以下に、本願発明を具体化した実施形態について、農作業用トラクタを図面に基づき説明する。図1〜図8に示す如く、トラクタ1の走行機体2は、走行部としての左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持されている。左右一対の後車輪4が後方走行部に相当するものである。走行機体2の前部にディーゼルエンジン5(以下、単にエンジンという)を搭載し、後車輪4または前車輪3をエンジン5で駆動することによって、トラクタ1が前後進走行するように構成されている。エンジン5はボンネット6にて覆われている。走行機体2の上面にはキャビン7が設置される。該キャビン7の内部には、操縦座席8と、前車輪3を操向操作する操縦ハンドル9とが配置されている。キャビン7の左右外側には、オペレータが乗降するステップ10が設けられている。エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11がキャビン7底部の下側に設けられている。
走行機体2は、前バンパー12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム14と、エンジンフレーム14の後部に着脱自在に固定した左右の機体フレーム15とにより構成されている。前車軸ケース13の左右両端側から外向きに、前車軸16を回転可能に突出させている。前車軸ケース13の左右両端側に前車軸16を介して前車輪3を取り付けている。機体フレーム15の後部には、エンジン5からの回転動力を適宜変速して前後四輪3,3,4,4に伝達するためのミッションケース17を連結している。左右の機体フレーム15及びミッションケース17の下面側には、左右外向きに張り出した底面視矩形枠板状のタンクフレーム18をボルト締結している。実施形態の燃料タンク11は左右2つに分かれている。タンクフレーム18の左右張り出し部の上面側に、左右の燃料タンク11を振り分けて搭載している。ミッションケース17の左右外側面には、左右の後車軸ケース19を外向きに突出するように装着している。左右の後車軸ケース19には左右の後車軸20を回転可能に内挿している。ミッションケース17に後車軸20を介して後車輪4を取り付けている。左右の後車輪4の上方は左右のリヤフェンダー21によって覆われている。
ミッションケース17の後部には、例えばロータリ耕耘機などの対地作業機(図示省略)を昇降動させる油圧式昇降機構22を着脱可能に取付けている。前記対地作業機は、左右一対のロワーリンク23及びトップリンク24からなる3点リンク機構111を介してミッションケース17の後部に連結される。ミッションケース17の後側面には、ロータリ耕耘機等の対地作業機にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸25を後向きに突設している。
エンジン5の後側面から後向きに突設するエンジン5の出力軸(ピストンロッド)には、フライホイル26(図4〜図6、図10及び図11参照)を連結している。両端に自在軸継手を有する動力伝達軸29を介して、フライホイル26から後ろ向きに突出した主動軸27と、ミッションケース17前面側から前向きに突出した主変速入力軸28とを連結している(図4〜図6参照)。図13に示す如く、ミッションケース17の内部には、油圧無段変速機500、前後進切換機構501、走行変速ギヤ機構502,503,504及び後輪用差動ギヤ機構506などを配置している。エンジン5の回転動力は、主動軸27及び動力伝達軸29を経由してミッションケース17の主変速入力軸28に伝達され、油圧無段変速機500及び走行変速ギヤ機構によって変速され、当該変速動力が後輪用差動ギヤ機構506を介して左右の後車輪4に伝達されるように構成している。
ミッションケース17の前面下部から前向きに突出した前車輪出力軸30には、前車輪駆動軸31を介して、前輪用差動ギヤ機構507を内蔵する前車軸ケース13から後向きに突出した前車輪伝達軸508を連結している。ミッションケース17内の油圧無段変速機500及び走行変速ギヤ機構(二駆四駆切換機構504)による変速動力は、前車輪出力軸30、前車輪駆動軸31及び前車輪伝達軸508から前車軸ケース13内の前輪用差動ギヤ機構507を経由して、左右の前車輪3に伝達されるように構成している。
次に、図3、図7及び図8等を参照しながら、キャビン7内部の構造を説明する。キャビン7内における操縦座席8の前方にステアリングコラム32を配置している。ステアリングコラム32は、キャビン7内部の前面側に配置したダッシュボード33の背面側に立設している。ステアリングコラム32上面から上向きに突出したハンドル軸の上端側に、平面視略丸型の操縦ハンドル9を取付けている。
ステアリングコラム32の右側下方側には、走行機体2を制動操作するための左右一対のブレーキペダル35を配置している。ステアリングコラム32の左側上方側には、走行機体2の進行方向を前進と後進とに切り換え操作するための前後進切換レバー36(リバーサレバー)を配置している。ステアリングコラム32の左側下方側には、油圧無段変速機500の出力(前進低速油圧クラッチ537、前進高速油圧クラッチ539、後進油圧クラッチ541)を遮断操作するためのクラッチペダル37を配置している。なお、クラッチペダル37の足踏み操作にてマスター制御電磁弁635がオン操作され、油圧無段変速機500の前進出力または後進出力が切断される(図14参照)。
