JP6565048B2 - 重質油の水素化処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、重質油を水素化処理し、水素化処理した重質油を接触分解処理する重質油の水素化処理方法に関する。
近年、石油精製において使用できる原油は重質化し、重質油を多量に含む原油が多くなる傾向にある。しかも、発電、ボイラー用の重油の需要が減少するなど重質油の利用量は減少しつつある。また、流動接触分解装置(FCC(Fluid Catalytic Cracking)装置)からの流動接触分解残油(CLO(Clarified Oil))留分の需要も減少しつつある。一方、ガソリン需要は拡大し、また、プロピレン、ブテンおよびベンゼン、トルエン、キシレンなどのBTX(Benzene, Toluene and Xylene)等の多数の石油化学製品の原料として使用されるLPG(Liquefied Petroleum Gas)留分やナフサ留分の需要は増大してきている。したがって、常圧蒸留残渣油などの重質油からガソリンやナフサ留分、LPG留分などの軽質留分を多量に製造する技術開発が重要な課題となっている。
このような状況から、重質油を直脱装置などの水素化脱硫装置にて水素化脱硫処理して得られる脱硫重質軽油、脱硫重油などを流動接触分解装置にて高い分解率で接触分解することにより、LPG留分、FCC(Fluid Catalytic Cracking)ガソリン留分、LCO留分などの軽質留分へ転換することが行われている。
重質油は、例えば、常圧蒸留残渣油を水素化処理することにより、脱硫重油の分解反応性が向上してトータル的に残渣油を低減し、軽質油留分を増大させることができる。しかしながら、この方法では、原料である重質油がより重質化すると常圧蒸留残渣油を水素化脱硫処理した際の触媒の劣化が顕著になり、通常1年間の運転が困難となることと、残渣油の流動接触分解の分解性も低下してLPG留分やFCCガソリン留分など需要の多い軽質留分の得率が十分ではない。また、対策として、水素化脱硫触媒の交換頻度を上げることが考えられるが、その場合、触媒費用が増大して経済性が確保できなくなってしまう。したがって、重質油を、重質油脱硫触媒の劣化を抑制して、安定に水素化処理しつつ流動接触分解によって効率的に分解できる方法が期待されている。
また、重質油には、アスファルテンを多く含むものがある。アスファルテンは、シート状に層をなしているポルフィリンに似た縮合多環芳香族から構成されていると考えられている。重質油を水素化処理すると、バナジウムやニッケルまたは硫黄分がアスファルテンから除去される。その結果、アルファルテンの多層シート形状は壊れ、アスファルテンは、マルテンと呼ばれるヘプタンに可溶な縮合多環芳香族まで分解される。そして、これにより重質油の接触分解処理が容易になる。
アスファルテンは分子量が大きいため、アスファルテンが凝集すると、水素化脱硫触媒細孔内へアスファルテンを拡散させることが難しい場合がある。水素化脱硫触媒細孔内に拡散しなかったアスファルテンは熱分解し、その後、上述の多層シート形状とは異なった重縮合が進んだ構造を持ったアスファルテンが生成する。このアスファルテンはドライスラッジの析出の原因となる。そこで、水素化処理の前に重質油中のアスファルテンの凝集を低減させるために、重質油全量に対して2容量%以上50容量%以下の割合で混合されたアスファルテン凝集緩和剤の存在下で予め200℃以上350℃以下にて重質油を加熱処理し、その後、周期表第4族に属する金属を含む水素化脱硫触媒システムで、重質油を水素化脱硫処理する重質油の水素化処理方法が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1参照)。この水素化処理方法によって水素化処理された重質油を接触分解処理することにより、ガソリンやナフサ留分、LPG留分などの軽質留分を効率よく多量に製造することができる。
特開2013−249385号公報
しかしながら、重質油の水素化処理をさらに改善することにより、重質油の接触分解処理によるLPG留分、FCCガソリン留分、LCO留分等の軽質留分の得率、とくにFCCガソリン留分の得率をさらに高めることが望まれている。
