JP6566003B2 - 転位防止剤 - Google Patents
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Description
ヘキサフルオロプロピレンオキシドの製造時、及び/又は保存時の、そのヘキサフルオロアセトンへの転位を抑制する技術としては、
(1)ベンゼン等の中性芳香族化合物を含有する不活性液体希釈剤中でヘキサフルオロプロピレンオキシドを合成することにより、ヘキサフルオロアセトンの形成を抑制する方法(特許文献1)、
(2)ヘキサフルオロプロピレンオキシドの製造、及び保存の際に、水又は水含有化合物を共存させる添加する方法(特許文献2)、及び
(3)銅を主成分とする金属性容器中にヘキサフルオロプロピレンオキシドを保存する方法(特許文献3)
が知られている。
また、
(4)精留すべき2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンまたは2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンを含む混合物を、有機ニトロ化合物もしくは芳香族化合物またはこれらの混合物の共存下に金属蒸留塔により精留することを特徴とする2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンの精留方法であって、有機ニトロ化合物はニトロエタン、ニトロメタンまたはニトロベンゼンであり、芳香族化合物は、式
従って、本発明は、転位防止剤、特に、ヘキサフルオロプロピレンオキシド等の含フッ素環状エーテル化合物の転位を抑制する転位防止剤等を提供することを、目的とする。
式(1):
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物用の転位防止剤であって、
式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
R2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物
を含有する
転位防止剤
によって、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
式(1):
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物用の転位防止剤であって、
式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
R2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物
を含有する
転位防止剤。
項2.
R1aは、フッ素原子、又はRfである、項1に記載の転位防止剤。
項3.
R1aは、フッ素原子である、項2に記載の転位防止剤。
項4.
R1bは、フッ素原子、塩素原子、又はRfである、項1〜3のいずれか一項に記載の転位防止剤。
項5.
R1bは、フッ素原子である、項4に記載の転位防止剤。
項6.
R1bは、塩素原子である、項4に記載の転位防止剤。
項7.
R1bは、Rfである、項4に記載の転位防止剤。
項8.
R1cは、フッ素原子、又はRfである、項1〜7のいずれか一項に記載の転位防止剤。
項9.
R1cは、フッ素原子である、項8に記載の転位防止剤。
項10.
n1は、0である、項1〜9のいずれか一項に記載の転位防止剤。
項11.
R2a、及びR2b及びのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基であり、及びその他は水素原子であり;並びに
R2c、及びR2dは水素原子である、
項1〜10のいずれか一項に記載の転位防止剤。
項12.
Lは、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルである
項1〜11のいずれか一項に記載の転位防止剤。
項13.
式(1):
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物の転位防止方法であって、
式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
R2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物を、
前記式(1)で表される化合物と共存させることを含む方法。
項14.
式(1):
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物の保存方法であって、
式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
R2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物の存在下で、
前記式(1)で表される化合物を保存することを含む方法。
項15.
式(1):
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物が接触し得る表面に、
式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
R2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物が塗布されている器具。
項16.
(A)容器、及び
(B)式(1):
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物を含有し、
前記式(1)で表される含フッ素環状エーテル化合物は、前記容器に内封されてあり、及び
前記容器は、その表面の全部又は一部に式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
R2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物が適用されている、含フッ素環状エーテル化合物(1)内封容器。
項17.