ステアリングコラム32の左側で前後進切換レバー36の下方には、前後進切換レバー36に沿って延びる誤操作防止体38(リバーサガード)を配置している。接触防止具である誤操作防止体38を前後進切換レバー36よりも外側方に突出させることによって、トラクタ1に乗降する際に、オペレータが前後進切換レバー36に不用意に接触するのを防止している。ダッシュボード33の背面上部側には、液晶パネルを内蔵した操作表示盤39を設けている。
キャビン7内にある操縦座席8前方の床板40においてステアリングコラム32の右側には、エンジン5の回転速度または車速などを制御するアクセルペダル41を配置している。なお、床板40上面の略全体は平坦面に形成している。操縦座席8を挟んで左右両側には左右のサイドコラム42を配置している。操縦座席8と左サイドコラム42との間には、左右の後車輪4を制動状態に維持する駐車ブレーキレバー43と、トラクタ1の前進走行速度(車速)を強制的に大幅に低減させる超低速レバー44(クリープ作業レバー)と、ミッションケース17内の走行副変速ギヤ機構503の出力範囲を切換える副変速レバー45と、PTO軸25の駆動速度を切換操作するPTO変速レバー46を配置している。操縦座席8の下方には、左右の後車輪4の差動駆動をオンオフするためのデフロックペダル47を配置している。操縦座席8の後方左側には、PTO軸25を逆転駆動させる操作を実行する逆転PTOレバー48を配置している(図10参照)。
操縦座席8と右サイドコラム42との間には、操縦座席8に着座したオペレータの腕や肘を載せるためのアームレスト49を設けている。アームレスト49は、トラクタ1の走行速度を増減速させる主変速レバー50と、ロータリ耕耘機などの対地作業機の高さ位置を手動で変更調節するダイヤル式の作業部ポジションダイヤル51(昇降ダイヤル)とを備えている。なお、アームレスト49は、後端下部を支点として複数段階に跳ね上げ回動可能な構成になっている。
右サイドコラム42には、前側から順に、エンジン5の回転速度を設定保持するスロットルレバー52と、PTO軸25からロータリ耕耘機等の作業機への動力伝達を継断操作するPTOクラッチスイッチ53と、ミッションケース17の上面側に配置する油圧外部取出バルブ430(図14参照)を切換操作するための複数の油圧操作レバー54(SCVレバー)とを配置している。ここで、油圧外部取出バルブ430は、トラクタ1に後付けされるフロントローダ等の作業機の油圧機器に作動油を供給制御するためのものである。実施形態では、油圧外部取出バルブの数(4連)に合わせて、油圧操作レバー54を4つ配置している。
さらに、図9〜図12などに示す如く、キャビン7の前側を支持する左右の前部支持台96と、キャビン7の後部を支持する左右の後部支持台97を備える。左右の機体フレーム15の機外側面のうち前後中間部に前部支持台96をボルト締結させ、前部支持台96の上面側に防振ゴム体98を介してキャビン7の前側底部を防振支持すると共に、左右方向に水平に延設させる左右の後車軸ケース19の上面のうち左右幅中間部に後部支持台97をボルト締結させ、後部支持台97の上面側に防振ゴム体99を介してキャビン7の後側底部を防振支持している。即ち、ディーゼルエンジン5とキャビン7は、走行機体2(一体的に連結されたエンジンフレーム14と機体フレーム15と後車軸ケース19)に、複数の前記防振ゴム体を介して防振支持される。また、図4及び図5などに示す如く、後車軸ケース19の上面側に後部支持台97を配置し、後車軸ケース19の下面側に振れ止めブラケット101を配置し、後部支持台97と振れ止めブラケット101をボルト締結すると共に、前後方向に延設したロワーリンク23の中間部と振れ止めブラケット101とに、伸縮調節可能なターンバックル付き振れ止めロッド体103の両端部を連結し、ロワーリンク23の左右方向の揺振を防止している。
次に、図4〜図8などを参照して、ボンネット6下のディーゼルエンジン5とエンジンルーム構造について説明する。ディーゼルエンジン5は、エンジン出力軸とピストンとを内蔵するシリンダブロック上にシリンダヘッドを搭載しており、ディーゼルエンジン5(シリンダヘッド)右側面には、エアクリーナ221にターボ過給機211を介して接続させる吸気マニホールド203と、排気マニホールド204からの排気ガスの一部を再循環させるEGR装置210を配置し、排気マニホールド204に排出された排気ガスの一部が、吸気マニホールド203に還流することによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、ディーゼルエンジン5からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減するように構成している。一方、ディーゼルエンジン5(シリンダヘッド)左側面に、テールパイプ229に接続させる排気マニホールド204と、ターボ過給機211を配置する。即ち、エンジン5においてエンジン出力軸に沿う左右側面に、吸気マニホールド203と排気マニホールド204とを振分け配置する。ディーゼルエンジン5(シリンダブロック)前面側に冷却ファン206を配置する。
