイル12への電力伝送は電磁誘導を利用して行われ、また、二次側共振コイル21から二次側コイル22への電力伝送も電磁誘導を利用して行われる。
また、図1には、電力伝送システム50が二次側コイル22を含む形態を示すが、電力伝送システム50は二次側コイル22を含まなくてもよく、この場合には、二次側共振コイル21に負荷装置30を直接的に接続すればよい。
図2は、送電器10から電子機器40A、40Bに磁界共鳴によって電力を伝送する状態を示す図である。
電子機器40A及び40Bは、それぞれ、タブレットコンピュータ及びスマートフォンであり、それぞれ、受電器20A、20Bを内蔵している。受電器20A及び20Bは、図1に示す受電器20(図1参照)から二次側コイル22を取り除いた構成を有する。すなわち、受電器20A及び20Bは、二次側共振コイル21を有する。なお、図2では送電器10を簡略化して示すが、送電器10は交流電源1(図1参照)に接続されている。
図2では、電子機器40A、40Bは、送電器10から互いに等しい距離の位置に配置されており、それぞれが内蔵する受電器20A及び20Bが磁界共鳴によって送電器10から非接触の状態で電力を受電している。
ここで一例として、図2に示す状態において、電子機器40Aに内蔵される受電器20Aの受電効率が40%、電子機器40Bに内蔵される受電器20Bの受電効率が40%であることとする。
受電器20A及び20Bの受電効率とは、交流電源1に接続される一次側コイル11から伝送される電力に対する、受電器20A及び20Bの二次側コイル22が受電する電力の比率で表される。なお、送電器10が一次側コイル11を含まずに交流電源1に一次側共振コイル12が直接的に接続されている場合は、一次側コイル11から伝送される電力の代わりに、一次側共振コイル12から伝送される電力を用いて受電電力を求めればよい。また、受電器20A及び20Bが二次側コイル22を含まない場合は、二次側コイル22が受電する電力の代わりに二次側共振コイル21が受電する電力を用いて受電電力を求めればよい。
受電器20A及び20Bの受電効率は、送電器10と受電器20A及び20Bのコイル仕様や各々との間の距離・姿勢によって決まる。図2では、受電器20A及び20Bの構成は同一であり、送電器10から互いに等しい距離・姿勢の位置に配置されているため、受電器20A及び20Bの受電効率は互いに等しく、一例として、40%である。
また、電子機器40Aの定格出力(定格電力)は10W、電子機器40Bの定格出力は5Wであることとする。
このような場合には、送電器10の一次側共振コイル12(図1参照)から伝送される電力は、18.75Wになる。18.75Wは、(10W+5W)/(40%+40%)で求まる。
ところで、送電器10から18.75Wの電力を電子機器40A及び40Bに向けて伝送すると、受電器20A及び20Bは、合計で15Wの電力を受信することになり、受電器20A及び20Bは、均等に電力を受電するため、それぞれが7.5Wの電力を受電することになる。
この結果、電子機器40Aは、電力が2.5W不足し、電子機器40Bは、電力が2.5W余ることになる。
すなわち、送電器10から18.75Wの電力を電子機器40A及び40Bに伝送しても、電子機器40A及び40Bをバランスよく充電することはできない。換言すれば、電子機器40A及び40Bを同時に充電する際における電力の供給バランスがよくない。
図3は、送電器10から電子機器40B1、40B2に磁界共鳴によって電力を伝送する状態を示す図である。
電子機器40B1、40B2は、同じタイプのスマートフォンであり、それぞれ、受電器20B1、20B2を内蔵している。受電器20B1及び20B2は、図2に示す受電器20Bと等しい。すなわち、受電器20B1及び20B2は、二次側共振コイル21を有する。なお、図3では送電器10を簡略化して示すが、送電器10は交流電源1(図1参照)に接続されている。
図3では、電子機器40B1及び40B2の送電器10に対する角度(姿勢)は等しいが、電子機器40B1は、電子機器40B2よりも送電器10から遠い位置に配置されている。電子機器40B1、40B2がそれぞれ内蔵する受電器20B1及び20B2は、磁界共鳴によって送電器10から非接触の状態で電力を受電している。
ここで一例として、図3に示す状態において、電子機器40B1に内蔵される受電器20B1の受電効率が35%、電子機器40B2に内蔵される受電器20B2の受電効率が45%であることとする。
ここでは、電子機器40B1及び40B2の送電器10に対する角度(姿勢)は等しいため、受電器20B1及び20B2の受電効率は、受電器20B1及び20B2の各々と送電器10との間の距離によって決まる。このため、図3では、受電器20B1の受電効率は、受電器20B2の受電効率よりも低い。なお、電子機器40B1及び40B2の定格出力は、ともに5Wである。
このような場合には、送電器10の一次側共振コイル12(図1参照)から伝送される電力は、12.5Wになる。12.5Wは、(5W+5W)/(35%+45%)で求まる。
ところで、送電器10から12.5Wの電力を電子機器40B1及び40B2に向けて伝送すると、受電器20B1及び20B2は、合計で10Wの電力を受信することになる。また、図3では、受電器20B1の受電効率が35%であり、受電器20B2の受電効率が45%であるため、受電器20B1は、約4.4Wの電力を受電し、受電器20B2は、約5.6%の電力を受電することになる。
この結果、電子機器40B1は、電力が約0.6W不足し、電子機器40B2は、電力が0.6W余ることになる。
すなわち、送電器10から12.5Wの電力を電子機器40B1及び40B2に伝送しても、電子機器40B1及び40B2をバランスよく充電することはできない。換言すれば、電子機器40B1及び40B2を同時に充電する際における電力の供給バランスがよくない(改善の余地がある)。
なお、ここでは、電子機器40B1及び40B2の送電器10に対する角度(姿勢)が等しく、電子機器40B1及び40B2の送電器10からの距離が異なる場合の電力の供給バランスについて説明した。
しかしながら、受電効率は、送電器10と受電器20B1及び20B2との間の距離と角度(姿勢)によって決まるため、図3に示す位置関係において電子機器40B1及び40B2の角度(姿勢)が異なれば、受電器20B1及び20B2の受電効率は、上述した35%及び45%とは異なる値になる。
また、電子機器40B1及び40B2の送電器10からの距離が等しくでも、電子機器40B1及び40B2の送電器10に対する角度(姿勢)が異なれば、受電器20B1及び20B2の受電効率は互いに異なる値になる。
次に、図4及び図5を用いて、実施の形態1の受電器、及び、電力伝送システムについて説明する。
図4は、実施の形態1の受電器100と送電装置80を示す図である。送電装置80は、交流電源1と送電器300を含む。交流電源1は、図1に示すものと同様である。
送電装置80は、交流電源1と送電器300を含む。
送電器300は、一次側コイル11、一次側共振コイル12、整合回路13、キャパシタ14、制御部310を有する。
受電器100は、二次側共振コイル110、整流回路120、スイッチ130、平滑キャパシタ140、制御部150、及び出力端子160A、160Bを含む。出力端子160A、160Bには、DC−DCコンバータ210が接続されており、DC−DCコンバータ210の出力側にはバッテリ220が接続されている。図4では、負荷回路はバッテリ220である。
まず、送電器300について説明する。図4に示すように、一次側コイル11は、ループ状のコイルであり、両端間に整合回路13を介して交流電源1に接続されている。一次側コイル11は、一次側共振コイル12と非接触で近接して配置されており、一次側共振コイル12と電磁界結合される。一次側コイル11は、自己の中心軸が一次側共振コイル12の中心軸と一致するように配設される。中心軸を一致させるのは、一次側コイル11と一次側共振コイル12との結合強度を向上させるとともに、磁束の漏れを抑制して、不必要な電磁界が一次側コイル11及び一次側共振コイル12の周囲に発生することを抑制するためである。
一次側コイル11は、交流電源1から整合回路13を経て供給される交流電力によって磁界を発生し、電磁誘導(相互誘導)により電力を一次側共振コイル12に送電する。
図4に示すように、一次側共振コイル12は、一次側コイル11と非接触で近接して配置されて一次側コイル11と電磁界結合されている。また、一次側共振コイル12は、所定の共振周波数を有し、高いQ値を有するように設計されている。一次側共振コイル12の共振周波数は、二次側共振コイル110の共振周波数と等しくなるように設定されている。一次側共振コイル12の両端の間に、共振周波数を調整するためのキャパシタ14が直列に接続される。
一次側共振コイル12の共振周波数は、交流電源1が出力する交流電力の周波数と同一の周波数になるように設定されている。一次側共振コイル12の共振周波数は、一次側共振コイル12のインダクタンスと、キャパシタ14の静電容量によって決まる。このため、一次側共振コイル12のインダクタンスと、キャパシタ14の静電容量は、一次側共振コイル12の共振周波数が、交流電源1から出力される交流電力の周波数と同一の周波数になるように設定されている。
整合回路13は、一次側コイル11と交流電源1とのインピーダンス整合を取るために挿入されており、インダクタLとキャパシタCを含む。
交流電源1は、磁界共鳴に必要な周波数の交流電力を出力する電源であり、出力電力を増幅するアンプを内蔵する。交流電源1は、例えば、数百kHzから数十MHz程度の高周波の交流電力を出力する。
キャパシタ14は、一次側共振コイル12の両端の間に、直列に挿入される可変容量型のキャパシタである。キャパシタ14は、一次側共振コイル12の共振周波数を調整するために設けられており、静電容量は制御部310によって設定される。
制御部310は、交流電源1の出力電圧及び出力周波数の制御、キャパシタ14の静電容量の制御、一次側共振コイル12から送電する電力量(出力)の制御、及び受電器100A及び100Bのデューティ比の設定等を行う。
以上のような送電装置80は、交流電源1から一次側コイル11に供給される交流電力を磁気誘導により一次側共振コイル12に送電し、一次側共振コイル12から磁界共鳴により電力を受電器100の二次側共振コイル110に送電する。
次に、受電器100に含まれる二次側共振コイル110について説明する。
二次側共振コイル110は、一次側共振コイル12と同一の共振周波数を有し、高いQ値を有するように設計されている。二次側共振コイル110の一対の端子は、整流回路120に接続されている。
二次側共振コイル110は、送電器300の一次側共振コイル12から磁界共鳴によって送電される交流電力を整流回路120に出力する。
整流回路120は、4つのダイオード121A〜121Dを有する。ダイオード121A〜121Dは、ブリッジ状に接続されており、二次側共振コイル110から入力される電力を全波整流して出力する。
スイッチ130は、整流回路120と平滑キャパシタ140との間を接続する一対の線路のうちの高電圧側の線路(図4中の上側の線路)に直列に挿入されている。スイッチ130は、例えば、FETのように直流電圧の伝送と遮断を高速に行えるスイッチであればよい。
スイッチ130には、整流回路120で全波整流された電力が入力される。全波整流された電力は、直流電力として取り扱えるので、スイッチ130は、直流用のスイッチでよい。直流用のスイッチ130は、FETのような簡単な構造のスイッチを用いることができるので、小型化が可能である。ここで、交流用のスイッチには、リレー、トライアック、及び、FETを用いるスイッチ等がある。リレーは機械的なスイッチであるため、サイズが大きく、高速のスイッチングを行うには耐久性の問題が生じるおそれがある。また、トライアックは、6.78MHzというような高速スイッチングには不向きである。また、FETを用いた交流用のスイッチは、FETを複数含むため直流用のFETに比べて大きく、また、寄生容量が交流に与える影響が生じる。このような理由から、スイッチ130として交流用のFETを用いることは、小型化及び寄生容量の影響が生じないため、有利である。
また、スイッチ130の駆動パターンの詳細については後述するが、スイッチ130は、制御部150によってPWM(Pulse Width Modulation)駆動される。スイッチ130のPWM駆動パターンのデューティ比は、送電装置80から送信される調整指令に基づいて設定される。送電装置80から送信される調整指令については、後述する。
また、PWM駆動パターンの周波数は、二次側共振コイル110が受電する交流周波数の周波数以下に設定される。
平滑キャパシタ140は、整流回路120の出力側に接続されており、整流回路120で全波整流された電力を平滑化して直流電力として出力する。平滑キャパシタ140の出力側には、出力端子160A、160Bが接続される。整流回路120で全波整流された電力は、交流電力の負成分を正成分に反転させてあるため、略交流電力として取り扱うことができるが、平滑キャパシタ140を用いることにより、全波整流された電力にリップルが含まれるような場合でも、安定した直流電力を得ることができる。
DC−DCコンバータ210は、出力端子160A、160Bに接続されており、受電器100から出力される直流電力の電圧をバッテリ220の定格電圧に変換して出力する。DC−DCコンバータ210は、整流回路120の出力電圧の方がバッテリ220の定格電圧よりも高い場合は、整流回路120の出力電圧をバッテリ220の定格電圧まで降圧する。また、DC−DCコンバータ210は、整流回路120の出力電圧の方がバッテリ220の定格電圧よりも低い場合は、整流回路120の出力電圧をバッテリ220の定格電圧まで昇圧する。
バッテリ220は、繰り返し充電が可能な二次電池であればよく、例えば、リチウムイオン電池を用いることができる。例えば、受電器100がタブレットコンピュータ又はスマートフォン等の電子機器に内蔵される場合は、バッテリ220は、このような電子機器のメインのバッテリである。
実施の形態1の電力伝送システムでは、送電器300は、受電器100に充電率データを要求する。充電率データは、バッテリ220の充電率を表すデータである。
バッテリ220の充電率は、様々な求め方がある。例えば、バッテリ220に内蔵される制御部が、バッテリ220の正極性端子と負極性端子の端子間電圧に基づき、端子間電圧と充電率との関係を表すデータを参照して充電率を求めることができる。この場合に、正極性端子又は負極性端子に流れる電流の値を用いてもよい。バッテリ220の充電率は、どのような求め方で求めてもよい。また、バッテリ220が端子間電圧を表すデータを充電率データとして制御部150に送信し、制御部150が端子間電圧から充電率を求めてもよい。
なお、一次側コイル11、一次側共振コイル12、二次側共振コイル110は、例えば、銅線を巻回することによって作製される。しかしながら、一次側コイル11、一次側共振コイル12、二次側共振コイル110の材質は、銅以外の金属(例えば、金、アルミニウム等)であってもよい。また、一次側コイル11、一次側共振コイル12、二次側共振コイル110の材質は異なっていてもよい。
このような構成において、一次側コイル11及び一次側共振コイル12が電力の送電側であり、二次側共振コイル110が電力の受電側である。
磁界共鳴方式によって、一次側共振コイル12と二次側共振コイル110との間で生じる磁界共鳴を利用して送電側から受電側に電力を伝送するため、送電側から受電側に電磁誘導で電力を伝送する電磁誘導方式よりも長距離での電力の伝送が可能である。
磁界共鳴方式は、共振コイル同士の間の距離又は位置ずれについて、電磁誘導方式よりも自由度が高く、ポジションフリーというメリットがある。
図5は、実施の形態1の電力伝送システム500を用いた送電装置80と電子機器200A及び200Bを示す図である。
送電装置80は、図4に示す送電装置80と同一のものであるが、図5では、図4における一次側コイル11及び制御部310以外の構成要素を電源部10Aとして表してある。電源部10Aは、一次側共振コイル12、整合回路13、キャパシタ14をまとめて表したものである。なお、交流電源1、一次側共振コイル12、整合回路13、キャパシタ14をまとめて電源部として捉えてもよい。
送電装置80は、さらに、アンテナ16を含む。アンテナ16は、例えば、Bluetooth(登録商標)のような近距離での無線通信を行うことができるアンテナであればよい。アンテナ16は、電子機器200A及び200Bに含まれる受電器100A及び100Bから、受電電力の過不足等を表すデータを受信するために設けられており、受信したデータは制御部310に入力される。
電子機器200A及び200Bは、例えば、それぞれ、タブレットコンピュータ又はスマートフォン等の端末機である。電子機器200A及び200Bは、それぞれ、受電器100A及び100B、DC−DCコンバータ210A及び210B、及び、バッテリ220A及び220Bを内蔵する。
受電器100A及び100Bは、図4に示す受電器100に、それぞれ、アンテナ170A及び170Bを追加した構成を有する。DC−DCコンバータ210A及び210Bは、
それぞれ、図4に示すDC−DCコンバータ210と同様である。また、バッテリ220A及び220Bは、それぞれ、図4に示すバッテリ220と同様である。
受電器100Aは、二次側共振コイル110A、整流回路120A、スイッチ130A、平滑キャパシタ140A、制御部150A、及びアンテナ170Aを有する。二次側共振コイル110A、整流回路120A、スイッチ130A、平滑キャパシタ140A、制御部150Aは、それぞれ、図4に示す二次側共振コイル110、整流回路120、スイッチ130、平滑キャパシタ140、制御部150に対応する。なお、図5では、二次側共振コイル110A、整流回路120A、スイッチ130A、平滑キャパシタ140Aを簡略化して示し、出力端子160A、160Bは省略する。