そこで、本発明は、重質油からのFCCガソリン留分の得率を高くすることができる重質油の水素化処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、重質油にアスファルテン凝集緩和剤を添加した原料油中のアスファルテン量に対する原料油中の4環アロマ量の質量比を所定の範囲内にすることにより、FCCガソリン留分の得率を改善できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)重質油にアスファルテン凝集緩和剤を添加して原料油を製造する工程、原料油を水素化脱硫触媒に接触させることにより原料油を水素化処理する工程、および水素化処理された原料油を、流動接触分解装置を使用して接触分解処理する工程を含み、アスファルテン凝集緩和剤が4環アロマを含み、重質油にアスファルテン凝集緩和剤を添加して原料油を製造する工程は、原料油中のアスファルテン量に対する原料油中の4環アロマ量の質量比が1.15以上1.20以下となるようにアスファルテン凝集緩和剤を重質油に添加する重質油の水素化処理方法。
(2)アスファルテン凝集緩和剤の4環アロマの含有量は10質量%以上20質量%以下である上記(1)に記載の重質油の水素化処理方法。
(3)アスファルテン凝集緩和剤が、流動接触分解残油(CLO)および重質サイクル油(HCO)からなる群から選択される少なくとも1種を含む上記(1)または(2)に記載の重質油の水素化処理方法。
本発明によれば、重質油からのFCCガソリン留分の得率を高くすることができる重質油の水素化処理方法を提供することができる。
以下、本発明の重質油の水素化処理方法について、詳しく説明する。
本発明の重質油の水素化処理方法は、重質油にアスファルテン凝集緩和剤を添加して原料油を製造する工程(A)、原料油を水素化脱硫触媒に接触させることにより原料油を水素化処理する工程(B)、および水素化処理された原料油を、FCC装置を使用して接触分解処理する工程(C)を含み、アスファルテン凝集緩和剤が4環アロマを含み、重質油にアスファルテン凝集緩和剤を添加して原料油を製造する工程は、原料油中のアスファルテン量に対する原料油中の4環アロマ量の質量比が1.15以上1.20以下となるようにアスファルテン凝集緩和剤を重質油に添加することを特徴とする。
[工程(A)]
工程(A)では、重質油にアスファルテン凝集緩和剤を添加して原料油を製造する。
(重質油)
工程(A)で用いられる重質油は、重くて粘り気のある原油および原油からの残渣油または石油留分などであれば、とくに限定されない。工程(A)で用いられる重質油には、たとえばAPI度25以下、好ましくはAPI度20以下の原油から得られる常圧蒸留残渣油(AR)、減圧蒸留残渣油(VR)、ならびに接触分解残油、ビスブレーキング油およびビチューメンなどの密度の高い石油留分などが挙げられる。これらの重質油は、通常アスファルテンが1質量%以上含まれており、これらの重質油から抽出したアスファルテンも、工程(A)で用いられる重質油として用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、API度とは、米国石油協会(American Petroleum Institute)が定めた原油製品の比重を示す単位である。
また、コーカー油、合成原油、ナフサカット原油、重質軽油、減圧軽油、LCO、GTL(Gas To Liquid)油、およびワックスなどを常圧蒸留残渣油などと混合して、重質油として用いることもできる。
なお、上記アスファルテンとは、重質油中のn−ヘプタンに不溶な部分を意味する。重質油中のアスファルテンの含有量が1質量%以上であれば、アスファルテン凝集緩和剤によるアスファルテンの凝集緩和効果を充分に発揮させることができる。
(アスファルテン凝集緩和剤)