加えて、図4〜図8などに示す如く、ディーゼルエンジン5は、ディーゼルエンジン5の上面側(排気マニホールド204上方)に配置する連続再生式の排気ガス浄化装置224(DPF)を備え、排気ガス浄化装置224の排気側にテールパイプ229を接続している。排気ガス浄化装置224によって、エンジン5からテールパイプ229を介して機外に排出される排気ガス中の粒子状物質(PM)が除去されると共に、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減されるように構成している。
さらに、図1〜図3などに示す如く、ボンネット6は、前部下側にフロントグリル231を有し、エンジンルーム200の上面側と前面側を覆う。ボンネット6の左右下側に、多孔板で形成した側部エンジンカバー232を配置して、エンジンルーム200左右側方を覆っている。すなわち、ボンネット6及びエンジンカバー232によって、ディーゼルエンジン5の前方、上方及び左右を覆っている。
また、図4〜図8に示すように、ファンシュラウド234を背面側に取り付けたラジエータ235を、エンジン5の前面側に位置するようにエンジンフレーム14上に立設している。ファンシュラウド234は冷却ファン206の外周側を囲っていて、ラジエータ235と冷却ファン206とを連通させている。ラジエータ235前面の上方位置にエアクリーナ221を配置している。なお、ラジエータ235前面側には、上記のインタークーラ他、オイルクーラや燃料クーラなどが設置される。
一方、図9〜図12などに示す如く、左右一対の機体フレーム15は、支持用梁フレーム236によって連結されている。支持用梁フレーム236は、左右の機体フレーム15それぞれとボルト締結して、左右の機体フレーム15の前端部(エンジン5後面側)に架設しており、防振ゴム体を有する後部機関脚体237を介して、支持用梁フレーム236上面にディーゼルエンジン5の後部を連結する。なお、図1、図2、図4、図5、図11及び図12に示すように、左右一対のエンジンフレーム14の中途部に、防振ゴム体を有する左右の前部機関脚体238を介して、ディーゼルエンジン5前部の左右側面を連結している。即ち、エンジンフレーム14にディーゼルエンジン5前側を防振支持させると共に、左右一対の機体フレーム15の前端側に支持用梁フレーム236を介してディーゼルエンジン5の後部を防振支持させている。
次に、図4〜図12を参照して、ミッションケース17、油圧式昇降機構22及び3点リンク機構111の取付け構造について説明する。前記ミッションケース17は、主変速入力軸28等を有する前部変速ケース112と、後車軸ケース19などを有する後部変速ケース113と、前部変速ケース112の後側に後部変速ケース113の前側を連結させる中間ケース114を備えている。中間ケース114の左右側面に左右の上下機体連結軸体115,116を介して左右の機体フレーム15の後端部を連結する。即ち、2本の上機体連結軸体115と、2本の下機体連結軸体116にて、中間ケース114の左右両側面に左右の機体フレーム15の後端部を連結させ、機体フレーム15とミッションケース17を一体的に連設して、走行機体2の後部を構成すると共に、左右の機体フレーム15の間に前部変速ケース112または動力伝達軸29などを配置して、前部変速ケース112などを保護するように構成している。左右の後車軸ケース19は、後部変速ケース113の左右両側に外向きに突出するように取り付けている。実施形態では、中間ケース114及び後部変速ケース113を高剛性の鋳鉄製にする一方、前部変速ケース112を軽量かつ加工性良好なアルミダイキャスト製にしている。
上記の構成によると、ミッションケース17を、前部変速ケース112、中間ケース114及び後部ケース113の三者に分割して構成しているから、各ケース112〜114に軸やギヤ等の部品を予め組み込んでから、前部変速ケース112、中間ケース114及び後部変速ケース113の三者を組み立てできる。従って、ミッションケース17の組み立てを正確に且つ能率よく行える。
また、左右の後車軸ケース19を後部変速ケース113の左右両側に取付け、走行機体2を構成する左右の機体フレーム15に、前部変速ケース112と後部変速ケース113とをつなぐ高剛性構造の中間ケース114を連結しているから、例えば中間ケース114及び後部変速ケース113を機体フレーム15に取付けた状態で、前部変速ケース112だけを取外して、油圧無段変速機(図示省略)などが内設された前部変速ケース112内部の軸やギヤの交換などのメンテナンスまたは修理作業を実行できる。従って、ミッションケース17全体をトラクタ1から取外す分解作業の頻度を格段に低くでき、メンテナンス時や修理時の作業性の向上を図れる。
更に、中間ケース114及び後部変速ケース113を鋳鉄製にする一方、前部変速ケース112をアルミダイキャスト製にしているから、機体フレーム15に連結される中間ケース114と、左右の後車軸ケース19が連結される後部変速ケース113とを、走行機体2を構成する強度メンバーとして高剛性に構成できる。その上で強度メンバーではない前部変速ケース112を軽量化できる。従って、走行機体2の剛性を十分に確保しつつ、ミッションケース17全体としての軽量化を図れる。