受電器100Bは、二次側共振コイル110B、整流回路120B、スイッチ130B、平滑キャパシタ140B、制御部150B、及びアンテナ170Bを有する。二次側共振コイル110B、整流回路120B、スイッチ130B、平滑キャパシタ140B、制御部150Bは、それぞれ、図4に示す二次側共振コイル110、整流回路120、スイッチ130、平滑キャパシタ140、制御部150に対応する。なお、図5では、二次側共振コイル110B、整流回路120B、スイッチ130B、平滑キャパシタ140Bを簡略化して示し、出力端子160A、160Bは省略する。
アンテナ170A及び170Bは、例えば、Bluetooth(登録商標)のような近距離での無線通信を行うことができるアンテナであればよい。アンテナ170A及び170Bは、送電器300のアンテナ16とデータ通信を行うために設けられており、それぞれ、受電器100A及び100Bの制御部150A及び150Bに接続されている。制御部150A及び150Bは、駆動制御部の一例である。
受電器100Aの制御部150Aは、受電電力の過不足等を表すデータ等をアンテナ170Aを介して送電器300に送信する。同様に、受電器100Bの制御部150Bは、受電電力の過不足等を表すデータ等をアンテナ170Bを介して送電器300に送信する。
電子機器200A及び200Bは、それぞれ、送電装置80の近くに配置した状態で、送電装置80に接触せずにバッテリ220A及び220Bを充電することができる。バッテリ220A及び220Bの充電は、同時に行うことが可能である。
電力伝送システム500は、図5に示す構成要素のうち、送電器300と、受電器100A及び100Bとによって構築される。すなわち、送電装置80と、電子機器200A及び200Bとは、磁界共鳴による非接触状態での電力伝送を可能にする電力伝送システム500を採用している。
図6は、PWM駆動パターンのデューティ比と、受電器100A及び100Bの受電電力量との関係を示す図である。
ここでは、受電器100Aのスイッチ130Aを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を100%に固定した状態において、受電器100Bのスイッチ130Bを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を100%から低下させる場合について説明する。
図6において、横軸は、受電器100Bのスイッチ130Bを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を表す。また、左側の縦軸は、受電器100A及び100Bの受電効率の比率を示す。また、右側の縦軸は、受電器100A及び100Bの受電効率の和を百分率で示す。
ここで、受電効率の比率とは、受電器100A及び100Bの受電効率の和を100%としたときに、受電器100A及び100Bのそれぞれの受電効率が受電効率の和に対して占める比率である。例えば、受電器100A及び100Bの受電効率がともに40%で等しい(受電効率の和は80%)場合には、受電器100A及び100Bの受電効率の比率は、ともに50%である。
受電器100A及び100Bの受電効率がともに40%で等しい場合とは、送電器300から2つの受電器100A及び100Bが同時に受電する場合に、受電器100A及び100Bの受電効率がともに40%で等しい状態をいう。なお、受電器100A及び100Bは、単独では、85%程度の受電効率を有するものとする。
ここでは、一例として、受電器100A及び100Bのスイッチ130A及び130Bを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比がともに100%である状態において、受電器100A及び100Bの受電効率の比率が、ともに50%であることとする。
受電器100Aのスイッチ130Aを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を100%に固定した状態で、受電器100Bのスイッチ130Bを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を100%から低下させて行くと、図6に示すように、受電器100Bの受電効率の比率は低下する。また、これに伴い受電器100Aの受電効率の比率は増大する。
このように受電器100Bのスイッチ130Bを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を低下させると、受電器100Bの受電量が減少するため、受電器100Bに流れる電流も減少する。すなわち、デューティ比の変化により、受電器100Bのインピーダンスが変化していることになる。
磁界共鳴を用いた電力伝送では、磁界共鳴によって送電器300から受電器100A及び100Bに送電される電力を受電器100Aと100Bとで分配している。このため、受電器100Bのスイッチ130Bを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を100%から低下させて行くと、受電器100Bの受電量が減る分だけ、受電器100Aの受電量が増えることになる。
このため、図6に示すように、受電器100Bの受電効率の比率は低下する。また、これに伴い受電器100Aの受電効率の比率は増大する。
受電器100Bのスイッチ130Bを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比が約10%まで低下すると、受電器100Bの受電効率の比率は、約13%まで低下し、受電器100Aの受電効率の比率は、約70%まで増大する。
そして、受電器100A及び100Bの受電効率の和は、受電器100Bのスイッチ130Bを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比が100%のときに約85%であり、受電器100Bのスイッチ130Bを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比が約10%まで低下すると、受電器100A及び100Bの受電効率の和は、約87%になる。
このように、受電器100Aのスイッチ130Aを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を100%に固定した状態で、受電器100Bのスイッチ130Bを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を100%から低下させて行くと、受電器100Bの受電効率の比率が低下し、受電器100Aの受電効率の比率が増大する。そして、受電器100A及び100Bの受電効率の和は、80%前後の値で大きく変動しない。
磁界共鳴を用いた電力伝送では、磁界共鳴によって送電器300から受電器100A及び100Bに送電される電力を受電器100Aと100Bとで分配しているため、デューティ比が変化しても、受電器100A及び100Bの受電効率の和が大きく変動しない。
同様に、受電器100Bのスイッチ130Bを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を100%に固定した状態で、受電器100Aのスイッチ130Aを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を100%から低下させれば、受電器100Aの受電効率の比率が低下し、受電器100Bの受電効率の比率が増大することになる。そして、受電器100A及び100Bの受電効率の和は、80%前後の値で大きく変動しない。
従って、受電器100A又は100Bのスイッチ130A又は130Bのいずれか一方を駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を調整すれば、受電器100A及び100Bの受電効率の比率を調整することができる。
以上のように、スイッチ130A又は130Bを駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を変化させると、受電器100A及び100Bの二次側共振コイル110A及び110Bの受電効率の比率が変わる。
このため、実施の形態1では、受電器100A及び100Bのスイッチ130A及び130BのPWM駆動パターンのうちのいずれか一方のPWM駆動パターンのデューティ比を基準のデューティ比から変更する。基準のデューティ比は、例えば、100%であり、この場合には、いずれかのデューティ比を100%未満の適切な値に設定する。
図6から分かるように、いずれか一方の受電器(100A又は100B)のデューティ比を低減すると、その受電器(100A又は100B)の受電電力量が低下する。また、いずれか他方の受電器(100A又は100B)は、デューティ比が固定された状態で、受電電力量が増大する。
このため、一方の受電器(100A又は100B)のPWM駆動パターンのデューティ比を低減すれば、一方の受電器(100A又は100B)への電力供給量が絞られ、他方の受電器(100A又は100B)への電力供給量を増やすことができる。
ただし、受電器100A及び100Bには、受電できる上限値がある。このため、デューティ比を調整することによって2つの受電器100A及び100Bの受電電力の配分を調整する場合に、受電電力が受電器(100A又は100B)の上限値を超えてしまうと、受電できずに損失になる電力が生じる。
また、受電器(100A又は100B)には、バッテリ(220A又は220B)の充電を行うことができる電力の最小値(下限値)がある。このため、デューティ比を低下させて受電電力を低下させる場合に、受電電力が下限値よりも低くなると、バッテリ(220A又は220B)を充電できなくなる。
従って、受電器100A及び100Bを効率的に充電するためには、デューティ比を調整することによって2つの受電器100A及び100Bの受電電力の配分を調整する場合には、受電器(100A又は100B)の上限値と下限値を考慮することが好ましい。
また、この際に、PWM駆動パターンの周波数は、磁界共鳴で伝送される交流電力の周波数以下の周波数に設定する。より好ましくは、PWM駆動パターンの周波数は、磁界共鳴で伝送される交流電力の周波数未満の周波数に設定する。例えば、磁界共鳴で伝送される交流電力の周波数よりも1桁又は2桁程度低い周波数にPWM駆動パターンの周波数を設定すればよい。
これは、PWM駆動パターンの周波数が磁界共鳴で伝送される交流電力の周波数よりも高いと、全波整流された電力の1周期の途中でスイッチ130A又は130Bのオン/オフが切り替えられることになり、電力量の調整を適切に行うことができなくなるおそれがあるからである。
従って、PWM駆動パターンの周波数は、磁界共鳴で伝送される交流電力の周波数以下の周波数に設定することが必要である。また、その際に、PWM駆動パターンの周波数を磁界共鳴で伝送される交流電力の周波数よりも1桁又は2桁程度低い周波数に設定すれば、電力量の調整をより適切に行うことができる。
例えば、磁界共鳴で伝送される交流電力の周波数が6.78MHzである場合に、PWM駆動パターンの周波数を数百kHz程度に設定すればよい。
ここで、図7を用いて、PWM駆動パターンのデューティ比と受電電力との関係について説明する。
図7は、受電器100におけるPWM駆動パターンのデューティ比と受電電力との関係を示す図である。
図7には、受電器100の二次側共振コイル110、整流回路120、スイッチ130、平滑キャパシタ140を簡略化して示すとともに、電力波形(1)、(2)、(3)を示す。
電力波形(1)は、二次側共振コイル110と整流回路120との間で得られる電力の波形を示す。電力波形(2)は、整流回路120とスイッチ130との間で得られる電力の波形を示す。電力波形(3)は、スイッチ130と平滑キャパシタ140との間で得られる電力の波形を示す。
ここで、スイッチ130の入力側と出力側とにおける電力波形は略等しいため、電力波形(2)は、スイッチ130と平滑キャパシタ140との間で得られる電力波形でもある。
なお、ここでは、交流電源1が出力する交流電圧の周波数が6.78MHzであり、一次側共振コイル12と二次側共振コイル21の共振周波数が6.78MHzであることとする。また、PWM駆動パターンのPWMパルスの周波数が300kHzであり、デューティ比が50%であることとする。
受電器100は、実際には図4に示すように、二次側共振コイル110とバッテリ220との間でループを形成する回路構成を有する。
このため、スイッチ130がオンの間はループ回路に電流が流れるが、スイッチ130がオフの間はループ回路に電流は流れない。
電力波形(1)は、二次側共振コイル110から整流回路120に供給される交流電力が、スイッチ130のオン/オフに合わせて断続的に流れる波形になる。
電力波形(2)は、整流回路120で全波整流された電力が、スイッチ130のオン/オフに合わせて断続的に流れる波形になる。
電力波形(3)は、整流回路120で全波整流され、スイッチ130を経て平滑キャパシタ140に供給される電力が平滑化された直流電力になる。電力波形(3)の電圧値は、デューティ比が増大すると高くなり、デューティ比が減少すると低くなる。
以上のように、駆動パターンのデューティ比を調整することにより、平滑キャパシタ140から出力される直流電力の電圧値を調整することができる。
図8は、制御部150の構成を示す図である。制御部150は、図4に示す受電器100に含まれるものであり、図5に示す制御部150A、150Bと同様である。
制御部150は、主制御部151、通信部152、駆動制御部153、及びメモリ154を含む。
主制御部151は、制御部150の制御処理を統括する。また、主制御部151は、受電器100の受電電力が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを表す電力データを生成し、通信部152を介して送電器300に送信する。なお、受電電力が適正であることは、受電電力が適正と考えられる所定の範囲内にあることである。
受電器100の受電電力が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかは、受電器100の受電電力の上限値及び下限値との関係で決まる。受電電力の上限値及び下限値は、受電器100の定格出力(定格電力)によって決まる。従って、電力データは、受電器100の定格出力と受電電力に関するデータである。なお、受電電力の上限値及び下限値と、受電電力の過剰、適正、又は不足との関係については、後述する。
また、主制御部151は、送電器300からデューティ比を調整する調整指令を通信部152を介して受信すると、調整指令を駆動制御部153に出力する。駆動制御部153は、調整指令に従って、デューティ比を調整する。
通信部152は、送電器300と無線通信を行う。例えば、受電器100が送電器300とBluetooth(登録商標)による近距離無線通信を行う場合には、通信部152は、Bluetooth用のモデムである。通信部152は、受電側通信部の一例である。
駆動制御部153は、スイッチ130をPWM駆動する。駆動制御部153は、主制御部151から入力される調整指令に基づいて、スイッチ130をPWM駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を調整する。駆動制御部153は、スイッチ130の駆動制御を行う駆動制御部の一例であるとともに、PWM駆動パターンのデューティ比を調整する調整部の一例である。
メモリ154は、受電器100の定格出力(定格電力)、受電電力の上限値、及び受電電力の下限値を表すデータを格納する。メモリ154は、例えば、不揮発性のメモリであればよい。
ここで、受電器100の定格出力とは、受電器100の負荷装置であるバッテリ220の定格出力である。
受電電力の上限値とは、受電器100の負荷装置であるバッテリ220を充電する際に、充電できずに余剰になる電力が生じることなく、バッテリ220を充電できる電力の上限値である。換言すれば、受電器100の受電電力が受電電力の上限値よりも多くなると、バッテリ220を充電する際に、バッテリ220に充電できずに余剰になる電力が発生することになる。
また、受電電力の下限値とは、受電器100の負荷装置であるバッテリ220の充電を行うことができる電力の最小値である。換言すれば、受電器100の受電電力が受電電力の下限値未満になると、バッテリ220の充電を行うことができなくなる最小の電力である。
図9は、メモリ154に格納されるデータを示す図である。
メモリ154には、受電器100の定格出力、受電電力の上限値、及び受電電力の下限値を表すデータが格納される。図9には、一例として、受電器100の定格出力が5Wである場合の受電電力の上限値と下限値を示す。受電電力の上限値は6Wであり、受電電力の下限値は5Wである。
このような受電電力の上限値と下限値を用いて、主制御部151は、例えば、受電電力が5W未満であれば受電電力が不足していると判定すればよい。すなわち、主制御部151は、受電電力<5Wの場合に、受電電力が不足していると判定すればよい。
また、主制御部151は、受電電力が5W以上で6W以下であれば受電電力が適正であると判定すればよい。すなわち、主制御部151は、5W≦受電電力≦6Wの場合に、受電電力が適正であると判定すればよい。
また、主制御部151は、受電電力が6Wより大きければ受電電力が過剰であると判定すればよい。すなわち、主制御部151は、6W<受電電力の場合に、受電電力が過剰であると判定すればよい。
また、定格出力が10Wで、受電電力の上限値が12W、受電電力の下限値が10Wの場合には、一例として、主制御部151は次のように判定すればよい。
主制御部151は、例えば、受電電力が10W未満であれば受電電力が不足していると判定すればよい。すなわち、主制御部151は、受電電力<10Wの場合に、受電電力が不足していると判定すればよい。
また、主制御部151は、受電電力が10W以上で12W以下であれば受電電力が適正であると判定すればよい。すなわち、主制御部151は、10W≦受電電力≦12Wの場合に、受電電力が適正であると判定すればよい。