式(1):
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物、及び
式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
R2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物
を含有し、及び
前記化合物(2)の含有量が、100質量部の含フッ素環状エーテル化合物(1)に対して、5質量ppm〜0.5質量部の範囲内である組成物。
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本発明が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
本明細書中、室温は、10〜40℃の範囲内の温度を意味する。
本明細書中、表記「Cn−Cm」(ここで、n、及びmは、数である。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上、且つm以下であることを表す。
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。
本明細書中、「フルオロアルキル基」が有するフッ素原子の数は、1個以上(例、1〜3個、1〜6個、1〜12個、1個から置換可能な最大数)であることができる。
「パーフルオロアルキル基」は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、直鎖状、又は分枝鎖状のフルオロアルキル基であることができる。
言い換えれば、ハロフルオロアルキル基は1個以上のフッ素原子を有し、且つ塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子からなる群より選択される1個以上のハロゲン原子を有するアルキル基である。
当該「ハロフルオロアルキル基」における「フルオロアルキル基」は前記の説明から理解される。
従って、本明細書中、転位の「防止」は、転位の抑制を意味し得る。
転位防止の対象化合物
転位防止の対象化合物は、室温等の穏やかな条件での保存でも転位が生じる化合物に対しても、有効に使用できる。
本発明の転位防止剤は、式(1):
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物[本明細書中、含フッ素環状エーテル化合物(1)と称する場合がある。]用の転位防止剤である。
当該環状エーテル化合物は、nrが1のとき、オキセタン化合物である。
本発明の別の一態様においては、R1aは、好ましくは水素原子である。
当該態様において、R1bは、好ましくはフッ素原子である。
当該態様において、R1bは、また好ましくは塩素原子である。
当該態様において、R1bは、また好ましくはRfであり、より好ましくはトリフルオロメチル基である。
本発明の別の一態様においては、R1bは、好ましくは水素原子である。
に転位し得る。
本発明は、当該転位を抑制することを目的とする。
前記式(1)で表される化合物の転位の具体例としては、ヘキサフルオロプロピレンオキシドのヘキサフルオロアセトンへの転位が挙げられる。
当該転位は、例えば、ヘキサフルオロプロピレンを酸化してヘキサフルオロプロピレンオキシドを得る反応における副反応として、起こり得る。
本発明の転位防止剤は、式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
R2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物[本明細書中、複数芳香環化合物(2)と称する場合がある。]
を含有する。
Lは、特に好ましくは、エタン−1,1−ジイルである。
R2a、及びR2b及びのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基(より好ましくは、メチル、又はエチル、及び更に好ましくはメチル)であり、及びその他は水素原子であり;並びに
R2c、及びR2dは、水素原子である。
R2a、及びR2bは、同一又は異なってC1−C4アルキル基(より好ましくは、メチル、又はエチル、及び更に好ましくはメチル)であり、
R2c、及びR2dは、水素原子であり、及び
Lは、好ましくは、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイル(より好ましくはエタン−1,1−ジイル)である。
当該粘度の上限は、好ましくは50mPa・s、及びより好ましくは10mPa・sであることができる。
本発明転位防止剤は、有効成分として、フェニルキシリルエタンと、他の複数芳香環化合物(2)の1種以上との組合せを含有できる。
本明細書中、1−フェニル−1−キシリルエタンは、
1,2−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン
1,4−ジメチル−2−(1−フェニルエチル)ベンゼン、及び
1,3−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン
からなる群から選択される1種以上
であることができる。
他の複数芳香環化合物(2)の好適な例は、1−(エチルフェニル)−1−フェニルエタンを包含する。
本明細書中、1−(エチルフェニル)−1−フェニルエタンは、
1−エチル−2−(1−フェニルエチル)ベンゼン、
1−エチル−3−(1−フェニルエチル)ベンゼン、及び
1−エチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン
からなる群から選択される1種以上
であることができる。
本発明の転位防止剤は、フェニルキシリルエタン、及び1−(エチルフェニル)−1−フェニルエタンを合計で、好ましくは90質量%以上、及びより好ましくは95質量%以上含有する。
本発明転位防止剤は、有効成分として、フェニルキシリルエタンのみを含有できる。
当該材料の例は、媒体(例:溶媒)を包含する。