工程(A)で用いられるアスファルテン凝集緩和剤は4環アロマを含むものであれば、とくに限定されない。アスファルテン凝集緩和剤には、たとえば芳香族系溶媒、極性溶媒、水素供与性溶媒、芳香族系石油留分および工業溶媒などが挙げられる。アスファルテンの凝集緩和効果の観点から、アスファルテン凝集緩和剤は、好ましくは芳香族系溶媒または工業溶媒であり、より好ましくは芳香族系溶媒である。アスファルテンの凝集緩和効果の観点から好ましい芳香族系溶媒には、たとえば流動接触分解残油(CLO)および重質サイクル油(HCO)などが挙げられる。また、アスファルテンの凝集緩和効果の観点から好ましい工業溶媒には、たとえばクレオソート油およびアントラセン油などが挙げられる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、同様の効果は3環アロマ、5環アロマおよび6環アロマでも得られる。しかし、3環アロマではアスファルテンの凝集緩和効果が低く、5環アロマおよび6環アロマでは、5環アロマおよび6環アロマが触媒の活性点に強固に吸着して反応を阻害する。このため、3環アロマ、5環アロマおよび6環アロマは、4環アロマに比べてアスファルテン凝集緩和剤の成分として好ましくない。
アスファルテンの凝集緩和効果の観点から、アスファルテン凝集緩和剤における4環アロマの含有量は、好ましくは10質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは12質量%以上18質量%以下である。また、アスファルテン凝集緩和剤の沸点範囲は、とくに限定されないが、150℃以上350℃以下であることが好ましい。
アスファルテン凝集緩和剤として好ましい芳香族系溶媒であるCLOおよびHCOは、残油流動接触分解装置(RFCC(Residue Fluid Catalytic Cracking)装置)またはFCC装置から得られたエフルエントを蒸留にて分離して得られるものである。重質油の水素化処理に引き続いての接触分解処理を効率的に行なう点から、後述の工程(C)の接触分解処理の流動接触分解装置と同様の条件で得られたCLOおよびHCOの一部のみを、アスファルテン凝集緩和剤として用いることが好ましい。CLOおよびHCOの全量の循環を繰り返す場合、CLOおよびHCOの全量のある一定以上の割合が、常に未分解油として残り、精製費の浪費になるおそれがあるからである。
CLOおよびHCOは、沸点が330℃以上である接触分解処理後の生成油であることが好ましく、沸点350℃以上の留分が50容量%以上である接触分解処理後の生成油であることがより好ましい。
CLOおよびHCOに含まれる水泥分は、重油直接脱硫(RH)装置の触媒層への堆積による差圧の発生を防止し、偏流によるホットスポットの発生を防止する観点から、0.5容量%以下であることが好ましく、0.2容量%以下であることがより好ましく、0.05容量%以下であることがさらに好ましい。なお、この水泥分含有量は、JIS K 2601−14により測定した値である。
CLOおよびHCOの総芳香族化合物分含有量は、一般に60質量%以上95質量%以下である。しかし、工程(A)においては、CLOおよびHCOの総芳香族化合物分含有量は70質量%以上80質量%以下であることが好ましい。また、CLOおよびHCOの硫黄分含有量は、一般に0.3質量%以上1.1質量%以下である。また、CLOおよびHCOの総芳香族のおける4環アロマの割合は、好ましくは10質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは12質量%以上18質量%以下である。4環アロマの割合が10質量%以上20質量%以下であると、アスファルテンの凝集緩和効果が十分に発揮されるとともに、4環アロマが活性点に強固に吸着して反応を阻害してしまうことを抑制できる。
重質油にアスファルテン凝集緩和剤を添加して製造した原料油を、そのまま、後述の工程(B)で水素化処理してもよいが、原料油を200℃以上350℃以下の温度で加熱処理することが好ましい。このような加熱処理により、アスファルテンの凝集をより緩和することができ、その結果、原料油の反応基質と触媒活性点との間の接触効率を向上させることができ、後述の工程(B)における原料油の脱硫反応、脱金属反応、水素化分解反応および水素化反応を促進することができる。上記加熱処理の加熱処理温度は、好ましくは250℃以上350℃以下であり、より好ましくは270℃以上320℃以下である。また、上記加熱処理の加熱処理時間(アスファルテン凝集緩和処理時間)は、より好適なアスファルテン凝集緩和効果を得る観点から、好ましくは5分以上60分以内であり、より好ましくは10分以上30分以下である。なお、この加熱処理においては、アスファルテンの凝集緩和効果をより一層高めるために回転翼による撹拌や、超音波照射を併用することができる。
