JP6566003B2 - 転位防止剤 - Google Patents

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Description

本発明は、転位防止剤、特に含フッ素環状エーテル化合物用の転位防止剤に関する。
ヘキサフルオロプロピレンオキシドは、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に代表される各種含フッ素化合物等の合成原料として重要な化合物である。また、そのオリゴマーは潤滑油、及び熱媒体等として広く用いられている。
ヘキサフルオロプロピレンオキシドは、ヘキサフルオロプロペンを酸化して製造する際あるいはそれを保存する際に、ヘキサフルオロアセトンに転位することが知られており、その収量損失等が無視できない問題となっている。
ヘキサフルオロプロピレンオキシドの製造時、及び/又は保存時の、そのヘキサフルオロアセトンへの転位を抑制する技術としては、
(1)ベンゼン等の中性芳香族化合物を含有する不活性液体希釈剤中でヘキサフルオロプロピレンオキシドを合成することにより、ヘキサフルオロアセトンの形成を抑制する方法(特許文献1)、
(2)ヘキサフルオロプロピレンオキシドの製造、及び保存の際に、水又は水含有化合物を共存させる添加する方法(特許文献2)、及び
(3)銅を主成分とする金属性容器中にヘキサフルオロプロピレンオキシドを保存する方法(特許文献3)
が知られている。
また、
(4)精留すべき2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンまたは2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンを含む混合物を、有機ニトロ化合物もしくは芳香族化合物またはこれらの混合物の共存下に金属蒸留塔により精留することを特徴とする2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンの精留方法であって、有ニトロ化合物はニトロエタン、ニトロメタンまたはニトロベンゼンであり、芳香族化合物は、式
で示される化合物である精留方法が知られている(特許文献4)。
米国特許第3600409号明細書 特許第3306957号公報 特許第4529448号公報 特公平5−65511号公報
しかし、なお、ヘキサフルオロプロピレンオキシドのヘキサフルオロアセトンへの転位に代表される、含フッ素環状エーテル化合物の転位を抑制する技術の提供が求められている。
従って、本発明は、転位防止剤、特に、ヘキサフルオロプロピレンオキシド等の含フッ素環状エーテル化合物の転位を抑制する転位防止剤等を提供することを、目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、
式(1):
[式中、
1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物用の転位防止剤であって、
式(2):
[式中、
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物
を含有する
転位防止剤
によって、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、次の態様を含む。
項1.
式(1):
[式中、
1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物用の転位防止剤であって、
式(2):
[式中、
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物
を含有する
転位防止剤。
項2.
1aは、フッ素原子、又はRfである、項1に記載の転位防止剤。
項3.
1aは、フッ素原子である、項2に記載の転位防止剤。
項4.
1bは、フッ素原子、塩素原子、又はRfである、項1〜3のいずれか一項に記載の転位防止剤。
項5.
1bは、フッ素原子である、項4に記載の転位防止剤。
項6.
1bは、塩素原子である、項4に記載の転位防止剤。
項7.
1bは、Rfである、項4に記載の転位防止剤。
項8.
1cは、フッ素原子、又はRfである、項1〜7のいずれか一項に記載の転位防止剤。
項9.
1cは、フッ素原子である、項8に記載の転位防止剤。
項10.
n1は、0である、項1〜9のいずれか一項に記載の転位防止剤。
項11.
2a、及びR2b及びのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基であり、及びその他は水素原子であり;並びに
2c、及びR2dは水素原子である、
項1〜10のいずれか一項に記載の転位防止剤。
項12.
Lは、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルである
項1〜11のいずれか一項に記載の転位防止剤。
項13.
式(1):
[式中、
1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物の転位防止方法であって、
式(2):
[式中、
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物を、
前記式(1)で表される化合物と共存させることを含む方法。
項14.
式(1):
[式中、
1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物の保存方法であって、
式(2):
[式中、
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物の存在下で、
前記式(1)で表される化合物を保存することを含む方法。
項15.
式(1):
[式中、
1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物が接触し得る表面に、
式(2):
[式中、
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物が塗布されている器具。
項16.