また、主制御部151は、受電電力が12Wより大きければ受電電力が過剰であると判定すればよい。すなわち、主制御部151は、12W<受電電力の場合に、受電電力が過剰であると判定すればよい。
主制御部151は、受電電力が不足していると判定した場合には、受電電力が不足していることを表す電力データを送電器300に送信する。また、主制御部151は、受電電力が適正であると判定した場合には、受電電力が適正であることを表す電力データを送電器300に送信する。また、主制御部151は、受電電力が過剰であると判定した場合には、受電電力が過剰であることを表す電力データを送電器300に送信する。
また、主制御部151は、受電電力が過剰である場合には、受電電力が過剰である度合(過剰度合)を表すデータ(過剰度合データ)を電力データとともに送電器300に送信する。過剰度合データは、受電電力が上限値を上回っている度合を表す。例えば、上限値が6Wの場合に、受電電力が9Wであれば、過剰度合データは50%である。
図10は、電力データと過剰度合データのデータ構造を示す図である。
主制御部151が生成する電力データと過剰度合データは、受電器100のID(Identification)と関連付けられてメモリ154に格納される。
電力データは、受電器100の受電電力が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを表す。電力データは、例えば、2ビットのデータ値で表すことができる。例えば、過剰を表すデータ値を'10'、適正を表すデータ値を'01'、及び、不足を表すデータ値を'00'に設定すればよい。
過剰度合データは、受電電力が過剰である場合に、過剰の度合を数値で表すデータである。過剰度合データは、受電電力が過剰である場合に生成されるデータであるため、受電電力が適正又は不足の場合には、生成されない。受電電力が適正又は不足の場合には、過剰度合データはデータ値が存在しないことになる。
図10には、一例として、受電器100のIDが001で、電力データが過剰を表し、過剰度合データが50%のデータを示す。なお、電力データと過剰度合データを区別せずに、1つのデータで表してもよい。例えば、受電電力が過剰の場合に過剰の度合を正の数値で表し、受電電力が適正な場合を'0'(ゼロ)で表し、受電電力が不足の場合に不足の度合を負の数値で表してもよい。
また、送電器300は、上述のような電力データを受信すると、デューティ比を増大させる調整指令、デューティ比を調整する度合がゼロの調整指令、又は、デューティ比を減少させる調整指令を受電器100に送信する。
いずれかの調整指令を受電器100が送電器300から受信すると、駆動制御部153は、主制御部151から入力される調整指令に基づいて、スイッチ130をPWM駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を調整する。
より具体的には、駆動制御部153は、デューティ比を増大させる調整指令が主制御部151から入力されると、スイッチ130をPWM駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を増大させる。調整指令によってデューティ比が増大される度合は、受電器100の中で予め設定しておけばよい。例えば、調整指令によってデューティ比が増大される度合は、駆動制御部153が固定値として保持していてもよいし、メモリ154に格納しておいてもよい。
また、駆動制御部153は、デューティ比を調整する度合がゼロの調整指令が主制御部151から入力されると、PWM駆動パターンのデューティ比を維持させる。すなわち、この場合には、デューティ比が変更されることはない。
また、駆動制御部153は、デューティ比を減少させる調整指令が主制御部151から入力されると、スイッチ130をPWM駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を減少させる。
調整指令によってデューティ比が減少される度合は、受電器100の中で予め設定しておけばよい。例えば、調整指令によってデューティ比が減少される度合は、駆動制御部153が固定値として保持していてもよいし、メモリ154に格納しておいてもよい。
なお、各受電器100の調整指令によってデューティ比が減少される度合を表すデータを送電器300がメモリ360に格納しておき、各受電器100に送信してもよい。この場合に、送電器300は、調整指令を用いた制御処理を行う際に用いるファームウェアをアップデートする際に、新機種の受電器の度合を表すデータを入手するようにしてもよい。
また、調整指令によってデューティ比が減少される度合は、調整指令によってデューティ比が増大される度合と等しくてよい。
また、調整指令によってデューティ比が減少される度合は、定格出力が大きい受電器100ほど大きな値に設定してもよい。
なお、デューティ比を増大させる調整指令、デューティ比を調整する度合がゼロの調整指令、及び、デューティ比を減少させる調整指令は、例えば、2ビットのデータで実現することができる。
一例として、デューティ比を増大させる2ビットの調整指令のデータ値を'10'、デューティ比を調整する度合がゼロの2ビットの調整指令のデータ値を'01'、及び、デューティ比を減少させる2ビットの調整指令のデータ値を'00'に設定すればよい。
このような調整指令を用いる場合には、メモリ154に図11に示すようなデータを格納しておけばよい。
図11は、メモリ154に格納する調整指令のデータ構造を示す図である。
一例として、デューティ比を増大させる2ビットの調整指令のデータ値は'10'、デューティ比を調整する度合がゼロの2ビットの調整指令のデータ値は'01'、及び、デューティ比を減少させる2ビットの調整指令のデータ値は'00'である。
このような調整指令のデータをメモリ154に格納しておけば、受電器100の駆動制御部153は、送電器300から調整指令を受信すると、メモリ154に格納されている調整指令のデータを参照して、送電器300から受信した調整指令の内容を判定することができる。そして、駆動制御部153は、送電器300から受信した調整指令に従ってスイッチ130を駆動する。この際にスイッチ130を駆動するPWM駆動パターンのデューティ比は、調整指令に従って、増大あるいは減少されるか、又は、調整されることなく、そのままの値に保持される。
図12は、制御部310の構成を示す図である。制御部310は、図4及び図5に示す送電器300に含まれるものである。
ここでは、一例として、送電器300(図5参照)が2つ以上の受電器100と通信し、受電電力を制御する形態について説明する。
制御部310は、主制御部320、通信部330、判定部340、指令出力部350、及びメモリ360を含む。
主制御部320は、制御部310の制御処理を統括する。
通信部330は、受電器100と無線通信を行う。例えば、送電器300が受電器100とBluetooth(登録商標)による近距離無線通信を行う場合には、通信部330は、Bluetooth用のモデムである。
通信部330は、受電器100から電力データを受信する。受電器100から受信する電力データは、受電器100の受電電力が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを表す。
判定部340は、受電器100から受信する電力データに基づき、受電電力が過剰な受電器100、受電電力が不足している受電器100、及び、受電電力が適正範囲にある受電器100が存在するかどうかを判定する。また、判定部340は、受電器100から受信する電力データに基づき、受電電力が過剰な受電器100と、受電電力が不足している受電器100との両方が存在するかどうかを判定する。
指令出力部350は、受電電力が過剰な受電器100と、受電電力が不足している受電器100との両方が存在すると判定部340によって判定されると、受電電力が過剰な受電器100に、デューティ比を低下させる調整指令を通信部330を介して送信する。この場合に、受電電力が過剰な受電器100が複数ある場合には、指令出力部350は、受電電力が過剰な複数の受電器100に、デューティ比を低下させる調整指令を送信する。
また、指令出力部350は、受電電力が過剰な1又は複数の受電器100が存在し、残りの受電器100の受電電力は適正であると判定部340によって判定されると、受電電力が過剰な1又は複数の受電器100に、デューティ比を低下させる調整指令を通信部330を介して送信する。また、この場合に、指令出力部350は、受電電力が適正な受電器100に、デューティ比を調整しない調整指令を通信部330を介して送信する。
また、指令出力部350は、受電電力が不足している1又は複数の受電器100が存在し、残りの受電器100の受電電力は適正であると判定部340によって判定されると、受電電力が不足している1又は複数の受電器100に、デューティ比を増大させる調整指令を通信部330を介して送信する。また、この場合に、指令出力部350は、受電電力が適正な受電器100に、デューティ比を調整しない調整指令を通信部330を介して送信する。
また、指令出力部350は、判定部340によって受電電力が適正な複数の受電器100が存在すると判定されると、すべての受電器100に、デューティ比を調整しない調整指令を通信部330を介して送信する。
なお、指令出力部350は、調整指令に受電器IDを付して、受電器IDによって特定される受電器100に調整指令を送信する。
メモリ360は、受電器100のメモリ154に格納される調整指令のデータと同じ調整指令のデータを格納する。同一の調整指令のデータを用いることにより、送電器300から受電器100のデューティ比を調整することができるからである。
一例として、デューティ比を増大させる2ビットの調整指令のデータ値は'10'、デューティ比を調整する度合がゼロの2ビットの調整指令のデータ値は'01'、及び、デューティ比を減少させる2ビットの調整指令のデータ値は'00'である。
図13は、実施の形態1の電力伝送システム500の送電器300と受電器100が実行する処理を示すフローチャートである。送電器300と受電器100とでは、別々に処理が行われるが、ここでは全体の流れを示すために、送電器300と受電器100との間におけるデータの流れも示す。
また、ここでは、送電器300が送電する電力を複数の受電器100が同時に受電する場合に、送電器300の送電電力と、複数の受電器100の受電電力との最適化を行う。受電電力の最適化は、受電器100のPWM駆動パターンのデューティ比を最適化することによって行われる。
なお、送電器300が送電する電力を複数の受電器100が同時に受電することを同時給電と称し、同時給電によって受電する複数の受電器100を同時給電のグループとして取り扱う。
送電器300は、送電を開始する(送電開始)。送電器300の一次側共振コイル12から電力が出力される。なお、送電開始の直後には、予め設定された初期出力の電力が一次側共振コイル12から出力されるようにしておけばよい。
また、受電器100は、受電モードに切り替えられると処理を開始する(スタート)。
受電器100は、送電器300から磁界共鳴によって電力を受電し、電力データ及び過剰度合データを生成するとともに、バッテリ220の充電率を検出する(ステップS1)。
送電器300は、受電器100に電力データ、過剰度合データ、及び充電率データの送信を要求し、受電器100から電力データ、過剰度合データ、及び充電率データを収集する(ステップS11)。
受電器100は、ステップS1で生成した電力データと、検出した充電率を表す充電率データとを送電器300に送信する(ステップS2)。
受電器100は、ステップS2で電力データ、過剰度合データ、及び充電率データを送電器300に送信すると、PWM駆動パターンのデューティ比を低下させる調整指令を受信したかどうかを判定する(ステップS3)。
受電器100は、送電器300がステップS11の処理を終えてから、後述するステップS15の処理を終えるまでに要する所要時間にわたって待機し、PWM駆動パターンのデューティ比を低下させる調整指令を受信したかどうかを判定する。
受電器100は、所要時間にわたって待機しても送電器300からPWM駆動パターンのデューティ比を低下させる調整指令を受信しない場合には、フローをステップS1にリターンする。
送電器300は、受電器100から受信した充電率データに基づき、各受電器100が満充電であるかどうかを判定する(ステップS12)。受電器100が満充電である場合には、送電を行う必要がなくなるからである。
送電器300は、ステップS12で満充電ではないと判定された受電器100について、受電電力の過剰な受電器100と、受電電力が不足している受電器100との両方が存在しているかどうかを判定する(ステップS13)。受電電力の過剰な受電器100と、受電電力が不足している受電器100との両方が存在している場合には、受電電力の過剰な受電器100のPWM駆動パターンのデューティ比を低下させるため、送電器300は、このような判定を行う。
送電器300は、受電電力の過剰な受電器100と、受電電力が不足している受電器100との両方が存在している(S13:YES)と判定すると、受電電力の過剰な受電器100に対してデューティ比の低下を指示した回数が、所定回数以下であるかどうかを判定する(ステップS14)。
デューティ比の低下を指示する回数が多いと、その受電器100の受電効率が低くなりすぎるおそれがあるからである。このため、デューティ比の低下を行う回数に制限を設けたものである。
また、所定回数は、実験等で最適な回数に設定すればよい。また、所定回数は、例えば、定格出力が大きい受電器100ほど大きな値に設定してもよい。定格出力が大きい受電器100の方が、デューティ比を低下させて受電電力を調整できる範囲が広いからである。
また、所定回数を表すデータは、例えば、送電器300の主制御部320が各受電器100についてカウントしてもよいし、各受電器100がカウントしておいて、ステップS14の処理を行う際に、各受電器100が送電器300に送信してもよい。
送電器300は、デューティ比の低下を実施した回数が所定回数以下である(S14:YES)と判定すると、受電電力の過剰な受電器100のPWM駆動パターンのデューティ比を低下させる調整指令を送信する(ステップS15)。受電電力の過剰な受電器100のPWM駆動パターンのデューティ比を低下させて受電電力を低下させることにより、複数の受電器100の全体の受電電力のバランスを改善するためである。
なお、ステップS15において、受電電力の過剰な受電器100が複数ある場合には、受電電力の過剰な複数の受電器100のすべてに、デューティ比を低下させる調整指令を送信する。
送電器300は、ステップS15の処理を終えると、フローをステップS11にリターンする。
また、ステップS15でPWM駆動パターンのデューティ比を低下させる調整指令が受電電力の過剰な受電器100に送信されると、調整指令を受信した受電器100は、PWM駆動パターンのデューティ比を1ステップ分だけ低下させる(ステップS4)。
送電器300は、受電電力の過剰な受電器100と、受電電力が不足している受電器100との両方が存在している状態ではない(S13:NO)と判定すると、一次側共振コイル12から送電する電力(送電電力)を調整する(ステップS16)。
ステップS16において、受電電力が過剰な1又は複数の受電器100が存在し、残りの受電器100の受電電力が適正である場合には、送電器300は、送電電力を所定電力だけ低下させる。
ステップS16において、受電電力が不足している1又は複数の受電器100が存在し、残りの受電器100の受電電力は適正である場合には、送電器300は、送電電力を所定電力だけ増大する。
ステップS16において、判定部340によって受電電力が適正な複数の受電器100が存在すると判定されると、送電器300は、送電電力を維持する。すなわち、送電器300は、送電電力を変化させずに、そのときの送電電力を保持する。
なお、送電器300が送電電力を変化させずに、そのときの送電電力を保持することは、送電電力の調整度合がゼロであることに相当する。
また、送電器300が送電電力を低下させる際の所定電力と、送電電力を増大する際の所定電力とを表すデータは、予めメモリ360に格納しておけばよい。また、送電電力を低下させる際の所定電力と、送電電力を増大する際の所定電力とは、異なっていてもよい。
送電器300は、ステップS16の処理を終えると、フローをステップS11にリターンする。
送電器300は、ステップS14において、デューティ比の低下を実施した回数が所定回数以下ではない(S14:NO)と判定すると、受電電力が最も過剰な1つの受電器100を同時給電のグループから外す(ステップS17)。
デューティ比の低下を実施した回数が所定回数よりも多く、かつ、受電電力が最も過剰な1つの受電器100は、デューティ比を所定回数よりも1回多い回数にわたってデューティ比を低下させても、受電電力が適正な範囲に収まらなかった受電器100である。このため、同時給電のグループから外すこととしたものである。
なお、受電電力が最も過剰な1つの受電器100は、過剰度合データに基づいて判定すればよい。また、ステップS17で受電電力が過剰な受電器100が1つである場合には、過剰度合データを用いることなく、受電電力が過剰な1つの受電器100を同時給電のグループから外せばよい。
送電器300は、ステップS17において同時給電のグループから外した受電器100に受電を停止させる(ステップS18)。受電の停止は、例えば、デューティ比を0%に設定させる調整指令を受電器100に送信することによって行えばよい。
送電器300は、ステップS18の処理を終えると、フローをステップS11にリターンする。
なお、送電器300は、ステップS12において、いずれかの受電器100が満充電である(S12:YES)と判定した場合は、満充電になった受電器100の給電を停止させる(ステップS19)。