アスファルテン凝集緩和剤を重質油に添加する方法としては、重質油の供給ラインにアスファルテン凝集緩和剤を導入してもよいし、原料油を貯蔵しているタンク内でアスファルテン凝集緩和剤を重質油に添加してもよい。
また、アスファルテン凝集緩和剤を重質油に添加する際の圧力についてはとくに制限はなく、自生圧でよい。しかし、アスファルテン凝集緩和剤を重質油に添加する際、窒素ガスなどの不活性ガスや水素ガスを導入して加圧してもよい。この場合、その圧力は、好ましくは0.1MPa以上30MPa以下であり、より好ましくは1MPa以上20MPa以下である。加熱処理時間は、加熱処理温度などにより左右され、一概に定めることはできないが、通常10分以上120分以下程度で充分である。
[工程(B)]
工程(B)では、原料油を水素化脱硫触媒に接触させることにより原料油を水素化処理する。
工程(B)における水素化処理は、とくに制限はなく、従来の重質油の水素化精製処理または水素化分解処理で行われている反応条件で行えばよい。水素化処理における反応温度は、好ましくは320℃以上550℃以下であり、より好ましくは350℃以上430℃以下である。また、水素化処理における水素分圧は、好ましくは1MPa以上30MPa以下であり、より好ましくは5MPa以上17MPa以下である。さらに、水素化処理における水素/油比は、好ましくは100Nm/キロリットル以上2000Nm/キロリットル以下であり、より好ましくは300Nm/キロリットル以上1000Nm/キロリットル以下である。また、水素化処理における液空間速度(LHSV)は、好ましくは0.1h−1以上5h−1以下であり、より好ましくは0.2h−1以上2.0h−1以下である。
工程(B)の水素化処理で用いる触媒は、周期表第4族に属する金属を含有する水素化脱硫触媒が好適であり、該周期表第4族に属する金属を含有する水素化脱硫触媒/全充填触媒容量比が20/100以上75/100以下であることが好ましい。このような比率で水素化脱硫触媒を含有させることによって、重質油を固定床水素化処理装置で処理した後のRFCC装置またはFCC装置での接触分解処理において得られるLPG留分、FCCガソリン留分、LCO留分等の軽質留分の割合が高くなる。
このような観点から、工程(B)で用いる触媒における周期表第4族に属する金属を含有する水素化脱硫触媒/全充填触媒の容量比は、25/100以上70/100以下であることがより好ましく、30/100以上60/100以下であることがさらに好ましい。
なお、安定的に高い性能を発揮するためには、通常の反応を行う前に水素化脱硫触媒を予備硫化することが好ましい。予備硫化条件は、とくに制限はなく、従来、重質油の水素化脱硫反応で行われている予備硫化条件で行えばよい。予備硫化の反応温度は、好ましくは180℃以上250℃以下であり、より好ましくは200℃以上230℃以下である。また、予備硫化の水素分圧は、好ましくは1MPa以上30MPa以下であり、より好ましくは5MPa以上17MPa以下である。さらに、予備硫化の水素/油比は、好ましくは100Nm/キロリットル以上2000Nm/キロリットル以下であり、より好ましくは300Nm/キロリットル以上1000Nm/キロリットル以下である、また、予備硫化の液空間速度(LHSV)は、好ましくは0.1h−1以上5h−1以下であり、より好ましくは0.2h−1以上2.0h−1以下である。予備硫化には、原料である重質油に含まれる硫黄分を用いてもよいし、予備硫化剤を予備硫化用原料に添加して通油してもよい。予備硫化用原料としては軽油や灯油、重質軽油など軽質なコーク劣化の少ない原料が好ましい。また予備硫化剤としては、とくに制限はないが、ジメチルジスルフィドなど低温で容易に分解する硫黄化合物が好適に用いられる。
工程(B)に用いる水素化脱硫触媒として、周期表第4族に属する金属を含有する水素化脱硫触媒以外に、第6族、第9族および第10族に属する金属からなる群から選択される少なくとも1種の金属とリン成分とを無機耐火性酸化物担体に担持させたものも、好適に用いることができる。
無機酸化物担体としては、とくに限定されない。たとえば、無機酸化物担体として、アルミナが好適であるが、その他にもシリカ、ボリア、マグネシア、チタニア及びこれらを複合したものが好適である。