(A)容器、及び
(B)式(1):
[式中、
1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物を含有し、
前記式(1)で表される含フッ素環状エーテル化合物は、前記容器に内封されてあり、及び
前記容器は、その表面の全部又は一部に式(2):
[式中、
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物が適用されている、含フッ素環状エーテル化合物(1)内封容器。
項17.
式(1):
[式中、
1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物、及び
式(2):
[式中、
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物
を含有し、及び
前記化合物(2)の含有量が、100質量部の含フッ素環状エーテル化合物(1)に対して、5質量ppm〜0.5質量部の範囲内である組成物。
本発明によれば、転位防止剤、特に、ヘキサフルオロプロピレンオキシド等の含フッ素環状エーテル化合物の転位を抑制する転位防止剤等が提供される。
用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本発明が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
本明細書中、室温は、10〜40℃の範囲内の温度を意味する。
本明細書中、表記「Cn−Cm」(ここで、n、及びmは、数である。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上、且つm以下であることを表す。
本明細書中、特に限定の無い限り、「ハロ(又はハロゲン原子)」の例は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を包含できる。
本明細書中、「(ハロ)フルオロアルキル基」は、「フルオロアルキル基」又は「ハロフルオロアルキル基」を意味する。
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。
本明細書中、「フルオロアルキル基」が有するフッ素原子の数は、1個以上(例、1〜3個、1〜6個、1〜12個、1個から置換可能な最大数)であることができる。
「フルオロアルキル基」は、パーフルオロアルキル基を包含する。
「パーフルオロアルキル基」は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜12、炭素数1〜6、炭素数1〜4、炭素数1〜3、炭素数6、炭素数5、炭素数4、炭素数3、炭素数2、又は炭素数1のフルオロアルキル基であることができる。
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、直鎖状、又は分枝鎖状のフルオロアルキル基であることができる。
本明細書中、「フルオロアルキル基」として、具体的には、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、テトラフルオロプロピル基(例、HCFCFCH−)、ヘキサフルオロプロピル基(例、(CFCH−)、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロペンチル基(例、HCFCFCFCFCH−)、及びトリデカフルオロヘキシル基等が挙げられる。
本明細書中、ハロフルオロアルキル基は、1個以上の水素原子を有するフルオロアルキル基の少なくとも1個の水素原子が塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子で置換されたフルオロアルキル基である。
言い換えれば、ハロフルオロアルキル基は1個以上のフッ素原子を有し、且つ塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子からなる群より選択される1個以上のハロゲン原子を有するアルキル基である。
当該「ハロフルオロアルキル基」における「フルオロアルキル基」は前記の説明から理解される。
本明細書中、転位の「防止」は、転位の完全、又は部分的な防止を意味し得る。
従って、本明細書中、転位の「防止」は、転位の抑制を意味し得る。
含フッ素環状エーテル化合物(1)用の転位防止剤
転位防止の対象化合物
転位防止の対象化合物は、室温等の穏やかな条件での保存でも転位が生じる化合物に対しても、有効に使用できる。
本発明の転位防止剤は、式(1):
[式中、
1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物[本明細書中、含フッ素環状エーテル化合物(1)と称する場合がある。]用の転位防止剤である。
当該環状エーテル化合物は、nrが0のとき、オキシラン化合物である。
当該環状エーテル化合物は、nrが1のとき、オキセタン化合物である。
本発明の一態様においては、R1aは、好ましくはフッ素原子、又はRf(なかでも、好ましくはパーフルオロアルキル基、より好ましくはC−Cパーフルオロアルキル基、及び更に好ましくはトリフルオロメチル基)であり、及びより好ましくはフッ素原子である。
本発明の別の一態様においては、R1aは、好ましくは水素原子である。
