JP4865461B2 - ディレイドコーカーの加熱炉の運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ディレイドコーカーの加熱炉の運転方法に関する。
ディレイドコーカーは、重質炭化水素を熱分解することによって、ガス、ナフサ、軽油などの種々の沸点の炭化水素およびコークを生成する装置である。ディレイドコーカーは、加熱炉、精留塔、コークドラム、及びその他の付帯設備から構成されるのが一般的である。
ディレイドコーカーは、加熱炉で重質の炭化水素を熱分解温度まで加熱する。このため、運転時間の経過に伴い加熱炉チューブには徐々にコークが堆積する。コークが多量に堆積するとチューブが高温になって破裂する恐れがある。このため、チューブ内に蒸気を注入してチューブ内の流速を上げて乱流によってコークの堆積を抑制する方法(特許文献1)、重質軽油や揮発油を再循環してコークの堆積を予防する方法が開示されている(特許文献1、2)。
しかし、上記のような方法を採用してもチューブ内のコークの堆積を完全には排除できないため、定期的にディレイドコーカーの運転を停止して加熱炉チューブ内の清掃行い、堆積したコークを除去している。
特公平6−89335号公報 特公平6−49866号公報
現在、世界的な石油事情からより硫黄分、金属分などが高い劣質な重質油処理の必要性が増しており、ディレイドコーカーの処理能力の向上が従来よりも一層強く求められている。処理能力の向上する方法として、ランレングス延長によって積算通油量(ディレイドコーカーの運転開始から運転停止までの合計通油量)を増加する方法が挙げられる。
しかし、従来のディレイドコーカーの運転方法では、加熱炉のチューブ内のコークの堆積を十分に抑制することができず、ランレングスを延長することが困難であった。
上記事情に鑑み、本発明では、ディレイドコーカーのランレングスを延長し積算通油量を増加することを目的とする。
本発明者らは、従来のディレイドコーカーの加熱炉の運転方法によるTSK温度の変化を解析してコークドラムの切替(SW)の前後にTSK温度が上昇することを発見し、TSK温度の上昇を抑制できればランレングスを延長できることを見出した。詳しくは、SW直後にはコークドラムからの分解炭化水素の生成量が少なく精留塔で分離される留出油の生成量が減少する。これに伴い留出油との熱交換で予熱される原料油の熱交換器出口温度が低下することによって加熱炉の負荷が増大してTSK温度が上昇することを発見した。また、SW直前には分解炭化水素の一部が待機中の冷えたコークドラムへ導入され、この分解炭化水素が冷えた凝縮油となって精留塔に導入される。これに伴い精留塔からの留出油の温度が低下し留出油との熱交換で予熱される原料油の熱交換器出口温度が低下することによって加熱炉の負荷が増大してTSK温度が上昇することを発見した。さらに、かかる要因によるTSK温度の上昇を抑制すれば加熱炉チューブ内のコークの堆積が抑制されランレングスを延長できることを見出した。
そこで、本発明は原料油を精留塔で分離された留出油との熱交換によって予熱する熱交換器と、予熱された原料油を加熱する加熱炉と、加熱炉で加熱された加熱原料油が順次切り替えて導入されそれぞれ分解炭化水素とコークとを生成して分解炭化水素を精留塔へ導入する複数のコークドラムとを備え、加熱原料油の導入を第一のコークドラムに切り替えてから第二のコークドラムに切り替えるまでを1サイクルとするディレイドコーカーの加熱炉の運転方法であって、1サイクルは、原料油の通油量を1サイクルの平均通油量より低くする第一工程と、原料油の通油量を平均通油量より高くかつ平均通油量の120%以下とする第二工程と、待機中のコークドラムに分解炭化水素の一部を導入し発生する凝縮油を精留塔に導入するとともに原料油の通油量を平均通油量より低くする第三工程と、をこの順で含み、第一工程が1サイクルに所要する時間の10〜40%を占め、第二工程が1サイクルに所要する時間の20〜80%を占め、第三工程が1サイクルに所要する時間の10〜40%を占めることを特徴とする。
