JP7189823B2 - 流動接触分解装置の原料油熱交換器の洗浄方法 - Google Patents
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Description
流動接触分解装置によれば、環境負荷等の関係からそのままでは使用し難い重質油からガソリン留分等を製造し得るため、石油精製分野では非常に重要な装置であると同時に、限りある資源を有効に活用できる、環境にやさしい処理装置である。
(1)流動接触分解装置の原料油熱交換器の洗浄方法であって、
脱硫減圧軽油および直接脱硫重油から選ばれる少なくとも1種以上の炭化水素油を含み、15℃における密度が0.85~1.0kg/cm3、アスファルテン含有量が1.0質量%以下である流動接触分解装置用原料油を90~99容量%含有するとともに、
接触分解軽油、潤滑油を製造する際のフルフラール抽出工程により得られるエキストラクトおよび混合キシレンを蒸留分離する装置より得られるトルエン留分から選ばれる少なくとも1種以上の炭化水素油を含み、芳香族含有量が40~80容量%である燃料油基材を1~10容量%含有する洗浄用原料油を、
流動接触分解装置の原料油熱交換器に流通する
ことを特徴とする流動接触分解装置の原料油熱交換器の洗浄方法、
(2)前記流動接触分解装置の原料油熱交換器に対し、流動接触分解装置用被処理油のみを流通させた後、前記洗浄用原料油を流通させる処理を繰り返し行う上記(1)に記載の洗浄方法、
(3)前記洗浄方法が以下の式(I)
{(V2×C)/V1}≧0.20 (I)
(ただし、V1は、洗浄用原料油を流通させる前に流通させた流動接触分解装置用被処理油の流通量(L)、V2は前記洗浄用原料油を流通させたときの洗浄用原料油中に含まれる燃料用基材の流通量(L)、Cは前記洗浄用原料油中の燃料用基材の含有割合(容量%)である。)
を満たすように前記洗浄用原料油を流通させることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の洗浄方法
を提供するものである。
脱硫減圧軽油および直接脱硫重油から選ばれる少なくとも1種以上の炭化水素油を含み、15℃における密度が0.85~1.0kg/cm3、アスファルテン含有量が1.0質量%以下である流動接触分解装置用原料油を90~99容量%含有するとともに、
接触分解軽油、潤滑油を製造する際のフルフラール抽出工程により得られるエキストラクトおよび混合キシレンを蒸留分離する装置より得られるトルエン留分から選ばれる少なくとも1種以上の炭化水素油を含み、芳香族含有量が40~80容量%である燃料油基材を1~10容量%含有する洗浄用原料油を、
流動接触分解装置の原料油熱交換器に流通する
ことを特徴とするものである。
なお、本出願書類において、15℃における密度は、JIS K2249-1:2011により測定される値を意味する。
なお、本出願書類において、沸点範囲は、JIS K2254:1998で測定される値を意味する。
なお、本出願書類において、芳香族含有量は、JPI-5S-49-97で測定される値を意味する。
流動接触分解装置用原料油のアスファルテン含有量が上記範囲内であることにより、原料油熱交換器に付着する汚れを容易に低減または抑制することができ、また、工業炉やボイラーなどで使用した際に、スラッジ堆積量を容易に抑制することができる。
なお、本出願書類において、アスファルテン含有量は、JPI-5S-22-83に準じて測定される値を意味する。
流動接触分解装置用原料油の90容量%留出温度が上記範囲内であることにより、熱交換器の汚れ原因と考えられる重質なワックス留分の含有量が抑制され、効果的に汚れを低減することができる。
なお、本出願書類において、90容量%留出温度は、JIS K2254:1998で測定される値を意味する。
脱硫減圧軽油の密度が上記範囲内であることにより、十分な体積あたりの発熱量を容易に発揮することができ、工業炉やボイラーなどで使用した際に、燃焼の不均一性や失火などを容易に抑制することができる。
脱硫減圧軽油のアスファルテン量が上記範囲内であることにより、原料油熱交換器に付着する汚れを低減または抑制することができる。また、工業炉やボイラーなどで使用した際に、スラッジ堆積量を抑制することができる。
脱硫減圧軽油の90容量%留出温度が上記範囲内にあることにより、熱交換器の汚れ原因と考えられる重質なワックス留分の含有量が抑制され、効果的に汚れを低減することができる。
脱硫減圧軽油の密度が上記範囲内にあることにより、十分な体積あたりの発熱量を容易に発揮することができ、工業炉やボイラーなどで使用した際に、燃焼の不均一性や失火などを抑制することができる。
直接脱硫軽油のアスファルテン量が上記範囲内にあることにより、原料油熱交換器に付着する汚れを低減または抑制することができる。また、工業炉やボイラーなどで使用した際に、スラッジ堆積量を容易に抑制することができる。