一方、図4〜図12に示すように、油圧式昇降機構22は、作業部ポジションダイヤル51等の操作にて作動制御する左右の油圧リフトシリンダ117と、ミッションケース17のうち後部変速ケース113上面側に設ける開閉可能な上面蓋体118にリフト支点軸119を介して基端側を回動可能に軸支する左右のリフトアーム120と、左右のロワーリンク23に左右のリフトアーム120を連結させる左右のリフトロッド121を有している。右のリフトロッド121の一部を油圧制御用の水平シリンダ122にて形成し、右のリフトロッド121の長さを水平シリンダ122にて伸縮調節可能に構成している。
なお、図7、図8及び図10などに示す如く、上面蓋体118の背面側にトップリンクヒンジ123を固着し、トップリンクヒンジ123にヒンジピンを介してトップリンク24を連結する。トップリンク24と左右のロワーリンク23に対地作業機を支持した状態下で、水平シリンダ122のピストンを伸縮させて、右のリフトロッド121の長さを変更した場合、前記対地作業機の左右傾斜角度が変化するように構成している。
次に、図1、図2、図13〜図22を参照しながら、キャビン7の詳細構造について説明する。走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7は骨組を構成するキャビンフレーム300を備えている。キャビンフレーム300は、操縦座席8の前方に位置する左右一対の前支柱301と、操縦座席8の後方に位置する左右一対の後支柱302と、前支柱301同士の上端部間を連結する前梁部材303と、後支柱302同士の上端部間を連結する後梁部材304と、前後に並ぶ前支柱301と後支柱302との上端部間を連結する左右の側梁部材305とを備えた略箱枠状のものである。キャビンフレーム301の上端側、すなわち前梁部材303、後梁部材304及び左右の側梁部材305で構成した矩形枠上には屋根体306を着脱可能に取付けている。
なお、前支柱301と後支柱302の下端側には、前後に延びる左右の底フレーム311の長手方向各端部を連結している。左右の底フレーム311上面側に床板40を張設させ、床板40前端側にダッシュボード33を立設させ、ダッシュボード33の後面側にステアリングコラム32を介して操縦ハンドル9を装設している。床板40の前部上面側にブレーキペダル35などが配設されると共に、床板40の後部上面側に操縦座席8が取付けられている。
キャビンフレーム300の前面側、すなわち左右の前支柱301、前梁部材303及び床板40前端部で囲まれるキャビン7前部の領域には、フロントウインドウガラス321を配置している。キャビンフレーム300の後面側、すなわち左右の後支柱302と後梁部材304で囲まれるキャビン7後側上部の領域には、リヤウインドウガラス322を配置している。キャビンフレーム300の左右側面側、すなわち前後に並ぶ前支柱301及び後支柱302で囲まれるキャビン7側部の領域には、透明なガラスで構成した左右のサイドドア323を配置している。各サイドドア323は、対応する後支柱302に上下一対のヒンジ324を介して開閉可能に取付けている。リヤウインドウガラス322は、後梁部材304に左右一対の蝶番を介して開閉可能(跳ね上げ回動可能)に取り付けている。
フロントウインドウガラス321、リヤウインドウガラス322及び左右のサイドドア323の配置構造から明らかなように、各支柱301,302及び各梁部材303,304,305は、キャビン7(キャビンフレーム300)の側辺部に位置している。即ち、キャビンフレーム300の前後左右側面に窓を広く取ることが可能になっている。実施形態では、キャビンフレーム300の前後左右側面に、フロントウインドウガラス321、リヤウインドウガラス322、透明なガラス製の左右のサイドドア323を配置している。その結果、オペレータの前後左右の視界を広く確保できるものでありながら、キャビンフレーム300の剛性も確保できる。
次に、図13〜図18を参照しながら、屋根体306構造について説明する。キャビンフレーム301の上端側に取り付けた屋根体306は、外装であるルーフ本体361と、ルーフ本体361前側に配置するフロントカバー362と、後梁部材304よりも後方に突出したルーフ本体361後側に配置するリヤカバー363を備える。ルーフ本体361は、合成樹脂のブロー成形加工にて内部を中空状に構成している。キャビン7上面側の屋根体306は、ルーフ本体361と、フロントカバー362と、リヤカバー363を有し、キャビン7上面の略全域を覆うルーフ本体361と、ランプカバーとしてのフロントカバー362及びリヤカバー363とに、屋根体306を分割構成している。
また、ルーフ本体361の後部側が後梁部材304より後方に延びている。フロントカバー362の凹部334に前照灯333を内設させ、ルーフ本体361に対してフロントカバー362と前照灯333の前照灯支持ステー331をボルト332にて共締め固定し、前照灯333のランプカバーとしてフロントカバー362を形成すると共に、リヤカバー363の凹部339に後照灯337を内設させ、ルーフ本体361に対してリヤカバー363と後照灯337の後照灯支持ステー335をボルト336共締め固定し、後照灯337のランプカバーとして前記リヤカバー363を形成するように構成している。なお、夜間作業などにおいて、左右の前照灯333は、トラクタ1の前方を照らす一方、左右の後照灯337は、トラクタ1の後方(作業機等)を照らすものである。