かかるディレイドコーカーの加熱炉の運転方法によれば、精留塔で分離された留出油の生成量の減少に伴い原料油の熱交換器出口温度が低下し加熱炉入口温度が低下する第一工程と、精留塔への凝縮油の導入に伴う留出油の温度低下により原料油の熱交換器出口温度が低下し加熱炉入口温度が低下する第三工程との加熱炉の負荷上昇を緩和することができる。これによって、TSK温度の上昇を防止し加熱炉チューブ内のコークの堆積を抑制することができる。かかる効果が得られる理由は、第一工程と第三工程との通油量を平均通油量より低くして加熱炉の負荷を低減することによるものである。
さらに、本発明では1サイクルにおける加熱炉のTSK温度の最大値と最小値の差を10℃未満とすることが好ましい。
このように加熱炉のTSK温度の最大値と最小値の差を10℃未満とすることによって、加熱炉チューブ内でのコークの堆積を十分に抑制することができる。
本発明によれば、コークドラムの切替に伴うTSK温度の上昇を防止し加熱炉チューブ内のコークの堆積を抑制することによって、ディレイドコーカーのランレングスを延長し積算通油量を増加することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書で用いる平均通油量とは特に記載が無い限り、ディレイドコーカーの1サイクルあたりの原料油の平均通油量(体積/時間、例えばkl/h)である。また、平均通油量の増減の割合は全て体積%である。
図1は、本発明の好適な実施形態にかかるディレイドコーカーの加熱炉の運転方法を適用する装置を示す全体概略図である。ディレイドコーカー1は、加熱炉10、スタブタワー12、精留塔14、熱交換器20、スイッチバルブ22、2基のコークドラム16、18及びその他付帯設備で構成される。
原料油は、常圧蒸留装置の塔底油、減圧蒸留装置の塔底油、及び流動接触分解装置(FCC)のデカントオイルなどの重質炭化水素油が用いられる。その他に、製油所内で発生する種々の重質炭化水素油を用いることも可能である。
原料油の初期温度(ラインL1での温度)は約100〜200℃とすることができる。原料油は、精留塔14からラインL13によって抜き出される重質軽油と熱交換器20で熱交換して約250〜350℃に予熱することができる。加熱炉10の負荷低減の観点から、ラインL2における原料油の温度は高い方が望ましい。
予熱された原料油は、スタブタワー12に導入される。原料油は、スタブタワー12で低沸点留分であるガス、ナフサ、軽油等の軽質炭化水素と高沸点留分である重質炭化水素とに分離される。なお、原料油の性状が一定であれば、分離される軽質炭化水素と重質炭化水素の割合は通常一定とすることができる。
ラインL3によってスタブタワー12から抜き出された重質炭化水素は、加熱炉10で加熱される。加熱炉で加熱された重質炭化水素はスイッチバルブ22によってコークドラム16(又は18)に導入される。
コークドラム16では、加熱された重質炭化水素を熱分解することによって、ガス、ナフサ、軽油留分などを含む分解炭化水素とコークとを生成する。生成した分解炭化水素はスタブタワー12に導入される。
スタブタワー12の塔頂部からラインL10で抜き出される軽質炭化水素は、精留塔14に導入される。精留塔14は軽質炭化水素を分離して留出油を生成する。留出油としては、ガス・ナフサと、軽質軽油と、重質軽油とがある。これらの留出油は各燃料油のブレンド基材または後続の装置の原料として用いることができる。
精留塔14の塔底部からラインL13によって抜き出される重質軽油は、熱交換器20で原料油と熱交換して後続のタンクなどに送られる。
<加熱炉の運転>
次に加熱炉の運転について説明する。加熱炉10は、スタブタワー12の塔底部からL3によって抜き出される重質炭化水素を加熱する。加熱炉10の出口側のラインL4における重質炭化水素の温度は、後段のコークドラム16,18において熱分解反応するために必要な温度であり、通常約400〜600℃とすることができる。この温度は、所望の分解炭化水素収率とコーク性状を得るために原料油の性状に応じて最適値に調整される。