この場合には、ステップS12において満充電になったと判定された受電器100に、デューティ比を0%に設定させる調整指令を送信すればよい。また、満充電に至っていない受電器100は、引き続き図13に示す処理を行うことによって充電を行えばよい。
以上の処理を繰り返し行うことにより、受電器100の充電を行うことができる。すなわち、各受電器100における受電電力の過剰と不足を検出し、検出結果に応じて受電器100のPWM駆動パターンのデューティ比を調整することにより、複数の受電器100の受電電力を段々と適正な範囲に近づけることができる。
従って、効率的に受電器を充電できる、電力伝送システム500、及び、送電器300を提供することができる。
なお、受電器100は、送電器300から電力を受電している間は常時受電状態を検出し、送電器300からの要求(S11)に応じて、電力データ、過剰度合データ、及び充電率データを定期的に送電器300に送信する。送電器300は、充電中の複数の受電器100の中のある1つの受電器100の受電電力がゼロになった場合、又は、通信が断絶した場合には、その受電器100が充電可能な領域から離れたと判定して送電を停止すればよい。その後、残った受電器100に対して引き続き図13に示す処理を行うことによって充電を行えばよい。
また、送電器300は、すべての受電器100の受電電力が不足していて、かつ、送電器300の出力が最大出力である場合には、送電電力の不足、又は、受電器100の受電効率が低下し過ぎた異常な状態が発生していると判断して送電を停止すればよい。
次に、図14乃至図17を用いて、実施の形態1の電力伝送システム500及び送電器300による受電器100の受電電力の調整の様子について説明する。
図14乃至図17は、実施の形態1の電力伝送システム500及び送電器300による受電器100の受電電力の調整の様子を示す図である。図14乃至図17では、3つの受電器100A、100B、100Cを用いて説明する。
図14乃至図17における縦軸は、受電器100A、100B、100Cのそれぞれの受電電力から、それぞれの定格出力を減じて得る電力を示す。ここでは、受電電力から定格出力を減じて得る電力を規格化受電電力と称す。
受電器100A、100B、100Cのそれぞれの受電電力の上限値と下限値は互いに異なる場合がある。このため、図14乃至図17では、受電器100A、100B、100Cの受電電力の上限値と下限値のレベルを合わせて、規格化受電電力のレベルを比較できるように示している。
図14の(A)では、受電器100Aの規格化受電電力が最も低く、受電器100Bの規格化受電電力が中間の値であり、受電器100Cの規格化受電電力が最も高い。
受電器100A及び100Bの規格化受電電力は、ともに下限値より低く、受電器100Cの規格化受電電力は、下限値である。すなわち、受電器100A及び100Bは、受電電力が不足しており、受電器100Cは、受電電力が適正である。
なお、図14(A)に示す状態は、送電器300による送電を開始した直後であり、送電電力は、所定の低い値である。このため、送電電力は第1レベルである。
このような状態では、図13に示すフローのステップS13でNOと判定され、ステップS16で送電器300の送電電力が第1レベルから所定電力だけ増大される。図14の(A)に示す状態から送電電力が増大された状態を図14の(B)に示す。図14(B)では、送電電力は第2レベルになる。
図14の(B)では、図14の(A)よりも受電器100A、100B、100Cの規格化受電電力が増大している。
図14の(B)では、受電器100Aの規格化受電電力は下限値より低く、受電器100Bの規格化受電電力は下限値にほぼ等しく、受電器100Cの規格化受電電力は、下限値と上限値の間である。すなわち、受電器100Aは、受電電力が不足しており、受電器100B及び100Cは、受電電力が適正である。
このような状態では、図13に示すフローのステップS13でNOと判定され、ステップS16で送電器300の送電電力が第2レベルから所定電力だけさらに増大される。図14の(B)に示す状態から送電電力が増大された状態を図14の(C)に示す。図14の(C)では、送電電力は第3レベルである。
図14の(C)では、図14の(B)よりも受電器100A、100B、100Cの規格化受電電力が増大している。
図14の(C)では、受電器100Aの規格化受電電力は下限値より低く、受電器100Bの規格化受電電力は下限値と上限値との間であり、受電器100Cの規格化受電電力は、上限値よりも高い。すなわち、受電器100Aは、受電電力が不足しており、受電器100Bは、受電電力が適正であり、受電器100Cは、受電電力が過剰である。
このような状態では、図13に示すフローのステップS13でYESと判定され、ステップS14でYESと判定され、ステップS15で受電器100Cのデューティ比が低下される。図14の(C)に示す状態から受電器100Cのデューティ比が低下された状態を図14の(D)に示す。なお、図14(D)では、送電電力は第3レベルに維持される。
図14の(D)では、図14の(C)と比べて、受電器100A及び100Bの規格化受電電力が増大し、受電器100Cの規格化受電電力が低下している。
図14の(D)では、受電器100A、100B、及び100Cの規格化受電電力は下限値と上限値との間である。すなわち、受電器100A、100B、及び100Cは、受電電力が適正である。
従って、送電器300の送電電力と、受電器100Cのデューティ比とを調整することにより、受電器100A、100B、及び100Cのすべてを同時に充電できる状態にすることができた。
図15の説明に用いる受電器100A、100B、100Cは、図14の説明に用いた受電器100A、100B、100Cとは、調整指令によってデューティ比が減少される度合が異なる。
図15の(A)から(C)に示す状態は、図14の(A)から(C)に示す状態と同様であり、図15の(A)から送電電力が段階的に増大されて図15の(C)に示す状態に至る。
図15の(C)の状態では、図13に示すフローのステップS13でYESと判定され、ステップS14でYESと判定され、ステップS15で受電器100Cのデューティ比が低下される。図15の(C)に示す状態から受電器100Cのデューティ比が低下された状態を図15の(D)に示す。なお、図15(D)では、送電電力は第3レベルに維持される。
図15の(D)では、図15の(C)と比べて、受電器100A及び100Bの規格化受電電力が増大し、受電器100Cの規格化受電電力が低下している。
図15の(D)では、受電器100Aの規格化受電電力は下限値よりも低く、受電器100B及び100Cの規格化受電電力は下限値と上限値との間である。すなわち、受電器100Aは、受電電力が不足しており、受電器100B及び100Cは、受電電力が適正である。
図15の(D)の状態では、図13に示すフローのステップS13でNOと判定され、ステップS16で送電電力が第3レベルから所定電力だけさらに増大される。図15の(D)に示す状態から送電電力が増大された状態を図15の(E)に示す。図15の(E)では、送電電力は第4レベルである。
図15の(E)では、図15の(D)よりも受電器100A、100B、100Cの規格化受電電力が増大している。
図15の(E)では、受電器100Aの規格化受電電力は下限値より低く、受電器100B及び100Cの規格化受電電力は、上限値よりも高い。すなわち、受電器100Aは、受電電力が不足しており、受電器100B及び100Cは、受電電力が過剰である。
このような状態では、図13に示すフローのステップS13でYESと判定され、ステップS14でYESと判定され、ステップS15で受電器100B及び100Cのデューティ比が低下される。図15の(E)に示す状態から受電器100B及び100Cのデューティ比が低下された状態を図15の(F)に示す。なお、図15(F)では、送電電力は第4レベルに維持される。
図15の(F)では、受電器100B及び100Cの受電電力が低下した分が受電器100Aによって受電されることにより、図15の(E)に比べて、受電器100Aの規格化受電電力が増大し、受電器100B及び100Cの規格化受電電力が減少している。
この結果、受電器100A、100B、及び100Cの規格化受電電力は下限値と上限値との間になっている。すなわち、受電器100A、100B、及び100Cは、受電電力が適正である。
従って、送電器300の送電電力と、受電器100B及び100Cのデューティ比とを調整することにより、受電器100A、100B、及び100Cのすべてを同時に充電できる状態にすることができた。
図16の説明に用いる受電器100A、100B、100Cは、図14の説明に用いた受電器100A、100B、100Cと同様であるが、図16の(A)の状態に辿り着いた時点で、受電器100Cのデューティ比の低下指示回数が図13のステップS14における所定回数よりも1回多い回数に達している。
図16の(A)から(C)に示す状態は、図14の(A)から(C)に示す状態と同様であり、図16の(A)から送電電力が段階的に増大されて図16の(C)に示す状態に至る。
図16の(C)の状態では、図13に示すフローのステップS13でYESと判定され、デューティ比の低下指示回数が所定回数よりも1回多いため、ステップS14でNOと判定される。そして、ステップS17では、受電電力が過剰である受電器100Cが同時給電グループから外される。図16の(C)に示す状態から受電器100Cが外された状態を図16の(D)に示す。なお、図16(D)では、送電電力は第3レベルに維持される。
図16の(D)では、図16の(C)と比べて、受電器100Cがなくなり、受電器100A及び100Bの規格化受電電力は変化していない。
図16の(D)では、受電器100Aの規格化受電電力は下限値よりも低く、受電器100Bの規格化受電電力は下限値と上限値との間である。すなわち、受電器100Aは、受電電力が不足しており、受電器100Bは、受電電力が適正である。
図16の(D)の状態では、図13に示すフローのステップS13でNOと判定され、ステップS16で送電電力が第3レベルから所定電力だけさらに増大される。図16の(D)に示す状態から送電電力が増大された状態を図16の(E)に示す。図16の(E)では、送電電力は第4レベルである。
図16の(E)では、図16の(D)よりも受電器100A、100Bの規格化受電電力が増大しており、受電器100A及び100Bの規格化受電電力は下限値と上限値との間になっている。すなわち、受電器100A及び100Bは、受電電力が適正である。
従って、送電器300の送電電力と、受電器100Cのデューティ比とを調整することにより、受電器100A及び100Bを同時に充電できる状態にすることができた。
なお、受電器100Cは、受電器100A及び100Bとは別の給電グループに振り分けて充電を行えばよい。
図17の説明に用いる受電器100A、100B、100Cは、図16の説明に用いた受電器100A、100B、100Cと同様である。しかしながら、送電器300が、図13のステップS17において、受電電力が最も不足している1つの受電器100を同時給電のグループから外すように制御処理を行う点が異なる。
図17の(A)から(C)に示す状態は、図14の(A)から(C)に示す状態と同様であり、図17の(A)から送電電力が段階的に増大されて図17の(C)に示す状態に至る。
図17の(C)の状態では、図13に示すフローのステップS13でYESと判定され、デューティ比の低下指示回数が所定回数よりも1回多いため、ステップS14でNOと判定される。そして、ステップS17では、受電電力が不足している受電器100Aが同時給電グループから外される。図17の(C)に示す状態から受電器100Aが外された状態を図17の(D)に示す。なお、図17(D)では、送電電力は第3レベルに維持される。
図17の(D)では、図17の(C)と比べて、受電器100Aがなくなり、受電器100B及び100Cの規格化受電電力は変化していない。
図17の(D)では、受電器100Bの規格化受電電力は下限値と上限値との間であり、受電器100Cの規格化受電電力は上限値よりも高い。すなわち、受電器100Bは、受電電力が適正であり、受電器100Cは、受電電力が過剰である。
図17の(D)の状態では、図13に示すフローのステップS13でNOと判定され、ステップS16で送電電力が第3レベルから所定電力だけ低減される。図17の(D)に示す状態から送電電力が低減された状態を図17の(E)に示す。図17の(E)では、送電電力は第2レベルである。
図17の(E)では、図17の(D)よりも受電器100B及び100Cの規格化受電電力が低減されており、受電器100B及び100Cの規格化受電電力は下限値と上限値との間になっている。すなわち、受電器100A及び100Bは、受電電力が適正である。
従って、送電器300の送電電力と、受電器100Aのデューティ比とを調整することにより、受電器100B及び100Cを同時に充電できる状態にすることができた。
なお、受電器100Aは、受電器100B及び100Cとは別の給電グループに振り分けて充電を行えばよい。
以上、実施の形態1の電力伝送システム500及び送電器300によれば、複数の受電器100の受電電力が過剰、不足、又は適正のいずれであるかに応じて、送電器300の送電出力と、受電器100のPWM駆動パターンのデューティ比とを調整する。受電器100の受電電力が過剰、不足、又は適正のいずれであるかは、受電器100の受電状況である。
このような調整は、複数の受電器100の受電状況に応じて、図13に示すループ処理を繰り返し実行することによって実現することができる。
すなわち、送電器300の送電出力と、受電器100のPWM駆動パターンのデューティ比との調整には、受電器100の二次側共振コイル110と、送電器300の一次側共振コイル12との結合係数を算出することなく、複数の受電器100の受電状況に基づいて、容易かつ簡単に同時給電を行うことができる状態を実現できる。
従って、効率的に受電器を充電できる、電力伝送システム500、及び、送電器300を提供することができる。
なお、以上では、受電電力が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを表す電力データを受電器100が生成して送電器300に送電し、判定部340が電力データに基づき、受電電力が過剰、不足、又は適正であるかどうかを判定する形態について説明した。
しかしながら、電力データは、受電器100の定格出力と、受電電力の上限値及び下限値とを表すデータであってもよい。そして、このような電力データを受電器100が送電器300に送信し、送電器300の制御部310が、受電器100の定格出力と、受電電力の上限値及び下限値とを表す電力データに基づいて、受電電力が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを判定してもよい。
また、以上では、スイッチ130が整流回路120の出力側に直接的に接続される形態について説明した。しかしながら、図18のような回路構成の受電器101であってもよい。
図18は、実施の形態の変形例の受電器101を示す図である。受電器101は、図4に示す受電器100において、整流回路120とスイッチ130との間に平滑キャパシタ140Cを追加した構成を有する。このようにすれば、整流回路120で全波整流された電力を平滑化してからスイッチ130に入力することができるので、例えば、全波整流された電力に含まれるリップル等の影響が生じる場合に、リップルの影響を抑制するのに有効である。
また、以上では、電子機器200A及び200Bが、一例として、タブレットコンピュータ又はスマートフォン等の端末機出歩け遺体について説明したが、電子機器200A及び200Bは、例えば、ノード型のPC(Personal Computer)、携帯電話端末機、携帯型のゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の充電式のバッテリを内蔵する電子機器であってもよい。
また、以上では、受電器100のスイッチ130をPWM駆動するPWM駆動パターンのデューティ比を調整する形態について説明したが、次のように変形してもよい。
図19は、実施の形態1の受電器100Dと送電装置80を示す図である。
送電装置80は、交流電源1と送電器300Dを含む。
送電器300Dは、一次側コイル11、一次側共振コイル12、整合回路13、キャパシタ14、制御部310D、及びアンテナ16を有する。送電器300Dは、図4に示す送電器300の制御部310を制御部310Dに置き換えたものである。
制御部310Dは、受電器100Dの調整部130Dの調整を行う点が、制御部310と異なる。
受電器100Dは、二次側共振コイル110、キャパシタ115、電圧計116、整流回路120、調整部130D、平滑キャパシタ140、制御部150D、電圧計155D、出力端子160A、160B、及びアンテナ170を含む。出力端子160A、160Bには、DC−DCコンバータ210が接続されており、DC−DCコンバータ210の出力側にはバッテリ220が接続されている。
二次側共振コイル110は、一次側共振コイル12と同一の共振周波数を有し、高いQ値を有するように設計されている。二次側共振コイル110は、共振コイル部111と、端子112X、112Yとを有する。ここで、共振コイル部111は、実体的には二次側共振コイル110そのものであるが、ここでは、共振コイル部111の両端に端子112X、112Yを設けたものを二次側共振コイル110として取り扱う。
共振コイル部111には、共振周波数を調整するためのキャパシタ115が直列に挿入されている。また、キャパシタ115には、調整部130Dが並列に接続されている。また、共振コイル部111の両端には、端子112X、112Yが設けられている。端子112X、112Yは、整流回路120に接続されている。端子112X、112Yは、それぞれ、第1端子及び第2端子の一例である。