屋根体306のうちルーフ本体361の後部(リヤカバー363配置側)には、キャビン7内の空調を管理する空気調和機364を収容している。空気調和機364は、エンジン5の冷却水を利用した暖房や、エンジンによって駆動するコンプレッサ、コンデンサ及びエバポレータ等を利用した冷房によって、キャビン7内の空調(室内温度)を調節するものである。後梁部材304上部から後方に向けて突出したルーフ本体361後側内部に空気調和機364を配置することによって、キャビン7の全高が必要以上に高くなるのを防いでいる。後梁部材304に空調ケース360を上載固定する。上向き開口状の四角箱形状に空調ケース360を形成し、空調ケース360内部に上方から空気調和機364を設置させる。側梁部材305にルーフ本体361を締結したボルト346(図16参照)を離脱させ、ルーフ本体361を取外すことによって、空調ケース360内部が上方に開放され、空気調和機364のメンテナンス等が行われるように構成している。
図15に示す如く、前記リヤカバー363は、底板部363aと、背面板部363bと、上面板部363cを有し、前記底板部363aと上面板部363cの上下幅寸法と、前記ルーフ本体361の後部の上下幅寸法を略一致させ、前記キャビンフレーム300後部から後方に突設させた前記ルーフ本体361の後部に、後方側から前記リヤカバー363を嵌着させるように構成している。上面板部363cの前端縁に3本の長溝363dを形成し、3本の長溝363dに貫通させる3本のボルト359にて、ルーフ本体361後部に上面板部363c前端縁を締結固定する。3本のボルト359を緩めて、リヤカバー363を後方に移動させて離脱可能に構成している。
ルーフ本体361の左右側部は、左右内側に向かう斜め下向きに切り落とした傾斜面に形成している。ルーフ本体361(屋根体306)の側部に外気取入れ口366を形成している。外気取入れ口366は、空調ケース360の左側壁部に形成した連通口358を介して、リヤカバー363内の空気調和機364に左側方から臨ませている。外気取入れ口366には、格子状の通気枠体367を装着している。キャビン7のルーフ本体361側面に固定する外周枠部367aと、外周枠部367aにて形成する開口と相似形の邪魔板形状部367bと、外周枠部367aの開口縁に邪魔板形状部367bの外周縁を連結させる複数の横桟状体367cとを、合成樹脂成形加工にて一体形成して、通気枠体367を構成している。通気枠体367の中央部に、外気取入れ口366と略同じ大きさの邪魔板形状部367bを形成すると共に、邪魔板形状部367bの側縁に横桟状体367cを等間隔に配置し、各横桟状体367cの間に外気吸込みスリット367dを形成している。
加えて、外周枠部367aにて形成する開口と相似形のフィルタ支持枠部367eが通気枠体367の内側面に形成され、外気取入れ口366に嵌挿させるフィルタ支持枠部367eに外側フィルタ396が取付けられている。また、ルーフ本体361の外気取入れ口366開口縁に、通気枠体367の外周枠部367aを着脱可能にボルト397締結すると共に、リヤカバー363の左側壁部に形成した連通口358には除塵用の内側フィルタ357を取付けている。
上記の構成により、外気吸込みスリット367d、外側フィルタ396(外気取入れ口366)、内側フィルタ357(連通口358)を介して、空調ケース360内部の空気調和機364に外気を取込む。ルーフ本体361から通気枠体367を取外して、外側フィルタ396の掃除などを実行する。なお、内側に向かう斜め下向きの傾斜面に形成したルーフ本体361の左側面を内方に窪ませて、ルーフ本体361の左側面に通気枠体取付け用凹部361aを形成し、通気枠体取付け用凹部361aに外気取入れ口366を開設させ、通気枠体取付け用凹部361aに、ルーフ本体361左側外方に露出する通気枠体367の外側部を内設している。
図14に示すように、屋根体306とキャビンフレーム300の前部上端側との間には、キャビン7内外に連通する連通口部450を形成している。実施形態では、ルーフ本体361の下面前部と前梁部材303との間に、左右横長の連通口部450を形成している。前梁部材303の上面側には、軟質弾性材(例えば発泡ゴム系や発泡ウレタン系等)製である左右横長の内圧調整体451を貼り付けて設けている。内圧調整体451の前縁側は前梁部材の上面から前向きにはみ出すように延びていて、当該前向きのはみ出し部分は、上下方向に撓み変形可能な舌片状部451aになっている。内圧調整体451の舌片状部451aがルーフ本体361と前梁部材303との間の連通口部450を開閉可能に塞いでいる。
通常は舌片状部451aが閉じていて、キャビン7内の気密性が保たれている。サイドドア323やリヤウインドウガラス322の閉止時は、キャビン7内の空気が急激に圧縮されてキャビン7内圧が高まるため、内圧調整体451の舌片状部451aが開いてキャビン7内の空気が外部に放出され(エア抜きがなされ)、キャビン内7が正圧状態に保持される。