この担体に、周期表第6族、第8属〜第10族に属する金属からなる群から選択される少なくとも1種の金属と第15族のリンを担持させてもよい。ここで周期表第6族に属する金属としては、モリブデンおよびタングステンが好ましく、第8〜第10族に属する金属としては、ニッケルおよびコバルトが好ましい。二種類の金属の組合せとしては、ニッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、ニッケル−タングステンおよびコバルト−タングステンなどが挙げられる。これらの中でも、第6族および第10族に属する金属が好適であり、とくに、ニッケル−モリブデンが好ましい。
上記活性成分である金属の担持量は、とくに制限はなく、重質油の種類や、所望する脱硫重油の得率などの各種条件に応じて適宜選定すればよい。通常は、第6族の金属の場合の金属の担持量は、好ましくは触媒全体の0.5質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは触媒全体の5質量%以上20質量%以下であり、第8〜第10族の金属の場合の金属の担持量は、好ましくは触媒全体の0.1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは触媒全体の1質量%以上10質量%以下である。第15族の金属の場合の金属の担持量は、好ましくは触媒全体の0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは触媒全体の1質量%以上5質量%以下である。
上記金属成分を上記担体に担持する方法についてはとくに制限はなく、たとえば、含浸法、混練法および共沈法などの公知の方法を採用することができる。
上記の金属成分を担体に担持したものは、通常30℃以上200℃以下の乾燥温度で、約0.1時間以上約24時間以下乾燥し、次いで、通常250℃以上700℃程度以下(好ましくは300℃以上650℃以下)の焼成温度で、約1時間以上約10時間以下(好ましくは2時間以上7時間以下)焼成して、触媒として仕上げられる。
工程(B)における水素化処理に用いる水素化脱硫触媒は、以下の要件を満たすものがさらに好ましい。
(1)比表面積
工程(B)で用いる水素化脱硫触媒の比表面積は、好ましくは100m/g以上300m/g以下であり、より好ましくは120m/g以上250m/g以下である。水素化脱硫触媒の比表面積が100m/g以上であると、重質油の水素化に適した分解活性点の充分な量を触媒表面に配置でき、水素化脱硫触媒の比表面積が300m/g以下であると、重質油分子の拡散に充分大きな細孔を有することができる。なお、比表面積は、窒素ガスによるBET1点法により測定した値である。また、比表面積の異なる2種以上の触媒を組み合わせて水素化脱硫触媒として用いることも有効である。
(2)全細孔容量
工程(B)で用いる水素化脱硫触媒の窒素ガス吸着法による全細孔容量は、0.4cm/g以上であることが好ましく、0.5cm/g以上であることがより好ましい。全細孔容量が0.4cm/g以上であると、水素化脱硫触媒の細孔における重質油分子の拡散を高めることができる。
また、細孔容量の異なる2種以上の触媒を組み合わせて水素化脱硫触媒として用いることも有効である。
上記物性範囲および上記製造法にて得られた水素化脱硫触媒は、水素化脱硫活性が向上し、残渣油(343℃以上の沸点を持つ留分)の脱硫活性をはじめ、脱残炭活性、脱窒素活性、脱アスファルテン活性および脱メタル活性が高く、引き続くRFCC装置あるいはFCC装置における重質油留分の軽質化に好適である。
水素化脱硫触媒の組み合わせのパターンとしては、例えば、全触媒充填量に対して第一段目に脱メタル触媒を20容量%以上50容量%以下、第二段目以降に少なくとも1種の水素化分解触媒を20容量%以上75容量%以下の充填することが好ましい。これらは重質油の性状などによっては種々の充填パターンとすることができる。一般に前段の触媒ほど細孔径を小さくし、金属担持量を少なくすることが望ましい。また第一段目の脱メタル触媒の前に重質油中に含まれる鉄粉、無機酸化物などのスケールを除去する脱スケール触媒を充填してもよい。上記水素化処理で用いられる反応器としては固定床を使用し、固定床はダウンフロー式およびアップフロー式のいずれであってもよい。
[工程(C)]
工程(C)では、水素化処理された原料油を、FCC装置を使用して接触分解処理する。
(接触分解処理)