二次側共振コイル110は、二次側コイルを介さずに整流回路120に接続されている。二次側共振コイル110は、調整部130Dによって共振が発生しうる状態にされているときには、送電器300Dの一次側共振コイル12から磁界共鳴によって送電される交流電力を整流回路120に出力する。
キャパシタ115は、二次側共振コイル110の共振周波数を調整するために、共振コイル部111に直列に挿入されている。キャパシタ115は、端子115X及び115Yを有する。キャパシタ115には、調整部130Dが並列に接続されている。
電圧計116は、キャパシタ115に並列に接続されており、キャパシタ115の両端子間電圧を測定する。電圧計116は、二次側共振コイル110が受電する交流電力の電圧を検出し、電圧を表す信号を制御部150Dに伝送する。電圧計116で測定する交流電圧は、スイッチ131X及び131Yを駆動する駆動信号の同期を取るために用いられる。
整流回路120は、4つのダイオード121A〜121Dを有する。ダイオード121A〜121Dは、ブリッジ状に接続されており、二次側共振コイル110から入力される電力を全波整流して出力する。
調整部130Dは、二次側共振コイル110の共振コイル部111において、キャパシタ115に並列に接続されている。
調整部130Dは、スイッチ131X、131Y、ダイオード132X、132Y、キャパシタ133X、133Y、及び端子134X、134Yを有する。
スイッチ131X及び131Yは、端子134X及び134Yの間で互いに直列に接続されている。スイッチ131X及び131Yは、それぞれ、第1スイッチ及び第2スイッチの一例である。端子134X、134Yは、それぞれ、キャパシタ115の端子115X、115Yに接続されている。このため、スイッチ131X及び131Yの直列回路は、キャパシタ115に並列に接続されている。
ダイオード132Xとキャパシタ133Xは、スイッチ131Xに並列に接続されている。ダイオード13Yとキャパシタ133Yは、スイッチ131Yに並列に接続されている。ダイオード132X及び132Yは、互いのアノード同士が接続されるとともに、互いのカソードがキャパシタ115に接続されている。すなわち、ダイオード132X及び132Yは、互いの整流方向が反対向きになるように接続されている。
なお、ダイオード132X及び132Yは、それぞれ、第1整流素子及び第2整流素子の一例である。また、調整部130Dは、キャパシタ133X及び133Yを含まなくてもよい。
スイッチ131X、ダイオード132X、及びキャパシタ133Xとしては、例えば、FET(Field Effect Transistor)を用いることができる。Pチャネル型又はNチャネル型のFETのドレイン−ソース間のボディダイオードが、ダイオード132Xのような整流方向を有するように接続すればよい。Nチャネル型のFETを用いる場合は、ソースがダイオード132Xのアノードであり、ドレインがダイオード132Xのカソードである。
また、スイッチ131Xは、制御部150Dから出力される駆動信号がゲートに入力されることにより、ドレイン−ソース間の接続状態を切り替えることによって実現される。また、キャパシタ133Xは、ドレイン−ソース間の寄生容量によって実現することができる。
同様に、スイッチ131Y、ダイオード132Y、及びキャパシタ133Yとしては、例えば、FETを用いることができる。Pチャネル型又はNチャネル型のFETのドレイン−ソース間のボディダイオードが、ダイオード132Bのような整流方向を有するように接続すればよい。Nチャネル型のFETを用いる場合は、ソースがダイオード132Yのアノードであり、ドレインがダイオード132Yのカソードである。
また、スイッチ131Yは、制御部150Dから出力される駆動信号がゲートに入力されることにより、ドレイン−ソース間の接続状態を切り替えることによって実現される。また、キャパシタ133Yは、ドレイン−ソース間の寄生容量によって実現することができる。
なお、スイッチ131X、ダイオード132X、及びキャパシタ133Xは、FETによって実現するものに限られず、スイッチ、ダイオード、及びキャパシタを並列に接続することによって実現してもよい。これは、スイッチ131Y、ダイオード132Y、及びキャパシタ133Yについても同様である。
スイッチ131Xと131Yは、互いに逆位相でオン/オフが切り替えられる。スイッチ131Xがオフでスイッチ131Yがオンのときには、調整部130D内では端子134Xからキャパシタ133X及びスイッチ131Yを経て端子134Yに向かう方向に共振電流が流れるとともに、キャパシタ115には端子115Xから端子115Yに共振電流が流れ得る状態になる。すなわち、図19において、二次側共振コイル110には時計回りの方向に共振電流が流れ得る状態になる。
また、スイッチ131Xがオンでスイッチ131Yがオフのときには、調整部130D内では端子134Xからスイッチ131X及びダイオード132Yを経て端子134Yに向かう電流経路が生じる。この電流経路は、キャパシタ115に並列であるため、キャパシタ115には電流が流れなくなる。
従って、スイッチ131Xがオフでスイッチ131Yがオンにされていて、二次側共振コイル110に時計回りの方向に共振電流が流れている状態から、スイッチ131Xがオンでスイッチ131Yがオフの状態に切り替えられると、共振電流が生じなくなる。電流経路にキャパシタが含まれなくなるからである。
また、スイッチ131Xがオンでスイッチ131Yがオフのときには、調整部130D内では端子134Yからキャパシタ133Y及びスイッチ131Xを経て端子134Xに向かう方向に共振電流が流れるとともに、キャパシタ115には端子115Yから端子115Xに共振電流が流れ得る状態になる。すなわち、図19において、二次側共振コイル110には反時計回りの方向に共振電流が流れ得る状態になる。
また、スイッチ131Xがオフでスイッチ131Yがオンのときには、調整部130D内では端子134Yからスイッチ131Y及びダイオード132Xを経て端子134Xに向かう電流経路が生じる。この電流経路は、キャパシタ115に並列であるため、キャパシタ115には電流が流れなくなる。
従って、スイッチ131Xがオンでスイッチ131Yがオフにされていて、二次側共振コイル110に反時計回りの方向に共振電流が流れている状態から、スイッチ131Xがオフでスイッチ131Yがオンの状態に切り替えられると、共振電流が生じなくなる。電流経路にキャパシタが含まれなくなるからである。
調整部130Dは、上述のようにスイッチ131X及び131Yを切り替えることにより、共振電流が生じ得る状態と、共振電流が生じない状態とを切り替える。スイッチ131X及び131Yの切り替えは、制御部150Dから出力される駆動信号によって行われる。
駆動信号の周波数は、二次側共振コイル110が受電する交流周波数に設定される。
スイッチ131X及び131Yは、上述のような高い周波数で交流電流の遮断を行う。例えば、2つのFETを組み合わせた調整部130Dは、高速で交流電流の遮断を行うことができる。
なお、駆動信号と調整部130Dの動作については、図21を用いて後述する。
平滑キャパシタ140は、整流回路120の出力側に接続されており、整流回路120で全波整流された電力を平滑化して直流電力として出力する。平滑キャパシタ140の出力側には、出力端子160A、160Bが接続される。整流回路120で全波整流された電力は、交流電力の負成分を正成分に反転させてあるため、略交流電力として取り扱うことができるが、平滑キャパシタ140を用いることにより、全波整流された電力にリップルが含まれるような場合でも、安定した直流電力を得ることができる。
なお、平滑キャパシタ140の上側の端子と出力端子160Aとを結ぶ線路は、高電圧側の線路であり、平滑キャパシタ140の下側の端子と出力端子160Bとを結ぶ線路は、低電圧側の線路である。
制御部150Dは、内部メモリにバッテリ220の定格出力を表すデータを保持する。また、送電器300Dの制御部310Dからのリクエストに応じて、送電器300Dから受電器100Dが受電する電力(受電電力)を測定し、受電電力を表すデータをアンテナ170を介して送電器300Dに送信する。
また、制御部150Dは、送電器300Dから位相差を表すデータを受信すると、受信した位相差を用いて駆動信号を生成して、スイッチ131X及び131Yを駆動する。なお、受電電力は、制御部150Dが、電圧計155Dで測定される電圧Vと、バッテリ220の内部抵抗値Rとに基づいて求めればよい。受電電力PはP=V/Rで求められる。
ここで、図20を用いて制御部150Dについて説明する。図20は、制御部150Dの内部構成を示す図である。
制御部150Dは、コンパレータ151D、PLL(Phase Locked Loop:位相同期回路)152D、位相シフト回路153D、位相制御部154D、インバータ157D、及び基準位相検出部156Dを有する。
コンパレータ151Dは、電圧計116で検出される交流電圧を所定の基準電圧Vrefと比較し、クロックをPLL152Dに出力する。
PLL152Dは、位相比較器152DA、補償機152DB、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)152DCを有する。位相比較器152DA、補償機152DB、及びVCO152DCは、直列に接続されるとともに、VCO152DCの出力が位相比較器152DAにフィードバックされるように接続されている。このような構成によりPLL152Dは、コンパレータ151Dから入力される信号と同期したクロックを出力する。
位相シフト回路153Dは、PLL152Dの出力側に接続されており、位相制御部154Dから入力される位相差を表す信号に基づき、PLL152Dから出力されるクロックの位相を基準の位相に対して位相差分シフトして出力する。位相シフト回路153Dとしては、例えば、Phase Shifterを用いればよい。
位相制御部154Dは、送電器300Dから送信される位相差を表す信号が入力されると、位相差を表す信号を位相シフト回路153D用の信号に変換して出力する。
位相制御部154Dから入力される信号に基づいて、基準の位相に対して位相差分だけ位相がシフトされたクロックは、二手に分岐され、一方はそのままクロックCLK1として出力され、他方はインバータ157Dで反転されてクロックCLK2として出力される。クロックCLK1とCLK2は、制御部150Dが出力する制御信号である。
基準位相検出部156Dは、位相シフト回路153Dがクロックの位相をシフトするシフト量を制御することにより、PLL152Dが出力するクロックに対する位相シフト回路153Dが出力するクロックの位相を調整して、最大の受電効率が得られる位相を検出する。
そして、基準位相検出部156Dは、検出した位相を基準の位相として内部メモリに保持する。受電効率が最大になる動作点は、電圧計116で検出される電圧値が最大になる点であるため、基準位相検出部156Dは、位相シフト回路153Dで与える位相のシフト量を調整しながら、電圧計で検出される電圧値が最大になる動作点を検出し、その動作点における位相を基準の位相として内部メモリに保持する。
ここで、PLL152Dが出力するクロックは、電圧計116で検出される磁界共鳴による交流電圧の位相に対応している。このため、PLL152Dが出力するクロックに位相シフト回路153Dが与える位相のシフト量を調整することは、電圧計116で検出される電圧波形に対するクロックの位相のシフト量を位相シフト回路153Dで制御することである。
基準の位相は、最大の受電効率が得られるクロックCLK1とCLK2の交流電圧に対する位相である。この基準の位相を0度として取り扱い、受電電力を調整するために、基準の位相(0度)に対するクロックCLK1とCLK2の位相の位相差を位相シフト回路153Dで調整する。
ここでは、交流電圧の位相を検出しないため、最大の受電効率が得られるときのクロックCLK1とCLK2に位相シフト回路153Dが与える位相のシフト量を基準の位相として取り扱う。
なお、ここでは、電圧計116で検出される交流電圧に対して、PLL152Dから出力されるクロックの位相を位相シフト回路153Dで調整する形態について説明するが、電圧計116の変わりに電流計を用いて、交流電流に対するクロックの位相を位相シフト回路153Dで調整してもよい。
電圧計155Dは、出力端子160Aと160Bの間に接続される。電圧計155Dは、受電器100Dの受電電力を計算するために用いられる。電圧計155Dで測定される電圧Vと、バッテリ220の内部抵抗値Rとに基づいて上述のように受電電力を求めれば、電流を測定して受電電力を測定する場合に比べて損失が少ないため、好ましい測定方法である。しかしながら、受電器100Dの受電電力は、電流と電圧を測定して求めてもよい。電流を測定する場合は、ホール素子、磁気抵抗素子、検出コイル、又は抵抗器等を用いて測定すればよい。
DC−DCコンバータ210は、出力端子160A、160Bに接続されており、受電器100Dから出力される直流電力の電圧をバッテリ220の定格電圧に変換して出力する。DC−DCコンバータ210は、整流回路120の出力電圧の方がバッテリ220の定格電圧よりも高い場合は、整流回路120の出力電圧をバッテリ220の定格電圧まで降圧する。また、DC−DCコンバータ210は、整流回路120の出力電圧の方がバッテリ220の定格電圧よりも低い場合は、整流回路120の出力電圧をバッテリ220の定格電圧まで昇圧する。
バッテリ220は、繰り返し充電が可能な二次電池であればよく、例えば、リチウムイオン電池を用いることができる。例えば、受電器100Dがタブレットコンピュータ又はスマートフォン等の電子機器に内蔵される場合は、バッテリ220は、このような電子機器のメインのバッテリである。
なお、一次側コイル11、一次側共振コイル12、二次側共振コイル110は、例えば、銅線を巻回することによって作製される。しかしながら、一次側コイル11、一次側共振コイル12、二次側共振コイル110の材質は、銅以外の金属(例えば、金、アルミニウム等)であってもよい。また、一次側コイル11、一次側共振コイル12、二次側共振コイル110の材質は異なっていてもよい。
このような構成において、一次側コイル11及び一次側共振コイル12が電力の送電側であり、二次側共振コイル110が電力の受電側である。
磁界共鳴方式によって、一次側共振コイル12と二次側共振コイル110との間で生じる磁界共鳴を利用して送電側から受電側に電力を伝送するため、送電側から受電側に電磁誘導で電力を伝送する電磁誘導方式よりも長距離での電力の伝送が可能である。
磁界共鳴方式は、共振コイル同士の間の距離又は位置ずれについて、電磁誘導方式よりも自由度が高く、ポジションフリーというメリットがある。
次に、図21及び図22を用いて、駆動信号でスイッチ131X及び131Yを駆動したときの電流経路について説明する。
図21は、キャパシタ115及び調整部130Dにおける電流経路を示す図である。図21は、図19と同様に、端子134Xからキャパシタ115又は調整部130Dの内部を通って端子134Yに流れる電流の向きを時計回り(CW(Clockwise))と称す。また、端子134Yからキャパシタ115又は調整部130Dの内部を通って端子134Xに流れる電流の向きを反時計回り(CCW(Counterclockwise))と称す。
まず、スイッチ131Xと131Yがともにオフで電流が時計回り(CW)の場合は、端子134Xからキャパシタ133X及びダイオード132Yを経て端子134Yに向かう方向に共振電流が流れるとともに、キャパシタ115には端子115Xから端子115Yに共振電流が流れる。従って、二次側共振コイル110には時計回りの方向に共振電流が流れる。
スイッチ131Xと131Yがともにオフで電流が反時計回り(CCW)の場合は、端子134Yからキャパシタ133Y及びダイオード132Xを経て端子134Xに向かう方向に共振電流が流れるとともに、キャパシタ115には端子115Yから端子115Xに共振電流が流れる。従って、二次側共振コイル110には反時計回りの方向に共振電流が流れる。
スイッチ131Xがオンでスイッチ131Yがオフで、電流が時計回り(CW)の場合は、調整部130D内では端子134Xからスイッチ131X及びダイオード132Yを経て端子134Yに向かう電流経路が生じる。この電流経路は、キャパシタ115に並列であるため、キャパシタ115には電流が流れなくなる。従って、二次側共振コイル110には共振電流は流れない。なお、この場合には、スイッチ131Yをオンにしても、二次側共振コイル110には共振電流は流れない。
スイッチ131Xがオンでスイッチ131Yがオフで、電流が反時計回り(CCW)の場合は、調整部130D内では端子134Yからキャパシタ133Y及びスイッチ131Xを経て端子134Xに向かう方向に共振電流が流れるとともに、キャパシタ115には端子115Yから端子115Xに共振電流が流れる。従って、二次側共振コイル110には反時計回りの方向に共振電流が流れる。なお、スイッチ131Xと並列なダイオード132Xにも電流が流れる。
スイッチ131Xがオフでスイッチ131Yがオンで、電流が時計回り(CW)の場合は、調整部130D内では端子134Xからキャパシタ133X及びスイッチ131Yを経て端子134Yに向かう方向に共振電流が流れるとともに、キャパシタ115には端子115Xから端子115Yに共振電流が流れる。従って、二次側共振コイル110には時計回りの方向に共振電流が流れる。なお、スイッチ131Yと並列なダイオード132Yにも電流が流れる。
スイッチ131Xがオフでスイッチ131Yがオンで、電流が反時計回り(CCW)の場合は、調整部130D内では端子134Yからスイッチ131Y及びダイオード132Xを経て端子134Xに向かう電流経路が生じる。この電流経路は、キャパシタ115に並列であるため、キャパシタ115には電流が流れなくなる。従って、二次側共振コイル110には共振電流は流れない。なお、この場合には、スイッチ131Xをオンにしても、二次側共振コイル110には共振電流は流れない。
なお、共振電流の共振周波数に寄与する静電容量は、キャパシタ115と、キャパシタ133X又は133Yとによって決まる。このため、キャパシタ133Xと133Yの静電容量は等しいことが望ましい。