直接脱硫軽油の90容量%留出温度が上記範囲内であることにより、熱交換器の汚れ原因と考えられる重質なワックス留分の含有量が抑制され、効果的に汚れを低減することができる。
燃料油基材の芳香族含有量が上記範囲内にあることにより、洗浄用原料油がが優れた溶解力を発揮して、より効果的に熱交換器の汚れを低減することができる。
燃料油基材の90容量%留出温度が上記範囲内にあることにより、熱交換器の汚れ原因と考えられる重質なワックス留分の含有量が抑制され、効果的に汚れを低減することができる。
燃料油基材のアスファルテン含有量が上記範囲内であることにより、原料油熱交換器に付着する汚れを容易に低減または抑制することができる。また、工業炉やボイラーなどで使用した際に、スラッジ堆積量を容易に抑制することができる。
燃料油基材が上記留分を含むことにより、流動接触分解反応への影響を抑制しつつ、原料油の処理量をさほど落とすことなく、流動接触分解装置の連続運転を止めずに原料油熱交換器に付着した汚れを低減させることができる。
接触分解軽油の芳香族含有量が上記範囲内であることにより、混合された流動接触分解装置用原料油の溶解力が向上し、効果的に原料油熱交換器に付着した汚れを低減することができる。
接触分解軽油の90容量%留出温度が上記範囲内にあることにより、(原料油に混合する際、重質なワックスの含有量が容易に抑制され、効果的に汚れを低減できる。
接触分解軽油のアスファルテン含有量が上記範囲内にあることにより、原料油熱交換器に付着する汚れを容易に低減または抑制することができる。また、工業炉やボイラーなどで使用した際に、スラッジ堆積量を容易に抑制することができる。
上記フルフラール等で抽出した残分は、ラフィネートと称される潤滑油基油として使用されることから、エキストラクトは工業的には潤滑油製造工程で得られるものである。
エキストラクトの芳香族含有量が上記範囲内にあることにより、混合された流動接触分解装置用原料油の溶解力が向上し、効果的に原料油熱交換器に付着した汚れを低減することができる。
エキストラクトの90容量%留出温度が上記範囲内にあることにより、原料油に混合する際、重質なワックスの含有量が容易に抑制され、効果的に汚れを低減できる。
エキストラクトのアスファルテン含有量が上記範囲内であることにより、原料油熱交換器に付着する汚れを低減または抑制することができる。また、工業炉やボイラーなどで使用した際に、スラッジ堆積量を抑制することができる。
混合キシレンを蒸留分離する装置とは、重質改質ナフサを蒸留して、o-キシレン及びp-キシレンを主成分とした混合キシレンを得るための装置であり、副生物としてトルエンを蒸留分離することができる。
トルエン留分の芳香族含有量が上記範囲内にあることにより、混合された流動接触分解装置用原料油の溶解力が容易に向上し、効果的に原料油熱交換器に付着した汚れを低減することができる。
また、本発明において、洗浄用原料油を構成する燃料油基材の含有割合は、1~10容量%であり、1.5~10容量%であることが好ましく、2~10容量%であることがより好ましい。
洗浄用原料油を構成する燃料油基材の含油割合が上記範囲内にあることにより、流動接触分解装置の連続運転を止めずに原料油熱交換器に付着した汚れを低減させることができ、流動接触分解装置の連続運転を停止して熱交換器を解放洗浄するまでの期間を延長することができる。また、原料油の処理量をさほど落とすことなく、さらに洗浄のために使用する付加価値の高い燃料油基材の使用量を抑えつつ、経済的に処理することができる。
流動接触分解装置用被処理油としては、上述した流動接触分解装置用原料油と同様のものを挙げることができる。
流動接触分解装置用被処理油の流通後の洗浄用原料油の流通は定期的に行ってもよいし、非定期的に行ってもよいが、定期的に行うことが好ましい。
このように、流動接触分解装置用被処理油の流通と、洗浄用原料油の流通を交互に行うことにより、流動接触分解装置の連続運転を止めずに原料油熱交換器に付着した十分にかつ簡便に低減することができる。
{(V2×C)/V1}≧0.20 (I)
(ただし、V1は、洗浄用原料油を流通させる前に流通させた流動接触分解装置用被処理油の流通量(L)、V2は前記洗浄用原料油を流通させたときの洗浄用原料油中に含まれる燃料用基材の流通量(L)、Cは前記洗浄用原料油中の燃料用基材の含有割合(容量%)である。)
を満たすように洗浄用原料油を流通させることが好ましい。
式(I)において、流動接触分解装置用被処理油のみを流通させた後、洗浄用原料油を流通させる処理を繰り返し行ったときは、流動接触分解装置用被処理油のみの流通とその直後の洗浄用原料油の流通を1つの処理として、各処理時における、流動接触分解装置用被処理油の流通量をV1(L)、洗浄用原料油の流通量をV2(L)として、上記比を算出する。
(1)基材の調整