当該溶媒の具体例は、当該有機溶媒の例は、
ニトリル溶媒[例:アセトニトリル、プロピオニトリル]、
グライム溶媒[例:モノグライム(1,2−ジメトキシエタン)、ジグライム、トリグライム、テトラグライム]、
アミド溶媒[例:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)]、
スルホキシド溶媒[例:ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン]、
エーテル溶媒[例:ジオキサン、及びTHF、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチルエーテル]、
エステル溶媒[例:酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル]
塩素系溶媒[例:クロロホルム、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン]、
臭素系溶媒[例:1−ブロモプロパン、2−ブロモプロパン]、
HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)[例:1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(R−141b)、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(R−123)、1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロエタン(R−123a)、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(R−225ca)、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(R−225cb)]、
HFC(バイドロフルオロカーボン)[例:1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC−43−10mee)、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(HFC−C−447ef)]を包含する
当該材料の量は、その使用目的に応じて、技術常識に基づき、適宜決定すればよい。
好ましくは5質量ppm以上、及び
より好ましくは50質量ppm以上
の量で用いられる。
好ましくは50000質量ppm以下、
より好ましくは5000質量ppm以下、及び
更に好ましくは、1000質量ppm未満
の量で用いられる。
好ましくは5質量ppm〜50000質量ppm、
より好ましくは50質量ppm〜5000質量ppm、及び更に好ましくは50質量ppm以上且つ1000質量ppm未満
の範囲内の量で用いられる。
含フッ素環状エーテル化合物(1)に溶解していない本発明の転位防止剤は、主に含フッ素環状エーテル化合物(1)を含有する層と分離して、好適に別の層(好ましくは上層)を形成できる。
含フッ素環状エーテル化合物(1)と混合すること、又は
含フッ素環状エーテル化合物(1)が接触し得る(又は、接触する)器具の表面に適用すること
によって使用できる。
当該溶媒の例は、前記で本発明の転位防止剤について例示した溶媒を包含できる。
[1]容器(例えば、含フッ素環状エーテル化合物(1)を保管するための容器、又は含フッ素環状エーテル化合物(1)を製造するための反応器);
[2]管(例えば、含フッ素環状エーテル化合物(1)を送るための管:及び
[3]その他、含フッ素環状エーテル化合物(1)が、その表面に接触し得る(又は、接触する)保管する種々の器具
を包含する。
(1)ボンベ内に本発明の転位防止剤を所定の量投入し、及び当該ボンベを回転させ、及び必要に応じ残余分を排出することで、当該ボンベ内の内壁に、本発明の転位防止剤を適用できる。
具体的には、また、例えば、
(2)容器内に、本発明の転位防止剤を、窒素など不活性ガスに同伴させてパージさせる方法、及び
(3)容器内を転位防止剤で満たした後、これを抜液する方法
等が例示される。
この場合、
本発明の転位防止剤は、含フッ素環状エーテル化合物(1)に対して、
好ましくは0.5質量部以下、及び
より好ましくは0.05質量部以下、
の量で用いられてもよい。
好ましくは0.001mg以上、
より好ましくは0.01mg以上、及び更に好ましくは0.02mg以上、
となるように用いられる。
好ましくは100mg以下、及び
より好ましくは10mg以下、
となるように用いられる。
好ましくは、
0.001〜10mgの範囲内、
0.001〜0.02mgの範囲内、
0.01〜10mgの範囲内、又は
0.01〜0.02mgの範囲内
となるように用いられる。
当該鉄含有金属は、例えば、鉄含有合金であることができ、その例は、マルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト二相ステンレス鋼、及び析出硬化ステンレス鋼等のステンレス鋼を包含する。
当該ステンレス鋼の好適な具体例は、好ましくは、SUS304、304L、316、及び316Lを包含する。
その時間の例は、転位防止剤を使用しない場合の保存の最適期間(例:30日間、60日間、及び25℃)に対して、30日以上、60日以上、又は90日以上長い期間が挙げられる。
ここで、最適温度及び/又は最適時間は、転位する含フッ素環状エーテル化合物(1)の割合が、好ましくは0.5mol%以下、及びより好ましくは0.3mol%以下である、温度及び/又は時間であることができる。
当該水の量の下限は、例えば、0.01体積ppm、0.1体積ppm、1体積ppm、10体積ppm、20体積ppm、30体積ppm、0.1体積%、0.5体積%、1体積%、2体積%、又は3体積%であることができる。
本発明はまた、含フッ素環状エーテル化合物(1)の転位防止方法も提供する。