図22は、二次側共振コイル110に生じる交流電圧と、駆動信号に含まれる2つのクロックを示す図である。
図22(A)及び(B)に示す交流電圧Vは、送電周波数と同一周波数の波形で、例えば二次側共振コイル110に生じる交流電圧であり、電圧計116(図19参照)によって検出される。また、クロックCLK1、CLK2は、駆動信号に含まれる2つのクロックである。例えば、クロックCLK1は、スイッチ131Xの駆動用に用いられ、クロックCLK2は、スイッチ131Yの駆動用に用いられる。クロックCLK1及びCLK2は、それぞれ、第1信号及び第2信号の一例である。
図22(A)では、クロックCLK1、CLK2は、交流電圧Vに同期している。すなわち、クロックCLK1、CLK2の周波数は、交流電圧Vの周波数に等しく、クロックCLK1の位相は、交流電圧Vの位相に等しい。なお、クロックCLK2は、クロックCLK1とは180度位相が異なり、逆位相である。
図22(A)において、交流電圧Vの周期Tは、周波数fの逆数であり、周波数は6.78MHzである。
図22(A)のように、交流電圧Vに同期したクロックCLK1、CLK2は、スイッチ131X及び131Yをオフにした状態で、受電器100Dが送電器300Dから受電して二次側共振コイル110に共振電流を発生させた状態で、制御部150DがPLL152Dを用いて生成すればよい。
図22(B)では、クロックCLK1、CLK2の位相は、交流電圧Vに対してθ度遅れている。このように交流電圧Vに対して位相差θ度を有するクロックCLK1、CLK2は、制御部150Dが位相シフト回路153Dを用いて生成すればよい。
制御部150Dは、交流電圧Vに対する2つのクロックCLK1、CLK2の位相差を調整して最大の受電効率が得られる位相を検出する。最大の受電効率が得られる位相は、受電器100Dが受電する電力が最大になる位相であり、交流電圧Vに対する2つのクロックCLK1、CLK2の位相差により、1周期の全期間にわたって共振状態になるときに受電電力が最大になる。このため、制御部150Dは、交流電圧Vに対する2つのクロックCLK1、CLK2の位相差を増大及び減少させながら受電電力が最大になる位相差を検出し、検出した位相差を0度として取り扱う。
そして、制御部150Dは、受電電力が最大になる位相差(0度)と、送電器300Dから受信する位相差を表すデータとに基づいて、交流電圧Vに対する2つのクロックの位相差を位相シフト回路153Dで設定する。
次に、図23を用いて、駆動信号の位相差を調整した場合に、受電器100Dが送電器300Dから受電する電力の受電効率について説明する。
図23は、駆動信号の位相差に対する受電効率の特性を示すシミュレーション結果を示す図である。横軸の位相差は、受電電力が最大となる位相差を0度としたときの交流電圧Vに対する2つのクロックの位相差であり、縦軸の受電効率は、交流電源1(図1参照)が送電器300Dに入力する電力(Pin)に対する、受電器100Dが出力する電力(Pout)の比である。受電効率は、送電器300Dと受電器100Dとの間における電力の伝送効率に等しい。
なお、送電器300Dが送電する電力の周波数は6.78MHzであり、駆動信号の周波数もこれと同一に設定した。また、位相差が0度の状態は、共振電流の1周期の全期間にわたって磁界共鳴による共振が二次側共振コイル110に生じており、共振電流が二次側共振コイル110に流れている状態である。位相差が大きくなることは、共振電流の1周期の中で二次側共振コイル110に共振が生じない期間が増えることを意味する。従って、位相差が180度の状態は、理論的には二次側共振コイル110に共振電流が全く流れない状態になる。
図23に示すように、位相差を0度から増大させて行くと、受電効率が低下する。位相差が約60度以上になると、受電効率は約0.1未満である。このように、交流電圧Vに対する2つのクロックの位相差を変化させると、二次側共振コイル110に流れる共振電流の電力量が変化することにより、受電効率が変化する。
図24は、駆動信号の位相差と、2つの受電器A及びBの受電効率との関係を示す図である。
2つの受電器A及びBは、それぞれ、図19に示す受電器100Dと同様である。ここでは、送電器300Dから2つの受電器A及びBに送電を行う際に、受電器Aの制御部310Dが受電器Aの調整部130Dを制御する手法と、受電器Bの制御部310Dが受電器Bの調整部130Dを制御する手法について説明する。
また、ここでは、受電器Bの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差を受電効率が最大となる位相差(0度)に固定した状態において、受電器Aの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差を受電効率が最大となる位相差(0度)から変化させる場合について説明する。
図24において、横軸は、受電器Aの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差θAと、受電器Bの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差θBとを表す。また、左側の縦軸は、受電器A及びBのそれぞれの受電効率と、受電器A及びBの受電効率の合計値とを示す。
受電器Bの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差を0度に固定した状態で、受電器Aの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差を0度から増大又は低下させて行くと、図24に示すように、受電器Aの受電効率の比率は低下する。受電器Aの受電効率は、位相差が0度のときに最大である。また、受電器Aの受電効率の低下に伴い、受電器Aの受電効率の比率は増大する。
このように受電器Aの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差を変化させると、受電器Aの受電量が減少するため、受電器Aに流れる電流も減少する。すなわち、位相差の変化により、受電器Aのインピーダンスが変化していることになる。
磁界共鳴を用いた同時電力伝送では、磁界共鳴によって送電器300Dから受電器A及びBに送電される電力を受電器AとBとで分配している。このため、受電器Aの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差を0度から変化させて行くと、受電器Aの受電量が減る分だけ、受電器Bの受電量が増えることになる。
このため、図24に示すように、受電器Aの受電効率の比率は低下する。また、これに伴い受電器Bの受電効率の比率は増大する。
受電器Aの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差が約±90度まで変化すると、受電器Aの受電効率の比率は、略0(ゼロ)まで低下し、受電器Bの受電効率の比率は、約0.8まで増大する。
そして、受電器A及びBの受電効率の和は、受電器Aの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差が0度のときに約0.85であり、受電器Bの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差が約±90度まで低下すると、受電器A及びBの受電効率の和は、約0.8になる。
このように、受電器Aの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差を0度に固定した状態で、受電器Aの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差を0度から変化させて行くと、受電器Aの受電効率の比率が低下し、受電器Bの受電効率の比率が増大する。そして、受電器A及びBの受電効率の和は、約0.8前後の値で大きく変動しない。
磁界共鳴を用いた電力伝送では、磁界共鳴によって送電器300Dから受電器A及びBに送電される電力を受電器AとBとで分配しているため、位相差が変化しても、受電器A及びBの受電効率の和が大きく変動しない。
同様に、受電器Aの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差を0度に固定した状態で、受電器Bの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差を0度から低下させれば、受電器Bの受電効率の比率が低下し、受電器Aの受電効率の比率が増大することになる。そして、受電器A及びBの受電効率の和は、約0.8前後の値で大きく変動しない。
従って、受電器A又はBの調整部130Dのいずれか一方を駆動する駆動信号の位相差を調整すれば、受電器A及びBの受電効率の比率を調整することができる。
以上のように、受電器A又はBの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差を変化させると、受電器A及びBの二次側共振コイル110A及び110Bの受電効率の比率が変わる。
このため、ここでは、受電器A及びBの調整部130Dの駆動信号のうちのいずれか一方の位相差を基準の位相差から変更する。基準の位相差は、例えば、受電効率が最大となる位相差を基準の位相差(0度)と定義し、この場合には、いずれか他方の位相差を0度から変化させる。
この際に、調整部130Dのどちらの駆動信号の位相差を基準の位相差から変更するかは、次のように判定する。
まず、受電器Aのバッテリ220の定格出力を受電器Aの二次側共振コイル110の受電効率で除算して得る第1の値と、受電器Bのバッテリ220の定格出力を受電器Bの二次側共振コイル110の受電効率で除算して得る第2の値とを求める。
そして、第1の値と第2の値とのうち、いずれか小さい方の受電器(A又はB)に対応する駆動信号の位相差を0度から変化させて適切な位相差に設定する。
定格出力を受電効率で除算して得る値は、送電器300Dが受電器(A又はB)に送電する電力量(必要送電量)を表す。必要送電量とは、受電器(A又はB)が余剰電力も不足電力も生じることなく受電できるように、送電器300Dから送電する電力量である。
従って、必要送電量が小さい方の受電器(A又はB)への電力供給量を絞れば、必要送電量が大きい方の受電器(A又はB)への電力供給量を増やすことができる。この結果、受電器A及びBへの電力供給量のバランスを改善することができる。
図24から分かるように、いずれか一方の受電器(A又はB)の位相差を変化させると、その受電器(A又はB)の受電電力量が低下する。また、いずれか他方の受電器(A又はB)は、位相差が0度に固定された状態で、受電電力量が増大する。
このため、必要送電量が小さい方の受電器(A又はB)に対応する駆動信号の位相差を基準の位相差(0度)から変化させれば、必要送電量が小さい方の受電器(A又はB)への電力供給量が絞られ、必要送電量が大きい方の受電器(A又はB)への電力供給量を増やすことができる。
受電器Aの制御部310Dと、受電器Bの制御部310Dとは、上述のように、受電器Aの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差と、受電器Bの調整部130Dを駆動する駆動信号の位相差とを変化させることにより、受電器A及びBの受電電力量を制御する。
また、次のように変形してもよい。
図25は、実施の形態1の第3変形例の磁界共鳴型の電力伝送システム500Aの概要を示す図である。電力伝送システム500Aは、送電器300Eと受電器100Eを含む。
図25において、送電系コイルSCは、一次側コイル11および一次側共振コイル12を備える。一次側コイル11は、銅線またはアルミニウム線などの金属線が円周状に複数回巻かれたものであり、その両端に交流電源1による交流電圧(高周波電圧)が印加される。
一次側共振コイル12は、銅線またはアルミニウム線などの金属線が円周状に巻かれたコイル12Aと、コイル12Aの両端に接続されたキャパシタ12Bとを含み、それらによる共振回路を形成する。共振周波数f0 は次の(1)式で示される。
Figure 0006566039
なお、Lはコイル12Aのインダクタンス、Cはキャパシタ12Bの静電容量である。
一次側共振コイル12のコイル12Aは、例えばワンターンコイルである。キャパシタ12Bとして、種々の形式のコンデンサが用いられるが、できるだけ損失が少なく十分な耐圧を有するものが好ましい。実施の形態1では、共振周波数を可変するために、キャパシタ12Bとして可変コンデンサが用いられる。可変コンデンサとして、例えばMEMS技術を用いて製作された可変容量デバイスが用いられる。半導体を用いた可変容量デバイス(バラクタ)でもよい。
一次側コイル11と一次側共振コイル12とは、電磁的に互いに密に結合するように配置される。例えば、同一平面上にかつ同心上に配置される。つまり、例えば、一次側共振コイル12の内周側に一次側コイル11が嵌まり込んだ状態で配置される。または、同軸上で適当な距離をあけて配置してもよい。
この状態で、交流電源1から一次側コイル11に交流電圧が供給されたときに、一次側コイル11に生じた交番磁界による電磁誘導によって一次側共振コイル12に共振電流が流れる。つまり、電磁誘導によって、一次側コイル11から一次側共振コイル12に電力が供給される。
受電系コイルJCは、二次側共振コイル21および二次側コイル22を備える。二次側共振コイル21は、銅線またはアルミニウム線などの金属線が円周状に巻かれたコイル221と、コイル221の両端に接続されたコンデンサ222とを含む。二次側共振コイル21の共振周波数f0 は、コイル221のインダクタンスおよびコンデンサ222の静電容量に基づいて上の(1)式で示される。
二次側共振コイル21のコイル221は、例えばワンターンコイルである。コンデンサ222として、上に述べたように種々の形式のコンデンサが用いられる。実施の形態1では、共振周波数を可変するために、コンデンサ222として可変コンデンサが用いられる。可変コンデンサとして、例えばMEMS技術を用いて製作された可変容量デバイスが用いられる。半導体を用いた可変容量デバイス(バラクタ)でもよい。
二次側コイル22は、銅線またはアルミニウム線などの金属線が円周状に複数回巻かれたものであり、その両端に負荷であるバッテリ220が接続される。
二次側共振コイル21と二次側コイル22とは、電磁的に互いに密に結合するように配置される。例えば、同一平面上にかつ同心上に配置される。つまり、例えば、二次側共振コイル21の内周側に二次側コイル22が嵌まり込んだ状態で配置される。または、同軸上で適当な距離をあけて配置してもよい。
この状態で、二次側共振コイル21に共振電流が流れると、それによって発生した交番磁界による電磁誘導によって二次側コイル22に電流が流れる。つまり、電磁誘導によって、二次側共振コイル21から二次側コイル22に電力が送られる。
送電系コイルSCと受電系コイルJCとは、磁界共鳴によって無線で電力を伝送するため、図25に示されるように、コイル面が互いに平行になるように、かつコイル軸心が互いに一致するかまたは余りずれないように、互いに適当な距離の範囲内に配置される。例えば、一次側共振コイル12および二次側共振コイル21の直径が100mm程度の場合に、数百mm程度の距離の範囲内に配置される。
図25に示す電力伝送システム500Aにおいて、コイル軸心KSに沿う方向が磁界KKの主な放射方向であり、送電系コイルSCから受電系コイルJCに向かう方向が送電方向SHである。
ここで、一次側共振コイル12の共振周波数fsと二次側共振コイル21の共振周波数fjとが、ともに交流電源1の周波数fdと一致しているときは、最大の電力が伝送される。しかし、もし、それらの共振周波数fs,fjが互いにズレたり、それらと交流電源1の周波数fdとがズレたりすると、伝送される電力は低下し、効率が低下する。
図26は、電力伝送システムの周波数依存性を示す図である。
すなわち、図26において、横軸は交流電源1の周波数fd〔MHz〕であり、縦軸は伝送される電力の大きさ〔dB〕である。曲線CV1は、一次側共振コイル12の共振周波数fsと二次側共振コイル21の共振周波数fjとが一致している場合を示す。この場合に、図26によると、その共振周波数fs,fjは13.56MHzである。
また、曲線CV2,CV3は、二次側共振コイル21の共振周波数fjが一次側共振コイル12の共振周波数fsに対して、5パーセント、10パーセント、それぞれ高い場合を示す。
図26において、交流電源1の周波数fdが13.56MHzであるときに、曲線CV1では最高の電力が伝送されるが、曲線CV2,CV3では順次低下している。また、交流電源1の周波数fdが13.56MHzからシフトしたとき、上側に僅かにシフトしたときを除いて、曲線CV1〜CV3のいずれにおいても伝送される電力が低下している。
したがって、一次側共振コイル12および二次側共振コイル21の共振周波数fs,fjを、交流電源1の周波数fdに極力一致させる必要がある。
図27は、コイルの共振周波数をスイープする方法を説明する図である。
図27において、横軸は周波数〔MHz〕であり、縦軸はコイルに流れる電流の大きさ〔dB〕である。曲線CV4は、コイルの共振周波数が交流電源1の周波数fdに一致している場合を示す。この場合に、図27によると、その共振周波数は10MHzである。
また、曲線CV5,CV6は、コイルの共振周波数が、交流電源1の周波数fdに対して、高くなった場合または低くなった場合を示す。
図27において、曲線CV4では最大の電流が流れるが、曲線CV5,CV6ではいずれも電流が低下している。なお、コイルのQ値が高い場合には、共振周波数のズレによる電流または伝送電力の低下への影響が大きい。
そこで、実施の形態1の第3変形例の電力伝送システム500Aでは、制御部310Eおよび制御部150Eにより、交流電源1の位相φvs、一次側共振コイル12および二次側共振コイル21に流れる電流の位相φis,φijを用いて、共振周波数制御を行う。