図14に示すように、連通口部450及び内圧調整体451の舌片状部451aは、ルーフ本体361前側に配置するフロントカバー362よりも後方に位置している。実施形態のフロントカバー362は、フロントウインドウガラス321の前面上縁部に前方から被さるように、ルーフ本体361の下面前端側に吊り下げ状態で取り付いている。フロントカバー362とフロントウインドウガラス321との間には、キャビン7外に通ずる下向き経路452(隙間)が空いている。連通口部450と下向き経路452とは連通している。このため、連通口部450は下向き経路452を介してキャビン7外に通じている。
上記の記載並びに図14から明らかなように、前記屋根体306と前記キャビンフレーム300の前部上端側との間に、前記キャビン7内外に連通する連通口部450を形成し、前記連通口部450は、前記キャビン7の内圧増加時に前記連通口部450を開放する内圧調整体451によって塞がれているから、例えば前記サイドドア323やリヤウインドウガラス322を閉止するときのような前記キャビン7の内圧増加時には、前記内圧調整体451で前記連通口部450を開放して、前記キャビン7内の空気を外部に放出でき、前記キャビン7内を正圧状態に保持し易い。その結果、前記キャビン7に設けた前記サイドドア323や前記リヤウインドウガラス322のような開閉部材をスムーズに閉止できる。
また、前記連通口部450は、前記ルーフ本体361と前記キャビンフレーム300の前部上端側との間に位置していて、前記キャビン7の前面側に配置したフロントウインドウガラス321と前記フロントカバー362との間の下向き経路452から前記キャビン7外に通じているから、前記連通口部450自体は、前記ルーフ本体361と前記フロントカバー362と前記フロントウインドウガラス321とで囲われることになり、前記連通口部450を経由して前記キャビン7内に雨水等が侵入するのを的確に防止できる。
次に、図19〜図23を参照して、キャビン7左右側部の左右一対のサイドドア323構造の詳細について説明する。キャビンフレーム300の左右側面側には、キャビン7左右側部のオペレータ乗降部を開閉可能に塞ぐサイドドア323として、透明な一枚ガラス製のサイドドアガラス体325を配置している。サイドドアガラス体325(サイドドア323)の前後幅広上部の後端側は、対応する後支柱302に上下一対のヒンジ324を介して開閉可能に取付けている。サイドドアガラス体325(サイドドア323)の前後幅広上部の前部下側には、当該サイドドア323をロック状態とロック解除状態とに切換える開閉取手部材400を設けている。開閉取手部材400外面側の把手を操作して、開閉取手部材400をロック状態からロック解除動作させ、サイドドア323を開閉させる。サイドドアガラス体325の内面側には、サイドドアガラス体325(サイドドア323)の強度を高める側面視C字状のサイドドアフレーム402を配置している。
サイドドアフレーム402は、サイドドアガラス体325の前後幅広上部の上端側に沿って前後向きに延びる上ドアフレーム部402aと、サイドドアガラス体325の前後幅広上部と前後幅狭下部を区画するように前後向きに延びる下ドアフレーム部402bと、サイドドアガラス体325の前後幅広上部の後端側に沿って延びる横ドアフレーム部402cを有している。下ドアフレーム部402bはサイドドア323内面の上下中途部(サイドドアガラス体325の前後幅広上部と前後幅狭下部の境界部)に位置している。実施形態では、サイドドア323上部側の前後幅広上部を囲うようにサイドドアフレーム402が位置している。
サイドドアフレーム402は、開閉取手部材400と上下一対のヒンジ324とに連結している。実施形態では、下ドアフレーム部402bの前端側を開閉取手部材400に連結している。下ドアフレーム部402b後端側と横ドアフレーム部402c下端側の連結コーナ部を下ヒンジ324に連結し、上ドアフレーム部402a後端側と横ドアフレーム部402c上端側の連結コーナ部を上ヒンジ324に連結している。すなわち、開閉取手部材400及び上下一対のヒンジ324とサイドドアフレーム402とによってサイドドアガラス体325の前後幅広上部を支持している。上ドアフレーム部402aの前端側は、サイドドアガラス体325の前後幅広上部の前端部上側にボルト404連結している。
下ドアフレーム部402bの前後中途部、すなわち、下ドアフレーム部402bのうち操縦座席8に着座したオペレータの手が届く部位には、手で握ることで開閉取手部材400をロック解除の方向に切換操作するグリップ体406を設けている。グリップ体406は、下ドアフレーム部402bに内装したワイヤ部材を介して
開閉取手部材400に連動連結している。例えば下ドアフレーム部402bごとグリップ体406を握れば、ワイヤ部材を介して開閉取手部材400がロック解除方向に切換作動する。その結果、グリップ体406を握ることによって、開閉取手部材400がロック解除されると共に、キャビン7内部のオペレータがサイドドア323を外向きに押すことによって、スムーズにサイドドア323が開放回動する。