工程(C)で実施される接触分解処理は、とくに制限はなく、公知の方法および条件で行えばよい。たとえば、接触分解処理は、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシアなどのアモルファス触媒や、フォージャサイト型結晶アルミノシリケートなどのゼオライト触媒を用い、好ましくは約450℃以上約650℃以下の、より好ましくは480℃以上580℃以下の反応温度、好ましくは約550℃以上約760℃以下の再生温度、好ましくは、約0.02MPa以上約5MPa以下の、より好ましくは0.2MPa以上2MPa以下の反応圧力の条件で行うことができる。
本発明の重質油の水素化処理方法の最終工程である接触分解処理により生成した生成油では、燃料や石油化学製品の原料として有用なFCCガソリン留分の割合を高い。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
実施例、比較例では、原料油の製造に用いる重質油として第1表に示す性状、蒸留性状および4環アロマ含有量を有するクウェート原油の常圧蒸留残渣油(AR)80容量部、減圧蒸留残渣油(VR)20容量部に対して、アスファルテン凝集緩和剤としてRFCC装置からの流動接触分解残油(CLO1〜3)および重質サイクル油(HCO1)をそれぞれ2.5容量部混合したものを用いた。
Figure 0006565048
なお、各性状は次の方法に従って求めた。
・クウェート原油、AR、VR、CLO1〜3、HCO1、DSAR(第3表参照)
[窒素分含有量]
JIS K 2609により測定した。
[硫黄分含有量]
JIS K 2541−4に準拠して測定した。
[15℃における密度]
JIS K 2249に準拠して測定した。
[残留炭素含有量]
JIS K 2270−2により測定した。
[アスファルテン(ヘプタン不溶解分)含有量]
IP143に準拠して測定した。
[バナジウム含有量]
石油学会規格JPI−5S−59−99に準拠して測定した。
[ニッケル含有量]
石油学会規格JPI−5S−59−99に準拠して測定した。
[蒸留性状]
JIS K 2254に準拠して測定した。
[4環アロマ含有量]
n−ヘプタンで処理してアスファルテン(As)を分離した後、カラムクロマトグラフィーにより飽和分(Sa)、1環アロマ(1A)、2環アロマ(2A)、3環以上アロマ(3A)、極性レジン(Po)、多環芳香族レジン(PA)及びアスファルテン(As)の計7フラクションに分離する。更に3Aを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により3環、4環、5環以上に分離して測定した。
カラムクロマトグラフィー条件
試料量 :1.5g
カラム :15mmID×600mm (ゲル充填部分)
充填剤 :シリカゲル40g、アルミナゲル50g (活性化後)
<触媒の調製>
(調製例1:触媒1)
炭酸ニッケル69.5g(NiOとして39.7g)、三酸化モリブデン220g、正リン酸31.5g(純度85%:Pとして19.5g)を純水250cmに加えて、攪拌しながら80℃で溶解させ、室温に冷却後、再び純水を加えて250cmに定容し、含浸液(S1)を調製した。
含浸液(S1)を10cm採取し、吸水率0.8cm/g、比表面積140m/gのγ−アルミナ担体(A1)100gに、吸水量に見合うように純水にて希釈・定容し、常圧にて含浸し、110℃で1時間乾燥後、500℃で5時間加熱処理し、触媒1を調製した。その触媒組成と物性を第2表に示す。
(調製例2:触媒2)
触媒1の調製において、吸水率0.7cm/g、比表面積180m/gのγ−アルミナ担体(A2)を用いた以外は触媒1と同様にして、触媒2を得た。その触媒組成と物性を第2表に示す。
(調製例3:触媒3)
触媒1の調製において、吸水率0.6cm/g、比表面積210m/gのγ−アルミナ担体(A3)を用いた以外は触媒1と同様にして、触媒3を得た。その触媒組成と物性を第2表に示す。
Figure 0006565048
なお、各性状は次の方法に従って求めた。
[NiO含有量]
石油学会規格JIS K 0016に準拠して測定した。
[MoO含有量]
石油学会規格JIS K 0016に準拠して測定した。
[P含有量]
石油学会規格JIS K 0116に準拠して測定した。
[比表面積]
BET窒素吸着法(ASTM D4365-95)に従って測定し解析した。