ここで、制御部310Eは、送電系コイルSCに供給される電圧Vsの位相φvsおよび送電系コイルSCに流れる電流Isの位相φisを検出し、それらの位相差Δφsが所定の目標値φmsとなるように、送電系コイルSCの共振周波数fsを可変する。目標値φmsを表すデータは、後述する制御部152Eの内部メモリに格納される。
すなわち、制御部310Eは、電流検出センサSE1、位相検出部141,142、および位相送信部145を有する。
電流検出センサSE1は、一次側共振コイル12に流れる電流Isを検出する。電流検出センサSE1として、ホール素子、磁気抵抗素子、または検出コイルなどを用いることが可能である。電流検出センサSE1は、例えば電流Isの波形に応じた電圧信号を出力する。
位相検出部141は、一次側コイル11に供給される電圧Vsの位相φvsを検出する。位相検出部141は、例えば、電圧Vsの波形に応じた電圧信号を出力する。この場合に、電圧Vsをそのまま出力してもよく、または適当な抵抗によって分圧して出力してもよい。したがって、位相検出部141は、単なる電線により、または1つまたは複数の抵抗器によって構成することも可能である。
位相検出部142は、電流検出センサSE1からの出力に基づいて、一次側共振コイル12に流れる電流Isの位相φisを検出する。位相検出部142は、例えば、電流Isの波形に応じた電圧信号を出力する。この場合には、位相検出部142は、電流検出センサSE1の出力をそのまま出力してもよい。したがって、電流検出センサSE1が位相検出部142を兼ねるようにすることも可能である。
位相送信部145は、一次側コイル11に供給される電圧Vsの位相φvsについての情報を、制御部150Eに対して例えば無線で送信する。位相送信部145は、例えば、電圧Vsの波形に応じた電圧信号を、アナログ信号としてまたはデジタル信号として送信する。その場合に、S/N比を向上させるために、電圧Vsの波形に応じた電圧信号を整数倍に逓倍して送信してもよい。
制御部150Eは、送電系コイルSCに供給される電圧VSの位相φvsおよび受電系コイルJCに流れる電流IJの位相φijを検出し、それらの位相差Δφjが所定の目標値φmjとなるように、受電系コイルJCの共振周波数fjを可変する。
すなわち、制御部150Eは、電流検出センサSE2、位相受信部241、位相検出部242を有する。
電流検出センサSE2は、二次側共振コイル21に流れる電流Ijを検出する。電流検出センサSE2として、ホール素子、磁気抵抗素子、または検出コイルなどを用いることが可能である。電流検出センサSE2は、例えば電流Ijの波形に応じた電圧信号を出力する。
位相受信部241は、位相送信部145から送信された位相φvsについての情報を受信し、その情報を出力する。位相送信部145において電圧信号を逓倍した場合には、位相受信部241において元に戻すために分周を行う。位相受信部241は、例えば、電圧Vsに応じた電圧信号を出力する。
位相検出部242は、電流検出センサSE2からの出力に基づいて、二次側共振コイル21に流れる電流Ijの位相φijを検出する。位相検出部242は、例えば、電流Ijの波形に応じた電圧信号を出力する。この場合には、位相検出部242は、電流検出センサSE2の出力をそのまま出力してもよい。したがって、電流検出センサSE2が位相検出部242を兼ねるようにすることも可能である。
以下において、図28を用いてさらに詳しく説明する。なお、図28において、図25に示した要素と同じ機能を有する要素には、同じ符号を付して説明を省略しまたは簡略化することがある。
図28は、実施の形態1の第3変形例の電力伝送システムの制御部の構成の例を示す図である。
図28において、電力伝送システム(電力伝送装置)500Bは、送電装置80Eおよび受電器100Eを有する。
送電装置80Eは、交流電源1、一次側コイル11および一次側共振コイル12を含む送電系コイルSC、および共振周波数制御部CTsなどを備える。
受電器100Eは、二次側共振コイル21および二次側コイル22を含む受電系コイルJC、および共振周波数制御部CTjなどを備える。
送電側の共振周波数制御部CTsは、位相比較部151E、制御部152E、及びブリッジ型平衡回路160Eを備える。位相比較部151Eは、位相検出部又は第2位相検出部の一例である。制御部152Eは、共振周波数制御部又は第2共振周波数制御部の一例である。ブリッジ型平衡回路160Eは、ブリッジ回路又は第2ブリッジ回路の一例である。
位相比較部151Eは、電流検出センサSE1で検出された電流Isの位相φisと、交流電源1の電圧Vsの位相φvsとを比較し、それらの差である位相差Δφsを出力する。
制御部152Eは、位相差Δφsの目標値φmsを設定して記憶する。したがって、制御部152Eには目標値φmsを記憶するための内部メモリが設けられる。目標値φmsとして、後で述べるように、例えば、「−π」、または「−πに適当な補正値aを加えた値」などが設定される。
なお、目標値φmsの設定は、予め記憶された1つまたは複数のデータの中から選択することにより行ってもよく、またCPUやキーボードなどからの指令によって行われるようにしてもよい。
制御部152Eは、位相比較部151Eの出力する位相差Δφsと、ブリッジ型平衡回路160Eから入力されるゲート信号Gateとに基づき、位相差が目標値φmsになるように、ブリッジ型平衡回路160Eに含まれる4つのスイッチ素子SW1〜SW4を駆動するための駆動信号を生成し、出力する。なお、目標値φmsは、目標となる位相差Δφsに対して正負が逆になるように設定されるので、位相差Δφsと目標値φmsとの絶対値が一致したときに、位相差Δφsと目標値φmsとの和は0となる。
ブリッジ型平衡回路160Eは、制御部152Eから入力される制御信号に基づき、位相比較部151Eの出力する位相差が目標値φmsになるように、コイル12Aの共振周波数をずらす。なお、ブリッジ型平衡回路160Eの回路構成と動作については、図29乃至図32を用いて後述する。
受電側の共振周波数制御部CTjは、目標値設定部243、位相比較部251、制御部252、及びブリッジ型平衡回路260を備える。ブリッジ型平衡回路260は、第1ブリッジ回路の一例である。位相比較部251は、第1位相検出部の一例である。制御部252は、第1共振周波数制御部の一例である。
制御部252は、位相差Δφjの目標値φmjを設定して記憶する。目標値φmjとして、後で述べるように、例えば、制御部310Eにおける目標値φmsに「−π/2」を加算した値が設定される。つまり目標値φmjとして、「−3π/2」が設定される。または、それに適当な補正値bを加えた値などが設定される。なお、目標値φmjの設定方法などについては、目標値φmsの場合と同様である。
受電側の共振周波数制御部CTjの各部の構成および動作は、上に述べた送電側の共振周波数制御部CTsの各部の構成および動作と同様である。
なお、電力伝送システム500A、500Bにおける制御部310E、制御部150E、共振周波数制御部CTs,CTjなどは、ソフトウエアまたはハードウエアにより、またはそれらの組み合わせにより、実現することが可能である。例えば、CPU、ROMおよびRAMなどのメモリ、その他の周辺素子などよりなるコンピュータを用い、適当なコンピュータプログラムをCPUに実行させてもよい。その場合に、適当なハードウエア回路を併用すればよい。
図29は、ブリッジ型平衡回路160Eの回路構成を示す図である。
ブリッジ型平衡回路160Eは、端子161、162、コンパレータ163、スイッチ素子SW1、SW2、SW3、SW4、抵抗器R2、R3、及びコンデンサC3を含む。
スイッチ素子SW1、SW2、SW3、SW4は、Hブリッジ型に接続されており、スイッチSW1とSW2の中点をノードN1、スイッチSW3とSW4の中点をN2とする。また、スイッチSW1とスイッチSW3は、端子161に接続されており、スイッチSW2とSW4は、端子162に接続されている。
ノードN1には抵抗器R2を介して、抵抗器R3とコンデンサC3の一端が接続されている。抵抗器R3とコンデンサC3は互いに並列に接続されている。なお、抵抗器R3とコンデンサC3の他端は接地されている。
スイッチ素子SW1〜SW4は、制御部152Eから入力される制御信号によってオン/オフが制御される。
端子161は、キャパシタ12Bの一端(図29中の右側の端子)に接続されている。キャパシタ12Bの他端(図29中の左側の端子)は、コイル12Aの一端(図29中の上側の端子)接続されている。端子162は、コイル12Aの他端(図29中の下側の端子)に接続されている。
コンパレータ163は、非反転入力端子が端子162と、スイッチSW2及びSW4との間に接続されており、反転入力端子が接地されている。コンパレータ163の非反転入力端子には、コイル12Aに流れるコイル電流ICOILを表す電圧値が入力される。
また、コンパレータ163の出力端子は制御部152Eに接続されており、コンパレータ163は、非反転入力端子に入力される。コンパレータ163は、コイル電流ICOILを表す電圧値と、接地電位との比較結果を表すゲート信号Gateを制御部152Eに入力する。
このようなブリッジ型平衡回路160Eは、制御部152Eからスイッチ素子SW1〜SW4に入力される制御信号SW1〜SW4のディーティ比が50%で、かつ、制御信号SW1及びSW4と制御信号SW2及びSW3との位相差が、180度である場合に、位相比較部151Eの出力が零になるように、制御を行う。
ただし、本実施の形態では、ブリッジ型平衡回路160Eの平衡動作点をずらすことにより、位相比較部151Eの出力が目標値φmsになるように、コイル12Aの共振周波数をずらす。
なお、図29には、ブリッジ型平衡回路160Eの回路構成を示すが、ブリッジ型平衡回路260(図25及び図28参照)の回路構成も同様である。ブリッジ型平衡回路260の場合は、キャパシタ12Bとコイル12Aの代わりに、コンデンサ222と二次側共振コイル22が接続され、制御部252から出力される制御信号SW1〜SW4によって、スイッチ素子SW1〜SW4が駆動される。このため、ここでは、ブリッジ型平衡回路260の回路構成の図面は省略する。
図30乃至図32は、実施の形態1の第3変形例のブリッジ型平衡回路160Eを駆動する制御信号SW1〜SW4の波形を示す図である。
図30には、ゲート信号Gateと制御信号SW1〜SW4を示す。図30に示すゲート信号Gateは、コイル12Aに流れる所定の共振周波数のコイル電流ICOILの正弦波形をHレベル('1')とLレベル('0')に2値化した信号レベルを有する。このため、ゲート信号Gateは、デューティ比が50%の信号でなる。
制御部152Eは、位相シフタ(Phase Shifter)回路を含んでおり、Gate信号の位相を90度遅延させた制御信号SW2及びSW3と、制御信号SW2及びSW3をそれぞれ反転させた制御信号SW1及びSW4とを出力する。
図30に示す制御信号SW1〜SW4は、ゲート信号Gateと同様にディーティ比が50%で、かつ、制御信号SW1及びSW4と制御信号SW2及びSW3との位相差が、180度の場合のものである。これは、位相比較部151Eの出力が零になるように、制御が行われている場合の制御信号SW1〜SW4を表している。
ブリッジ型平衡回路160Eは、制御信号SW1及びSW4に基づいてスイッチ素子SW1及びSW4のオン/オフを同時に制御するとともに、制御信号SW2及びSW3に基づいてスイッチ素子SW2及びSW2のオン/オフをスイッチ素子SW1及びSW4とは逆相で同時に制御することにより、制御信号SW1〜SW4のデューティ比又は位相によって定まる平衡動作点に収束する回路である。
実施の形態1では、制御信号SW1〜SW4のデューティ比が50%である場合は、デューティ比が50%の制御信号SW1〜SW4によって実現される平衡動作点にブリッジ型平衡回路160Eの動作点が収束することにより、位相比較部151Eの出力が零になる。
また、制御信号SW1〜SW4のデューティ比が50%±Δ%(Δ≠0%)である場合は、デューティ比が50%±Δ%の制御信号SW1〜SW4によって実現される平衡動作点にブリッジ型平衡回路160Eの動作点が収束する。デューティ比が50%±Δ%である場合の平衡動作点は、デューティ比が50%である場合の平衡動作点とは異なる。
実施の形態1では、制御信号SW1〜SW4のデューティ比を50%±Δ%に設定するして平衡動作点をずらすことにより、位相比較部151Eの出力が目標値φmsになるように制御を行う。
図31には、ゲート信号Gateに対して、位相差を固定しつつ、デューティ比を変更した制御信号SW1〜SW4の波形を示す。
図31の右側に拡大して示すように、制御部152Eは、制御信号SW1〜SW4のデューティ比を変更する。この結果、ブリッジ型平衡回路160Eのスイッチ素子SW1〜SW4のオン/オフの期間の比率が変わり、コイル12Aの共振周波数をずらすことができる。本実施の形態では、位相比較部151Eの出力が目標値φmsになるように、制御部152Eが制御信号SW1〜SW4のデューティ比を変更する。
また、図32には、ゲート信号Gateに対して、デューティ比を50%に固定しつつ、位相差を変更した制御信号SW1〜SW4の波形を示す。
図32の右側に拡大して示すように、制御部152Eは、制御信号SW1〜SW4の位相を変更する。この結果、ブリッジ型平衡回路160Eのスイッチ素子SW1〜SW4のオン/オフのタイミングが変わり、コイル12Aの共振周波数をずらすことができる。本実施の形態では、位相比較部151Eの出力が目標値φmsになるように、制御部152Eが制御信号SW1〜SW4のデューティ比を変更する。
本実施の形態では、制御部152Eは、ゲート信号Gateに対する制御信号SW1〜SW4のデューティ比又は位相差を変更することにより、上述のように位相比較部151Eの出力が零になる動作点から、位相比較部151Eの出力が目標値φmsになる動作点に移行するように制御を行う。
以上のように、共振条件を変更することにより、共振周波数を変更することができ、複数の受電器がある場合に、電力の配分を調整することができる。
<実施の形態2>
実施の形態2は、実施の形態1の図13のフローの一部を変形したものである。
図33は、実施の形態2の送電器300と受電器100が実行する処理を示すフローチャートである。送電器300と受電器100の構成は、実施の形態1の送電器300と受電器100とそれぞれ同様であるため、ここでは実施の形態1の説明を援用する。
また、図33に示すステップS1からステップS19は、図13に示すステップS1からステップS19と同様である。図33に示すフローチャートは、図13に示すフローチャートに、ステップS20及びS21を追加したものである。このため、実施の形態1と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
図33に示すフローチャートでは、ステップS13で送電器300の制御部310が受電電力の過剰な受電器100と、受電電力が不足している受電器100との両方が存在している(S13:YES)と判定すると、フローをステップS20に進行させる。
送電器300は、受電電力が過剰な受電器100が1つであるかどうかを判定する(ステップS20)。
送電器300は、受電電力が過剰な受電器100が1つである(S20:YES)であると判定すると、フローをステップS14に進行させる。この後は、実施の形態1のフローと同様の処理が行われる。
また、送電器300は、受電電力が過剰な受電器100が1つではない(S20:NO)と判定すると、送電電力を所定電力だけ低下させる(ステップS21)。受電電力が過剰な受電器100が複数ある場合に、送電電力を低下させることにより、すべての受電器100のバランスが改善される場合があるからである。
送電器300は、ステップS21の処理が終了すると、フローをステップS11にリターンする。
従って、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、効率的に受電器を充電できる、電力伝送システム500、及び、送電器300を提供することができる。
また、受電電力の過剰な受電器100と、受電電力が不足している受電器100との両方が存在しており、かつ、受電電力が過剰な受電器100が複数ある場合に、送電電力を低下させることにより、すべての受電器100のバランスを改善することができる。
図34は、実施の形態2の電力伝送システム500及び送電器300による受電器100の受電電力の調整の様子を示す図である。
図34の(A)では、図14の(C)と同様に、受電器100Aの規格化受電電力は下限値より低く、受電器100Bの規格化受電電力は下限値と上限値との間であり、受電器100Cの規格化受電電力は、上限値よりも高い。すなわち、受電器100Aは、受電電力が不足しており、受電器100Bは、受電電力が適正であり、受電器100Cは、受電電力が過剰である。
このような状態では、図33に示すフローのステップS13でYESと判定され、ステップS20でYESと判定され、さらにステップS14でYESと判定されて、ステップS15で受電器100Cのデューティ比が低下される。
図34の(A)に示す状態から受電器100Cのデューティ比が低下された状態を図34の(B)に示す。なお、図34(B)では、送電電力は第3レベルに維持される。
図34の(B)では、図34の(A)と比べて、受電器100Aの規格化受電電力は変化せず、受電器100Bの規格化受電電力は増大し、受電器100Cの規格化受電電力が低下している。
図34の(B)では、受電器100Aの規格化受電電力は下限値よりも小さく、受電器100Bの規格化受電電力は上限値よりも大きく、受電器100Cの規格化受電電力も上限値よりも大きい。
すなわち、受電器100Aは、受電電力が不足しており、受電器100B及び100Cは、受電電力が過剰である。
この場合には、図33に示すフローのステップS13でYESと判定され、ステップS20でNOと判定され、さらにステップS21で送電電力が所定電力だけ低下される。