本発明の一態様においては、R1bは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、又はRf(なかでも好ましくは、トリフルオロメチル基)である。
当該態様において、R1bは、好ましくはフッ素原子である。
当該態様において、R1bは、また好ましくは塩素原子である。
当該態様において、R1bは、また好ましくはRfであり、より好ましくはトリフルオロメチル基である。
本発明の別の一態様においては、R1bは、好ましくは水素原子である。
1cは、好ましくは水素原子、フッ素原子、又はRf(なかでも好ましくは、トリフルオロメチル基)であり、及びより好ましくはフッ素原子である。
前記含フッ素環状エーテル化合物(1)の好適な具体例は、ヘキサフルオロプロピレンオキシドを包含する。
本発明の実施において、含フッ素環状エーテル化合物(1)は、純品である必要はなく、その溶媒、及びその原料化合物(例:ヘキサフルオロプロピレン)等の他の物質と共存していてもよい。
前記含フッ素環状エーテル化合物(1)は、式(1a):
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
に転位し得る。
本発明は、当該転位を抑制することを目的とする。
前記式(1)で表される化合物の転位の具体例としては、ヘキサフルオロプロピレンオキシドのヘキサフルオロアセトンへの転位が挙げられる。
当該転位は、例えば、ヘキサフルオロプロピレンを酸化してヘキサフルオロプロピレンオキシドを得る反応における副反応として、起こり得る。
本発明の転位防止剤の効果については、後述する。
転位防止剤の有効成分
本発明の転位防止剤は、式(2):
[式中、
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物[本明細書中、複数芳香環化合物(2)と称する場合がある。]
を含有する。
Lは、好ましくは、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルである。
Lは、特に好ましくは、エタン−1,1−ジイルである。
2a、R2b、R2c、及びR2dでそれぞれ表される「C−Cアルキル基」は、同一又は異なって、直鎖状又は分枝鎖状のC−Cアルキル基であることができ、及びその例はメチル、エチル、プロピル(例:n−プロピル、イソプロピル)、及びブチル(例:n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)を包含し、及びより好適な例はメチル、及びエチルを包含する。
本発明の好適な一態様においては、
2a、及びR2b及びのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基(より好ましくは、メチル、又はエチル、及び更に好ましくはメチル)であり、及びその他は水素原子であり;並びに
2c、及びR2dは、水素原子である。
本発明の好適な一態様においては、
2a、及びR2bは、同一又は異なってC−Cアルキル基(より好ましくは、メチル、又はエチル、及び更に好ましくはメチル)であり、
2c、及びR2dは、水素原子であり、及び
Lは、好ましくは、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイル(より好ましくはエタン−1,1−ジイル)である。
本発明で用いられる複数芳香環化合物(2)は、−10℃以下(より好ましくは0℃以下)の融点又は流動点を有するものが好ましい。
本発明で用いられる複数芳香環化合物(2)は、120℃以上(より好ましくは250℃以上)の沸点を有するものが好ましい。
本発明で用いられる複数芳香環化合物(2)は、−10℃〜250℃(より好ましくは、0℃〜120℃)の範囲内の温度において、液体の形態であることが好ましい。
本発明で用いられる複数芳香環化合物(2)は、40℃において(好ましくは35〜45℃の範囲において)において、好ましくは2.5mPa・s以上、より好ましくは、3.5mPa・s以上、及び更に好ましくは、4mPa・s以上の粘度を有することがましい。
当該粘度の上限は、好ましくは50mPa・s、及びより好ましくは10mPa・sであることができる。
本発明においては、複数芳香環化合物(2)を1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の特に好適な一態様において、
本発明転位防止剤は、有効成分として、フェニルキシリルエタンと、他の複数芳香環化合物(2)の1種以上との組合せを含有できる。
本発明に用いられるフェニルキシリルエタンは、好適に1−フェニル−1−キシリルエタンであることができる。
本明細書中、1−フェニル−1−キシリルエタンは、
1,2−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン
1,4−ジメチル−2−(1−フェニルエチル)ベンゼン、及び
1,3−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン
からなる群から選択される1種以上
であることができる。
他の複数芳香環化合物(2)の好適な例は、1−(エチルフェニル)−1−フェニルエタンを包含する。
本明細書中、1−(エチルフェニル)−1−フェニルエタンは、