また、図19〜図22に示す如く、サイドドア323に設けるサイドドアフレーム402を単一パイプ折曲形状に形成し、サイドドアフレーム402は、単一のパイプを折曲させて形成する上ドアフレーム部402aと下ドアフレーム部402bと横ドアフレーム部402cを有すると共に、下ドアフレーム部402bの中間から斜め前方下方に向けて延設させる枝フレーム403を備え、サイドドアガラス体325の前後幅狭下部の後端側に枝フレーム403の下端側をボルト405連結している。即ち、サイドドア323が形成されるサイドドアガラス体325を、前記サイドドアフレーム402と枝フレーム403にて5点支持している。
さらに、図22に示す如く、枝フレーム403の上端側をプレス加工にて上下方向に長い端面楕円形状に形成し、枝フレーム403上端側の楕円形状端面403aの上面を扁平に形成し、下ドアフレーム部402b中間の下面に楕円形状端面403aの扁平上面を当接させ、下ドアフレーム部402b下面に楕円形状端面403aの扁平上面を溶接加工406にて一体的に固着している。即ち、下ドアフレーム部402bの中間に枝フレーム403の端面楕円形状の上端を溶接固定し、斜め前方下方に向けて枝フレーム403の下端側を延設させ、サイドドアガラス体325の前後幅狭下部の下端側に枝フレーム403の下端部を連結させ、サイドドアガラス体325の前後幅狭下部を枝フレーム403にて補強するように構成している。
図21〜図23に示すように、サイドドアガラス体325の周縁部には、弾性ゴム製等のウェザーストリップ453をサイドドアガラス体325の全周にわたって貼り付けている。サイドドアガラス体325内面側には、塗装又はテープ製の目隠し部454をウェザーストリップ453の内周側を囲うように設けている。当該目隠し部454には、発泡ウレタン製等の吸音材455を接着剤等で貼り付けている。従って、ウェザーストリップ453と同様に、吸音材455もサイドドアガラス体325の全周にわたって張り付いている。
サイドドア323を閉止した状態では、ウェザーストリップ453及び吸音材455の両方がキャビンフレーム300に外側から当接する。具体的には、ウェザーストリップ453及び吸音材455のうちサイドドアガラス体325の前縁側に対応した部分は前支柱301に当接し、サイドドアガラス体325の上縁側に対応した部分は側梁部材305に当接し、サイドドアガラス体325の後縁側に対応した部分は後支柱302に当接する。サイドドアガラス体325の下縁側に対応した部分は、前支柱301の下端側と後支柱302の下端側とを連結するフェンダフレーム456(図21及び図22参照)に当接する。
上記の構成によると、サイドドア323閉止時にキャビンフレーム300に当接する吸音材455の存在によって、外部からサイドドアの外周側を経由してキャビン7内に騒音等が侵入するのを効果的に抑制でき、キャビン7の防音機能を向上できる。
図1及び図13〜図17に示す如く、走行機体2に装設させる操縦座席8が内設されるキャビン7を備え、キャビン7は、骨組を構成するキャビンフレーム300と、キャビン7の上部を塞ぐ屋根体306と、キャビン7の左右側部を開閉可能に塞ぐサイドドア323とを有する作業車両において、キャビン7上面側の屋根体306は、ルーフ本体361と、フロントカバー362と、リヤカバー363を有し、キャビン7上面の略全域を覆うルーフ本体361と、ランプカバーとしてのフロントカバー362及びリヤカバー363とに、屋根体306を分割構成している。したがって、フロントカバー362とリヤカバー363にて、ルーフ本体361の前面側と後面側の開口を閉塞するように構成でき、屋根体306(ルーフ本体361)の意匠性を容易に向上できる。屋根体306(ルーフ本体361)の前後に形成される隙間を少なくして外観を向上できるものでありながら、ルーフ本体361の内部に雨水が浸入するのを簡単に防止でき、ルーフ本体361の防水性を容易に確保できる。
図13〜図17に示す如く、フロントカバー362の凹部334に前照灯333を内設させ、ルーフ本体361に対してフロントカバー362と前照灯333を共締め固定し、前照灯333のランプカバーとしてフロントカバー362を形成すると共に、リヤカバー363の凹部339に後照灯337を内設させ、ルーフ本体361に対してリヤカバー363と後照灯337を共締め固定し、後照灯337のランプカバーとしてリヤカバー363を形成するように構成している。したがって、前照灯333のランプカバーとしてフロントカバー362を活用でき、前照灯333の支持部品数を削減して、前照灯333を低コストに設置できるものでありながら、フロントカバー362または前照灯333の組立作業性を向上できると共に、後照灯337のランプカバーとしてリヤカバー363を活用でき、後照灯337の支持部品数を削減して、後照灯337を低コストに設置できるものでありながら、リヤカバー363または後照灯337の組立作業性を向上できる。
図13〜図17に示す如く、ルーフ本体361の後部に空気調和機364を内設させる構造であって、リヤカバー363は、底板部363aと、背面板部363bと、上面板部363cを有し、底板部363aと上面板部363cの上下幅寸法と、ルーフ本体361の後部の上下幅寸法を略一致させ、キャビンフレーム300後部から後方に突設させたルーフ本体361の後部に、後方側からリヤカバー363を嵌着させるように構成している。したがって、キャビン7のリヤウインドウガラス322から後方にルーフ本体361の後部がオーバーハングする構造であっても、ルーフ本体361後部の後面側と下面側の両方を閉塞可能な構造に前記リヤカバー363を簡単に形成でき、ルーフ本体361後部の防水構造を容易に簡略化できると共に、ルーフ本体361後部に内設させる空気調和機364のメンテナンス作業性を向上できる。