加熱炉のTSK温度は、運転時間の経過に伴い加熱炉のチューブ内にコークが徐々に堆積するため徐々に上昇する。TSK温度がチューブ材質の制約によって設定された上限値に到達したら、ディレイドコーカー1の運転を停止して加熱炉10のチューブの清掃を行う必要がある。ディレイドコーカー1の運転開始からTSK温度が該上限値に到達するまでの運転期間がランレングスとなる。
加熱炉チューブ内のコークの堆積量はTSK温度が高くなると増加する。このため、ランレングスを延長して積算通油量を増加するためには、TSK温度を極力低くすることが必要である。
<コークドラムの運転>
次にコークドラムの運転について説明する。本実施形態ではコークドラム16とコークドラム18の二基のコークドラムを備えている。二基のコークドラムには加熱炉10で加熱された重質炭化水素が交互に導入される。
コークドラム16に加熱炉10で加熱された重質炭化水素が導入され所定量のコークが堆積したら、スイッチバルブ22を操作して重質炭化水素の導入を待機していたコークドラム18に切り替える。切替(SW)後、コークが堆積したコークドラム16を所定温度まで冷却してコークを取り出す。コークドラム18に所定量のコークが堆積したら、スイッチバルブ22を操作して重質炭化水素の導入を待機していたコークドラム16に切り替える。以上のコークドラム切替操作を繰り返し実施する。
重質炭化水素の導入を、コークドラム16(18)からコークドラム18(16)に切り替えてから次にコークドラム18(16)から16(18)に切り替えるまでを1サイクルといい、1サイクルに所要する時間をサイクル時間という。1サイクルは、サイクル時間の10〜40%を占める第一工程と、20〜80%を占める第二工程と、10〜40%を占める第三工程を含む。第一工程及び第三工程の時間は各々独立に設定することができる。
1サイクルにおいて、各工程は第一工程、第二工程及び第三工程の順に実施される。第三工程終了後、次の1サイクルの第一工程、第二工程及び第三工程が実施される。このように1サイクルが繰り返し実施されることによって、ディレイドコーカーは継続的に運転される。
次に第一工程から第三工程の各工程について説明する。
<第一工程>
第一工程は1サイクルの最初に行われる工程である。第一工程ではコークドラム16(18)に重質炭化水素の導入を開始する。コークドラム16(18)への重質炭化水素の導入開始直後は、コークドラム16(18)の温度が低いため分解炭化水素の時間あたりの生成量が減少する。このため、スタブタワー12を経由してラインL10によって精留塔14に導入される分解炭化水素の量が減少する。これに伴い、ラインL13で抜き出される留出油である重質軽油の量が他の工程よりも例えば約40〜60体積%減少し、この重質軽油との熱交換によって予熱される原料油の熱交換器20の出口温度が低下する。その結果、重質炭化水素の加熱炉10の入口温度が低下する。
本実施形態では、第一工程においてラインL1から供給する原料油の通油量を平均通油量より下げて加熱炉10の負荷を低減している。このため、重質炭化水素の加熱炉の入口温度が低下しても加熱炉10のTSK温度の上昇を抑制することができる。
第一工程の原料油の通油量は、好ましくは平均通油量の80〜99%、より好ましくは平均通油量の90〜98%とすることができる。第一工程の原料油の通油量を過度に減少すると、他の工程の通油量を過度に上げることになる。この場合、他の工程での加熱炉負荷が増大しTSK温度が上昇する傾向がある。一方、第一工程の原料油の通油量の減少量があまりに過小であると、本発明の効果があまり得られない傾向がある。なお、第一工程の原料油の通油量の平均値が上記範囲を満足していればよく、一時的に通油量が上記範囲外となっても構わない。