1−エチル−2−(1−フェニルエチル)ベンゼン、
1−エチル−3−(1−フェニルエチル)ベンゼン、及び
1−エチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン
からなる群から選択される1種以上
であることができる。
本発明の転位防止剤は、フェニルキシリルエタン、及び1−(エチルフェニル)−1−フェニルエタンを合計で、好ましくは90質量%以上、及びより好ましくは95質量%以上含有する。
本発明の特に好適な別の一態様において、
本発明転位防止剤は、有効成分として、フェニルキシリルエタンのみを含有できる。
本発明の転位防止剤は、本発明の効果を著しく害さない限りにおいて複数芳香環化合物(2)以外の材料を含有してもよい。
当該材料の例は、媒体(例:溶媒)を包含する。
当該溶媒の具体例は、当該有機溶媒の例は、
ニトリル溶媒[例:アセトニトリル、プロピオニトリル]、
グライム溶媒[例:モノグライム(1,2−ジメトキシエタン)、ジグライム、トリグライム、テトラグライム]、
アミド溶媒[例:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)]、
スルホキシド溶媒[例:ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン]、
エーテル溶媒[例:ジオキサン、及びTHF、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチルエーテル]、
エステル溶媒[例:酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル]
塩素系溶媒[例:クロロホルム、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン]、
臭素系溶媒[例:1−ブロモプロパン、2−ブロモプロパン]、
HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)[例:1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(R−141b)、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(R−123)、1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロエタン(R−123a)、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(R−225ca)、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(R−225cb)]、
HFC(バイドロフルオロカーボン)[例:1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC−43−10mee)、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(HFC−C−447ef)]を包含する
当該材料の量は、その使用目的に応じて、技術常識に基づき、適宜決定すればよい。
本発明で用いられる転位防止剤は、−10℃〜250℃(好ましくは0℃〜120℃)の全範囲内の温度において、その全体が液体の形態であることが好ましい。
本発明で用いられる転位防止剤は、40℃において(好ましくは35℃〜45℃の全範囲において)、2.5mPa・s以上(より好ましくは、3.5mPa・s以上、さらに好ましくは、4.5mPa・s以上)の粘度を有するものが好ましい。
本発明で用いられる転位防止剤粘度は、40℃において(好ましくは35℃〜45℃の全範囲において)、好ましくは50mPa・s以下、及びより好ましくは10mPa・s以下である。
本発明の転位防止剤は、含フッ素環状エーテル化合物(1)に対して、
好ましくは5質量ppm以上、及び
より好ましくは50質量ppm以上
の量で用いられる。
本発明の転位防止剤は、含フッ素環状エーテル化合物(1)に対して、
好ましくは50000質量ppm以下、
より好ましくは5000質量ppm以下、及び
更に好ましくは、1000質量ppm未満
の量で用いられる。
本発明の転位防止剤は、含フッ素環状エーテル化合物(1)に対して、
好ましくは5質量ppm〜50000質量ppm、
より好ましくは50質量ppm〜5000質量ppm、及び更に好ましくは50質量ppm以上且つ1000質量ppm未満
の範囲内の量で用いられる。
本発明の転位防止剤は、含フッ素環状エーテル化合物(1)に溶解できる量を超えて使用されることが好ましい。
含フッ素環状エーテル化合物(1)に溶解していない本発明の転位防止剤は、主に含フッ素環状エーテル化合物(1)を含有する層と分離して、好適に別の層(好ましくは上層)を形成できる。
本発明の転位防止剤は、例えば、
含フッ素環状エーテル化合物(1)と混合すること、又は
含フッ素環状エーテル化合物(1)が接触し得る(又は、接触する)器具の表面に適用すること
によって使用できる。
含フッ素環状エーテル化合物(1)の状態は、本発明の転位防止剤と混合、又は接触可能であれば、特に限定されず、含フッ素環状エーテル化合物(1)及びこれと混和可能な溶媒を含有する組成物の形態であってもよい。