[細孔容量]
ASTM D4222-03、D4641-94に規定する窒素吸着・脱着等温線から算出した(N吸着法)。
<実施例1>
(1)一段目に市販の脱メタル触媒として調製例1で得られた触媒1を25容量%、二段目に調製例2で得られた触媒2を25容量%、三段目に調製例3で得られた触媒3を50容量%の順に直列3段に充填し、合計100cmを高圧固定床反応器に充填し、通常の条件で予備硫化した。
次いで、クウェート原油の常圧蒸留残渣油(AR)80容量部、減圧蒸留残渣油(VR)20容量部とアスファルテン凝集緩和剤としてRFCC装置から得られた流動接触分解残油(CLO1)を2.5容量部を混合したものを原料油とした。そして、以下の条件で原料油の水素化脱硫処理を行った。用いた原料油の性状を第3表に示す。
(水素化脱硫条件)
・平均反応温度:380℃
・液空間速度(LHSV):0.35h−1
・水素分圧:14.5MPa
・水素/油比:750Nm/キロリットル
(2)(1)の水素化脱硫処理によって得られた生成油をJIS K 2601の理論段数15段の精留塔を用いた蒸留試験方法に基づき蒸留し、ガス分(C以下の炭化水素)、脱硫ナフサ留分(沸点範囲:C炭化水素の沸点以上150℃以下)、脱硫灯油留分(沸点範囲:150℃以上250℃以下)、脱硫軽油留分(沸点範囲:250℃以上343℃以下)および残渣油である脱硫重油留分(沸点が343℃超)に分留した。
次いで、これらの留分のうち、脱硫重油留分を原料とし、市販平衡触媒を使用して、反応温度530℃、触媒/原料油比=5.0(質量比)の条件下で流動接触分解処理(接触分解処理)を行った。流動接触分解処理の反応生成物について、ガスクロ蒸留にてFCCガソリン留分(沸点範囲:C炭化水素の沸点以上185℃以下)の得率(容量%)を測定した。結果を第3表に示す。また、コーク分は、JIS Z2615に準拠して測定した。
<実施例2>
実施例1において常圧蒸留残渣油(AR)80容量部、減圧蒸留残渣油(VR)20容量部とアスファルテン凝集緩和剤としてHCO1を2.5容量部を用いた以外は実施例1と同様にして水素化脱硫処理および流動接触分解処理を行った。結果を第3表に示す。
<比較例1>
実施例1において常圧蒸留残渣油(AR)80容量部、減圧蒸留残渣油(VR)20容量部とアスファルテン凝集緩和剤としてCLO2を2.5容量部を用いた以外は実施例1と同様にして水素化脱硫処理および流動接触分解処理を行った。結果を第3表に示す。
<比較例2>
実施例1において常圧蒸留残渣油(AR)80容量部、減圧蒸留残渣油(VR)20容量部とアスファルテン凝集緩和剤としてCLO3を2.5容量部を用いた以外は実施例1と同様にして水素化脱硫処理および流動接触分解処理を行った。結果を第3表に示す。
Figure 0006565048
本発明の水素化処理方法によれば、流動接触分解においてFCCガソリン留分を増産できる。したがって、ガソリン燃料に使用されるガソリン基材や石油化学製品の基礎原料を増産することができる方法として有効に利用することができる。

Claims (3)

  1. 重質油にアスファルテン凝集緩和剤を添加して原料油を製造する工程、
    前記原料油を水素化脱硫触媒に接触させることにより前記原料油を水素化処理する工程、および
    水素化処理された前記原料油を、流動接触分解装置を使用して接触分解処理する工程を含み、
    前記アスファルテン凝集緩和剤が4環アロマを含み、
    前記重質油に前記アスファルテン凝集緩和剤を添加して原料油を製造する工程は、前記原料油中のアスファルテン量に対する前記原料油中の4環アロマ量の質量比が1.15以上1.20以下となるように前記アスファルテン凝集緩和剤を前記重質油に添加する重質油の水素化処理方法。
  2. 前記アスファルテン凝集緩和剤の4環アロマの含有量は10質量%以上20質量%以下である請求項1に記載の重質油の水素化処理方法。
  3. 前記アスファルテン凝集緩和剤が、流動接触分解残油(CLO)および重質サイクル油(HCO)からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1または2に記載の重質油の水素化処理方法。
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