流動接触分解装置用原料油を構成する基材として、各々表1に示す物性を有する基材A(脱硫減圧軽油(VGO))および基材B(直接脱硫重油(DDSP))を用意するとともに、燃料油基材Cとして、表1に示す物性を有する接触分解軽油(LCO)を用意した。
また、基材Aを70容量%、基材Bを30容量%の割合で混合した原料油と、基材Aを63容量%、基材Bを27容量%および基材Cを10容量%の割合で混合した洗浄用原料油とを用意した。
各基材および原料油の物性を以下に示す。
図1に概略断面図で示すように、原料油タンクT1に貯蔵されホットプレートHPにより70℃に加温された1.2Lの上記原料油を、同じく(図示しない)リボンヒーターにより流路全体が70℃に維持された流通配管c(直6.5mm)内に毎分10mLで送液しつつ、上記原料油の流通配管内に各々ヒーターロッドR(ステンレス鋼製、長さ200mm、直径6mm)を配置した加熱ヒーターHT1および加熱ヒーターHT2でそれぞれ設定温度T1(170℃)、T2(300℃)で順次加熱して上記原料油タンクT1に返送する操作を370分間継続した後、バルブV1を切り替え、洗浄タンクT2に貯蔵された洗浄用原料油を毎分10mLで10分間通油した。この際バルブV2を開くことで洗浄用原料油が原料タンクに混入しないようにした。10分後バルブV1を原料タンク側に戻し、流路内の洗浄油が完全に排出されたのちバルブV2を閉じ、原料油の通油を再開し、260分間継続した。上記加熱ヒーターHT2の原料油出口に配置された原料油温度計測手段Tm2outで原料油のヒーター出口温度T3を測定したときの結果を表2に示す。
原料油を運転開始から500分間継続した後に、洗浄用原料油を毎分10mLで10分間通油した以外は実施例1と同じ条件でヒーター出口温度T3を測定した。結果を表2に示す。
原料油を運転開始から300分間継続した後に、洗浄用原料油を毎分10mLで10分間通油し、その後原料油を60分間通油した。その後、洗浄油原料油を毎分10mLで10分間通油し、原料油を60分間通油した。さらにその後、洗浄用原料油を毎分10mLで10分間通油し、原料油を60分間通油した。さらにその後、洗浄用原料油を毎分10mLで10分間通油し、原料油を120分間通油した以外は実施例1と同じ条件でヒーター出口温度T3を測定した。結果を表2に示す。
洗浄用原料油を通油しない以外は実施例1と同じ条件でヒーター出口温度T3を測定した。結果を表2に示す。
一方、比較例1では、洗浄油原料油を投入していないことにより、原料油の流通量が増えるとともに付着した汚れが低減されることなく、その結果、ヒーター出口温度が下降していることがわかる。
V1、V2 :切り替えバルブ
HP :ホットプレート
c :流通配管
HT1、HT2 :加熱ヒーター
R :ヒーターロッド
P :ポンプ
Claims (3)
- 流動接触分解装置の原料油熱交換器の洗浄方法であって、
脱硫減圧軽油および直接脱硫重油から選ばれる少なくとも1種以上の炭化水素油を含み、15℃における密度が0.85~1.0kg/cm3、アスファルテン含有量が1.0質量%以下である流動接触分解装置用原料油を90~99容量%含有するとともに、
接触分解軽油、潤滑油を製造する際のフルフラール抽出工程により得られるエキストラクトおよび混合キシレンを蒸留分離する装置より得られるトルエン留分から選ばれる少なくとも1種以上の炭化水素油を含み、芳香族含有量が40~80容量%である燃料油基材を1~10容量%含有する洗浄用原料油を、
流動接触分解装置の原料油熱交換器に流通する
ことを特徴とする流動接触分解装置の原料油熱交換器の洗浄方法。 - 前記流動接触分解装置の原料油熱交換器に対し、流動接触分解装置用被処理油のみを流通させた後、前記洗浄用原料油を流通させる処理を繰り返し行う請求項1に記載の洗浄方法。
- 前記洗浄方法が以下の式(I)
{(V2×C)/V1}≧0.20 (I)
(ただし、V1は、洗浄用原料油を流通させる前に流通させた流動接触分解装置用被処理油の流通量(L)、V2は前記洗浄用原料油を流通させたときの洗浄用原料油の流通量(L)、Cは前記洗浄用原料油中の燃料油基材の含有割合(容量%)である。)
を満たすように前記洗浄用原料油を流通させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄方法。
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JP2017160290A (ja) | 2016-03-07 | 2017-09-14 | 出光興産株式会社 | 重質油の水素化処理方法 |
JP2018165365A (ja) | 2018-03-30 | 2018-10-25 | コスモ石油株式会社 | 燃料油組成物及びその製造方法 |
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