当該溶媒の例は、前記で本発明の転位防止剤について例示した溶媒を包含できる。
当該器具は、例えば、
[1]容器(例えば、含フッ素環状エーテル化合物(1)を保管するための容器、又は含フッ素環状エーテル化合物(1)を製造するための反応器);
[2]管(例えば、含フッ素環状エーテル化合物(1)を送るための管:及び
[3]その他、含フッ素環状エーテル化合物(1)が、その表面に接触し得る(又は、接触する)保管する種々の器具
を包含する。
当該器具の好適な例は、容器(例:ボンベ)、及び反応器を包含する。
前記含フッ素環状エーテル化合物(1)が接触し得る(又は、接触する)器具の表面の好適な例は、容器(例:ボンベ)の内面、及び、及び反応器の内面を包含する。
当該適用は、適用のムラがないように、すなわち、含フッ素環状エーテル化合物(1)の適用量が無い部分、又は少量過ぎる部分が無いように実施されることが好ましい。
当該適用は、本発明の転位防止剤の形態に応じて、適当な手段(例:、注入且つ排出の組合せ、及び塗布)を採用して実施すればよい。
具体的には、例えば、
(1)ボンベ内に本発明の転位防止剤を所定の量投入し、及び当該ボンベを回転させ、及び必要に応じ残余分を排出することで、当該ボンベ内の内壁に、本発明の転位防止剤を適用できる。
具体的には、また、例えば、
(2)容器内に、本発明の転位防止剤を、窒素など不活性ガスに同伴させてパージさせる方法、及び
(3)容器内を転位防止剤で満たした後、これを抜液する方法
等が例示される。
本発明の転位防止剤を適用したボンベは、複数回(例:2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、又はそれ以上)繰り返し使用可能である。
当該使用の態様の例は、ボンベ内への含フッ素環状エーテル化合物(1)の投入、保管、及び排出の組合せを含む。
本発明の転位防止剤を、前記器具(好ましくは、容器)の表面に適用する場合、本発明の転位防止剤の使用量を軽減し得る。
この場合、
本発明の転位防止剤は、含フッ素環状エーテル化合物(1)に対して、
好ましくは0.5質量部以下、及び
より好ましくは0.05質量部以下、
の量で用いられてもよい。
本発明の転位防止剤を、前記器具(好ましくは、容器)の表面に適用する場合、本発明の転位防止剤は、前記器具(好ましくは、容器)の表面の1mm当たり、複数芳香環化合物(2)の量が、
好ましくは0.001mg以上、
より好ましくは0.01mg以上、及び更に好ましくは0.02mg以上、
となるように用いられる。
本発明の転位防止剤を、前記器具(好ましくは、容器)の表面に適用する場合、本発明の転位防止剤は、前記器具(好ましくは、容器)の表面の1mm当たり、複数芳香環化合物(2)の量が、
好ましくは100mg以下、及び
より好ましくは10mg以下、
となるように用いられる。
本発明の転位防止剤を、前記器具(好ましくは、容器)の表面に適用する場合、本発明の転位防止剤は、前記器具(好ましくは、容器)の表面の1mm当たり、複数芳香環化合物(2)の量が、
好ましくは、
0.001〜10mgの範囲内、
0.001〜0.02mgの範囲内、
0.01〜10mgの範囲内、又は
0.01〜0.02mgの範囲内
となるように用いられる。
本発明の転位防止剤を表面に適用する対象となる好適な前記器具(好ましくは、容器、又は反応器)は、その全部、又は一部{特に、少なくとも含フッ素環状エーテル化合物(1)が通常接触し得る表面[例:容器(例:ボンベ)の内面、及び、及び反応器の内面]}が、鉄製若しくは鉄含有金属製、又はニッケル合金(例:Ni-Fe-Mo系ニッケル合金、Ni-Cr-Fe系ニッケル合金、Ni-Cu系ニッケル合金)であることができる。
当該鉄含有金属は、好適に、50質量%以上の鉄含有量を有する。
当該鉄含有金属は、例えば、鉄含有合金であることができ、その例は、マルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト二相ステンレス鋼、及び析出硬化ステンレス鋼等のステンレス鋼を包含する。
当該ステンレス鋼の好適な具体例は、好ましくは、SUS304、304L、316、及び316Lを包含する。
前記ニッケル合金の例は、ハステロイ(商品名)(例:ハステロイC22、C276)、インコネル(商品名)(例:インコネル600)、及びモネル(商品名)等を包含する
本発明の転位防止剤は、含フッ素環状エーテル化合物(1)の保存、又は合成のための通常の条件(すなわち、転位防止剤を使用しない場合の条件)で使用され得るが、本発明の転位防止剤を用いれば、当該通常の条件よりも苛酷な条件(例:転位防止剤を使用しない場合の最適温度(例:25℃)よりも高い温度(例:40℃以上高い温度)及び/又は最適時間よりも長い期間(例:90日以上)を採用し得る。
その温度の例は、転位防止剤を使用しない場合の保存の最適温度(例:10℃、25℃、及び40℃)に対して、20℃以上、30℃以上、又は40℃以上高い温度が挙げられる。
その時間の例は、転位防止剤を使用しない場合の保存の最適期間(例:30日間、60日間、及び25℃)に対して、30日以上、60日以上、又は90日以上長い期間が挙げられる。
ここで、最適温度及び/又は最適時間は、転位する含フッ素環状エーテル化合物(1)の割合が、好ましくは0.5mol%以下、及びより好ましくは0.3mol%以下である、温度及び/又は時間であることができる。