本発明の、含フッ素環状エーテル化合物(1)の転位防止方法は、前記複数芳香環化合物(2)を前記含フッ素環状エーテル化合物(1)と共存させることを含む。
本発明の含フッ素環状エーテル化合物(1)の転位防止方法は、他の含フッ素環状エーテル化合物(1)の転位防止方法との組み合わせにおいて実施してもよい。
本発明の、含フッ素環状エーテル化合物(1)の保存方法は、前記複数芳香環化合物(2)を前記含フッ素環状エーテル化合物(1)と共存させることを含む。
本発明の器具は、含フッ素環状エーテル化合物(1)が接触し得る(又は、接触する)表面に、前記複数芳香環化合物(2)が塗布されている。
本発明は、また、
(A)容器、及び
(B)式(1):
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物を含有し、
前記式(1)で表される含フッ素環状エーテル化合物は、前記容器に内封されてあり、及び
前記容器は、その表面の全部又は一部に前記複数芳香環化合物(2)が適用されている、含フッ素環状エーテル化合物(1)内封容器
を提供する。
式(1):
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
R1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物、及び
式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
R2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物
を含有し、及び
前記複数芳香環化合物(2)の含有量が、100質量部の含フッ素環状エーテル化合物(1)に対して、5質量ppm〜0.5質量部の範囲内である組成物
を提供する。
である。
言い換えれば、当該組成物において、含フッ素環状エーテル化合物(1)及び前記複数芳香環化合物は完全に分離されていてもよく、一部が分離されていてもよく、又は分離されていなくてよい。
HFPO:ヘキサフルオロプロピレンオキシド
HFA:ヘキサフルオロアセトン
(1)転位防止剤を含まないHFPO 72g;
(2)転位防止剤としてトルエン 100質量ppmを含有するHFPO 71g;又は
(3)転位防止剤としてフェニルキシリルエタン100質量ppmを含有するHFPO 72g
を、それぞれ充填し、次いで69〜71℃の範囲内の温度で50日間加熱処理を行った。
加熱開始時(0日)、並びに加熱開始より18日経過時、及び50日経過時に、それぞれヘキサフルオロアセトン(HFA)濃度を測定した。当該測定には19F−NMRを用いた。その分析結果を次表に示した。
Claims (8)
- ヘキサフルオロプロピレンエポキシド用の転位防止剤であって、
式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及びR2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物
を含有する
転位防止剤。 - R2a、及びR2b及びのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基であり、及びその他は水素原子であり;並びに
R2c、及びR2dは水素原子である、
請求項1に記載の転位防止剤。 - Lは、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルである
請求項1又は2に記載の転位防止剤。 - ヘキサフルオロプロピレンエポキシドの転位防止方法であって、
式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及びR2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物を、
ヘキサフルオロプロピレンエポキシドと共存させることを含む方法。 - ヘキサフルオロプロピレンエポキシドの保存方法であって、
式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及びR2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物の存在下で、
ヘキサフルオロプロピレンエポキシドを保存することを含む方法。 - ヘキサフルオロプロピレンエポキシドが接触し得る表面に、
式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及びR2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物が塗布されている器具。 - (A)容器、及び
(B)ヘキサフルオロプロピレンエポキシドを含有し、
ヘキサフルオロプロピレンエポキシドは、前記容器に内封されてあり、及び
前記容器は、その表面の全部又は一部に式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及びR2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物が適用されている、ヘキサフルオロプロピレンエポキシド内封容器。 - ヘキサフルオロプロピレンエポキシド、及び
式(2):
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及びR2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC1−C4アルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C1−C4アルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物
を含有し、及び
前記化合物(2)の含有量が、100質量部のヘキサフルオロプロピレンエポキシドに対して、5質量ppm〜0.5質量部の範囲内である組成物。
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