<第二工程>
第二工程の原料油の通油量は平均通油量よりも高いため、第一工程よりも通油量を上げる必要がある。第二工程の原料油の通油量は、他工程の通油量と各工程の時間に応じて調整することができる。ただし、第二工程の原料油の通油量は平均通油量の120%以下にする必要がある。第二工程の通油量が平均通油量の120%を超えると、第二工程の原料油の通油量が過度に増えすぎて加熱炉負荷が増大しTSK温度が上昇するため好ましくない。なお、第二工程の原料油の通油量の平均値が上記範囲を満足していればよく、一時的に通油量が上記範囲外となっても構わない。
<第三工程>
第三工程では第二工程よりも通油量を下げて、平均通油量よりも原料油の通油量を低くする。第三工程の原料油の通油量は第一工程の通油量と同一である必要はなく、各々独立に設定することができる。
第三工程の開始と同時又はその前後に、待機中のコークドラム18(16)に分解炭化水素を導入するガスアップ操作を実施する。分解炭化水素は、スタブタワー12及び運転中のコークドラム16(18)からラインL9(L8)によって導入される。このガスアップ操作は、待機中の冷えたコークドラム18(16)を予熱しておくことで、コークドラム18(16)への重質炭化水素導入開始直後の熱分解反応の進行を円滑にするために実施されるものである。
一方、導入された分解炭化水素は待機中のコークドラム18(16)を予熱することによって冷えた凝縮油となり、コークドラム18(16)の塔底部からラインL6(L5)で抜き出されて精留塔14の底部付近に導入される。精留塔14に導入される凝縮油の温度は精留塔14の塔底部からラインL13で抜き出される重質軽油の温度より例えば100〜200℃低い。この凝縮油の精留塔14への導入によって重質軽油の熱交換器20入口における温度が他の工程よりも低くなり、この重質軽油との熱交換によって予熱される重質炭化水素の熱交換器20の出口温度が低下する。その結果、重質炭化水素の加熱炉10の入口温度が低下する。
本実施形態では、第三工程において原料油の通油量が平均通油量より下がるので加熱炉10の負荷が低減される。このため、重質炭化水素の加熱炉の入口温度が低下しても加熱炉10のTSK温度の上昇を抑制することができる。
第三工程の原料油の通油量は、好ましくは平均通油量の80〜99%、より好ましくは平均通油量の90〜98%とすることができる。第三工程の原料油の通油量を過度に下げると、他の工程の通油量を過度に上げることとなる。この場合、他の工程での加熱炉負荷が増大しTSK温度が上昇する傾向がある。一方、第三工程の原料油の通油量の減少量があまりに過小であると、本発明の効果があまり得られない傾向がある。なお、第三工程の原料油の通油量の平均値が上記範囲を満足していればよく、一時的に通油量が上記範囲外となっても構わない。
コークの生成量は、TSK温度に依存する。本実施形態においては、第一工程及び第三工程の原料油の通油量を下げることによって加熱炉の負荷を低減しTSK温度を低減していることから、コークの生成が抑制されランレングスを延長することができる。また、運転開始から、加熱炉チューブ内のコークを除去する清掃のためにディレイドコーカーの運転を停止するまでの積算通油量を増加させることが可能となる。
サイクル時間に対する第一工程及び第三工程の時間の割合は、それぞれ10%〜40%であることが好ましく、それぞれ20〜30%であることがより好ましい。サイクル時間に対する第一工程及び第三工程の時間の割合が各々10%より短いと、加熱炉の負荷が十分に低減されず、チューブスキン温度の上昇の十分な抑制効果が得られない。サイクル時間に対する第一工程及び第三工程の時間の割合がそれぞれ40%より長いと第一工程及び第三工程の通油量が殆ど下げられないか、または第二工程で通油量を大幅に上げることになり、結果的にTSK温度が上昇することとなる。