図34の(B)に示す状態から送電電力が所定電力だけ低下された状態を図34の(C)に示す。なお、図34(C)では、送電電力は第2レベルに低下されている。
図34の(C)では、受電器100Aの規格化受電電力は下限値より低く、受電器100Bの規格化受電電力は、上限値よりも高く、受電器100Cの規格化受電電力は下限値と上限値との間である。すなわち、受電器100Aは、受電電力が不足しており、受電器100Bは、受電電力が過剰であり、受電器100Cは、受電電力が適正である。
このような状態では、図33に示すフローのステップS13でYESと判定され、ステップS20でYESと判定され、さらにステップS14でYESと判定されて、ステップS15で受電器100Bのデューティ比が低下される。
図34の(C)に示す状態から受電器100Bのデューティ比が低下された状態を図34の(D)に示す。なお、図34(D)では、送電電力は第2レベルに維持される。
図34の(D)では、受電器100Cの規格化受電電力は下限値と上限値との間である。すなわち、受電器100A、100B、及び100Cは、受電電力が適正である。
従って、送電器300の送電電力と、受電器100B及び100Cのデューティ比とを調整することにより、受電器100A、100B、及び100Cのすべてを同時に充電できる状態にすることができた。
<実施の形態3>
実施の形態3は、実施の形態1の図13のフローの一部を変形したものである。
図35は、実施の形態3の送電器300と受電器100が実行する処理を示すフローチャートである。送電器300と受電器100の構成は、実施の形態1の送電器300と受電器100とそれぞれ同様であるため、ここでは実施の形態1の説明を援用する。
また、図35に示すステップS2、S3、S4、S11、S12、S14〜S19は、それぞれ、図13に示すステップS2、S3、S4、S11、S12、S14〜S19と同様である。
図35に示すフローチャートは、図13に示すフローチャートに、ステップS1A、S1B、S30、S32、及びS33を追加したものである。このため、実施の形態1と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
また、実施の形態3では、電力データは、第1電力データと第2電力データを有する。第1電力データは、受電電力が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを表すデータに加えて、受電電力を表すデータを含む。第2電力データは、定格出力(定格電力)を表すデータを含む。
また、前提条件として、受電器100のメモリ154には、定格出力(定格電力)を表すデータが格納されている。
送電器300は、送電を開始する前に、各受電器100の定格出力を表すデータを収集する(ステップS30)。より具体的には、送電器300は、受電器100に定格出力を表すデータの送信を要求し、受電器100から定格出力を表すデータを収集する(ステップS30)。定格出力を表すデータは、第2電力データであり、電力データの一部である。
受電器100は、送電器300から定格出力を表すデータの送信が要求されると、メモリ154に格納された定格出力を表すデータを送電器300に送信する(ステップS1A)。
送電器300は、受電器100から定格出力を表すデータを収集し終えると、送電を開始する(送電開始)。
受電器100は、受電したかどうかを判定する(ステップS1B)。ステップS1Bの処理は、受電を検出するまで繰り返し実行される。受電器100は、例えば、二次側共振コイル110の電圧を検出することにより、受電したかどうかを判定すればよい。
受電器100は、受電した(S1B:YES)と判定すると、第1電力データ及び過剰度合データを生成するとともに、バッテリ220の充電率を検出する(ステップS1C)。
送電器300は、受電器100から第1電力データ、過剰度合データ、及び充電率データを収集する(ステップS11)。
受電器100は、ステップS1Cで生成した第1電力データと、検出した充電率を表す充電率データとを送電器300に送信し(ステップS2)、PWM駆動パターンのデューティ比を低下させる調整指令を受信したかどうかを判定する(ステップS3)。
送電器300は、受電器100から受信した充電率データに基づき、各受電器100が満充電であるかどうかを判定し(ステップS12)、ステップS12で満充電ではないと判定すると、フローをステップS32に進行させる。
送電器300は、各受電器100の定格電力及び受電電力の電力差を求め、さらに、複数の受電器100の電力差のうちの最大値と最小値との差分を演算する(ステップS32)。ステップS32の演算は、送電器300の主制御部320が実行する。主制御部320は、電力差演算部の一例である。なお、定格電力(定格出力)は、ステップS30で送電器300が収集しており、受電電力は、ステップS11で収集する第1電力データに含まれている。
次いで、送電器300は、ステップS32で演算した最大値と最小値との差分が所定値以上であるかどうかを判定する(ステップS33)。
送電器300は、ステップS32で演算した最大値と最小値との差分が所定値以上である(S33:YES)と判定すると、フローをステップS14に進行させる。
また、送電器300は、ステップS32で演算した最大値と最小値との差分が所定値以上ではない(S33:NO)と判定すると、フローをステップS16に進行させる。
以降、実施の形態1と同様の処理が行われる。
従って、効率的に受電器を充電できる、電力伝送システム500、及び、送電器300を提供することができる。
また、図35に示す実施の形態3の処理によれば、ステップS11、S12、S32、S33、S14、及びS15を経て、ステップS11にリターンするループ処理を繰り返し実行することにより、ステップS32で演算した最大値と最小値との差分が所定値未満に収まるように、受電器100のデューティ比を低下させる。
そして、ステップS32で演算した最大値と最小値との差分が所定値未満に収まってから、ステップS16で送電器300の出力を調整する。
このため、すべての受電器100で受電しきれないほどの送電電力を送電器300が出力することが抑制され、送電器300から出力する送電電力の損失を低減することができる。
なお、ステップS11において、送電器300が各受電器100の定格電力及び受電電力の電力差を表す電力データを受信し、ステップS32において、ステップS11で受信した複数の電力データが表す複数の電力差のうちの最大値と最小値との差分を演算するようにしてもよい。
図36は、実施の形態3の電力伝送システム500及び送電器300による受電器100の受電電力の調整の様子を示す図である。図36では、実施の形態1及び2と同様に、3つの受電器100A、100B、100Cを用いて説明する。
図36の(A)では、受電器100Aの規格化受電電力が最も低く、受電器100Bの規格化受電電力が中間の値であり、受電器100Cの規格化受電電力が最も高い。
受電器100A及び100Bの規格化受電電力は、ともに下限値より低く、受電器100Cの規格化受電電力は、下限値である。すなわち、受電器100A及び100Bは、受電電力が不足しており、受電器100Cは、受電電力が適正である。
なお、図36(A)に示す状態は、送電器300による送電を開始した直後であり、送電電力は、所定の低い値である。このため、送電電力は第1レベルである。
このような状態では、図35に示すフローのステップS33でYESと判定され、ステップS14でYESと判定され、ステップS15で受電器100Cのデューティ比が低下される。図36の(A)に示す状態から受電器100Cのデューティ比が低下された状態を図36の(B)に示す。なお、図36(D)では、送電電力は第1レベルに維持される。
なお、図36の(B)に示す状態では、受電器100Aの定格電力及び受電電力の電力差と、受電器100Bの定格電力及び受電電力の電力差との差分は、ステップS33の判定で用いられる所定値未満に収まっていることとする。
図36の(B)では、図36の(A)と比べて、受電器100A及び100Bの規格化受電電力が増大し、受電器100Cの規格化受電電力が低下している。
図36の(B)では、受電器100A、100B、及び100Cの規格化受電電力は、すべて下限値よりも小さい。すなわち、受電器100A、100B、及び100Cは、受電電力が不足している。
フローがステップS11にリターンし、ステップS33でNOと判定されると、ステップS16で送電器300の送電電力が第1レベルから所定電力だけさらに増大される。図36の(B)に示す状態から送電電力が増大された状態を図36の(C)に示す。図36の(C)では、送電電力は第2レベルである。
図36の(C)に示す状態では、受電器100Aの規格化受電電力は、下限値より低く、受電器100B及び100Cの規格化受電電力は、下限値と上限値との間にある。すなわち、受電器100Aは、受電電力が不足しており、受電器100B及び100Cは、受電電力が適正である。
このような状態では、図35に示すフローのステップS33でNOと判定され、ステップS16で送電器300の送電電力が第2レベルから所定電力だけさらに増大される。図36の(C)に示す状態から送電電力が増大された状態を図36の(D)に示す。図36の(D)では、送電電力は第3レベルである。
図36の(D)に示す状態では、受電器100A、100B、及び100Cの規格化受電電力は、すべて下限値と上限値との間にある。すなわち、受電器100A、100B、及び100Cは、受電電力が適正である。
従って、送電器300の送電電力と、受電器100Cのデューティ比とを調整することにより、受電器100A、100B、及び100Cのすべてを同時に充電できる状態にすることができた。
以上、本発明の例示的な実施の形態の電力伝送システム、及び、送電器について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
100、100A、100B 受電器
110、110A、110B 二次側共振コイル
120、120A、120B 整流回路
130、130A、130B スイッチ
140、140A、140B 平滑キャパシタ
150、150A、150B 制御部
151 主制御部
152 通信部
153 駆動制御部
154 メモリ
160A、160B 出力端子
170A、170B アンテナ
200A、200B 電子機器
300 送電器
11 一次側コイル
12 一次側共振コイル
13 整合回路
14 キャパシタ
310 制御部
320 主制御部
330 通信部
340 判定部
350 指令出力部
360 メモリ
500 電力伝送システム

Claims (16)

  1. 送電器と、前記送電器から磁界共鳴又は電界共鳴によって電力を同時に受電する複数の受電器とを含む、電力伝送システムであって、
    前記複数の受電器は、それぞれ、
    二次側共振コイルと、
    前記二次側共振コイルで受電する電力量を調整する調整部と、
    前記送電器と通信を行う受電側通信部と
    を含み、
    前記送電器は、
    前記複数の受電器の複数の前記二次側共振コイルに、磁界共鳴又は電界共鳴によって電力を送電する一次側共振コイルと、
    前記複数の受電器と通信可能な送電側通信部と、
    前記複数の受電器の各々から受信する定格電力と受電電力に関する電力データに基づき、受電電力が過剰な受電器と、受電電力が不足している受電器とが存在するかどうかを判定する判定部と、
    前記判定部によって受電電力が過剰な受電器と、受電電力が不足している受電器とが存在すると判定されると、前記受電電力が過剰な受電器に、前記調整部で前記電力量を低下させる指令を前記送電側通信部を介して送信する、指令出力部と
    を含む、電力伝送システム。
  2. 前記電力データは、前記受電器の受電電力が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを表すデータである、請求項1記載の電力伝送システム。
  3. 前記指令出力部は、前記判定部によって受電電力が過剰な受電器と、受電電力が不足している受電器とが存在すると判定され、前記受電電力が過剰な受電器が複数ある場合には、前記複数の受電電力が過剰な受電器に、前記指令を送信する、請求項1又は2記載の電力伝送システム。
  4. 前記指令出力部は、前記判定部によって受電電力が過剰な受電器と、受電電力が不足している受電器とが存在すると判定され、前記受電電力が過剰な受電器が1つである場合に、前記受電電力が過剰な受電器に、前記指令を送信する、請求項1乃至3のいずれか一項記載の電力伝送システム。
  5. 前記指令出力部は、前記判定部によって受電電力が過剰な受電器と、受電電力が不足している受電器とが存在すると判定され、前記受電電力が過剰な受電器が1つではない場合に、前記一次側共振コイルから送電する電力を低下させる、請求項4記載の電力伝送システム。
  6. 送電器と、前記送電器から磁界共鳴又は電界共鳴によって電力を同時に受電する複数の受電器とを含む、電力伝送システムであって、
    前記複数の受電器は、それぞれ、
    二次側共振コイルと、
    前記二次側共振コイルで受電する電力量を調整する調整部と、
    前記送電器と通信を行う受電側通信部と
    を含み、
    前記送電器は、
    前記複数の受電器の複数の前記二次側共振コイルに、磁界共鳴又は電界共鳴によって電力を送電する一次側共振コイルと、
    前記受電器と通信可能な送電側通信部と、
    前記送電側通信部を介して前記複数の受電器の各々から受信する定格電力と受電電力に関する電力データに基づき、前記複数の受電器の各々における前記定格電力と前記受電電力との電力差を求める電力差演算部と、
    前記電力差演算部によって求められる複数の前記電力差のうちの最大値と最小値との差分が所定値以上であるかどうかを判定する判定部と、
    前記判定部によって前記最大値と前記最小値との差分が所定値以上であると判定されると、前記最大値の前記電力差を有する受電器に、前記調整部で前記電力量を低下させる指令を前記送電側通信部を介して送信する、指令出力部と
    を含む、電力伝送システム。
  7. 前記指令出力部は、前記判定部によって前記最大値と前記最小値との差分が所定値未満であると判定されるまで、前記最大値の前記電力差を有する受電器に前記指令を送信する、請求項6記載の電力伝送システム。
  8. 前記指令出力部は、前記指令の送信回数が所定回数を超えた受電器を前記同時に受電する複数の受電器から除外する、請求項1乃至7のいずれか一項記載の電力伝送システム。
  9. 前記所定回数は、定格電力が大きい受電器ほど大きな値に設定される、請求項8記載の電力伝送システム。
  10. 前記指令出力部は、前記複数の受電器のうち、前記定格電力と前記受電電力の差分が最大又は最小のいずれか一方の受電器を前記同時に受電する複数の受電器から除外する、請求項8又は9記載の電力伝送システム。
  11. 前記指令出力部は、定格電力が大きい受電器ほど、前記調整部で前記電力量を低下させる度合の大きい指令を送信する、請求項1乃至10のいずれか一項記載の電力伝送システム。
  12. 前記受電器は、前記調整部で前記電力量を低下させる度合を表す低下度合データを格納する格納部をさらに含み、
    前記低下度合データが表す度合は、定格電力が大きい受電器ほど大きい、請求項1乃至10のいずれか一項記載の電力伝送システム。
  13. 前記受電器は、
    前記二次側共振コイルに接続され、前記二次側共振コイルから出力される交流電力を整流する整流回路と、
    前記整流回路の出力側に接続される平滑回路と、
    前記整流回路と前記平滑回路との間の線路に直列に挿入され、前記線路の接続状態を切り替えるスイッチと
    をさらに有し、
    前記調整部は、前記スイッチをPWM駆動する駆動信号のデューティ比を調整することにより、前記電力量を調整する、請求項1乃至12のいずれか一項記載の電力伝送システム。
  14. 前記受電器は、
    前記二次側共振コイルの共振コイル部に直列に挿入されるキャパシタと、
    前記キャパシタに並列に接続される、第1スイッチ及び第2スイッチの直列回路と、
    前記第1スイッチに並列に接続され、第1整流方向を有する第1整流素子と、
    前記第2スイッチに並列に接続され、前記第1整流方向とは反対の第2整流方向を有する第2整流素子と
    前記二次側共振コイルの受電電力の電圧波形又は電流波形を検出する検出部と、
    をさらに有し、
    前記調整部は、前記検出部が検出した電圧波形または電流波形と、前記第1スイッチのオン/オフを切り替える第1信号及び前記第2スイッチのオン/オフを切り替える第2信号との位相差を調整することにより、前記電力量を調整する、請求項1乃至12のいずれか一項記載の電力伝送システム。
  15. 前記受電器は、前記二次側共振コイルに直列に挿入されるキャパシタをさらに有し、
    前記調整部は、前記キャパシタの静電容量を調整することにより、前記電力量を調整する、請求項1乃至12のいずれか一項記載の電力伝送システム。
  16. 二次側共振コイルと、前記二次側共振コイルで受電する電力量を調整する調整部とを有する複数の受電器に電力を送電する送電器であって、
    前記複数の受電器の複数の前記二次側共振コイルに、磁界共鳴又は電界共鳴によって電力を送電する一次側共振コイルと、
    前記複数の受電器と通信可能な送電側通信部と、
    前記複数の受電器の各々から受信する定格電力と受電電力に関する電力データに基づき、受電電力が過剰な受電器と、受電電力が不足している受電器とが存在するかどうかを判定する判定部と、
    前記判定部によって受電電力が過剰な受電器と、受電電力が不足している受電器とが存在すると判定されると、前記受電電力が過剰な受電器に、前記調整部で前記電力量を低下させる指令を前記送電側通信部を介して送信する、指令出力部と
    を含む、送電器。
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