本発明の転位防止剤を使用した場合、不使用の場合と同時間、及び同温度で比較して、転位が、モル基準で、好ましくは1/3以下、より好ましくは1/4以下、及び更に好ましくは1/5以下に抑制され得る。
本発明は、含フッ素環状エーテル化合物(1)の100体積部に対して、水(これは、水含有化合物が含有する水を包含する)の量が30体積部以下の条件で実施され得る。
当該水の量の下限は、例えば、0.01体積ppm、0.1体積ppm、1体積ppm、10体積ppm、20体積ppm、30体積ppm、0.1体積%、0.5体積%、1体積%、2体積%、又は3体積%であることができる。
含フッ素環状エーテル化合物(1)の転位防止方法
本発明はまた、含フッ素環状エーテル化合物(1)の転位防止方法も提供する。
本発明の、含フッ素環状エーテル化合物(1)の転位防止方法は、前記複数芳香環化合物(2)を前記含フッ素環状エーテル化合物(1)と共存させることを含む。
当該転位防止方法、その態様、その条件、及び効果は、前記の、本発明の転位防止剤についての説明により理解される。
本発明の含フッ素環状エーテル化合物(1)の転位防止方法は、その2種以上の態様を組み合わせて実施してもよい。その例は、含フッ素環状エーテル化合物(1)への前記複数芳香環化合物(2)の投入、及び前記容器への前記複数芳香環化合物(2)の適用を包含する。
本発明の含フッ素環状エーテル化合物(1)の転位防止方法は、他の含フッ素環状エーテル化合物(1)の転位防止方法との組み合わせにおいて実施してもよい。
含フッ素環状エーテル化合物(1)の保存方法
本発明の、含フッ素環状エーテル化合物(1)の保存方法は、前記複数芳香環化合物(2)を前記含フッ素環状エーテル化合物(1)と共存させることを含む。
当該転位防止方法、その態様、その条件、及び効果は、前記の、本発明の転位防止剤等についての説明により理解される。
器具
本発明の器具は、含フッ素環状エーテル化合物(1)が接触し得る(又は、接触する)表面に、前記複数芳香環化合物(2)が塗布されている。
本発明の器具は、例えば、容器(例:含フッ素環状エーテル化合物(1)を保管するための容器)、管(例:含フッ素環状エーテル化合物(1)を送るための管、その他、含フッ素環状エーテル化合物(1)が、その表面(例:容器の内壁)に接触し得る(又は、接触する)保管する種々の器具を包含する。
当該器具、その態様、その使用条件、及びその効果は、前記の、本発明の転位防止剤等についての説明により理解される。
含フッ素環状エーテル化合物(1)内封容器
本発明は、また、
(A)容器、及び
(B)式(1):
[式中、
1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物を含有し、
前記式(1)で表される含フッ素環状エーテル化合物は、前記容器に内封されてあり、及び
前記容器は、その表面の全部又は一部に前記複数芳香環化合物(2)が適用されている、含フッ素環状エーテル化合物(1)内封容器
を提供する。
当該内封容器、その態様、その使用条件、及びその効果は、前記の、本発明の転位防止剤等についての説明により理解される。
本発明は、また、
式(1):
[式中、
1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1bは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
1cは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを表し、
n1は、0又は1の数を表し、及び
Rfは、(ハロ)フルオロアルキル基を表す。
但し、n1が1のとき、R1a、R1b、及びR1cの全てが同時にフッ素原子ではない。]
で表される含フッ素環状エーテル化合物、及び
式(2):
[式中、
Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及び
2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
で表される化合物
を含有し、及び
前記複数芳香環化合物(2)の含有量が、100質量部の含フッ素環状エーテル化合物(1)に対して、5質量ppm〜0.5質量部の範囲内である組成物
を提供する。
前記複数芳香環化合物(2)の含有量は、含フッ素環状エーテル化合物(1)に対して、好ましくは100質量ppm以上である。
前記複数芳香環化合物(2)の含有量は、含フッ素環状エーテル化合物(1)に対して、好ましくは0.05質量部以下である。
前記複数芳香環化合物(2)の含有量は、含フッ素環状エーテル化合物(1)に対して、好ましくは100質量ppm〜0.05質量部の範囲内
である。
当該組成物において、含フッ素環状エーテル化合物(1)及び前記複数芳香環化合物は完全に混合されていてもよく、一部が混合されていてもよく、又は混合されていなくてよい。
言い換えれば、当該組成物において、含フッ素環状エーテル化合物(1)及び前記複数芳香環化合物は完全に分離されていてもよく、一部が分離されていてもよく、又は分離されていなくてよい。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例中の記号及び略号の意味を以下に示す。