第一工程から第三工程の各工程における原料油の通油量と時間は、上述の範囲内で任意に調整可能である。例えば、第一工程と第三工程との各運転時間をサイクル時間の10%とし、両工程の通油量を平均通油量に対して1.0%減らした場合、サイクル時間の80%を占める第二工程では平均通油量に対して通油量を0.25%増やすことができる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態にかかるディレイドコーカー1は二基のコークドラム16(18)を備えるが、本発明は三基以上のコークドラムを備える場合でも適用可能である。
上記実施形態にかかるディレイドコーカー1はスタブタワー12を備えるが、スタブタワー12はなくても良い。この場合、原料油は熱交換器で予熱された後に精留塔の底部に導入され、コークドラムで生成した分解炭化水素と接触した後に加熱炉で加熱することができる。
上記実施形態にかかるディレイドコーカー1は原料油と重質軽油とを熱交換する熱交換器20を備えるが、原料油と軽質軽油及び/又はガス・ナフサとを熱交換する熱交換器をさらに備えていてもよい。また、精留塔では上記留出油以外の留分、例えば灯油を得ることも可能である。この場合、原料油と灯油とを熱交換する熱交換器をさらに備えていてもよい。
以下に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
第一工程がサイクル時間の25%、第二工程がサイクル時間の50%、第三工程がサイクル時間の25%であるディレイドコーカーの運転を実施した。第一工程及び第三工程の原料油の通油量は平均通油量の96%とし、第二工程の原料油の通油量は平均通油量の104%とした。
(実施例2)
第一工程がサイクル時間の20%、第二工程がサイクル時間の60%、第三工程がサイクル時間の20%であるディレイドコーカーの運転を実施した。第一工程及び第三工程の原料油の通油量は平均通油量の96%とし、第二工程の原料油の通油量は平均通油量の103%とした。その他の運転条件は実施例1と同一とした。
(実施例3)
第一工程がサイクル時間の30%、第二工程がサイクル時間の40%、第三工程がサイクル時間の30%であるディレイドコーカーの運転を実施した。第一工程及び第三工程の原料油の通油量は平均通油量の90%とし、第二工程の原料油の通油量は平均通油量の115%とした。その他の運転条件は実施例1と同一とした。
(比較例1)
ディレイドコーカーの運転を原料油の通油量一定で実施した。通油量を一定としたこと以外は実施例1と同じ条件で運転を行った。
(比較例2〜4)
第一工程〜第三工程の1サイクルに占める時間の割合と各工程の平均通油量に対する通油量割合とを表1に示すとおりに変更したこと以外は実施例1と同じ条件で運転を行った。
表1に各実施例、比較例の運転の実施結果を示す。
(チューブスキン温度変動の評価)
図2は、実施例1及び比較例1〜4の第一工程から第三工程の各工程の時間割合と、通油量の経時変化と、TSK温度の経時変化とを示す図である。なお、実施例1〜3及び比較例1〜4の平均通油量は同一である。また、TSK温度のグラフは、実施例1及び比較例1〜4のTSK温度のベースラインを合わせて比較したものである。
ΔTが比較例1では10℃であったのに対し、実施例1では5℃、実施例2では7℃、実施例3では9℃と小さくすることができた(表1)。この理由は、実施例1〜3では分解炭化水素の発生が少なく重質炭化水素の加熱炉入口温度が下がる第一工程、及び凝縮油の発生により原料油の加熱炉入口温度が下がる第三工程の通油量を平均通油量の90〜96%にして加熱炉負荷を低減したためである。
第二工程の原料油の通油量を平均通油量の121%とした比較例2では、第二工程での加熱炉負荷が上昇したためΔTが10℃であった。
サイクル時間に対する第一工程と第三工程の時間の割合をそれぞれ5%とした比較例3では、通油量を下げる第一工程と第三工程の時間が短すぎたために第一工程及び第三工程での加熱炉の負荷を低減できず、ΔTが11℃であった。