図1、図17及び図18に示す如く、走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7を備え、キャビン7は骨組を構成するキャビンフレーム300と、キャビンフレーム300上部に配置する屋根体306と、キャビン7の左右側部を開閉可能に塞ぐサイドドア323とを有する作業車両において、屋根体306の側面に外気取入れ口366を形成する構造であって、外気取入れ口366に配置させる通気枠体367に防水構造の外気吸込みスリット367dを形成している。したがって、通気枠体367の外観上視認しにくい場所に外気吸込みスリット367dを形成でき、通気枠体367の意匠性を向上できると共に、防水用の別部品を不要にして、部品点数を削減して、組付け作業などを簡略化でき、かつ低コストに構成できる。即ち、屋根体306の意匠性を容易に向上できるものでありながら、防水性を容易に確保できる。
図17及び図18に示す如く、通気枠体367の中央部に邪魔板形状部367bを形成すると共に、邪魔板形状部367bの側縁に外気吸込みスリット367dを配置している。したがって、外観上視認しやすい大きな面積に邪魔板形状部367bを形成でき、外観上視認しにくい形状に外気吸込みスリット367dを形成でき、通気枠体367の意匠性を容易に向上できるものでありながら、通気枠体367を低コストに設置できる。
図17及び図18に示す如く、キャビンのルーフ本体側面に固定する外周枠部367aと、外周枠部367aにて形成する開口と相似形の邪魔板形状部367bと、外周枠部367aの開口縁に邪魔板形状部367bの外周縁を連結させる複数の横桟状体367cとを、合成樹脂成形加工にて一体形成して、通気枠体367を構成している。したがって、通気枠体367を単一部品に構成できるものでありながら、軽量かつ低コストに製造できるものでありながら、通気枠体367の着脱構造を簡略化でき、空気調和機の364メンテナンス作業性などを向上できる。
図1及び図19〜図22に示す如く、走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7を備え、キャビン7は骨組を構成するキャビンフレーム300と、キャビン7の左右側部を開閉可能に塞ぐサイドドア323とを有する作業車両において、サイドドア323に設けるサイドドアフレーム402を単一形状に形成し、サイドドアフレーム402は、単一のパイプを折曲させて形成する上ドアフレーム部402aと下ドアフレーム部402bと横ドアフレーム部402cを有すると共に、下ドアフレーム部402bの中間から斜め前方下方に向けて延設させる枝フレーム403を備え、サイドドア323が形成されるサイドドアガラス体325を、サイドドアフレーム402と枝フレーム403にて5点支持している。したがって、サイドドアガラス体325後部の上下ヒンジ324と、サイドドアガラス体325前部の開閉取手部材400を、サイドドアフレーム402にて一体的に連結でき、サイドドアフレーム402と枝フレーム403にてサイドドアガラス体325の剛性を容易に確保できるものでありながら、一枚の大きな面積の透明ガラスにてサイドドアガラス体325を形成でき、サイドドア323の意匠性を容易に向上できる。
図19〜図22に示す如く、上ドアフレーム部402aの後端側に横ドアフレーム部402cの上端側が連設され、かつ下ドアフレーム部402bの後端側に横ドアフレーム部402cの下端側が連設された単一のコの字状パイプフレーム形状に、サイドドアフレーム402を構成すると共に、サイドドアガラス体325後部の上下ヒンジ324に横ドアフレーム部402cの上下端部を連結し、サイドドアガラス体325前部の開閉取手部材400に前記下ドアフレーム部402bの前端部を連結する一方、サイドドアガラス体325の前後幅広上部の前端側に上ドアフレーム部402aの前端側を固着し、サイドドアガラス体325の前後幅狭下部の後端側に枝フレーム403の下端側を固着している。したがって、一枚の大きな面積の透明ガラスにて形成するサイドドアガラス体325の剛性を簡単に確保できるものでありながら、キャビン7内外の圧力差などに対するドア閉め感を容易に向上できる。キャビン7内のオペレータに与える体感圧力変化を低減できる。側方視認空間と乗降空間を確保した形状に形成したサイドドアガラス体325の強度を容易に向上できる。
図19〜図22に示す如く、下ドアフレーム部402bの中間に枝フレーム403の端面楕円形状の上端(楕円形状端面403a)を溶接固定し、斜め前方下方に向けて枝フレーム403の下端側を延設させ、サイドドアガラス体325の下端側に枝フレーム403の下端部を連結している。したがって、下ドアフレーム部402bに枝フレーム403を連結させるための枝フレーム403の溶接加工を簡略化できる。サイドドアフレーム402の一部として枝フレーム403を組付けることができ、サイドドアフレーム402と枝フレーム403を単一部品に構成でき、軽量かつ低コストに製造できるものでありながら、サイドドアガラス体325とサイドドアフレーム402(枝フレーム403)の着脱構造を簡略化できる。