HFPO:ヘキサフルオロプロピレンオキシド
HFA:ヘキサフルオロアセトン
容量75mLのステンレス鋼(SUS304L)製容器に、
(1)転位防止剤を含まないHFPO 72g;
(2)転位防止剤としてトルエン 100質量ppmを含有するHFPO 71g;又は
(3)転位防止剤としてフェニルキシリルエタン100質量ppmを含有するHFPO 72g
を、それぞれ充填し、次いで69〜71℃の範囲内の温度で50日間加熱処理を行った。
加熱開始時(0日)、並びに加熱開始より18日経過時、及び50日経過時に、それぞれヘキサフルオロアセトン(HFA)濃度を測定した。当該測定には19F−NMRを用いた。その分析結果を次表に示した。

Claims (8)

  1. ヘキサフルオロプロピレンエポキシド用の転位防止剤であって、
    式(2):
    [式中、
    Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及びR2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
    但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
    で表される化合物
    を含有する
    転位防止剤。
  2. 2a、及びR2b及びのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基であり、及びその他は水素原子であり;並びに
    2c、及びR2dは水素原子である、
    請求項1に記載の転位防止剤。
  3. Lは、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルである
    請求項1又は2に記載の転位防止剤。
  4. ヘキサフルオロプロピレンエポキシドの転位防止方法であって、
    式(2):
    [式中、
    Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及びR2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
    但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
    で表される化合物を、
    ヘキサフルオロプロピレンエポキシドと共存させることを含む方法。
  5. ヘキサフルオロプロピレンエポキシドの保存方法であって、
    式(2):
    [式中、
    Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及びR2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
    但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
    で表される化合物の存在下で、
    ヘキサフルオロプロピレンエポキシドを保存することを含む方法。
  6. ヘキサフルオロプロピレンエポキシドが接触し得る表面に、
    式(2):
    [式中、
    Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及びR2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
    但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
    で表される化合物が塗布されている器具。
  7. (A)容器、及び
    (B)ヘキサフルオロプロピレンエポキシドを含有し、
    ヘキサフルオロプロピレンエポキシドは、前記容器に内封されてあり、及び
    前記容器は、その表面の全部又は一部に式(2):
    [式中、
    Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及びR2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
    但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
    で表される化合物が適用されている、ヘキサフルオロプロピレンエポキシド内封容器。
  8. ヘキサフルオロプロピレンエポキシド、及び
    式(2):
    [式中、
    Lは、メチレン、エタン−1,1−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルを表し、及びR2a、R2b、R2c、及びR2dは、同一又は異なって、水素原子、又はC−Cアルキル基を表す。
    但し、R2a、R2b、R2c、及びR2dのうちの1個又は2個は同一又は異なって、C−Cアルキル基を表し、その他は水素原子を表す。]
    で表される化合物
    を含有し、及び
    前記化合物(2)の含有量が、100質量部のヘキサフルオロプロピレンエポキシドに対して、5質量ppm〜0.5質量部の範囲内である組成物。
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