サイクル時間に対する第一工程と第三工程の時間の割合をそれぞれ45%と高くした比較例4では、ΔTが11℃であった。この理由は次の通りと考えられる。原料油の通油量が減少している第一工程及び第三工程の時間が長いため、精留塔底部からの重質軽油の量が減少する。これに伴い第一工程及び第三工程での熱交換器における原料油と重質軽油との熱交換の効率が低下し原料油の熱交換器出口温度が実施例1〜3より低下してしまう。その結果、加熱炉入口温度が低下して加熱炉の負荷が増加しΔTが上昇すると考えられる。
図3は実施例1と比較例1のTSK温度の変化を比較するための図である。実施例1の方が比較例1よりもTSK温度の変動が小さくTSK温度の上昇が抑制されて、SW間の1サイクルのTSK温度の最大値と最小値の差が小さくなっていることが確認された。
(ランレングスと積算通油量の評価)
図4は、ΔTとランレングスの関係を示す図である。加熱炉TSK温度が加熱炉チューブの材質上の制限温度に到達するまでの期間をランレングスとして測定した。加熱炉チューブの材質によって制限温度は変わるが、全ての実施例及び比較例について同一のチューブ材質及び制限温度で運転を実施した。ΔTが5℃である実施例1は、ΔTが10℃である比較例1の1.18倍のランレングスであった。したがって、実施例1の積算通油量は比較例1の1.18倍とすることができた。
比較例2はΔTが10℃で比較例1と同一であった。比較例3と4はΔTが11℃であり、比較例1よりもランレングスが短くなった。
(油収率の評価)
実施例1〜3及び比較例1〜4の油収率(体積%)を表1に示す。油収率は、原料油の通油量に対して、精留塔から留出するガス中のLPG、ナフサ、軽質軽油及び重質軽油の合計量の体積%で表される。実施例1〜3及び比較例1〜4のいずれも油収率は75.3%で同一であった。
Figure 0004865461
本発明の好適な実施形態にかかるディレイドコーカーの加熱炉の運転方法を適用する装置を示す全体概略図である。 実施例1及び比較例1〜4の第一工程から第三工程の各工程の時間割合と、通油量の経時変化と、TSK温度の経時変化とを示す図である。 実施例1と比較例1のTSK温度の変化を比較するための図である。 ΔTとランレングスの関係を示す図である。
符号の説明
1…ディレイドコーカー、10…加熱炉、12…スタブタワー、14…精留塔、16,18…コークドラム、20…熱交換器、22…スイッチバルブ。

Claims (2)

  1. 原料油を精留塔で分離された留出油との熱交換によって予熱する熱交換器と、予熱された前記原料油を加熱する加熱炉と、前記加熱炉で加熱された加熱原料油が順次切り替えて導入されそれぞれ分解炭化水素とコークとを生成して前記分解炭化水素を前記精留塔へ導入する複数のコークドラムとを備え、前記加熱原料油の導入を第一のコークドラムに切り替えてから第二のコークドラムに切り替えるまでを1サイクルとするディレイドコーカーの加熱炉の運転方法であって、
    前記1サイクルは、前記原料油の通油量を前記1サイクルの平均通油量より低くする第一工程と、前記原料油の通油量を前記平均通油量より高くかつ前記平均通油量の120%以下とする第二工程と、待機中の前記コークドラムに前記分解炭化水素の一部を導入し発生する凝縮油を前記精留塔に導入するとともに前記原料油の通油量を前記平均通油量より低くする第三工程と、をこの順で含み、
    前記第一工程が前記1サイクルに所要する時間の10〜40%を占め、前記第二工程が前記1サイクルに所要する時間の20〜80%を占め、前記第三工程が前記1サイクルに所要する時間の10〜40%を占めることを特徴とする、ディレイドコーカーの加熱炉の運転方法。
  2. 前記1サイクルにおける、前記加熱炉のチューブ表面温度の最大値と最小値の差が10℃未満である、請求項1記載のディレイドコーカーの加熱炉の運転方法。
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